縮刷版2007年3月中旬号


【3月20日】 噂の「コミックチャージ」を買ってみたけどうーん、SFがないアクションがないファンタジーがないギャグが少ない。「コミックリュウ」とは超対極にあって現実に足の着いてる漫画が多くて一般層の拒絶反応は招かないかもって言えるんけど、一方では外連味もない綺麗な漫画ばかりって感じ。「少年マガジン」と「ミスターマガジン」と「漫画アクション」を引っ張りつつ、オシャレさとエッジさと泥臭さを並べてみて、その上澄みをしゃきっと切り取ったよーな作品は、なるほど見栄えは良いかもしれないけれど、引きつけ続ける強烈さって点になるど、ちょっぴり不足している気がしないでもない。まあ皆さんそれなりに巧い人たちばかりだから作品として読めて続きも気になる。だからしばらくは読んで見ようか、コンビニエンスストアでお気に入りの作品あけ、立って開いて。

 って感じにの「コミックチャージ」。個別では貞本義行さんの「アルカイック・スマイル」がキャラクターがなかなか良い感じでストーリーもあってまあそれなりに。見た目では陽香さんって人が絵を描いている「こちらがむしゅー探偵事務所」がエロさで1番。見せて頂ける黒レースとシマシマが素晴らしいんだけど、エロいのがこれ1本ってのはちょっと弱いかな。かといって「ビッグコミックスピリッツ」みたく知らずエロいのばっかりになっていられても困るけど。田中圭一さんは玩具メーカーで働く青年の話。得意の手塚絵で描くエロ漫画。求められているんだろうし楽しいけれど、でも田中さんには「ドクター秩父山」みたいな凄い絵の漫画も描いて欲しいなあ。

 清原なつのさんの描く「家族八景」は清原だけに原作が持つ情念が渦巻き憎悪は溢れる様を薄皮で来るんで読む人の身にまとわりつかせる気持ち悪さ、恐ろしさが薄まっている感じ。上っ面の微笑みが逆に裏側のどろどろとした部分を想起させはするけれど、でもちょっと不思議な組合せかも。最高はやっぱりしりあがり寿さんか。サラリーマン物。でもって異常シチュエーション爆裂。明るさと不思議さが外向きに炸裂する漫画は印象として久しぶりな感じでちょっと期待したい。そーいやしりあがり寿さん、例の無料漫画誌「コミックガンボ」でも描いているんだよなあ、毎週欠かさず。大活躍。

 たぶん目玉にしたいんだろーきたがわ翔さんの「デス・スウィーパー」は自殺した人とかの死体を専門に清掃する会社の青年の話みたいだけど、それだと扶桑社から出ている吉田太一さんの「遺品整理屋は見た」と内容が被りそう。もっとも別に原案に名を連ねている訳じゃなさそうで、テーマが「遺品整理屋」からのインスパイアなのかそれとも今時の独居人の孤独死増を受けてのシンクロニシティなのかに興味。あるいは死体専門清掃屋として登場した青年が死体の物理的な痕跡だけじゃなく遺族や大家の精神的痕跡までも含めて消してしまう超能力者とかって設定だったりするのかな。しないよな。しかしやっぱり最大のヒットは「角川映画」の全予告編を収録したDVDのおまけ、か。これで買う人の20万人くらいはいそう。でもってうち何万人が次を買うか。いっそだったら昔の角川アニメをまるまる収録しちゃえば。「少年ケニヤ」とか「カムイの剣」とか「ボビーに首ったけ」とか。なぜその辺?

 ライブ放送の間はもうひたすらに攻められっ放しの中で日本のサッカー女子代表が守りしのごうと懸命になっている様しか目に映らず、これでどうにかと安心できたのは荒川恵理子選手が大谷未央選手へと交代して前線にふたたびプレスがかけられカウンターも効くようになって以降。さらに安心さが増したのはロスタイムに入って1分くらいが過ぎ、コーナー付近で日本代表がボールをキープして時間が過ぎるのを待つプレーを出すようになってから。だから印象としては日本代表が防戦一方となる気分的には残念なものしかその時は浮かばなかった。

 けれども日が経って、代表選手も帰国して試合の詳報が出回るよーになって読むと、前半の途中から出場している選手たちの間に守りへのコンセンサスが出て、そして後半の大橋浩司監督による宮本ともみ選手、矢野喬子選手の投入でしっかりとした守備網が構築されて落ち着きの中でプレーしていたんだなってことが分かって来た。現地に行っていたらしい「2002Worldcup.com」でもっぱら女子サッカーの記事を書いている西森彰さんが、「週刊サッカーダイジェスト」の2007年4月3日号に寄せている記事を読むと、後半から入った宮本選手は酒井與惠選手と2人でボランチとなり中盤をほぼ埋め、そして両サイドの中盤に張った宮間あや選手と柳田美幸選手が相手の突破して来ていた両サイドを抑えてほとんど有効な攻撃を作らせなかったらしー。

 そうなんだと思ってビデオを見返すとなるほど、ライブになった後半は攻められこそすれ前半のよーなフリーにさせて打たれる場面は少なく危ないクロスも減っていたよーな感じ。リアルタイムではそんな攻撃すらも危険をみてあたふたしてしまったけれど、選手たちはちゃんと理解して最善の試合運びをしていたんだなあ。そこが修羅場に立っていないこちらと幾度とない修羅場を経てきた選手たちの経験値の差って奴か。

 くわえてこの試合では、長く代表候補と黙されながらも定着には至らなかった近賀ゆかり選手とか、山郷のぞみ選手を超えたとは言っても大舞台ではまだ実績のなかった福元美穂選手とかに修羅場の経験を積ませられたことも大きな収穫。澤穂希選手が抜けてもそこを宮間選手が埋める目処も遠征なんかで立った感じで来年の五輪を目指してまだまだ大舞台の続く「なでしこジャパン」、厚みを増した選手層でしのぎそして果実も得てくれるものと期待しよー。

 刺激を受けてこのプレーオフの2戦でレギュラーはもとよりベンチからも外れた安藤梢選手にも復活を望みたいけれど、チーム力って点がやっぱり劣ってリーグの上位戦線に絡めない浦和レッズレディースで1人気を吐いても、周囲が澤選手を、宮間選手を上回っているとは認めてくれないんだよなあ。かといってサイドでも使ってもらえなくなっているし。とはいえ日テレ・ベレーザに移籍するって訳にもいかないし。やっぱりリーグ全体の底上げも必要か。開幕も決まった「mocなでしこリーグ」の展開にもだから気を向け選手のプレーを見て行こう。

 「コミックチャージ」は昨今珍しい紙の漫画誌の創刊だけれど、時代はどーやらネット化と国際化に向かっている様子。それも道理で国内の漫画市場は単行本はそれなりでも雑誌は全体に頭打ち。加えて少子化もあって漫画の主力市場が減じていくなかで上の世代を取り込もうと頑張ってはいても、これとゆー決定打を見いだせない状況では、少々の部数であっても“発行”できて、そこでそれなりに評価を得られれば単行本化へと迎えるネットオンリーの漫画誌って奴に出版社の気持ちが傾くのも当然といえば言えるだろー。無料漫画誌と評判の「コミックガンボ」だって、配っている地域が限定されている状況では紙はひとつのアドバルーン。実際に読んだ人とは別に読んでみたいけれども読めない人をネットへと誘導してそこで見てもらいつつ広告に触れてもらいつつ、ファンをつかまえ単行本を買ってもらおうって戦略が垣間見える。

 大井昌和さんの「女王蟻」とかのネット連載でお馴染みの「幻冬舎コミックス」なんてその辺に積極的って感じで、すでに幾つか有名漫画家さんとかカルト的な人気を持つ漫画化さんを集めてネット上にウェブ漫画誌を立ち上げ連載をさせつつ、単行本化なんかも視野にいれつつ海外展開なんかも考えていたりする。紙で国内で10万分の漫画誌を作るのは超大変だけど(それに挑んだ「コミックチャージ」はある意味凄い)、ネットだったら紙代配送台は不必要。昔に比べりゃネットで見てそれなりに見られるよーにする技術も発達していたりして、ストレスもなく漫画を読むことができる。だいたいがネット上で漫画を読む人が増えているのが今の状況、パソコン上で漫画なんて別にぜんぜん驚くものじゃないのかもしれない。

 ネットだから海外でも見せようと思えば見せられる点も特徴。そちらから海外へと認知をはかって単行本化も同時に行い国内では2くらいの市場を世界で5とか6まで広げて稼ぐって手もあるんだろー。幻冬舎もそれを画策しているみたいだし。新潮社が新しく始めた「デジコミ新潮com2」ってのもそんなコストダウン化と国際化の一石二鳥を狙ったっぽいデジタルコミック誌。3月23日から配信されるみたいで20日に発表があって発行部数が当面は3万ってあたりに、普通の紙の出版だったらコスト割れ必至な部数であってもデジタルだったらスタートできるって雰囲気を感じた。あとやっぱりシンガポールとか韓国での展開なんかを想定しているみたいで噴き出し部分をレイヤーで重ねて他言語化を実現しているイーブックイニシアティブが参画している所からもそーした世界を視野に入れたマーケットをつかみ萎む国内市場だけでは得られない収益を世界からかっぱごうって意識を感じた。

