縮刷版2007年月3上旬号


【3月31日】 関東一円から赤坂へと怒りに沸きたった群衆が手に「アニメージュ」とか持ち粉砕粉砕と口々に叫びながら押し掛ける姿がきっと見られたことだろうと想像。確かにプロ野球中継がある日は深夜アニメの録画は注意が必要だってその昔からずっと理解はしていたけれど、日本中が固唾を呑んでその展開を見守っていたとりあえずの最終回でただでさえ遅く放送が始まることになっていた日に、重ねての放送時間変更を行うなんてTBSはアニメーションのファンを敵に回して平気な局っていう印象を、改めて強く植え付けたに違いない。今やブームを超えて“現象”へとあと1歩で近づいて来ている「コードギアス 反逆のルルーシュ」なんだから、放送時間の移動はそれこそ選挙速報並の体制で、すべての番組にL字型に枠を作って入れて流すべきだった。でもそれが「コードギアス」の時間も続いて「銀河鉄道物語の放送時間は云々」とL字型に入れられるもの適わないからなあ。やっぱり注意した人が偉いってことで。

 かくいう自分もとりあえずの時間帯で予約はしておいたものの午前に突入したあたりで微睡み起きると午前2時10分。テレビをつけて放送開始を待ちまずは千葉テレビで放送が始まった「カレイドスター」の最終回を見つつ裏で録画が4分ほど遅れて始まるだろう「コードギアス」を確認したら違う番組がやっていた。世界陸上のPR番組。それも始まったばかりで終わる気配がなくこれはヤバいと確かめ放送が遅れるとの情報を仕入れてHDDレコーダーの録画時間を延長して事なきを得た。もしも眠り続けていたらきっと起きて流れた陸上選手の姿に殺意を覚えて今後道を歩いている陸上選手がいたら近寄って臭い息を吐きかけたに違いない。道を陸上選手が歩いているとも思えないけれど、走っている陸上選手には追いつけないから仕方がない。棒高跳びの棒を持ってる人とかハンマー投げのハンマーをぶら下げている人ならすぐに分かるんだけど。そんな奴ぁいねえ。

 って訳でまずは「カレイドスター」のダイジェスト版の最終回。肩を痛めたレイラさんが本番の直前に包帯をまかれた姿で背中を見せている格好が悩ましげで、それを間近に正面から見られたそらにちょっぴり羨望を抱く。そして感動の「まぼろしの大技」。物理的な法則が果たして適用されているかどうかは別にして、そこへと至るプロセスとそして予想されるレイラの引退という哀しみを超えてその瞬間に奏でられ紡がれた極上の時間に対する喝采の気持ちが心からわき上がって眠気が吹き飛ぶ。本当だったら悲劇だろう「コードギアス 反逆のルルーシュ」の第23話を見たあとに、録画ですぐ「カレイドスター」を見て先週と同様にダウンした気持ちをリフトアップしたかったんだけど仕方がない。一方で感動がリフトアップしてくれたからこそ直後に繰り広げられた哀しみも、少しは和らげられたのかもしれないなあ。

 とにかく悲劇。というより痛切。慚愧と後悔が巻き起こってどうしてそんなことになってしまったんだ、あのちょっとした時間のささいな言葉が招いたにしてはあまりにも大きすぎる代償だって思いが全身を貫いて居たたまれなさに歯をぎゅっと噛みしめる。ギアスで変成した感情のまま倒されるんだったらまだ良いけれど、正気を取り戻して自分がやったことがうまくいったのか、慶んでもらえたのかと心配している絵に魔女だ偽善者だといった叫びが被る演出が、何とも切なくって胸をかきむしられる。善と信じて失政をしつつ怨嗟を耳に受けることなく逝く幸せさもあるけれど、無理に信じ込まされて成した不善を知らず善を成したと信じて逝きつつ怨嗟と憎悪ばかりを浴びせかけられる方が何倍も何十倍も痛ましい。意志ではなく動かされたんだと端で知り当人の安心して逝く姿を見ればそりゃあスザクも激怒するだろうなあ。たとえルルーシュの本意ではなかったとしても。

 気になったのは東京租界を囲んでいたルルーシュにかけてきたスザクの電話が果たしてルルーシュをゼロだと知ってのことなのか、それとも今はまだ別人だと思っているのかが判然としなかった点。ルルーシュの受け答えからすると相手は自分がゼロだと知っているような雰囲気があったし、スザクもナナリーのためかと問いただすあたりにルルーシュの目的に感づいている節が感じられたけれども真相は不明。とはいえその直後、ルルーシュが慟哭ではなく嬌笑でもって全軍を指揮し大見得を切ってとらえずの終幕を飾ったところを見ると、もはや学園に帰る場所はなくまたユーフェミアに魔女の汚名を着せてそれを悔い、ユフィが目指した誰もが仲良く暮らせる世界ではなく己が目的とするブリタニア帝国の打倒それのみを目的に、周囲を駒として動かし世界を未曾有の混乱へと陥れる覚悟を固めたのかもって取れなくもない。

 分かりやすさでいうならユフィの死を糧に心を入れ替え今の立場を利用しつつ、ユフィの思いに近づこうと考え行動する展開の方が気分を納得させやすいんだけど、あのユフィににあんな行動をさせ汚名を着せて退場させるからには、有り体の感動とは違い、予定調和の中に砂糖菓子のような感動を引き出すんじゃなく、とことんまでの憎悪が招く事態の恐ろしさ、おぞましさを見せて、混沌の中に何が最善なのかを自ら考えさせるような作品へと向かわせるんだろー。それならばこちらも覚悟を決めるしかない。どんなに非道の世界が繰り広げられても逃げず、受け止め考えそして自身の最善を選びそれを世界へと還元するだけだ。待っているぞ24話と25話。そしていつか始まる第2期を。でもやっぱりその前にDVDボックスで「カレイドスター」の「まぼろしの大技」を見返して努力だけが成す感動って奴の素晴らしさを味わい心身を整えておこう。でないと誘われてしまいそうだから、暗黒へ。

 あとは余談。皇神楽耶を演じるかないみかさんとユフィの南央美さんの共演が見たかったよきっと楽しい光景が繰り広げられたに違いない「ルルーシュはぼくのだようはれぶたあ」「ぶひー」。C.C.が廊下でぶつぶつと良いながら最後にマリアンヌと付けたのはちょっと意味が分からない。そーいや前週にスザクが接触した時に脳裏にマリアンヌのイメージが流入して来たっけ。繋がっているのか中に入っているのか。つながっているならどこにいるのか。やっぱりただの謀殺ではなかったんだろうなあ、それを勝手に恨みに思って世界をぶっ壊すルルーシュはガキだ、やっぱり。「ライブアライブ」でのハルヒ以上に凄まじい表情を見せて苦悶にのたうちまわったニーナが何かしでかしそう。ナイトメアフレームを改造してたからきっとずっと作ってた核爆弾とか搭載しているに違いない。んでもって東京租界でドカン。ルルもコーネリアも全滅でジ・エンド。うーん困った。ユフィを思い呆然とするコーネリアの表情が妙に可愛らしかった。ダールトンは何を仕込まれているんだろう。ああやっぱりさっさと放送しろ。

 寝付かれず届いていた成田良悟さんの「バッカーノ1934!完結編」(電撃文庫)を長かったけれど一気読み。ヴィーノの超絶超人的な活躍こそなかったけれども続く解体屋のこれまら人間が相手だったら最強に近い暴れっぷりが見られたり、爆弾魔のレイルくんの“正体”が明らかになったりしていったいまたどれだけの設定を加えて続く展開を描くんだって興味が溢れる。フィーロもまあ大活躍。というよりやっぱりこいつカモッラに向いてないんちゃうか、敵なはずの御あの子に妙に親切だし。それはシカゴのジャグジーも一緒か。子供には優しい不良にカモッラ。幸せな時代だったんだなあ。

 あとはやっぱりネブラの変態女性科学者(眼鏡っ娘)の超意外な正体かあ、つかそんな設定いったいいつから考えてたの成田さん。読み落としていただけかもしれないけれど正直言って驚いた。ついでに他のキャラクターにももっといろいろ在るんじゃないかと勘ぐった。在るんだろうなあ。アイザックとミリアにも、やっぱりいっぱい。それを広げて広げまくってもちゃんと畳める凄い腕。今年はアニメ化もあってこれ一辺倒になりそうだってあとがきに書いているから大昔に戻ったり未来に言ったりごく近い歳だったりを舞台にした狂乱の宴を楽しませて頂けると信じて待とう。アニメにも当然ながら期待だ。特に声とか。誰が誰をやるんだおうなあ。もしも若本皇帝が充てるとしたら誰が1番良いんだろうなあ。

 そんなこんなでうだうだとしていたら午後も遅くなったんで起き出して池袋へと向かい「ジュンク堂池袋本店」で行われた講談社海外文芸出版部部長(ぶちょう)にして「ファンスト」編集長だけど編集しているのかどうか分からなかったのがどうやら出す気があるらしと分かったから未だ現役と認められた太田克史さんと、そして台湾にある全力出版という今だとやっぱりオレンジ君ことジェレミア卿と絡めて語られやすい言葉だけれど元をたどるなら島本和彦さんに由来しているらしい名前の出版社を台湾に起こして社長として編集長として5人だか4人の編集部員を指揮し「月刊挑戦者」を刊行し続けている林依悧さんが登場したトークイベントを聴講する。

 とにかく女傑の林さんは日本のアニメ学校かどっかに行ってそこでの勉学よりも実践とアニメ会社に入り制作なんかをやった後で帰国し、出版社を起こして緒方剛志さんを表紙に起用した雑誌「月刊挑戦者」を立ち上げたという年期と熱情の入ったオタクな感じ。でも凄いのは日本でだってどこか先達の受容に消費者の態度が向かいヒット作の後追いにクリエーターやプロデューサーの意向が進みがちな中にあって、台湾における海外とりわけ日本からの漫画やアニメや小説の翻訳刊行発売ばかりが増えて誰もクリエーターを育てようとしなくなり、クリエーターも育つより儲かる人まねな仕事へと流れがちな状況を許せないと、立ち上がり出版社を起こしたとか。

 そんなクリエイティビティを持ったオタクが今なお日本にどれだけいるのかなあ、もちろんいるからこその同人誌に同人ソフトの隆盛なんだろうけれど、世界を相手に業界を代える意気込みを持った人となるとそうはいない。その意味ではガイナックスとかその辺がまさに自分たちの見たいもの聞きたいものを作るために立ち上がった20年の昔に重なる物作りを尊ぶ第1世代的なオタクの神髄が、台湾で生まれ芽吹いたってことになるのかなあ。けどでもそんな林依悧さんも台湾では孤高だというから悩ましい。聞くに政府が漫画のようなコンテンツの重要性を鑑み補助金を出すというとその補助金目当てで雑誌が立ち上がりはするものの、補助金がなくなると途端に廃刊してしまうとか。金ではなく作りたい出したい伝えたいって意欲がまず先に立つ日本的(といえるかどうか最近はちょっと妖しいけれど)な職人気質が台湾には育まれず、ただ儲かるからって1点のみで漫画が出されそれも売れている漫画のインスパイアではなく剽窃が流行り売れなくなると途端に消滅してしまう。

 そんな状況の中で孤軍奮闘しているとどうにもやる気が削がれるって所が血気盛んな言動とは裏腹に一抹の寂しさを感じさせて何とかしてあげたくなるけど彼の国の状況に劣らず、というよりより劣るような感じで政府が政府による政府のためのコンテンツ政策なんてものを立ち上げ現場や消費者の感性を無視したところで権威的文壇的メディア的序列に従った奨励をやって悦に入っている我が国の実状を鑑みるにアジアでナンバーワンだからといて、未来は決して手放しでは喜べない。実際にこれは太田さんが手に持ち紹介して絶賛していた上海にある長江文芸出版社ってところが昨年の11月くらいに立ち上げた「最小説」って雑誌が表紙のセンスもグラビアのセンスも巻末あたりの読者投稿や占いのコーナーのセンスも含めて日本の雑誌に負けず劣らないくらいの高品質さを既に発揮している。

