縮刷版2007年12月中旬号


【12月20日】 だったら織田信長はピエール瀧さんを起用すべきだと思った人の数。09年から始まるNHK大河ドラマの直江兼継役で妻夫木聡さんが抜擢されたってニュースに直江兼継が悩み事を抱えて座っていると畳の下からジャッジャーンと信長が飛んで出てきてあんた本能寺で死んだはずじゃんと突っ込むとあんなの平気、だってガスで冷房してたから涼しかったよーとか言って最近家康って偉そうだよね説教してやるから一緒に行こうよみんな連れて行くからと呼ぶと、柱の影とか掛け軸の裏とか壺の中から酒井若菜さんの小野妹子とか誰がやってたか知らない利休とか、ガリレオとかマルコ・ポーロとかもぞろぞろ着いてきては江戸城はデカいけど冷暖房はからっきしだとガスパッチョの導入を進言。こは良いものだと喜ぶ家康が兼継を大名に取り立て大団円、なんて東京ガスのCMを1年かけてやる度胸がNHKにあったら視聴率もきっと20%は超えるだろー。期待して待とう。無理だよなあ。

 分かっていたんだオシムのすごさを。その意味を。だから「ナンバー」2008年1月10日号に寄せている文章で誰もがその功績を認め突然の退任を嘆いている、悲しんでいる。お杉な杉山茂樹さんですら「口で相手に伝える言語能力にも優れていた。従来の監督と、最も差を感じるのはその点だ。オシムの発言にはカリスマ性も含蓄もあった。キチンとした大人でもあった。日本のサッカー界にあって発言に一番重みを感じさせる人物であった」と対話を辞さず確固たる信念を懇切丁寧に語り導き諭そうとしたオシムを讃えている。続く岡田新監督のことを「岡田サン」と呼んで未だ後任として認めたくない感じすらあってそこに「まだまだ行ける。もっとやれる。そうした期待感が抱け」たオシムの退場に気持ちを遺している。

 対話をいどめば返ってくる。勉強をして勉強をして考えて考え抜いて言葉を発すればそれに倍する言葉を返して導いてくれる。あのベテランの後藤健生さんですらオシムから言葉を引きだし真意を語らせるためにいろいろを思案したってんだから相当なもの。そこで怒り激昂した挙げ句に罵倒に回るオレンジ色のタブロイドとかブルーな日刊のスポーツ新聞の編集員やら評論家とはさすがに後藤さん、器が違う。そんな器をさらに飲み込む大きさを持ったオシムのすごさも際だつんだけど。岡田さんともオシムとも対戦経験のある清水秀彦さんはオシムの采配の妙味をちゃんとつかんで誉めている。前半途中でも選手を替える非情さを知っているからアジアカップであまり動かなかったオシムにはきっと意図があったんだろうと推察している。後藤さんもあれはベトナム合宿であってそこでの評価を元にチームづくりをしていこうとしてたんだって理解を示しているけど何が何でも勝つべきだ、って考えていてコンフェデ出場を逃したことをしつこく言い募るご老体にはそういう思考の柔軟さはもはやないらしい。あってもアングル上で割り当てられたポジションとして言えないのかもしれないけれど。

 対して岡田さんのことを清水さんは「ロジックを積み上げた守備的サッカーを好む」と分析している。アジア向きとも言っているからワールドカップのアジア予選は突破するんだろうけれど、その先、ワールドカップでどれだけ勝てるのかというとまるで未知数、3位だなんてことも伝わって来ているけれどゴチゴチの守備からカウンターで1点、なんてことの繰り返しをやって3位じゃあしょうがないよなあ。まあそのあたり、横浜F・マリノスの監督を退任しジーコジャパンの末路とオシム日本の状況から学び海外のサッカーに学んだだろう岡田さんが、きっと何かやってくれるだろうって期待を清水さんは持っているし、寄稿している他の評論家の人も信じている。今はだから信じるしかないんだろう。信じたい。けどでも信頼が裏切られた時に英断を下すべきバックがまるで信じられないことが今の状況における最大の問題だったりするんだよなあ。