 問題はだからちゃんと読んでもらえるかって所だろーけどそこは新潮社、豊富な小説の蓄積を吐き出してストーリー漫画を描いてもらい連続して読んでもらおうって意図があるみたい。創刊号のラインアップでは黒武洋さんの原作を近藤崇が漫画化して師匠の村上もとかさんが監修した「パンドラの火花」とそしてあの、酒見賢一さんの傑作を羽生生純さんが漫画化した「陋巷に在り」が目立ってた。あと吉原万里子さんって人の原作を上田俊衣さんが漫画にして師匠の村上もとかさんが監修した「雨のち晴れ、ところにより虹」とか、今が旬の伊坂幸太郎さんの懐かしい小説を木村哲也が描いた「オーデュボンの祈り」なんかが注目か。

 さらには「サルタン防衛隊」の高寺彰彦さんの読み切りも載る模様。韓国でそれなりに有名らしー人が名前を変えて連載する漫画とかもあって総ページ数は200ページくりあになって価格はパソコンなら350円。高いかな安いかな。1話売りもあって80円らしーけれど連載のみみたいでパソコンでは読み切りの1編のみは買えないので、復活の高寺さんを読みたいならば350円も仕方がないって諦めましょう。しかし振り返っても“重厚”なデジタル漫画誌。とくに携帯向けに鍵って言うなら1話読み捨てって感じのデジタル漫画誌が多い中では異色の立ち上げって感じだけれどもさてはて成功するか失敗するか、それが将来の漫画の読み手と書き手の双方にどんな影響を与えるのかを観察していこう。観察する期間くらいは保ってくれ。


【3月19日】 スタートの言葉が「にゃー」じゃないしホラーハウスで塗り壁が「やってられるかー!」と叫んでないしランスロット仮面も歩いてないし副総督もおしのびで歩いてないし巨大なロボットが巨大なピザを広げてもない、あるのはバンド演奏とお化け屋敷と喫茶店と縁日の屋台と花火だけといった、1980年代的にありきたりでありふれた学園祭を学園祭を読んで良いのか、ましてや2030年代に行われる未来的な学園祭と呼べるのかってゆー意見も聞こえて来そうだけれどもそこは「まなびストレート」。いつになっても変わらない少年少女のモラトリアムな日々への憧憬って奴を表現するなら50年100年変わらない、ああいった学園祭の形になって当然ってことなんだろー。バンド演奏については「ライブ・アライブ」とため張ってたかも。歌もなかなか。さすがは京都アニメーションと動きの凄さで双璧を成すユーフォーテーブルだ。サンライズも負けじと生徒会バンドとか出せば良かったのに。

 「全滅ぅ? ジェフ千葉の代表選手が全滅だとう?」って絞り出すよーな淀川社長の声も聞こえて来そうなイビチャ・オシム代表監督による24日開催のサッカー日本代表対ペルー戦のメンバーは常連だった巻誠一郎選手に山岸智選手が消えて中盤に時々入っていた佐藤勇人選手も呼ばれず入ったのは羽生直剛選手のみ。開幕したJリーグで下位に低迷しているチームならば当然の仕打ちだしそこで得点を挙げられていない巻選手が呼ばれないもの至極当然。かつそんなチーム状況にあっても動きの良さだけは1人頭抜けていて得点も奪っている羽生選手が呼ばれるのもまた当然と、これでなかなか理に適った選考になっているところはオシム監督、ちゃんと見てるぞってゆーメッセージを確実に放っている。

 もちろんフォワードが高原直泰選手がたった1人呼ばれているだけってのも一種のメッセージで、21日のナビスコカップで例えば今回やっぱり呼ばれていない佐藤寿人選手とか、ジェフ千葉に新入団した新居辰基選手がハットトリックでも達成するくらいの活躍を見せれば即呼ぶだろーしそれは沈黙の続く巻選手だって柳澤敦選手だって、大分で気を吐く高松大樹選手だってヴィッセル神戸の暴れん坊・大久保嘉人選手だっておそらくは同様。目の覚める活躍さえあればいつだって呼ばれるんだってことを見せるための枠を残して21日のナビスコカップへのモチベーションを、高めさせたって意味を含んでのことだと理解するならこれまたやっぱりオシム監督、日本のサッカー界の底上げって奴を本当に心から願っているんだって言えそー。すげえなあやっぱり。

 でもきっとオレンジ色の憎たらしい新聞の編集員殿はそーした部分に気づかないか、気づかないふりをして「オシム、千葉に鉄槌、奢る千葉勢は自業自得」と誹るなり「オシム監督懊悩、残した枠はやっぱり千葉優遇?」と煽るなりしてくるんだろーなー。意外だったのはゴールキーパーで選ばれたのは大分の西川周作選手と川崎の川島永嗣選手。ともにユース世代の時から代表入りしている逸材だから呼ばれて当然ではあるんだけれどここん所の代表選では流通経済大学の林選手とか、浦和レッドダイヤモンズの山岸選手が呼ばれていたから当然そっちへ流れるものだと思ってた。西川選手は北京五輪を目指す代表からもしばらく外れていただけに飛び級で飛び地的の招集は当人あってシャムスカ監督だって思っていなかったんだじゃかろーか。

 川島永嗣選手は名古屋グランパスエイトで楢崎正剛選手の控えがずっと続いていただけに一念発起、心機一転で川崎フロンターレへと移籍して開幕からレギュラーの座を得て活躍している所が評価されたんだろー。でもそれだったらその川島選手をずっと上回り続け、今はリーグ首位のチームで無失点を続ける楢崎選手だって読んでやって欲しいもの。どうせ自分がって安心する川口能活選手を刺激するにはやっぱり楢崎選手の存在が必要なんだよなあ。でも一方で4年後8年後の守護神を育てて行かなくてはいけないところが悩ましい。ゴールキーパー枠が4人あったら楢崎選手も入ったかな。

 それからディフェンス陣の本職が田中マルクス闘莉王選手と中澤佑二選手と坪井慶介選手だけってのもやや不明。阿部勇樹選手ディフェンスになっているけど闘莉王選手が出ればボランチだろうし。それとも浦和がこの前の試合でやった坪井闘莉王阿部のスリーバックをやるのか。ボランチは鈴木啓太選手に中村憲剛選手で右に二川左に俊輔トップ下羽生で前を高原とあと誰か。うーん強そう。だけどやっぱり残るフォワードの誰かが気になるなあ。まあ巻選手が奮起して5得点を叩き出して滑り込むことは“確実”なんだろうけれど。21日の神戸での試合はとうてい見に行けないけど遠く千葉から念を送るぞ巻選手。届かず名古屋の巻佑樹選手に念が取られてしまったらどうしよう。

 3カ月連続で「サイゾー」を買って2007年4月号にしてようやくまとまった記事としてのオリコンによるジャーナリスト訴訟問題を取り上げた感じ。とはいえ発覚から3カ月経って間にジャーナリストからの反訴が行われてそして裁判が1度開かれたくらいでとくに目立った進展はなく、あとは裁判の結果がどっちに転ぶかってところくらいにした興味の矛先が向かなくなって来ている感じ。言えば1人のジャーナリストに多大な賠償を請求して口を封じようとする行動の至らなさって部分はあるけれども、一方には個人であっても発言したならそれが結果として何らかの損害を引き起こせば責は追うべきって見方もあって一概には対応を退けられない。コメントだから、無理矢理だからというなら反訴と同時に虚偽を記載したと掲載したサイゾーを訴えるのが道筋だけどそうじゃなくってひたすらに企業の横暴のみを訴えるってところを是非の判断が現時点では何とも難しい。結局はだからコメントの真偽が最後には問われ帰結を左右することになるんだろー。その意味でも審議の行方にだけは注目したい。


【3月18日】 スリムでスレンダーで眼鏡で本を読むという人はつまりそれだけで全存在を肯定されるのだ例えショートヘアであってもポニーテールとかではなくてもって雰囲気を味わって帰宅し「コードギアス 反逆のルルーシュ」の学園祭騒動を見返しながら時間を潰し、そしてとりあえず始まった「月面兎兵器ミーナ」を生で見たら翠怜さんが大変なことになっていた。そうか翠怜さんは平常の一人称が「ぼく」なのか。楚々としてキャリアな雰囲気でキャスターをしている姿は実は世を忍ぶ仮のもの。大月ミーナに変身して出るついついやりすぎちゃってスタジアムやら国技館やらアリーナやらを壊してしまう猪突猛進な性格こそが本性だったのだ。それ最高じゃん。なのに同僚のキャスターは苦手を言って翠怜さんを嘆かせる。ああ勿体ない。

 あまつさえ露見して変身を解かれ裸でうずくまる翠怜にいたわりの言葉の1つもかけずに背中を向ける。極道だね非道だね毛虫野郎だね。そんな野郎は朴っておいて翠怜さん、というよりむしろガサツで暴力的で適当だけど前向きな大月ミーナと是非にでもお近づきになって翠怜さんより倍増しくらいのその柔らかそうな荷口で、包み込んでもらいたいなあ本当に。でもお嬢なミーナに罵倒され追放されてしまった以上はしばらく出てきてくれなさそー。ってか3月いっぱいだとしたら残る話数も少ない中でいったいどーやって決着をつける? 海外ミーナも居酒屋の謎めいた2人組もまだ見せない正体への関心ともども残る放送を見極めあって欲しいと願う翠怜さん、ならぬ大月ミーナのはちきれまくっている肢体が画面瀬ましを躍動する時を心して待とう。

