縮刷版2007年6月下旬号


【6月30日】 んで椎葉周さんの「アンジェリック・ノワール 第2巻」(角川スニーカー文庫、590円)はあらすじが先走り過ぎ。表紙になってる金髪の美少女がヤヨイに力をインストールされて天使になって戦いに参加するってあるけどそれは物語の最後の最後で、それもユースケやマスターが戦っている目の前での出来事。実はすでに天使をインストールされててピンチにさっそうと正体を現し、ユースケたちに救いの手をさしのべる、ヒロインにありがちな展開を展開を期待していて肩すかしを食らった気分。

 もっとも別の正体については驚きがたっぷり。そうかそんな生い立ちがあったのか。それでいて曲がらず学校でも敬愛されているところを見るとよほどの人格者なんだろー。おまけにめちゃくちゃ強そーだし。とはいえヤヨイたち宇宙人が別の宇宙人のマリコと戦っているって設定が明らかになった第1巻に比べると、大きな展開がなく印象としては修行編って感じ。マリコたちの策謀が見えかけはしたけれども、しょせんは末端でのいざこざに過ぎず本格的なバトルとなるのはこの先か。マリコのイラストも今回はあんまりエロくないのもやや残念。まあ沈み込んだ分をぐっと高くジャンプするだろーと期待して次巻を待とう。

 4万人て何だよ4万人って。まあそりゃ塾とかを運営しているっぽいTOHMASってスポンサーが四万枚を買い上げたぶん会員か何かを招待したみたいだけれど、それにしたってあの巨大な「日産スタジアム」を割といっぱいな感じにまで埋めるなんて何の宣伝じゃあできやしない。おまけにカードは「横浜FC対ジェフユナイテッド市原・千葉」だ。J2あがりでまだまだ発展途上の横浜FCに加えて不人気ぶりではJ1屈指のジェフ千葉とゆーカードなんてたとえタダ券だって見たくない、って人がいたって当然なのにこれだけ集まるてのは何だろー、TOHMASって会社がそれだけ影響力を持っているのか、あるいは日本代表選手がわんさと増えたことによるジェフ千葉人気の向上か。

 どっちにしたって4万人なんてそうそう集まらない人数の前で試合が出来る喜びを、さらに上乗せするべくピッチへと出た選手たち、早々に山岸智選手が1点を決めてさあ大量得点だって思ったものの、相手はハマナチオで鳴る横浜なだけにサイドへ振ってもそこから前へと運べず戻す繰り返し。中央からサイドへとゆこうな展開がなかなかできないのが辛いところで、視野が広くフィードが正確だった阿部勇樹選手の不在って奴を改めて噛みしめる。ニアからヘッドでズドン! な得点が激減したことも合わせて。

 それでも攻めあぐねても守りに関してはまずまずで、フリーでヘディングをうたれたりバーにはじかれたりといった厳しい場面も数度あったけれども守りきって勝利。ストヤノフ選手の謹慎から続いた4戦を3勝1敗で乗り切れたのは監督としても良かったし、チームとしてもとりあえずまとまりを得られ成果も得られて良かったんじゃなかろーか。相手が下位チームばかりだったってのも僥倖か。ここで中断となって戦術面を叩き直し新選手も得、米倉選手みたいな新戦力の台頭も得て後半戦を3勝1分くらいのペースで行ってくれれば嬉しいんだけれど、そうもうまくはいかないか。とりあえずは様子見。

 んでファミ通文庫の「えんため大賞」選考会で物議を醸したってゆー文岡あちらさん「ヒツギでSOSO!」(ファミ通文庫、600円)をざっくり読む。なるほどこれはライトノベルには悩ましげな設定。けれどもライトノベルだからこそ語れる物語。国際文化センターが破壊されたテロで大勢が死んで10年。頻発するテロとその報復テロが収まらない中、死刑制度を存続させている大米共和国はより制度をスケールアップさせ、凶悪犯罪の犯人は大勢の前でど派手に公開処刑し、他の凶悪犯罪者たちの見せしめにしよーとしていた。中心となるのが凶悪犯罪やテロなんかで肉親や大切な人を失った遺族に現れる、不思議な能力が使えるようになる「PTSD」(心的外傷後超人障害)の対象者を一級処刑官として認定し、その力を振るわせ世間に処刑の恐怖を見せつけていた。

 大米共和国と同様に死刑制度を存続させている真日本でも押されるままに公開処刑を制度化していて、処刑官こそがエリートとうー風潮が芽生える中で「十三学園」とゆー学校を作って処刑官を育成していた、その中に1人、過去に凶悪犯罪に遭遇した経験があったことから「PTSD」を発現する可能性があると見なされ、特待生として「十三学園」に入りながらも処刑官になるのが嫌なのか、エリートコースから外れてもっぱら処刑された人を対象に葬儀を営むコースで粛々と学生生活を送っている比津木奏輔とゆー少年がいた。その日も大米共和国の移民局を爆破し数百人を殺害したってゆー罪でつかまったテロリストが学園内で処刑されることになっていて、早くに「PTSD」を発現させ、大米共和国からプロと認められた一級処刑官の荊井姫離子が壇上にあがりその能力「パンツァートーチ」でテロリストを貫き死に至らしめる。

 ところがそこに乱入者あり。テロリストの娘として育ったアリカがテロ組織「バレットフィスト」の仲間たちとともにリーダーの遺体を奪還し、それに奏輔ともう1人、同級生でエンバーミングが得意な条禅穂風里とゆー少女が巻き込まれてしまう。憎むべきテロリスト。なのに奏輔は通報せずリーダーの遺言に従いアリカの頼みも聞き入れリーダーを正式な風習にのっとって弔おうとする。そこに迫るキリコ=イバライ。かくして追われる身となり逃避行を続ける中で奏輔は何者かによる謀略に気付く。背景には処刑制度を守り己が影響力を高めようとする大米共和国の横暴があった。

 とまあ、そんな感じに進む話の中で浮かび上がってくるのは、犯罪やテロを起こして報復をしてその繰り返しが果てしなく続く連鎖の虚しさ。目には目を、とばかりに鉄腕をふりまわして大好きだった少年の死に報いようと張り切るリツコ=イバライはなるほど一般的な感情を凝縮させた存在だって言えるけど、それで何かが解決したってことはなくむしろ別の悲しみを生み、怒りを生み、憎しみを生むばかり。なのに止まることのできないイバライたちの行動が、果たして妥当なのかと奏輔の言葉と行動を通して投げかけられたとしても、これまた正しいのかと言われるとやっぱり難しい。

 ただ同じ「9・11」をきっかけに変貌した世界を描いている伊藤計劃さんの「虐殺器官」(早川書房)が、憎しみと怒りの連鎖の果てに滅亡へと歩む世界を描いて、未来に絶望感を与えたのと比べると、「ヒツギでSOSO!」はたとえ青臭くても前向きで開放的な世界の姿を想像させてくれる。選べと言われて選ぶとしたらやっぱり「ヒツギでSOSO!」にしたくなるのが諍いや争いの嫌いな人間としての思いだけれど、果たして肉親が危害を受けていたとしてもそう言い続けられるのかどうか。やっぱり難しい。難しいけれどでも……と考えはぐるぐる巡る。難しいなあ、やっぱり。

 ともあれ投げかけられているテーマは、今年1番の傑作と評判ばかりが盛り上がる「虐殺器官」にだってひけをとらない深さがあり、広さも持っていて、それでいて圧倒的に楽しめる点は確か。ライトノベルのフォーマットだからこそ、突拍子っもない設定を持ち込めてあっけらかんとした展開に持ち込めて、そして圧巻のメッセージを放てるのだ。リアルな物語がリアルさ故に悲観に走らざるを得ないのだとしたら、そんなリアルをバーチャルな想像力で覆って変えてみせっる。そんな大きさをライトノベルは持っている。凄いなあ。でも死刑制度の是非とか、公開処刑のあり方とか、葬儀の作法ってものを描くのがライトノベル的かってゆーとこれはまた別の話。躊躇したのもよく分かる。何でもありでもあり過ぎるこの設定を、迷いながらも取り上げ物語へと仕立て上げ、そして傑作SFに互せる成果を挙げた「ヒツギでSOSO!」の作者と編集人の英断を讃えよう。

 ほとんどリアルタイムで殺された遺族の犯人にたいする憤りが電波やメディアで発信されている状況に実にタイムリーな作品だって言えるけど、こちらも偶然にしてはタイムリー過ぎてもしもテレビ番組だったら放送延期とかを食らっていたかも。天然ガスのガス爆発。それが絡んでくる伊東京一さん「バート・ハート・ヒート 夜姫天炎!」(ファミ通文庫、640円)は巨大な鳥にのって飛ぶレースが行われている世界で双璧にあるアークの国からラピーヌの国へと遣わされラピーヌ国王の妻になることを定められたリーンことリドニー姫が困っていたところをテオって少年が助け無事にラピーヌ国まで連れて行き、陰謀も暴くテオって少年の物語だった第1巻「舞姫天翔!」から続いて、騎鳥選手の見習いになったテオが都で頑張っていたところに起こった事件、それは闇をついて鳥を操りラピーヌ国の貴族たちをさらう謎の存在の出現だった。

 もしかして犯人かと疑われたテオは犯人探しに乗り出し犯行現場の近くで倒れていた少女をたずねたりして真相を探ろうとするものの思うにまかせない。そんあ中で犯人が残した文様の意味を知ってかリーンがひとり出立。そして事態は大昔のまだアークとラピーヌが敵対していた時代に端を発した人間たちの鬱屈へとつながっていく。かたや王妃候補でそれ以前に姫君のリーンとこなた一介の騎鳥選手見習いのテオとではいくら感情がつながっていても添い遂げることは不可能。それが明示された前巻のエンディングにハッピーさとはまた違う苦さを覚えた人も多かったかもしれないけれど、第2巻ではそんな苦さを噛みしめている別の存在も明らかになって、もしかしたらとゆー可能性が示唆される。可能かどーかは分からないけどそこはそれ、適当に見えてなかなか名君な王を先頭に優れた能力と行動力を持った面々が頑張れば、遠くない将来に答えを得られるんだと信じたい。とりあえずカルロッタちゃん、幸せになってくれい。テオはリーンの手料理を食って死ね。

