縮刷版2007年7月下旬号


【7月31日】 「1日1ルルーシュ」は続けます。つか続けずにはいられねえ。終わってねえじゃん「コードギアス 反逆のルルーシュ」第24話と第25話。東京租界へと攻め入り政庁まであと少しまで迫ってそしてルルーシュとコーネリアの一騎打ち。アッシュフォード学園には黒の騎士団が迫りメディアもディートハルトが接収して詰めろがかかったところで、予兆はあっていつか起こると想像はしていたものではあるけれど、それらのファクターがまさかそこでというタイミングで次々に発動して形勢に激震。そして見えた親友にして仇敵が果たしてどうなる? ってところでエンディング。

 ええっ! あれはそれはこれはどうなったの? 分からないままお預けを食らってあとえっとどれくらいだろう、2ヶ月? 半年? 心を閉ざし鎮めておけって方が無理。ますます膨らむ妄想はあふれ出して言葉となり、日記の上に「ルルーシュ」の文字を刻み続けることになるだろー。なあに4ヶ月だってあっという間だったんだ。2ヶ月が半年が1年だって妄想し続けてみせるさ。

 見所といったら山ほどあるけどジェレミア卿の演技がまともだった頃のどこか虚勢を張ったっぽい雰囲気から、狂気を全身から溢れ出させる感じになって見ていて痛快無比。これが成田剣さんの力って奴なんだろー。あとは前線に立つコーネリア。目を羽生直剛選手のよーにグレイっぽく見開き、口も三角にしてゼロに突っ込んでいく時の表情も素敵だし、苦境に肢体を投げ出し弱々しげにつぶやく時の表情も可愛らしい。あの呼びかけは「クルルギくん」? ああ実に初々しい。それにそてもあの夜にマリアンヌの側にいたの時のコーネリアってまだ20歳くらい? なるほど確かに初々しい。衣装もピッチピチ。んでマリアンヌ。なるほど相関図にも意味はあったと見るべきか。

 しかし出入りの激しい展開にもうこれはないよって引きっぷりを上回って、第24話と第25話の目玉になるべきはセシル・クルーミーさんの頑張りか。いやもうとてつもなく頑張ってくれてます。斜め後ろから脇の下に見えるものとか。ピチピチのスーツを着て後ろを向いた時の腰つきとか。画の魅力、堪能させていただきました。これを見られただけでも4ヶ月待った甲斐はあったし、次に来るだろう何かを見るためにこれからの数ヶ月を待つ活力も生まれた。こんなに凄い作品の最後を見ないでまだ逝く訳にはいかない。頑張ろう、って思える人も世界に億といそー。ハルヒの2期? 劇場版エヴァ? 見えてる調和などいらぬ。ギアスによる混沌と創世の物語に浴するその日を迎えるために今を、明日を生きるのだ。

 よーやくやっと見るリア・ディゾンさんはバンダイのアパレルブランド「スイートレーザー」のイメージガールに起用されたとかで、恵比寿にあるホテルにしつらえられたウォークスルーに登壇。なるほど確かに見目麗しいけれどもそれが1キロ先まで輝きとなって放たれるかというと悩ましいところ。一時の話題もそろそろ出尽くし感が出てきてこのあといったいどーゆーロードマップでもって日本にタレントなり、モデルとしての足跡を残していくのかが見えない。いわゆるファッションショーのトップモデルなら内外のコレクションを回りデザイナーのミューズとなって、それなりな歳まで過ごしセレブとなる。グラビアアイドルなら写真集を出しまくった果てにヘアヌードを出してそっちを上がり次にしゃべるタレントへ。

 けどリア・ディゾンにコレクションモデルはつとまらないだろーし、しゃべるタレントとしてはちょっと言葉が。話せたとしてもはっきりとは。まあたどたどしくてもキュートさと外国人ならではの押し出しの強さでマリアンさんみたく人、気とポジションを獲得したタレントさんもいるだけに、そーいった所へと収まっていく可能性もあるけれどそれだともう過去にあり今もいて未来にもわんさとあふれかえる大勢の1人に埋没してしまいそー。引っ張り上げてさらなる上をねらわせる気なのか、それともこの辺りをピークに次のフェーズへと移るのか。いろいろ起こして帰国、そのまま引退ってのも多いだけにこれからの進み具合をまあ何となくは見ていくこといしよー。それにしても興味沸かないタレントだなあ、ほしのあきさんの5分の1も。何故?

 合わせ鏡からずれて戻れなくなった悪魔が「えらいこっちゃ」と叫び「入れへん」とわめくシチュエーションに強く記憶があって探って「うる星やつら」に確かあったと気づく。それをまるで知らないで使ったのだとしたらわかつきひかるさんんって人の「AKUMAで少女」(HJ文庫)はなかなかに興味深い1冊かも。且つ活発な少女の魂がちびっこくって可愛らしい少年の中に入り少年の魂が少女に移り変わるシチュエーションも確か沖田雅さん「先輩とぼく」(電撃文庫)なんかと雰囲気ちょい近そー。そんな新旧とりまぜてのデ・ジャ・ヴュを感じはしたものの頻繁に使われるシチュエーションとはつまりそれだけ読みたい人もいるってことで女の子の体に入ってあれやこれや経験していく少年のとまどいなんかを追いつつみもだえする愉快さを、ここは静かに味わうことにしよー。

 んで六塚光さん「レンズと悪魔」(角川スニーカー文庫)は第4巻が登場。大きな話ではなく中編が3本。幕間みたいなものだけれども獄炎の魔人ネア・ネアに焼かれて入院している少女ファルナに異常が起こっている可能性が示されていたりして、再会するだろー長編でその辺りがどーゆ影響を本編にもたらすかに興味が及ぶ。あとテッキちゃんの万力がいつにも増して活躍しているのはなかなか。美少女が無骨な道具をぶん回している姿って、そそるよね(どうだろう)。ともあれ小休止ののちに再会されるだろー聖杯……じゃない八眼争覇が今んところどれだけ残っててあとはどれだけだったかを思い返しつつ秋らしー続刊の登場を待ち望もう。


【7月30日】 あの戦慄から4ヶ月。ガウェインの中でスザクからのコールを受けてそれぞれが違った道を歩むことを確認し合った2人が、決戦を前にして時をとめられ当人たちのみならず、世界がいったいどうなってしまうのかと固唾をのんで見守っていた「コードギアス 反逆のルルーシュ」の第1期ラスト2話が明朝いよいよ東京地区でもテレビ放送されて、何が起こりそして何が残されてて第2期へとつながっていくのかが明らかになる。その日がいつか訪れることを願い「1日1ルルーシュ」をスローガンにどんな些細なことでも構わないから「ルルーシュ」の名を記し続けて来た。

 それも今日まで。放映日が決まり残念ながら選考上映会には抽選に漏れたけれどもテレビというメディアを使って広く再びその存在が喧伝され視聴者も生存を確認できる瞬間を持って、「1日1ルルーシュ」はひとまず終了として次は第2期の放映が決定してそして放映が始まるまでの期間を気分的な盛り上がりを維持する意味で、再度「1日1ルルーシュ」をスローガンとしていく所存。頑張ったなあ、無理矢理なネタも含めて。

 だけれども世間的にはまだまだあまり知られていない「コードギアス」を誰の口にも上り、それこそ「新世紀エヴァンゲリオン」並のネタになるくらいにはしたいと願っていることもあるんで、情報が得られたり情報に接したり眠っている夢に見たりC.C.がピザを届けに来たりする日にはネタとして取り上げ気持ちをつないでいくことにしよー。つか妄想なら毎日だって見るからなあ。9月に上映される「新世紀エヴァンゲリオン」の新劇場版にはまるで関心が向かわないのに、ってか上映まで1ヶ月になったってゆーのにこの社会的な盛り上がってなさは何だろー。仕掛けが遅いのか10年って年月がやはり記憶を風化させたのか。映画に行くくらいならパチンコ屋に並んで良い台とった方がよほど嬉しいもんなあ、昨今の「エヴァ」ファンにとっては。

 もはやいつ以来だか記憶も定かではないくらいに久々な感じで「ヤングキングアワーズ」2007年10月号に掲載の伊藤明弘さん「ジオブリーダーズ」にハウンズの紅一点、成沢が登場して呆然としつつ笠寺観音の境内をさまよう田波洋一を発見しておいかけショルダーバックに手をかけ地面に引きずり倒す。いやあ積極的。そんな積極的だったっけ? って気にもなるけど超久々の再会に口よりも手が動いてしまったんだろー、それが惚れるってことだ。ショート丈のポロカラーシャツにローライズのジーンズでチラリとのぞくお腹がセクシー。次号で会話シーンなんかでさらにくっきりとおへそとか、見せて頂けると信じているけど話はそっちじゃなくってCIAだか海兵隊だかにとっつかまってる菊島雄佳の独白へと向かうのかな、神楽がどうして生まれてどうして消えようとしているのか、とか。

 んでちゃんと載ってる「ヘルシング」はページも16ページあって読み応えたっぷり。セラスの中に息づいているベルナドット隊長がよみがえってヴェアヴォルフの大尉を相手に真正面から肉弾戦。逃げず媚びず退かないその戦いっぷりはセラス1人の力ってよりも支えるベルナドットの力と経験もあってのこと。なるほどこーして様々な人々の知識や経験を飲み込んで来たからこそアーカードをはじめとして吸血鬼は超絶的に強いのか。そんな吸血鬼が相手ではさしもの大尉もこれで終わり? いやいやそこは「最後の大隊」を支える主要メンバーの1人なだけあってまだまだしつこい所を見せてくれると信じたい。以下次号にて期待大。

 んで六道神士さんさんは「エクセルサーガ」に加えて「ホーリーブラウニー」も掲載と大盤振る舞い。どちらかといえばアダルティーな描写も少なくなかった「ホーリーブラウニー」だけど「アワーズ」本誌では直裁的な描写は押さえ気味。なれど赤ずきんを題材にしてエド・ゲインだかジェフリー・ダーマーだかアルバート・フィッシュだかフリッツ・ハールマンだかと関連しそーな鬼畜なドラマが美麗なヌードとともに繰り広げられていて、目にも嬉しい描写のあとに目にも痛々しげな図像が出てきて気持ちを揺さぶられる。こんなに綺麗な体なのに。でも2人のうちの1人は中身がありません。どこに行った? 誰かの中身になりました。ああ怖い怖い。

 あけてメディアは参院選についての報道でてんこ盛り。たいていはやっぱり歴史的にして未曾有の敗北を喫した安倍晋三自民党総裁が出処進退をどうするかって所になるんだろーけど、まだ開票結果が全部出切らない、けれども敗勢は明らかになっていて現場にいろいろと鬱憤がたまりかけている次期に早々と続投宣言。これを聞いてもはや落選は間違いないけれども一縷の望みを抱き、それでも割り切れない思いに鬱々としていた各地の候補者はどんな気持ちになったんだろー。やっぱり普通は怒り嘆いて憤るんだろー。けどそーした怨嗟の声がわき起こるってことを想像し切れないところに、あらゆる事象について考えリアクションを想定して行動し最前の帰結を導き出そうとはしないで裏目ばっかりを見る今の政権の至らなさって奴が象徴されているよーな気がしてならない。周囲の気持ちを忖度できずして何が国民の気持ちに答える政権ぞ。手前のご都合ばっかりが浮かんで周囲が見えない中を猪突猛進、そして自爆。問題はそうやって自爆の道をひたはしっているのにやっぱり周囲が見えず世界をまるごとドッカン、ってやりかねない所なんだよなあ、参ったなあ。