 そして途中から切り替えてメキシコの2400メートルだか2600メートルって日本人のたぶんおそらくほとんど住んでない高地での試合にのぞんだ我らが「なでしこジャパン」の試合を見物。秋に中国で行われるFIFA女子ワールドカップの出場権をかけたプレーオフの第2戦で1戦目をメキシコ相手にアウェーゴールを許さず2対0で完封して乗り込んだアウェー戦。1点を奪えばアウェーゴールのルールで極めて有利になる試合で最初にがんがんと押し込んできたメキシコ代表の怒濤の攻撃の隙間を縫って前へと運び、得たフリーキックを荒川恵理子選手がゴールすぐ側で受け止めそのまま振り抜きズドン。見事に決まって待望にして絶対のアウェーゴールを先取する。

 これでメキシコも意気消沈してくれると思ったけれどそこは地元の意地って奴で、前線からチェックに行き中盤をほぼ制圧した上に前へ前へと走り込む見方へぴたりと合わせて放り込む。空気が薄くて目測が狂ったのか日本代表はそーしたロングボールをはねかえせず落とされごちゃごちゃの中からゴールを決められる雰囲気が上昇。だったら長いクロスの出所をチェックして押さえれば良いんだけれど高地だけあって走れず迫れず何度も何本も良いロングボールを蹴られてその度に窮地が訪れる。

 走り込むメキシコのフォワードへの対応も遅れて抜けられ止めようとして転ばれPKに。危険を承知で冷静なプレーをして欲しかったけれども若い宇津木留美選手ではまだ無理だったらしく齟齬も焦りと緊張から堅実さとは遠い守備を演じ、一方ではサイドバックとして前に攻め上がることがまるでできずにいる。そして長いボールをゴール前に送り込まれてそこでフリーにしてしまったメキシコのフォワードにズドンとやられて2点。もしここで1点でも国立競技場でアウェーゴールを与えていたらイーブンになって緊張感もいっそう増したんだろーけれど、初戦を無得点に抑えたことが激しい大きさで生きてきた。メキシコはあと1点奪ってもアウェーゴールのルールで出られない。2点の余裕がまだあるって安心感とそれからハーフタイムでの修正がきいて、後半も押し込まれながらどうにか0点でしのぎきって晴れて5大会連続のワールドカップ行きを決めた。おめでとう!

 そりゃあ欲を言うならオーストラリアであった大会でしっかり出場権を確保しておけばこんなに苦しい戦いをしなくても良かったんだけれど、でも思い返せば4年前、メキシコのアステカスタジアムで10万人のアウェーに耐えて2点を追いつき引き分けた時の底力が、東京での2戦目を勝たせ翌年のアテネ五輪での対北朝鮮戦初勝利へと至らしめて今の女子サッカー人気をつくりあげた。苦境からやや脱しても苦闘は続く。このシビアさがアジア最強と溺れ油断している男子のフル代表とか五輪代表とはつがってつねに全力のプレーをさせて、熱いものにめざといファンの心を引きつけ続けているんだろー。何しろ今回はテレビ局の生中継付きだ。最初こそ録画でCMを消化しテンポが乱されたけれど後半の、緊張感ありまくりな展開をリアルタイムで見られたのは実に僥倖。ロスタイムにコーナー付近でキープし続ける技を繰り返す姿を見つついっしょに時間が刻一刻と過ぎていく気分に浸る緊張感はライブじゃなきゃあ得られない。テレビ東京よありがとう。それもすべては4年前のメキシコでの過酷なアウェーがあったから。今回の過酷なアウェーの1戦も4年先、10年先、50年先につながることだろー。

 それにしても走れていなかった日本代表。ディフェンスがボールをもらってもつなげない。パスを出したら奪われドリブルをしたら止められる繰り返し。もっとポゼッションを高めずるずるとした試合に引きずり込めば、相手も焦りから前に出て裏を狙えたんじゃないのって気もしないでもなかったけれどそれが出来ないからこその2600メートル。走るに苦しく蹴れば惑う環境ではとにかくその場その場を耐えしのぐしかなかったんだろー。あとやっぱり安藤梢先取がスタメンどころかベンチにも入っていないのが気になった。どっかの「エル・ゴラッソ」ではコラムでターンオーバーの可能性にすがっていたけれど結局は近賀ゆかり先取の伸びが上回ったってことなんだろー。

 負けたとはいえトータルでは万々歳な試合を行い後半は零点に抑えてしのぎきった大橋浩司監督の選手選考や采配をさて、「エル・ゴラッソ」はどう採点するか。初戦を勝利したにもかかわらず敗戦監督にだって付ける5・0と酷評したライター氏なら、負けた何もできなかったと非難し晴れてワールドカップ出場を決めた監督に4・0とかつけかねない。時には厳しくっていったって、結果として得たものの大きさと未来に見える可能性を鑑みればとてもじゃないけどつけられない点数。それをもしもつけて来るならよほど気に入らないことがこの采配、この選手選考に対して「エル・ゴラッソ」の女子サッカー担当は抱いているってことか。こだわりは認める。でも偏向は嫌いだ。だからもしも納得のいかない採点が乗ったらもはや「エル・ゴラッソ」のこと女子サッカーに関する記事はないものとして理解しよー。

 キャラの言動の奇天烈さと物語の熱さが妙に噛み合い不思議な熱情を醸し出してて感涙にむせんだ岡崎裕信さんの「フレイアになりたい」(集英社スーパーダッシュ文庫)に待望の第2巻。手足を千切られ死んでしまったはずの瞳は友人の若菜が持つ力で蘇って一蓮托生、力の影響で脳を冒され余命いくばくもない若菜の死とともに自分も死ぬ瞳が運命を変えようと探した能力者ではなかったけれど友人になった少女との悲しい別離を経て始まった2巻目は、余命が少ないなら精一杯に生きようとなぜか映画監督になるべく主役を捜して若菜の家に出入りしている少女の夜空をそれと決定。実は類い希なる能力者ながら今はその力を抑え若菜を姉と慕って生きている夜空を巻き込みそして、突然自殺してしまった同級生の眼鏡っ娘の小泉という委員長を慕っていた少年を引っ張り込んで始めた映画撮影だったけれども壁に行き当たる。

 小泉の死に関わっていたらしい心の不安を煽り自殺に追い込む「ハーデス」の能力者が現れ同じ「ハーデス」の強力な能力を持つ夜空に挑んで来て大騒ぎ。さらに本当のことが明かとなりその過程で哀しみも起こってそして瞳も夜空もともに今を頑張り命尽きるまで生きていくことを誓うという、そこへと向かうまでの展開のギャグ混じりだけれど急変してハードな戦いへと至りそして解決へと至る流れは実に読みやすくってキャラの言動ともどもぐいぐいと引っ張られる。こんなに起伏に富んで楽しくそして強いメッセージを放つ話も今時珍しい。中村博文さんのイラストも小泉は豊満で可愛くってその死が惜しく瞳もゲゲゲ番長の恐ろしさとは違う表情を見せてくれてこれも可愛い。あとはやっぱり夜空ちゃんか。買い物の最中はニコニコなのに戦い始めると表情厳しく手に彫刻刀を持ち躍動するそのキャラをもっと描いて欲しかったなあ。


【3月17日】 巨躯に金の髪をなびかせ甘く情熱的な言葉で女性に迫り契約を結ぶものの3年を待たずして辞去して別の女性と契約を繰り返し続けてもう何十年? そんな風変わりな精霊がマナガとマティアの今度の相手。「ポリ黒」とと大迫純一さんの「神曲奏界ポリフォニカ トライアングル・ブラック」は哀しみを背負ったマナガの黒い涙を流しての咆哮に普通だったらどんな精霊も驚き畏れ嘆いて情を見せるのに、レオンはそーした反応を見せつつも引かず媚びず退かず、場を改めて探偵として登場して今後の展開に絡んで来そう。また新キャラを増やしていったいどーすんだ。誰か書くのか「ポリ金」を。

 とりあえず「にゃー」。うん良い声だ。聴けば男子は奮い立ち、女子は萌え立って歓喜のうちに喧噪へと身を投じたくなるだろう。それが証拠に設定的に病弱だったカレン・シュタットフェルトが何と、クラスメートの希望に添って学園祭の出し物の「ホラーハウス」で塗り壁を演じてる。背中にしょった板はそりゃあ軽いかもしれないけれど狭い場所にうつぶせになって全身を、着ぐるみに覆われた格好はそりゃあ暑いだろう苦しいだろう。そんな役目を振っても大丈夫だとクラスメートに思わせ、当人も病弱って設定を超えてそんな役目を果たしたいと思わせるくらいにきっとナナリーの「にゃー」の一声がアシュフォード学園を活気づけたに違いない「コードギアス 反逆のルルーシュ」。愉快なり痛快なり。