 なんかあったらしーけど余韻もなにもない秋葉原へと回って新刊などを確認、HJ文庫なんかをアニメイトで仕入れる。みるとカプセル自販機のバッジタイプ販売機に「コードギアス 反逆のルルーシュ」が入っていたけど脇でポイントの抽選会だか交換会だか何かをやっていて混雑していて近寄れず、やれば1000円は突っ込んだだろーお得意さんをふいにしたなと言っておこー。いや流石にポスターじゃないんでそこまで必死にコンプリートは目指さないけど。店頭では「ナナリー」漫画だけが品切れ。やっぱりみんな見たいんだなあ、幼い美少女の生まれたまんまな格好を。でも見るとあんまりナナリーじゃないんで幻滅するかも。可憐で儚げ。それがナナリー。かと思っていたら案外に本編でも腹黒いところを見せたりして。小夜子さんを影で操り「黒の騎士団」だって裏から操縦。キョウトとも通じてルルーシュを密かに支援している真のリーダー、それがナナリー、だったらちょっと愉快。


【6月29日】 これぞ大団円って奴を見せてくれたぜ「セイントオクトーバー」の最終回は瓦煎餅みたく石版になったユアンくんをバリバリと食べたクルツ社長がその名もテロップ入りの「完璧クルツ」となってユアンくんから力を授かったゴスロリ少女探偵団を相手に王様ゲーム。普通だったらこの緊迫している場面でふざけた演出だって思うけれども26話にわたり積み重ねてきたクルツの見た目とは違ったガキっぽさがここでもやっぱり出た買ってゆー、統一感がまず先に立って何も不思議に感じないどころかクルツって存在の無邪気さが改めて強調されて背筋がチリっと凍り付く。

 最終回なんで手抜きもなく赤ロリに白ロリを射抜かせ白ロリに赤ロリを緊縛させる容赦なさ。黒ロリも逃れられずクルツから剣で首を引き裂かれようかとしていた時に現れたエスメラルダが赤ロリ抹殺の鞭を振るう、その場面は過去のどの作画よりも完璧に2回転する小十乃の怯えた表情が描かれていて心をグッと惹きつけられる。よく動くなあ。うまく動かすなあ。もっともでち子に黒ロリ抹殺は果たせず逆に黒ロリに突っ込まれて迷いを生じさせたらクルツがあっさり見捨ててエスメラルダ呆然。さらにクルツの中で息を吹き返したユアン君の誘いに乗って剣を振るう、かと思ったらなぜか指先で完璧クルツなユアンの顔に罰点を1度書きさらにもう1度線を入れる謎の動きでジャッジメントに成功する。2度のジャッジメントで消滅へと追い込んだのかなあ。念には念を入れるために。

 一方で2度のジャッジメントを受けて消滅したソフィア部長もでち子のおにーたまも予言者さんの配慮にて復活。小十乃の心の影になってた部分をちゃんと取り除いて前を向かせる配慮は実に教育的に前向きで嬉しくなる。死の責任を負って生きるのもまた人生なんだけれどエンターテインメントでそれはキツいからなあ。ともあれ大団円。もう完璧な大団円を迎えた「セイントオクトーバー」が始まった時は、まさかこんなに面白くなるとは思わなかったよなー。いきなり街頭のテレビ画面に見入る黒白な女の子、だったもんなあ。てっきりエスな関係の美少女戦士アニメかと思ったよ。

 それでもそんな画面づくりも含めて作品に感じた絵柄とか脚本への不思議な違和感が、目をそらさせず続きを見させてそしてエルロックの消滅やら三咲ちゃん(ちゃんはよせ)の登場といったエピソードの積み重ねによる作品世界の重層化によって、これはもう見逃せない作品だって思わせるに至った。そう考えて作ったとしたら偉いものだしそうではなくって天然にギャグを入れつつシリアスも交えつつ絵は変な時があってもシナリオの頓狂さで押し切るんだと突っ走っただけでも最後までやり切った所に凄さがある。「セイントオクトーバー」。歴史に残りました。21世紀最高、は「ノエイン」とか「ファンタジックチルドレン」とかあるんで差し上げられないけれども21世紀最高級、とだけは言えるんでこの尊称を捧げ讃えたい。アンコール。アンコール。

 3冊も届いた中から赤い表紙となにより「キリサキ」「シナオシ」の作者だってことが気に行った田代裕彦さんの「赤石沢教室の実験」(富士見書房、1800円)からまず手に取って一読。なるほど富士見ミステリー文庫にあって独特の雰囲気を持ったキャラクターにシチュエーションを作り出しては、叙述なり時系列の錯綜なりといったテクニックを駆使したドラマを練り上げ物語にして評判を取ってきた田代さんらしー作品であり、且つライトノベルのレーベルとはまた違った幅を持った作品で、これならまあ1800円と文庫のファンには厳しい値段の本であっても、出した意味はあったんじゃなかろーか。国際的に名の通った画家がいて、それが学園に居候させてもらいながら弟子をとっていたらいつしか「赤石沢教室」って呼ばれるよーになったとか。

 世界の赤石沢が認めた才能、ってことを弟子たちも自負し周囲も認めていたこともあってエリート視されるよーになった教室の弟子たち。なかでも3年前に死去した赤石沢が最後にとった4人は学園の中でも半ば特権を与えられているかのよーにアトリエを使っては作品を作っている。もっとエリートなだけあって人間性はあまり素晴らしいとはいえなかった模様。学園に通う少女で理事長の孫でもあるあゆみは、兄が赤石沢教室の一員でありながらも自殺を遂げてしまったこともあってすっきりとは赤石沢教室の面々を見られない。なおかつ4人の兄に対する態度が自殺の原因だったかもしれないと知ってあゆみの心には復讐の念が沸き上がる。

 僕なる人物と対話するように思考ししゃべるあゆみのキャラクター性が特徴的過ぎるが故に起こり得たかもしれないその後の事件。赤石沢というキャラクターの特異性もそこに重なって事件の真相に煙幕がかかる。あらゆるもやもやが取り払われて後に現れるのは、人間とゆー存在の多様さ、複雑さって奴か。読み返せばなるほど確かにちゃんとそー書いてあるって分かるところに過去の作品で培ったミステリー的描写の冴えがちゃあんと生きている。富士見がこーしたライトノベル系作家による一般書とゆー「スタイルF」シリーズを立ち上げるにあたってベストセラーになってる雨木シュウスケさんの「鋼殻のレギオス」の前日譚と、SFとかの人にも割と知られた小林めぐみさんに交えて選んだ1人に入ったのもうなずける出来映えだね。

 ただやっぱりファンタジー的な設定を使え、イラストも美麗なのがついていたライトノベルのレーベルでの作品群の方が、記号としてではなく人間としてキャラクターが描かれていて読んでいていろいろ感じさせられるところもあった。こっちはその意味では小説としては有栖川有栖さんも推奨する大人向けの完成度を持っていても、過去の作品からファンとなった人にはやや寂しいと感じさせる部分もあるのかな。でも読んで引っ張り込まれることは請負なんで絵がないキャラが想像出来ないとは言わずいんまずは手に取りページを開いて読み進め、そして最初に戻って読み返してみよー。「平井骸骨此中ニ有リ」から随分と遠くまで来たなあ。凄いなあ。

 池袋へと回って地下鉄の脇にあるフードコートでいつもお肉たっぷりな牛丼をかきこんでからリブロ池袋へと周り桜庭一樹さんの新刊を確保。サイン会の整理券がついて来た。91番とはなかなかの人気ぶり。賞も獲得したし新しい賞だっていつか獲得するだろー勢いからすればごくごく普通なんだろーけどそれにしてもやっぱり凄い出世ぶり。こんなことならサインをもらっておけば良かったよ、ってだからサインをもらいに行くんだけど。んでもって忙しそうに店員さんが本を整理しているジュンク堂の地下でライトノベルの新刊あさり。

 まだ台車に乗っていたんでHJには手を出さずにもっぱらスニーカーとファミ通文庫。そのうちでんもやっぱり読みたい「コードギアス 反逆のルルーシュ STAGE 1 SHADOW」(岩佐まもる)をまず一読。ミレイの今に対するこだわりとか分かってそれがあんな事態になってしまったと思うと何か寂しい。ピザを食わせろと学園の目安箱に当初するC.C.がお茶目。そんなC.C.の寝覚めの艶姿とか焦るミレイ・アッシュフォードとかゼロの攻撃に呆然とするコーネリアとかを描いたtoi8さんのイラストがまたなかなかに雰囲気があって面白い。シャープさにあふれた「コードギアス」の絵柄とは対極的な絵柄なのになあ。それでもキャラはキャラに見えるところがキャラが持つ強さって奴なのか、toi8さんの魅力なのか。本編は大半がナリタ攻防。次はどこにつながり何を描いてくれるのか。期待。


【6月28日】 正論だったり経済だったり風俗だったり運動・芸能だったりとそれぞれに強みを持った媒体のサイトに掲載された記事をまとめて全方向的に誰でも楽しめるサイトを作ればそれこそが総合力だって言って、さらにいろんな意見も付け加えられるよーにすれば何とかにーてんれいだって考えそーしたサイトを専門に手がけるデジタル会社まで、IT関連企業の技術的な助けも借りながら作ってみてかれこれ1年とかそんなもの? 広告はあんまり入ってないけどまあそれなりに知られ初めて来たところでなぜかそこに入っているメーンとも言えるコンテンツが別の外資系IT会社と組んでニュースポータルのサイトを立ち上げることになったと聞いて驚いた。

 ひとつひとつの影響力はそんなに巨大ではないけれど、4つも媒体があるんだから統合してあと独自の情報なんかも載せることによって総合力で勝負しようってことで会社を作りサイトも作ったはずなのに、そこから柱にもなってる媒体が抜けはしないだろーけど足場をポータルサイトの方へと移してそこでニュースを中心にいろいろな情報を発信していくことになる。あるいは総合ポータルサイトの中の1ニュースサイトの立場に甘んじることになる。編集とかはこれまでどーりに作られたデジタル会社がやるんだけれどシステムなんかは相手のIT企業が担当するはずで、広告営業なんかもそっち持ち。ってことは向こうにしてみれは媒体としての価値を高めるために情報はそこだけってしたくなるのが人情ってものだけど、それをやられてしまうと今度は4媒体あった元のサイトに情報が回らなくなって媒体勝ちが下がってしまう。広告だって取れなくなる。

 だからこれまでどーりに情報はもらうことになるんだろーけど、そーすると今度は総合ポータルサイトの方に人は行かなくなってしまって相手が求める集客力としてのニュースコンテンツの提供って役割を果たせなくなる。そこの所がいったいどーなるのかがちょっと今のところは見えない話なだけに成り行きが気になる。だいたいが4媒体あってこその総合力なんだから4媒体ともそっちに統合すればよりパワフルになるのにそーじゃなくって1つだけ行き3つは残るのは何だろー、デジタル会社を立ち上げた時に協力してくれたIT会社を1年で袖にするのはあまりに何だって抑制が働いたのかな。んでもって様子をみながらいずれ切り捨てるなりする、と。うーん可愛そうだなあ。