【7月29日】 可愛い子には旅をさせろ、とまあそんな話なんだけれども2転3転と入れ替わる善と悪のイメージが迷いと惑いを醸し出していったいどこに向かっているのかってワクワクした気分にさせてくれる。中央公論新社がやってる「C・NOVELS大賞」でこちらも「ドラゴンキラーあります」と並んで特別賞だった篠月美弥さん「契火の末裔」(中央公論新社、900円)はバチカンめいた宗教的象徴みたいな国があって周囲に3つの大国が拮抗して存在している世界が舞台。そこで次期盟主に決まっている青年を補佐する「アス」という立場になることが決まっているティーダは、就任までの時間を精霊が信奉されている世界にあって理化学を学び育んでいる町キサへとやって来る。

 自治権を持ちながらも制約を受けているキサの町でティーダはキサのあるオルトー公国の公主イースの出迎えを受ける。人あたりが良くて親切そうで何より血縁でもあるイースの歓待を喜ぶディーダだったが、彼が用事で席を外した時にティーダはキサの町を治める領主のトールから秘密裏に故国へと戻るように言われお供にミヤギという男をつけられ送り出される。戻ってイースはティーダがいないことに気づいて何者かに誘拐されたのではと考え探索に乗り出す。

 そうとは知らず逃げるティーダとミヤギを剣士が襲う。盟主のルマに補佐のアスと並んで「三火」と呼ばれる立場の1人、フィユ教の教主を担うリーテース・ランガという聡明な少女が物語の冒頭で三火の序列を破壊しみずから盟主に成り上がる可能性について仄めかした時に、リーテースを支えていた剣士のショードウがティーダの前にたびたび現れては剣を向ける。ミヤギの仲間らしい銀髪の美少女剣士ネフィエルの助けもあって逃げ延び故国へと帰り着いたティーダを待っていたのは、さらに驚くべき事態とそして勇気を奮い起こして臨むことだった。

 三火が主となり世界を治める形態が崩壊するかもしれないと記された予言を冒頭にして、三火の地位をねらう存在がほのめかされる周囲では3つの大国が三火を送り出す座をねらって暗躍し画策しては様々な働きかけを行う。そうした政治の場にあって皇子の立場からひょろりとアスになってしまおうとしていたティーダに欠けていたのは世間というもの。そのままだったら顔見知りの言葉を信じ踊らされてていたはずの坊ちゃんが、ミヤギって男と庶民の姿で逃避行を続ける中で、人々が何を考え何を求めているかを知り、また公国によって安堵されているはずのキサの町が置かれた微妙な立場とそこに暮らす人々の思いに考え至って、己らの立場にとてはなく世界にとってより正しい道を選ぶように変わっていく。

 そこへと至る過程で起こる誰が敵で誰が見方かまるで見えない状況が想像する楽しさをくれて最後に驚きをもたらす。さらに。提示された世界の行く末が決して安寧には満ちてはない中で絶対的な予言が果たしてどういった形で現れるのかにも目が向けられて、さまざまな不安を乗り越えて掴む未来への希望を感じさせる。構成も展開も複雑ながら最後にしっかりとまとまるあたりはミステリーの良作を呼んでいるよう。なおかつメッセージもあって読後に様々な思いが残る。キャラクターたちの造形もすばらしい。善であれ悪であれ信念を持って行動し、その信念に従ってぶつかりあう様は見ていて実に清々しい。新鋭にしてよくぞここまでの作品世界を練り上げられたものだと喝采。「ドラゴンキラーあります」に負けず劣らないすばらしさ。1度に傑作が2作も出ていてなぜ大賞がいないのだ? キャラでは策謀家っぽくってツンとした所もあるリーテース・ランガって少女がやっぱり抜けているかな。ネフィエルにはもーちょっと活躍してほしかったな。

 んで「キディ・グレイド劇場版」の第1巻を見ていたら36分あたりのエクレールとリュミエール以外のESメンバーを紹介する映像のあたりからノイズが出始め画面が飛び音も飛んで果ては先にスキップしたり後ろにバックしたりする現象が頻発。プレーヤーが熱で暴走でもしたのかと「アイドルマスター XENOGLOSSIA」の第1巻水着バージョンを再生したらこっちは何も問題なし。なので「キディ・グレイド」固有の問題ではありそーだけれどそれはだったらプレーヤーとの相性の問題なのかそれともディスク自体に仕掛けがあるのかがわからない。

 ネットとか見ても同様の現象は発見できないし。つかネットで話題になるほど売れている作品でもなさそーだし。うーん困った。まあいいやそれでもエクレールはいっぱい見せてくれているしリュミエールの平野綾さんはまだ初々しさのこもった声で「女の子はエレガントに」なんて言っている。その言葉をハルヒとこなたに聞かせてやって下さいな。1巻目はエクレールとリュミエールの2人がESメンバーを除名されるところまで。この後どんな展開になるんだったっけ、クローンだかのペアで復活して除名された2人と戦うんだったっけ。本編見ていたけれど思い出せないのは本編でもやっぱり白しか見ていなかったか、なのか。そうかもな。

 ちなみに「アイドルマスター」の水着バージョンっても本編までもが全部水着になっている訳じゃないのであしからず、なっていたらそれはそれですごいけど、「ドットアニメ」の限定コーナー。さらにこちらはリアルタイムで「大江戸ロケット」。ソラちゃんの変身途中バージョンが獣と人間の混じり合った感じで微妙にエロい。とはいえソラのあの体型では獣になってすっぽんぽんでもあんまり気持ちはそそられない。一方の青い獣はスレンダーな美女だけに獣化する過程をちょっと見たいんだけれども体から生えて分裂するだけで変身シーンはなく残念。それにしても首落とされたってつながるんじゃあいかな銀次でもお手上げか。そんな獣も昨今ちょいと気持ちに変化。掘れたか玉屋に。何であいつばっかり。人間やっぱりまっすぐじゃなくちゃあいけないのかなあ。ねじ曲がってるよーで復讐心にまっすぐな「コードギアス 反逆のルルーシュ」のルルだってシャーリーや会長にはモテてるみたいだし。生き方変えようアニメに学んで。

 出かけようと思ったものの降り出した雨で近所に変更して西武にある珈琲屋で3時間ほどねばって原稿の講評を書いて箱詰めして発そう準備。なかなかに良さげだけれど果たして世間の趣味と合ってくれるか。スポーツ新聞は並んでいたけど特に買わず。だって羽生直剛選手への非難とか書いてあったらかわいそう過ぎるもん、途中からの出場だったけれども惜しいシュートを何度も放つくらいに活躍していた訳で、あとはそこへと至るプロセスがさらに後押ししてくれていれば得点だって可能だったに違いない。シュート撃つところまで行けないんだからほかは。

 佐藤寿人選手が入ったら駒野友一選手がよみがえった感じがしたのはチームメイトだからか。放り込むんじゃなくって鋭く入れて佐藤選手の飛び込みを生かそうとするあたりに滲んでた。反対サイドの加地亮選手。入れるクロスのほとんどが見方に当たらず相手に跳ね返されるのはそこをねらっているからか、ディフェンダーが旨すぎるからか。かといって撃てばバーを超えていく。これで時々鋭いクロスも入れるから外せないんだよなあ。悩ましい。ニアに飛び込めるフォワードがやっぱり必要か。ともあれ負けたけれどもどうせ次のアジアカップ予選なんて2010年の後半から。おかげで親善試合が減って収入が減るなんて書いてるメディアもあるけれど、そんなヌルい親善試合でいくら稼いだって強化なんかにゃつながらない。真剣勝負の場が増えたって喜ぶくらいじゃないと。いっそアジアカップなんて捨ててコパ・アメリカに参戦した方が鍛えられるんじゃないのかって考えも。豪州ともども呼ばれ参加しアジア・オセアニア旋風を……無理かやっぱり。


【7月28日】 胸か尻か。それが問題なのだということに気づかせてくれるハイパーにおもしろいファンタジーが登場。「C・NOVELES大賞」で特別賞を受賞した海原育人さんの「ドラゴンキラーあります」(中央公論新社)はドラゴンが跋扈する土地でドラゴンに対抗できる超人として生み出されたドラゴンキラーってのがいてそれが戦場でドラゴンばかりが敵兵も見方の兵隊も皆殺しにする暴挙に出たものだからもう大変。ほぼ全滅の中で生き残ったココって男はそのドラゴンキラーに復讐したい気持ちを抱きつつ除隊して、今は犯罪者たちが吹き溜まった街で便利屋稼業に勤しんでいる。

 なにしろおっかない街でついつい出来心でひったくりをしようとした青年が美女から反撃を食らって脚をぶち抜かれるくらい。その場に行き当たったココは顔見知りの美女をとりなし青年を引き連れ住処の階下にある酒場へと赴き禿頭のマスターやウェイトレスをしている美女2人のナイスなバディを見つつ胸ばかり強調された衣装にどうして男は胸ばかりを有り難がるのか、自分は絶対に尻だ丸い尻が良いと自問自答しつつもとりあえず青年の身柄を預かり何か職に就かせようとして歩いていたところを超人的な力を持った少女に襲われる。

 個人的に言うならやっぱりそれなりに目がいきやすいのは胸なんだろうけれども、ココにバイクに乗って走って手を差し出した時くらいの抵抗感くらいしかない胸なんぞ無意味だって言われてしまうとなるほどそうかもって思えなくもない。もっともだったら実際に本当にバイクに乗って手を差し出した程度の感触なのかはこれまで触ったことがないんでわからないんだけど。どーなんだろー。ちなみに「コードギアス 反逆のルルーシュ」は胸があからさまに強調されているキャラクターが乏しい一方で尻ならC.C.がオープニングで激しくその丸みを見せつけてくれていて、ココなんかが見たらもう率先して手をさしのべに行きそう。固いのか柔らかいのかをルルーシュが確かめる日は来るのか。程なく放送される24話と25話をとりあえず待ちつつその後の2期でのなおいっそうの強調に期待しよー。

 さて「ドラゴンキラーあります」。現れたリリィという名の少女はドラゴンキラーでココを蹴り倒し青年を奪還して去っていく。本当だったらひと蹴りで頭蓋骨くらい粉砕できる力の持ち主なのにそうはせず、気絶させたくらいで引き上げたのは手加減したからなのかといぶかりつつ戻ったココは街にドラゴンキラーが出入りしている情報を売りに情報屋兼パン屋に出向くとそこにはパンを物欲しそうに見ている美少女が1人。出来心からパンを与えようとしたら拒絶されその言動からなにやら高貴な身分と感じて店のパンと引き替えに話を聞きだした情報屋の傍らにいて、ココは彼女がさる皇室の皇女で跡目争いに巻き込まれた中でドラゴンキラーのリリィとそして脚を撃たれた青年を伴い逃げてきたことを知る。

 そして起こる大騒動。皇女の身柄をねらう街の商会に依頼されつつも気が乗らないココは少女を捜すドラゴンキラーのリリィから仇とねらうドラゴンキラーを撃つ手助けを受ける代わりに少女を奪還する仕事を受けて商会に挑む。もともとはただの花売り少女で、それが食べていくためにドラゴンキラーにさせられた関係で、圧倒的なパワーを持ちながらも人を危めるのが苦手で、どこかおどおどとしているリリィってキャラクターの妙な可愛らしさはココならずとも気をほだされそう。もっとも街の住人だけあって決して同情だけでは動かず何をするにも天秤の上に載せてどちらが自分に有利かを考える計算高さは小説によくある直情径行なヒーロー像とは違った雰囲気で逆に目新しい。それでも自分自身の気持ちに決着をつけることを優先してリリィたちに着いてしまう当たりがココって男の、トップにもなれず黒幕にもなれないで、末端を蠢かざるを得ない身の上を示しているっていえそう。人間臭い主人公。大好きです。

 ドラゴンキラーって存在が持つ誕生の秘密、存在の謎なんかがドラゴンってファンタジーにありがちな存在の意義なんかと絡めて描かれているあたりが新鮮。解釈としての目新しさがあって楽しませてくれる。そんなドラゴンキラーになって半歩ドラゴン側に足を踏み入れながらも人間らしさ、乙女らしさを残したリリィの性格がまた最高。片目がドラゴン化して手に鱗まで生えてしまっているのに、自分だって女なんだからちょっとは関心を持ってほしいとココ相手にほのめかす態度の何という可愛らしさよ。それでいて戦うと強いんだからいやになる。リリィが仕える皇女のアルマも身分に似合わず物わかりがよくって聡明で、それがいたいけさを感じさせてココならずとも救ってやりたくなる。それもまた生きる知恵って奴?