 いみじくも金田喜稔さんが指摘しているけれど、内には秘めつつも闘志満面で復帰して来た感じのあまりしない岡田さんを“一本釣り”して、日本人でもこの10年の間にいろいろ実績を残してきただろう監督、あるいは日本になじみを持って今はフリーの外国人監督をまるで俎上に挙げることなく決定してしまったその選考経過がどうにも不透明で、まずは岡田さんありきからスタートした、その背後にはいろいろな思惑があった、なんて懐疑がどこまでもつきまとう。そうじゃない人材としてはベストだし時間もなかったって言もあるだろうけれど、回復してパズルを説きサッカーについて語る情熱を失っていない病室のオシムの状況が伝わって来るに連れ、拙速だった感じが募って鬼の居ぬ間の何とやら、って雰囲気が浮かんでくる。

 そこに登場の木村元彦さんは例の「早稲田×古河+電通=2敗1分」って横断幕を持ち出してビジネスと、派閥の匂いが今ふたたび台頭して来る懸念を指摘している。現場としてスポンサーには経緯を払いつつ最大の目的に向かい精一杯の努力をし、その清廉さにスポンサーだって納得していただろう状況に介在して、現場を束ねる権力とスポンサーを相手にする機能の双方を束ねることで存在感を増し、影響力を高めようとする権能が、保身へと走った時に起こるだろう異常な事態とそれに伴う停滞が今は恐ろしい。留任が決まり大株主の一方も認めていた続投が学閥に属すると見なされている人物の独断によってひっくり返されたらしい状況がなおいっそうの不安を募らせ、選手たちにも心理的な迷いをもたらす。これで良いことがあるのか? あるんだろうなあ一部には。毎日だって伝えられて不思議はないオシム監督の病状が、小出しにしかされないのはそれがオシム監督にとって危ういからではなく、オシム監督を埒外に起きたい勢力にとって危ういからなのか? なんて勘ぐりすら生まれてしまう昨今だけれどまあいずれ真実は明らかになるもの。その時こそは戻りかけている時計の針を再び、そして一気に前へと進めるため動きが始まると期待しよう。

 しかしランドセルかよ。どうしろと。どうもしないでおとなしくDVDを収納していくべきか。いやいやせっかく背負えるんだから背負って会社にいくべきか。などと思案しつつながめる「こどものじかん」DVDの第1巻は紙製じゃなくってランドセルの形をした、というよりまんまミニチュアのランドセルがボックスだってふれこみで着いてきて吃驚。それも限定2000とかじゃあなくって2万戸だっていうからバンダイビジュアル頑張った。頑張り過ぎ? 今時2万本もDVDが売れたらすごいもんなあ。あとは「コードギアス 反逆のルルーシュ」のバラエティなDVDとか「電脳コイル」とかを購入。「CLANNAD」や「もやしもん」と迷って「レンタルマギカ」のDVD第1巻を買ってしまう僕は果たして負け好きか。


【12月19日】 遅ればせながら「バンブーブレード」を見たら南春香姉さんが登場していた、って声はいっしょだけれど雰囲気はずいぶん違うよなあ東聡莉の佐藤利奈さん。ついでに「ナイトウィザード」にも赤羽くれはとして出演していて最新の話数で大変なことになってしまっていてクライマックスに向けて立ちまくる鬱フラグが果たして幸福へと転じるのかがやや心配。それにしても日曜は番長として拳を叩き込み月曜はドジっ娘ながらも眼鏡を外して剣を取るとすごいんです美少女を演じ、火曜は元気な巫女っ子と深夜に連続で右に左に大活躍。

 出番さえあれば日曜午前にも「ハヤテのごとく」にご出演な訳で、「怪物王女」の姫無き後はぎょっぴーな雰囲気の続く川澄綾子さんよりも今は触れ幅の大きさで1番かもしれないなあ。おっとそうか神代真名も佐藤さんだったのか「機神大戦ギガンティックフォーミュラ」。DVDの販売がなかなかになかなかだったりするんだけれどこれでちゃんと完結もして物語的には「アイドルマスター XENOGLOSSIA」より上だと思ったほど。東聡莉に南春香の演技に免じて揃えてあげるか「ギガフォ」のDVD。焼け石に水だろうけれど。

 んで「げんしけん2」は……蜜柑かよ次回。つか未完。おそらくは面接で笹原が編集プロダクションに合格するところまではやるんだろうけど藪崎がにゃー子と加藤先輩に連れられ荻上の所にやって来たり逃げたりするシーンがあるかはちょっと不明。ましてや荻上の家で笹原が原稿を見てあげてケンカになってそれでも仲直りして良い関係へとハッテンしていくかなんてまるで分からず当然ながら卒業のシーンに至るかも不明。季節も冬だし大晦日の成田山あたりで締めくくるのがタイミング的にも良いのかなあ、でもって続きは「ラーメン天使プリティメンマ」のボックスにOVAとして収録、と。そもそもが荻上登場だってテレビの人は見られてないんだからすごいアニメではあるよなあ、「くじびきアンバランス」のボックスをアマゾンで全部半額で揃えた僕は勝ち組、か?