ハピネットにタカラトミーにメガハウスと3社3様なエアギター。デモンストレーターならメガハウスの勝利、だけど  それともどっかの経済誌がゴシップ的に書いていたよーに、戦略として将来的に世界的なIT会社がサイト運営を受け持つ媒体だけを残し、ほかの3媒体は外に放り出してサイトの運営もそれといっしょに放り出すんであえて今、ひとつにまつめないで外に出しておいたのか。まるで分からないけれども少なくとも、単に目先に得られるお金があるんで、相手の言いなりになっておけば売り上げだけは立てられるって考え、後で来る総合サイトの影響力低下とそれにともなう広告関連の売り上げ減といった影響とかは勘案せず、飛びついただけってことは世界でも有数の賢い人たちのした判断だけに、ないって信ることにしたいんだけれど果たして。世界を見渡したって賢い人たちのすることがいつも順風満帆とは限らないからなー。さてどーなる。

 とりあえずエアギターの祭典であった「東京おもちゃショー2007」。すでにタカラトミーがギターのペグがついてる部分に短いフレットもついてそこにあるボタンを押しながら発射される赤外線か何かを遮ると、音楽が奏でられてギターを弾いている気分を味わえる商品を発表していて人気になってて「東京おもちゃショー22007」の会場でも注目を集めていたけど、別のメガハウスって会社のブースでもやっぱりエアギターがテーマになった商品が出展されて、流行っていることならとりあえず玩具化してみようって考え得る玩具メーカーの企画に対する貪欲さ、フットワークの軽さってやつを見せつけれる。ダイノジの人が世界大会で優勝して「エアギター」なるものの存在がさらに広まってからだいたい1年くらい? その間に商品化を計画して具体的なブツまで作ってしまうんだからちょっと凄い。アイディアの差とかも如実に出るのはなかなかにシビアなんだあけど。

 そのメガハウスの製品はピックをはじく方の手首にリストバンドで四角い機会を取り付け振ると音がなるって感じ。きっと振り方とかでいろいろ大きさなりおかずの種類なりが変わって来るんだろー。簡単だけれどタカラトミーほどの遊び甲斐はなさそー。でも実際いやってみないと分からないかも。さらにハピネットって会社もやっぱり「エアギター」を出していて、こっちはダイノジの人の前に日本のエアギター代表だった金剛地さんを招いたイベントもやるみたいで本格的。イメージキャラにダイノジっぽい人かダイノジの人そのものかを使っているタカラトミーとここでも対抗してるなー。でも商品はこっちはピック型で退きながらボタンを押すのかな? それで音が出たり変わったりするみたい。

これさえあればギタープレーヤー、プールに流れるチューブに合わせて引きまくれ、疲れたらそのままプールにドボンだ  やっぱり簡単だけれどアイディアの斬新さではやっぱりタカラトミーに軍配……かと思ったな同じタカラトミーの関連会社でもっと凄いエアギターを出していた。音は鳴らないし光もしない。けど1番ギターっぽい。っていうかギターそのものの形をしている。形だけは。なぜならそれはビニール風船。ふくらませて手にしてギターを弾く真似をすることで、見えないギターを弾くよりも何となくイメージをつかんだエアギターの練習ができる。見る方もまったく見えないギターに対する想像力を喚起しなくても、ギターを弾いているっぽいアクションをしているエアギタリストの姿をそこに見ることができる。いやあ画期的。

 デザインもフライングVタイプがあるストラトキャスタータイプがありレスポールタイプがあって憧れのギタリストに会わせて選べるのが嬉しい。ハードロック系の早引きならやっぱりフライングVかなあ。カッティングしつつ時に激しい動きも入れるならストラトで、ぐいんぐいんと鳴かせ響かせるんならレスポール、と。リゾートに持っていってふくらませて披露すれば一躍人気物。海とかプールだったらそのまま浮き輪にだってなりそーな便利さ。電池もいらない省エネ製品なんで環境にも優しいエアギターだと環境にうるさい北欧なんかでもきっと絶対もてはやされることだろー。今度の世界大会には是非にこいつを持っていって日本のエアギターの各方面に対する配慮ぶりを世界にアピールして来て欲しいなあ。見えるんだからエアじゃないって? 中に入っているのは立派にエアだ。だからエアギターだ。文句あっか。

 キャラクターではバンダイのブースで「機動戦士ガンダムOO(ダブルオー)」が仏像さながらにお出迎えしてくれてその格好良さにいきなり触れられるんでファンはゴー、だ。あと「新世紀エヴァンゲリオン」関係の商品もあったけれど「コードギアス 反逆のルルーシュ」は「超合金魂」なんかが置いてあった一角になにやらドールっぽいものの案内が出ていてちょっと期待。でも男の子の人形なんて買ってどーするんだろー、脱がしたらついているなら別だけど。ナイトメアフレーム関係は見あたらなかったか見られなかったかどちらか。コナミでは「天元突破グレンラガン」関係のフィギュアが充実。ヨーコさん可愛い。ミニフィギュアはカードゲームと組み合わせて遊ぶ将棋っぽいゲームの駒らしくってこれがまた良い出来。集める意味はあるけれどエクスパンション的に発売されるキャラは11月とかで番組終わっててそこまで人気が継続しているんだろうか? って疑問もちらほら。DVD発売で人気爆発、ってなっていれば良いんだけれど今時の人って本放送終われば後はサヨナラ、だもんなあ、寿命が短いよなあ。


【6月27日】 「バッテリー」の人なだけにタイトルからして走る話かと思ったらとっても辛いお話だったあさのあつこさんの「ランナー」(幻冬舎、1400円)は、陸上部を辞めようとしていた主人公の少年が監督の配慮で休部扱いにされていて、そこから再入部していつかに味わい辞めようと思うにいたった敗北感と恐怖感を克服していく話を含みつつも、メーンとなるのは主人公の“妹”が置かれた厳しくも痛ましい環境を通して親子って何だろう? 血のつながりって何だろう? ってことを突きつけ考えさせる一種の家族小説になっている。

 少年と妹が住んでいる家には母親しかおらず、父親は学生時代の知人だった女性のところへと出奔してしまい離婚。ちゃんと養育費とかはくれるんだけれど遺された母親にとってはやはり心に傷が残っていたみたいて、時折理性の隙間から溢れ出しては向かう人を傷つける。少年はなるほど両親の子供だなんだけれど妹の杏樹は実は出奔した夫の弟夫婦の間に生まれた子供。それが義姉である母親の薦めもあって娘を預けて息抜きに出かけたらそこで事故に合って人とも死んでしまい、あとに8ヶ月の杏樹が遺された。自分が薦めなければという責任感もあって杏樹を引き取り、溺愛して育てて来たんだけれどそんな感情が夫の出奔という事態を受けて崩れてしまった。

 妹を思う兄としては家を空けて部活になんていそしんでいられないというのも道理で、それでもやっぱり陸上を再開するんだけれど一方で母親と妹との問題は残り間に生まれた亀裂をさらに広げていく。迎えるクライマックス。そこで起こった出来事は個人的な感覚ではちょっと信じられないんだけれど、恐怖心は抱いてもそれを上回って情愛が、依存心が受け付けられ育まれていたんだってことなんだろー。血だけがすべてじゃないってこと。夫が出奔しなければ感情のバランスが崩れることもなかった訳だし、考えるなら振るった暴力も憎悪からではないのかも。「ランナー」というタイトルに相応しい内容かはともかく、家族の間の情愛が薄くなってきている現代に強いメッセージを投げかける物語。しかし茂木健一郎さんが「現代の『走れメロス』だ」と賞賛している意味は分からないなあ。茂木さんの言うことはいつもよく分からないんだけど。クオリアって、何?

 正体がバレて捕まってはそのたびに知人だったり潜入していた記者だったり会社に反感を抱いている人が助けてくれるなんて都合が良すぎるじゃんって、吹き出したくもなるけれどヒロインってのはどんなピンチになってもちゃんと誰かに救われるものだってゆーエンターテインメントの常道に沿ったものだと思えばこれで良いのかも。井上尚登さんの「クロスカウンター」(光文社)は金融探偵の女性が主人公。何だ? 金融探偵って? って疑問に答えるならば、個人投資家とか企業に投資したい人から依頼を受けて投資対象となっている案件が妥当かどーかを調べる人のこと。時には相手の企業に潜入もして帳簿を見たりゴミ箱を漁ったりもするからあんまり高級な仕事とは言えない。表玄関から堂々と行って企業からレクチャーを受けるアナリストに比べれば月とすっぽん白と黒。正反対の存在ってことになる。

 主人公の恵子も最初はそんなアナリストとして活躍していて、メディアにも取り上げられる人気を得ていたんだけれど調子に乗れば足下をすくわれるのがこの世界。すごい技術を持った会社だと言われ調べてなるほど確かにっそうだとリポートを書いたら、実は裏があって技術なんてなく会社は見せかけ。お金を集めるだけ集めてあとはドロンとなって投資かたちは大損し、リポートを書いた恵子もアナリストとしての道をたたれて会社を追われ、今は金融探偵として企業の中身を調る仕事をしている。

 派遣社員になったり中国まで飛んだり掃除のおばさんになったりとまあ、普通の探偵以上の変身っぷりを見せてくれて愉快だけれども立ち回り方が下手なのかいつも正体が露見し捕まっては逃げ出す体たらく。それでも調べて見つけたおかしな点を報告し、結果的に詐欺をあばくことにはつながっているから恵子もとりあえず食べるに困ることはない。そうやって仕事をしていく中で出会ったのが、前に自分を騙した会社に関わっていた人物。復讐心を燃え上がらせ、自分のように騙される不幸な人を出したくないと敵の足跡を追いかけていった果てに、ひとりの天才的な詐欺師の存在をキャッチする。

 株式公開をネタにした儲け話の裏にあるカラクリって奴が分かったり、ナントカ還元水じゃないけど水の効能をうたうビジネスの怪しさを教えてくれたりと勉強になる連作短編集。読めば自分は詐欺に引っかからないぞって思うかもしれないけれども、実はそーした生半可な知識を持った人間こそがこそが詐欺師にとっては最高のカモだ。「お目が高い」とおだてられ「あなただけに」と耳打ちされてプライドをくすぐられてそれで終わり。持ち上げられる心地良さと、騙されるはずがないという確信で詐欺師の嘘を嘘だと見抜けない、というより嘘になんて引っかかるはずがないと任じる自分のプライドに引っ張られては闇に引きずり込まれ、丸裸にされる。何しろ天才詐欺師だって騙されることもあるんだから、普通の人間はもっと検挙に生きなきゃね。

