縮刷版2007年8月上旬号


【8月10日】 なるほど海原育人さんの「ドラゴンキラーあります」(中央公論新社、900円)で胸より尻だと断言したココの気持ちも分かるなあ、などと発売された「月刊ニュータイプ」の2007年9月号をぺらぺらめくりながら納得。「コードギアス 反逆のルルーシュ」の特集の冒頭で坂本修司さんによって描かれたルルーシュとC.C.が向かい合っているポーズのイラストの、背後にきゅっと突き出されたC.C.のヒップが小さくってそれでいて丸みを帯びていて実に何とも麗しい。腕を押さえつけられていなければルルーシュだって延ばしてぎゅっと手のひらに納めてそれからあれしたりこれしたりしたくなったんじゃなかろーか。もう見ただけでドキンとする絶妙なサイズに絶妙なカーブ。その持ち主が偉いのか、それとも描いた坂本さんが凄いのか。

 対して「天元突破グレンラガン」の記事に登場するヨーコさんもこちらはこちらでなかなか。錦織敦史さん描く見返りポーズのヨーコはショートパンツのすそから丸みの下がはみ出していて実に柔らかそう。指とかってつっつきたくなるけれどライフルの銃身で突っつき返される可能性も高いんで見るだけにとどめるのが生き残る上での秘訣。しかし丸いなあ。この丸さに今再び拝めるのは何時なんだろー。記事だと8月12日の放送で再登場するっぽい。長谷川ひとみさんのイラストだと7年前のヨーコの背後に7年後のヨーコっぽい人が描かれていてなかなかなグラマラスぶりを見せている。成長してもやんちゃでそれでいて色っぽさを加えた「峰不二子のような“大人の女”に成長した」姿になるっぽいって中島かずきさんが喋ってる。楽しみだあ。「シッモォーン(はあと)」と媚態が入った声で誘って答えて「ヨーゥコちゃぁーーーん」とシモンが飛びかかる場面、期待して良いのかな。

 いやあやっぱり胸だとページをめくった「アイドルマスター XENOGLOSSIA」の記事を見て転向してみたり。千早にだから迫られた雪歩ちゃんが頬をあからめしなをつくったその姿態で目立つはやっぱりその巨大さ。菊池真が背中を向けているのはきっと大きさに嫉妬しているからに違いない。お尻もあんまりふくらんでないし。まあこれはこれで少年っぽさを感じさせると人気が出るスタイルなのかも。そこからさらにページをめくった「おおきく振りかぶって」ではモモカンがユニフォーム姿で腕組みしていてその腕の上にどっかーんと突き出た桃2つ。こんなのを毎日目にしてよく野球やってられるよなあ、西浦の連中も。夏で。暑くて。蒸れてて。でも近寄ればそのアイアンクローで頭が甘夏に。やっぱり見るだけがよろしいかと。

 おっと見逃すところだった挟み込みの「コードギアス 反逆のルルーシュ」ポスターは表は男ばっかりで見る気も起こらないけど裏面は田端壽之さんイラストでC.C.にカレンにシャーリーに神楽耶がそろってパジャマパーティー中。ショートなタンクトップのカレンは下からちょっぴりはみ出ているし、チャイナなC.C.はチャイナだけあって胸元が強調されててそれなりの質量が出ていて素晴らしい。ここにミレイがいればなおいっそうの迫力だったんだろーけどすでに人妻ならぬロイドさんちの婚約者をあられもない格好でベッドに侍らせる訳にはいかないって版権元の判断が働いたのか、依頼した編集の趣味か。神楽耶なんて入っているところを見るとそっちの趣味があったのかなあ、普通だったらミレイさんかセシルさんかコーネリアさまだろう、ってそれもそれでなかなかなご趣味。マリアンヌさまもいれて熟女カルテット、って言ったら怒るよミレイさん。セシルさんも自称17歳なのにって言って怒るかな。

 そんな「月刊ニュータイプ」は表紙が「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」で中にもそれなりに特集があって声優さんがインタビューを受けているのに同じ日に発売で公開までこれが最後の号となる「月刊アニメージュ」の2007年10月号は「コードギアス」を表紙に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は中で劇場映画の特集に絡めて見開き2ページだけの紹介って差が何とも不思議とゆーか差が激しいとゆーか。たとえ会社的に重点作品だどうだって差があったって物が「エヴァ」なら10年前だったらどちらも関係なしとページを割いたはずなのに。それとも独占を意図して情報の出先を絞ったとか。分からないなあそこのところは。

 でも残り20日って所なのにいつかの春エヴァ夏エヴァって騒いでいた時に比べて公開が待ち遠しいって気分にまるでならない今回の映画化。周囲を見渡したってあんまり盛り上がっている節もないのはそれだけ皆が歳をとったからなのか、それともその程度の期待のされ方しかされていないからなのか、だから「アニメージュ」でもそれなりな扱いになっているのか。なるほど、パチンコでエヴァが人気になっているって事実はあって、それで初めてエヴァに触れた人たちに、いったいエヴァってどんな作品なんだろうって興味が沸いてて劇場版を楽しみにしている、って話も聞かない訳じゃあない。でも、本当に作品としてのエヴァをパチンコ好きな人たちが評価しているのか、単純に稼げる出る台だからエヴァを好んで打っているだけで、内容なんてどうでも良くって映画行くよりパチンコ屋に行く方が楽しいって人が多いのか、現状の判断にはちょっと迷うところがある。

 いったい誰が見るのが劇場版。それがまるでつかめない。マニアは行くかもしれないけれど、10年前の喧噪で巻き込まれた一般に近い人たちが今さら果たして行くものかどうなのか。「機動戦士ガンダム」みたくまるで新しいメカと世界が繰り広げられる訳ではない、しょせんは同じ世界観で同じメカとキャラクターが出てストーリーが繰り返されつつ、ちょっぴりのバリエーションが見られるだけだとしたら、わざわざ劇場に足を運ぶこともない。いやバリエーションであってもその変化っぷりを楽しむことは可能だろーけど、それって作品の楽しみ方としてあんまり健康的じゃない。

 お話がどう変わる? メカがちょっと太ってる? キャラが何だか大人びてる? って変化は変化だけど変化でしかない。元があって分かる差異でしかない。間違い探しを楽しんだところで得られる感動はまっさらな作品から受ける真新しい感動に及ばないし、及んではいけない。なのにそんな間違い探しを10年を経てさせよーとする庵野秀明監督の意図をずっと計りかねているんだけれど、あれだけ堂々とエヴァ以後はみんな物まねだって感じにぶち上げたんだから、オリジナルすら超えるオリジナルって奴を見せる自信があるんだろーとここはとらえて、9月1日は劇場へと脚を向けたいけれども仕事か、SF大会だからやーめた。行けて3日以降だな。まあそれでも良いやって思えてしまうところに熱の入ってなさも伺える。これで午前の10時前に近所のパチンコ屋に並んでいるような学生だったり中高年だったりする風体の面々ばかりが、9月1日の劇場前に並んでいたら始めてパチンコの影響があったと認めよー。スクリーンが開いて延々とエヴァのパチンコをプレーしている庵野監督の背中越しに回る液晶が映し出されている映画だったら褒めて褒めて褒めたおす。

 そうそう「月刊ニュータイプ」は「山田真哉の萌え株、買っちゃうぞ!」が初めて面白かったというか、扱っているタイトルはソフトバンクでネタはソフトバンククリエイティブから出ているGA文庫の看板作品のアニメでつまりは「ポリフォニカ」。言って「20年前のアニメを見ているような気分? でも実際に20年前のアニメを見てもその感じとは違うんです」と絵についての感想を述べて「DVDも出ているのでぜひ見てください。一緒にこの不思議気分を味わいましょう」って呼びかけている。これってつまりは買い推奨って奴? 本当はサメがイルカで焼きイカに浮き輪で水中眼鏡な作品なのをそうとは言わず、不思議だと持ち上げ読者にDVDを買わせてバンク株を上げておいて、自分は買い込んである株を売り抜ける気だとしたらちょっと質が悪いぞ山田さん。まあそんな気はないんだろうけど単に褒めるとかけなす原稿じゃなくって、株を絡めていたりする原稿はともすればインサイダーな疑いをもたれかねないんで、もーちょっと気を付けて書いて欲しいし「ニュータイプ」側も記事の外にその辺の注意を喚起するコメントを添えておかないと、あとあといろいろ持ち上がるかもしれないぞ。

 ちなみに僕は買ってますよ「神曲奏界ポリフォニカ」のDVDをちゃんど毎月。第2巻なんて双子がジャケットで微妙に微妙な絵柄でこれがまた。外箱はともかく中のトールケースに入れられたアニメのイラストはさらにまた。不思議としかいいようのないバランスだよなあ。付録の小説もなんというか。ボウライ列車? ふざけているのか遊んでいるのかまじめなのか分からないその感覚が暑さにヤられた頭を爽快にしてくれる。笑うしかないよもう。ついでだからと文庫に添えられたイラストなんかが集大成された画集も購入。アニメイトととらのあなで売られたスクール水着バージョンに下着バージョンのコーティカルテのイラストもしっかり入っているんで、文庫を買い逃した人はこっちで大きな絵を楽しもう。つぎ込んでるよなあ。んでもって山田真哉の儲けに貢献してるんだとしたらやっぱりまったく腹立たしい。


【8月9日】 それでいったい千早のどこが良いんだ雪歩ちゃん。お世話になったってだけであそこまでなついて忠誠を尽くすものなのか。真なんてあずさが自分の面倒をみてくれないと知った途端に裏切り脱走してトゥリアビータに寝返ったくらいなのに。それとも別の違った関係にあるのか千早と雪歩。すらりとした肢体に張りつめた筋肉が力強さを感じさせてくれる千早とモンデンキントの誰よりも柔らかそうでふかふかそうなボディの持ち主だった雪歩ちゃんのカップリング。うーんこいつはなかかなにクールだぜ。

 それより雪歩っていったいいつからその名でスパイをやっていたんだろう。だって千早はまだ17歳。そんでもってモンデンキントを抜けたのはせいぜいが数年前ってところ。そこで雪歩と親しくなって手懐けモンデンキントが調べても分からないように誰かの家族に偽装する。可能なのかどーなのか。まあ朔響とかジョセフ・真月とか切れ者のよーで結構ぬけぬけだったりするから偽装するのも難しくなかったのかも。あるいは雪歩に見ほれて調べずオッケー出したとか。

 ともあれインベルとネーブラで乗り込みインベルは千早に奪取されネーブラは真が駆るヒエムスにぼこぼこにされて沈黙。すでにトゥリアビータ側にあったヌービアムには雪歩が乗ってアイドルはすべてトゥリアビータ側に落ちたかと思われたところで発動しかかった天よりの砲撃にもはやこれまでとあきらめたそその時。やっぱりとゆーか当然のよーに現れ攻撃を退けおいしいところを持っていくとはテンペスターズ。主役メカなくせに奪われ何もできなかったインベルの立場もなさそーだけれどテンペスターズはひとまずご退場の様子なんでここは沈黙する春香が傷心から立ち直り、インベルとの仲直りも果たして再び乗り込み大暴れ、してくれる場面を今は待とう。とりあえず双海真美ちゃん可愛かったよ亜美ちゃんよりも。服とか。着てなかったところとか。