 まだ若い郭敬明って編集長が率いる雑誌は当人がグラビアに登場してジャニーズっぽいビジュアルで読者にアピールしていたり、まるで日本の高校生って雰囲気の男女が綺麗な風景の中を歩き喋り座っているフォト入りの小説が載っていたり、コバルトとかビーンズとかに使われていたって不思議のない耽美で美麗なイラストが使われていたりして開けばどこにも目が止まる。印刷の質も昔の中国の雑誌とか日本のビニ本とかにありがちなくすんだ色じゃなくって発色はクリアで且つシャープ。「ファウスト」で自信満々だった太田さんすら驚いたという洗練ぶりでもって、ファウストなんて目じゃない30万部から50万部といった部数を確保し今も伸びているっていうからもう仰天。これって日本のどんなライトノベル系雑誌よりも売れている訳で、そんな所に日本のコンテンツは世界でも通用するぜって意識で入っていったって適うわけがない。逆に向こうの勢いがアジア全域に広がり日本なんてローカルへと押し込められてしまう可能性すらあったりする。

 1号はそれでも野暮ったさも見えるけれども号を追うに連れて洗練ぶりが増しているのも驚き。訪ねた太田さんが見た棚には「ファウスト」も含めて日本のその手のレイアウトや写真に凝ったオシャレな雑誌が並んでいたそーで、先達から学ぶだけではなく追いつき追い越してしまうパワーと才能を、急上昇する経済ともども持っているってことを強く認識させられる。あとは小説とかの中身がどの程度のレベルかが気になるけれども見せてもらったのをチラ読みしただけでは中国語なんで正直不明。でも日本からでも取り寄せられるみたいなんで試してみたい人はいかが。神田の中国専門書店じゃあまだ売ってないかなあ、明日行って探してみようっと。


【3月30日】 知ったのはテレビアニメが始まった前後だから決して古手のファンとは言えないけれど、そこからですら既に9年の歳月が流れていたりして結構長くつき合って来たんだなあと感慨に浸りつつ迎えた「ヤングキングアワーズ」連載の内藤泰弘さんによる「トライガンマキシマム」の最終回。なんだかんだと壮絶な兄弟げんかも幕を閉じて平和が戻り地球からの支援もあって復活への道を歩み始めたその星で、再び賞金首として負われることになったヴァッシュ・ザ・スタンピードに危機が迫る。

 けどまあそこはそれ、名前の由来そのままにすたこらさっさと逃げ出すとしたところ、現れたのがメリルとミリィのでこぼこコンビ。ばさっとマントを広げたメリルがそこに差していたものは! ってなところでやっぱり始まる追い掛けあっこのエンディングの、過去に大勢が死んではいても残った者たちは元気に着実に生きていくんだって前向きさにあふれた笑顔が嬉しい。ちらちらと出てくる過去の関係者たちも懐かしい。完結おめでとう。しかしこれだけの大連載を終えて内藤さん、次にいったい何をするんだろう?

でもって今月号は掲載の「ヘルシング」はインテグラ局長が少佐の所へと向かう途中で立ちはだかった超銃身のモーゼルを持つ大尉を相手に、セラスがハルコンネンを両脇に抱えて挑む一大バトルがまず大半。ヴェアヴォルフとしての本性を見せた大尉に対してセラスが果たして勝てるのか、って所で興味を引きつつ一方で進むヤング化したアーカードと若返ったウォルターとの闘いにもアーカードの圧倒的なパワーが発現して決着への道筋を予見させる。いつもながら次が楽しみ。そんでもっていったいいつ次が載るのかにも。「惑星のさみだれ」は蛇の戦士のコスプレがキュート。カラーとは実に読者サービスとは何かが分かっているよこの作者。

 かつては青春ドラマのヒロインとかにいたりして現実的な存在として認知もされていたみたいだけれど、今となっては例えば異能の力の持ち主とか、巫女とか猫耳の神様とか転校生とか妹なんかと同じくらいに一種の“記号”と化して、ティーン向けの文庫の中に生きているだけの存在に化してしまったのかもしれない“剣術少女”あるいは“美少女剣士”。なるほど見渡したって芥川賞作家の普通に暮らしている人々の日常に起こったささいな出来事を描いたミニマル小説にも、館で起こる殺人事件を名探偵が鮮やかに解決してみせる推理作家のミステリーにも“美少女剣士”は登場しないし昨今、注目され始めているスポーツがテーマの小説だって剣道部の女主将が主人公になったような小説はない。弓道はあるけれど。

 理由はうーん、分からないけど剣道なり剣術ってのが体育の時間からも遠ざかりもちろん生活からは隔絶してしまっていることが、日常を描く小説に素材として登場させる気持ちを作家が奪ってそして結果としてそうした属性の持ち主が現れることもなくなってしまったんだろう。対してライトノベルでは闘うことが主目的となる話がまず多くそこでヒロインになる女の子もいて闘う武器として異能の力に加えてやっぱり、ファンタジーからの名残として剣が大きな力となるってケースが多いことが未だに“剣術少女”あるいは“美少女剣士”を重要な位置に居座らせ続けているんだろう。決して読者として大半をしめる男子に女子から剣で打擲されたい嗜虐性の持ち主が多く含まれているからじゃあない、とは思いたいけど意外にそれなりにいたりするかもしれないなあ。

 そんな訳で相次ぎ美少女が剣を振り回す小説が登場。まずは扇智史さんの「塔の町、あたしたちの街」(ファミ通文庫、620円)は、2人の少女が暮らす家での場面から始まるんだけど、主人公の西条なごみが寝ているところをじっと見つめているの皆口華多那って少女が希代の剣術使いで、寝坊して遅刻しそうになって走り追いついた路面電車に刀を伸ばしてひっかけどうにか乗り込もうとしたりする程、日常的に刀を持ち歩いていたりする。それって銃刀法違反じゃない? と思うのも当然だろうけどここはどうやらそうした法律が適用されない世界の様子。大気の中に歪気と呼ばれるものが混じったその地「積野辺」では守代という一族が塔を作り歪気を操る力を持って街を支配。その力をうまく使って路面電車を動かしたり、重症を負った人間に仕込んだ機械を動かして健常者と代わらない暮らしを送らせたりしていた。

 でもって歪気が時々暴走しては生まれる得体のしれない物があって、それを退治しして歩いていたのが守代の家を守護する御三家。皆口もそのひとつで娘の華多那はだから守代の家に生まれて今は塔を出て学園を運営しながら生徒会長もしている皆理から帯刀を許され、そして同時に依頼も受けて西条なごみと暮らしていた。当のなごみは幼なじみの華多那が父は放浪の画家で街を出て帰らず母はまだ娘が幼い頃に死んでしまって孤児同然となってしまったなごみを世話する意味もあって一緒に暮らしているだけだと思っている。

 でも世の中はそんなに善意ばかりには溢れていなかった。守代という一家が護る積野辺ができた時からの因縁とも言える西条の家に秘められている謎になごみが気づき、その謎を管理し隠蔽しようとしていた守代との対峙が起こる。心からなごみが好き。だけれども君主は守代皆理という華多那は間にはいって苦しみ悩む。そこに絡む第三の敵。秘められていたなごみの力が発動して、何も知らずに送っていた楽しい日々は終わりそして探求と闘争の日々が幕を開ける。

 主人公ではないけれど、剣術使いの華多那の存在は皆理の策謀となごみの探訪の間に入ってもっとも苦しむって点で主役のなごみを超えている感じ。皆理は冷酷さを剥き出しにしつつ目的を達成しようと屹立し、なごみは奪われている過去を追い求め自ら得た力を武器に巨大な権力者に挑む覚悟を決めた、いちおうの結末を迎えてそして華多那はとりあえずなごみを選んだけれども今後ももやっぱり2人の間で悩みを抱え苦しみを覚えていくことになりそー。そんな華多那の行く末こそが、このシリーズでも実は大きくて重たいテーマとして語られることになるんじゃなかろーか。注目して待とう。それにしても「永遠のフローズンチョコレート」からは何て変わり様だよ。まあ皆理の酷薄さは通じるとこがあるけれど。

 そんでもってひかわ玲子さんの「ゴッデス1 女神さまって大変なの」(HJ文庫、600円)は2人のヒロインに加えて影のヒロインまでもが剣術が得意という美少女剣士の大盤振る舞いが目新しくも愉快な1冊。私立高校で生徒会長と副会長を務めるアキラと桜羅子の2人に近所の市立高校で生徒会長をしている璃季から果たし状が舞い込んだ。璃李とアキラは2歳の頃からの犬猿の仲らしく今に至ってもそれが続いての果たし合い。剣術道場の娘として生まれた桜羅子と道場に通っていたサクラが手に竹刀を持っていくと、居合い抜きの名手だった御先祖様を持つ璃李も手に竹刀を持って立っていて、さあいよいよ果たし合いが始まるかって所に吹いた突風。目覚めるアキラと桜羅子だけがいて、そこに甲冑をつけた女が襲い掛かってきた。

 這々の体で女を倒すと女は消滅。そして現れた男がアキラと桜羅子に2人は神を倒して神になったのだと告げた。どういうことだ。聞くとその世界では神が力をめぐって頃試合をしているらしい。そして決闘の現場にいたアキラとは従兄弟の宙良もやっぱり突風に巻き込まれていて同じ世界に来ていたけれど、彼は現れた神と決闘はせず美貌の男神に妙に気に入られてしまう。やがて女神になっていたアキラと桜羅子は宙良と再会。やっぱりとばされて来ているらしい璃李を探しに行ったところ、璃李は神との決闘には勝てず命を奪われ、その外見だけを取り入れた神が一行を襲ってきた。圧倒的に強いその神を相手にアキラも桜羅子も逃げるしかない。璃李は取り戻せないまでも現世に帰ろうとしたものの方法が分からず、それを探す旅へと出かける。

 呼ばれた異世界で神とあがめられ旧い世代の神と闘わされるところは榊一郎さんの「イコノクラスト」なんかとも共通。こっちは正真正銘の神様となって別の神様とバトルロイヤルを繰り広げるってところが目新しく、また2人が決して最上位の万能な神になった訳ではないところも当たり前さとは違って興味深い。そこから這い上がっていくには勝利が必要なんだけれどもそれだけの力量をどこで養うのか。また本来は残酷なはずの神がどうして宙良を心配しその同級生だったアキラや桜羅子にも見かけ上は親切にするのか。見えない部分も多々ありかつラストに衝撃的過ぎる展開をおいて次回へと引いたこの物語が、向かいそして落ち着く先はどこなのか。宙良って奴の物わかりの悪さに苛立たされる所もあるけど、ヒロインたちを含めたキャラの定式から外れた振る舞いによって誘われる展開の見えなさには興味を引かれる。どんな続きが待つのか。続刊を待とう。


【3月29日】 新顔だそれも眼鏡っ娘だ天野こずえさんの「ARIA」(マッグガーデン)も遂に10巻の大台に乗り、付録に猫社長のコンパクトミラーが付く豪華版も登場して街に腰からアリア社長をぶらさげて歩く男子とか出てきそうでそれはそれでなかなかに麗しい光景ではあるけれども、それより驚きは藍華にアリスだけだった灯里の回りに同世代の半人前のウンディーネが登場したってことで鉄壁のトライアングルによって育まれてきた箱庭的日常の光景が、ドラマチックな人間関係を得て大きく広がっていくのかって期待も浮かんだけれどとりあえず登場はそのエピソードのみ。せっかくの眼鏡っ娘でなおかつデコをこれで没にしてしまうのは惜しいだけに1人前の試験とか受ける時での再登場なんかを切に願おう。つかアトラにあゆみに杏とやっぱり「あ」からなんだなあ名前。子供をウンディーネにしたい人はだから命名に気を付けるよーに。

 なんかしばらく「コバルト文庫」で見ないと思ったらこっちに出てきてこんにちは。「フラクタル・チャイルド」とか書いてた竹岡葉月さんがファミ通文庫へとお目見えしては萌えたっぷりな妹ファンタジーを描いてる、って言って良いのか。良いんだろうなにしろタイトルからして「マイフェアSISTER 姫君、拳を握りすぎです。」(ファミ通文庫、600円)ってんだから。今は普通の高校生をしている江戸川師走だけど昔は天才子役として超人気を誇っていたのにある出来事がきっかけて子役を廃業。代わって今は妹が日本でも1番人気のアイドル女優として活躍していて今度はハリウッド映画に出ることに。テレビでしおらしく受け答えをする妹の睦月を見ながら「まーなんつうか、ようやるわ」と呆れていたところにその睦月から電話あり。テレビや映画で見せる楚々とした感じとはまるで違ったわがままで強引でダークな性格で兄貴を罵倒してみせる。

 大昔に憧れていた子役としての兄貴が今は腑抜けなのも気に入らないご様子で、何かというとくってかかるそんな妹に巻き込まれて兄貴が演技の力を取り戻す感動兄妹物語がそして始まるのかと思いきや、話は急展開して急旋回して師走を別の事件へと引っ張り込む。今は仙台に済んでいる師走が東京いた頃からの知り合いで今は警視庁でキャリアの刑事か何かをしているミキから東京へと引っ張り出された師走。とりあえずはずぼらなミキの世話をするのが仕事なんだと理解してついていったらそこにいた。幼女が。裸にタオルを巻き付けた姿で。そして師走に喰らわした。キックを。パンチを。全力で。あまつさえ奪ってきた。唇を。少女の名はアネモネ。地球とは違う異世界からやって来ていたお姫様。それがなぜにパンチを? キスを? というよりどうして異世界人のお姫様が?