 えっと「反抗のスザク」だったっけ「反逆のルルーシュ」だったっけ。3冊も同時に出たからどれがどれやら分からなくなりかけていたけれど、たぶん「反逆のルルーシュ」の2巻目だったかと思う漫画版はユーフェミアがいきなり学園に入ってきてはルルーシュとご対面。んでもって気が付きながら黙ってまーすと脳天気。段取りを省略するにはこれもまあ悪くはない手法ではあるけれども、幾ら何でも普通の学園に皇女殿下が入学しよーとして気付かないってことはないよなあ。それとも秘密にしていたのか。だったら何のために秘密にしていたのか。あんまり考えてはいないんだろーけどまあこれでそれなりにメンバーも出そろって、さあ向かうはナリタ攻防戦かそれとも一足飛びに行政特区日本か。一方の「反抗のスザク」。ランスロットが……ランスロットが……仮面! だとするとガウェインもきっと仮面にスーツでランスロット仮面と拳を交えるんだ。横には紅蓮弐式仮面も立っているんだ。ナイスバディだ。うーむ。


【6月26日】 セガが新浦安に新しいコンセプトのフォトスタジオを作るってんで見物に行く。同じよーなコンセプトではバンダイが千葉からは地の彼方になる横浜の港北あたりに一足早く作っているんだけれどそっちは機材は本格的な写真館で、そこにキャラクター風の衣装を入れたり映像との合成設備を入れて楽しんでもらいましょうってコンセプト。対してセガのはプリント倶楽部を巨大にしたよーなブースを作ってその中で、子供が目の前の画面にうつる映像をみつつ遊んだり騒いだりしているところを横から親が写し取っていくって感じ。バンダイがキャラクターという得意技を写真館のビジネスに融合させたものだとしたら、こっちはプリクラって得意技を写真館規模に巨大化させたものってことになる。

 でもまあ誰かに写し取ってもらうよりは親子でわいわいプリクラやってる雰囲気でそれなりな写真が撮れてしまう上に値段もバンダイのに比べれば随分と安いってこともあるんでこっちはこっちで気軽な施設として受け入れられそう。あっちは予約制だし。あとベッド型のブースもあってそこで赤ちゃんを寝かせて撮ることができるのがちょっと面白かった。サンプルには1ヶ月ごとに赤ちゃんをうつしてそれを同じ紙に焼いてもらって成長していく様を見られるよーにしていたけれど、これを赤ちゃんが産まれた時から10年くらい、いや30年くらい続けて毎月やっていったら河原温さん的なアート作品ができあがりそう。問題はそれだけチャレンジする親と協力する子がいるかってことだ。あるいはセガが30年後にどうなっているかって問題も。新型の家庭用ゲーム機とか出してたりして。

 それにしても場末感が漂っているなあ新浦安。隣の舞浜がイクスピアリとか出来て「東京ディズニーリゾート」の門前町的にぎわいと美麗さを見せているのに対してこっとはショッピングセンターがあるにはあるけどどこか中途半端。スーパーはともかくファッションにしても飲食にしても決め手がない。周辺の住宅から集まり駅前で買い物するって需要がないとこーなってしまうんだろーなー、今だと津田沼の海岸寄りが似た雰囲気だ。ってどっちもダイエーがあったりかつてあった場所かあ。テナント戦略がうまくいってないのかなあ。傾く理由もどことはなしに伺えたり。そんな新浦安を出て向かうは帝国ホテル。「東京おもちゃショー2007」の出展説明記者会見が開かれるってんでかけつけたらバズ・ライトイヤーが出迎えてくれた。ウッディの立場は?

 いろいろと各社が持ち寄っていた期待の商品でもやっぱり注目を集めていたのは展示には間に合わず広報がキャリアして来た例の二足歩行ロボット「アイソボット」か。もう図分と前に見てから幾星霜、そろそろ発売かと思ったら秋に延期になっていたりして暗雲も漂うけれどもその分だけ完成度もあがっているのか安定感が抜群になっていて、片足で立たせてキックをさせてもまるで揺れたりガタついたりしない。オートジャイロでバランスをとっているんだろーけどそれにしても実に完璧な安定感は、10数センチって高さならではのものでもあるんだろーな、「マノイ」でそれをやったら重さで絶対にガタつく。あるいは倒れる。手にしたコントローラーでプログラムして転送して動かす簡単さもなかなか。見ていてバンダイナムコホールディングスの高須武雄社長が感心していたからきっと来年あたりにはメーカーの枠を超え、バンダイから「アイソボット」用との外装「ガンダム変身パーツ」が出てくれることと信じよう。「コードギアス 反逆のルルーシュ ランスロット換装パーツ」でも良いぞ。あんなに速くは走れないけど。

 たぶん怒り出す人なんていなくってむしろ呆れるか或いは憐れんでいるだけなんだと思うし、それ以前に何をどう告げても聞く耳なさそうだなって感じてだったらお好きにおやりなさいを背中を向けて忘れてしまっているだけなんだと思う。見たい物しか見てないじゃんとの指摘がされたとしても、見たい物しか見てないのはどちらもおなじだし見たい物しか見ない態度こそが今時なんだぜって開き直られるんだから何ともはや。そうじゃなくってお互いに見たい物しか見てない訳じゃなくって、見たくない物をもっと見たらどうなのよって投げかけているだけなのに、見たい物しか見えない人にはそんな示唆などどこ吹く風とばかりにただひたすら見たい物ばかっりを見て、見てきたようなことを言うから悩ましい。

 劇場アニメーション版「時をかける少女」はなるほどそこいらへんではヒットしたけど興行収入はたかだか3億弱。全国的にヒットした映画って言うにはほど遠い。国民的な流れとして取り上げ語るんだったら80億円の「ゲド戦記」の方がよほど相応しいのに、まるでなかったことにされているんだからなあ。この作品だって親父を刺してしまった過去と向き合い、時間とはかけがえのないものだと理解し国に戻ると決断する青年の話だぜ。だけど例には挙げない。見ていない? 単に「時かけ」の方がそこに置くのにちょうど良いって感じただけってってこと? だとしたら軽い。あまりに軽い作品の取捨選択だなあ。

 これを例に出す。これについて語る。そんな時にはそれがそうなのか、そうじゃないかもしれない、でもそうなんだと信じたいって感じの葛藤を経てなおこれでよかったんだろうかと悩むもの。その積み重ねと繰り返しを経て重みっていうか覚悟が出るんだけれど、そーした作品に対する吟味がなかなか見えて来ない。なるほど「無限のリヴァイアス」ですでにサヴァイブ主義をを示していましたか。だったらそれよりさらに120年も前にジュール・ヴェルヌは「二年間の休暇(十五少年漂流記)」を書いてこのサヴァイブな時代を予見していたってことになる。すげえよなあ。さすがはヴェルヌだSFの父だ。あるいはウィリアム・ゴールディングも「蠅の王」で「バトロワ」から50年を先駆けてサヴァイブ感を示していたってことになる。

 けどそんな話はまるでない。カケラもない。なくても良いけどせめて「バイファム」くらいは置いておかなきゃあ「リヴァイアス」へと連なる系譜は見えて来ない。出来れば「スターシップ・オペレーターズ」なんかも混ぜて欲しい。つまりは突然変異じゃない。よくある設定。120年も前から脈々と流れる冒険と生存の物語。それが流行というか時間の中で浮かんだり沈んだりしているだけ。そして今は水面上へと首を出しているだけの現象をとらまえこれが時代だと語るその蛮勇は、軽くなくっちゃ怖くて恐ろしくって振るえやしない。

 肯定しているかどうかなんて問うてない。それが妥当か否かが問われているのにそうは受け止めず、仮想敵を想定して問答をしてその様をのぞき窓から見せてどうです戦っていますよと示威して見せている箱の中のファイティングポーズ。それだけなら別に気にすることもないんだけれど箱の鎮座している場所が場所だけに妙な居心地の悪さが醸し出されているんだあろーなー。まあ来年にはゼロハチ年代が始まり統べては駆逐されるんでそれまでの我慢だ。いやいや進歩の早い時代だから7月にはゼロナナ世代2.0が出現しては新たな主義をうち立て下半期を席巻することになるのだろう。それが何かは、今はまだ誰も知らない。したり顔で適当なことを言う「ケンドーコバヤシ風」?

 「コードギアス 反逆のルルーシュ」のドラマCDもこれで3枚目でシャーリーの脚がにょきっと伸びたジャケットがなかなかにそそる。後ろでルルーシュが眼鏡をかけた間抜けな顔をさらしているのは何か関係があるのかな、確かドラマじゃ他人ごっことゆー触れ込みでシャーリーのルルーシュに関する記憶の消去をごまかしているのを皆が真似しはじめて大騒ぎ、ってエピソードがあったよーに記憶しているけれどもそれの1場面ってことなのか。まあ良い後で聞こう。応募券は今回も「黒のギアス」だ「金のギアス」なんて本当にあるんだろーか出た人っているんだろーか。いいや頑張って集めてもらう「ルルーシュの缶詰」。違うの?