 んでもって「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」はいきなりギアスが発動してた。アニメでは初登場となる要の幼なじみで結構要をいじめたらしい魚々戸真綾が水泳部に入部して来ては女子とは一緒に着替えたくないから自分専用の更衣室を付くってくれと男子部員におねだり。その瞬間に目から放たれたギアスは要と部長をのぞいた男子部員の目を通して脳の結線を組み替えて、彼らに突飛な行動をとらせるのであった、って単に色仕掛けじゃん。でもまあモデルをやっているだけあってなかなかな可愛らしさではありました。それでも雪歩ちゃんに匹敵するくらいのナイスさを誇る静岡みれいにはかなわないけど。いあもう実にすばらしい。これ見られるだけで「ウミショー」は永久保存です。

 うん悪くないぞ講談社BOX版小説「ひぐらしのなく頃に 第一話 〜鬼隠し編〜(上)」はまだちゃんと見ていたアニメの雰囲気が実によく文字によって再現されている感じ。竜宮レナちゃんの語尾が重なるセリフ回しにゴミの廃棄場でケンタくんを一所懸命探す行動の健気さは、アニメで見た動く映像が文字を追っているだけで浮かんでくる。つまりはそれだけの描写力を竜騎士07さんは持っているってことなのか、こちらにアニメの映像が刷り込まれているってことだけなのか。いずれにしても小説としてちゃんと読める。小説としてとてつもなくすばらしいかは分からないけど、ちゃんと読めることは何より重要。面白い。んでもってじらっと浮かび上がってくる雛見沢の異常さ。周囲の少女たちの不気味さ。ここから転がるよーに進んでいく恐怖の展開は、アニメでも見逃してしまったんで初見がこの小説になる。とても楽しみ。読んで脳天に鉈を振り下ろされる感覚、味わえるかな、かな?

 未だ衰えていなかったのか「マジック・ザ・ギャザリング」。数年前に世界大会ってのが「パシフィコ横浜」であって取材に赴いたものの来ているメディアはごく少数で、もはや時代はトレーディングカードゲームから離れてしまったのかそれとも最初っから一般メディアには通じていなかったのかと愕然としたものだけれど今日、タカラトミーが西麻布のカフェに「マジック」を持ち込んでデュエルしながら食事やカクテルを楽しめるよういするスペースを期間限定で作るってんで取材に言ったらテレビが5台にカメラマンもわんさかと来場していてものすごい混雑ぶり。普通に立ってて汗の噴き出る混みようで、いつからこんなに「マジック」人気が盛り上がってきたのかと首を傾げ……はしなかった、単純にゲストで登場した川村ゆきえさんへの人気でございましょう。

 なんだかグラビアアイドルとしてとっても人気の人らしーけど実は知らなかった川村ゆきえさんは「マジック」に出てくる「黎明をもたらす者レイヤ」って女神様か何かをモチーフにした白い衣装で登場。下が巻きスカートで上はビキニよりやや多きなブラでお腹はまる見えってスタイルだったからくびれた腰もくっきりとした谷間もあからさま。それが室内の暑さに汗ばんでしっとりとしている様に近寄り汗を拭ってそのタオルで顔を包みたくなったけれども取材中なのでやりません。取材中じゃなくたって出来ないよ。そんなボディもなかなかな上に顔立ちもくっきりとしてぱっちりとした可愛らしさ。しゃべりもそれなりで卒がないんでこれからしばらく鍛えられればグラビア出身ながらも見かけだけじゃないタレントのポジションを掴んで確保できるんじゃなかろーか。

 そんな川村さん目当てでメディアは来たみたいだけれども一方で、出がけに周囲を見渡すと西麻布ってよりは秋葉原って雰囲気のおにいさんたちが来ていてバーが「マジック」のデュエルスペースになるのを待っていた。熱心というか。勇気があるというか。普段ならあんまり六本木とか西麻布なんて寄りつきたくないってのが秋葉原に慣れた当方の感覚だけれど、フィールドを張って拒絶するよりチャンピオンが来てデュエルしていているその姿を、見て自分もデュエルに加わるためにフィールドを破り六本木だって西麻布だって飛び込んでいくのは真のデュエリストって奴なんだろー。その勇気、たたえます。

 でもきっと主催者的にはそーした人だけじゃなくって、西麻布とか六本木とかを普段からたまり場にしているスタイリッシュでスノッブな人たちが、ホビーってんじゃなくってダーツとかビリヤードみたいなスタイリッシュなレクリエーションのひとつとして、デュエルに触れて楽しんでそのまま広めて欲しいって気があったんだろー。果たしてその思惑は成功するか。少なくとも「マジック」ってアイテムだったら西麻布でも六本木でも雰囲気から決してずれてはない気がする、アーティスティックだし、戦略性もあるし。これがたとえば「らき☆すた」とかのカードゲームだったら、雰囲気もずいぶんとすさまじいものになっただろうなあ。「マジック」を持ち込みプレーするふりをして傍らで「アクエリ」とか始める野郎がいたらその勇気、やっぱりちょっと讃えちゃいます。


【8月8日】 プチプチの日。それより以前にかがみあきらさんと村山聖さんの逝った日。かがみさんについては84年の7月だかに「鏡の国のリトル」の巻末アンケートに応募した返事みたいな暑中お見舞いのはがきが届いて、もしかしてこの宛名書きは直筆? ってこすって大喜びしていたんだったっけ。それだけにしばらく経って8月20日頃に発売された「漫画ブリッコ」で訃報を知って受けた衝撃の大きさは今でもしっかり覚えてる。あれからもう23年かあ。氷川竜介さんの30周年記念イベントで壇上に上がった出渕裕さんをはじめ、かがみさんの周辺にいて漫画なんかに似顔絵で登場していた人たちの昨今の衰えない活躍ぶりを見るにもし、今なお存命ならばと悔やむ気持ちもこの20年ばかりまるで拭えなず、むしろ逆にぐんぐんと大きくなって行く。何本の作品を作り漫画を描きメカをデザインしていたんだろう? 「コードギアス 反逆のルルーシュ」のパロディとか書いたらどんな絵になったかなあ? 振り返っても詮無いことではあるけれど、せめてその名と仕事はこれからも20年、30年40年と伝えて行きたいものだよなあ。

 店頭に並び始めている支倉凍沙さん「狼と香辛料V」(電撃文庫)の展開にもやや進展が見えてさあこれからどうなる腐れ縁って期待もふくらんだけれどもそれ以上に期待がかかるのがアニメーション化の報。文倉十さんのにぱっとした雰囲気のホロとはちょっぴり違ってしゃなりとして見目麗しい黒田和也さんって人の手になるホロがアニメ化を報じる帯に描かれていて、こんな感じに描かれ動くんだとしたらさぞやキュートな画面になるかもしれない。しかしそんなことより期待はホロの抱き枕。薄く開けた目をやや流し目気味にしてこちらをみつめるホロの来ている衣装は上がカットソーで下が長めのスカートだけどややずり下がったスカートとカットソーの間には白いお腹がのぞいていたりする。狼だけに毛がびっしり、って心配は無用。そこはちゃんと引っ込めてある。これでひっくり返すとふかふかの尻尾が生えていたら嬉しいんだけれど、毛皮だと高くなるんでとりあえずはノーマルを頼んであとで買ってきた尻尾を縫いつけ感じを楽しむか。

 そんな抱き枕の情報が載っている折り込みチラシ「電撃の缶詰」には別に有川浩さん「図書館」シリーズの新刊情報も掲載されてて第4巻だから最終になるんだろー「図書館革命」が11月10日に発売決定って書かれてあって今から期待。どーなる防衛隊。一方で「図書館戦争」のコミカライズが一気に2誌で展開中だとかでひとつはお膝元とも言える「電撃大王」で11月21日発売の号からスタートする見たいなんだけれどこれより先に何と白泉社の「LaLa」でもって9月22日発売号から弓きいろさんって人の作画による「図書館戦争」がスタートするみたい。主人公に違いは見られずカップリングにも変化がなさそうな予告イラストだけれど本編ではたとえば「LaLa」は堂上や小牧ら男性キャラをメーンでやおいっぽく描くのかそれとも女性キャラの活躍で読者の女性の教官を得るよーに描くのか。ちょっと興味。「電撃大王」はやっぱり萌え? でも笠原郁と萌えは概念として対極だし。まあ始まれば分かることなんでそれを待とう。

 んで「トリックスターズ」シリーズをいったん打ち止めたみたいな久住四季さんの新シリーズ「ミステリクロノ」(電撃文庫、570円)は天使が降ってきては少年と出会い天使が落としたお宝を探して集めるってゆーラブコメディ? 違うなどっちかってゆーとミステリー。天使が落としたのは注射すると時を戻せる注射器みたいな道具をはじめとした7つの品々で天使の少女はそれを集めるように命令されているけど根が純朴なのか単なる間抜けなのかおたおたとしているうちに人間の少年と知り合い少年は彼女を手伝うことにする。まあよくある同居物って奴だよな。

 けどそこからラブが発展するって感じはなく、別に起こった事件に時を戻せる道具の効能なんかが絡んで条件が複雑化するなかで、合理的に考えて犯人になりえるのは誰でそれはどーゆー理由なのかってことがロジカルに示されていく。だからこれも「トリックスターズ」なんかと同じミステリーで、心理を読み条件を並べ針穴を通すようにして真相を見つけだしていく展開はなかなかに手に汗を握らされる。もっともそれをそぎ落として繰り広げられる物語はやっぱり有り体の天使同居物って感じ。なおかつ天使の少女の自我が今ひとつ弱い分、読んでいてぐぐっと身に可愛らしさやいたいけさが響いてこない。条件の中で最前を見つけるテクニカルな読み方に耽溺できる人の報がだから読んで楽しめるかも。いやでも真摯なドラマもなかなかなもの。ミステリー的な展開は表層のパズルと割り切りフレームの中で繰り広げられている事態の痛み苦しみに何かを感じるのも良いのかも。三田るちあをもーっちょっと出してくれ。

 やっぱり面白かったぞ大井昌和さんの「女王蟻 第1巻」(幻灯舎コミックス)は帯に書かれた「パンツ! 蟲! パンツ! 蟲! お尻 蟲!!パンツ! 蟲! お尻」なんて画期的すぎる煽りが決して嘘でも大げさでもなくって少女たちが広げたり突き出したりしていろいろなものを見せてくれて気分をドキドキさせてくれるし、トゲトゲっとした蟲もわんさか出てきて気分をジョリジョリさせてくれる。地球から移住して月面都市に住んで警察官となったハヤセって少女が地球から来た要人を追っていた最中に飛び込んできたのが、「女王蟻」と呼ばれる月面都市を動き回る機械というかバイオロボットのよーな蟲たちが暴走したときに現れ糺す役目を担った少女。どーやら月面の蟲たちに対してよからぬタクラミがあるよーで、それが発動すれば月面の崩壊に至りかねない事態を押さえるべく動く所に、女王蟻を狙って地球から来たテロリストの「街使い」が迫る。