 日常から始まった物語がスルリと異世界も関連したファンタジーへと変化する様が何とも絶妙。そういう世界観なんだと驚かせつつ分からせつつそして繰り出される異世界が日常へと入り込んでいる不思議だけれども愉快なストーリーへと引っ張り込んでいく。ハリウッドにいるはずなのに何故か日本へと帰ってきていた睦月が傍若無人な性格で絡むエピソードは、睦月が直面している壁を描きつつかつて師走がぶつかり逃げた壁を示して人間が成長していく難しさ、けれども乗り越えなくちゃいけない必要性を感じさせる。そんでもって国の宝を探しにやって来たアネモネの背後で動いていた大きな出来事は、おとぎばなしのようにいつまでも幸せには暮らせない現実の厳しさをうかがわせつつ、それでも前向きに生きる大切さって奴を教えてくれる。

 珍妙な格好でカレーを作る異世界から来た店長とか、かつて師走とヒーロー物のドラマで共演したことがあるという男とか、宝を持って逃げた異世界人のカーナとか、登場するキャラクターもそれなりに意味があって物語の進行に絡んで来るからちょっとの言動も見逃せない。捨てたはずの演技をときどき発揮させて急場をしのぐ師走の未だに残る役者魂の発露もポイント。未だ抱える贖罪の意識が拭われふたたび役者の現場に戻るってことはあるのかなあ。睦月との絡みだけならそれもあったけれども一方では、異世界のお姫様の面倒を見るって仕事もあるだけにそういう演劇根性物語へとは向かいそうもない。いっそだったら異世界へと乗り込みそこで持ち前の演技力を使い妹もそうだな映画のロケに来ていて巻き込まれて2人で技を爆裂させつつアネモネの窮地を救うって展開なんかが読んでみたいなあ。カレー屋の店長も秘められた力をそこで爆発させるとか。

 両手を真っ直ぐ上へと伸ばし手のひらを合わせたロケットみたいな格好で身体をねじりながら歩けばもうあなたはデューク更家さん、ではないのだそんなに簡単ではないのだってことを教えるゲームソフトが登場。つかもはやゲームではないそのソフト、名古屋にあるドラスって会社が作ったもので「DS」に差し込むとデュークさんが登場してポーズを見せたり声で叱咤して歩き方を教えてくれる、らしい。ちょっと前にヨガを見せてくれるソフトの発表されていたけど脳を鍛えるだけじゃない、身体も鍛えられるソフトってのが何だろう、今のトレンドってことなのかな。

 あの小さい画面で見て果たして覚えられるの? って疑問もあるけど、会見に登場したデュークさんは美女軍団を引き連れひとしきりウォーキングを見せてくれた後、DVDとか書籍なんかとは違って外へと持ち出せる「DS」の利便性を強調して、是非に外で見たり聞いたりしながら歩き方を実践して欲しいって言っていたけどでもあの両手を上にあげてぐるぐると回りながら歩くデュークズウォーキングとか、両手を羽根のように広げて脇腹を後ろへと引っ張る感じで歩くデュークズウォーキングを人前でやるのってなかなに勇気がいりそう。でも見るからに効果がありそうなのも事実なだけにここは何人かと語らって集まり実践してみるのが良いのかも、皇居の周りとかを30人くらいでデュークズウォーキングしてたら格好良いよなあ、良いのか?


【3月28日】 一橋ゆりえの中の人が半裸でマラカスを振ってる目にも嬉しいCMも、いよいよこれで見納めになるのかと思うと寂しい限りの「ヤマトナデシコ七変化」。オープニングもすっ飛ばしてレディへの道に未だ遠いとスナコの境遇を認め乗り込み騒動を起こす叔母のプレッシャーに、翻弄される美形4人組を不憫に思ったか自らレディへと変身を遂げようとするもののやっぱり臆して黒マント。そして臨んだパーティーの席で最後に見目麗しいところを見せつつでも、やっぱり眩しい顔を間近に見てどくどくと鼻血を流すスナコちゃんであった。まあそれでこそ「ヤマトナデシコ七変化」。原作の方がどーなっているかは知らないけれどもアニメ版はこれで綺麗におちました。爆裂描写もふんだんに混ぜつつ暴走させつつ最後はちゃんとまとめるワタナベシンイチ演出の極みってところで。次は何をやるんだろうナベシン。

 せっかくだからと注文でもしておくかとネットのホビー系サイトを漁ったらおお何と! 植木等さんを象ったタカラトミー謹製のドールはどこもかしこも完売状態。アマゾンのおもちゃ・ホビーショップではランキングで6位に入っていたりするくらいの人気ぶりで、税抜き12800円もする高いおもちゃであってもこれだけの人気ってところに植木さんが持っていたバリューの高さと、そしてタカラトミーのフィギュアが醸し出している雰囲気の良さを感じる。訃報を受けたニュースで出てくる脚を高々と上げたポーズを付けちゃえるんだもんなあ、ハッスルコーラを手に持たせて。擂り粉木でゴマを擂らせることだってできちゃうし。ああしかしこーなるとやっぱり欲しいって気がむくむくと。既にしてアルフレックス謹製のドールが山と積まれて顔の上に落ちそうなところに植木さんフィギュアが重なればもう確実に崩落するんだけれどでも。「わかっちゃいるけれどやめられない」。なるほど植木さんはコレクター・スピリッツにおいても元祖であったか。

 ネタを広いに「東京ビッグサイト」で開催中の「健康博覧会」をのぞくとそこはマイナスイオンだのイオン交歓だのチタンだの健康食品だのの桃源郷、繰り広げられる健康を唄った商品の数々にきくまこ先生とか読んでひとつひとつ解説してもらいたいって気も起こったけれども一方で、これだけの店が軒を構えて商売できるってところに人がこうしたものを信じる気持ちってものの大きさを覚えないではいられない。効果の有無とか関係ない、気持ちが求めるんだから仕方がないってことなんだろー。そーした食品系とか飲料品啓とは別にフィットネス機器系も充実。とくに目立っていたのは両脚を踏ん張って立つプレートが左右に細かく振動するマシンで見ているとビリビリと左右にヒップやふとももが揺れてやりこめばギュッと絞れて来そうな感じ。でもただ揺らすだけで脂肪って落ちるのかなあ。逆に筋肉とかついて太く固くなっちゃいそうな気もするなあ。試してみるか。ってやっぱりすっかり引きずられてる。

 ゲーム系で出展がないかを探すのが目的でそれは新世代が開発したもので、テレビにつなぐだけでスポーツ系の体感ゲームが楽しめる「ザビックスポート」が出ていたのを見つけて達成。任天堂の「Wii」が登場して「Wiiスポーツ」が人気になって汎用のゲーム機でスポーツが楽しめるようになった現在、ザビックスポートはそのままフェードアウトしちゃうのかなって心配していたけれど、「Wiiスポーツ」が評判になるのと合わせて類似した効果を体験できる「ザビックスポート」にも今ふたたびの関心が集まって来ている模様。「日経ヘルス」なんかにもそんな特集が載ってるみたいだし。「Wii」も「Wiiスポーツ」だけが妙に売れてそれに続く“体感”系のゲームがなかなか出て来てない状況があるだけに、ポートにソフトを刺せばテニスもボウリングもDDR的なステップ運動も楽しめる「ザビックスポート」が見直される可能性もあるのかも。ちょっと注目。

 「ザビックスポート」と言えばずいぶんと前にジャッキー・チェンを起用してボクシングのタイトルを出していたけど今回は、画面の支持に合わせて手を動かすとそれが画面に反映されて矢印の方向を示したり、数字を順番に消していったりできるタイトルがお目見え。ゲーム性だけなら「ニンテンドーDS」のタッチスクリーンを使えば再現できて反射神経を鍛える「脳トレ」的なゲームとして作れそうだけど、実際に手をぶんぶんと動かすことで小さいタッチスクリーンを指先でちょいちょい触れるのとは違った効果を得られるみたい。ボールが飛んできても指先だけ動かしたって受け止められない、目から入った信号を腕に伝えて筋肉を動かしてこそ、ってことなんだろー。派手さとそれからやっぱりゲームとしての面白さでは「Wii」が勝っているけれど、目的を考え汎用性はちょっとで良い、それよりも運動としての本格性を重視したいって人に見直され、シェアを伸ばす今がチャンスなのかも。任天堂もそろそろ「Wiiスポーツ」に続く何かを出さないと、谷間に落ちてはい上がれなくなるぞ。

 春の陽気に誘われ2万人近くが詰めかけた「国立霞ヶ丘競技場」は日が暮れるととたんに花冷えとなって集まった薄着の人たちの肌を寒風で突き刺しまくってたみたい。それでも試合が灼熱のエナジーを爆発させるよーなものなら良かったんだけれども相変わらずゴール前で勢いがいったんとまってそこから左右に振るとかサイドを切れ込ませるとかいったプレーを選ぼうとするものだから相手に守備を固められてなかなかなか得点が奪えない。とっとと平山に充ててそこに2列目が突っ込めば良いんだけれど触りたいのか平山相太選手、センターでどっしと構えるよりも左右に動くものだから早い攻撃ができず左右に預けてそこから切り込んでいく展開を余儀なくされる。並んだディフェンスを崩せず跳ね返される繰り返し。これは今日も退屈な試合になりそうって印象を見ていた人は覚えて寒さを募らせたんじゃなかろーか。

 なるほど得点は前半から着々と入ったけれど1点目は水野晃樹選手が逆サイドにいた家永選手に送りそれを家長昭博選手がちょっと切れ込んでそして打って入ったナイスなゴール。水野選手の視野の広さを家永選手の思い切りの良さに助けられたものでチームプレーで崩して勝ったって印象には遠い。2点目も水野選手のフリーキックが平山相太選手の頭にドンピシャで合って入った1点。後半に入った3点目も中盤の攻防からやや事故みたくこぼれて出たボールを平山選手が受けてほとんどキーパーと1対1となりながらループ気味に打って入れた得点で、フィニッシュ部分の個人技は評価できてもチームプレーの中からの得点って言えるかというとやや微妙、その意味で3点とも手放しで喜べない。水野選手の凄さが改めて分かったって点を除いては、ってのはジェフユナイテッド市原・千葉サポの贔屓目って奴か。

 左サイドに入った本田圭佑選手がどうにも見ていて歯がゆい動き。そりゃあ攻撃の部分で受けて切れ込み抜いてクロスを幾度となく入れていたけれどもそれ以外の部分で省エネっぽい所がみられ、しじゅう突っかけてはポジションをずらし受け取り切れ込み入れる水野選手のいた右サイドに比べてどうにも攻撃に勢いが見られない。ボランチのフォローもあんまりなかったし。五輪代表の試合だといつも見ていて欲求不満が起こる本田選手なのに名古屋グランパスエイトの試合となると輝き採点も良いのは何が違っているからなんだろう。フォローが多いのかそれとも気合いが違うのか。うーんそれを見極めるために行くか4月1日、横浜FCとの試合を見に三ツ沢へ。巻弟とかも出てくれると楽しいな。オールスターで買った赤字に「MAKI」のネーム入りシャツがあるから着ていくか。