 いやあ入ったよ「キサラギ」が「第31回日本アカデミー賞」の優秀賞に選ばれていてこれで2008年2月の授賞式で最優秀の座を狙う権利も獲得したよ。聞けば涙の紆余曲折でシナリオを持って歩いてもどこも企画を実現させてくれない中でたどり着いたミコット・エンド・バサラが乗ってくれてようやく映画化。そのシナリオの良さに賛同してユースケ・サンタマリアさんや小栗旬さんや香川照之さんといった面子が揃って出来上がった映画は2007年に公開された数ある映画の中でも抜群の面白さを持っていたけどそれとは正反対にメディアじゃあそんなに取り上げられず、人気者になった小栗さんも「クローズドゲーム」とか「名探偵コナン」なんかでの登場が多くって、その演技力を遺憾なく発揮してくれた「キサラギ」は何故かパージされていた。

 興行面では言わずとしれた「なまか」やら「ヘイロー」といった超有名アイドルを引っ張りテレビドラマとしての前宣伝も抜群の中でテレビ局が挙げて大声援を送った2本がトップクラスに位置していた訳だけれども商品としてのすごさと作品としてのすごさはまた別なもの、というか本来は一致していて欲しい気もするけれど世の右に倣えな風潮では商品としてかけられた露出の多さが作品の価値とはまた別なところで商業としての成果を獲得してしまったりする関係で、作品としての評価を計る賞ではノミネートから外された。いやいや意外にそうした作品が残っているような感じもあるけれどもそこはそれ、「ラフくん」がバックか「なんだろう」がバックかの差だって話もあるだけにいろいろと難しい。

 ともあれ年間ベストの5作品に制作元はマイナーでテレビ局も民放キー局では最弱な上に後付で、プロデューサーは新鋭で脚本の人はは有名だけれど監督はまだこれからな人たちの作品が、かつて常連だった周防正行さんの久々にして社会性の高い作品とか、超ベストセラー小説の映画化作品に混じって並ぶってのは正直快挙。それもこれも良い物を作ればちゃんと見てくれている人がいるんだってゆー現れなんだろー。映画界もまだまだ捨てたもんじゃない? 「キサラギ」はほかにも優秀作品賞と優秀監督賞も取ってて監督はきっと周防さんだろうけど脚本では「ALWAYS 続・3丁目の夕日」じゃあ当たり前過ぎるんでってことで同じ古沢良太さんが「キサラギ」で受賞する、なんて可能性もありそう。助演男優賞は香川照之さんがいよいよもって受賞、と。とりあえずおめでとう。そしてさらなる祝福がもたらされることを願い2月を待とう。

帰ったら宝島社から、っていうか「このライトノベルがすごい!」の編集による「ゼロの使い魔」のムックが届いてその内容の充実ぶりにまず感心、あと「ゼロの使い魔」っていえばメディアファクトリーって出版社が出しているライトノベル作品で、それを他の出版社からよく出せたなあって部分でも感心したけれど、ひとつには競合相手じゃないってこととあと、提案された企画がしっかりしていたからメディアファクトリーもきっとオッケーを出したんだろう。それが証拠に小説の紹介に限らずアニメの1と2の両方の内容の紹介もあり、フィギュアやCDやコミックといったグッズの紹介もあってと網羅的。年表もあるし辞典もあってひもとけばいぱしの「ゼロの使い魔」のオーソリティーになれそー。あとヤマグチノボルさんのインタビューもあるし。

 これだけのクオリティで「コードギアス 反逆のルルーシュ」のムックもどこかが作って欲しいところではあるんだけれども、本家から出るのってどうにも今ひとつノリが若いというか苦いというか古典的なんだよなあ。まあ2期が終わってからたくさん研究本とか出てくれるだろうとそっちは期待。ちなみに「ゼロの使い魔 パーフェクトブック」は1500円と値段も良心的。悩ましいのは小説の方がまだこれからも続くってことなんだろうけれど、巻数も増えてきたここらでとりあえずおさらいしておきたかった身にはちょうど良いタイミングだったかも。読んでこっちもしっかり復習だ。