 そんなアルマとリリィを抱えてココがこれからどんな活躍を見せるのか。あんまり出番のなかったパン屋の住人にして武力もすさまじそうな胸もなければ尻も薄いアズリルって少女の暴れっぷりとか、酒場の花にして毒でもあるナイスバディにして火力もすさまじいスプリングとボニーの乱れっぷりなんかも是非に見たいので作者の人には是非に続編をお願いします。しかしカラー口絵はどーして主役でもないスプリングとボニーなんだろー? やっpり描いてて楽しいから? 見ても楽しいんだからそうだよね、やっぱり。

 テレビの中でいくら見たってそれはやっぱりバーチャルでしかないと悟りやっぱりナマモノを見たい堂々と見たい着衣だからってその中にナマモノがあるんだとリアルな空気感から妄想したいと幕張メッセで開催中の「ATE(アダルト・トレジャー・エキスポ)2007」へと再び赴く。時間は午後の11時を少し回ってあんまり行列がいないのは土曜日でもアダルトには早朝だからまだこれからって思って中に入るとすでにわんさとカメラ小僧。アダルトビデオの出演者たちがあっちのブースにこっちのブースと現れると、カメラを持ってあっちのブースからこっちのブースへと渡り歩いて上から谷間を、下から脚とその奥を取ろうと必死になっている姿に人間の活力の源となる何かって奴を感じる。

 それはエロ。そうエロこそが人間を前へ未来へと進める原動力なのだってことを身をもって体現しているみうらじゅんさんが登場するトークショーがあって見物すると現れるなりみうらさん、エロい写真なんかを切り抜き集めたノートブックがすでに198冊だか何だかまで来ていてもうすぐ名球会ならぬ名エロ会入りも可能な200冊になるって白状。ただ切り抜くだけじゃなくっていろんな記事をまぜこぜにして張り合わせていく作業はディスクジョッキーならぬエロジョッキー、そんな才能と努力が詰まったノートブックをいずれ北朝鮮より刊行させて日本に逆輸入したいって、本当なのか冗談なのかわからないことをさらりと言ってのけるみうら節。ここにみうら流な生き方のゆるゆるさって奴を実感する。

 会場が会場なだけにピー音も入れないフルトークが炸裂で、題材もそーした方面が多くってサンプルとして見せた女性用張形の話から男性用のホールへと話が及んで過去はあんまり良いのがなかったけれども最近がTENGAって優れたものが出てきて高橋がなりさんが面識もないのに送ってくれたんで使ってますけどもったいないんで1個を2回とか使ってるって話をしたら、ご近所でブースを出してたTENGAが袋にいっぱい詰めてやってきてみうらさんにプレゼント。まさにエロティシズムの橋渡しが実現した感動の場面にまみえてジンとなる。言ってみるもんだ。

 しかし使ったTENGAを透明のゴミ袋に入れて捨てるのが何とも気まずいって話をしていたのに、TENGAの人が持ってきた袋は半透明で中に独特な赤と黒のTENGAのパッケージが透けて見える。入っているおは大量の製品。それを果たしてみうらさん、京葉線に乗って見せつつ持って帰ったのかそれともやっぱりはずかしくって黒い「ソフト・オン・デマンド」の紙袋に移して持って帰ったのか。誰かどこかで面会する人がいたら聞いて見てくださいお願いします。何日保ったのかもついでに。

 そんあみうらさんが登壇したのはトレジャーワークスって会社が前々から出している緊縛フィギュアの「エロポン」に新たなバージョンを付け加えるんでみうらさんにプロデュースをお願いしたからで、かつて時代劇フィギュアの原型師として侍みたいな風貌からいかにも寡黙な人だって印象のあった高杉涼さんがひげこそ残しながらも髪はさっぱりした姿でややふっくらとして登壇してはみうらさんの要望に応えた新しい「エロポン」を披露。どちらかといえば女性が隠微な格好をしている男性向けのフィギュアが多かったんだけど今回は女性でも楽しめ男性だってあこがれられるフィギュアにしたいってことで男の中の男、といえばこの人な「んーん、マンダム」の髭のおっさんが立像になって登場した。ちなみに名前はブロソソン。平仮名だとぶろそそん。別人です。

つながっているのだ!  そんなブロソソンが脇に従えるのはなぜか山羊で、股間にはやしたリボルバーの拳銃をはずしてたぶん違うパーツをはめ込みつつ、下半身の直立を膝まづいた形に代えて山羊のうしろに置く何と! 大切な山羊をブロソソンがいたわっているシーンが再現できますとってもとってもセクシーです。山羊のかわりに別のブロソソンを置きその前にさらにブロソソン……といった具合に円環状に並べるとそこに現れるのは、奇跡の和合が達成された瞬間。愛を与えると同時に愛を与えられる共産的で交歓的な形は、人間社会がこうして成り立っている背景にある施し施される博愛のスピリッツって奴を浮かび上がらせる。なるほどさすがはエロの伝道師。大事なことは一方的ではなく双方向なんだってことをフィギュアと通して高らかに訴える。本当か?

 もう1つはあの有名なミケランジェロの「ダビデ像」を土台にしつつやっぱり横に山羊を置いた立像。胸にはでっかく「DT」、みうらじゅんならではのタームといえるあの「DT」の文字が浮き彫りにされて若き王ダビデの高潔そうな表情の置くにたぎるエロティックなものへの情動って奴を強く激しく感じさせる。若くしてなくなったダビデは最後までDTだったんだろーか、それとも見事に脱出して「Z(絶倫)会」へと参画できるまでになったんだろーか。そんな2つをまずは披露しつつ今後もいろいろなアイディアと懊悩が詰まった男性版の「エロポン」を送り出してくれそーなみうらさん。何を題材にどんなスタイルの男たちが現れるのか、今んところ見あたらない中年デブでおまけに禿といったキャラクターが出てくるのか、なんてことを想像しつつ発売をまとう。でもやっぱり横に山羊はいるんだ。

 みうらさんのトークショーの前にグッピーってニューハーフさんたちがいっぱいいるショーパブの面々による華麗な舞台なんかを見物、みんな細くて綺麗、すばらしい。会場のほかのどこでも出してなかった突端を放り出していたのはそれがフェイクだからかそれとも。んでもって河岸を代えてサイドステージへと回って今度は女性にあってエロスを体現するのはこの人たいつぃかいないってゆー作家の岩井志麻小子さんと編集者の中瀬ゆかりさんが登場。なかなかのど迫力なボディスタイルで座ると口より出るのはでっかいかちっこいかって話。MXテレビで2人が出演している番組の担当をしているディレクターの人はもはや見せても見えずセクハラにならない小ささだそーで、そいつはいったいどれほどのものかと顕微鏡を持ってスタジオ見物に行きたくなった人もいたかも。もちろんウィルスまで見られる電子顕微鏡を抱えて。

 あとは岩井さんがCSチャンネルか何かの仕事でAV男優のオーディションをやった話で会場に行っていかにもイケメンって青年が服を着ている時はとっぽかったのに脱いでほかの人のを見てシュンとなったって話とか、その会場で漂ってきたスメルがなかなかにキツくって韓国の軍隊に入隊経験のある人でもそこでやった毒ガスの訓練なんかよりもキツく感じたほどだって話とか、あったけどつまりはやっぱりそればっかりか。名を特に秘す法曹関係者との対談で岩井さんが遭遇した超早漏な出来事とか。なるほどそうかあいつ偉そうにしていて肝っ玉もあそこもちっこいんだ。

 さらにこんな話も。仕事場で岩井さん、胸がかゆくなったので詰めてた編集者の中瀬さんに「吸って」と差し出したんだけど、さすがに吸うのはと中瀬さん、掻いてあげたら妙な汁が出てきたとか。続いて下もかゆいから掻いてと岩井さんが誘ったけれども、これにはさすがにピリっと来たのか中瀬さん、包丁をさしてやろうと思ったものの主音泊まり割り箸で掻いてあげたという。こーゆーシチュエーションに遭遇したら男性編集者なら迷わず吸うんだろーか、掻くんだろーか、岩井さんを相手に、今の岩井さんを前にして。うーん。仕事っていろいろだ。そんなこんなで50分、熟女2人の迫力ボディを堪能しつ終わりかけたトークショーの締めはやっぱり岩井さんのエロ話。中の良い森奈津子さんが寝ていて金縛りにあってどうやら左手らしい腕によって首を絞められた。醒めてどうして左手だったのか、左手だけだったのかと考えて至った結論、右手は下を握って前後に動かしていた。なーるほど。森さんさっさと2人に加わりなさい、いやいや2人にはプラス西原理恵子さんもいてトリオを結成しているから、そこに4番目の戦士として加わりカルテットとして活動するのだ森さん是非に。


【7月27日】 そうか、と気づく。「ベルリンの壁」崩壊以降の世界は米国にカウンターとなる超大国を失って混乱に拍車がかかりそれは21世紀にも入って続き世界のいたるところで小競り合いを起こしている。自主独立への道程にもたらされる痛みだと割り切り受け入れるべきとの見解もあるけれどそれで大量の命が失われることと、押さえ込まれても平等に人が生きていける環境とのどちらがより人間にとって好ましいかは悩ましい。勇ましく果断に己が進路を決定し、時には破滅する可能性も併せのんで突き進める蛮勇がすべての人に備わっている訳ではない以上、少々の不便に耐え忍んででも生きていける方を選ぶ人も少なくはない。

 が、しかし現実に超大国の一方は消えて世界は一極の論理によって覆われ末端には統制の行き届かないことによってもたらされる混乱と汚濁があふれ反発から生まれた身を挺してのアピールにはさらに苛烈な制裁が加えられてかくして世界は一極に染まっていく。90年代はまだそれでも解放を喜び尊ぶ人の多さが問題を覆い隠し、人々の心理や社会の空気にも不満と異論は生まれていなかったけれども2000年以降、まさしくゼロ年代と呼べる時代に入ってだんだんと人はわかってきた。1人ではいけない。カウンターとなり時には対立しつつ時にはなれ合って世界に均衡をもたらす存在が必要なのだと。そんな願望が今、社会の表層にさまざまな形で現れているのだ。

 たとえば政治。一党独裁から2大政党への欲求が高まりこの週末の参議院選挙では一気に爆発しそうだ。あるいはサッカー。アジアカップにおける日本の3連覇が東アジアの突出を生んで中東との軋轢を生みかねないという思いがサウジアラビアによる日本の撃破を生んで中東と、極東との間に2つのサッカー大国を作り上げようという動きに向かい先だっての戦いの結果をもたらした。何よりアニメーションだ。なんというこの双子の多さよ。「スカイガールズ」を見ていたら大阪弁の双子の整備士が登場していた。そういえばと記憶をたぐるといるわいるわ。「らき☆すた」にはかがみとつかさがいて、「アイドルマスター XNOGLOSSIA」には双海亜美と真美がいて、「神曲奏界ポリフォニカ」にはペルセルテとプリネシカって双子の姉妹が出てくる。