【3月27日】 そうか「レイトン教授と不思議な町」は50万本のヒット作となったのか。本屋でもらった「まんたんブロード」の2007年3月号には特集の2つめとして大々的にこのゲームソフトが取り上げられてて、開発の経緯なんかが紹介されててレベルファイブの日野晃博社長なんかが登場。「売れたから続編を出したと言われたくなかったので、本気で取り組む姿勢を示すために発売前に発表しました」って次回作「レイトン教授と悪魔の箱」の構想が、場当たりでなかったことを表明してる。その意気込みから考えるにきっとそんなに遠くない時期にふたたびレイトン教授の「当然だよ、英国紳士としてはね」ってセリフにお目にかかれることだと信じたい。

 興味深かったのは元は「頭の体操」そのもののゲーム化だった話が、いわゆる「脳トレ」ゲームのヒットで2番煎じになると考え、企画を練り直したってところ。乗れるものなら勢いに乗って2番煎じだろうと2匹目の泥鰌だろうと狙って平気なゲーム業界って印象もあったけれど、そこをこだわり「レイトン教授」というキャラクターと謎解きの必然性を盛り込んだストーリーを導入することによって、かつてない目新しさと面白さを持ったゲームを作り上げたって点はとっても評価したい。だって本当にお金かかってそうだもん、アニメーションの場面とか、声優陣とか。

 でもそんな丁寧さが評価されての50万本。多湖輝さんってビッグネームにアイディアでは頼りつつネームバリューは前面には立てずに、「脳トレ」っぽさを薄くし新感覚アドベンチャーへと切り替えたマーケティング的な着想がもたらした成功を鑑みるに、ヒットしている書籍の安易なニンテンドーDS向けソフト化もちょっとは引っ込み、アイディアに独自性を加えた新しいゲームが今後出てきてくれるんじゃなかろうか。そんな中にあっても「レイトン教授」シリーズはきっと次にも新たなアイディアと物語を見せてくれると信じて、発売を首を長くして待とう。その間はちまちまとワイファイからダウンロードしてプレーだ。簡単過ぎるのが玉に瑕、だけど。もっと難しい「ナゾ」を寄こせ。

 セルジオ越後さんが壊れていくよう。「週刊サッカーダイジェスト」の2007年4月10日号に掲載の「天国と地獄」が相変わらずに素っ頓狂。先のサッカー日本代表とペルー代表の試合に関連して「ようやく欧州組を呼ぶチャンスが来たかと思ったらふたりしか呼ばないし、これまで彼らの長距離移動を考慮していたはずなのに、オーストラリアに遠征していたレッズの選手は呼んでいる」なんて書いている。けどねえ。スコットランドと日本の時差9時間。オーストラリアとの間はプラスマイナス1時間ってところ。なおかつレッズの選手はオーストラリアに戻らなくて良いから後日に体調不良を残してレギュラーの座を剥奪されることはない。なのにセルジオさん、海外組の日本遠征と国内組の日本帰国を同じ土俵で語ってくれちゃっている。もう何が何だか分からない。

 「欧州組でも試合に出ている選手、好調な選手を呼んだというなら、リーグ戦で一度も勝っていない千葉から4人も招集したことをどう説明できるのだろう。試合に出ても活躍していない選手が入っているなら、イタリアで試合に出ていない小笠原にチャンスがあってもいいはずだ」。うーん。試合に出ていて勝ってはいなくてもパフォーマンスの良い選手(試合を見れば分かるよね)と、試合に出られもせずおまけに時差も長い海外選手をどーやったら同列に語れるのか。そりゃあ失礼でしょうどっちにも。

そのうちなんとかなってほしいぜまったくもう  長い経験を土台にして、大所高所から全体像を語り、至らない点を示唆してサッカー界を導くセルジオ越後さんの言説は悪くはない。でもこと日本代表のとりわけオシムジャパンに関する言説に限ると、どうにもズレてハズれて崩れてしまうのは何だろう、聞き書きしているライター氏が「エルゴラッソ」なり「夕刊フジ」なみにオシムとジェフユナイデット市原・千葉が嫌いなのか。それともセルジオさん自身がそれらを嫌っているのか。うーん。そろそろ誰か止めてあげないと晩節を汚しまくってしまうよ。「週刊朝日」がせっかく飾らせてあげた花道を、「週刊サッカーダイジェスト」にも是非に辿らせてあげたいなあ。「週刊プレイボーイ」が沸いて出るだけか。うーん。やっぱり駄目だこりゃあもう。

 座右の銘はと聞かれたら、何を置いてもこう答える。「そのうちなんとかなるだろう」。達観と楽観の境地をこれほどまでに明快に現した言葉は他にない。その言葉の始祖であり、その生き方自体もやっぱり羨望を持って見ていた「クレージーキャッツ」の植木等さんが死去。ちょっと前に青島幸男さんが亡くなった時に葬儀に現れ元気なところを見せていて、これならまだまだ大丈夫だと安心していたのに後を追うように逝ってしまったよ享年80歳。うーん結構いい歳だ。

 本当を言えば「無責任男」の頃の全盛だった活躍はあんまり知らず、役者としては現代版始末人ともいえる「ザ・ハングマン」のパンからオショウでそして「名古屋嫁入り物語」のお父さん役当たりの爺さんキャラが強く印象に残っているんだけど、時折放送された映画で見る明るくて楽しげで屈託が無く前向きな姿は、働くことがどうにも苦行となってしまっている昨今から見て、誰からも憧れられそう。昭和30年代の会社勤めって奴がもってた、実業家になって大金を稼ぐ訳にはいかないけれど、毎日を頑張ってればとにかく食べられ家だって持てて、老後もそんなに心配なかった明るさも、植木さんとともに20世紀の過去へと埋もれていってしまうんだろうなあ。合掌。そういやタカラトミーからそんな時代の姿を模したフィギュアが出てたっけ。いやあ楽しげ。買って会社に置いてそんでもって叫んで歌って踊って回るか。「そのうちなんとかなるだろう」「わかっちゃいるけどやめられない」。


【3月26日】 そうか一応はやっぱり世間に配慮してあったんだなあ「まなびストレート」のオープニングに登場するスプレーでの落書きは1日で消える塗料が使われているとかでまあ安心。そりゃやっぱりイケナイことなんだろーけれど、子供のすることだからって世間も大目に見てくれるんじゃなかろーか、いやいや高校生にもなってするいたずらじゃねえってやっぱり大目玉を食らうかな、そうだよなあ奴ら高校生なんだよなあ、まなびやみかんを見ていると、どうもそうは思えないんだよね、顔立ちもスタイルも。

 そんな生徒会の面子がそろって卒業していく大団円。めいちゃんは大学に行きみかんは留学でむっちーはスポーツの実力を買われて実業団、生徒会じゃないけど出入りしていたももちゃんは実家が大金持ちだと判明しつつ当人はジャーナリズムの道を歩むと手にカメラを持ち修行の旅。そして注目のまなびは何とフリーターの道を歩むとかで、だったら学校に来ないで働いていればいいじゃんって疑問もあっさり全力で学生をやりたかったと切り返し、そして今度は全力で働くためにフリーターの道を選んだとか。うーん全力。オレンジくんからまなびに称号を移した方が良いのかも。

 んでみかんが留学しにいく飛行機を見送りに行くご一行、乗ってる車がミニでマニュアルで運転しているのがめいちゃんってところでやっぱり奴らは高校生だたんだって気づく。18歳なら免許、とれるもんね。けど直後にまなびが働いている華やでエアバイクみたいなのを運転しているのを見るとこの世界のこの時代、レシプロエンジンの自動車をマニュアルで運転するなんて贅沢だか反社会的だかな行為に引っかかりそうな気がしないでもないけれど、まあそこは見かけはミニでもエンジンはハイブリッドか電気か何かだと理解しておくことにしよー。ハイブリッドで電気でマニュアル? ってのはちょっと不明だけど。

 そんな愉快な「まなびストレート」に続いて「マスター・オブ・エピック」も最終回、だけどとくにいつもと変わることなくショートコントが続くベタな展開がダメージのなお残るアニメ頭を多少はゆるませてくれる。パンデモスの姉ちゃんがスクール水着姿になって登場した画面で声を充てているのは姉御肌が似合う高島雅羅さんってのが妙におかしい。今でもスク水キャラをできるんだよってアピールし出したら楽しいなあ。しかし改めて振り返って豪華な声優陣だったよなあ、鶴ひろみさんがいるし郷里大輔さんがいるし井上和彦さんがいるし田中真弓さんもいたり笠原弘子さんがいたりする。10年前だって豪華だって思われたこれだけのキャストを揃えて繰り広げられた世界があれ。いやあ太っ腹だよニッポンは。でも皆楽しそうだったなあ。今回は最後になった前説も愉快なままに終了。歴史には残らないけど僕の記憶に残るアニメでありました。その功績を讃えて。ラルファクイルファッシーナ!

 相も変わらず中村俊輔選手だ高原直泰選手だ中澤祐二選手だってあたりをまず持ってきてそれから得点を奪った巻誠一郎選手を紹介する旧来型の”スターシステム”を堅持しているスポーツ新聞に果たしてどれだけ期待して良いのかと、迷う若いスポーツファンも大勢いたりする状況が、長く続くスポーツ紙離れを起こしていてそこに団塊世代のリタイアも加わり今後ますますスポーツ新聞は苦境が予想されていたりするんだけれど、そんな苦境をかわすべく若い世代を引き込みたいって意欲も込めて、サンケイスポーツとスポーツニッポンとスポーツ報知とデイリースポーツと東京中日スポーツと日刊スポーツの在京スポーツ紙6紙が立ち上がった。その名も「SPORTS CAFE6」なんてのを南青山のど真ん中にオープンして、スポーツ紙を置きイベントを開いてスポーツを楽しんでもらいつつ、スポーツ新聞に知ってもらおうってプロジェクト。報道合戦にしのぎをけずる新聞が合同で何かをするなんて珍しい。それだけ苦境を理解し何かしなくちゃって意欲を持っているって現れた。

 まあ裏で電通さんが仕掛けに回っていたりして、新聞の部数が減れば広告も減って見入りが減るってゆー苦境を共に味わう広告会社としては何か新しい仕掛けをしなくちゃって意識も働いたんだろー。ただしやっぱり読んでどうよってあたりが1番肝心なところで、めいめいの新聞がお宝だって持ち寄っているスポーツグッズが例えば王貞治監督のバットだったり中村俊輔選手のレッジーナ時代のユニフォームだったりとどっかに行けば見られたり、見てもあんまり有り難くない品々ってところが企図した人の意識とスポーツをリアルに楽しんでいる若い世代とのギャップだったりするのかも。

 高橋尚子さんと鈴木博美さんのサイン入りキャップなんて見たいかねえ? だったらシドニー五輪の金メダルだろう。そんなものはスポーツ新聞社にはないんだけど。だったらせめて中田英寿選手が先のドイツワールドカップで着ていたユニフォームくらいは展示して欲しかったよなあ、ちょっと前まで丸の内の丸善に展示してあったくらいだし。もっともおそらくはマネジメントしていたサニーサイドアップあたりが仕掛けた丸善の展示を、サニーサイドアップあたりと雰囲気的には険悪なスポーツ新聞が頭を下げて借り受けるなんて真似ができるとも思えないし。せいぜいがだからサイン入りグッズ類の展示に留まり、それ自体がまさに歴史的な逸品ってものにはそこではお目にかかれなさそう。それだけ抜いてもどこか企画先行器先行上意下達夜郎自大な雰囲気が漂っている。若い人が求めているのは何か、ってあたりをちゃんと考えないとカフェも新聞もいずれ遠からず見捨てられてしまうぞ。電通さんだってそこんとこ、分かっていると思うんだけどなあ。分かってないセクターがあるんだろうなあ。どことは言わない。

 「なでしこジャパン」のプレーオフ総括がいつまで経っても載らなくって寂しい思いをしている「エル・ゴラッソ」だけどとりあえず次の五輪予選に安藤梢選手もまた選ばれたみたいでライターの人にはとりあえず良かったんじゃなかろうか、またそれを機軸にひとしきり書けるし、スピードだ何だって。まあそんな引き倒し的贔屓の目も女子サッカー全体の露出アップって意味で好意的に受け止められないことはないけれど、ことジェフユナイテッド市原・千葉に関するどこか色眼鏡的な評価だけは気分的に許せない。先のナビスコカップ第1戦でヴィッセル神戸と闘い4対1と一蹴した千葉のアマル・オシム監督の採点は何と5点。甲府に2点を奪われ負けた名古屋グランパスエイトのフェルフォーセン監督の5・5点より悪いってのはいったい何だ? 柏レイソルに2点を奪われ負けた清水エスパルスの長谷川健太監督の5・5点に及ばないのはどういう訳だ? 基準がまるで分からない。