【6月25日】 25日。だと気付いて買い置きしてあった往復はがきを引っ張り出し、アニメイトでもらった応募券を貼って7月に開かれる「コードギアス 反逆のルルーシュ」の第24話と25話の先行上映会への応募はがきを作って投函。したけどきっと数十万人が応募しているだろーから当たるのは至難の業だろーなー、おそらくはオークションにもたっぷりと出回っては数万円で取り引きされたりするんだ。そんな金があったらDVDをそろえた方が良いんじゃないかって思うけれども気になる続きをいち早くみたい、それ以前に本当にテレビで放映されるか怪しい地域の人にとってはそれが唯一のチャンスかもしれないと、思えば数万円だって払いたくなる気も分からないでもない。とはいえこのペースならDVDだってそんなに間をおかず出そうだしなあ。だからやっぱり当たらなくても良いか。いやいややっぱり当たって欲しいなあ。祈ろう。

 その人が買えば人気サークルになるネタってのは「コミックマスターJ」だったっけ。あったよーな気もするけれど読んだのは遠い過去のことなんで覚えていない。そのころの「ヤングキングアワーズ」はきっと「神楽総合警備」は化け猫と戦っていてヘルシング機関は最後の大隊と戦っていたんだ、って今とあんまり変わってねえ。いや少なくともナイブスと戦っていたバッシュの話はもう載ってないぞ。とゆーわけで「らき☆すた」はこなたがかがみとつかさを引き連れコミケ行き。でも案の定に人混みにもまれ何も買えないつかさとゆーネタ。さすがに1時間ってことはないとは思うけれども人が多いと西館(にし・やかた)の屋上へと上がりそこから企業ブースを抜け下に降り通路を抜けて東館(ひがし・やかた)へと行くのに数十分はかかること、ありそーだからなあ。つかそれ以前に企業ブースで行列に捕まって出られねえ。

 晴海話は寄ったことがないんで認識不能。そんなに汗で雲が出来るくらいに凄かったのか。「ホテル浦島」って名前は言ったことがない「SFクリスマス」とかの会場としてよく「SFマガジン」に掲載されていたから知っている。昔は隅々まで読んであらゆる知識を「SFマガジン」から仕入れていたのだ。今でもそんな人がいるのかなあ。レビューする人間として責任重大。でも決める時は割と感覚。良いとか悪いとかじゃなく別の貫くテーマみたいなもんで選んでいるから毀誉褒貶も多いかも。でもあんまり評判自体を聞かない。そんなもんだよ「マガジン」なんて。界隈でアレが話題になっている? 検索して引っかかって同じ人も含めて数十人。それで話題になっているって思う? 極楽だなあ。それはともかく晴海があって有明があっても幕張は無視か。千葉なんでこなたも行ってなかったか。んでもってエンディングはタイミングをはかったよーにZARDの「負けないで」。これってやっぱり亡くなってから入れたんだろーかそれとも事前に採り終えていたんだろーか。この流れていくと来週は「超時空要塞マクロス」の主題歌だな。はねけん。

 こちらはなぜか届いた伊藤計劃さんの「虐殺器官」(早川書房)を読み終える。何か日本SF新人賞向きの内容かなあって印象なのは表紙のせいもあるのかな。核となるネタの部分がだから具体的にはどんあ感じのものなのか、何をどうしたからそうなったのかってところをもっと直接的に記述してくれたらいろいろ面白かったのにって考えるかどうかで、これで十分か物足りないかって判断に違いが生まれそう。短編とか中編ならそれにより起こる事象から受ける恐怖とか戦慄って奴があれば十分なんで別に記述されていなくても構わないんだけれど、長編なんだし何より“言葉”なんだから、そのメソッドの一端を示唆して欲しかった。後でいろいろ使えるし。使われちゃまずいから書かなかったのかな。魔法物だって呪文を正確には書かないって言うし。

 世界を俯瞰して起こっている虐殺とか内覧といった事象を勘案した上で、その背景に核となるアイディアを持ってきた点は巧いし、そうした活動の奥の奥に鎮座する世界のラスボスの存在にも納得。ただそれほどまでの存在でありながら、世界を揺るがす脅威が自らに跳ね返って来ることを想定して、何らかの抗策をとっていなかったのかって疑問も起こる。毒薬をまくなら解毒剤は必須。病原菌ならワクチンくらい用意しとけっての。とはいえそーした対抗策が効かないくらいに憎悪とか嫌悪ってのは人間の根元に潜み拭えない業なのかも。全体のトーンからはふと小林信彦の長編を思い出したけど調べたらハードカバーも文庫も絶版の様子。まだ20年も経ってないのに。オンデマンド出版は出ているみたいだけど、あの小林信彦ですら読めないとは、文学の世界も寂しい時代になったなあ。オヨヨ。

 気になったのはどーしてボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで核爆弾が爆発したのかって部分。手製の核爆弾が爆発したってゆーけどそこでそれを爆発させて誰がどんな得をするのかが見えない。911のテロならアメリカの威信を揺るがすって目的が見えるけれども、セルビアについては住まう3つの民族が争い内戦になり加勢して上からクロアチアが攻めて来ていて下からセルビアが攻めてきていて、イスラム勢力も残って三つどもえ的になりながら膠着状態に陥っていた土地。最終的にもわだかまりは遺しつつ分裂はしないでそれなりにひとつの国として残ったボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボを、セルビアが、あるいはクロアチアが、はたまたイスラムが狙い爆破する意味があるのかどーか。 やるんだったらセルビアの首都ベオグラードでありクロアチアの首都ザグレブを敵対する勢力が狙い爆破って所だろー。それとも改変された歴史においてサラエボには何か別の国家がうち立てられて憎悪の対象になっていたのかな。もー1度読み返しつつ旧ユーゴの歴史を振り返りつつ段取りを考えてみよー。

 さらに「らぶゆう3」も。七月隆文さんの超人気シリーズでゲームの世界から大人気キャラの勇者姫が出てきてしまってもう大変、なにしろ強さはレベル99、なのにかしこさ40と今ひとつなところがあってなかなかどたばたしてくれちゃうってラブコメチックな物語だったはずなのに、3巻では急転直下、別の誰かが呼び出してしまったらしー超人気RPGに出てくる魔法召還士の美少女が現れあれこれ主人公の少年と勇者姫にちょっかいを出してくる。何がいったい起こったのか。でもって裏で何が動いているのか。どーやら単にゲーム世界をリアルに重ねて悦に入る願望充足小説じゃなくって、妄想を現実に変えることの意味を問う深淵な物語になって行きそーな雰囲気。シリーズを始めた当時にこれを作者が考えていたとしたら讃えたいけど、出だしの感じじゃあ考えてなかったんじゃないかなあ、でもって人気も出てきて巻数が重なってこれはとひねり出したんじゃないかなあ、分からないけど、でも続いてくれてありがたい。次は何が出てきてどんな戦いを繰り広げるか。強さ99の戦い見せてくれ、ついでにかしこさ40のドジっ娘ぶりも。それがあっての姫勇者。


【6月24日】 冒頭だけちょろりと何かが飛んであとは弟君が自分探しの旅に出る物語が30分。話進んでねえ。けど脚本は浦沢義雄御大だ。ってことはつまり別に作画的振興的な調整ではなく意図してのことか。つかそもそも何話の予定なんだ。それはともかく八丁堀が妙に強い。女のために頑張っているのか女から良からぬものでももらっているのか。おぬいちゃんが何かもののけの類だってことはその容貌とあと前週にソラに向かって自分も普通じゃないとぼそっと言ってたセリフからも分かったけれども名前が意味するそのものだったとは。おこねちゃんじゃない訳だ。ご隠居はさすがに巧いなあ、って大木民夫さんじゃないよ納屋六朗さんだよ、こーゆー老けた声も出せるんだ、って言いつつ畳みかけるところでは張りも出る。プロだなあ。んでいったい何話で終わりであとどれだけ続くんだ。

 引っ張られ導かれ尻を押され諭されそれで何とかしなくっちゃって気にさせられては突っ走っていく姿は流れに棹ささずにすべてを受け入れ右から左へ上から下へと受け流す「ムーディ的」アニメのひとつの特色とも言えそうだとロジックに合わせて牽強付会してみた「天元突破グレンラガン」は獣人が普通の人間とは違って長い間眠らないと体の細胞が弱って崩壊してしまうって判明、ってことはニアもそろそろぐっすりとお眠りしなあいとヤバいってことか。だから「みなさんごきげんよう」? でもあの頑張りようで食事なんぞ世話された日にゃあ全員がおなかを痛めて戦えないから仕方がない。ひとりシモンだけは平気なのはつまり愛ってスパイスがあるからか。「グレンラガン」は空飛ぶ力も手に入れ大グレンも走ってジャンプし回し蹴りの術を拾得。そして次なるはいよいよ宇宙行き? それはまだ早いか。ともあれ次週のニアちゃんに注目。悲しくないといいナ。

 クロミ様がエスティテシャンによってスーパーモデル並の体型になって、けれども素材はぬいぐるみのままでまるでありがたくない映像を拝んだ後は「ハヤテのごとく」を見てそして電車に乗って「埼玉スタジアム2002」へ。雨が降りそうだったけれども久々に女子サッカーの「mocなでしこリーグ」が近場(でもないか)で開かれそこにジェフユナイテッド市原・千葉とそれからエルフェン狭山が登場するってんで見に行かない手はない。本当を言えば1部の「浦和レッドダイヤモンズレディースvs日テレ・ベレーザ」を見たかったんだけれども鴻巣なんて地の果てのさらに果てでは車もない身では行けません。そこんとこ、何で考えて運営しないかなあ。狭山とダブルヘッダーでも良かったのに。でも浦和レッズレディースは去年から有料制を採用しているからスタンドのない場所で囲われていない場所で無料の他の試合とではダブルヘッダーはくめないんだ。うーん難しい。でも1200人くらい集まったみたいなんで流石は浦和パワー。傘下に入ったこれが意味って奴なんだろー。負けたみたいだけど。

 そんな試合を見に武蔵野線と埼玉高速鉄道を乗り継ぐ中で平坂読さんの「ねくろま。」を読書。いやあ凄い。こいつは凄い。クロミのすっぽんぽんなスーパーモデル体型がどうとかなんて目じゃない。ヒロインが登場からラストまでオールヌード。真っ白な体を露わにした完璧なオールヌードで唯一リボンだけ着けた格好で歩き喋り走り笑うその美しさたるや、実際に目にすれば誰もがまぶしさに目を背けてしまうだろーし人によっては恐怖……じゃない驚異から背中を向けて走り出してしまうに違いない。こんなヒロインを創出してしまうとはさすがは地獄のライトノベル書き、平坂読だけのことはある。絵師もその美しさをどう表現したら良いのか困ってしまったんだろーなー、表紙なんてしっかりたっぷり“着せて”いやがる。ちゃんと本文どーりに逃がせれば良いのに。でもそれだと店頭に置けないか、18禁だからじゃなくって別の意味で。棚が違うと追いやられそう。「恐怖の心霊写真集」とか「ゲゲゲの鬼太郎」とかそんなのが集まった棚へと。