 「天元突破グレンラガン」にはジョーガンとバリンボーの兄弟。今年度に入ってもうこれだけの双子がいるし、去年へと目を転じれば「BLACKLAGOON」にはヘンゼルとグレーテルという男女の双子が大暴れしていた。ふと手に取ったDVDにも双子が。劇場版の公開が続く「キディグレイド」にはトゥイードゥルディにトゥイードゥルダム、「タクティカルロア」には阿古屋真夏と阿古屋真秋。ほとんど毎クールに1組は双子が登場しているじゃないかってゆーくらいの多さをどうしてこれまで何かの符丁と思わなかったのかがむしろ意外だ。だって考えてみよう、この現実社会に生きていて人はいったいどれだけの双子と出会うのか。テレビで活躍しているタレントやスポーツ選手は別ににして、本当に実生活で出会える双子なんて一生にいて1組くらい。僕の経験では小学校中学校と一緒だった姉妹が1組いたくらいで、以後30年近くお目にかかっていない、いや家に帰れば毎日のように双子がいたんだけど、自分自身という。

 それはさておき現実にはなかなかお目にかかれない双子が何故にこうもアニメには登場するのかといえば双子が持つ独特の神秘性がキャラクター群の中に非日常的なファクターとなって展開にスパイスを与えるからってゆー意見が出そうだけれどもそれがあまりに度重なっては陳腐化する。そうなればなったで一種の違和感と非日常感を醸し出す記号と見なして女性キャラクターの触覚同様に気にしないのが筋と見てとってとられないこともないけれど、それにしても多すぎる感は否めない。そうまでいして双子を入れなくてはならないくらいにクリエイティブの現場の発想が貧困化しているとも思えない。だからやはり理由がある。理由というよりもはや世界を包む空気からのささやきが企画者に双子を出さないではいられないように促している。

 振り返れば一国の独裁による軋轢が悲劇となって噴出した2001年9月11日から1年を経ずして「双恋」なるものが生まれた時に、世界が2つの大国の拮抗による平穏を再び望んでいるのだと気づくべきだったのだけれど、6組の双子などという極北の設定が持つインパクトにかき消されてそこまで思い至らなかった。しかし5年以上が経ってもなお収まらない世界に人は焦燥感と絶望感を抱くようになり、そして世界を治める秩序のメタファーとして双子を渇望するようになった。その結果が近年のまれにみるアニメへの双子の大量登場。もはや世界はのっぴきならないところまで来ている。人々の我慢も限界に来ている。放っておけばすべてのアニメに双子が現れ見る側を異形さから不安におののかせ、そして世界は新帝国を焦りから運で未曾有の悲劇へと向かうことになる。今の年代において想像力を働かせるべきなのは、引きこもるとか決断するとかいった個人の性向などではない。半身を失い行き場のなくなった愛や憎悪といった感情が集合して巻き起こす大分裂、そして破滅へのビジョンなのだ。

 なんつって。つまりはアニメなんてあちらこちらから集められた面白さがちりばめられてできあがっている記号のカタマリのよーな存在なんで、かき集めればいろんな解釈が成り立つし、逆に解釈さえあればそれに当てはまるアニメなんていくらだって引っ張り出せるんだってことで。しかし双子が増えたなあってのは実感。漫画やアニメの「タッチ」の時代に思い返していったいどれだけの双子が日常的に出演していたんだろーかと振り返るとあんまり思い出せない。それが4月から始まったのだけで3本? 4本? 今も3本?4本? とにかくすごい量。これってやっぱりちょっと変。何かあるって考えるのがやっぱり正しいのかなあ。でもこれだけ双子があふれると双子のありがたみも薄れるよなあ。有り難がられたことなんって1度たりともないけれど。

 妄想を埋める作業はそのくらいにして今度は煩悩を満たすためにと「幕張メッセ」で始まった「ATE(アダルト・トレジャー・エキスポ)2007」って展示会を見に行く。大人のためのエンターテインメントを集めた展示会ってふれこみだけど、簡単に言えば秋葉原の駅前に2店舗ばかりそびえたってる大人のデパートが平場にやって来た感じで、降りるとそこにはラブドールな女の子たちが居並びTENGAのスタイリッシュな筒が積まれ色とりどりの振動する棒が立ち並んでいて、これがふつうの場所だったら周囲を見渡し赤面しそーになるけれど、ここは専門の展示会だけあってくるのは同行の士であり入場者も身分証チェックの上でのことだからすべて成人。気兼ねすることなく見て回り触り眺めて堪能できる、生ものも含めて。

 そう生もの。アダルトビデオのコーナーなんかには本物のAV嬢が来ていたらしくってあちらこちらでサイン会とか撮影会とか開かれていたみたい。長居ができなかったんで誰がどんな感じだったかまではわからないけど、脱ぎこそはしなくってもそれないの弾けそうな姿態を披露してくれていたんじゃなかろーか。撮影はご遠慮なはずなのにカメラをそれもスカート姿のコンパニオンの真下に位置させて撮影する御仁も大量発生。ここはどこかのイメクラですか?

 しかしあーゆー時ってコンパクトデジカメの威力が出るなあ、一眼レフだといちいちしゃがんで寝ころばなくっちゃいけないから、やれば目立ってひんしゅくもの。まあいい脚は無理でも谷間は眺め放題なんで寝ころぶ勇気がない人は、眼前に迫る谷間をながめて暑さを吹き飛ばすのが吉かと。初日は業者も来ていて人もごったがえしていはいなかったけれどもそれでもまあそれなりな入り。週末の休日にはいったいどれだけの人が来るのか。ちょっと楽しみ。しかしそれにしても時代劇フィギュアから遠くまで来たもんだよなあ、会場に飾ってあった歴代の時代劇フィギュアも懐かしさと同時にもの悲しさも感じさせる。もう作ってくれないのかなあ。いやいや「エロポン」の方は未だ健在で土曜日にはちょっと萌えっぽさが入った新作の発表会もあるみたい。みうらじゅんさん参加のイベントとか、中瀬ゆかりさん岩井志摩子さんのトークショーなんて企画もあって楽しそう。行ければ行って堪能してこよう、中瀬さん岩井さんじゃなくAV嬢の爆裂っぷりを。


【7月26日】 萩原雪歩ちゃんがやっぱり。出てきた時からつい最近まで不思議なそぶりってまったくなかったし、不思議なことだって起こらなかったけれどもちょっと前の起動キーのすり替えだか何かん時に初めてモンデンキント・ジャパン内部に何か不穏な動きがあると露見。おそらくは内部にいるだろーと思われた犯人が、見るからにうさんくさげな課長代理だかじゃあなくって、アイドルマスター候補生にして見るからに良い人っぽい雪歩ちゃんだったとは何か脚本の人も頑張って、意外性たっぷりな方向へともっていこうとしてるってタクラミが見て取れる。

 「コードギアス 反逆のルルーシュ」はそんな驚きが各話に何回もあるスピード感と密度がすごかったけれど、「アイドルマスター XENOGLOSSIA」は淡々これまで淡々と日常を積み重ねて来てやや退屈感を味わっていたところに急進して来たストーリー。キャラクターも猪突猛進で一心不乱な人ばかりじゃなく、過去があって陰もある人物が加わってきて一気に深みと広がりが出てきた。今回なんて目を直接は移さず顔の下半分だけを選びはりついた笑顔をちょっと見せることで、雪歩ちゃんのあの優しそうな表情が実は仮面で、下には別の性格が潜んでいるんだってことを見る人にモロ、わからせてくれてたし。

 そんな「アイドルマスター XENOGLOSSIA」は先に抜けたエースパイロットだった菊池真に続いてオペレーターでも屈指の冷静さと計算力を持つ雪歩ちゃんまで引っこ抜かれたモンデンキントの弱体化甚だしく、次に何か起こったらもはや太刀打ちできそうもない。だって残っているのってアイドル仕事にかまけて最近、インベルをないがしろにしてシンクロ率の低下が著しい天海春香にしょせんはセカンドだったデコこと水瀬伊織ちゃん。2人じゃあ千早と真と支える雪歩とさらに裸でお風呂でハッキングしているリファの連合にゃあかないっこない。

 支えるべき立場の課長補佐の朔響は切れ者のよーに見えて雪歩にまんまとしてやられてるし、課長のジョゼフ・真月は胆石持ちで茶道マニア。オペレーター連中も冷徹さに欠けて付け入られるとすぐに何でもしゃべってしまいそーな脇の甘さが見え見えで、そんな中でひとり主任の三浦あずさが頑張ったってトゥリアビータにはかないっこない。せめて双海亜美の消えた妹の真美がテンペスターズとともに復帰してきたら数では1つ多いんで、このあたりを狙い目として話を組み立て2つの組織のぶつかり合い、なんてものを描いてくることになるのかな。でもいったいトゥリアビータの目的って何なんだろー。モンデンキントはとりあえず落下してくるドロップを叩いて砕いて人類を守ってる。それをじゃまするトゥリアビータの理って……? 残る話数も減ってきたけど一気呵成な畳み込み、期待してます。

 大企業に頼り金を引き出しては好きなことをやってのけつつも永久な反映とはいかず末期は哀愁さえ見せつつフェードアウトしていくプロジェクトのここんところ散見されてもう、時代は彼じゃないよって言葉が既成事実としてささやかれていたんだけれどそこは時代の詐欺師とかつて自称していただけのことはある秋元康さん。秋葉原が話題になるかどうかって時期よりちょい前くらいのタイミングでもって「ドン・キホーテ」の上に舞台を作ってそこでアイドルを集めて見せるプロジェクトを慣行。そのいかにもさに何ともいえない格好悪さとそれから秋葉原を今度は欲得にまみれた手で触れるのかという憤りから「AKB48」をどこか異端者視していたんだけれどもすいません、今日を限りに少なくとも「AKB48」だけは正義と認めます。秋元さんは除外。

 しばらくぶりに訪ねた「東京ジョイポリス」で「街」のチュンソフトが鋭意制作中でセガより10月発売の「プレイステーション3」対応ソフト「忌火起草」を題材にしたホラーハウス「忌火起草 胎動編」ができたってんで「AKB48」からホリプロ所属の大島麻衣さんと板野友美さんとと河西智美さんが来場。近くに寄れば寄るほどに輝きもます愛らしさに、こりゃあ適当にその辺で志望者だけを集めて総体で見せようとした末期的プロジェクトなんかじゃない、マジに真っ当な人材も混ぜて本気で秋葉原から世界制覇をねらっているんだって覚悟の程を知る。知ったところで秋元さんの業績とはなかなか認めたくはないのだけれど。

 そんな3人が入ったホラーハウスはのっけから耳にはめたヘッドホンから流れてくるらしい音響に3人ともたじたじでなかなか前に進めず。そうこうするうちに1人が半ベソで入り口から帰ってきて残る2人も10分くらいかかってよーやくクリア。出口に現れるなり1人がべたんとしゃがみ込んでしまうくらい、怖さたっぷりのホラーハウスに仕上がっているみたい。まあ「かまいたちの夜」とかで日本にサウンドノベルのジャンルを切り開いた中村さんの作品だもの。ゲーム機向けのデモも相当な怖さだけど、それを間近でサウンドノベルならではの恐怖サウンドとともに体験させられたら男子だって腰を抜かす。ましてや19歳だって制服がまだ似合う大島さんやさらに年下の女の子たちが真正面からぶつかって勝てる相手じゃない。通り抜けて来ただけでもここは頑張ったと喝采でたたえよう。直後に中村さんも挑戦したらしーけど、生みの親をして果たしてどんな感想を抱いたのかな。やっぱり怖かったのかな。本家も怖がる恐ろしさ、だったら客も入るだろーな。