 それにしてもいつにも増してごった煮の「コードギアス」。予告編ではチラリチラリと扇がスカート姿もふりふりなヴィレッタと“伝説の樹”の下で永遠の愛を誓い合っているっぽい光景が流されていたけれど、そこはブリタニア人もイレブンもお構いなしに入場歓迎なアシュフォード学園の学園祭。エリア11副総督のユーフェミア皇女殿下がお付きの者を従え下手くそな変装で闊歩しているわ、世間的にはどうだって良いはずの学園祭に左遷されたからなのかディートハルトが現場を指揮しにやって来ていてそこに咲世子さんが絡んで来るわとエピソード的にもテンコ盛り。この決着を少ない1期目の残り話数でどう付けるんだ。謎だがまあ何とかするんだろー。

 ロイド伯爵とセシルさんの特派ご一行も来てロイドはミレイと会話。ピザの生地をひろげる第3世代ナイトメアフレーム「ガニメデ」を眺めつつマリアンヌの貢献と死を喋っていたところを考えると生前のマリアンヌをロイドは知ってて、だったら子供だったルルーシュとナナリーのことも見知っていやしないかって想像が浮かぶ。つかマリアンヌってその死でもって開発が中座するくらい死の間際まで皇女の身でありながらナイトメアの開発に携わっていたのか。それとも見初められて皇女となってからは身を引き「ガニメデ」を作るアシュフォードの後ろ盾になっていたのか。いずれにしてもだったらその死に絡むのは同じナイトメアの開発企業。シャフトかアナハイムか。ルルーシュがだから皇帝を恨むのはやっぱり筋違い、だよなあ。

 学園祭でセシルさんもストレス発散。「もぐらたたきゲーム」でロイドさんそっくりの美形ばかりを狙ってぽこぽこ叩く様を同僚に憐れまれるくらいにロイドって大変な奴、なんだなあ。そんな人間もぐらのロイド似の兄ちゃん、何となく「セイントオクトーバー」のヨシュアにも見えて黒ロリちゃんを独り占めするヨシュア憎しを白ロリが現れ一緒に叩いたらちょっと楽しい。白ロリかと思ったらそんな扮装をしているC.C.だったりしても同様。かくも賑やかなモラトリアムの日々。そりゃあラムちゃんだって毎日続けば良いって願うだろうなあ。いっそこの学園祭だけで映画を1本。「コードギアス劇場版 美しき夢追い人」とか。見せ場はガウェインに乗ったルルとC.C.が空中にあがるとそこは巨大なチーズくんの上に乗った学園をブリタニア皇帝と桐原とゲンブとクロヴィスが支えているって、絵。

 とは言え平和な日々は続かず、脳天気なお姫様のユフィがこともあろーに特別行政区域として「日本」の設立を容認する発言。それは中東におけるパレスチナの設立にも似て危険をはらむものなんだけれど支配する存在にとって譲歩は慈善。良いことをしたと信じて疑わないユフィにこれから襲い掛かるだろう悲劇を思うと、どーして頭の良いシュナイゼルがそれを認めたのかが気に掛かる。ルルーシュだって数ある選択肢の中から除外した手をルルに負けない能力を持つシュナイゼルが気づかないはずはない。

 あるいはルル=ゼロがそーした特区構想を容認できないと計算しつつ認め互いに争わせ、コーネリアともども始末しようと考えたのかどーなのか。妹のこととなると見境がなく、シュナイゼルが相手でも妙に身体をくねくねさせて気弱になるコーネリア。しょせんは武人でしかなくシュナイゼルの敵ではなかったとゆーことか。ニーナが何かごそごそ動いているのも気にかかる。原子爆弾でも作り上げたか。でもってそれを特区設立の“お祝い”に爆発させて裏切ったユフィとイレブンをもとろもに木っ端微塵。恐いなあ。来週が見られないよ恐くって。関係ないけどピザが吹っ飛ぶ時のC.C.の顔が本当に悲しそうだった。予告に出てきたときゃあ誰か大事な人の命でも奪われたかと思ったよ。いやいやそうかピザが誰かの命よりも大事なのは自明か。

 仕事中で戦況をリアルタイム速報で辿っていた「ジェフユナイテッド市原・千葉対鹿島アントラーズ戦」は先制点を奪われすぐに追いつき逆転したら追いつかれ引き離してもまた追いすがられて同点のまま引き分けに。過去の2試合でどうにも点のとれる感じがしなかっただけに3点を奪えたのは僥倖だけど、それは去年もたくさんあったこと。逆に取り替えされて引き分けが続き勝ち点を積み上げられなかったのも去年の前半でその意味ならようやく1年前の調子が戻って来たとも言えそーだけど、御大イビチャ・オシム監督が何とかしようと頑張った守備網の構築がやっぱり出来ていないことには不安が残る。

 ジョルジェビッチをとってもきっと中盤での守備が拙いんだろうなあ。吶喊小僧の水野晃樹選手にテクニシャン山岸智選手が両翼じゃあ。かといって中盤に預けて安心奪われない重鎮がおけるほど選手層は厚くない。だからやっぱり両翼にもうちょっと守備も頑張ってもらえるだけの気力気構えって奴を植え付けてもらいたいもの。幸いにして2人ともイビチャ・オシム監督の指導を受けに代表へと呼ばれる可能性を持った選手。そこで直々に叱りつけられれば戻っても緩まず頑張ってくれるものと信じたい。ほらあの浦和レッドダイヤモンズだって大量失点が続いたプレシーズンマッチの直後、合宿でオシム代表監督に叱られシーズンに入って失点だけは少なくなったから。次のフクアリでのナビスコでまずは実践、ってそいつに代表選手は出ないよなあ、前日がペルー戦なだけに。でも。ジェフだから。

 地下鉄半蔵門線から降りてサンケイビルへと向かう壁沿いにいきなり出きったガチャポンの壁に1台入ってた「涼宮ハルヒ」の300円ガチャを回して鶴谷さんをゲットしめがっさにょろ。それで良しとして神保町へと向かい林哲哉さんとM村さんの結婚披露パーティーの2次会に行ったら林さんとM村さんが当然ながらいてこの細い2人だったら狭い6畳でも12畳分くらいのゆとりを持って暮らせるかもとか思ったけれどもSFに本の雑誌な人たちにとって部屋の空いているスペースはすなわち本に埋め尽くされるスペースなのであってそれがその分だけ広いってことはきっと支える床も大変なことになるんだろうとご同情。そんなこんなで2時間ばかりを過ごしてファンジンを買って変える。シャケ弁をこれからは手作りしてあげるのか大変だなあ。


【3月16日】 すぐ目の前でそのすらりとした長身にナイスなバディとそれから高見澤俊彦さん的に王子様なご尊顔を拝したばかりの夜にそんな肢体容貌を、赤いロリロリっとした衣装で包みくるくると廻りひらひらと踊ったりする姿を見られるなんてもしかして今年は小林ゆうさんの豊作なのかと「セイントオクトーバー」のなかなかに衝撃的だった本編も記憶の彼方へと押し流す衝撃的なエンディングっていうか、中身はオープニングなんだけど映像が実写のゴスロリ少女探偵団に差し変わった映像を見ながら思う春の宵。まだ寒い。

 折角DVDに特典として収録するんだからせいぜいがCMの短い時間に小出しにして、じっくりと見られないファンの焦燥を掻き立てDVDの購入へと向かわせる戦術だって思っていたらこの大盤振る舞い。これでもう充分です許してくださいごめんなさいと感謝の涙に暮れる人とか出たかもしれないけれども既にこれまで見てきた数々の衝撃的感動的猟奇的シーンに馴れた頭ではエンディングの尺だけではやっぱり足りない物足りない。ってことで中途半端に枠で囲われた映像ではない真っ当に大きく画面いっぱいに広がり踊るゴスロリ少女探偵団をクリアな画像で見るために僕は買うぞ「セイントオクトーバー」のDVD第1巻を。でも2巻はどうすっかなあ。特典映像次第かなあ。実写赤ロリが赤ロリらしく大根を囓ってみせるとか。片岡あずささんの両脚をそれに見立てて囓って見せるとか。がりがりがりがり。小林ゆうさんならやりかねないよなあ。

 進学してきた女の子が一人暮らしをしたいと近所を探すとそこには同居人募集の張り紙が。けれどもご近所じゃ「廃墟ホテル」と呼ばれるだけあって鬱蒼としげった森を抜けてようやく見えるその建物。おまけに中には虚弱な吸血鬼がいたり乱暴な狼男がいたり乾燥肌のゾンビがいたりして大騒ぎ。けれども女の子は気にせずそこを下宿とさだめ自分もメイドの格好そていモンスターたちのお世話を焼きつつ楽しい下宿ライフを始めるのであった、ってこれはどこの「お留守バンシー」ですか、あるいは「スイート・ホーム・スイート」? ちょっぴり「デュラララ」。妖怪ハウス物すらすでに先行して幾つも走っているとはライトノベル、恐るべし。

 特徴があるとしたら松殿理央さん「廃墟ホテルにようこそ。」は主人公の女の子があれこれドタバタ二巻き込まれて一苦労するって感じじゃなくって天然無垢に状況を認めた野敷く暮らしているのを廻りの妖怪たちやいとこの兄ちゃんが心配しているってところかなあ。その従姉の兄ちゃん、ただの雑魚キャラかと思っていたら何か訳ありでリズさんにあんなことされちゃった上に一緒に住むことにまでなってしまうから分からない。いったい彼は何で主人公は何もので何が目的なのかが見えないなかで妖怪たちの日常がてらてらとつづられて1巻の終わりとは、これがシリーズの第1作目にしては贅沢極まりないけどまあ顔見せのプロローグだってことでこれから始まる本編に期待だ。始まるのか。