 っていったいどんな話かってゆーと説明が難しいんだけれど昔最愛の女の子を病気で失ってしまった少年が、屍霊術を使い蘇らせようとして果たせずそのままその道にも挫折し今は魔法を学ぶ学科で勉強していてそっちでもなかなかの才能を見せて学園トップの完璧超人ともてはやされ、死霊術科の元気な女の子や美人なのに自分をあしざまに言う(どっかで見たことのあるキャラだけど思い出せない、何だっけ)女の子から慕われ学園でも美少女ながららツンケンしている少女に慕われそして見かけは幼女も生徒会長で言動は卑猥で私のパンツで自慰行為をさせてやるとか平気で言うあたりは日日日さんの「ギロチンマシン中村奈々子」に出てくる赤ずきんとそっくりな少女から見込まれていたりと大にぎわい。そんな少年ソリンのところに現れた存在、それこそが……って展開は人間、見かけにとらわれるよりも内面にこそこだわれってメッセージを放っているように見えないこともないけれど、でもあっぱりなあ、全裸過ぎるのもなあ。ともあれ特徴たっぷりな美少女が選び放題の物語。どんな言動姿態でもって楽しませてくれるかに注目だ。個人的には生徒会長を戴き。

 そして到着した「埼玉スタジアム2002」の第2グラウンドに設置されたスタンドには屋根があってラッキー。到着するとにわかに強めの雨が降り出したりして、屋根がなければ用意していた合羽を着込むつもりだったけれどもしっかりとした屋根で雨など1滴も落ちてこない中を快適に試合を観戦できた。なおかつ勝ったんで気持ちも快適。相手はあエルフェン狭山でここんところ2部暮らしが続いているけど決して弱小ではなく強豪を相手に勝つことだってあるチーム。なでしこジャパンの候補合宿にだって呼ばれたこともある佐藤舞選手って、以前に同じ場所の隣にあるグラウンドで行われた1部と2部を分ける決定的な試合に出場していてそのプレーぶりに何でもっとトップチームに行かないんだろうと瞠目した記憶も今なお強いプレーヤーが中盤に構え、それこそ日テレ・ベレーザの酒井與恵選手みたいな活躍を見せてボールをさばき前線へと送り、それに反応してフォワードが飛び込み幾度となくゴールキーパーと1対1を作るんだけれどジェフ千葉レディースの杉浦真生選手がこれを幾度も止める大活躍。他のピンチも相手がゴール前でコケたり枠を外したして得点を許さない。

 対してジェフ千葉レディースはパスが時々つながらなかったり持ちすぎで囲まれ出す場所がなくなる判断の遅さはありながらもそこは体力でカバー。ジーコジャパンでフィジカルコーチを勤め上げたS級ライセンス保持者の里内猛監督のもとでしっかりと体力強化に筋力アップを行っているのか走り負けせず最後までスピードが落ちずキック力もあってミドルを連発。そのうちから何本かがゴールキーパーの頭を越えたり、あとは普通に入れたりして4点を奪い相手を1点に押さえて勝利する。おめでとう。

 首位のTEPCOマリーゼも勝ったみたいで入れ替え戦なしにディビジョン1へとあがれるディビジョン2首位は奪えなかったけれどもここで引き分けとかにせず、勝って勝ち点を積み重ねて食らいついていけばいずれ抜き去ることもあるし、今の戦力だったら2位で入れ替え戦に臨んでも十分に勝利できそー。兄貴分が降格ラインを彷徨いひょっとしたら? なんて懸念もあるだけに妹分たちには頑張ってはい上がって晴れ舞台でその姿を見せて欲しいし、なでしこジャパンにだって選手を送り込んでやって欲しい。キーパーの杉浦選手とスピードスター清水由香選手あたりは是非に使ってやって欲しいなあ。巨大な柴田里見選手は高さは武器だけどあと1歩の踏み込みでボールを処理し体を張って相手を圧する強さを是非に。ちょん蹴りして奪われたりかわされピンチにする場面、ちょっと多かった。頑張れ。

 んで秋葉原へと抜けて「ゲーマーズ」に並んでいた「コードギアス 反逆のルルーシュ」関連コミック3冊をまとめ買い。やっぱり最初に読んでみたのか「コードギアス 反逆のルルーシュ ナイトメア・オブ・ナナリー1」で何しろあの純情可憐にして純潔無垢なナナリーが変化してすっぽんぽんで「MAZE☆爆熱時空」に登場するロムアーマーっみたいなナイトメアフレームに登場して戦うって、原作とまるで異なる設定が原作のストーリーに割に綺麗に納められているところが技ってゆーかテクニックってゆーか。てっきり不肖の兄貴ルルーシュの死を受け妹が立ち上がるって話しになるかと思ったらそうじゃなくってちゃんとゼロも登場してた。そおゼロがルルーシュなのかは不明だけど。あとコーネリアはいてもユーフェミアがいなかったありスザクがまるでいなかったりするところが設定的な改変。これがどう影響しそしてそもそもお話がどこへと向かうのか。完結するならちょっと楽しみ。宙ぶらりんで放り出すのだけは勘弁。描かれている若き日の「閃光のマリアンンヌ」が綺麗で格好良過ぎ。本編にもこの姿で登場しないかなあ。


【6月23日】 やっぱり固い本もと秋田禎信さんの「カナスピカ」(講談社、1500円)。ってどちらかといえばソフトなレーベルで書いている人だけど昨今の隆盛もあってかハードカバーへと初進出。その腕前はといえばなるほど青春のひとページって奴を切り取る描写に冴えがあって、目下のところそーゆー世代にある人とかには気持ちにグッとくるものがありそー。だったらなおのことハードカバーなんかじゃなくってせめてソフトカバーで出して欲しかった気が。その方が安いんで届きやすいし。

 ハードカバーだからといって別に文字をぎっしりと詰め、設定を複雑にして読み応えをたっぷりとしたものして欲しいってんじゃない。今時の大人じゃあそんな本は小難しいって敬遠してしまう。簡単ならそれで結構。シンプルであればあるほど伝わりやすいんだけれどそこに例えば泣かせとか、辛さとかいった要素を加えた上でそれらを乗り越える強さっていったものを示して、導いてあげる必要がある。「カナスピカ」は空から落ちてきた人工衛星が人間の姿になり、見ていた少女に自分は宇宙に帰らなくちゃいけないって言っていっしょに発射台めいたものを探すってゆー、形を変えたボーイ・ミーツ・ガールの物語なんだけど、最後まで割とすんなりといってしまって生きるか死ぬかって苦労を乗り越えたんだって達成感がやや足りない。

 だからカナスピカが宇宙へと換えってしまったところでどわっと涙がにじまない。幸せならばそれで良い、って思わないこともないけれどでも今生の別れとなる場面、ってゆーか女の子はいずれ歳を取り死んでしまうけれどもカナスピカはあと数万年は頑丈なまま、地球をぐるぐると回り続けて少女を看取り、別の人間を見守り地球を見張り続ける。その屈託のなさを思うカナスピカには同情できないし、かといって少女がどんな感情を抱いたのかもちょっと伝わらない。これが例えば田村登正さんの「ブラックナイトと薔薇の棘」(電撃文庫)だったら立場は逆で人工衛星は間もなく寿命。その最後のつぶやきを知り人間は別離の悲しみを抱く。

 「カナスピカ」の場合はだったら一期一会、といったもののすばらしさを描く方へとシフトすることで感動を呼べるんだろーけれど、出会って得られた思い出って奴があまり重厚じゃないこともあってか、感情を揺さぶるに至らない。あるいはカナスピカとの出会いをひとつの媒介にして、少女が学校の中に居場所を見つける話、って展開も可能だったような気もするけれど割に手前勝手にふるまい友達を傷つけ謝るって少女の言動は、うーんって眉をひそめる気分は誘っても同情はあんまり向けづらい。

 そんな少女の言動が、少女にとってかげがえのないものを失う展開へと向かえばつらさも増して後に痛みを残していろいろと考えさせてくれるけど、それも読んで苦しいだけ。後味の悪さはこの場合は決してプラスにはならない。その意味ではネガティブな描写を避けたのは判断として正しいけれども、すーっと抜けたひとなつの経験値、って感じに流れてしまって読後に強烈な印象を残さなくなってしまう結果にもつながっていたりするから悩ましい。トータルで見れば分かりやすくて楽しめて喜べて、ちょっぴり不思議な気持ちも味わえる良質のファンタジー。後味も良くすっきり出来る。そーした物語を作り上げる才気はあるのでこれをステップボードに秋田さんには、まだまだ大人に向けて感動を誘う物語って奴を紡いでいって欲しいもの。期待してます。

美しい人だから似顔絵も美しく……なっているかな?  んで柔らかい本もさらに。築地俊彦さんの「けんぷファー4」はいよいよ新たなケンプファーの登場でいったあい誰だ正体は、って実はばればれなんだけれどもそれはさておきやっぱり気になるのがどーして臓物アニマルがケンプファーになるきっかけにされているのか、んでもってその臓物アニマルを配る楓はいったいどーゆー役割を担っているのかって点。過去にも山ほど配ってはいるそーだけれど学園祭で投げたブーケにわざわざ仕込んで誰かに受け取らせるって行動はちょっと意図的過ぎる。だからやっぱり何か作為を持っての行動かって疑念も浮かぶし滴もナツルもだから疑っているんだけれど当人の言動はただただ臓物アニマルが好きって感じでしかないから分からない。あとはやっぱり赤2で青2となったバトルの帰結するところか、皆が知り合いなだけにやりにくさもありそーだけれど、そこでなれ合って済ませる話でもなさそーだし。続きに期待。

 「次世代ワールドホビーフェア」へと朝1番で出かけて女の子たちが「きらりんレボリューション」関連の商品に群がる様に今時の人気の中心を確認し、バンダイのブースで携帯電話型した謎の機械にとりつけられたハンドルをぐるぐるとして幽霊だか何かを捕まえて遊ぶ玩具が人気になっている様にいつの間にこんなにと驚きコナミが出してた「Wii」向けの新しいタイトルがなかなか美麗って感動したり任天堂のブースで見た「ドンキーコング たるジェット」だか何かってソフトがとてつもなく面白そうだと感じたり。「コードギアス 反逆のルルーシュ」関連の出展がカケラもないのは角川のイベントじゃなく小学館のイベントだからか。でなきゃ「ハヤテのごとく」なんてアニメ関連のグッズがこんなに充実はしてないよなあ。ってか子供に人気なのかこの番組。ナギの艶やかな格好の絵がプリントされたTシャツなんか売られていたけど子供に大丈夫なのか。

 Tシャツといえば1番楽しかったのは任天堂のブースにいるコンパニオンのおねえさんたちがそれぞれ自分の似顔絵入りのTシャツを着ていたこと。美人は美人に、そうでない人もそれなりにちゃんと描かれていて感動。1人にいったいどれだけの時間をかけて描いたのかな。ちょっと欲しいかも。でもくださいって言うと変態扱いされそーだし。自分の似顔絵入りTシャツを作って着ていってサッカーのユニフォーム交換よろしく交換を願う、とか。いやそれもやっぱり変態扱いだ。