 せっかくだからと隣のアクアシティにある「ラーメン国技館」を散策、中部が地元ってことで飛騨高山にある「飛騨高山中華そば豆天狗」ってところのラーメンをいただくとこれが細身の縮れ面で適度な歯ごたえがあってなかなかの美味。スープはしょうゆで面とからみトッピングはチャーシューとあと肉そばたいな肉も乗ってて味付け玉子とともにバラエティ豊かな味わいを楽しめる。個人的にはなかなか、だったのに時間が昼食時をはずしていたからなのか人も並んでいなかったのはやや残念。向かいにあって最初はこっちに入ろうかなって覆った「博多とんこつ 拉麺帝国」も空いていて、札幌から来た「札幌らあめん がんてつ」と千葉・本八幡の「魚介とんこつ醤油 魂麺まつり」にやや行列ができていたのは見かけで引っ張られたのかそれともやっぱり抜けているからなのか。本八幡は近所なんで本店をのぞきに行ってみるか。


【7月25日】 録画をしておいてみてなかったアニメーションを掘り起こす運動の一環をスタート。でないとハードディスクがどんどんと埋まってまるで減らない。かといってみないでそのままDVD−RAMではおそらく一生見ないのは確実。なので少しはさわりだけでも見て残すか否かを判断しようとまずは「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」さわりだけ見て……毎週ちゃんとリアルタイムで見ようと決断する。だって水泳だよ、プールだよ、夏の象徴だよ、それをこの夏真っ盛りの中で見てこそ伝わる叙情ってものがああるはずだ。

 蝉のなく街路樹を抜けて映画館へと向かい「時をかける少女」をスクリーンで見て、外にでると青い空にむくむくと入道雲がのびている光景を目の当たりにして、映画の中で放たれていた“たかけがえのない時間の大切さ”ってメッセージを反芻して、泣きはしないけれども今を、この瞬間をしっかりと生きるんだって決断した06年の夏。その時に感じた、リアルタイムに見てしか得られない感動って奴があるんだってこと思い出せば「ウミショー」をDVD−RAMに放り込んで冬に見たって意味がない。照る日の暑さを肌で感じながらプールで鍛錬に励む水泳部員たちの姿に夏なればこそ、青春なればこその感動を味わう。それが筋ってものだ。ものなのだ。

 なんつって。いやあだって競泳用水着がですよ、毎週ですよ毎週、それもアップで、時々ポロリなんてのもあって、でもって最新の話数なんてすっぽんぽんもあってアンダーウェア姿もあってお風呂シーンまである。健康的なお色気が人気の作品なんだからきっとこれが標準仕様、つまりは毎週がテコ入れってアニメはほかにそうそうない。ちなみに「コードギアス 反逆のルルーシュ」はほとんどテコ入れがなかったけれど(カレンのシャワーシーンとカレンの沐浴シーンくらいか、カレンはそっち要因でもあったのか)、こっちはもう全員が見まくり。主役の蜷川あむろの天然で自然な振る舞いっぷりもみずみずしくって良いけれど、ここは大人としてはやっぱり副部長の織塚桃子が見せる生真面目で強引で、けれどもちょぴりスキもあってって性格はもうたまりません。

 変なキノコを食べた時の脱ぎっぷりといったら。さすがにアニメじゃあ飛び込むシーンにほんの数枚、カットが使われていて止めないと見逃してしまったけれどドラマじゃあどんな感じの演技を見せてくれるか。何しろ演じるはパンシャーヌこと矢吹春奈さんだこりゃあ期待だ。アンシャンレジュームトリコロール! 番組違うけど聞いてみたいよ競泳水着姿で。あとは静岡みれい。声は聞けばもう白ロリでニアな福井裕佳梨さん。おどおどっとして恥ずかしがり屋でそれなのに脱ぐととてつもないのはもう感動もの。あの過激なデザインのものを下にいつも身につけているのだと知れば見る目も冴えて画面から離せませんって。ああすばらしきかな夏アニメ。夏なればこその水泳アニメ。見るときゃこっちも併せて着るか、競泳用水着を。

 使っていたIBMのシンクパッドのX41が死亡、つかレスキューでのぞくとハードディスクにデータは残っているんだけれどウィンドウズから起動しようとするとアンノウンなハードのエラーがで出て立ち上がらない。なにが悪いんだろう。ここのところハードディスクへのアクセスがやたらと多くてテキストを書いている間もすぐにフリズって止まって苛立っていたけど、それも原因のひとつかなあ、開いたブラウザーが閉まらず強制終了したら吹っ飛んだ。仕事に必須な画像は救出したけどメールはどこまで拾えるか。まあ喫緊に送るメールもないんでアドレスの発掘はこれから頑張る。

 とはいえ仕事に必須なんでニッシンパルでX60を広いセッティング。速いなあ。でも熱くなるのは仕様か。X61Sにしておけば良かったか。まあいいどうせこれも1年くらいで壊れるんだ。重い貸せれば前に買ったX32も1年くらいで調子が悪くなってそれで予備にX41を備えていたけど半年延命してこの春にお釈迦。予備機としてセッティング済みだったX41に切り替えたらこちらは半年保たずに異常発生とはついてない。ついてないのはレノボかそれとも厄年真っ盛りな当方なのかはわからないけど、まあ毎日異常な分量の文章を書きまくっていりゃあガタが出るのも早くて当然。いっそだったら中古ばかりで1年づつつないでいった方がいいのかな。ソフマップで中古を見ておいておくか。

 まるでジェフユナイテッド市原・千葉を見ているようだったなあ、サッカーのアジアカップの日本代表対サウジアラビア戦。ディフェンスラインを押し上げ時にはディフェンスが攻撃にも絡むような動きで前へと出てはサイドを大きく使いつっかけだめなら戻しサイドチェンジをしてつっかけつつ、中でも人が動いてもらい出してそして相手ゴール前へと迫りながらもそこですらビルドアップに精を出してしまって決めきれない。すると相手は浅いディフェンスラインを1人のアタッカーがカウンター気味に攻めて易々と得点してしまうとゆー。追いつこうとがんばり取り返しても次にやっぱりカウンター。失点。実にスリリングなサッカーが見られて良いんだけれども最後には勝ちきれないで歯がみするとゆー、この数年ジェフ千葉の試合でよくあった光景がまた繰り広げられたのはやっぱりオシム監督だから、というべきか。

 まあしょせんはアジアカップ。優勝したって出られるのは親善試合に近いコンフェデレーションズカップであってそこでの活躍は経験にはなってもそれ以上の栄誉にはならない。前回出たからってまずい采配の結果予選の3試合で敗退じゃあ経験にすらならない訳で、その間を出られない国の真剣とまではいかなくってもそれなりに歯ごたえのある親善試合を繰り返した方がきっとためになる。ワールドカップと同じ会場でやるから事前チェックになるったって、ドイツじゃあそんなチェックがまるで働かず、本戦で予想してなかった灼熱の日光を浴びる結果となったんだからまるで無意味。警備の厳重さがまるで違うワールドカップの時期から1年前に行くのも危なさそうだし。

 って考えておけば気も休まるか。控えるは韓国との3位決定戦。次回大会の予選免除ってゆー恩恵もかかった真剣勝負なだけにきっとすごい試合が見られるだろー。ちょっと期待。果たしてこれまでのレギュラーメンバーを使うか、それともサブ組大量起用で締めくくるか。巻のワントップでトップ下羽生で右に水野左に山岸とゆー黄色い前線が見たい、ってのは全世界を敵に回しそうだから引っ込めるけど羽生に水野で左に俊輔は見てみたい気も。基本はスピードで時々タメって緩急のバランスになってスリリングな試合が見られそうだから。あとはトゥーリオがいたらなあ。阿部ちゃんを中盤に上げて攻撃に参加させられただろーし、すごかったよあの横っ飛びボレー。次こそは得意のニアヘッドで粉砕だ。


【7月24日】 もちろん当然のよーに「コードギアス 反逆のルルーシュ」のドラマCDの4巻目を買いつつ、最近になってよーやく第3巻目を聞いてC.C.のためにルルーシュがネットで買ってあげた衣装ってのはいったいどれだったんだろーと想像しつつ店頭を眺めて「DARKER THAN BLACK 黒の契約者」と「天元突破グレンラガン」の第1巻のDVDが入荷しているのを発見し、その分厚さにこりゃあやっぱりご祝儀だコレクションだと我が身を納得させて買ってしまう。レジに持っていって2万円はふと覚悟したらCDも込みで1万2000円に届かない。

 どっちかが1話だけ収録? って見たらどっちもちゃんと2話収録。なおかつ特典映像付き。「DARKER」はそれで5040円だし「グレンラガン」は4200円と、最近のDVDにしては安い方じゃんと喜ぶ。これなら買い続けら得るなあ。新作だと「.ANIME」で水着バージョンの「アイドルマスター XENOGLOSSIA」を予約してそれが届き始めるみたいだし、「コードギアス 反逆のルルーシュ」はずっと買っててそれが9月まで続く。「らき☆すた」はちょっと微妙な所にあるけどまあ買うだろー。そうそう「神曲奏界ポリフォニカ」も買い始めたんだ。あとじゃあ何を買うか、買うべきなのか買わざるべきなのかを迷っているけど買えてせいぜいが1タイトル。だったらその展開の奇矯さを評価して「キスダム」にするか、やっぱり中華嫁に期待して「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」にするかを悩んでいたりする夏の夜。ちなみに「コードギアス」のCDはやっぱり黒のギアスだった。落胆。まあ最初っから5枚そっろえるつもりだから無関係と納得。でも1度は見てみたい金のギアス。「ギアスの缶詰」もらえるよ(違うって)。

 IT、ったらインフォメーション・テクノロジーで情報技術な訳で直接は意味してなくたって必然的にコンピュータとかインターネットとかデジタルとかいったものをツールとして使いつつプログラミングなり電子計算なソフトウェア技術によって何らかの成果を導き出すためのもの、だろー。けど某オレンジ色のニクい新聞じゃあITってのは文字通りの「イット(それ)」であって何であってもそれっぽいものがそこにあったら「IT」だって書いてオッケーみたい。あの偉大なるサッカー担当の久保武司記者様におかれましてはハノイでアジアカップの取材中。オシム監督を「妖怪」と読んで誰にも使ってもらえず1年が経ってもなお担当を続けている度胸と気っ風には感激ものだけれど流石にここまで来て健全なる批判精神にも疲れが見えたのか、真正面から挑むのを止めて周辺の情報を紹介する方向へと筆先をシフトしたみたい。

 んで夕刊フジのにこんな記事。「川口神がかりセーブ連発…豪州戦は代表IT化の勝利 」ってタイトルの下にオシム監督の日本代表が先のオーストラリア戦で川口能活選手が相手のPKをあらかじめ読んで留められた裏には綿密な情報分析があったって話なんだけれども、記事のどこをどう読んでもコンピュータが駆使されバレーボールで言うところの「データバレー」的ソフトがフル稼働した、なんて話はない。あるのは「川口の好セーブに加え、PK戦に強い理由について『我々のスカウティングスタッフ(分析班)の勝利もある』と日本協会の田嶋幸三専務理事は力説する」って程度。これをもって「PK戦勝利の陰には、日本の『ITサッカーの実力』があった」って記事は書くけどデータを集めて分析するのはプロ野球だって大昔からやっている。

 それだってITなんて大げさなものじゃなく基本はスコアブックであとはビデオの映像くらい。そこから読みとれる内容を経験とも加味して勝利する確率を高めようとする動きをちょっと前までは「ID野球」と読んでいた。野村克哉のID野球。ってことはもしかする久保記者はITとIDを間違えたてしまったと考えるのが打倒だろー。きっとそうだよなあ、でなきゃ明らかにITとしての用件を満たしていない記事をもらって電話し具体的なITの要素を聞き出し記事に加えさせるだろー。それをしないでITで通した以上は東京での判断においてきっとコンピュータが使われていたに違いないという思いこみからITとしてしまったか、IDをITと間違えて来た原稿をこれまたIDと見間違えて通してしまったか。いずれにしたってハノイには責任はないと思ってあげるのが人情ってものだ。しかし事が公になってしまった以上はハノイには、本当にITが使われているのかどーかをつぶさに見聞した記事を書き送って戴きたいもの。「オシムが電卓を使っていた」でも構わないから。流石に「オシムが計算尺を使っていた」じゃあITじゃないんで気を付けて。差分機械だったらどーなるんだ?