 テクノロジーの進歩がもたらす可能性の是非や、生まれ出た生命が求める存続の本能が秘める危険性など常に進歩し進化しようとあがく人類に訪れるかもしれない悲劇を示唆して心に響く。戦いで傷ついたハヤセの命運とそして女王蟻との関わりやいかに、って興味も膨らむけれどもやっぱり目にはいっぱいの白やらなにやらが飛び込んできて愉快痛快きわまりない。どーしてそこまで下げて穿く? なおかつとっても小さいのを敢えて穿く? 男性には分からない乙女心って奴だけれども見る分にはとっても楽しい。できれば実世界でもこれくらいの潔さを見せる人がいたら夏だって暑さだって吹っ飛ぶのに。


【8月7日】 そーいや先週だったか映画館の温度を2度上げて地球温暖化防止に貢献する取り組みって奴を行っている映画館へと出向いて取材して、そこでかけられていた作品が自然保護への願いも込められた「河童のクゥと夏休み」だったってこともあって、監督の原恵一さんとそしてクゥの声をやってる少年の冨沢風斗くんが来て挨拶なんかして、冨沢くんはテレビで流れているCMとそっくりのクゥっぽい声でしゃべってなかなかな声だなあと感嘆したんだけれど、後になってその声が「コードギアス 反逆のルルーシュ」でC.C.と因縁のありげなV.V.の声といっしょだったと気づいて、しまった移動の時間に側を歩いていた冨沢くんに「この後スザクとルルーシュはどーなるの?」って聞けばよかったと後悔。でも原監督ととっても仲良さげに会話してたんで割り込めそーもなかったんで一緒か。それにしてもずいぶんと面相が違うよなあ、クゥとV.V.じゃあ。「おいら出会えたのがスザクで良かったよ」ってV.V.が喋ったらそれはそれで愉快。

 経団連の会長っていったらやっぱり偉い立場なんだろうけれど、でもキヤノンってカメラ的には凄くっても世の中のインフラ的にどうって言われるとどうだろうって感想くらいしか浮かばない会社の人だってことになると、置き石としてはちょっぴり比重も低そうな気がしてしまうのは重厚長大にばかり目を向けがちな年寄りの偏見て奴か。もっとも前に経団連会長を2人ばかり出してたトヨタ自動車だって、名古屋に暮らした人間からすりゃあ三河の田舎にでっかい工場をぶったてている会社って程度で、親しみはあってもあんまり偉大さは覚えない。それを思えば東芝だとか新日本製鐵だとか東京電力っていった企業の方が、社会の根幹部分であれこれ仕事をしていそーなイメージがあってなるほどって気にもなる。とはいえ今やトヨタは国内では最大規模で世界でも屈指の大企業。あのビッグスリーすら上回ろうとしているくらいだから重厚長大が三河の否かで軽薄短小であっても、変わりはないと考え偏見を改める時期に来ているのかも。

 いや話はキヤノンだ。カメラとプリンタの会社の偉い人が会長となった経団連も協力して行われている2007日中文化・スポーツ交流年のテーマソングって奴が発表になったんで行って見ていると登場したのが御手洗冨士夫・経団連会長にして交流年実行委員会委員長。見ればまあそれなりの風体ではあるけれども喋る言葉はごくごく当たり前のことばかり。ちょっぴりぐるぐるしているところもあって“財界総理”ってほどのプレッシャーを覚えない。まあ現実の総理の言葉自体が堂々巡りな割に中身が曖昧で良くも悪くも平凡で、強く心に響いて来ないんでそれに比べればまだ経済を中心とした中国との交流について言及してたんで真っ当さでは上か。どっちにしたって重くないなあ。

 これは歳を食ったからかもしれないけれども昔と違ってどの業界にも重鎮って感じのトップが見あたらなくなったって印象。銀行だったらたとえば日本興業銀行の中山素平とか三井銀行の小山五郎とか住友銀行の堀田庄三とかってバンカー然として社会を動かしているって雰囲気を持った人がかつてはいたし、東芝だったら土光敏夫で電機だったらいわずとしれた松下幸之助、そしてソニーの井深大に盛田昭夫といった具合に経営のみならずその生き方に興味を持たれる経営者って奴が結構いたけど今じゃあどうだ、電機に平岩外四ほどの人はいないし重電重工で一般にも知られるような経営者なんてまるでいないし銀行も同様。証券は毀誉褒貶あれど田淵節也を最後に以後は名すら取りざたされなくなっている。松井道夫? 松本大? しょせんは瞬間芸。

 たかだか企業のトップが偉そうにするのも何だって意見もあって、それはそれで良いんだけれどもリーダーシップをとって社員の絶対幸福を訴え株主とかの利益を配当しろって言い分を蹴り飛ばしてでも、実現に勤しむくらいの気骨がなくなって来ていることが、世の中のどこか居心地の悪さにつながっているよーな気が最近妙にしてならない。働いても働いても誰も幸せになれず、6時にゃあ家に帰って家族と団らんしつつ会話しつつ教育しつつ癒しいやされる雰囲気をつくって、世の中の平穏につなげるなんてことはあり得ず、夜の8時9時に帰宅のサラリーマンで電車が満員になるこの国の不思議さみっともなさ。サマータイムとか導入するくらいなら午後6時にゃあ仕事を追われって制令でも作った方がよっぽど消費の拡大、社会の安定に寄与するって気もしないでもないけれど、すでにそーゆー状況が消え去って数十年。今さら団らんとか言われたって団らんを経ていない世代にゃあ無理だよなあ。高度成長以来の30余年で崩れた何かがもはや取り戻せないとあれば来る時代に果たして再構築に向かうべきかそれとも流れに任せて衰滅を選ぶべきか。いろいろ岐路にあるんだなあ。社会も、そしてこっちの身の上も。マジでやばそうだもんなあ。

 とか言いつつ話は戻ってテーマソングのお披露目会。ステージに登場した偽平井堅さん、ではなく中孝介さんは歌声も悪くはないし歌いっぷりも巧みでちょっぴり不思議なコードをもったテーマソングも奄美大島出身だかの島唄慣れした喉で歌いきる。でも平井さんほどのインパクトはまだないかなあ、平井さんは顔があれだし喋ると妙だったし。そーいや最近あんまり消息を聞かないけど何やっているんだろー。そんな中さんとデュエットをするのか中国人美人歌手の韓雪さんって人でこちらはさすがに中国13億人の中よりぬきんでて来るだけの実力でもって難しい唄もちゃんと歌いきる。下地となってるトレーニングがやっぱり向こうは分厚いんだろうなあ。

 いつかの日韓ワールドカップでの日韓アーティストによる競演曲を聴いた時にも思ったけれども、唄のうまさに関してやっぱり日本、ちょっぴり衰えが見えている感じ? もっとも曲作りのオリジナリティやアクトの部分ではやっぱり日本が上に見えることもある。古典的な美術が写真のような忠実さを求めていたのに対して、現代アートがコンテクストも含めてトータルで見るよーになったことと同じなのか。完成度よりも感性を重んじるってうーか。ともあれ中さん韓さんの日本語中国語の交互に出たり重なったりする、聞いててなかなかに不思議な気になる曲をひっさげ日中交流はこれから年末にかけて進みそう。11月のフィナーレではあの人民大会堂でもってコンサートも開かれるってんだけど、出るアーティストは誰になるんだろう? 日本でいやあ国会で開かれるってことだもんなあ、下手なアーティストは出せないよなあ、どんな選び方を誰がするかにも注目。日本の音楽業界事情って奴も見えて来る?

 時代はスポーツ小説らしい。ってのはすでに「バッテリー」が大人気になり「一瞬の風になれ」が吉川英治新人賞を獲得し「風が強く吹いてきた」がベストセラーになりそして今出ている「武士道シックスティーン」がむちゃくちゃに面白い(割にはあんまり話題になっている雰囲気がないのがやや残念、もっと売れて良いはずだよこれは!)ことからも分かっていたけど若い人たちに大人気な奈須きのこさんまでもが「DDD」シリーズの最新第2巻でスポーツを主題に書き下ろしをやってしまった所からも、いよいよもってスポーツ小説の時代が来たんだってゆー確信が浮かんでくる。だって本来だったらミステリーな小説だよ。あるいは新が付く伝奇。なのに今回は最初っから終わり近くまで繰り広げられるのが野球の勝負だ。それも徹底して技術の描写にこだわった。

 たとえるならば漫画で人気になりアニメーションも評判の「おおきく振りかぶって」で、ピッチャーが投げる1球にバッタが降る1スイング、そして試合の流れから醸し出されるプレーヤーの心理といった部分に迫ってスポーツが単なる結果でもなくまた選手の動作だけでもない、その動作の根元にある心理なり技術といった部分にこそ神髄があるんだってことを示してくれたこの漫画のエッセンスを取り入れながら、「アストロ球団」的な超人野球を描いてみせたってのが「DDD2」ってことになる。なんだそりゃ。つまりは3段ドロップを球一はどうやって投げてそれをカミソリの竜はどういう技術を駆使し相手の心理を読んで打とうとしたか、ってあたりを「DDD2」では例の超常的な力を人間に与える“悪魔憑き”たちによる野球の勝負に代えて描いてて、現実にはありえない球筋で投げられるボールに現実ではあり得ないスタイルで挑むシチュエーションが、現実にいかにもありそーなリアリティで堪能できる。そうかそうやって投げるのか2段シンカー。

 補則するなら街でなにやらピッチャーとバッターが対峙して勝負するゲームがはやっているらしくて元球児たちが参加し賭なんかも行われている所に過去に因縁を背負ったやろうが全身マントの風体で割り込みゲーム参加者を殺害する事件が頻発。それをトマトマトな警部補に依頼されて解決に挑もうとする石杖所在に彼とは高校で同じチームだった霧須弥一郎って男がいてそして事件が描かれ過程が描かれ勝負へと至るってのが本編のおおまかなストーリー。読めばスポーツの凄みや繰り広げられるねたみにそねみから生まれるいじめの薄気味悪さなんかが浮かんで来てひどい世の中だって絶望的な気分を起こされる。でも最後にゃあやっぱりものをいうのはスポーツマンシップ。正々堂々の超人勝負を緻密な解説付きで楽しめるんでスポーツファンは読んで悔いなし。あと巻末付近に短いながらも所在の妹でもはや人間を超えた存在になりつつあるカナタのひと暴れが可愛らしいイラストも添えられ収録されているんでこちらにも注目。いよいよ始まる圧巻のバトル。どーやって勝つつもりなんだろー、所在にマトさん。


【8月6日】 冷房の効かない部屋を出て玄関先で換気扇を回して廃熱しつつ扇風機を回して空気を循環させて涼みを取りつついろいろと読む。「小学館ライトのベル大賞 ルルル文庫部門」の佳作をとった入皐さんって人の「蝶の大陸 〜黄金のエミーリア〜」(小学館)は、神様が変じて魔物になって世界を脅かし始めたのを止めた女性の英雄クローディアの曾孫という少女エミーリアが、今なお外に出ようと画策する魔物を堰き止めている「神魔門」の街までやって来た。もっともクローディアそっくりの容姿に加えて魔物と戦う力を持った剣を扱えそうな雰囲気ながらも当人は英雄やら剣士にはなりたくなくって、代々伝わる剣を届けに来ただけだからと言って騎士団に誘われて乗らず、騎士になっていた幼なじみの言も受け入れ街を出ようと決意する。