【12月18日】 ネガティブにハッピーが今のトレンド。卑下して落ち込んで逃げ出したくって引きこもって、そんな後ろ向きの日々を後ろ向きのどこが悪いと認めて逆手に取って盛り上げていくことで気持ちも楽になって来る。ぎすぎすして上は中へ中は下へと責任をおしつけていくだけの生産性もなにもないがんじがらめな世界に生きていて、押しつぶされそうになっている人のわんさかと出まくっている状況なだけに、死なず生き延びていくにはそんなマインドが必要なんだろう。だから滝本竜彦さんの「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」がようやく映画化されて劇場公開されるし、セルフネガティブな自虐系のキャラクターなんてものも生まれて来る。

 ってんで目黒へと出向いて自虐的キャラクターを自認する「夕張夫妻」ってのを取材、見た目はただの夕張メロンをモチーフにしたキャラクターなんだけれどもよくよくうかがうと手足の服につぎあてがあって貧乏そう。そこが重要で実はこのキャラ、巨額の負債をかかえてにっちもさっちもいかなくなってた北海道の夕張市を盛り上げようってことで生み出されたもので、きれい事で上辺を取り繕うよりは日本中が事情を知っている夕張市の大変さを逆手に取ろうと「負債」を「夫妻」に言い換え夫婦のキャラクターを創出。でもって人口も少なく高齢化が進んでいることもあって日本でも離婚率の少ない市だったらしー夕張市の特徴を乗せて貧乏だけれど愛はある夫婦が集まる夕張市、ってなストーリーラインを作ってPRに乗り出した。

 またぞろ大手広告代理店の自治体からなけなしのお金を絞るような所業が始まった、ってのはこの場合は大違い。なぜならプロジェクトはほとんど広告会社の持ち込みで、んでもって費用は広告会社の持ち出しというからちょっと普通では理解できない。慈善事業? まあ見た目にはそれに近いけれども担当しているビーコンコミュニケーションズが狙っているのは正真正銘にアイディアでもって勝負できる場というものを作るってこと。企業からお金をもらって作る広告は絶対的に企業のものでそこにいくらトガったアイディアを入れようとしても向こうが首を振らなければ進まない。それが仕事だと言えわれればそれまでなんだけれども生まれたアイディアの何割もが削られていく過程でクリエイティブなマインドがスポイルされていくし、アイディアを生み出す能力も萎縮していく。

 でもそれで果たして未来があるのか、ってなった時にちょっとばかり良かった収益の一部を使って今の広告会社が将来において必要になるだろうことを考えろっておふれが出て、それを受けた一部の人間がだったら夕張を盛り上げようぜってことになって話を持ち込んだらこれが意外にも大受けで、現地のNPOに止まらず市長さんにまで話が通って一気呵成の夕張市公認プロジェクトになってしまった。夕張市としては別にふところが痛まないから何をやってもらっても構わないんだろうけれど、「夫妻」と言い換えてあってネタは見え見えな「負債」がアピールされてしまうことには躊躇があって当然。でもそこで引かず自虐しつつも良いところを見つけて行こうってゆー広告会社サイドのプレゼンを受けてなるほどそうかもと受け入れて、今日こうしてそれなりな規模を持ったプロジェクトへと発展した。

 これが大手のファストフードだの消費者金融だので自虐系なのて絶対に無理な訳で作った側としてもアイディアを試せる場として大きな意味を持っていたみたい。また広告の場合だと分業制が確立していてこちらはCMをプランニングするのがお仕事で紙とかネットとかってあたりは別の会社の別の部署が担当したりといった具合にトータルでプランニングに携わるってことはない。けどこの場合だとせいぜいが数人が分担を持ちつつフィルムを作りグッズを作りウェブサイトを作り音楽を作りといった具合にプロジェクト全体をデザインして作り上げていくことができる。15秒なら15秒、30秒ならそれだけの枠におさまってそれなりな効果があれば万事オッケーといった反意に止まっていてはいつかはマンネリ化も起こるもの。そうではない仕事にも携わらなくてはならない状況がクリエーターを鍛え次への進化を促すことになる。なるほどそーゆーもくろみもあっての持ち出しプロジェクトか。やるなあ。