 知り合いの知り合いが何か自主制作CDを出したって話からじゃあとりあえずどんなものかを聞いてあげるのも見聞につながり仕事の種になりかもってことでそのCDを借り受けたらこれが何と自主制作なのにDVD付きの豪華版。その名も「AKATUKI J9」 ってユニットなんだけれど、DVDから先に見ると何やらSFだかサイバーパンクめいた世界設定を前振りにして秋葉原へと集まったスタイリッシュなファッションをした面々が、眼下に「石丸電器」の看板や「UDX」がのぞめるビルの屋上で、パラボラアンテナなんかを脇に置きつつパラパラをシャープにしてカラテの演舞めいたアクションも盛り込ませつつ踊る映像が飛び出してきてこりゃいったい何だと身をぐっと乗りだししばらく見入る。つかどこだここ。万世橋の手前の交差点あたりか。こんなビルあったか。そんなところでどう言って踊ったんだ。

 曲は「マジリアルファンタジー」ってタイトルでネット上何かにも映像が上がっていたりするけれど、ステージ上をとらえたネット上の映像はスピード感あるシャープなダンスがなかなかの格好良さ。加えてDVDの映像は秋葉原ではなく御徒町のアーケード下を清春みたいなビジュアルをした兄ちゃんが縦笛ふきつつ闊歩したりするシーンがインサートされててPVっぽい仕上がりにちゃんとなっている。歌も曲はビートが聞いてて旋律もなかなか耳に残る感じで歌声はこれもなかなかに伸びやか。自主制作だからかやや籠もり気味なところもある雰囲気で、プロフェッショナルなエンジニアがミキシングなんかを担当すればさらに伸びも出て通る声になりそーな印象。加えて秋葉原。さらにパラパラ。なおかつカラテ。ついでにSF。印象的にはビジュアル系。ファッション類も自分でデザインしてみせるマルチな活動にはフックがたくさんあって、そのどっかがどっかに引っかかればピュッと飛び出して行きそうな印象を受ける。

 おまけにユニット名からピンと来る人は来るよーにアニメーションへの関心もありそーで、実際にウェブサイトなんかを見ると1980年代のアニメのタイトルがずらりと並べられている。そーかそーゆー方面へのフックもあるかと思い調べたらブログにはサッカー日本代表の記述も。アニメにサッカー。どこかの誰かの日記みたいなカテゴリーに思わず吹き出したけれども世間を見渡すとアニメが好きでサッカーも好きな方々の実に案外に多かったりする状況もこれありで、そーした特質なんかをうまく捕まえてくれるプロの音楽会社とか、イベント会社なんかがあったら見たり聞いたりした上でうまくはめ込んでいってくれるかも。ネット上の小さい画面でも存分に映えるダンスのキレは「ハレ晴れユカイ」や「もってけ、セーラーふく」との愛称も良さそう。そーいった方面が実写版で起用するなりアニメの中に登場させてみるなりってコラボが成立したら面白いんだけれど、未だ無名のインディーズユニットをいきなり使う所もないか。

 いやいやこれがどーして、音楽ユニットとして世界的に有名らしー「Basement Jaxx」の楽曲「Hush Boy」に勝手に振り付けた映像なんかがネット上にアップされては数万のアクセスを集め本家からも見咎められるんじゃなくって見初められて評判になり、遂には今年1月に「Zepp Tokyo」で開かれたBasement Jaxxのライブに押し掛け飛び入りダンスまで披露しては当人たちからも面白がられていたりするから知名度に関してはある意味すでに国際級。まあきわめて限定的な国際級だけれどもそこを切り口にすれば権威主義的なメディアだって実績主義的なメーカーだって十分に上を説得させられるだろー。

 まあどこまでリアルにマジな才能なのかはプロフェッショナルが見れば瞭然なんだろーけれども、そこへと至るかどーかは当人たち次第なんでまずはお試しで見て使い、それから判断してみるってのも手かもしれない。取材にかこつけて話してみたら見かけは派手だけれどもなかなかに生真面目、というより1人はアニメ大好きで1人はサッカー大好きでもう1人は自称ジャズのファン。自称ってとこが重要だけれど癖もありつつサービス精神も旺盛みたいで、楽曲を使ってくれないかって京都の豆腐みたいなビルの会社を訪ねていったりビートがマニアな会社に向かったりと行動力も旺盛。いきなり超でっかいところを行くとは無謀感もあるけれど、考えようによってはスレてないとも言えそうで、だからこそ引っ張りダンスを磨き歌を磨きすればそれなりに、ひょっとすればそれ以上の玉となって光り出す、かどーかはやっぱり僕には分からない。だからこそプロの人たちにどう転がすのかを期待。それにしても気になる「J9」。やっぱりあれか。旋風で烈風で疾風か。


【7月23日】 スカート姿で逆立ちすればどういうことになるのかを存分に堪能させてくれた「さよなら絶望先生」はしかし冒頭の智恵先生の場合は映って超一瞬。これが30年前なら本放送時に目に留めて堪能しつつ記憶の中のものとして語らなくてはならなかったんだろーけれど、ビデオが発達しHDDレコーダーまで普及し切ってしまった現代はハイクオリティな録画をそれこそコマ送りでもって確認できるんでそのシーンだってもちろんばっちり。でもって画面にずっと映し出しておくことだってできてしまう。何と素晴らしい時代になったんだ。もっとも終盤の木村カエレの逆さ照る照る坊主なシーンはあんまり長くは眺めていたくないなあ。美学的にはやっぱりチラリはモロに勝り純白は苺に勝利する、のだ。見つめすぎて訴えられてもかなわないし。

 んで「らき☆すた」。4話くらいまではDVDを買おうかなって気もあって現に2話まで収録の第1巻は限定版を買ったんだけれどそれがちょっぴりむなしくなってしまった気が。そりゃあ嬉しいよ、「涼宮ハルヒの憂鬱」のパロディをこなたが全力でやってくれているシーンを見るのは楽しいけれどもそれはアニメーション的な楽しさとはまるで無関係。例えるならばパロディ本を読んでほくそ笑むよーな印象で、創作された新しい物語を読んで覚える感動、創り上げられ積み上げられていく感動とはまるで違ってて見てああ愉快って思えはしても取り置いて将来の資産にしたいって切望は浮かばない。

 なるほど破天荒なギャグで固めた展開は直前の「さよなら絶望先生」にも共通するけれどもこちらはベースの漫画が持つ可笑しさを土台にしつつ大きな逸脱はせず、原作とアニメーションの双方からどうやれば面白くなって且つそれぞれに特徴を持たせられるだろうって呻吟が見てとれる。結果出てきたものは原作としての面白さを持ちつつアニメ化された意義もちゃんと見えるフィルムに仕上がっている。白も苺も含めて。でも「らき☆ほし」は「ハルヒ」を知らなきゃまず前提として楽しめない所が妙に居心地を悪くする。

 声優を同じ人間がやっているからこそ繰り広げられる芸も知らない人にはただの声色芸でしかない。顔が変わる訳じゃないし。ニセ長門×ニセキョンの会話も同様。こっちは見て大爆笑だったけれどもそうじゃない人は何が可笑しかったのかが一生だって分からないだろー。そこでだったら勉強するのがオタクってこと? いやいや古典に題を求める手はあっても1年前に放送されたアニメを同じアニメ製作会社と同じパッケージ会社がパロディにするのは単なるセルフパロディであり内輪に向けた再生産。新しい面白さはまるで生まれない。それを言うなら「ハヤテの如く」だってパロディ満載だけれどあれはまあ、ある種の教養が大半でであって、分かって半分くらいは当然だしそーでなくてもピー音を入れるおとでこれはパロディなんだって、見ている人に分かるよーに仕立て上げている。まあ「らき☆すた」も新キャラとか出てきて喋るよーになって来たんでそーした面子がオープニングのチアシーンくらいに活躍してくれる可能性もあるんで、今はまだ呆れずに見守り状況を確認しつつDVDを買うかも判断していこう。だから実写エンディングもそろそろ終われ。せめて主演声優陣にしろ。

 合間を縫って録画してあった「DARKER THAN BLACK」のここん所の4話分をざっと見返したら「コードギアス 反逆のルルーシュ」のC.C.が友情出演してた。三角な顔で目ぱっちりしてて髪緑。誰が見たって10人中で8人はC.C.って答えるだろーキャラはなぜかC.C.とは違って根が明るい雰囲気で、オッドアイの少年を伴い日本に来ては黒(ヘイ)の組織にちょっかいを出す。どーやら黒(ヘイ)とは以前からの知り合いみたいだけれど黒(ヘイ)とはその後仲違いして、出会えば旧交を温める余裕なんてなしに黒(ヘイ)はフェブラリー変じてアンバーが現れるといきり立って南米で分かれその後の生死も不明の妹、白(パイ)の行方をただたあ問い詰める。

 せっかくの美少女なのにつれない態度はそれだけ憎しみが深いってことか。それでもへらへらと笑い黒(ヘイ)を誘うアンバーだけど警視庁とかやって来て絶体絶命になった瞬間にスタンド(違う)発動。こりゃすげえ。しかし対価も気になるところ。強敵の登場で揺れる黒の立場に加えて新しくなっていたオープニングだと仮面を被った黒(ヘイ)が何人も登場しているみたいで、あるいは所属する組織の殺し屋どもが今ひとつコントロールの聴かないチームの粛正にでも乗り出す展開が待っているのかどーなのか。さらに前の2週で銀(イン)が揺れ動く様も描かれていたことだし。ちょっとリアルタイムでの視聴をサボっていたけど来週くらいからはちゃんと追いかけていくか。DVDも買ってしまいそー。

 近所で開かれたんで「プロダクションIG」の決算説明会に行く。いつもだったら真っ先に壇上でビジョンなんかを蕩々と語る社長の石川光久さんがあんまり喋らずもっぱら担当が決算内容について話した最後に登壇しては、昨今ちょっぴり話題になったマッグガーデンとの経営統合について経緯を説明。何でも話が一般に出回って真っ先に講談社へと説明に向かったそーでマッグガーデンの保坂嘉弘社長もいっしょにたぶん「週刊少年マガジン」の編集長だった五十嵐隆夫常務のところに行っていろいろ話して理解を求めたそーだけど、石川さんが言うには五十嵐さんは保坂さんのことを以前から知っていて人柄とかも理解していて今回の提携についても理解を示してたそーな。