 しかし襲って来る死魔は凶悪で、街で知り合った知人が呪われ死魔にされようとしている様を見てこれでいいのか逃げ出して良いのかと葛藤する。強さを秘めながらもそれを誇らず奢りもしないで引っ込もうとするヒロインの造型が、ヒロイックでファンタジックなストーリーにあってあんまりないパターンで珍しい。理由もないのに巻き込まれたからといって戦いに身を投じて何ら違和感を抱かない昨今の主人公たちにあって、自分をみつめ周囲に気を配り居場所を迷うヒロインのうだうだとした感じが可愛らしい。魔に転じた神を囲んで4人の神たちが押さえつけながらも魔の力を漏れ伝える灰白神魔の恨っぷり。よほどに酷い悲しみを味わったんだろうなあ。そんな過去のクローディア編や居残り戦うと決めたエミーリア編といった話がしっかりとした土台の上でどう繰り広げられていくのか。期待だ。

 んで吉田親司さん「彼女はQ(クイーン)」(電撃文庫)を読む。ギャンブル小説。ってのがたぶん基本でそれにかぐや姫的な設定がついている。地球にやって来たのかおっことされたのかはともかくとして、そんな地球から抜け出すには20兆円とか40兆円ってお金を支払う必要があるってんで見かけ少女の宇宙人が大金の動くギャンブルの場に乗り込み勝利に近づくものの果たせず。いい加減に面も割れてアメリカでは稼げなくなったんで灰谷亜美夏と名を変え日本へと来ていろいろ稼ごうとしていた所に見つけたのが幸運のカタマリのような少年で、彼のことを知るために亜美夏は少年に恋心を抱いていた看楽美倉子って少女に近づきギャンブルを挑んで美倉子から少年の行動を記録したノートを奪いそして、幸運のカタマリのよーな少年にもその魔手を向ける。

 って感じで繰り返されるカードを使ったギャンブル描写。インディアンポーカーにスタッドポーカーに何故か大貧民といった具合に出てくるギャンブルのルールだとか心理戦だとかが克明に描かれていて勉強になる。なっても実践できるかどーかは難しそうだけど。プラスして亜美夏が願う宇宙への帰還って主題が全体を包んでいて物語世界の持つ雰囲気を荒唐無稽でロマンティックなものにしている。アブダクトされた人たちはいったい何のためにさらわれ今いったい何をしているのか、それが登場人物たちに関わりの深い人たちなのは何故なのか、なんて謎の答えを知りたいって意味からも続刊を期待。抱えた設定よりもギャンブルのシーンが前面に出てスリリングな気持ちにさせてくれるって点では冲方丁さんの「マルドゥック・スクランブル」にも通じる面白さか。

 戦国時代に「しっぽのおねえちゃん」は子供の言葉でもあんまりないとは思うけれども現れる狐の化身みたいな妖怪を相手に人間が親しみを抱いていたって状況を説明する上ではまあそれなりに効果がある表現なのかもしれない健速さん「あの日々をもういちど」(HJ文庫)。日本に跳梁する魔物を封じる力を持った一族があってとてつもなく強い鬼を倒しきれず鬼と相打ちにする形で勇者を鬼ともども封じたものの鬼を倒せる戦力を整えたらすぐに封印を解くつもりだったのが、せっかく押さえ込んでいるんだからとそのままにして400年。一族の子孫がそろそろ弱まってきた封印を見てようやくこれを解いて現代の火器でもって鬼を粉砕することに決定し、封じる力を持った舞い手が踊って開封してよみがえった鬼をまず粉砕。そして400年前から勇者がひとり現代へと送り込まれる結果になった。

 まさに浦島太郎な勇者はやる気も失い呆然としていたもののそこに現れたのが400年前に親しくしつつも訳あって仲違いした狐みたいな耳としっぽを持った少女。勇者を追って時間をくぐり抜けて現れては勇者に挑もうとする。折しも街ではなぞめいた事件が起こり犯人は誰だと取りざたされる。狐の少女かそれとも。ひっかかりもなくするりと読めて居場所を失いながらもどうにか踏みとどまって頑張ろうと決心する気持ちの変遷から学べるさわやか伝奇ストーリー。まあ単純と言えば単純だし狐の耳と尻尾の生えた少女が現れてもおそれず不思議がらない現代っ子ってのも奇妙だけれど、そーゆー風に魔物が現れることが一般にも知れ渡り、政府が重火器で武装した組織を作って対抗している世界が舞台だからこれで良いってことで。しっぽのおねえちゃんのしっぽがどこからどんな具合に生えているかの描写を、次の機会があればイラストなんかで是非に見せて頂戴な。

 もってもしかしたらライトノベル界で最年長かもしれない田村登正さんの新刊が久々に登場。「マルティプレックス 彼女とぼくのコミイッタ日々」(電撃文庫)は学校とか通っている少年やら少女が誘われて赴くのはどこかの部屋。入って不思議な感触のドリンクを飲み気がつくと、ネットの中だかに入り込んでいるのかそこは戦場になっていて、少年や少女は外で学生とかやってる記憶はまるで持たず、戦場で蓄積された記憶を頼りに会話し戦いを繰り広げている。

 ところが、醒めてもとの世界に戻っると戦場での記憶はしっかり残っている。さらには戦場で受けた傷が体に残ることもあって、少年はいったい戦場はどこなんだと惑い、戦場で記憶を失って別人格になっている自分に、外の世界があるんだということを伝えられないかと模索する。リアルな世界とバーチャルな世界のどっちがリアルでバーチャルかが混乱する設定の小説は、上遠野浩平さんの「ナイトウォッチシリーズ」なんかも含めて数々あるけれど、バーチャルな世界に踏み込んでいったきかっけに、真っ当に生きるのが難しくって絶望に浸る少年少女の気持ちといった現代っぽい要素もあって、生きる悩みを抱えて居場所を探しさまよっている人には響きそう。戦場が何のために作られているのか、リアルとバーチャルの関係は、といった謎の解明も含めて続刊に期待。「ブラックナイトと薔薇の棘」で若さと苦さの混じった青春を描いた人だけあって、こっちも青春がピチピチしているなあ。書くのに歳は関係ないんだなあ。

 なんか一気にキャラが増えたぞ「らき☆すた」はかがみのクラスメートの1人が関内マリア太郎みたいな口調に仕草の野生児だったけれど家では3秒ルールで落ちたものをヒロって食べても学校では床に落ちると1秒でもさすがに口にしない贅沢ぶりでマリア太郎にはなりきれていない。こなたん家に居候している女の子の同級生は「コードギアス 反逆のルルーシュ」にはない無口の茫洋キャラだけれど自分が背ばっかり延びて胸がまるで成長しないことを嘆いているところは長門や銀なんかとは違ってる。あっとでも銀は最近は笑顔を見せられないことを知って無理矢理笑顔を作ったか。とりあえずこれでオープニングに勢揃いしているキャラは出切ったのかな。エンディングが死にそうになっているだけにDVD購入を躊躇しているんだけれども、豊富なキャラの間抜けっぷりに免じて買ってあげるか。「ぽてまよ」のバスをどこまでも乗っていったボンクラ3人組もなかなかだよなあ。時代はボンクラか?


【8月5日】 違うだろうMVPはアシスト2本をゴン中山隊長とそしてヤング大久保嘉人選手相手に見事に決めたこちらも隊長こと坂本將貴選手だろうとテレビの前で内心叫んだもののそこはそれ、ニッポンのオールスターだけあって目立ったモン勝ちな特質からは脱せず、最後にちょろりと決めた大久保選手がマグロ1本をかっさらって行った。投票するのって記者たちか? いったい何を見てたんだ? ちゃんと見ていただろーオシム監督だったら問答無用でサカモトがMVPだろうって思ったに違いないから月末のテストマッチにはアルビレックス新潟から矢野貴章選手ともども呼ばれるだろーことを期待だ。しかし本当に地道に着実に仕事をしている選手に目を向ける方向へと筆をシフトしないと、日本のスポーツジャーナリズムはいつか本当に衰滅するぞ。とっくに衰滅している? ごもっとも。

 だからなでしこジャパンことサッカー女子日本代表がベトナムで戦い勝利して来年の北京五輪出場を決めた試合でも、“ママさん”宮本ともみ選手と“世界の”沢穂希選手と“キャプテン”磯崎浩美選手くらいしか報道される時に名前が挙がらず、先制点を見事過ぎるポジショニングでこぼれ球を叩き込み、試合中もしっかりした動きで左右にさばく活躍を見せた我らが酒井與恵選手の話がかけらも挙がらない。中継の時はそれでも去年までの同僚でTASAKIペルーレ時代でも対戦していた川上直子さんが特徴とすごさをちゃんと説明してくれたし、去年までの御用達だった大竹奈美さんもやっぱり酒井選手のすごさありがたさに触れていたけどメディアはまるで無視なのはどーゆー訳だ。

 1面で堂々と取り上げてくれた「スポーツニッポン」には感謝の言葉がつきないけれども、その中でで川淵三郎キャプテンが挙げていたのもこの3人で、あとは宮間あや選手が取り上げられてたくらい。なるほど酒井選手は地味かもしれない。これといってキャッチもない。ダービッツやガットゥーゾほど闘争心で向かうタイプでもないし、ネドヴェドみたく攻撃にも絡むわけでもない。中盤で支え広い配り走り時々飛び込む。目立たない。でもそんな選手が沢選手に次ぐくらいのキャリアの長さで代表に定着している。凄いことなんだけどメディアは気づかないか、気づいていないふりをしている。うーん残念。いっそだったらフル代表としてオシム監督が酒井選手を合宿に呼んだどうだ。どうしてなんだってメディアも騒いで愉快極まりないのになあ。それは無理? 無理かあ。

 ともあれ2大会連続しての出場は、前回アテネ大会に出場できるかを決める北朝鮮との決戦で勝利し3万人の国立競技場が沸いた試合で一気に火がついた“なでしこ”の火を消さずに済むって意味では大きすぎる出来事。仮にメキシコでのプレーオフで破れて9月の女子ワールドカップに出場できてなかったとしても、世間はあんまり騒がず気にもしなかったかもしれないえれどもこちちは五輪だ、国を挙げて取り組み国民を挙げて注目が集まる場にいるのといないのとでは世間に及ぼす影響がまるで違う。女子ホッケーだって五輪に出たからあんなに騒がれた。ソフトボールの五輪撤退が残念がられたのも日本代表が出場していてそして強いから。対して男子バスケットボールは今回も出場を逃し、昨年の世界選手権での惜敗とはいえ予選リーグ敗退とゆーダメージの克服をできなかった。

 まあこれはこれでくすぶり続けている協会を含めた周辺を取り巻く金銭的な問題に火が着いて大爆発して再編へと突き進み、その過程で地元密着のプロリーグ運営を進めて動員をのばし信頼を増して来ているBJリーグが、権勢をのばし本当の代表へと昇格する可能性もあるから決してマイナスばかりではないんだけれども過渡期においける混乱はこんご10年の計を立てにくくするから悩ましい。いずれにしてもバスケットボールはこれから大変だ。せめて女子には頑張って頂きたいけれど。