 楽しげな雰囲気は伝播するみたいで「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」を手がけた監督の人が所属しているCF制作会社が夕張市にロケした映像を作りそれにかぶせて元オペラ歌手ってゆー肩書きをともに持っている夫婦のお笑い芸人「島田夫妻」がノリノリで「夕張夫妻」として歌を吹き込みCDまでリリースしてしまった。北海道での出来事は今でも決して売れてはいない芸人にどれだけのメリットをもたらすかっているとなかなかに曖昧だけれど、それでもこれはチャンスと見て飛びついていくのが芸能人。最初は誰もしらなかった「ひこにゃん」がいつか全国区となったみたく、今はまだローカルでもいずれ全国がプロジェクトに注目していく中でスポットが当たることだってあるかもしれないだけに意気込んでの参画となったんだろー。果たして成否やいかに。成功して負債が減ってキャラクターの衣装のつぎが外れてやや立派な衣装へと替わる日を夢見つつ遠い夕張のがんばりをながめていこう。

 そんなちょっと良い話を聞いたあとでとっても艶っぽい話を聞きに九段下にある全日本プロレスの事務所へとゴー。男ばかりのプロレスのどこが艶っぽいんだと言えばタレントでアダルト系コンテンツに以前は出ていて最近はプロレスに関するコラムなんかも書いている夏目ナナさんが、世界のエロティックなコンテンツの総本山ともいえるプレイボーイのテレビチャンネル「プレイボーイチャンネルジャパン」主催の新宿歌舞伎町にあるホールで2がつい行われるイベントを総合プロデュースして、そこで全日本プロレスの選手たちによるバトルなんかを見せてしまうって話だから。

 なあんだやっぱり男たちのくんずほぐれつか、ってことにもなりそうだけれどそこは「プレイボーイチャンネル」だけにきっとそれなりなドッキュンボンバンな女性たちもわんさと詰めかけ男たちの感応を煽って空間をエロティックでバイオレンスな雰囲気に満たしてくれることになるんだろー。20歳以上でないと入れないってところも特徴か。会見には武藤敬司さんも出てきて得意の「プロレスLOVEポーズ」をしつつ夏目さんと写真に収まりつつも「女性の目から見たプロレス」なんてものを期待してるって発言をしてたから、夏目さんもそれに答えて立派に素晴らしいイベントを仕掛けてくれると信じよう。でも流石に行くのはちょっと恥ずかしいよなあ。目の前をバンキュボンドバなプレイメイトが歩いていたら精気を吸い取られて3日は寝込むだろーから。

 最近で言うなら「コードギアス 反逆のルルーシュ」のルルーシュ・ランペルージほど見栄っ張りな男性キャラもいなかったっけ。作戦こそ立てられそれなりな戦果はあげられるんだけれども肝心なところでスザクに邪魔をされナイトメアで叩けば敗戦続きといった具合。そんなルルーシュに対してユフィはこれまた意地っ張りで見えを張ろうとするルルーシュに意地でも日本に平和をとぶつかっていくものだから最後にはとんでもない悲劇に見舞われる。見栄を引っ込め意地を張らずにのぞめばもーちょっと平和な世界も見られたかもしれないけれどもそれじゃあお話にならないってことなのか。

 なんてことを思ったのは清野かほりさんの「スパイラル」(ポプラ社)を読んだかれで、これまた男の見栄と女の意地がぶつかり合って生まれた悲劇とも喜劇ともとれる物語。出版社を立ち上げ、女性のための雑誌を女性だけのスタッフで立ち上げようとしている男性がいて、そんな男性に声を掛けられて駆け出しのライターだった秋生は素敵と感じ、また自分を大きくするためのチャンスと感じて参加を決めたものの打ち合わせと称して飲んだ翌日。目覚めると秋生は社長のによって強引に彼の伯父の別荘へと連れて行かれ、倒木によって車は出せず故障によって電話は通じず電池切れで携帯も使えない、半監禁状態に置かれていた。

 となれば起こるのは危ない男と切れ者の女によるハンニバルvsクラリスみたいなサスペンスかと思いきや、男は別に危険でもなんでもなくって成功を目前に起こった最悪の事態からただ逃げ出したかっただけの軟弱者で、女も有名になりたいという夢を破られたことに加えて、すがろうとした社長に本気で愛されていないと知ってうろたえ激昂する小心者。そんな2人のドラマだから決して荘厳さを持った悲劇にもならないしサスペンスにもホラーにも行かないけれども、どこか滑稽で情けない2人のドラマはむしろどこにでもいる男と女の出会いを描いた等身大のストーリーとして気持ちに響く。世は自虐。笑われたってそれが人生なんだから、ありのままの自分をさらけ出して進むしかないんだとここは認めるべきなのだ。ルルーシュもね。