 どーゆー経緯で五十嵐さんと保坂さんの面識があったかは石川さんの言だとスクウェア・エニックス時代でのことではなくって、保坂さんは別にペンネームで漫画を描いててそれで五十嵐さんと面識が出来たってことになっていた。とはいえ調べても保坂さんが漫画原作は手がけていても漫画を描いてたって話は見あたらないし、石川さんがちょろりと挙げたタイトルも明らかに別に作者がいそーな作品だったんで、どこかに記憶の錯綜があったんだろー。でも面識があったっぽいことを事実とするなら果たしてどこにどういう繋がりが? スクエニ時代だったら鳥山明さん経由で集英社あたりとは面識があっても不思議じゃないけど。うーん。分からない。

 まあいい、ともあれマッグガーデンを傘下に加えたことで原作の本数が一挙に増えたって石川さんは確信めいて喋っていたけ、ど原作が良かろうとそうでなかろうとアニメのヒットとは無関係なのが昨今の状況。なおかつ「ARIA」を除くと原作的にもアニメ的にもヒット作にはあんまり恵まれていないマッグガーデンを傘下に入れたことを、収益面でプラスになると単純に前向きに評価すべきか否か。むしろ出版ってゆーなかなかに水物の商売を抱え込んでしまうリスクの方を取るべきか。うーん悩ましい。分裂3兄弟だと本家の「月刊少年ガンガン」は「現代用語の基礎知識」並の分厚さで書店を泣かせているし、買ってる単行本の種類なんかだと一迅社の方が何だか多い印象、「シンシア・ザ・ミッション」とか「あまつき」とか。マッグガーデンだと「びんちょうタン」か「あさっての方向」だけどどっちもアニメ、終わっちゃってるんでIGの出る幕はなし。うーんやっぱり分からない。石川さんが最後にちょろっと出てきてこの提携についてだけ喋るのも分からない。創業者受難が続くオタクな業界にあって石川さんの起死回生の一策だったのかな。でもって周囲はやれやれともてあまし気味ってことなのかな。いずれにしても目が離せない。どうなるIG。


【7月22日】 世間は夏だってーのに「ぽてまよ」世界はクリスマスにお正月。もしかすると1年ばかり始まるのが遅かったのかそれとも半年早かったのかって疑問も湧くけど、DVDとか出始める頃だとタイミングもまあそんなに悪くないと思えばそれはそれで良い判断だったのかも。それにしても夏みかん役の川澄綾子さんは相変わらずに幅が広い。こっちじゃハイテンションの演技を見せ、闖入者を迷惑そうに相手していた「怪物王女」じゃあ毅然として超然とした演技ぶり。かつてはラフィールなんて偉そうなのに色恋に背は向けられない今時はやりの女の子の先駆者的な役をやってたくらいだし、今だってやろーと思えばできるんだろーけどそっちは専門家が出てきたんでお任せ状態。まあ姫もそーした傾向に入るキャラではあるんだけれどもデレる時でも超然としているからちょっと類例からは外れるか。ともあれ適当に見ていて楽しい「ぽてまよ」の今後に期待。ぐちゅ子はどこで豚とか牛とか狩って来るんだ?

 んで「天元突破グレンラガン」は一気に進んで7年後。7年であんあにメトロポリスを作れるのか。起きてきたテッペリンがそれだけ凄い技術の固まりだったってことなのか。まあともかくとしてすっかり偉そうになったロシウは補佐官として熱血心がくすぶっているシモンを横目に着々と権勢を広げてはいるけど根っこには人類を守りたいってゆー気があるんだろーから行動にやましさは見えない。でもいらだちっぷりはちょっと突出。性格なのかもしれないけれどもそれにしても心配性が行き過ぎてないかと思ったら100万人のオーダーを超えた途端に空中よりなにやら現れ周囲を破壊。それで100万人のうちの1万人分は減ったよーに見えたけれどもメカは消えずに破壊を続ける。

 とりあえずギミーとダリーの成長して凛々しくなったり可愛くなった姿をジム(違う!)のコックピットに納めて立ち向かったけれどもかなわず。あのビラルの反乱ですら取り押さえた腕でもかなわない相手に復活のグレンラガンが立ち向かったものの四散したメカは焼夷弾のようにカミナシティへと降り注いでさらに2万人は減らしてしまった感じ。でもいったん動き出した虐殺機関は目覚めたニアを筆頭に置いて動き続けるんだろー。さてはてどこへと向かうのか。螺旋王はニアがあーなる可能性を知ってて生み出しそして捨てたのか。そもそもニアって人間なのか。違うのか。いろいろ疑問も浮かんだけれども最大の疑問はやっぱりヨーコの行方とそして現在の格好か。今もまだあんな露出の高い格好をしているのか。歳も歳なのに、って幾つだヨーコ。それにしてもキノン性格変わりすぎ。暢気なんてもんじゃねえ。改名か。

 「コードギアス 反逆のルルーシュ」の先行上映会には選に漏れ、かといって家にいても暑いんで原稿も読めないんで「ハヤテのごとく」を見終わってから支度をして出て船橋駅の下にあるラーメン横町に入っている「青葉」でラーメンを食い地下鉄で「東京都現代美術館」へと向かう途中で川口士さんの「ライタークロイス」(富士見ファンタジア文庫)をぺらぺら。なにやら勲章を操り竜を呼び出す力を持った騎士を登用する帝国の試験に田舎から出てきた少年が現地のやんちゃな少年と仲良くなり居丈高で相手を「卿」なんて妙な人称で呼ぶ少女に出会い主人に忠実な若い家政婦と知り合いになりつつ試験の準備をしているところに持ち上がる不正事件。その解決のためにと誘われて少年は迷いながらも気持に従って行動する。

 ってゆーだけならまあ割とありがちな展開だけれどもこれで終わりじゃないらしくって、帝国にだけ伝わる騎士の力と帝国が相手にする魔物の謎、そして今は帝国と魔物の間で拮抗している力のバランスが崩れた時に起こるだろう未曾有の混乱に備える周辺諸国の思惑なんかが絡んで結構大きな設定が浮かび上がってきた。とかく風呂敷を広げると畳みにくくなるものだけれど(国と国との争いが1人の英雄の登場ですぐさま片づく、なんてご都合なんて今更だし)、そこんところをどう差配して外交を描き歴史を刻みつつ、その中で成長していく純真で強靱な少年の姿を友人や、お姫様ともどもどう描いていくのかってあたりに注目して行く末を見守っていきたい。ファンタジア長編小説大賞の「戦鬼」がピンと来なかったけれどもその後にスクウェア・エニックスから出た「ステレオタイプパワープレー」がゴージャスで愉快なだっただけに筆力は大丈夫そう。あとは世界をまとめあげる構想力か。

 んでもって到着した「東京都現代美術館」はチケットこそすぐ変えたものの「男鹿和雄展」への入場は40分待ち。まあ大げさに書いてある場合が多いんで列に並んでだいたい30分くらいで中へと入ってあとは飾ってあるアニメの背景美術をざらっと眺めていく。いきなり「侍ジャイアンツ」とか「幻魔大戦」とかあって懐かしさに感涙。とりわけ「幻魔大戦」は「ザ・バラエティ」だかに描かれた幻魔の爆裂する塊から逃れてニューヨークの街の上を飛びつつ塊を見下ろすベガにプリンセス・ルナに東丈って構図の絵は記憶にあるなあ。これを描いたのが男鹿さんだったのか。知って今更驚く事実。当時はそんなに美術の人に興味を向けるアニメファンなんてそんなにいなかったし。でも小林七郎さんだけは知ってたか、なぜって「ルパン三世 カリオストロの城」を手がけた人だったから。

 つまりはそんな具合に作品への関心なり、その作品を監督した人への興味からまず恥合ってフィルム全般への愛着があってはじめて背景美術への興味って浮かぶもので、作品から離れて単独で成り立つ種類のものではなく、ましてや作品を超えて有名になるよーなものでもない。男鹿さん本人もそーゆーことは自覚していて図録の中で「となりのトトロ」を担当することになってそれまでの感覚で描いた絵を宮崎駿監督のところに持っていったら「男鹿さんの基準はこんなものですか」と言われて気合いを入れ直したって話している。宮崎監督のイメージがまずあって、おそらくはイメージボードもあってそこから描いていった「トトロの森」。もちろんそこで宮崎監督の持つイメージを具現化して且つ増幅し、圧倒的なテクニックと感覚でもってあの緑を、あの空間を描き挙げた才能は才能として認めるけれどもそれをあたかも「トトロの森の創造者」みたいな空気でアピールするのは違うよーな気がする。

 宮崎駿って監督が創り上げた「トトロ」ってすごい作品があって宮崎監督がもっぱら仕事をしている「ジブリ」って看板があれば、そこに加わり仕事をしていた「男鹿和雄」ってゆークリエーターの作品がこーやって展覧会に成り得る。それだけ日本における「ジブリブランド」が凄いってことなんだろーし、そーしたブランドに惹かれて見に来た人が男鹿さんの才能と、背景美術って仕事の大切さを感じてもらえればアニメ好きとしてはこんなに嬉しいことはない。背景がCG化されて深みも暖かみもなくなっていくなかで2Dの絵、水彩の絵でもアニメの中に入り込むととてつもなく素晴らしい空間をそこに作り出せるんだってゆー事実を知った子供が将来、そーした仕事をしたいと思ってくれればこんなに心強いことはない。けれども「ジブリ」ブランドに引っ張り上げられて男鹿さんは見ても、他にさらに素晴らしい背景美術のスタッフたちがいることを知らずに通り過ぎてしまう懸念がある。

 小林七郎さんなんて昔から今に至るまで第一人者で男鹿さんにとっても師匠にあたるのに、単独で展覧会が行われるよーな空気にはない。同様に「幻魔大戦」なんかで師事した椋尾篁さんなんて最近になってよーやく資料館が造られる動きが進んでいるけど美術館で個展なんて開かれない。男鹿さんの展覧会に行列ができるくらいに人が来る理由の多くはやっぱり「ジブリブランド」あってのもの。それさえあれば言葉は悪いけれども一介の美術監督の背景画を並べた展示会にだって人を集められるんだってゆー気持が企画した側にあるとしたら、それはちょっとあんまりだって気がしないでもない。使えるブランドを使って男鹿さん1人だけじゃなくって小林さん、椋尾さんといった先達の業績を紹介して日本にあるアニメーション美術の系譜をまとめ伝える仕事を、ジブリあたりには義務として実施して欲しい気もするけど、無理かなあ、ボランティア的であってもマーケティング的じゃあないもんなあ。

 いやまあしか流石に凄い才能だけあって「となりのトトロ」の丘陵や田園が持つ空気感を1枚の絵に仕立て上げてみせる腕とか、「もののけ姫」の原生林が生い茂ったどこか暴力的な雰囲気を持つ森を表現してみせる腕とかはやはり最高峰。水彩の絵もすごいけれども原画っぽく鉛筆で描かれた森なんかは水彩のタッチに頼る描き方じゃなくアニメーター的にフォルムをしっかりととって描く手法がとられていて、感性だけじゃなくって技術もしっかり持った人なんだってことを伺わせる。技術がなきゃあパースのとれた街の絵なんて描けないもんなあ。展示はそんな背景画のほかに撮影時の再現なんかが行われたコーナーもあって「魔女の宅急便」で坂道を少年がキキを後ろに乗せて自転車で疾走するシーンの横長の背景とか、アシタカがウマだかに載って崖を駆け下りるシーンの縦長の背景なんかを展示中。移動するシーンなんかはそーした移動に合わせて絵が大きく描かれているんだってことを目に見せてくれるのはありがたい。画集じゃあ迫力、出ないもんなあ。