 誘われてゴダイゴが池袋にあるホールで開くコンサートを見物に行ったら、ジェニファー・バトンがギターを弾いていた。そんなに詳しくはないけどアメリカの女性ギタリストでもピカイチでジェフ・ベックなんかとも共演している凄い人。その昔はマイケル・ジャクソンの「ムーンウォーク」か何かのツアーでも弾いていたらしい。世界的。そんな人が何故にゴダイゴのって思ったけれども聴くとさすがに世界級。ヴァイオリンみたいなキーボードみたいなスライドギターみたいな音を高音域でぎゅいーんと鳴らしていてすごいテクニック。派手じゃないけど耳に突き抜ける音を出す。

 そんな人をメンバーに入れたコンサートはゴダイゴのファーストアルバム「新創世記」をメーンに女王と3人の息子が相争うってコンセプチュアルな内容を、市原悦子さんの語りと1人芝居、パフォーマーのダンスなんかも混ぜつつ演奏していくものでいわゆるゴダイゴのシングルヒットナンバーはなし。プログレッシブみたく長くて派手でドラマチックな演奏が繰り広げられて「西遊記」あたりからのゴダイゴファンには耳馴染みがなく退屈かもって心配したけど、そこは流石に世界のゴダイゴ、テクニックとサウンドを聴いているだけでも結構耳に凄く目にも立派で、飽きずに2時間近くを楽しめた。

 ひとしきり終わって退場したあとはジェニファーのギターをフィーチャーして「竹田の子守歌」。これがまたぴったり。あのみゅおーんと響く奏法であのメロディを奏でられると場に何ともいえない寂寥感が漂う。どーやって弾いてどーやって音を作っているんだろー。まさかこの曲を演じさせるためだえに呼んだ? でもぴったり。それから再びメンバーが現れ「威風堂々」とそして「ガンダーラ」でサービス。初めて知っているゴダイゴの曲が流れたよ。

 総じてタケカワユキヒデさんの声がちゃんとタケカワユキヒデさんになっていた。しばらく前にテレビで見たときは苦しそうだった「ガンダーラ」とかのハイトーンな所もちゃんと出て、そしてバックの巨大なサウンドに負けず伸びていた。この声があれば過去のヒットナンバーだって昔の気分でそして迫力のサウンドで聴けるのかも。あらためてヒットナンバーをチューンしたコンサートも見たいなあ。ゲストミュージシャンでは和太鼓で参加の人の叩きっぷりが、隣のトミー・スナイダーと競ってて凄かった。同じメロディリズムをトミーのドラミング相手に和太鼓でやって負けないんだからいったいどんな体力だ。テクニックも凄い。なによりそれだけの太鼓を集めて並べてセッティングしたのが偉い。1度切りなのかどうなのかは分からないけどまた見てみたいドラム×和太鼓のバトル。5月にBSだか何かで放送もありそーなんで見て驚け。


【3月15日】 早く床に就いてそんでもってやっぱり「コードギアス 反逆のルルーシュ」の昔の回を見直し続ける怠惰な時間。ギャグっぽい話で場違い感じもあった猫おっかけの回もこーやって見直すとなかなかにほのぼのとして良いものだ。とくに猫の鳴き声を真似するナナリー。マイクから流れると一斉にウォウッって男共の声が挙がるのはつまりナナリーが学園的なアイドルになっているってことなのか。超有名人。でもって生徒会副会長には兄のルルーシュがいてやっぱり学園の人気者。前とまんま同じ名前で年格好も同じ2人が揃っていることをどーして皇族に詳しい人が見て何とも不思議に思わないんだろうって疑問が浮かぶ。学生にあやしげな男がいるって調べてたヴィレッタあたりなら名簿をひっくり返して噂を聞き込んでこいつら何だって気づきそうなものだけど。そんなこともあれこれ考えられるからやっぱりこの作品って面白いにゃー。

 んでもって眠って起きて見ようとしたけど気絶していて朝になって録画を見て、無理して起きていなくて良かったとホッと胸をなで下ろしたサッカーの北京五輪2次予選「U−22 マレーシア代表対日本代表」の試合は下がぬかるんでパスが廻らない状況が一目瞭然であるにも関わらず、いつもどーりにグラウンダーのパスを回そうとして届かずカットされるはドリブルでつっかけて足をとられるはと間抜けなプレーが続出。そこでさっさと浮き球を通して前へと送りつつトップにそびえる平山相太選手に当てるパワープレーを選べば良いのにそうしないどころか平山選手がトップを離れて左右へ後ろへとちょろちょろ動くものだから、たまに水野晃樹選手らが前へと攻めてもまん中で受ける選手がおらず相手に危機感を与えられない。

 どう変化するか分からない状況ではあとミドルシュートが有効なんだけれども攻めが遅れるものだから守備網を固められて打っても跳ね返される始末。左右で揺さぶれず中央で突き抜けられない攻撃を、それでも愚直に繰り返すばかりの歯がゆさに見ていてついついて手が早送りのボタンへと伸びる。とりあえず勝つことが大事ってんなら勝つためのサッカーをしてみせれば良いのに。ここまで何戦か見て左サイドでレフティなんとかって期待ばかりが高まっている本田啓祐がまるで真っ当な仕事をしていないのが気に掛かる。それでも使ってもらえているのはこんなもんじゃないって思われているからなのかもしれないけれど、いつかのワールドユースだって期待ばかりが空回りして最後には出られず悔しい思いをしたんじゃなかったっけ。それを思い返せばサイドでぶんぶん腕を振って待っているだけじゃなく、前を塞ぐ選手がいれば邪魔だとおしのけボールが来なけりゃ怒鳴りつけるくらいの凄みを発揮して欲しいもの。ひょっとしてそんな境遇からリーダーシップって奴を付けさせようとしているのか反町監督。

 ぶり返して来るようなそれを無理矢理押さえつけているような体調の中を長い長い動く歩道を通って恵比寿ガーデンプレイスへと赴きセガトイズが4月から始めるアニメ「爆丸」の制作発表会を見物。前から「次世代ワールドホビーフェア」なんかで見かけていた、丸い玉を転がすと磁石か何かが入っているカードの上にピタリととまってそこで玉がばちゃりを開いてフィギュアになる遊びなんだけど、これまでどーやって遊びどーやって勝敗を決めるのかが今いち分からなかった。ほら「ベイブレード」だとぶつけあって先に止まった方が負けってはっきりしているけれど「爆丸」では別にぶつけ合って壊し合う訳でもないから。んで放送されたアニメ版の第1話を見て納得。カードの裏に点数があるのか。でもってフィギュアに点数がついているのか。フィギュアどうしでまずは戦いカードの裏にある点数を属性毎に乗っけて足して付き合わせて勝ち負けを決めて勝てば得点ゲット。その総計で最終的なゲームの勝敗を決めることになっているらしい。

 ってことが分かるくらいにアニメ版の前半は「遊戯王デュエルマスターズ」以上のティーチングアニメ。だからストーリーも何もなくって果たしてこれが面白いんだろーかって悩んだけれど後半部分になるとどこか別次元みたいなところで「爆丸」から生まれたモンスターと同じ形をしていて、けれどもこっちは実体を持ったモンスターがバトルしていてそれが何かの弾みに現世にいる主人公達とシンクロしてしまった模様。かくして“生きた”爆丸がちを手にした少年少女たちが何かをかけて戦うことになるってのがこれからの展開らしー。そこではティーティングとともにストーリーも繰り広げられていく模様。そーやって玩具を売りアニメのファンを作るってゆー玩具メーカー発のアニメらしー仕上がりになっている。ゲームを知らない人とか遊ばない人でもバトルシーンはなかなかの迫力なでまあ、しばらくは見ても良いかな、主人公の声が小林ゆうさんだし、仙台えりさんとかも出ているし。

 んで会見に出てきた小林ゆうさんは赤ロリの格好はしていなかったけれどボディコンっぽい服でなかなかにグラマラスな肢体を見せてくれて眼福。このスタイルで赤ロリの格好で踊るんだから「セイントオクトーバー」の実写版オープニング入りDVD第1巻がますます欲しくなって来た。でもってそんなスタイルの美女が“画伯”と呼ばれるほどに謎の絵を描いたり、役とは言え大根を囓りイモリを焼いて食うんだから恐ろしいというか人は見かけによらないっていうか。いやだから別に本人がイモリや大根を食うわけじゃないけれど、赤ロリの格好ん時だったら役作りだといって大根くらい食べてしまいそうな雰囲気も。誰かどこかのアニメ誌が挑戦しないかな。仙台エリさんはすでにベテランの域で安定感。広橋涼さんは苗木野そらみたくレオタードも来ていないし白鳥鈴音みたいに巨大でもなかった。つまらない。そんなこんなで始まる「爆丸バトルブローラーズ」は日本に続いてカナダにアジアに北米欧州でも放送とか。世界をパートナーに一気に世界展開を見せようってところは少子化で縮む国内市場に偏るよりも世界を最初っから視野にいれなきゃいけないアニメ状況の先取りか。その意味からも成否に興味。