 とって返して着替えて「フクダ電子アリーナ」へと行きサッカー「ジェフユナイテッド市原・千葉対アルビレックス新潟」の試合を見よーとして気分が悪くなる。バックスタンドの直射日光が真正面から当たる席で熱波にやられたってこともあるけれど、それ以上に選手紹介のコールの時に最後に出てきたアマル・オシム監督の紹介にいつものコールを省略し、なおかつ出てもいなければベンチにもはいらず会場にだって来ていないストヤノフ選手のコールを何度も繰り返したゴール裏の態度が理解不能で頭がぐらぐらとしてくる。出ていないんだぜ。出られないんじゃない。出ようとしないんだぜ。この危急存亡の時に、自らピッチに背を向けてしまっている選手にどーして激励のコールが出来るのか。

 そりゃあ監督に対していろいろ鬱憤がたまっていることは分かる。分かるけれどもそこはそれ、プロフェッショナルなんだからまずは試合に出てピッチに立ってそこで最善のパフォーマンスを見せることによってチームメートを説得し、監督を納得させることが何より大切。ヴィッセル神戸の三浦淳宏選手のよーに試合に出られない中で関係がこじれたって訳じゃない。ストヤノフ選手に関してはケガが癒え、直前の試合ではスタメンで使いさあこれからおまえを中心選手と位置づけ建て直していきたいんだってチームは期待していただろーし、応援する人も期待していた。その期待を裏切り監督批判から謹慎処分。謝ればたぶん出してもらえるだろーにも関わらず、納得できないと拗ねて引きこもって大事な試合に姿を見せない選手を、それでも仲間だと応援するのはどこか筋が違ってる。

 今そこにいる監督にはコールをしないのならば、職場放棄をしている人間にもコールなどせず共に猛省を促すべきなのに、そーはせず片方だけを一方的に応援するのはつまりもはや監督など不要であるって意思表示か。けどそれは一部の人の情に走ったものであって見ている全員がそう思われるのはどうにもやるせない。それをやって監督は交代するかもしれないけれど、監督に逆らってその首を飛ばした人間が戻って来られるほどこの世界って甘いものなのか。次の監督が来たとしてもまたいつ反旗を翻して和を乱しチームの状態をガタガタにするかもしれない選手を使い続けるものなのか。これじゃあ共倒れで後に何も残らない。すべきは激励ではなく引っ込んでいることへのブーイング。それをされて恥と思わずプライドを傷つけられたと憤る選手ならそれまでだ。ここは滅私してでもフォア・ザ・チームと決め込み背中に書かれたウィン・バイ・オールを実践して自らの正しさをピッチの上でアピールしてくれないか。その時こそ盛大にコールをして讃えたい。

 なんて鬱屈した気持ちが伝染したのか前半はあまり動かないジェフ千葉の選手たち。そうこうしているうちに後半にカウンター気味に1点を決められさらにゴール前へとあげたクロスがそのまま入ってしまうアンラッキーな得点の奪われ方として気分もさらに落ち込む。ここでサイドに楽山選手を入れて羽生選手を中に戻し佐藤勇人キャプテンを復帰早々ボランチへと入れたことが草稿してか押し出しが強くなって相手ゴールへと幾度も迫る。迫るけれどもゴールポストに嫌われたりキーパー正面だったりPK気味につぶされたプレーをとってもらえなかったりと不運続きで得点を奪えず。それでも中島選手の打ったミドルが相手に当たったところをかっさらった羽生選手がボレー気味にたたき込んで1点を奪いあと1点と迫ったもののそこまで。

 ラストに気迫を見せられるんならどーして最初から見せないのか、ってところはやっぱり采配よりも選手に課題があるってことの現れなんだろー。それでも佐藤勇人キャプテンがケガを感じさせない動きで拾い自らも飛び込む動きを見せてこれからに期待大。楽山選手もいつになく切れててこれが続けば相当に戦力として期待出来そう。だからこそ戻って来て欲しいんだけれどいなくてもここまで出来るのならあるいは、って気もしてきた。それをだから恥と思ってストヤノフ選手には戦列復帰を求めたい。でもなあ、確か代表でもあのストイチコフ監督と険悪になって代表から遠ざかったって過去があるって聞いたこともあるしなあ。無理かなあ。共倒れかなあ。


【6月22日】 んでもって巧士朗はアルティスタにトラウマビームを浴びせかけられながらもすでに積み重なった数々のトラウマに慣れきった身には効かずボウリングの球により水晶球を破壊して殲滅。白ロリは追いつめられて現れた女王様の本性でもって猟平を屈服させ赤ロリはヒロシさんが身を挺してかばってくれたお陰で生き延びたものの悲しい別れが待っていたと思いきや、そこは前世の失敗を繰り返すまいと毛皮の防弾チョッキを着たいたヒロシさん。無事に生き延び感動の再会を果たす、ってその毛皮はいったいどの熊から調達したんだヒロシさん。それともフェイクか。

 そして黒ロリは血の涙を流しながらも小十乃に刃を向けるヨシュアにすがりついてはそのじゃじゃ必殺技ジャッジメント。元にもどったヨシュアを引き連れ向かうはクルツが待つリバース社の最上階なんだけれどもそこでは連れ去られたユアンが石版に戻されそしていったい何をされえるのかと思ったらクルツにガリガリと囓られてました。石版って瓦煎餅だったのか。つか吸収するんじゃなくって食べるのか。そのあたりの展開の頓狂さは最終回目前まで来ても変わらぬ「セイントオクトーバー」風。もはやこの勢いで突っ走っては「おとぎ銃士赤ずきん」同様にコナミアニメとして期待をされないまま始まりそして大きく評価を替えた作品の双璧を担って戴きたい。「ときめきメモリアル only love」はどこ行った? いやこれもこれで良い作品だったんだがなあ。

 ゼロ年代を接見した「決断主義」から一変、ゼロナナ年代がすべてを右から左へ、上から下へと受け流しては何も思わず何も感じずすべてに身をゆだねて漂っていく「ムーディ的」であることを証明する「アイドルマスター XENOGLOSSIA」と「機神大戦ギガンティック・フォーミュラ」もようやく視聴。知らず選ばれアイドルマスターとなった春香が周囲に頼られるままアイドルの「インベル」を軽々と動かす一方で自分がこうと決めたことに徹底して従い突っ走った菊地真は「ネーブラ」に見捨てられ動かせないままマグマの中に消えようとする。この対比こそが意思を貫こうとしても果たせないことが世界にはあり、何も考えなくてもただ右から左へと受け流していれば良いことがあるんだと教えてくれる。「決断主義」から「ムーディ的」へ。これこそがゼロナナ年代の思想的状況的なパラダイムシフトなのだ。来年はだったら「俺が○○」と主張して逃げ切る「超新塾風」の時代なのかなあ、いやこないだエレベーターで見かけたんで。でも来年になっても時代を象徴するグループにはならないか。

アキバのメイドが和菓子にも、つか美味いのかカリーどら焼って  遅蒔きながら「元祖東京カリーどら焼」なるものの存在を知る。いや別にどら焼の中身がカレーだろうとあんこだろうとホイップクリームだろうと関係ないんだけれどパッケージに描かれた「カリーちゃん」なるキャラクターが何というか今風というか、とてもじゃないけど老舗の和菓子屋「竹隆庵岡埜」が出している商品だとは思えない。小川町から万世橋を渡って秋葉原へと向かう途中にある和菓子屋にウィンドー越しせ貼ってあったポスターには全身像が描かれていてこれがなかなかの愛らしさ。場所が場所なだけに昭和通沿いにあって似顔絵をパッケージにしてくれる店なんかに対抗しての地域限定商品かと思ったら違って手、全店で売っててちょっと前には(今はどうか知らないけれど)ご近所の「船橋西武」でも堂々と売られていたらしー。気付かなかったよ。

 これはつまりメイドとキャラクターが老舗和菓子屋にも浸透するだけの一般性を持ち始めたって現れで、遠からず「とらや」にもトラちゃんとかいう美少女キャラクターが誕生しては「とらのあな」のキャラクターとどっちが本家のトラキャラかを競い合ったりするよーになるのかな。負けじと伊勢の名物「赤福」もいつまでも股旅だか侍だかの「赤太郎」だけを使わずに美少女で猫耳でメイド服の「あかふくちゃん」とか使えば更に全国区どころか海外から来た観光客にも知れ渡って日本のおみやげにと求められるよーになるのになあ。無理なら同じ伊勢ってことで橋本紡さん「半分の月がのぼる空」の里香をイメージキャラにするとか。食べれば元気もりもりとかって、それはちょっと嘘っぽいか、いやとりあえずは元気にはなったし。

 MF文庫Jの新刊5冊がすげえインパクト。だって全部がバック白。その上に描かれている美少女たち。遠目に見ればどれがどれだか区別がつかないし近くに寄ってもタイトルと作者名を消されているとやっぱりどれがどれだか判別が付かない。そりゃあその方が目立つし売れるって言ったって、5冊を5冊とも同じよーな想定にしたんじゃあどれも埋没してしまうんじゃなかろーか。工夫がないなあ。加えれば集英社スーパーダッシュ文庫も田中芳樹さんの「ウェディングドレスに紅いバラ」と「夜空の双子座に紅いバラ」がやっぱり白バックに美少女が1人だったり2人だったりのデザインで、そろって書店に面で並ぶと混乱にさらに拍車がかかる。電撃文庫も白バックが増えてはいるけどそれぞれにキャラを小さくしたり絵柄にバックを加えてみたりと工夫もあるし絵柄自体もバラエティーに富んでいる気が。それとも何だろー、工夫はせずとも相対としてのインパクトで攻める考えなのかMF文庫J。もはや「神様家族」が戻ってもこの表紙列じゃあ戻る場所なさそー。

 そんな中からとりあえず月見草平さん「姫宮さんの中の人」を読んでみる。ミト?  学校でも人気の美少女で生徒会長も務める姫宮さんに一目惚れした主人公の少年が、姫宮さんの落としたハンカチを拾って生徒会執行室に入るとそこには体が半分に割れた姫宮あんが。そして中にはちっこくって薄べったい女の子が入っていて、少年を見る成りぶるぶると震え凍えで哀願し泣き出した。いったい何? つまりはこれが中の人。わけあって人間型のスーツに入って生徒会長姫宮ちとせとして暮らしてた。それを見てしまった主人公は巻き込まれ引っ張り込まれていくって話で気になったのはスーツから出ると姫宮ちとせは不幸に見回れるとスーツを作った姉が宣言したこと。どんな不幸なんだろー? その当たりを明かしてくれるだろー次巻に期待。しかしやっぱりミトだあよなあ、宇宙海賊ミト。