 いずれにしても女子サッカーは決めてくれた。そんな環境下で中国が予選に参加せず北朝鮮にオーストラリアのアジア4強のうちの2つが同組になって日本は別の組に入る幸運があったとはいえ出場を勝ち取ってくれた。開幕までの1年は何かあるごとに女子サッカーはニュースとして取りざたされることになる訳で、未だリーグとしてはアマチュアななでしこリーグにさらなるスポンサーが付き、チームが組織化され月謝を払わなくてもトップチームの選手くらいはプレーが出来て人によっては食べていけるくらいの規模へと発展していく上で、北京五輪出場を存分に役立ててもらいたいし企業なんかにもさらなる支援をお願いしたいところ。でも代表のスパイクをアディダスに強制するのはやっぱりちょっと好かないなあ。

 ぐちゅ子と戦う危険性に戦慄し青いけものの分裂していく生態の謎に思案し「コードギアス 反逆のルルーシュ」世界では成立しない「アトミックカフェ」って原水爆に関するニュースやプロパガンダ映像をつないで作ったドキュメンタリーの冒頭にやっぱり広島長崎への原爆投下は痛ましすぎると知って寝て起きたらニアが指輪を填めていた。これには何か意味があるのか。これまでのゾロリとした服から体にぴったりとした服になって見目はなかなかになたけれども色が黒なのはやや残念。対してロシウに付き従っていた3姉妹の眼鏡のキノンはシモンが駆るグレンラガンに乗って敵に突入。重力で前に突き出た部分が左右に揺れ動く様にガイナクスの伝統の良さと確かさを覚える。ニアではちょっと無理だもんなあ。ヨーコだったらさらに凄いことに。つかヨーコはどこにいるんだ。ビラル再登場となったからにはその近隣にいたりするのか、同じカミナを一方は愛し一方は憎むという感情を発露した同類として。

 そして家を出て「丸の内OAZO」にある丸善本店で諏訪哲史さんサイン会。講談社から出ている芥川賞受賞作「アサッテの人」の刊行記念で新芥川賞作家のおそらく受賞後初のサイン会ってことでさぞや若いおねいちゃんがわんさか詰めかけにぎわっているかと思いきや、手に何冊もかかえた古書店風な人たちを先頭に並んでいたのは50人くらい? 待つこと30分ちょっとで順番が回ってきて後ろの人たちをこなしたら1時間は保たなかった可能性が高い。でも30分で終了とはなってなかったから出版社としても面目は保てたか。

 180センチを軽く越した長身で弁舌も経って見かけはさわやか。所帯持ちではあっても無関係と女性ファンがついて不思議のない人材だけれど平野啓一郎さんとは違って乙女心はくすぐらないってことなのか。寂聴先生に慕われる風貌体躯でもないもんなあ。俳句とかゲームとか得意技がある様子でもなし、小説だけで頑張っていけるのかって懸念も浮かんだけれどサインでなにやら得たいのしれないモノクルな似顔絵を描いたところを見るといろいろ知識は豊富みたい。師匠も師匠なだけに幻想文学系から衒学的に知識を引っ張り込んであれこれ開陳していくことで存分に余生は過ごせそう。小説は……ちょっとまだ評価できないかなあ、物語じゃないからなあ。

 んで「時載りリンエン! 1 はじまりの本」(角川スニーカー文庫)は清野静さんによる角川スニーカー大賞の奨励賞受賞作。200万字を読めば1秒時間をとめられる能力を受け継ぐ「時載り」の少女リンネが隣家の少年とともに正義の味方をやろうとして出かけた先でバイオリンケースを持った少女を助けたものの少女は逃亡。そして残されたバイオリンケースからどんな文字だって読解可能な時載りにも読めない本が出てきた。これは何だ? と訝っているところにその本をかけて別の少女が現れリンネに挑戦。彼女も時載りで力の使い方を熟知しているだけに強敵だったけれどもどうにか退け友達になったと思ったら、今度は本当に強敵が現れ実はとてつもない力を秘めた本を狙って襲ってくる。

 本を読めば時を止める力が得られる能力って設定とか、別の異能で言霊を使い何でも行う存在とかいろいろ考えられてて面白いし、力を持ちそして強力無比な力を得ながらも相変わらず読書嫌いややわがままで正義感が強いリンネってキャラクターの造型が読んでて楽しい。異能力者たちによる異能力を駆使したバトルって枠組みだけなら割にわりがちだけれどそーした力のあんまり世界の存亡なんかをかけていない位置取りと、それでも当人たいちんはプライドのより所となっていて負けないために頑張るとゆースポーツっぽい雰囲気が、ああまたかって気分にさせないで最後までつきあわせてくれる。すごい力を手にしてリンネが変わるとも思えないけど周囲はきっと大変。そこに果たしてみんながどんな多tかいを繰り広げるのか。次巻の展開が今から楽しみ。

 新宿あたりで時間を過ごして乗り込んだ「ロフトプラスワン」は鉄扉前で2番目の到着。待って入って1時間ほどさらに待って始まった「氷川竜介デビュー30周年記念イベント」には出渕裕さんって豪華ゲストが入って氷川さんがまだ学生だった時代にサンライズをいっしょに訪ねた話から始まり、当時から同人誌商業誌を通じて今のアニメ誌なんかがやってる企画を今よりもむしろ先鋭的にやっていたって話に流れて、そして30年前に全部やってるんだぜ諸君悔しかったら30年前に生まれてみろって呼びかけを、たぶんあっち方面へと投げかけてなるほどと理解。商業の色に慣例の枠組みが加わってな窮屈感が生まれていたりするかもしれない現代よりも自在に出来た、というよりすべてを作り出していった時代に生きた羨ましさを覚えつつ、だったら今のこの状況をどう突破して次代につなげれば良いのかって考えたけれどもアイディアが思い浮かばない。一般メディアを使うことか。でもそれも別の固定観念と商業意識にぎっちぎちだからなあ。個人発信しかないのかなあ。それを束ね商業として成立させるだけの仕組みの構築とリテラシーの情勢。これなくしては未来はないのかもしれないなあ。

 面白かったのは仕事の進め方の流儀で、氷川さんは理系でそして企業勤めでソフトな仕事をしていた関係で割にぎっちり仕事のフローを固めてのぞむってことらしーけど、その発想の原点もアニメってゆー集団作業のプロジェクトの進行につきもののワークフローにあったってのは意外だけれども納得。切られたコンテから制作が原画を依頼し動画を蒔いて彩色に撮影編集と多方面にわたり、そして決して初っぱなから末尾まで時系列に沿っている訳ではないプロジェクトを総括して理解し進め穴があったら埋めて最終形すなわち1本のアニメ作品へと持っていく。なるほどそーやってプロジェクトを進めれば人の3倍の仕事量をこなせるんだと勉強になるけどそれも、これも30年の蓄積と人脈と何よりの才覚があってのものだから真似はできない。せめて1つの仕事をこなす上でロジカルなものにするための手法を理解し取り入れよー。それより前に仕事がいっぱい来るくらいの身にならなきゃ。


【8月4日】 前髪上髪がない代わりにたっぷりとある後ろ髪を引かれながらもギートステイト後の宴に出ることなく辞去し、帰り際にお茶の水で総武線が発車しない混乱に巻き込まれたものの込み合ってくるとふれあう機会も増えて肘に前へと突き出て柔らかくって先端だけはやや固いものの感触を覚えつつ、夏の薄着に感謝を捧げつつしばし足踏み。動き出した列車を自宅付近で降りて帰って録画セット済みながらも気になっていた「DARKER THEN BLACK 黒の契約者」をリアルタイムで見ようとしたら陸上選手が走ってた。

 つまりはTBSお得意の延長って奴で理由は何だろう、バレーボール? 演歌歌手にご長寿アイドル歌手にお笑いタレントを引っ張り出して騒がせることでしか視聴率を稼げないと信じる間抜けさが全身に回って脳死寸前というか、スポーツそのものの面白さを伝える才能のなさを満天下に示して恥じない厚かましさで全身がメタボリックよろしく覆われているというか、ともかくいくら金平茂紀報道局長様が「テレビニュースは終わらない」(集英社新書、714円)なんて本を書いて報道は真っ当さを探っているんだと試行したところで、よりストイックであるべきスポーツが芸能に浸食されて散々な状況ではもはや如何ともしがたいテレビ局なだけに心配はしていたんだけれどもこと試合時間の延長に関してはより頑張って伝えようとする意欲の現れの裏返しでもあるだけに、正面から否と談じる訳にもいかないから悩ましい。

 そもそも理由が本当に女子バレーのワールドGPの放送延長だったのかを調べる気力もないんだけれどもいずれにしたって現実的に10分遅れで始まった「DARKER THEN BLACK」をそのままの予約時間で録画していたら、後ろの「ロミオ×ジュリエット」にかかってしまったあげくに「ロミ×ジュリ」のお尻10分が切れてしまって後でおおロミオと後悔に打ちひしがれるところだったんで、帰宅して直に見ながら録画延長と「ロミ×ジュリ」の予約再設定を行えたのは何という幸運。それもこれも宴席より逃げ出し満員電車に揉まれて帰宅すると決断した行動のたまものであるとひとり自画自賛のであった。

 ちなみに決断と言えば「オープンギートステイト」にはゼロ年代の「文匯報」にゼロ年代の「新編歴史劇『海瑞の免官』を評す」を発表してゼロ年代の文化大革命の口火を切り理論的扇動者として高みに上りつつあるゼロ年代の姚文元が、ゼロ年代の毛沢東なのかもしれない人と来ていて見えてスーツ姿でビジュアル的に映えてて東浩紀さんと並んで存分に戦えるんじゃないかと思ったのであった。実際に戦っていたかもしれないけれども当方、やっぱり黒(ヘイ)が知り合ったチンピラが愛玩用にされようとしていたドールを連れて逃げ出しヘイのアパートに転がり込んで来たところに何故か同様に感情を持たないはずのドールの銀(イン)がやって来て、上がり込みヘイに言われて愛玩ドールの着替えを手伝ったり捕まった愛玩ドールが放った観測霊から居場所を突き止めヘイを救出に向かわせたりする様をリアルタイムで見たかったから居合わせられなくてすいませんというか、居合わせて泣かされなくて良かったというか。

 それにしてもインは感情めいたものを示し始めてちょっと前には口元に指を当ててにへらって顔を作ってみせたりするし、愛玩ドールはチンピラとの逃亡途中に自律した動作や表情を示したりして、世界に何かが起こっているっぽい雰囲気。そーいやハヴォックだったっけ、最悪の契約者が能力を失い半ばドール化していいたところが日本に来てヘヴンズゲートに近づいた途端に力を取り戻す話もあったりして、ゲートを中心にいろいろと激しい動きがあってそれが契約者やドールにも影響を与えていたりするのかもしれない。覚醒した愛玩ドール、きっと落ち着いた先でたっぷりと食べて恰幅も良くなってケンジを「甲斐性なしが」「役立たずが」って尻に敷いてるんだろうなあ。計画性まるでなかったケンジがでなきゃあきりたんぽを送って寄こせるくらいの居場所に落ち着けるはずないもんなあ。