 まあアウェイってことで神戸担当が書いたのかもしれないとそこは思いつつ開けて第2戦についての採点を見ると何とここでもアマル・オシム監督は5・5点で、撃ち破ったサンフレッチェ広島のペトロヴィッチ監督と同じってところが理解に苦しむ。同点じゃないんだよ。勝敗が決したんだよ。それも逆転だよ。前半に悪かった山岸智選手を叱咤し立ち直らせての逆転だよ。なのに鹿島アントラーズに2点を奪われ負けたアルビレックス新潟の鈴木淳監督の6・0より悪い点。うーんやっぱり嫌いなんだろうなあ「エル・ゴラッソ」はジェフ千葉が。あんなにいっぱい広告も出してもらっているのに連れないなあ。まあ下手に持ち上げ頭に載られるよりも厳しい視線で叱咤し続けた方がジェフ千葉の選手たちは活躍するんで悪採点大いに結構、これからも勝っても最高は6・5点で負ければ4・0だって付ける厳しさで臨んでやって下さいな。そんなプレッシャーをはねのけ見返そうとした時に、ジェフ千葉の真骨頂は発揮されるのだ、昔取った杵柄と佐藤勇人選手がヤンキーな格好でご訪問、なんてことじゃなく、ピッチでの大爆発が、怒りのランとともに。


【3月25日】 途中で抜けだしたから会場では見られなかった日本代表とペルー代表の試合の最後をビデオで確認。なるほど“前へ”の吶喊サッカーが繰り広げられていてえらく楽しい。テレビのサッカー番組なんかじゃ中村俊輔選手が絡む場面のそれもとりわけパスが繋がる部分だけを抜き出しつないでいるから、中村俊輔選手がすべてにおいて中心となっているように見えるけれど、スタジアムで通して見ていれば確かに持つしパスも出すけど中盤で保ったまんま横へと出しても前へは送らないでプレーを停滞させている場面だって割にあって、周囲との連携にまだやや難があるなあってことが分かる。

 まあこれは後ろに配置されている選手たちとかサイドの選手たちが感じてないってこともあるんだろうけど、当人にも例えばEURO2008の予選で見せてくれているクリスチアーノ・ロナウド選手のドリブル突破にフェイントでのすり抜けといった突っかけるようなプレーがちょっとだけあれば、後ろもフォローへと前に出られて攻撃に迫力が出たような気もしないでもない。その点、後半も終盤に揃った若手の攻撃は1人がつっかけ2人3人が横を前へと走って相手ゴール前へとおしかける迫力があってなかなかの楽しさ。そりゃあ疲れて動けない相手だったって事情もあるけど、意識として最初っからそういうプレーを誰もが見せられるようになった時、スターをスターと仕立て上げないでチームとしてすごいサッカーをしていることを伝えて支持を得られる段階へと進めるんだろう。巻誠一郎のゴールを、フリーキックを蹴った中村俊輔選手と突破してファウルをもらった高原直泰選手のお膳立てを受けただけのものだって評論家に書かせて載せるメディアも消えてなくなるだろうしね、なくなって欲しいよね。

 夜、音が鎮まると浮かぶ悔しさに受けたダメージの、しょせんは架空のアニメーションでの出来事だとは断じて言えない大きさを改めて覚えつつそれでも眠り起きると雨ですっきりとはしない感情を引きずりつつ千葉へ。もっと早起きできていれば「東京国際アニメフェア」へと出向いて噂のリアル・ゴスロリ少女探偵団を見たかったんだけれども今、アニメのこれは良さでもある明るさや脳天気さが溢れた会場にいて、どうしてそんなに脳天気なんだ架空であっても1つの人格を持て遊んで平気でいられるんだって気持ちが溢れて平常心を保っていられるとも思えないんで仕方がない。もうしばらくすれば収まるんだろうけれども金曜の夜が過ぎて土曜の朝になればまた、気分にどんよりとしたものが浮かんで半年くらい引きずることになるんだろうなあ。

 んでもって千葉でしばらく原稿を読み長けりゃ良いってもんじゃねえとか時代劇ミステリーとかおもしれえとか感じつつ時間を過ごしてそれから蘇我へ。降りしきる雨の中を「フクダ電子アリーナ」へと入り座席の9割を覆う屋根の下で合羽も着ないでサッカーのナビスコカップ「ジェフユナイテッド市原・千葉対サンフレッチェ広島」の試合を見る。今年からユニフォームのサプライヤーがKappaに代わった千葉だけにKappaの上に合羽を着て試合を見たとかいった笑えない冗談を出したくもなるんだけれど、こと「フクアリ」では屋根のお陰で冗談を出して軽蔑されずに済んだ人も多かったんであなかろうか。でもちょっとだけ欲しいKappaの合羽。道に立ってたボランティアの人たちが来ていた雨具とか格好良かったし。Kappaマーク入りで。

 試合はジェフ千葉が攻めて新居辰基選手のシュートが決まったかと思われた瞬間、バーに当たってはねかえったところから始まったサンフレッチェのカウンターに飛び出したジェフ千葉のゴールキーパーが触れずかわされ流し込まれてまず1点を選手される。飛び出すんなら触れとストヤノフ選手がまた怒りそうなプレーで飛び出す積極性は評価できてもそれが致命傷になる諸刃の剣ぶりが発揮されたって言えそうだけれど、一方では飛び出したことによってシュートまでのタイミングがやや遅れあとちょっとでディフェンダーがゴール前でクリアできそうな感じもあっただけに一概には攻められない。でもやっぱり触って欲しかった。あるいは飛び込んでかわされるんじゃなく、本職のディフェンダーみたく立ちふさがってもっと遅らせるとか。

 さらに昨日のペルー戦に呼ばれてはいたけれど出場のなかったサンフレッチェの佐藤寿人選手の猫みたいにじぐじぐと動き一気に駆け出し受ける素早い動きも見られてやばい雰囲気も漂ったけれどそこは昨日の試合に途中から出場して走り回っていたにも関わらず、今日は先発フル出場となった羽生直剛選手の縦横無尽の活躍もあって工藤浩平選手がシュート、はじかれあれは新居選手? がつめてまた弾かれたところをさらに工藤選手が叩き込んで同点に。そして前半はサイドでもらってもバックに戻しそこから走らずたらたら歩いていた山岸智選手が、アマル・オシム監督に怒られたのか来場していたイビチャ・オシム代表監督の怒りの波動を感じたのか、後半になると積極的に前へとつっかけるプレーを始めて左サイドが復活。位置も高くなりゴール前への顔出しもできるようになって放ったシュートが相手ディフェンダーの脚に当たり角度が変わってサンフレッチェのゴールへと吸い込まれて逆転。前半の不甲斐なさを帳消しにする活躍を見せてくれる。しかし本当、同じ選手かと思う豹変ぶり。この淡泊さがなければ羽生直剛選手みたく代表にも定着できるんだがなあ、智。

 そして巻誠一郎選手登場に沸くフクアリ。昨日の今日でプレーすることなんてジェフ千葉じゃあよくあることではあるんだけれど、凄かったのは入るなり前線からチェックに走り放り込まれるボールにもせる強さとそして高さを見せてくれたこと。去年の後半だとそこに何となく重さが感じられて疲れているなあって同情が浮かんだけれど昨日と今日は走りは軽くそしてスピードもあって調子が良かった時の巻選手が、1年ぶりくらいに戻ってきたって印象を受けた。そうこうするうちにロスタイム。サンフレッチェ選手のシュートをゴールキーパーがはじきそこに詰めたサンフレッチェ選手が押し込もうとして同点を覚悟したら外してくれてラッキー。ままホイッスルを迎えフクアリで見た試合でいったいいつ以来になるんだろう、ナビスコカップの出場を決めた川崎フロンターレ戦以来? ってな感じの勝利を味わう。気分爽快。

 水本裕貴選手が五輪代表で抜けて空いた枠をジョルジェビッチ選手ではなく清水エスパルスから来た池田昇平選手が入ってカバーしたけどこれがなかなかに素早く頑健なプレーぶりで、これからもちょくちょく抜けるだろうしケガもあるかもしれない水本選手のバックアップ体制も整った感じ。あとは水野晃樹選手が右サイドに戻って左サイドの山岸智選手が復活してくればナビスコで3ゴールと活躍中の工藤選手の定着も含めて機動力を持った試合を繰り広げられそう。残るはフォワード陣のリーグ戦での得点かあ。復活気味の巻選手が次のジュビロ磐田戦でどれだけのプレーを見せられるか、かな、あとは新居黒部の新参組の試合での得点と。ああ行きたいヤマハスタジアム。でも遠いからここは我慢で続く横浜FC戦に駆けつけよう、フクアリへ。


【3月24日】 「特別行政区域 日本」の構想が明らかとなってから浮かんだ次なる可能性の中でも好悪で選ぶなら最も嫌悪したい展開へと、それも確たる信念に基づいて選ばれた悪の道としてではなく偶発的な事態の発声によって進ませてみせたそのシーンに渦巻く何とも言えない絶望感。迂闊といえば迂闊だし、もしかしたら直前に起こった幾つかの現象とも関連して何か別の力が働いていたのかもしれず、それを踏まえれば命じた側にも、命じられた側にも「仕方がなかった」という言葉でもって免罪を、与えたいという気持ち起こらないでもない。

 けれども古来より「綸言汗の如し」という言葉があるように、王の力を持つ者はどんなささいなことであっても、口に出せばそれを汗と同様に引っ込めることは適わない。そして発せられた言葉によってもたらされた事態を王たる者は、すべて己で受け止めなくてはらないのであって今後、待ち受ける数々の修羅場を逃げず乗り越え、例えどれだけの呪詛の言葉を浴びようとも進んでいくしかないのだ、彼は。そして物語は。その果てに見えるだろう権力への欲望の醜さでも、万能感にひたり暴走した子供の行き着く先の哀れさでも構わない、何でもいいから世界に、人に何かを気づかせるドラマをこうなったら谷口悟朗監督には、描いて欲しいと伏して願う。でなければ救われないよユフィ。

 いやもう永遠に救われることはないのだユフィは。その救いの無さをも背負わなくてはならないのだルルーシュは。そりゃあ「おとぎ銃士赤ずきん」みたく、ずっとサンドリヨンに操られてファンダベーレを脅かしていたヘンゼルが、グレーテルの呼びかけに気を取り直し、サンドリヨンに挑む赤ずきんたち三銃士の力となり新たなる七賢人の1人となってサンドリヨンの撃退に一役買い、そして妹と仲良く末永く暮らすっていう展開の方が心に心地よい。

 でもファンダベーレにはきっと大勢、ヘンゼルの圧政によって苦しめられ命すら奪われた者たちがいるはずで、そうした者たちから幸福を奪ったヘンゼルが悔い改めたからといって幸せに暮らして良いのかっていう疑問が浮かぶ。操られていたから、というならそれはユフィだって同じこと。けれどもリアルな世界ではそんな言い訳は通らない。通せない。やりなおせるという可能性は尊重したい。けれどもやりなおせないことだってある。誰だっていつかはリアルな世界のシビアな“流儀”に接しなくてはならないという事実をつきつけてくれたという意味でも必要な展開だったのだと息を飲み込んで展開を受け入れ、そして最後まで見届けよう「コードギアス 反逆のルルーシュ」を。

 それにしても扇要、ヴィレッタとちゃんとすべきことはしていたんだなあ。裸シーツ。そのヴィレッタに迫る危機。ブリタニア人への反攻に放棄した日本人たちによる無差別殺戮って奴か。これもこれで薄気味悪いよなあ。過去の事件と重ねてプロデューサーの主義を語る輩とか出てきそうだなあ。でもってヴィレッタはここで退場? それとも殴打の中で記憶を取り戻してより激しい純血派となり憎しみの中に扇と刃を交える? うーむ。あとずっと張られているっぽいニーナと原爆の伏線はどっかで回収されるのかな。レギュラーでの放送も残り1話となってどこまで進め畳み残して煽るかにも注目。眠れないよ来週も。