【3月14日】 熱も引いた夜中にまたしても撮り溜めてあった中から前週放送分の「コードギアス 反逆のルルーシュ」を見返しながらスザクとユーフェミアの場をわきまえない頓狂な会話ぶりにほくそ笑む。猫に噛まれちゃう男が好きなのかユフィ。いや違う。それはそれとしてあーやってガウェインに登場してゼロがスザクを支援しに来るって果たしてシュナイゼルは予想していたんだろうか、だからこそ単独で突入させることも考えたんだろうか。

 奪われた以上はどこかで使われる可能性がある訳でおまけに奪っていったのがゼロとあってはああいった、日本を騙る何ものかによって己らの働きが無に帰す可能性を考えつつ、なおかつスザクってゆーゼロとゆーかルルーシュにとってかけがえのない存在の窮地を勘案すれば行かざるを得ない、ならばそこにガウェインはやって来るんだと踏んでいたんだとしたらシュナイゼル、あれでやっぱり策士だろーし策士である以上は考えていたって不思議じゃない。

 それより何よりあのシュナイゼルだ、ゼロがルルーシュだって感づいている可能性だってある。言動とかゼロに対するユーフェミアの態度とか、島で直接見えた瞬間の仕草その他からあいつはルルーシュだってもしもシュナイゼルが感づいていたとしたら果たして次に打つ手は何か、そしてそのことをルルーシュはどこまで認識して行動しているのか、っていった思考合戦への興味も膨らむけれどもそんな化かし合い騙し合いを描く程に残る話数がないのが残念。やっぱり日本独立までもっていくのかなあ。そして屹立するゼロことルルーシュに対して今度はスザクがレジスタンスを組織して挑む、とか。うーん先の見えないオリジナルって楽しいなあ。

 毎度の如くに「丸の内OAZO」にある丸善で「コミックガンボ」の最新号をラックから抜いて真っ先に「パート怪人悪キューレ」を読んでパート怪人奥さまのイケメンヒーローにときめく表情にときめく。いい顔だ美人だ巧い絵だ。そんなマフラー長髪眼鏡ヒーローのふりまく色香にとらわれ近寄り捕らえられた悪キューレ。絶体絶命の危機だったけどそこは油断したのかイケメンヒーロー、25歳になってレオタードはヤバいだの賞味期限は18歳だの「笑顔の隅でほうれい線が浮いてんぜ」(ほうれい線って何?)ってほざいて周囲から、ほうれい線(だから何?)の浮かんだオバさまたちから袋叩きにあってヒーロー認定も取り消しになるという落ち。デブいキモいと言われてもそれを快楽と受け止める方々と違ってオダててノせてこそのオバさまたちは努々粗略に扱うべからず。

 想像していた以上に想像どおりの筆致で呆れこそすれ怒りなんぞ欠片も浮かばないけれど、書かれた当人たちにとっては絶対に思うところもありそーで、それがメキシコでの応対とかにどう出てさらにそれで筆致がいっそう偏向的になって、チームにいらぬ波風を立てやしないかって心配になるよなあ。「エルゴラッソ」の207年3月14日発行「FIFA女子ワールドカップ北京大会」のアジア・北中米プレーオフ第1戦「日本女子代表vsメキシコ女子代表」の戦評は、安藤梢選手を澤穂希選手すら置いてもトップ下で出せって雰囲気を毎度たっぷりと込めつつ、サイドバックに起用し続ける大橋浩司監督への非難を書き連ねて来た流れを同じ筆者だけに当然そのまま受け継いで、安藤選手がベンチにすら入らず澤選手が中央に入って得点にアシストに大活躍した試合をもってしも不満不満のオンパレード。読んでいて口中に苦汁がしみ出てくる。

 さすがに澤選手を中傷する訳にもいかず宮間あや選手といっしょに6・5点をつけているけれど、安藤選手からポジションを“奪った”形で左サイドバックに入り前半こそ相手の攻めに苦労しつつも酒井與惠選手なんかと連携をとりつつ段々と突破も見せ始め、持ち前のドリブル突破からのクロスも見せた近賀ゆかり選手を、勝った試合であるにも関わらず5・0の低い採点。でもってコメントは「不慣れの位置のためサイド攻撃の停滞まねく」とまるで役立たずだったかのよーな書き様だけど、そこまで言うほど酷かったのかってのが試合を見ていた自分の感想。何より最後まで使われていたってところにプレーさせた側の一定の評価が見えるんだけど、そんなことにはお構いなしに最低点を付けて貶める。

 最初はサイドで苦労しつつも半ば過ぎからは中盤の底から声で支持をしつつ攻撃の芽を刈りとる仕事に奔走していた酒井與惠選手にも5・0のチーム内での最低点。「ワイドレシーバー役は監督の見立違い」って書くならそりゃあ監督の責任だし、だいたいがそれほど破綻した守備も見せちゃいない。むしろ最初に底に入った宮本ともみ選手の方が危機を招いたりしていて、途中から攻撃の形を変えるために代えられてしまったよーに試合にフィットしていなかったにも関わらず採点は5・5と酒井選手より上。「周囲が動かず、持ち前の展開力が活かす」って周囲に責任を押しつけ擁護するあたりが気持ち悪い。監督の見た手違いがあっても後半は修正して最後まで走り回った選手より、途中で引っ込んだ選手を上にしてはそりゃあ選手もやってられないだろうなあ。そんなに嫌いか、日テレ・ベレーザの選手たちが。そんなに悔しいか、おきにの不出場が。

 無得点に押さえたディフェンス陣では近賀選手と並んでやっぱりベレーザの岩清水梓選手に5・0を付け、サイドを幾度となく駆け上がり、得点機を作った宇津木留美選手ですら平均的な点数の5・5止まり。あまつさえ無失点に押さえ2点を奪い勝った試合の監督を5・0と採点するっていったいどんな了見だ。そりゃあ甘くおだてるんじゃなく厳しく叱咤したって悪いことじゃない。けどそれにも限度ってものがある。弱い弱いメキシコを相手に地元でたったの2点しか取れなかったことを非難しているんだろーか。でもイビチャ・オシム監督はそーゆー楽観を常に手厳しく諫めている。簡単な相手なんていないんだって言っている。ましてやアウェイで1点を奪えば勝利に近づくメキシコが、勝利を目指して序盤からチェックを怠らずに挑んだ試合をしのぎ無得点に抑えた訳で、評価するなりまあまあと認めても誹るなんてことは出来はしない。それは相手のメキシコに対しても失礼だ。

 正しいことをすれば正しい評価があたえられてこそのジャーナリズムって奴。それなのに、それが相手が日本の良さを消しに来た試合運びの中で選手達のタスク達成度を見極め、穴をさぐりそこを修正して完封そして完勝した采配を、Jリーグの試合にのぞみ3点を喫して破れたアマル・オシム監督あたりと同じ採点に貶めるこの状況。監督も選手も読者だって納得できない。現地まで行き取材もそれなりにして選手たちも親しげに会話し情報をこまめに載せてくれるのは有り難いけれど、出てくる話に当方以上のバイアスがかかっていてはもはや「エルゴラッソ」も女子サッカー記事、結果以上のことを知る上での価値は無いと判断するより他にない。せめて別にあと数人、女子サッカーについて書ける人が入ってくれたらなあ。西森彰さんとか後藤健生さんとか宇都宮徹壱さんとか。トルーカまで行ってリポートしてくれないかなあ。

 うーん悩ましい。既にしてどんなタイトル名であったかすら印象に残っていないコーエーの「Wii」対応RPGって奴の発表に行ったんだけどキャラクターが○でその数多に○が乗ってるデザインで可愛くなければ特徴的でもない。これが普通だったら有名デザイナーに依頼した美麗なキャラクターになる所なんだろーけれど、そーしたフックもなしに見かけのそれほど特徴的ではないキャラクターのRPGが果たして今のこの世知辛い世の中でどこまで売れるんだろーか。

 なるほどストーリーには起伏があるしゲーム性もドラクエシリーズを手がけた会社のものだけあって面白そう。ビジュアルにも凄いものがあるけれどそーした“遊んで”みないと分からない部分を宣伝することに今のゲーム会社ってとことん、馴れていないんだよなあ。だからキャラとかクリエーターの名前で押すんだけど。逆にいえば見かけに左右されることなく本当に面白いゲームって奴を作り手が作り、遊び手が遊ぶよーになるチャンスでもある訳でそーした遊び本来の状況を取り戻すために必要なPR戦略なりをコーエーが、どこまで打ち出して来れる勝ってあたりにその何とかってソフトの成否もかかっていそー。偉い人の人脈であの堀井雄二さんを会見に引っ張り出した所までは成功。あとはそこでのフックを放さず面白さを知って貰える努力をしていくか、かな。しかし何て名前だったんだろう。


【3月13日】 熱にこそうなされることはなくなったものの体内にはきっとわんさかとインフルエンザウイルスがあふれている状況で、名実ともに空気の悪い雰囲気の澱んだ場所へと出かけても体調をさらに崩すだけだと考え待避しつつ、録画してある「コードギアス 反逆のルルーシュ」を何話か戻りつつ行きつつDVDの第2巻も交えてザッピング鑑賞。見るとついつい戻って見たくなるのがこのアニメーション。詰まった情報と展開の速さが毎回それぞれに違った発見を与えてくれたり、見返す必要性を感じさせてくれるんだろー。それだけに録画し忘れて最近から見始めた人のためにも再放送をやって頂きたいもの。それでもやっぱりDVDを買ってしまうくらいの作品だってば絶対に。