 ふと思ったのは銀(イン)にしても長門有希にしてもタバサにしても世界にあんまり関心を持ってなさそーな仏頂面キャラが、自分にだけは関心を向けてくれるシチュエーションってのに人間はやっぱりそそられるってことで、だからこそ彼女たちに人気も集まるんだろーけれど「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界を見渡しても、そーゆー無口で仏頂面していてそれなのに時々物欲しそう、って美少女キャラがいないのが気にかかるってゆーか、だから女性人気は先行しても男性人気が遅れているのかもしれないんだけれども、日本は日本で生きるには過酷でブリタニアはお気楽な世界にあって、社会とどこか切り離されたキャラが居る場所もないんで仕方がない。狭い世界で繰り広げられるある種のシチュエーションコメディだったら突出した特徴をそれぞれに与えられたキャラクターたちをバランス取りつつ配置することも可能ってことなのか。でも「DARKER THAN BLACK」はあれで広い世界を描いているし、ホシノルリがいた「機動戦艦ナデシコ」の世界だって広かった。やっぱり単に出さないだけか。

 起きると部屋が蒸し風呂状態になっていたんで慌てて支度を整えて飛び出てどこへ行こうかと考えて上野の「国立科学博物館」で開かれている「インカ マヤ アステカ展」を見に行ったけれどもどこにもアステカイザーは飾ってなかったしエステバンのポスターも貼ってなかったイリャテッセ、ってこれはナスカだからちょっと時代が違うのかな。会場では翡翠の仮面や石の仮面があって被ると吸血鬼になれるんだろうかと想像したり観覧に来ていた眼鏡女性の顔立ちを横目で眺めてたりして楽しむ。

 それは展覧会の楽しみとは違うけど家にいて妄想におぼれるよりは直に見て気持ちを発散させるほうが精神的な健康には良いってことで展覧会万歳。3つの文明の好みで言うならティオティワカンの壮大さでもってアステカ文明かなあ、でもティオティワカンはアステカよりはるか以前に作られたんだよなあ、紀元前2世紀から6世紀だから日本だと大和朝廷あたりまで、か。アステカは鎌倉室町戦国あたり。どっちにしても大和朝廷はあんな巨大なピラミッドは造れなかったし室町幕府も10万人が住む水上都市なんて造れない。凄かったんだなあメソアメリカ文明って。

 なんて感慨を覚えつつ外に出たら熱気。こりゃいかんと隣の国立西洋美術館へと入って今度は「パルマ展」を見物する。まるで知らない画家たちによるあんまり興味のない宗教画の世界が繰り広げられてはいたけれど、描かれている聖人たちの説明なんかになるほどこんなに強烈なキャラクターたちがいたのかって勉強になった。たとえばパルミジャニーノが描いた絵に出てくる「聖チェチリア」って女性は結婚する時も夫となる人に自分は神への貞節を守るとかいった人でそれで納得してしまう夫も夫だけれどさぞやわがままな娘かあるいは融通の利かない堅物かと思ったら、殉教した夫たちを引き取り埋葬し、それがやっぱり咎められて捕まり風呂で蒸し焼きいんされそうになっても耐えて汗ひとつかかず生き残り、ならばと刑吏が首をはねようとしてもはねられず、その傷で3日耐えて財産を分け与えて死んだという凄いプロフィルの持ち主だった。豪傑なのか超人なのか。そんでもって武術とかじゃなく音楽の守護聖人として知られているっていうんだから分からない。

 あとシスト・バダラッキオの作品に主題となっている「クロリンダとタンクレーディ」って人たちは第1回目の十字軍遠征がテーマになった「解放されたエルサレム」って叙事詩に出て来るそーで、十字軍側で参加したタンクレーディがどこで見かけたかは知らないけれどもイスラム側のクロリンダって女戦士を好きになってしまうものの場所は戦場、鎧に身を固めたクロリンダをそれとは知らずタンクレーディが刺してしまい洗礼を乞うクロリンダの兜を脱がせて、そこで自分はとりかえしのつかないことをしてしまったとタンクレーディは涙する。悲劇のタネとしてはよくあるパターンではあるけれどもそれだけに受ける衝撃もなかなかなもの。だからこそいろいろな作品に同種の悲劇が使われているんだろー。

 それにしてもタンクレーディとは不思議な名前。てっきりレズビアンな関係かと思って繰ったらイタリアにはよくある名らしくロッシーニだかの歌劇にもなっていた。そーしたことも含めて世間的には今更ではあっても個人的には知らない様々な情報を仕入れ刺激を受けられるから展覧会を含めた外歩きはやめられない。長身で肉感的で大きなお尻をローライズのジーンズで包んで端からちょっぴり縞っぽい布をのぞかせながら宗教画の前をコツコツと闊歩する後ろ姿のくびれっぷりがなかなかだったこれも眼鏡の女性とか見られたし、ってあっぱり目が向かうのはそーゆー方面か、聖人たちもさぞやあきれたことだろー。下るか天罰。出口付近の売店でパルマ名物のバルサミコ酢を売っていた。バルサミコスー。田舎の神社に集団で行くくらいならこっちバルサミコスーやった方が知恵も付いて愉快だぞ。


【8月3日】 しかし相当なタマだったねえ「アイドルマスター XENOGLOSSIA」の萩原雪歩ちゃん。あのままクリスマスの街へと消えて古巣へと戻るのかと思ったら、何と基地へと戻ってモンデンキントの中でさらわれた亜美ちゃんを助けたくても助けに行けないで歯がみする待機する春香とデコちゃんをそそのかし、アイドルたちを奪わせ救出に向かわせるようし向ける巧みな話術。本部を狙うと見せかけて、亜美がいる出先の研究所を襲わせこいつはまんまと裏をかかれたと思ったモンデンキントの偉い人も、さすがにそのまま逃げたと思っていたらまさか戻ってきて春香たちを煽るとは。でもって自らもいっしょに運ばせるとは。まるで思いもよらなかったに違いない。相当な策略家だなあ雪歩ちゃん。でもって課長補佐は切れ者のようでいてやっぱりぬけさく。

 それにしても雪歩ちゃん。そこまでは単に聡明だけれどちょっとばかり抜けてるところもある女の子って見せかけていたんだけど、その陰でいろいろと何か仕掛けていたのか逆に何もいっさい仕掛けないことで信頼をさせて一気にひっくり返したのか。いずれにしてもスパイの鏡にしてスパイ戦略の教科書。萩原雪歩。21世紀女スパイ辞典の今んところ1番目にその名を残すことだろー。2番目は「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」の真名ちゃん。いやほら歴とした忍者だそ。

 さあ動き始めた「スカイガールズ」は海より泡状のものが吹き出たシーンに続いて欧州でなにやら事件発生。いずれそれが日本どころか世界に伝わり化け物の復活、そしてスカイガールズの戦地投入へと向かうんだろー。ただ着ているナノスキンって時間的に確かあんまり保たないはずなんで、設備ごと運ばない限りは戦えて追浜周辺ってことなる。ってーと日本の南とか北とかが襲われた時はどーするんだろー。使えるよーでいてあんまり役に立たないのか、それとも各所で復活の○○に備えてスカイガールズが養成されていたのか。あのお尻もあらわに全身のボディラインを見せつつ戦うスカイガールズたちの媚態。拝めるのはありがたいんだけれど戦死とかって場面に遭遇するのはちょっと嫌かも。でも相手が相手だし。「アイドルマスター XENOGLOSSIA」だって撃たれ死ぬ人続出。シフトチェンジからシリアスなドラマへと向かう先に広がる希望に、否が応でも期待するしかない。でなきゃあやりきれない。

 えっと「年増王女」。姫が実は1000年を生きる大年増だったことが判明したってエピソード、な訳はない、目の回りに小皺ができたからと姫の精気を狙う魔女だかがやって着ては襲いかかるってストーリーなんだけど、コンパクトの鏡に映して吸い込む時に吸血鬼の麗利まで映っていたのはちょっと謎、吸血鬼って鏡に映らないんじゃなかったっけ、それとも彼女は特別なのか。ヒロがやたらと飛んでいたけどあれはとばした奴の力が強かったのかヒロがよく飛ぶ体質なのか。体質になっているのかも。でも死なない。便利だなあ。フランちゃんはあんまり化粧とかに興味がなさそう。まあ人造人間だから腐っても直せるってことで。これもこれで便利。「怪物王女」はまったりとしていて案外に好きかも。DVDを買うかは別だけど。

 天気も良いので河童のクゥを見に行く。決して映画の「河童のクゥと夏休み」ではなく河童のクゥ本人、とゆーか中の人。亀有にある「MOVIX亀有」って劇場がクールビズに対応して映画館の温度を通常の25℃より2℃高い27℃に設定していてそれを視察に環境相がやって来るってんでしつらえられた舞台挨拶に、監督の原恵一さんとクゥを演じている少年が登壇したもので原さんは想像以上のスリムで長身でパッと見はちょっぴり中村俊輔選手。細身で茫洋としつつも時に鋭い言動を見せるあたりに才気って奴が伺える。少年は巨大なクゥのぬいぐるみをずっと抱えてそのぬいぐるみが可愛くって欲しくなったけれども売ってるのかなあ、環境相も外でのフォトセッションでは抱え込んでいたくらいだから可愛さなら「トトロ」にあるいは匹敵するキャラクターなのかも。でも「トトロ」ほどにお客さんが入ってないのはブランド力の差か。ジブリみたく1人の名監督を育て上げる仕組みをスタジオなりパブリッシャーなりが作っていかないといつまでも一人勝ちでほかオール負けになってしまうよなあ。細田守さんも今敏さんも頑張ってもり立ててあげて欲しいなあ。

 んで2℃高い映画館はなるほど入ってしばらく経てばそれなりな涼しさもあるんだろーけれど、そこに至るまでに「アリオ亀有」ってショッピングセンターがあり「MOVIX亀有」って劇場があってそれらがことごとく低めな設定になっているから感覚として入ったばかりだとやっぱりちょっぴり暑く感じてしまう。やっぱり外から順繰りに涼しさを増していく方向じゃないと人間、易きに流れる生き物なんで効果もちょっぴり減殺されてしまうよなあ。あと取材ん時はライトもばんばんと当たってたんで大臣もクゥもちょっぴり暑そうだった。汗とか出てて。それをテレビとか映像におさえちゃうから暑さばかりがアピールされてしまいそー。見栄えを重視するならインチキした方が良かったかなあ。でもそれやってバレたら大事だからなあ。良いことって、難しい。

 1階にあった沖縄料理屋でソーキそばを食い仕事をしてから新宿へと出てそこでもやっぱり「やんばる」だかで今度はスパムが乗った「ポークそば」を食う沖縄づくしな食事時。痩せるかな。でも美味いよなあ沖縄そば。中華そばと何が違うんだろう。麺の素材は何なんだろう。スープの出汁も違うんだろうか。要調査。んでもって「ロフトプラスワン」で開かれた東浩紀さんと桜坂洋さんによる2045年予測プロジェクト「ギートステイト」のイベントを見物。到着すると人がまるで並んでいない状況にいよいよもって人気も下火かと思ったけれど始まってみればしっかりと埋まっててなかなかの盛況ぶり。まあ8割はゲストの沢城みゆきさん目当てでもちゃんと埋まるってところにまだまだどうして、東さん桜坂さんへの関心は衰えてないどころか鋭意拡大中? だと良いけど果たして。すべては「ギートステイト」の成否にかかってる。