 いやあ西船橋駅が地下鉄との乗り換え通路に自動改札機なんてものを置いてただでさえ多い乗換の乗客をそこでせき止め大混乱を引き起こしている無様さに、たとえ料金の格差を是正する必要があったとしても一方で失われる快適性と、その対価として与えられる非難の感情を想えばあんまりやって欲しくなかった事柄だったって気もしないでもなかったりする。まあそれはそれで仕方がないとはいえ、総武線各駅停車から上のコンコースへと上がる階段の2つあるうちの1つが上下ともエスカレーターに置き換えられ、いつも人がたまって大混雑になって別に1つ階段を作らなければいざパニックとか起こった時に線路に人が溢れだし、そこに電車が突っ込み大変な事態になりかねなかった。

 ところがJR西船橋駅、ホームの両端にあった乗換専用の通路を平日は分からないけど土曜日の今日は、昼間は午後4時まで閉鎖してしまってもう大変。少ない人どおりをさばくための要員を配置できないんだろうけれど、エスカレーター導入で狭くなっている乗換階段に、ふだんは両端の階段を使っていた乗客が集まるものだからさらに大混雑の様相。いつか何か起こるんじゃないかって心配がさらに深まる。加えてここのところ相次いでいたホーム上に2つあるキヨスクの片側1つの閉鎖を、西船橋駅では更に進めて断行している様子。総武線各駅停車のホームではもとより1つしかなかったキヨスクがともに閉鎖され、新聞とか買うにはホームへと降りる前に上に少しだけ残ったキヨスクか駅コンビニを使うしかなくなった。当然にして人集中。だから買わずにおく人も出そう。

 何より新聞は確実に即売用の配置が減る。わざわざ回って買おうなんて人の少数なことを鑑みればこれは新聞にとって危機なのに、未だキヨスク閉鎖の心配を伝えるメディアを目にしてないのはどこかにボトルネックが生じているからなんだろうか。河内孝さんって毎日新聞で常務までやった人が書いた「新聞社」(新潮新書)にもとりわけ電波行政に関する部分で筆に曇りが見られたってことを指摘しているし。その「新聞社」、部数至上主義から生まれる販売面でのボトルネックなんかを指摘しつつ産経、毎日、中日がゆるやかながら経営統合を果たし流通や生産の部分を統合してコストダウンを図りつつ、編集方針や題字は維持しながら累計で1000万部に及ぶ勢力を作って読売と朝日の対抗軸にならなけりゃって解いていてなかなかに興味深い。隣同士だし論調も近いから読売と産経の統合なんて絵空事が時に浮かんだりもするけれど、主張を超えつつ地域をカバーしあって一大勢力を作らなくちゃと、毎日出身者が言わざるを得ないくらいに今の業界が抱えた問題には喫緊のものがあるってことなんだろー。

 もっともやっぱり長く業界の空気を吸ってきた人だけあってITなんかを使い新聞が持つ情報を多面展開しパーソナルなニーズにも応えられるようにすべきって主張はあっても、どうして新聞社だけが情報ソースに優先的にアクセスできるのかって部分に対する疑義はない。与えられた権利はすなわち国民の知る権利の代替執行者としてのものであってその情報を何枚にもおろして売って利益を出すためのものじゃない。そこを踏まえないとどうして記者クラブを開放してすべての新規参入者がイーブンに情報にアクセスできるようにした上で、速報性なり内容の面白さなり目の付け所で競争できるようにしないのかっていう内外からの突っ込みを喰らうだろー。

 公明正大で不偏不党を掲げ知る権利の代弁者として事象に対峙し、利益を超えて伝える覚悟を持つことと、優先的にあまねく情報へとアクセスしてその豊富さと時には速さで稼ぐこと。間にある矛盾を解決し、高い報道性と深い解説性が紙でも、ネットでも伝聞でも何でも伝わり支持され、その支持に賛意としての広告がつく循環って奴が気持ち的には望ましいんだけどうーん、もはやこの日本では成立し得ないのかなあ、紙が伸び悩めば別に紙を出して総体をふくらませてみせ、それでも届かなければ雑誌だ何だとあれこれ手を広げる戦力の逐次投入が、結果として背骨を細らせる悪循環が日常茶飯事だものなあ。

 そしてふらふらとあちらこちらで時間を潰しつつ受けたダメージを取り戻そうとしつつ取り戻せないまま「横浜国際総合競技場」へと出向いてサッカー「日本代表vsペルー代表」の試合を見物。日本代表の蒼いユニフォームを着た人たちで埋め尽くされたスタジアムに登場したのはブリタニアのユーフェミア皇女殿下でマイクに向かって「虐殺」と叫ぶ夢を見る。うーんやっぱりダメージは深刻だ。それでも試合が始まれば我らが巻誠一郎選手をフォワードに仰ぐ布陣に注目。したかったけれどもサイドに張り出してボールを受けた選手がそのまま前に攻め上がらずかといって攻め上がる誰かにボールを渡せない膠着状態が長く続いてやや苛々。逆にペルー代表はぽんぽんとボールを私受けたらまずは突破をはかって結構抜いて、それでも駄目となると周囲に寄せてきている選手に渡してそこから自分も走って受けるプレーを徹底させて結構日本代表のゴール前まで攻め上がる。

 シュートの精度にやや難ありで得点こそ許さなかったもののペースとしては全体にペルーより。中盤をほぼ制圧された感じで4バックがべったり下がりツートップが上がり両サイドが張り付いた状態ではやっぱりどーしてもそーならざるを得ないんだけど、そこでバックラインが押し上げ中盤を狭くすれば良いものと馴れないのかディフェンスラインの押し上げが足らず蹴り込んでは奪われドリブルすれば奪われる展開になおのこと危機感が募る。それでもさすがは中村俊輔選手。サイドでもらったフリーキックをどんぴしゃりと巻選手に合わせて巻選手がヘディングを叩きつけてまず1点。超久々の得点は鮮やか過ぎる得点でこれで復活してくれればって期待も膨らむ。

 次の得点もやっぱり中村選手のキックからで高原直泰選手が真ん中で広い蹴り込んでゴール。鮮やかではあるけれどもセットプレーからの得点だけってところにやや不安の種が芽生え膨らむ。やっぱり2列目3列目から飛び出しゴールを襲う機動力が必要なんだよなあ、それを2列目に遠藤保仁選手を入れることで魔課のなおうとするのは無理があるんだよなあ、もうちょっと下がり目のおいて中盤を組み立てさせたかったなあ。一方の中村俊輔選手は左右に走ってボールに触り組み立てようと頑張っていてなかなかのもの。エクストラキッカーとしての凄さも充分に見せてこれでオシムの代表のおけるサイドプレーヤーとしての位置は確保できたって言えそー。

 問題はだから周囲が俊輔選手を活かせるような動きをすることか。攪乱するなり自由をあたえるなり。そこから放たれたボールは確実にトップをとらえてゴールを脅かすから。加地駒野の両翼には更なる精度を求めたいなあ。長くやっているのにどーして代表では凄みを発揮しないんだろう。スイスで左サイドをやってる中田浩二選手が招集されればとって代わられるかもしれないなあ。高原選手はさすがなもので1点を奪って今季は得点感覚が戻っていることを証明してみせた。去年の6月にこれが出てれば。ピークが半年遅かったか。うーん。まあいいまだ先は長いんでそれこそ予選を勝ち抜けるための得点力って奴を養ってちょうだいな。さあ明日はフクアリだ。巻選手これで出場したら神。

 試合もほぼ勝利が見えたんで会場を抜けだし銀座へと向かい「ホルモー祭り」のラストを見物。「鴨川ホルモー」が売れまくってる御礼というか賭けをしてきっと売れない方にかけてた作者の万城目学さんが売れてしまって負けたということで、土曜日だけれど銀座のクラブを借り切り1夜の宴席を設けたというのがこの「ホルモー祭り」で決してソニービルとマリオンの間にあるスクランブル交差点を4済みから歩いて中央で出くわすなり「ホルモー」と叫ぶ会ではない、とは思うけれども出来上がった方々が宴席の後でそっちへと向かい叫んだ可能性もなきにしもあらず。やっぱやってみたいよねえ、あのシーン。いやまあそこで「ホルモー」とは叫ばないけれど。文壇文藝な方々の溜まってる場所にいきなりオーセンティックに10番をマーキングした代表ユニフォーム姿で乗り込み挨拶もせず黙って座ってぶつぶつ言ってた野郎を誰だと訝った人もいるかもしれないけれどもまあ、それが出没道って奴で。その後もそそくさと退散。あとであれ誰だったって言われたてるかなあ。まあそういうくらいの存在感が生きてて楽だから良いってことで。


【3月23日】 しまった「のだめカンタービレ」を録画し忘れたけれど原作を読めば埋められるからまあ良いや。それより「セイントオクトーバー」だよ大変だよ。予想どおりにソフィア部長はクルツ社長ラブなあまりに切れたカードをセロハンテープで繋ぎ合わせて再びの変身。だけれども中途半端な変身は心身ともに負担が大きかったようで、文字どおりにネジの抜けた感じになってひたすらにゴスロリ少女探偵団を追いかけ回すだけの攻撃。それも効かず逃げられ追いすがってゴスロリ少女探偵団に迫られたクルツ社長の前へと飛び出し2度目のジャッジメントを受けて哀れ消滅の憂き目に遭う。さようなら。

 畏るべきはそんな姿を黒ロリに見せつけ解説までして人を1人消滅させたんだと阻止って黒ロリの精神を追いつめてしまうクルツ社長。「慈愛」のユアンと対を成す「支配」を司るプレートだったクルツの言葉にしばらくは立ち直れない日々が続くんだろー。かといってユアンもユアンで実は記憶があったのにその正体を隠しジャッジメントの意味も黙ってこと乃たちを操っていたなかなかの腹黒ぶりが露見し、護ると言ったゴスロリ少女探偵団の信頼も失ってしまいそー。というかユアンって単なる我が儘じゃん、奴が逃げなければ何も起こらなかったんじゃん。

 考えてみれば別段にクルツ社長がリバース社で世界を混乱の渦に叩き込んでいた訳じゃあない。もしかしたらないか画策していたかもしれないけれど、ユアンだってそれを阻止するために現れた訳じゃあない。ただ逃げ出したかったというだけのこと。それで追い掛けてくるクルツたちの一派の攻撃を護ろうとしてこと乃たちを変身させて闘わせて、遂には心を痛めてしまった。逃げたい自分を護らせるためだけの闘いに意味を見いだせなくなってさて、ゴスロリ少女探偵団はこれまでどおりの活動を続けられるのか。そもそも放しが成立するのか。

 それでもユアンを護る意味、って奴を構築して提示して、だから闘うんだというベクトルを与えないことにはもう進めなくなった物語が来週以降、どこへと向かうのか。妙に動いて絵もしっかりしていた今回だけに、一気に鬱へと落ち込み停滞するって可能性も懸念されるけれどもそこは折角盛り上がった評判を失うことなく最後まで、突っ走って頂きたいなあ。それにしてもどーするんだろう「めくるめく」「めくるめく」の所のクルツとアッシュとソフィアの3人組の180度旋回ポーズ。1人抜けて誰か代わりに入るのかな、入るんだろーなー、クルツが次回予告で誰か連れて来るって言ってたし。

 そして「東京国際アニメフェア」へと向かいとりあえず「おおきく振りかぶって」の会見に出席したら何故か実写版の会見だった。違う? いやあでも「おおふり」で1番難しい役柄ともいえる三橋薫を演じる代永翼さんがそのまんま実写で三橋になれそうな仕草容貌の持ち主だったんだよ。動きがくねくねしてて喋りがキョドっててちょっぴりおどおどっとした所がもうそのまんま三橋くん。今が佳境なアフレコのためにオーディションを通って役を掴んでから原作を読み芝居を勉強して三橋を、自分の中に入れてしまっているんならそれはそれで凄いけれどもどうも見るからに天然っぽい感じ。きっと監督の人もその姿をみて「これだ!」と閃いたんだろーなー。モモカンの早水リサさんは当人はタイプは違うけれどもきっとやっぱり代永さんを見習い甘夏を、片手で握りつぶす訓練をしているに違いない。出るか地力金剛輪。