 会場を出て常設展で加藤美佳さんの「カナリヤ」が収蔵品になっていたのを発見。これは良い絵だ。あと日本テレビ放送網の汐留社屋の前に去年だか展示してあった岡本太郎さんの壁画が特別展示してあるのを見物。汐留じゃああまりに大勢の観客に間近に見られなかったけれどもこっちじゃあ舐め放題。ざっと見て背景にガチャピンに良く似たオブジェクトが浮かんでいるのを見てこれはアジアカップで活躍しているサッカー日本代表を予言した絵なんじゃないかと妄想が浮かぶ。くちばしみたいのをとんがらかせた鳥みたいなオブジェクトはガミガミうるさい川口能活選手で中央に屹立する魔人みたいのは高原直泰選手。ヒモみたいに帯みたいにぬべらーっと伸びているのは加地亮選手といった具合で、探してはめればいろいろとはまりそう。ガチャピンはもちろん遠藤保仁選手だ。岡本太郎が予言したのはガチャピンだったのかそれともヤットだったのか。


【7月21日】 しばらく音沙汰がないと思ったら2冊も書いていたのか渡辺仙州さん、って誰? ってそれはさすがにないけど内容についてはすっかり頭から離れてしまっていた「神種(シェンシード)」(GA文庫)の第2巻が登場。1巻に果たして出てきたキャラかすら覚えていない誘拐されて殺害されたらしー弟が体の中に入って傍目には二重人格っぽい言動を見せる少女が同級生達の失踪し殺害される事件にのめり込んでいってはネット上で知り合った八倉瞬って少年と共闘するってゆーストーリー。ただの失踪事件に見えてタイトルいなる「神種」が絡んで来るんだけれど記憶からこの「神種」が何で瞬が何者だったかもすっぽり抜けているんでいったい何が起こっているのかがあんまりよく分からない。1巻眼を探し出して読み返すか。見た目引っ込み思案な眼鏡っ娘美少女が人格変わると格闘少年になるのは何か「シンシア・ザ・ミッション」っぽいなあ。

 んでもって噂のガガガ文庫からも知らないうちにお声掛けをされてたみたいで「鬼器戦記」(小学館、590円)ってのが登場。天帝機構なるものが人間を鬼龍と戦う存在にスカウトしては戦いに引きずり込んでしまうってゆー唐突な設定に始まって、そんな「操鬼師」の家系に生まれた少年が秋に姉を戦いの中で失って愕然としつつ、やっぱり操鬼師にさせられてしまったものの戦いが苦手な妹を守り何とか戦ってはいたものの今ひとつ。そこに現れたのが天帝機構の命令によって2人の“姉”となるべく送り込まれてきた春花という少女。早速それなりな力で2人を助けはするけれども、少年から見るとどうも行動がおかしく、もしかしたら2人を抹殺しに来た鬼龍のスパイか何かって疑心が浮かぶ。

 そして始まった戦いで少年は悲惨な光景を見、また裏切りの場面に見えて愕然とする。しかしその裏には別の企みがあったとゆーどんでん返しがあったりする所とか、天帝機構ってどこか中国の神話に関連する世界観が背景にあったりする部分が有り体の退魔物なんかとの違いになっていて、ちょっとの冴えを感じさせる。ただ全体としてやっぱり天帝機構が操鬼師なんてものに負担を追わせて守ろうとしているものは何なのか、姉を助けようとするだけで裏切っている訳でもなかいのにどーして天師を使わせて罰を下すのか、って部分が分からず切実感にちょっぴり欠ける。現実世界とは遊離した神話世界ののレイヤーがあってそこで何か適当にやっているって感じで、だったらわざわざ舞台を現代にしなくっても良いのに、中華風神話世界での神対悪魔のバトルにでもしておけば良いのにって思ったけれどもまあ、巻が重なればその辺も分かって来るんだろー。重なるかどーかは知らないけれど。

 家にいると夜までドキドキが続きそーだったんで家を出て「ハリーポッター」の新刊でも買いに行こうとは微塵も思わず(英語読めないもん)電車に乗って秋葉原へと出てアニメを移したDVD−RAMを保存するケースを購入。そーいや最近ショップを回っていてDVD−RAMが減ってDVD−RWが増えているよーな気がしたけれども世間じゃ録画メディアはそーゆー傾向になっているんだろーか。DVD−Rは何かあんまり好かないんで録画しても消せるメディアをずっと使っているんだけどいつまでもRAMで良いのかちょっぴり迷いが出てきた。まあRAMをどちらかといえば主流にしているっぽい東芝のHD/DVDレコーダーが出ているうちはRAMでも大丈夫なんだろーけど。壊れないうちに1台買って取り置いておくか。

 んでもって久方ぶりに「ラゾーナ川崎」へと出向いてバンダイとナムコがやってるアミューズメント施設の「ヒーローズベース」へと出向いて来日中のジョージとオリバーのフェルプス兄弟、ってゆーか「ハリー・ポッター」の映画でハリーの友達のロンの兄貴でいたずらばかりしている双子のフレッドとジョージのウィーズリー兄弟を演じている役者が挨拶をする姿を見物。見渡すと子供ってよりは若いお母様お姉さまが多くっておそらくは「ハリポタ」を題材にいろいろな同人活動をなさっておられる方の中でも「フレッド×ジョージ」あるいは「ジョージ×フレッド」をメーンとした方々が夏の祭典の追い込みを前に駆けつけた、なんて想像も浮かんだけれども事実かどーかは不明。たんに映画のファンって見るのが打倒かも。だってそんなに格好良くないからフェルプス兄弟。

 「ハリポタ」に出ていなければただの長身の兄ちゃんたち、って雰囲気。でもあれだけの人気映画にずっとで続けている以上は単に最初にオーディションで通ってあと役者を変えるわけにもいかずとりあえず出させてもらい続けてるだけってことはなく、演技にも光るものがあるんだろー。と思いたいけど実は1度も「ハリポタ」の映画を見たことがないのです、劇場でも、DVDでも。ハーマイオニー・グレンジャーが出ていてどうして? って我ながら思うけれども今のハーマイオニーを見てしまうとどんなに無垢でも純真そうでも少女は育つのだってゆー現実を、はっきりと突きつけられているよーで愕然としてしまうから見ないでおくに越したことはないのかも。残る数年、発売された最終巻が映画化される時にはいったいどんな風貌になっているんだろー、エマ・ワトソン。

 アトラクションで行われたクレーンゲームでは何も弟がゲットできないのを横目に兄貴が筆入れとクッションをゲットしていく様に双子は兄貴が正義なんだと確信。奔放でモテモテの弟を横目に勉学に励むも理解されず暗い人生を送る可能性はあってもそれでも弛まぬ努力をし続ける成果がこーゆー場で発揮されるのだ。って別に自慢にもならないか。そんな景品を惜しげもなく(惜しくもないか)客席に投げ入れるフェルプス兄。良い奴じゃん、映画も見てあげよーかな、ハーマイオニーがハーマイオニーらしかった1作目とあとせいぜい2作目くらいまで。そんなラゾーナ川崎を後にして京急川崎から三田線へと乗り継ぎ神保町へと出て三省堂神田本店で行われた中森明夫さんと辛酸なめ子さんのトークショーを見物。

 その2人で何を喋るんだろーと思っていたらアイドルの小明(あかり)さんって人も登壇して中森さんが片側に顎のきゅっと細く目もぱっちりとした現役アイドルの小明さんを置き反対側に辛酸なめ子さんを置いて置きっぱなしで小明さんに話しかけるってゆー構図に辛酸なめ子さんが辛酸を舐め続けるトークショーになりかけたけれどもそこは中森さん、ちゃんと万弁なく話を古し何より小明さんが辛酸さんのファンだそーで中森さんを飛ばして挨拶したり会話したりする光景も見られて、なるほど有名になるといろんな人と知り合えるんだなあって羨望に目を潤ませる。何せ辛酸さん、新丸ビルかどこかの店で松任谷由実さんとカラオケをいっしょになったそーで、流石にユーミンの歌は歌えずタッキー&翼にはしたそーだけれどもそれでもやっぱり凄羨ましい。いつか僕だって山下達郎さんとカラオケしたいよー。でもって「ラブスペース」を歌って苦笑されるんだ。

 印象としては中森さん、話があっちに飛んでこっちに飛んで戻ってもそれてそのまま突っ走っていくって感じで、何かにテーマをしぼって話すタイプではあんまりなさそー。徹底しての雑談を2時間ばかり繰り広げてみせたって感じだった今回のトークイベント。無理にテーマをしぼり順に聞いていった場合、相手が答えなかったり、質問がなくなったりした時には暗い間が生まれがち。それなら変幻自在に話を自分を中心としてあっちに振りこっちに飛ばしていった方が、相手も自分も沈黙せず、奇妙な間も生まれず会話が弾んでいるっぽい雰囲気を作り出して時間も埋められるのかもしれない。あるいは相手に考えさせる間を与えず話に巻き込み心情をひょろっとした中に吐露させてしまうテクニックって奴なのかも。そーやって聞き出した話をあと、まとめる人はちょっと大変かもしれないけれど。バラバラだし。

 そんな中でもとりあえず幾つか分かったのは小明さんは顔立ちも声もとっても可愛らしいってことと、辛酸さんは写真写りが悪い方かもしれないってことか。何でも小明さん、今は事務所に所属していなくって自分で自分をマネジメントしているらしーんだけれどそれでちゃんと仕事も増えて人気も健在ってところが凄い。危ない仕事とかに巻き込まれたこともないのは人徳か、それとも辛酸さんがあいうどこか修道女っぽい風貌故か。どこがどう修道女かまでは辛酸’sアイじゃないから不明。辛酸さんはあいかわらずあっちにこっちに出没しているみたいでユーミンとだけじゃなくってセレブな方とかモデルさんなんかともツーショットしていて羨ましい。数年前にセガの渋谷のアミューズメント施設にゆうこりんが現れたのを取材していたそーで、その場には僕もいたんだけれど一緒にゆうこりんを撮影してもこちてゃその後もやっぱりゆうこりんと撮影していてあっちはセレブに黒幕にユーミン。頑張らなくっちゃせめて沢尻あるいは長澤の側に近寄れるくらいには。

 終了後はもちろん「コードギアス 反逆のルルーシュ」の24話と25話の先行上映会には行けず自宅にとって返してサッカーのアジアカップの「日本対オーストラリア」を見物。コーナーキックの流れたところを押し込まれるいやな展開になったけれどもすぐさまクロスを巻誠一郎選手が落としてそれを相手がクリアしきれなかった所に居合わせた高原直泰選手が片足で引き寄せ反転してシュート、ゴール! いかにも高原選手らしー俊敏なシュートで同点に追いつきさあ逆転って期待を抱いたもののオーストラリアが1人減ってしまって守備を固めて来てしまってなかなか切り込めず。それでもゴール前に入り込むんだけれどもすでに巻選手が交代していたりしてスルーパスが欲しいだろー佐藤寿人選手とはかみ合わないまま延長も終えてPK戦。案の定ロッカーに引き上げたオシム監督の遠くから願う中を始まったPK戦はやっぱり川口能活だって所が見られてどうにか勝利。上へと進む権利を得た。高原最高。巻もまあ頑張った。遠藤選手はPKがやっぱり凄いなあ。あれを05年のナビスコカップで止めた立石選手は偉かった。


日刊リウイチへ戻る
リウイチのホームページへ戻る