 話はとりあえずかわぐちかいじ賛で始まりつつ2045年のあれについて話すよーな感じて展開。やっぱりガンダムは存続しているってことらしーけど、だったら「コードギアス 反逆のルルーシュ」はどーなっているかを話して欲しい気もしたけれどイベント中には誰からもひとことも触れられず。眼中にないんだ「コードギアス」。まだまだこれからなのかもなあ。まあ「エヴァ」についてだってあんまり話がなかったし。その意味ではやっぱり「ガンダム」が凄すぎるってことでひとしきりガンダム話があって戦国時代にガンダムが登場するよーな話がこれから人気になる、なんてコメントも出たけれどそれってつまりは高瀬彼方さんの「天魔の羅刹兵」(講談社ノベルズ)ってことだよね、すでにある。SF的な発想力ってのは先を行っているのだ。

 あと24時間の出来事を24時間で描く小説はどうよ、なんて話もあったけれど確か筒井康隆さんの「虚人たち」って1ページを1分の感覚でストーリーが描かれているんじゃなかったっけ。「朝のガスパール」で外部に開かれたメタフィクションを先駆的にやった筒井さん。イマドキな発想なんて先刻取り入れ済みで、その上で今なお現役で最先端の小説を書き続ける。とてつもない作家だってことを改めて思い知らされる夜でした。「ハルヒ」だって読んでるくらいだし。「らき☆すた」を読んでいるかまでは知らない。アニメは見てるかな。

 そうこうしているうちに我らが沢城みゆきさんが登場。ネットドラマ化される「ギートステイト」の登場人物の声を担当するそーで、4姉妹の末っ子をあてられた沢城さんに果たしてどういうキャラなのかを聞かれて東さんは「ぷちこ+よつばと」って話してた。うーんやっぱり分からない。まあそこは天才的な感覚と演技力でいかな役柄でもこなしてしまう沢城さんだけに聞けば納得の声を出して演じてくれるだろー。待とう。でも対応するのは最初は「FOMA」っぽいんで携帯電話を持たない当方にはまるで無縁のコンテンツになってしまうかも。ポッドキャスト向けとかに出せば良いのになあ。

 とか話も弾みはじめたところで沢城さんの演じたキャラについて話して東さんが特徴として最右翼に来るのが「にょーーーー」ってことを言って当方的にやや顔面蒼白。会場にも気づいた人がいたよーで指摘して「にょーーーーじゃないよ、にゅーーーーだよ」って言ってそれを聞いた東さん、がくっと落ち込んでました。サインをほしがるくらいにファンなのに、って指摘もあるだろーけど30時間くらい寝てなくってハイテンションになってた東さんだけにまあ仕方がない。終わり間際の質問タイムでは英語で書かれていない日本人の評論が評論のコンテクストとして海外で受け入れられる可能性なんてごく低率って話をしていた時は得意分野なだけあって目もキラキラしてました。眠さも通り越すと覚醒に変わる、とか。それとも本体は眠って別の東さんが起きてまじめにアカデミックな話をしゃべったとか。相変わらずなぞ多き人。そんな人についていき誤れば導く桜坂さんは偉いなあ、大人だなあ。だからこそプロジェクトがちゃんと生まれ走っるんだろーなー。頑張れラストスパーとへ至るために。どこからラストスパートになるのかは知らないけれど。


【8月2日】 ご当人の来日で話題も沸騰、売り上げも急進の「ビリー・ザ・ブートキャンプ」の大成功を横目にいろいろとDVDで映像を見ながらレッスンを行う商品ってのがあちらこちらで画策されているよーで、バンダイが11日から発売する「バレエ・ザ・ブートキャンプ」、じゃなかった「ベラダンセレラ おうちでバレエ」は、「ワン・モア・セッツ!」ならぬ「アンドゥトロワ」とテレビ画面の中からバレエの先生が指導してくれるって商品で、テレビを見ながらステップの描かれたまっとの上を歩いているうちに、あの「白鳥の湖」が踊れるよーになるとゆー。本当か?

 思ったのはマイヤ・プリセツカヤ先生が勇ましくも厳しい声で「限界を超えるんだ、自分を変えるんだ」「もっと脚を広げるんだ、できたらプリマになれるができなきゃただのクズだ」「レッツ、パドドゥ!」「さあピルエットだ!」「トレビアーン!」なんて画面から叫びかけてくれるのかって所だけれどもそこはそれ、さすがにマイヤ先生ではお金もかかり過ぎるし内容的にも子供向けじゃあないんで、もっと普通に優しい声でいろいろとレッスンしてくれるんだろー。大人向けでレッスン内容は厳しくって時間もDVD4枚組くらいで、けれども2週間のレッスンを終わればベジャールの「ボレロ」が踊れるくらいの本格的バージョンを、作れば果たして売れるかな。先生はジョルジュ・ドンは無理だからシルヴィ・ギエムで。あれだけの筋肉がつくなら「ビリー」よりもダイエット効果は抜群じゃなかろーか。

 気づいたら出ていた講談社の文芸誌っていうか文芸ムックの「FICTION ZERO/NARRATIVE ZERO」は想像していたのとちょい違って割に分厚くってそしてスタイリッシュ。何しろ世界のタナカノリユキさんがアートディレクションを担当しているだけあって、同じ講談社でも「ファイスト」が示しているやや熱血系体育会風なスタイリッシュさとは違った雰囲気を持っている。ペーパーバック感のあった「ファウストに対して「FICTION ZERO」はアニメの「スタジオ4℃」に所属する人が描いた未来的でゴシック的な雰囲気のイラストが配され、全体から漂う雰囲気はハイソでハイエンド。そんな表紙を大きく覆ったピンクの帯にずらりと並んだ名前は、ミステリーやらオタクやらなシーンから掴み引っ張り上げて来た独特の作家陣に彩られた「ファウスト」とは趣を異にした、イマドキな人たちばかりで狭いながらも深さを狙いそれでもって世界を遠くまで貫き通そうとした「ファウスト」よりは、広い層から関心を持ってはもらえるかもしれない。古川日出男さんって名前だけでも広さはあるよなあ。

 「ボイルドエッグズ」から将吉さんが短編を寄せ万城目学さんがエッセイというか自伝風小説というか不思議な雰囲気の文章を寄せててライトノベル界隈から小川一水さんと壁井ユカコさんが短編を寄せ桜坂洋さんが東浩紀さんと例の「ギートステイト」に関して仲俣暁生さんを交えてて話していたりと個人的な読書傾向からは親和性高し。ただその分だけ何が飛び出るか分からない、でもって出てきたものがやっぱり分からないけど凄みだけはひしひしと感じられた「ファウスト」のようなサプライズはあんまりなさそー。まあそれぞれの作品にはこれまでとは違ったサプライズがあるかもしれないんでじっくりと読もう。桑島由一さんについて書いているんでよろしくどうも。

 まあ言われたって仕方がないところもあるけれど、言われっぱなしってのもしっくりこないのは、あのイビチャ・オシムだからって所で3日発売の「ナンバー」2007年8月16日号に掲載されてるアジアカップの日本代表に対する評論家たちのコメントで、おすぎさんこと杉山茂樹さんは「稚拙だった選手交代術。“オシム神話”は崩壊した」ってタイトルでもって「今回のアナタが良かったという話にはならない」と批判し「特にメンバー交代だ」と至らなかった部分を挙げて「アイディア不足、やりくりベタさを露呈させた。機能的交代、有機的交代、見る側に期待を抱かせるような冴えある交代はなし。交代は一度も当たらなかった」と指摘する。なるほどたしかに表層的にはそうだった。言い訳はできないよなあ、交代後に得点が生まれたケースが皆無だっただけに。

 ただ問題はやっぱり相手がオシム監督だって所で果たして機能的交代、有機的交代を彼は意図したんだろーか、つまりは試合に勝つべく交代を行ったんだろーか、それともスタメンに挙げたメンバーの状況を極力まで見極めようとして交代を遅らせてそして最後は破綻しない程度に締めてみせただけだったりはしないんだろーか、って可能性に考え至ってしまう所。もしも本当に勝ちに行くなら韓国戦であのスタメンは選ばなかっただろーし、交代にあたっても徹底してとばせるメンツを選んだよーな気がする。それこそおすぎさんだって納得の采配と交代を見せただろー。

 けどオシムはそうはしなかった。いつものメンツで立ち上げそしてやっぱりなメンツで締めてその性向を見極めた。目的を勝利においてそれに至らなかったと説く論は、だから今回のアジアカップの場合には当てはまらないんじゃなかろーか、んでもって次の欧州遠征あたりからいよいよ本格的な下地固め(まだ下地)を始めて、そして五輪代表を巻き込めるよーになって2010年モードに突入するんじゃなかろーか。なんて擁護するとやっぱりお前は頭が黄色に染まっているよって言われそーだけれどもやっぱり相手はオシムだ、試合で使えない選手を20分で交代させることだって平気な監督だ。それが動かず変えずに通した理由。そこへの想像をまず行った上でけれどもやっぱり勝利が至上と説き、至っていないと批判するのが妥当なよーな気がする。まあきっと杉山さんも分かって挑発しているんだろーけれど。だから秋の欧州遠征では目の覚めるよーな日本代表を作り見せてやってくれい。見えたら叫ぶよ「コードギアス 反逆のルルーシュ」のジェレミア卿2.0のごとくに「見えた見えた見えた見えた見えた見えた」って。

 画期的にして挑戦的な帯発見。曰く「パンツ! 蟲! パンツ! 蟲! お尻 蟲!!パンツ! 蟲! お尻」。こりゃあ買わずにはいられないよなあ。おまけに作者は「流星たちに伝えてよ」の大井昌和さんだもの、読まない訳にはいかない。ってことでウェブ上で連載されてた漫画が単行本となって登場した「女王蟻 第1巻」(幻灯舎コミックス)はウェットな話が多かった「流星たちに伝えてよ」から一変して月面都市を舞台に警察官として頑張るドジな少女が巻き込まれて月面を守る格好良い少女と絡むってゆーサイバーでパンキッシュなサイエンス・フィクション・コミックス。詳しくはまだ読んでないけどスピード感はあるし話は面白そうなんできっとお気に入りの1冊になってくれそー。んでもって帯に違わずパンツに蟲がいっぱい。お尻もたっぷり。敢えて加えるなら胸にも不足はないんでそーした方面が大好きな人は帯に引かず恥ずかしがらずに買って堂々と電車で広げて読むべし。訴えられても責任は持たないけど。


【8月1日】 以降各地で順繰りに放映されていくことに配慮し、積極的な内容の紹介はしばし差し控えるとして、さっと見返した「コードギアス 反逆のルルーシュ」第24話と第25話ではセシルさんのファッションチェンジが最上位の名シーンとして記憶されることは間違いないものの、本筋ではやはりスザクがいついったいどのように、って所に関心が集まりそう。背格好からか。それとも声からか。声って点では目が見えない分聴覚が鋭くなっているナナリーなんて、直接聞けばもう絶対に確信を持つだろーけど鈍感きわまりないスザクが気づくとしたら、やっぱり誰かのサジェスチョンがあったと思われる。誰だ。それとも「僕」スザクは鈍感でも「俺」スザクは野生に還って鋭さが増すのか。どうなのか。

 うーん分からないからそこはDVDと録画分を見直して、ここだこのタイミングだったんだって分かりそうな場面を探すことにしよう。それだけで8月の空白を乗り越えられる。まあ8月はイベントも豊富で噴出してくる様々な関連商品に接することができるから、本当に空白期が訪れたらその時に。関連商品と言えば公式コミックアンソロジーが角川書店は男子向け女子向けでそれぞれ刊行されたけれどもエロティックなさすがにあんまり盛り込めない公式では、女子向けの「ナイト」も男子向け「クイーン」も印象において違いはほとんどない。セクシャルな描写はいっさいなし。「クイーン」だと表紙が1番エロいくらいかも。帯に隠れて見えないけれど。C.C.もしかしてはいてない? それともT?