 そして「バッカーノ!」の発表会見。やあよっぴーだ吉田尚記アナウンサー。何だ背広を着ているぞ。アニメフェアなんだからコスプレくらいしれくれば良いのに。でも「バッカーノ!」の会見にSEEDのコスプレは拙いしなあ。おお成田良悟さんだ。相変わらずサングラスがキュートだ。そして鈴木編集長とか監督の人とかいろいろだ。植田益朗さんは昔より割腹がよくなったなあ。ってな感じの面子によって始まった会見はとりあえず「バッカーノ!」がとんでもなくキャラクターの多い作品で、そんでもって話もなかなかに複雑だってことが示されてそれをどーやってシリーズにするのかって興味が湧く。

 流れた映像はエナミカツミさんのキャラクターのテイストを活かして岸田隆宏さんがデザインをしたってゆー豪華さもあって実に原作のテイストを保ちつつ岸田さんならではの切れ味も保っているっぽい面々が登場しては、あれやこれやと莫迦騒ぎを見せてくれそー。とりあえずいきなり「1931鈍行編」「1931特急編」の場面で始まったんでそっちが中心になるのかって思ったけれどニューヨークでの不死者誕生を描いた場面もあったんでシリーズで何巻分かをやるんだろー。ヴィーノがどんな感じに描かれどんな闘いぶりを見せてくれてそして声を誰が充てるかに興味だ。あんまり活躍し過ぎてシリーズが30分で終わってしまっても困るけど。

 うーんまたフェイト系? つまりは魔力の持ち主たちによる生き残りバトル物ってことなんだろうけどそれがこれだけわしわし沸いて出るのもきっと一時の、世界の命運をかけた少年達少女達による集団戦闘物の大量発生と同じ原理が働いているんだろう、つまりはそーゆー話しが今は読みたい気分に読者たちが溢れているってことで。そんな八街歩さんお「ぼくと彼女に降る夜」(富士見ファンタジア文庫)は何やら昔子供の頃に魔術ならぬ魔乖咒を学んだ少年がそれを忘れさせられ長じてふと気づくと何やら魔乖術師どうしの闘いに巻き込まれていて大変。とりわけ強そうな方に口封じのためにと追われ命を奪われそうになった時、もう1人のこっちは女の子って分かる魔乖術師のヨルに助けられる。ヨルはそのまま少年の家へと居着いてそして学校へもおしかけて少年を護ろうとしたもののそこは敵も1枚上で、やがて命をかけたバトルが幕を開ける。

 そんな最中に少年はまた別の少女と出会って言葉をかわす。最初はただの迷子の女の子って風情で現れた彼女は実はどうやらヨルたち魔女を追って駆り出す別の勢力だったらしくてバトルロイヤルに挑んでいる最中のヨルにとって新たな脅威になりかねない。なんて懸念も浮かんだところで話は一気に進んでクライマックスへと至って決戦となり、そこで少年が最初に襲われた時に妙な力を発揮しそれを見た敵が見逃しいったん身を引いたのかが明らかになる。残酷な運命。避けられない別離が誘う涙の洪水は、バトルロイヤル物ってパターンそのものが保つ残酷さやるせなさ、けれどもそれを乗り越えていく強さっていった読み所でもあり呆れ所でもある部分を上回って強い感動を与えてくれる。プラスアルファを持っているからこそ数ありやや食傷気味なジャンルの中にあって刊行され目に触れられ、そして続きを待たれる作品になれるんだろー。ってことでとりあえず続きを是非に。

 もちろん“確信犯”だよね、でなきゃ今時手垢のつきまくってそこに込められた意味のペラペラさに本格的なライトノベルの読み手なら、軽い薄い心がないといって後ろ向きな感慨を覚えるだろう“萌え”なんて言葉を2つ並べてそれにあまつさえ“激”なんて言葉まで付けて惹句にしようなんて思わないよね、それも枯野瑛さんって人の「銀月のソルトレージュ2」(富士見ファンタジア文庫)ってゆー、読めばそのストーリーのシリアスさ残酷さ奥深さが心に強く響いてきて、キャラクターたちの背負った運命に慟哭もせり上がる内容だって誰もが感じて、およそ“萌え”がキャッチフレーズにもセールスポイントにもなり得ないって思うだろー作品の帯に“激萌萌”なんて張り付けないよね、よね、“情熱のライトノベル売り”とか呼ばれる「まんが王八王子店 工藤氏」さん。

 その肩書きから類推するに山とライトノベルを読んでいて、ライトノベルが単に記号的なキャラに設定の組合せじゃなくましてや“萌え”なんて何の意味も持たない言葉を前面の押し立てて語れるものじゃないって知っているだろう”情熱のライトノベル売り”とやらが、それでもそーゆー言葉を前面に出したってのはだからライトノベルをあんまり読んでいなくって、けれども聞き及ぶに日本が誇るアニメやゲームやライトノベルってコンテンツがあって、ならばちょっぴりライトノベルってものを読んでみたいけれども何を読んだら良いんだろうって考えている一般の人たちに、“萌え”っていう彼らにとって未だ言葉が何某かの意味を持っている言葉でアピールすることによって、ここに凄いものがあるんだって教えるために敢えて使ったんよね、よね。いやあ偉いなあそれでこそ“情熱のライトノベル売り”。追いつかなくっちゃその域に。

 ちなみにストーリーは大火事の中で1人、生き残った少年のリュカが大昔にその家に魔導の書を入れて超常的な能力を身に着けた者たちの闘いに半ば巻き込まれる形だった第1巻から一気に発展してそして大逆転の設定が浮かび上がってますます緊張の予感。己の存在に対する確信がいっきに揺らぐ中でそれでも存在しなくちゃいけない意義、って奴を果たして見いだせるのか。例えるなら「灼眼のシャナ」の悠二が悩んで迷ってたどりついた境地へと至れるのか。そこではきっとアリスっていう知り合って慕ってくれる女の子の存在が何かの役目を果たすんだろう。でも揺らぐ存在への確信がそれでもアリスに自分への感情を向けさせ続けるべきかって思いに至る可能性もあるかならあ。ともあれ難しい局面をどう打開するかに注目。萌えなんてどこにもないから読む人は覚悟を持ってページを開け。


【3月22日】 つまり2006年のアニメーション界は角川エンタテインメントとバンダイビジュアルとマッドハウスと筒井康隆ですべてに近かったってことなんだろうなあ、スタジオジブリもゴンゾもテレビ東京すらもなく。初めて石原真太郎都知事が来場しなかったというかできなかった「東京国際アニメフェア」の中の「東京アニメアワード」はグランプリにあたる賞を筆頭に監督省美術賞脚本賞原作賞キャラクターデザイン賞をマッドハウスが作り角川エンタテインメントがDVDを売る「時をかける少女」が受賞してほぼ席巻。さらにマッドハウスが作り筒井康隆さんが原作を手がけた「パプリカ」が音楽賞と映画部門の優秀賞を受賞していたりしてその意味ではマッドハウスが抜きんでて活躍した年だったって言えるのかも。経営状態が右に左になりながらも企画をぶったてスタッフを集め潰さず結実させた会社って意味でやっぱり凄いよなあ、丸山茂雄さんって人は。

 角川ではあとテレビ部門の優秀賞を「涼宮ハルヒの憂鬱」が獲得して声優部門も主演していた平野綾さんが獲得していて2冠を追加。そしてバンダイビジュアルへと目を転じればOVAの2本が「トップをねらえ2」と「FREEDOM」でともにバンダイビジュアルの作品でそしてテレビ部門の優秀賞を獲得した「コードギアス 反逆のルルーシュ」もやっぱりバンダイビジュアルの作品。各賞あってここまでに挙げた条件にあてはまらないのは国内映画の「あらしのよるに」と海外映画の「カーズ」とそしてテレビ部門の「デスノート」くらい。ざっと見てテレビ部門でテレビ東京がキー局になった作品はないし作品が公開されればなにがしか必ずひっかかっていた「ゲド戦記」も見あたらず。ゴンゾが山と手がけた作品もなく当然にして映画「ブレイブストーリー」もひっかかっていないこの状況を、さても選んだ人の趣味嗜好が濃すぎたのか薄すぎたのかと判断すべきかあるいはもっと根源としてアワードの趣旨にそぐわなかったと見るべきか。

 テレビ東京作品については標準は超えていても決定打となり得る作品がなかったことがやっぱり選ばれにくさにつながってしまったんだろー。GONZOとジブリについてはやっぱり「時をかける少女」が頭抜け過ぎていて比べた時に落とされがちな立ち位置にあったのが痛かったってことで。じゃあ「時かけ」「パプリカ」がなかった時に「ゲド」「ブレイブ」のどちらかは果たして劇場部門に入って来たのかどーなのか。GONZOの数あえるテレビ作品のどれかがテレビ部門の優秀賞に引っかかって来たのか。「シュヴァリエ」は。「ガラスの艦隊」は。「NHKにようこそ」は。「ブラックキャット」は。うーんどれも帯襷。ここはやっぱり持てる力を分散させずに結集させて歴史に残る1本ってやつを作り出して欲しいよなあ。「月面兎兵器ミーナ」がある? あるし好きだけどても……。「マルドゥックスクランブル」が行きてれば……。

 とはいえ黙ってばかりのGONZOじゃないってことで「東京国際アニメフェア」の中で堂々の発表となった「ロミオ×ジュリエット」はかの「厳窟王」で見せた古典の大胆な改編をそこでも使ってかつてないシェイクスピアのとんでもない「ロミジュリ」になる模様。何しろ両方とも男だ……じゃないジュリエットは男として育てられおてんばみたいで仮面をかぶり剣士となって街にはびこる不正をただして人からラ・セーヌの星と呼ばれ……はしないけれども仮面の剣士として闘うみたい。それがどこでお坊ちゃんのロミオを出会い絡みそしてあの、純愛から誤解へと進み悲劇を招く「ロミジュリ」ならではのクライマックスへと進んでいくのか。それともそういうクライマックスには進まないのか。「カレイドスター」を手がけたスタッフが結集して作るだけあって活劇性エンターテインメント性には富んでいそーな「ロミオ×ジュリエット」。きっと毎週すごいすごいドラマを見せてくれるんだろーと信じて放送を待とう。テレビ東京じゃない、ってのはあるいは「東京アニメアワード」的に吉?

 そんな「東京国際アニメフェア」は朝一番で行ってぶらりぶらり。している余裕もなくって連続しての記者発表においまくられる合間にちらりちらりとブースをトンビのように見物して廻ってろくにどこに何があるかは分からない。東京創元社から文庫で刊行された「ゆらぎの森のシエラ」を拝領して御礼な菅浩江さんによろしくお伝え下さいなガイナックスのブースでソフト帽もお似合いな武田康廣さんとそしてプロデューサーの赤井孝美さんがしっかと作り上げた「天元突破グレンラガン」はコンパニオンが3人も揃ってホットパンツ姿でおみ足が綺麗。ご近所ではフジテレビジョンが5度めとなる「ゲゲゲの鬼太郎」のアニメ化で妖怪運動会を再現していて野球盤が作られていて真っ先に遊んだらスカで残念。横を実物大の動く子なき爺が歩いていたけど赤星昇一郎さんではなく残念。でも似ていてそのまま映画にも出れば良いのにと思ったり。

リアル・アクビむすめだ吉田すずかちゃんだ可愛いんだ細いんだ  タカラトミーのブースではあの特技監督の川北紘一さんがあの浦沢直樹さんの脚本でもってかのジェニーを撮影して変身させてロボットに載せる特撮映像を発表していて驚愕。つか無表情で動かないジェニーと着ぐるみっぽく良く動くロボットの間の映像的な差が目に響いて初見は何ともいえない気分にとらわれる。でも見ていればセリフ劇に引っ張り込まれるかも。そこはほら浦沢さんだし。同じタカラトミーのブースで長身のコンパニオンを横に従えピンクの衣装に脚もすらりと出した女性がキャンディーを配っていてじっくりと見たら吉田竜夫さんの娘さんの吉田すずかさんでありました。ポップで可愛いアクビちゃんとか描いていた人で今度は「マッハGoGoGo」の世界をポップにした「マッハガール」を颯爽とデビュー。なかなかに可愛い。米国で受けそう。すずかさんも負けない可愛さ愛らしさ。僕より上? それとも下? うーんでもいいか可愛いけりゃ。