 でもって静止を混ぜつつ見て気づいたあれやこれや。藤堂は救出された際の闘いでスザクが操縦するランスロット相手に言葉どおりちゃんと3段突きを入れていた。あんまり素早くってスローにしてよーやくちゃんと突いてそれでもってスザクが2度まで避けていたことを理解。3度目は刺さったけれども致命的な場所は避けているのがやっぱりスザク。でも道場では藤堂に負けてばかりだったんだよなあ。戦争が始まった後、どこで鍛えたんだろう。

 というかスザクの7年間ってまるで分からない。再登場がいきなり名誉ブリタニアの軍人としてだし。漫画ではその辺描かれているんだろうか。ってことも思い浮かんでそんな関連の話がなかったかを見返したくなるところがなるほど「コードギアス」って奴か。あとは見ていて苛立つ描写もあってあんまり録画を見ていなかったマオ編でのヴィレッタ覚醒の名場面を改めて。こりゃすごい作画だ。重量と慣性が見事に表現されている。もしもこれが夕方だったら果たしてと考えると「コードギアス」は断じて夜中に放映すべきであるとここにシュプレヒコール。アジテーション。大字報。

 そんな言葉で思い出したけれども「コードギアス」でディートハルトが「黒の騎士団」再編の際にゼロと会話する言葉の中に出てくる「細胞」だとか、あるいは「まなびストレート」でしもじー先生が学生寮を掃除しながら昔自分も学生運動をやっていたとかいった、どうにも今時の50歳前後から上の世代にしかフィットしない言葉が割と最近、ティーンとかが見るアニメに登場して来るよーになったのはいったい何が起こっているからなんだろー。僕とそんなに違っていない監督だとか脚本家といった作り手が、そーゆー学生運動を経験した世代ではない以上、何かそこにノスタルジーを含んで使っているとは思えない。

 それとも乗り遅れた世代としてなにがしかの憧れを集団的な意志が革命的な方向へと向かい爆発していくパワーに憧れを覚え、それらを象徴するタームを用いているだけなのか。でもなあ、変えられなかった虚しさが内側に向かって暴発した挙げ句の悲劇って奴も一方にあったことをちゃんと考えて欲しいよなあ。プロデューサーの世代にはさらに当事者だったりやや乗り遅れの空虚さにいつか自分もと考えていた輩も多そうなんで、そーした意識が働いている可能性はありそー。でも老人のかなえられなかった夢を下の世代に美しい物語とともに押しつけないで欲しいよなあ。ドロップアウトで食えたのは80年代まで。今は造反有理だ何だと突き進んだって末路は果てしなく悲惨なんだから。仮面を被って高度経済成長に乗り出世するなんてあり得ない。ドロップアウトすればそれが即、下流へとまっしぐらなのが現代なんだから。

 なんつーことをタミフル飲んだ頭でもやもやと考えているうちに夜。能力は滅茶苦茶あって顔立ちもそれなりに良い神父がいて守護天使までついているくらいだからその能力は神にも認められたいるらしーんだけど何故か性格は粗暴でぞんざい。外面の良さの影では天使を奴隷扱いして虐げ酒もかっくらう破壊な日々を楽しんでいる。そんな神父につけ込む悪魔の囁きあり。大悪魔として天界にも恐れられるアンシャールが美形の男顔で神父の魂を頂戴しようとするもののそんな悪魔にすら邪険な態度を見せる神父の方がさらに大物。それならとアンシャールがメイドの格好をした女の子の姿になって近づけば、スカートをまくりあげて下着を見ようとするくらいでこれは難敵とアンシャール、教会に住み込み甲斐甲斐しく世話を焼きつつ神父を籠絡しよーとする、ってのが志麻友紀さん「神父と悪魔」(ビーズログ文庫)の第1巻の展開だった。

 んで第2巻「神父と悪魔 銀の森の人狼」(ビーズログ文庫)は遠くの村に狼憑きが現れたとゆー話を聞いて悪魔払いの長けた神父が赴くってゆーストーリー。当然ながらメイド姿になったアンシャールもついていき、そのうしろを荷物持ちにされた天使がトランクをひっさげよっこらよっこら飛んでいく珍道中のその先で、待っていたのは人間の少女と魔物との恋物語とそれに端を発した畏るべき敵の登場だけど、そこは悪徳神父だけあって村人をうまくいいくるめつつ敵もしっかり相手にするとゆー大活躍。それが神の教えにそむきそうなことであっても誰かが特別に不幸になることを避け、悪魔とキスをしたって解決しようとする神父のこれは優しさって奴なのか、それとも面倒が嫌いなだけなのかはともかく、すっきりと胸のすく展開が1巻同様に面白い。

 今回はメイド姿がデフォルトのアンアン。エロく誘惑するシーンこそないけどでもやっぱり可愛いねえ。これに誘惑されない神父も神父だ。勿体ない。しかしやっぱり謎めいたアンシャールの正体とかいずれ明らかにされるんだろー今後の展開がますます楽しみ。ビーズログ文庫ではベテラン流星香さんの「封縛師」シリーズも第2巻「封縛師 あなたの記憶、封じます」が登場。希代の能力を持ちながらも出生にまつわる事件がもとで1人、庵に独立して暮らす陰陽師の武庫川右京。その過去の経緯がまずはつづられ相当にやっかいな境遇に生まれた彼が、今はどうしてしゃしゃりでれば事態をややこしくするお茶目な性格になっているのか分からないけど今回も、呼ばれた陰陽師の本部であれこれやらかしてくれて大笑い。

 年寄りの年齢を半分に見せるお札を作ったはずなのに年寄りが2人に分裂して見えたり20代半ばに見せるはずが2歳半に見えてしまったり。わざとやっているとしか思えないけどそんな中からわき上がった事件には、持てる能力を存分に発揮し居候しているミュージシャン志望で渡辺綱の血を引く少年の力も引き出しながら挑みこれを沈めてみせる鮮やかさは、無能に見えて実は有能ってヒーロー像に憧れる世間のニーズを女性もうらやむ顔立ちともども満たしてくれます。その顔立ちにも当然ながらひとつの事件があったんだけど。そして続くだろう展開のなかで、持って生まれた血が呼ぶ敵を相手にどんな戦いを繰り広げるのか。そもそも敵は何を狙っているのか。今はまだ力の弱い桃枝綱紀が鬼退治の力をどこまで伸ばすのか等々、楽しみも増えて続刊が待ち遠しい。兄想いの幸徳井紅緒さんの見かけによらない悪辣さも愉快。まるで面堂了子みたい。


【3月12日】 熱はとりあえず下がったもののそれでも37度5分ほどあってこれは全快にはほど遠いと判断、胸部の痛みや関節の痛みなんかから類推してあるいはと思い近所にある「月面兎兵器ミーナ」も御用達、ニンジンマークの「船橋総合病院」へと出向き検査を受けて待つこと数十分、医師より紛う事なきインフルエンザだと告げられこれは無理だと会社行きを諦める。おかげで横浜にオープンしたナムコの団塊世代向けカルチャー施設みたいな新しい施設の見物にも行けなかったよ。まあ良いいずれ運営が軌道に乗り始めたところで改めて取材に行こう。

 とりあえず頂戴したタミフルを囓ってしばらく睡眠。いろいろと評判のある薬だけど2年前にも飲んで別に何ともなかったんで今回もとりあえず何ともない。あるいはいい歳をして時東ぁみのコンサートに行けないことを心より嘆いて汗と涙に溺れたり、深夜アニメを見ながら「まっすぐゴー」と一緒に拳を突き上げたり「ラルファクイルファッシーナ」と叫んだり、「コードギアス」を見てC.C.のお尻の形を論議してみたりすることが一種の異常行動ととられる可能性もありそーだけど。そんなに異常か?