 たまには表紙の固い本も読まなくちゃと渡辺球さんって「像の棲む街」で日本ファンタジーのベル大賞の優秀賞を獲得した人の新刊「べろなし」(講談社、1600円)を読んだんだけれどうーん、これなら小だまたけしさん「平成イリュージョン」の方がコミカルな中に太平洋戦争が終わらなかった日本の置かれたシチュエーションと、暮らす人々の心理状態が描かれていて興味深かったかなあ。「べろなし」は戦争が終わらなかった日本が鎖国して情報を統制したまま国内ではひたすらに軍国教育をほどこし反戦も反国家もすべて大逆とされている状況で、自由にちょっとだけ目覚めた人たちがあれこれ足掻くってゆーストーリー。改変された歴史ってのは「コードギアス 反逆のルルーシュ」的? でもそーゆー感じじゃないなあ、どちらかといえば架空戦記に近いか。

 外交官として活躍しながら反逆の罪にとらわれ八幡様のお堂に舌を切られ歯を抜かれて閉じこめられた老人が、周囲の求めに応じてひそかに圧制への反発を育む物語を伝え、生産性の落ちた工場に生産性を高める方法を伝授していくって展開は、なるほど圧迫された状況がいつまた訪れないとも限らない現代に圧迫されたらこんなに大変だって警句を与え、圧迫されてもこうやって立ち上がろうって方法を教える意味を持ってはいるんだけれどそれをわざわざ皇紀2666年に設定する意味が分からない。戦時下がどんなに酷かったかを描くだけで十分に伝わる話じゃん。ほとんど昭和20年がそのまま60年、続いただけにしか見えない世界で起こる出来事は、教訓にはなっても想像力は刺激してくれない。

 SFだったら小松左京が描きフィリップ・K・ディックが描きノーマン・スピンラッドが描いたよーな戦争が終わらず日本が、ナチスが勝利した世界を描いたものが過去にいくらだってある。繰り広げられるビジョンは恐ろしくはあるけれども想像力は刺激してくれる。架空の世界にしたって伝わる怖さはある。「未来世紀ブラジル」のよーな管理された世界で生きる困難さ。見ればびんびんと伝わってくる。そんな過去の作品群から発展しているどころかむしろ後退気味で、圧制下にあった日本に対する寓意だけが残った「べろなし」をいったい誰が読んでどう面白がるんだろーか。60年分の文化や技術の発展がそれなりにあって、けれどもちょっとづつ今の日本とは違っていろいろと面倒くさい架空の日本が舞台の「平成イリュージョン」の方が読んでてよほど面白く、そして不気味でもある。SFがポリティカルを踏まえた未来像を描かなくなってしまったから、横から来て上っ面をなでて凄いと思われてしまうのかなあ。頑張れギートテイスト。それにしても「ヤングキングアワーズ」で途中まで進んだ再開版「平成イリュージョン」、途中で止まったままだけど、どーなったんだろー、んでもってどーするんだろー。


【6月21日】 プラモデルとかならバンダイでも出せるのだなあ「装甲騎兵ボトムズ」関連商品を。もう出たのかそろそろ出たのか「1/20 スコープドッグ」ってプラモデルは値段が4200円とそれなりにお高く「ガンダム」のMGクラスよりやや上なだけあってえフォルムは完璧以上にスコープドッグ。テレビで見ていた時のよーな鈍重さがやや薄れ、足が長くてスマートな格好になっているのがちょい違和感を覚えるけれども上半身のボリュームとか、頭部の丸みなんかはいかにもスコープドッグって感じで手で持ち触れればさらに重厚な感じを味わえそう、プラスチックだけど。

 いや金属パーツが含まれた「メタルスペックバージョン」ってのもあってこちらは7350円と更にお高いけれども重量感はさらに増すはず。なおかつ普通版にもメタル版にも、ともに「ボルトオンスナップ」って今回が本邦初の仕組みが使われていて装甲パーツなんかをビス止めしていく作業がいかにもスコープドッグを組み立てているって雰囲気にさせてくれそー。付属のパイロットフィギュアはコックピット内部に座らせられるそーだけどマスクを被っているからキリコにゃあ見えないか、そこを自作して来るモデラーとか出そうだな。関節とかがどーなっていてどんな感じに動かせるのかが分からないけど1つ、買って組み立ててみたい気が満々、もっともかつて「ガンプラ」を作った時とは違い部屋にそーした作業用のスペースがないのが最大のネックか。やっぱりとっとと運びだそう段ボール。

 巨大な方が好きか薄べったいほうが好みかと問われてそりゃあ巨大な方と言いたいところだけれっども薄べったい方も方でこれがなかななに魅力的で捨て難い。薄いといっても洗濯板がまな板のよーに垂直なり逆にえぐれていたなら流石に論外だけれど、平べったいようでいて、ややほのかに丸みをおびていたりするのは見ていて時の移り変わっていく様とゆーものを感じさせ、将来性に期待を抱かせてくれるのが哲学的文学的に素晴らしいと認めるにやぶさかでなかったりする。つまりはどっちも良いてことだけれどもあえてどちらかを選べと言われたら……やっぱり迷うかなあ、だから田中芳樹さんの再刊された「ウェディングドレスに紅いバラ」(集英社スーパーダッシュ文庫)とこれの続編を書いてしまった岡崎裕信さんの「夜空の双子座に紅いバラ」(集英社スーパーダッシュ文庫)を店頭で並べられてさあどっちの表紙が好みかと聞かれても、即座にはちょっと手が出ない。

 いやそれだったらまだ幼い表情をして平べったい姿態を持って左右に背中に立った双子の美少女を数の多さで岡崎さんの「夜空の双子座に紅いバラ」を選びたくなるけれど、オリジナルであるところの「ウェディングドレスに紅いバラ」の表紙として小林立さんによって描かれている先天性吸血鬼の遺伝的資質が発動したため吸血鬼が生存権を守るために設立した「深紅のバラ結社」ことCSR日本支部に入り、支部長のおっさんとその下にいる美術館の学芸員をしながらCSRの活動も行っているコーチこと緑川淳司の下で新米エージェントとして働き始めた花村雅香のもうこぼれおちんばかりに張り出した双つの房の立派さを目の当たりにすると、そちらにも手が伸びてしまう。だったら両方読めば良い? ごもっとも。

 オリジナルの発表から実に20年を経て幾度目かの再刊となった「ウェディングドレスに紅いバラ」は20年経っても衰えない面白さでもって先天性吸血鬼の不老不死の秘密を狙って挑んでくる敵を相手に戦うCSRの面々の活躍ぶりを楽しませてくれる。そんなオリジナルの面白さに負けずそして面白さを引き継ぎ面白さを新たなに創造してみせたのが岡崎裕信さん。その文章の練習に「ウェディングドレスに紅いバラ」を原稿用紙に一字一句違わず体裁もそのままに引き写したとゆーファンだけあって展開も雰囲気も実によくオリジナルを引き継いでいるし、なおかつ双子の真理に倫理とゆー美少女を加え、さらに鴉に変身する強敵を創造してCSRを新たな戦いへと引っ張り込む。

 こいつはなかなかの強敵そーで倒されはしたけれども果たしておとなしく倒れてくれたのかがちょっと謎。加えて1人は不老不死となる吸血鬼の遺伝子が発動してそれ以上は歳をとらなくなり、もう1人は未だ遺伝しが発動しないままあるいは壮年から老年となる可能性も出ている双子の妹と姉が、しだいにズレていく時間をどう認識しどう葛藤するのかってゆー部分も興味が及ぶ。普通には老いていく悲しみが先に浮かぶけれども置いていかれる悲しみの方が、永遠に続くだけに正直言って残酷なもの。救いたくても救えなかった悲しみを味わった「フレイアになりたい」の風間瞳を描いた岡崎裕信さんならではのテーマ立てが、どんなドラマを見せてくれるのか。続く展開が今は楽しみ。大きいのも薄べったいのも頑張れ。

 ふと思った「コードギアス 反逆のルルーシュ」で1番大きいのは誰で薄べったいのは誰なんだろー、そりゃあ薄さでは年齢もあってナナリーが特別に薄そうだけれどそれをのぞけばやっぱりニーナかなあ、幸も薄そうだし。神楽耶もあれで平べったい感じがするけど歳いったい幾つだっけ、スザクと同じくらいであれだったらやっぱりトップは神楽耶か。逆に大きい方ではミレイ? それともユーフェミア? ユフィはドレスん時はなかなかだけれど島で濡れた服を脱いでた場面はそんなに大きくは見えなかった。上げ底なのか。それでも見た目では姉のコーネリアよりは立派そう。その豊満さに実は常々嫉妬心を覚えていて、表面上は仲むつまじくしているよーで実はユフィの悲劇にこれで皇女でもトップになれたと内心ほくそ笑んでいたりしたらちょっと愉快。とか言っていたら性徴の果てにナナリーが一気にナイスバディ化してコーネリアを瞠目させると。うーんやはりお約束の水着シーン温泉シーンがないから比べられないんだ。続編では是非に温泉へ、あるいは海水浴場へ。

 つーってんで「らき☆すた」のDVD1巻を査収、限定版の方。すべて録画しているから買うつもりはなかったんだけれども丁寧な作りと素晴らしい主題歌に敬意を表してここはやっぱり買うのが筋かと。とか言いつつ「まなびストレート」は勝っていなかったりするのだ。うーん平野か堀江かで平野を取ったということか。いや「まなび」にも平野はいるぞ。タイミングだなあ金回りとの。んで「らき☆すた」DVDには千葉テレビ版の番組宣伝スポットが入っているってあるんだけれどどんなだっけ、普段から千葉テレビで見ているんでそれが普通だと思ってたんだけど。画面いっぱいにこなたの顔が出てきて30秒かん「ぬーん」とかつぶやいている奴かなあ、あれはなかなかにインパクト。つか不気味。つないで3時間くらいしするとアンディ・ウォーホルもかくやと思わせる実験映像になりそー。誰か作らないかな。そーいや秋葉原の改札を出たところに巨大なこなたのシートが張ってあって歩くと顔を踏んづけられてなかなかに微妙な心理。気持ちいいんだけれど申し訳ないというか。踏んだ瞬間にぷにっとか足のうらでしてそーでしてなさそーだとか。いつまで貼ってあるんだろー。誰もいない早朝に行ってその顔に五体投地したいなあ。


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