 タツノコのブースでは懸案だった「KARAS」の新作の映像が。出るのか。出してくれるのか。有り難い。もう何年も待っている甲斐があったよ。でもそれが最後なのかさらに続くのか。続くんだったらあと何年? アニメって忍耐です。ブースでは小さいけれどユーフォーテーブルも出ていて「空の境界」のプロモーション映像を流していてそこで衝撃の事実が。映画だったのか。それも1章づつ公開していくのか。何章あるんだ。終わるのいつだ。長丁場のつき合いになりそう。でも流石にユーフォーテーブルだけあってよくまとまってます。ブース内には「まなびストレート」の原画シートの束があってちょっと見てみたい気が。でも時間がなくてあきらめコスパのブースで限定品とかゆー「SOS団Tシャツ」を買う。グレーでモノトーンだけと蓄光タイプらしー。きっと夜とかに光るんだ。不気味。

 んで記者発表会とか。「国際コンテンツカーニバル」って経済産業省が旗振りをして「東京国際映画祭」を機軸にコンテンツ関連のイベントを集めようって動きが去年あたりから蠢いていたのがいよいよお披露目となったんだけれど発表を聞いてクエスチョンマークあ頭の上に幾つも店頭。「東京ゲームショウ」は従来どーりの9月下旬の開催。でもって「東京国際映画祭」は10月下旬。関連して「東京コンテンツマーケット」があり「TIFCOM」があり「秋原場エンタまつり」があってあとアジアの音楽を集めたイベントなんかが10月の下旬くらいに開催されるってゆースケジュールはつまり去年と大差ない。ようするに各個の業界で開かれていたイベントの上から「国際コンテンツカーニバル」って風呂敷を被せただけでめくってみれば従来と同じってことなんだけれどそれを敢えて「コンテンツカーニバル」だと行ってしまうところに何だろー、そーすることによって予算が増えるってゆー政治的行政的な事情でもあるんだろーか。

 新設っぽいアニメ関連のイベントもあるみたいだけれど一方で「東京国際アニメフェア」は来年も確か春開催のまんまで10月に集約される訳でもない。ってことは一昨々年だかに開かれた「エンタマ」が還ってくるってこと? でも一般ユーザーは来てもバイヤーはあんまり来ない(年に同じよーなイベントが2回も開かれて来られるバイヤーもいないよね)中で中断したイベントを再登場させて果たしてどれだけの意味があるんだろーか。まああの時は会場が映画祭の主力会場だた六本木や渋谷からはるかに遠い幕張だたのが技祝いしたんだけれど今回はそのあたり考えて近い場所で何かをやってくれるのかな。かといって「六本木ヒルズ」じゃあ一般の客は来づらいし会場も狭いし。「ビッグサイト」? 「コミケ」があって「キャラホビ」があって「ワンフェス」があって「ゲームショウ」があって「AMショー」があって連続してさらに年末の個別イベントなんかも考えている隙間に徴用されるとはアニメのメーカーさん、名誉と栄誉とプライドと義理の綱引きで引っ張り回されて大変ですが頑張ってくださいと心からのエールを送ろう。結局誰のためのイベントなんだろうなあ。


【3月21日】 太鼓をぶったたく女性ミュージシャンが最初に気になったのは誰だろー、シーラEがシンバルを脚でけっ飛ばしてるビデオクリップが流れたあたりだったかな、それとも可愛い声でクリスマスの歌を唄ってる鈴木さえ子さんがドラマーだって知ったあたりかな、どちらかといえばバンドの中でも力仕事っぽい楽器をどちらかといえば非力なはずの女の子がやっているってゆー倒錯感が多分、関心を惹かせたんだろーと思うけれどもその後、女の子バンドがいっぱい出てきてテレビにもいっぱい登場するよーになると、ドラムを叩いているてんてこと手を動かし、スティックを動かしどっかを脚を突っ張ってバスドラのペダルを踏んでるビジュアルから放たれる、妙な強気とそして色気が入り交じった雰囲気が、さらに関心を惹かせたみたいでボーカルが歌っていてもついついそっちへと、目が向いてしまうことが多かった。

 換言すればあれか、振り下ろされるスティックによって叩かれる太鼓を我が身へと置き換えムチならぶバチによって打擲されるイメージが閃いて、被虐的な官能ってやつが生まれて脳髄を刺激したのかもしれない。ギターじゃあそーしたイメージは起こらないから。とりわけそーしたイメージを感じさせられたのはそうだなあ、「ゴーバンズ」って今はもう活動していない3人組の中で1番背が高くってモデルみたいだった斉藤さんて人のドラミングだったかなあ、光子さんデカかったし美人だったし。でも「ゴーバンズ」脱退から15年、とんと消息を聞かないなあと調べたらいろんな所に出没しては叩いていたりする模様、だけどもここしばらくは調べても活動が不明、なんでどっかで叩いていたら是非に見てみたいところ、きっとさらに大きくなっているに違いない、1年で1センチとして15センチで2メートル近くまで。

 女性ドラマーって言えば最近だとあらきゆうこさんが、福耳なんかのライブん時にスガシカオさんとか杏子さんのバックでどがちゃんと叩いていたりして、ソロとして独立できる女性のドラマーなんかも増えているみたい。でもそーしたミュージシャンとして活動している女性ドラマーとなると、ライブなんかでもドラムセットの奥でバンドの1つの機能として収まってしまっていて、ことさらにドラムを叩く姿が前に出てくることもないんでビジュアル的な官能を与えてくれることはごくごく希。ミュージシャンとしてはそれは当然にして最高のことなんだろうけれど、でもちょっぴり寂しい気がしないでもないなあ、なんて思っていたところに強烈なビジュアルが飛び込んできて脳天を激しく揺さぶられる。

 「ヤマトナデシコ七変化」のエンディングテーマに何か知らないうちに収まっていた「BON−BON BLANCO」ってバンドのCDの宣伝に流れるライブ映像がとにかく強烈。おへそを出して脚もにょっきりと出したルックスの5人組がセンターにボーカルを配してバックに4人が並んで太鼓を叩きマラカスを振っている姿とそしてビートに乗って唄われる曲がなかなかに格好良く、たった30秒ほどのCMなのにそれが目にやきついて何度も繰り返して見てしまったよ。とくにティンバレスってスネアドラムを2つ並べたみたいな太鼓を叩いている多分TOMOYOって現リーダーの叩きっぷりが、一瞬二瞬しか映らないんだけれどもそこだけをスローにして何度も繰り返し見たくなるくらいに強気な色気でいっぱい。ちょい脚を開き気味にしてやや膝を曲げてタン! と叩くポーズの何と悩ましげなことか。真下から見ればまた別の官能も味わえるかもしれないけれども遠目に見てもきっと放たれるパワーに迫力あるボーカルをスルーして目を奪われそう。

 あとはマラカスを振っている娘の妙な明るさかなあ。マラカスっていうと両手をずたたんと振り回すティンバレスやたたたんと激しく動かすコンガにタムタムと違ってあんまり技術いらなさそうに見えて、「スパイダース」で井上順さんが担当していたタンバリンじゃないけれど、ともすればバンドでもお色気担当あるいはお笑い担当が添え物的に割り当てられて振り回しているだけじゃないのって見られる可能性もあるけれど、ライブの映像を見る限りじゃあなかなかに活発で上下の振り方も堂に入っててちゃんとしっかり目立ってる。音楽的にどれだけの要素となっているかまでは分からないけれどもCDとかDVDを見ればもーちょっとその辺も聞こえて来るんだろう。ちょっと掘ってみるか。

 ちなみにというか驚いたというか気が付かなかったというか、そのマラカスを振ってるMAKOちゃんって「かみちゅ」の一橋ゆりえを演じて「ちゅちゅちゅのちゅ」とか言ってた人らしい。ゆりえも立派になってまあ。「ヤマナデ」も来週で終わりでCMもきっと流れなくるんで見たい人は来週ぐらいは見てナベシンのトークに耳を傾けよう。おやオフィシャルページでも流れるよ、そうそのマラカスを元気いっぱいに振っているのがゆりえちゃんだあ、豆腐ちゃんはいないなあ。

 鍵も届いたんでさっそく倉庫に段ボール箱を運ぼうとしたものの中身が本だと重くて重くてカートに乗せるのは2箱が限界。3箱くらいは楽勝かと思っていたけどいきなりの挫折に山積みとなっている箱を見上げて先を思いやってため息をつく。けど1つづつでも運べばいずれなくなるはずと気を取り直して2箱をつみ、とりあえずは京成で海神まで行ってそこから歩こうとしたらこれが大失敗、京成の海神は片側にしか出口がなくそれも下り側にしかないものだから昇りで到着すると階段をあがって通路を渡り降りてそして改札を抜けなくちゃならないという不便さ。車椅子用の出入り口は設けられているけれどそれを開けてもらえるとも思えず2箱をカートにつんだままかつで上がりかついで降りて腕が死ぬ。もう使わないと心に決める。

 あんまり疲れたんでそのまま荷物を途中で倉庫に放り込んでそれから西船橋まで行き電車を乗り継ぎ「味の素スタジアム」へと行ってJ2の「東京ヴェルディ1969vsセレッソ大阪戦」を見る。日曜日の冷凍庫に放り込まれたような寒さが嘘のような陽射しで、直射日光のあたるヴェルディのゴール裏はむしろ熱いくらい。これくらいの気候がやっぱりサッカー観戦には最適だよなあ、だから土曜日の日本代表選も夜になんてやらないで欲しいよなあ、いくらテレビ映りのためだって。「トヨタカップ」だって昔は日曜日の昼間にやってたもんなあ。真冬に夜は地獄だよ。そんなに儲けたいんだったら女子代表にお揃いのスーツくらいは買ってやれよ、でないと起こった女子代表が勝手に全員ピンクハウスで揃えて登場するぞ、そりゃあすげえ、なんてことも考える間もなく始まった試合はセレッソが頑張って守る一方で、ヴェルディもサイドの服部年宏選手にわたっても前に運べずフッキ選手が中央で持っても囲まれ突破できない状況が続いて無得点のまま後半へ。

 そこでも同じ状況が続いたけれどもゴール前で起こった反則でセレッソがPKをとられそれをフッキ選手が決めてまず1点。さらに追加点を奪ってヴェルディがとりあえず勝ち点3を手に入れた。セレッソは勝てないなあ。でも守備はそれなりにまとまって来ているんであとは西澤大久保の抜けた攻撃陣をどこまで立て直し高めて来れるかって辺りになるんだろー。ヴェルディもどこかフッキに頼りすぎで攻撃が組み立てられない感じ。守られるよーになると点をとれず苛立ちから反撃をくらい破れる可能性も2クール目あたりからは増えて来るかも。とはいえそこは坊主の土屋征夫選手を入れて高さと固さをつけたディフェンス網。しのぎきって勝ち点1から3を積み重ねて行き何とか今シーズンは上位3チームにはいり昇格を、悪くても入れ替え戦進出を決めるだろー。逆にセレッソは攻撃陣の構築が遅れて点をとれないまま下位に低迷って可能性が大。都並監督もキツいかなあ。覚醒を願おうデカモリシの。

 帰宅して今度はエレベーターとエスカレーターのあるJRと使い割とスムースに2箱を運んで打ち止め。まあゆっくりと地道に運んで行こう。気が付くと追加招集が発表になってて24日のペルー戦にはジェフユナイテッド市原・千葉から巻誠一郎選手と水野晃樹選手が呼ばれた模様。神戸でのナビスコカップで得点こそあげられなかったけれど前線からのチェックにポストとしての落としも完璧にこなしての招集。それだけ力を買っているってことだろー。水野選手は同じ五輪代表の本田圭佑選手、家長昭博選手ともども不甲斐ない闘いぶりの続く五輪代表にオシム的なエッセンスを注ぎ込むための招集かな。こいつらはこう使うんだってところを反町五輪代表監督に見せて説教する気か。だとしたら試合にも出してやって欲しいなあ。そうなると右でも左でも中村俊輔選手の出る幕がなくなるぞ。引導をまさか渡す気か。それも含めて試合への興味が一気に増してきた。ピサーロにゲレロが来なくたって行くぞそして見るぞ巻の走りを、水野の突破を、本田の左を。


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