 あとこれは熱のせいなのか見てしまった妙な夢。昔住んでいた家の自分の部屋の片隅がパーティションで仕切られそこが六本木にある映画配給会社のオフィスになっていて中で青山にあったダンス系レコード会社を追い出され移ってきた偉い人とかが会議しているのを壁越しに聞いている。やがて会議が終わると秘書だか広報の女性が自分の使っている押入を接収するからと言いだしてそれはおかしいんじゃないかと議論し、ついでに最近のその映画配給会社の当たりそうもない映画を引っ張ってきまくる経営のまずさを指摘してみたりするんだけどどうしてこんな夢を見たのかちょっと不明。でも現状としては指摘もあながち外れじゃないかも。起死回生の1本にしよーとしていた作品が「アカデミー賞」の主要賞に掠りもしなかったし。どうするんだろうなあ。

 それでも読まなくちゃいけない本があるからと前に「白の咆哮」って話を読んだことのある「すばる文学賞」出身の朝倉祐弥さん「救済の彼岸」(集英社)を読んでみたけどうーん。会社も辞めて引きこもり気味だった30代の男のアパートにある日女性がたずねて来てあなたは仇討ちの対象となりました文句があるなら明日4時までに出頭して反論してくださいと告げる。なんだそりゃ、って思うもののうざったいのか現実感がなかったのか、反論もせずにいたら仇討ち確定とされてしまってそこからいったいどうして自分が仇討ちの対象になったのかを聞き、自分というものを見つめ直していく。

 仇討ちが公認された社会が舞台になった筒井康隆さんの「ワイド仇討」って話から不条理さもスペクタクルさもスポイルした上に、ぐだらぐだらとごたくを並べて話を膨らませた上に「休まない女」だとか「創業者」とかいった、「白の咆哮」で出てきたような「土踊り」にも似た意味深で思わせぶりなタームを乗せて雰囲気を文学っぽくしてみせただけの、中身も乏しければメッセージにも希薄な話に最初思えたのは飲んだタミフルのせいなのか、それともやっぱりそーゆー話でしかないからなのか。

 まあ問い直せば「仇討ち」ってゆー一種異常な状況をそこに与えつつも失われてしまった、そして振り返ろうとしなかった過去に主人公を直面させて、考えさせる姿を通して今存在している意味、そしてこれからを生きる目的を見出させようとしている話って言えないことない。仇討ちを臨んでいる女性とやらが結局は誰で、そして仇討ちを告げに来た女性が主人公の男性に生きる意味を見出させようと迫るのはどうしてなのかといった部分についてもあれこれ考えさせられるって点で、これはこれでなかなかに興味深い物語なのかも。据え膳食わぬはって言われても、できない時にはできないものなのですね。

 「びんちょうタン」の第2巻が出ていたんで買って帰って読んで泣く。ずっと1人暮らしだったびんちょうタンだけど2巻では表紙にいっしょにおばあちゃんが描かれていて中にまだ、小さかったびんちょうタンがおばあちゃんと一緒に野菜を売りに行ったりする話が入ってる。帰りに買ったアイスが当たっててそれをいつ代えに行こうかと楽しみにしていたけれど終ぞ適わずそして年月が過ぎ今は荒れてしまった畑を掘り返したらそこから出てきた当たりの棒。おばあちゃんが種を植えていたのを見て埋めたんだと思い出して今も大丈夫だろうとかと代えに行くって話はその間に、いたはずのおばあちゃんがいなくなり、作物が実っていた畑が荒れ果てるだけの年月がありそして別離という経験があったんだと思わせて涙ぐませる。

 それからおばあちゃんといっしょに野菜を売りにいった時、出歩いていたびんちょうタンが街の子供達にまじっていたらそこで着物が破れてしまって泣き出してしまったというエピソード。これもまだ幼かったれんタンが裁縫箱を持って来てくれてそれでおばあちゃんが繕い着物を直してそれから、反物屋さんに代ってかんざしを出して布と取り替えるんだけどその時につくった着物が今もびんちょうタンが来ているピンクの帯の白い服。くぬぎタンの車がはねた水で汚れちゃっても恥じず取り替えようとはしないのもそんな思いがあったからだと分かると無駄に季節ごとに服など買っては捨てる生活の疚しさに心痛められる。寝る前に畳んだ着物を抱きしめるびんちょうタンの背中にそっと立つ亡きおばあちゃんの影。嗚呼落涙。人の想いが希薄になりがちな社会で想いが残り伝わる大切さって奴をこんなに切々と伝える漫画もそんなにない。人に親切にするどころか人との関わりを拒絶する方向へと流れる社会の行く末が懸念される今、学校は漫画と課題図書にしてアニメをホームルームで見せるべきだよまったくもう。


【3月11日】 寒い場所で寒い試合を見た影響からか風邪が身体を蝕んでいて昨夜は早々にダウン。真夜中のうちに汗をどばっと出して熱も平熱に下がってくれていることを期待したんだけれども残念ながら下がらずむしろ上昇しているよーで万事休す。楽しみに楽しみに楽しみにしていた時東ぁみにぃの渋谷でのライブもこれはまずもって不可能ながらも夜に向けて一気に解熱できる可能性にかけて生姜を刻み黒砂糖をいれて水を入れてぐつぐつ煮立てた汁を飲んで寝たものの、閉じきった汗腺が開くに至らず熱は一向に下がる様子がない。幸いにして熱に耐性があるのか意識がもうろうとすることはなく、テレビで録画してあったアニメを見たりして過ごしつつ早く出ろ汗出ろと頑張ってみたものの状況は午後に入っても改善せず、これはやはり無理だここで頑張ったら今度は一生ぁみにぃに会えなくなると泣く泣くマジで泣きながらライブ行きを断念する。これで夏に続いて2回目だよ。チケットまで買っていけなかったのは。

 仕方なく新聞なんかを読みつつネットを巡回しつつ時間を潰す。仕事? している気力がこいつは流石にない。サッカーのJリーグは横浜市に本拠を置く横浜FCと横浜F・マリノスがJ1で初めての対戦で「横浜ダービー」と騒ぐメディアもあれば歴史もまだないチームが相手じゃダービーなんかじゃないと断じるマリノスファンもいたりして傍目にはなかなかに賑やか。そうやって歴史は作られるのであった。気になったのはマリノスじゃあスタンドでトリコロールの傘をくるくると回して応援する人たちがいるとか。雨の日だって傘は邪魔だから畳んでくれって放送が入るのにマリノスじゃあ晴天でも傘が認められているのか。ゴールの時とか入場の時とか試合の観戦に邪魔にならない時間にしか回さないのかな。でも最近は試合前の選手挨拶ん時に立って敬意を示そうとすると後ろから邪魔だって声がかかるくらいだからなあ。常識ってどの辺にあるんだろう?

 女子サッカーのメキシコ戦は「スポーツニッポン」もそれなりの扱い。澤穂希選手にほぼ偏っているけれど1得点1アシストだからそれもしょうがない。あとは宮間あや選手か、こっちも1得点したし。けどでも個人的にはやっぱり左で近賀縁選手を操り中央で相手の攻めを跳ね返し続けた酒井與惠選手にもっと、メディアはスポットを当てて欲しいもの。澤穂希選手と歳いっしょで2000年代以降はほとんどずっと代表に定着して来た偉大なボランチ。フル代表でもしそんなベテランがいたら、というかまだ今年29歳になるというから若くして代表入りして活躍し続けている選手が振る代表に残っていたら今時メディアもスポンサーも引く手あまたに違いない。それが女子ではまるでない。澤穂希選手ですら何かのCMに起用されることはない。荒川恵理子選手が西友の正月のチラシに出るのが関の山。活躍度合いじゃバレーボールのはるかに上を行っていても、そして注目される種目であるにも関わらずこの扱いってのはやっぱりどこかに何か問題があるんだろうなあ。

 しかし知らなかったよ近賀ゆかり選手が「プレーオフ直前のキプロス遠征で、同じく攻撃力を買ってこれまで起用していた安藤のお株を奪う、出色のパフォーマンスを披露。“攻撃的右サイドバック”の一番手に踊り出」ていたなんて。読んでいたのは「エル・ゴラッソ」だけなんで左サイドバックはライター的には不満ながらもそれでもスピードと精度は捨て置けないもの、ならばそこでも仕方がないし他に代えがたい選手だってことで安藤梢選手をずっとイチオシしていたから、大一番でだって当然に安藤選手が出てくると思っていたのにベンチ入りすらしない監督采配。これはきっとライター氏も驚いたに違いない。

 あるいはアウェーのメキシコ戦に知らない選手として投入する予定で使わなかった可能性もないではないけれど、万全な体調で挑める日本で大量得点をしたいって時にその時、1番コンディションの良い選手を使うってのがやっぱり常道。直前のキプロス遠征で台頭していたことが記者の目にも分かっていたみたいだし、近賀選手がそこに入る可能性を想定していたっておかしくない。けど「エルゴラ」は安藤一本やりだった。まあ僕だって中盤の底にお気に入りの酒井與惠選手が入らない布陣を考えたくないから似たようなもの。今後はいろいろなメディアから情報を集めつつ果たしてメキシコではどんな布陣で臨むことになるのかを想像してみよー。トップは若さで永里優希選手に体調とかあんまり気にし成さそうな荒川選手か。へらへらと走りそう。

 ミーナ、カミングアウト大会だった「月面兎兵器ミーナ」は月城ミーナも大月ミーナも子役もパパラッチも妹も円盤にとっつかまって卓球大会。迫る放送に間に合うためには卓球に勝って脱出しなくちゃいけないんだけれども相手もこれがしたたかで、精神攻撃をしかけてパパラッチも子役も妹も粉砕し、そして月城ミーナも立ち上がれないまでにtt秋の召してさあ大変。そこで立ちはだかったのがナイスバディもはみ出る衣装が特徴的な大月ミーナ。自分だってアナウンサーだったとカミングアウトしそれがやっぱり翠怜さんだったと知られてしまっても月城ミーナをかかえて地表へと突入し、顔中に絆創膏をはりながらも素知らぬ顔で「スポルナ」のキャスター席へと着いてしまう。仕事にかける情熱って素晴らしい。しかしあの見るからに楚々とした翠怜さんがどーやって乱暴者でガサツな大月ミーナへと変身するのか見たいなあ。というかどっちが本当の性格なんだろう? 共演しているキャスターが佃美奈を連れて取材に行った先に乗り込んでいったくらいだからやっぱり性格は大月ミーナなんだろうなあ。次回には是非に変身シーンを。そして新たな敵登場。どーなる展開。


日刊リウイチへ戻る
リウイチのホームページへ戻る