 内容で言えば「クイーン」だってスザクやルルーシュがメーンを張っているものが入っているし、「ナイト」にだってユーフェミアが主役だったりするのも入っている。少女漫画のヒロインが女の子なのと一緒ってことか。だからそっち(どっち?)方面に妄想を広げたい人には不向きかもしれないけれども、キャラの性格特徴を掴んだ上で繰り広げられているパロディはやっぱり面白い。こういう読み方もあったんだって教えられるしあの重大事の前にあったかもしれない交歓を見せられ、なおいっそうあの悲劇への悲しみも募る。でも総じてパロディが中心だから笑って遊んで楽しめる。

 「クイーン」だとゼロの弱さに仲間からも敵からもつっこみ入る作品が良いなあ、だって本当に弱いから、ガウェインに乗ってたって勝てやしない。「ナイト」だと「黒の騎士団」本部に仮面を被りゼロと称してやって来るシュナイゼル殿下のお茶目ぶり。別の作品では学園にも来るし特派にだって来てセシルさんのあのおにぎりを平気な顔してパクついている。デカい人間だなあ。それともただの天然? 本編でも腰を上げたし2期でいよいよ見かけ良い人を脱した大活躍を期待。そーいやユフィ大暴走とかの時に映った中華連邦の若き宰相だか何かはその後出てこないなあ。シュナイゼルとも互角の美丈夫だったんで絡みとかへの期待も大だ。うーんしかし女子向けには復活のオレンジ君も含めてキャラ投入が豊富でも、男子向けには燃料が少ないのが気になるなあ。逆に数減ってる感じだし。四聖剣の千葉にもうちょっと頑張ってもらうしかないなあ。

 去年の今ごろだって、まあそれなりに関心は持たれていたけれどこの1年で「オタク」ってシーンへの注目はさらにアップしていたみたい。8月4日と5日に名古屋で開催される恒例の「世界コスプレサミット2007」のPR発表会が東京は秋葉原にある「東京アニメセンター」で開かれたんだけれど、去年だったらまあそれなりな人数が集まった程度だった会見に、今年はテレビカメラがビデオも含めて10台以上やって来て、カメラマンの数もわんさかといて狭い会場がぎっちぎち。あのしょこたん中川翔子さんが親善大使に任命されてやって来るってこともあったんだろーけど、そもそもそのしょこたんがクローズアップされたのがアニメや漫画に造形が深い、つまりは「オタク」なタレント代表だから。ちょい昔だったら色物としてせいぜいがゲーム系アニメ系雑誌あたりが取材に来る程度でしかないパーソナリティが、今では在京キー局のワイドショから取材を受けるくらいの存在になっているって所に昨今の「オタク」のフレームアップされっぷりが伺える。

 そもそもがテレビ愛知ってメディアが主催するイベントだから普通はあんまり他局は紹介しないものなんだけれど、テレビ東京じゃないメディアもカメラかついでやって来るってところにも注目の高さが見て取れる。まあ今がピークで来年あたりになればブームも下火になってそれなりの数が集まる程度になっているとは思うけれども、かといってほかに世間の耳目を集める要素が見あたらないこともあるんで逆になおいっそうの注目を集めてハリウッドスターの会見並にカメラマン100人にテレビカメラ30台とかって凄い会見に発展していたりする、訳はさすがにないか。しょこたん来年もちゃんと頑張っていられるかなあ。マナベってそーいや今何やってんのかなあ(ちゃんとやってますって)。

 さて世界より訪れたコスプレイヤーはといえばもう質も高いし中身が外国人だけあって似合うこと似合うこと。っても5組来たうちの2組は中国と韓国だから同じ東洋人ではあるんだけれどもスラリとして背が高い上に見栄えも良い人たちばかりな関係で、どこかのタレントがそのまま来たよーな雰囲気すら醸し出してて趣味でやってる日本人なら圧倒されそー。でもやっぱり白人系の似合いっぷりはその上でたとえばデンマークから来て「トリニチティブラッド」のイオン・フォルトゥナとラドゥ・パルフォン(メーンじゃねえ)を演じた2人は透き通った肌に目の色も含めてまんまキャラクター。メキシコから来て「ソウルキャリバー」のカサンドラを演じた人はナイスなバディが可愛らしいし、雪華はキャラ的には東洋なんだけどそこをメキシコでもややカラードなテイストのコスプレイヤーが演じているから日本人がそのままやる以上のエキゾチックな雰囲気が出ている。

 そりゃあ個人的には清楚なお姫様のソフィーチアか、ヒップもあらわなアイヴィーを「キャリバー」きゃらなら見せてほしかったけれどもさすがにアイヴィーじゃあ放送コードに引っかかるんで仕方がない。韓国は「D−Gryaman」から神田ユウとラビの2人組。ってそんなに海外でも人気があるのかこの作品。テレビのアニメは一応全部録画してあるんだけれど未だに1話も見ていない。キャラとか好きそーなのがいるんで見たいんだけれど如何せん時間が……。暇になったら見ようかなあ、経済誌の「ZAITEN(旧・財界展望)」に出ていた記事よると何か親会社にごっちゃんこされて関東近隣は全体に体制縮小って話みたいだし。そーなりゃあロートルは真っ先に……。ついでだからやっぱり録画して未だ1度も見なかった「ゴーストハンター」も見ようかな。買い置きしてある「ガサラキ」のDVD−BOXも見る時間はありそーだな。

 そんなコスプレイヤーたちを背後に従えたしょこたんは1人コスプレもしないでちょっぴり残念。だけどこの後に外務省へと表敬訪問に行くことになっていたんで仕方がない。もっとも。外務省にあってこーした方面に造型が深いを目されている麻生太郎外務大臣はASEANの会議か何かで出張中で外務省におらず。あのしょこたんが訪ねて来てくれたのなら諸手をあげて大歓迎、んでもってメディアへの露出もあっぷりとあって昨今についた失言系のイメージを一気に払拭できたはずなのに、タイミングの悪いことよ。こーした運の悪さがきっとついて回って総理にもなれずに終わるんよなー、得てしてあれこれ取りざたされることの多い政治家って。麻生外相だったらやっぱり気に入ったのは「ソウルキャリバー」の2人かなあ。さすがに海外じゃあ「ローゼンメイデン」見ている人はいないかなあ。

 いやいやデンマークでだって「トリニティブラッド」を見ている人がいるんだから「ローゼン」だってボツワナあたりで見られていたって不思議じゃない。去年はブラジルからの参加者が「トリニティブラッド」の扮装をしていたほどで、日本じゃあ新刊が残念にも出ることがなくなりアニメも終わってしまった「トリブラ」が、今は世界をかけめぐって大量のファンを生み出していることを知ることができたら吉田直さん、きっと喜んだだろうなあ。ともあれ「世界コスプレサミット」は4日に大須で100人以上の大パレードがあり5日には栄でチャンピオンシップ。見たいけれどもさすがに名古屋には行けないんで、ネットなんかで様子をうかがい誰からも非難されずむしろ歓迎されているっぽいコスプレパレードの状況に、理解を浸透させるプロセスの大事さって奴を学ぼう。

 生固いというか。揺れているというか。まあそれが新人らしさってことでもあるんだけれど、刊行にあたってはもーちょっとだけ筋をぴしっとしてほしかった気もした角川スニーカー大賞奨励賞受賞の赤月黎さん「操り世界のエトランジェ 第一幕 糸仕掛けのプロット」(角川スニーカー文庫、552円)は何でも人間から生えている糸を見いだしつかむことで人間をどんな風にでも操れる異能の力を持った家に生まれながらも逃げ出した母親とその息子がまず登場。何かと戦っているらしい母親はある時ふらりと家を出たまま失踪し、しばらくして山田太郎ってふざけた名前の男がやって来ては息子に母の代わりに戦って欲しいと依頼する。

 母親の敵も討ちたい息子は依頼を受けて街へと飛び出しつつ昨今はやりの人間が原を食い破られて死ぬ事件の謎を追ううちに全身から刀を突きだし戦う力を持った少女と出会う。何しろ刀なんで突き出せば服はぼろぼろになってしまう。それを少年は見とがめ糸使いならではの几帳面さで少女から服を脱がせてアップリケを貼り繕い渡す。そんな関係が続くうちにお互いに同じ敵を追うことになって協力体制を構築し、かくして2人の胃能力者のバトルが始まると思ったところに別のファクターが登場。何でも少年の家計は代々の糸使いで少年はその跡継ぎということで祖父から帰宅命令が出ていて糸使いとペアで戦う一族から冥って少女が送り込まれて来ては少年の周囲に居座る。料理も掃除もへたくそで、けれども絶対服従の少女をともない少年が適地へと乗り込もうとして、刀を生やす少女とガチあい冥はカタナって少女と険悪な関係に。つまりは両手に花のバトルなのかと思ったら今度は糸使いの一族から権勢をねらう一派が現れ跡継ぎの地位を少年から奪還しようと暗躍する。

 あっちゃこっちゃへと膨らみすぎてだれが見方でだれが敵でどれが正義でどれが悪なのかが判然としないまま進んでいくのが読んでいてどうにも落ち着かない。少年が学校で会話する少女は別に絡まず単なる情報提供者に過ぎなかったりしてこれはこれでもったいないし、ラストのバトルにはカタナは絡まず脇役の位置へと後退してしまう。結局のところは主人公の少年がひとり覚醒して屹立し成長していく物語なんだと読めばそれで良いんだろうけど、配置されたキャラの立ち位置が時々に応じて変わりすぎるのも何だか微妙。だったら最初っから脇扱いにして少年と冥をメーンに描けば筋も通りやすかったよーな気がする。さらにラストに訪れる結末も正直言って急ぎすぎ。これが1巻なんだとしたらもーちょっと先に置くってしばらくは少年と祖父との間の確執を描きつつ消えた少年の母親の消息についての想像があっても良かったんじゃなかろーか。言いつけ絶対な冥の割と簡単に揺れる心にも違和感。まあ良いや。とりあえず少年がカタナの服を脱がすところとか、読んで気持ちに響くシーンもあって書き手としてなかなかだとは思えるんでその辺りをのばし広げて面白いシリーズに仕立て上げていってくださいな。


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