【12月17日】 帰宅して録画した分から表彰式あたりの映像をながめていてカカ選手の登場に明石家さんまさんが張り付いていてその場で見るのを止めたけれども別の場面で“旅人”ヒデに向かって「働け」「相撲取りとサッカーするな」といったことを言ったって話を「東京スポーツ」か何かで読んでやるじゃんさんま師匠と喝采。環境とかに気を遣ってくれているのは有り難い話ではあるけれども、じゃあいったいどれだけのことをどれだけの本気度でやっているかというとなかななに微細で、けれどもそれがさも素晴らしいことのよーに伝わっているのは、サッカーという自ら築き上げた価値が未だに残っているからだったりする。

 でもやがて価値が薄れ外れていって、むき出しとなった自分がそれまでどーりの“広告塔”を任じて上っ面を撫でたところでメディアは伝えず伝わってもただただ滑稽なだけ。そこを分かってさんま師匠も「働け」と促したんだろー。芸人が芸を失い政治だの何だのとゆー世界で一本立ちしよーとしても芸人を引きずっていてはどっちつかずになるだけ。そんな事例を見知ってやるならそっちを本気出せって言いたかったんじゃなかろーか、ほらお笑い辞めて本気で県政をやります的なニュアンスで当選した知事な癖に、当選から1年経って安心したのか芸人の顔を出し始めてそれを隠れ蓑にして失政を覆おうとしている節もあったりする人もいたりするし。ヒデにはだからチャリティとかじゃなく現場に、選手でもコーチでも良いから戻ってその手腕を見せて欲しいし見せることでしか後進は導けず世界も変えられないと思うんだけど。

 それはビスケットでもケーキでもなく「エンゼルパイ」だと思うのだけど。何でもとあるお菓子をめぐって「ビスケットかケーキか」って論争が英国で30年近くも行われているそーで、それはいったいどんなお菓子かと記事を見たら「マークス・アンド・スペンサー」ってスーパーが販売している「ティーケークス」ってお菓子で何でも「ビスケット状の台の上にマシュマロが載り、全体をミルクチョコレートが覆」っているんだそーな。これがケーキなら無税だけれどビスケットだからと税金がかけられ支払ってきたのにどうやらケーキでも良さそうってことで、だったら払った税金を返せ返さないとかって事になって裁判が起こっているんだとか。

 でも聞けば聞くほどこのお菓子って森永製菓の「エンゼルパイ」にそっくり。ビスケットこそ上と下の両方にあるけど間にマシュマロが挟まっていて周囲をチョコレートがコーティングしてあるそれを僕たちは生まれた時から食べてきた。歴史をひもとけばかれこれ50年にもなろーかとするロングセラーのお菓子を英国じゃあ30年にも渡ってどっちつかずとしているんだから面白いやらおかしいやら。英国当局はこいつを食べてもしも顔が外国人になったら正真正銘に「エンゼルパイ」だったと認めて醜い争いなんか辞めましょう、って言うけどでもエンゼルパイを食べた外国人が天使の顔になるCMって記憶にないんだよなあ。ところで「ティーケークス」っていつ頃から売られているんだろー。「エンゼルパイ」ってこれを元にして作られたのかな。

 最終回も近いってことで良いものをありがとうとばかりに「スカイガールズ アートワークス」って本を買ったらOVA版の「スカイガールズ」についての解説本だった。最初のキャラ設定で七恵さんはまだそれほどは大きくなかったことが判明。けれども島田フミカネさんの第2稿でちょっぴりふくらみアニメ版ではさらにふくらんであのサイズとなったみたい。OVAでは出番が少ないってことを関係者の人はしきりに誤っていたけれど、そのおかげもあって本編ではエンディングの提供バックで常時登場するくらいの人気を獲得し、可憐さんに角度などから大きさを割り出され、音羽には勘違いをさせた挙げ句に目を死んだようにさせるエピソードなんてものも描かれるに至ったみたい。そんなサイズに瑛花はどんな感想を持っていたんだっけか、いちおうは3人の中ではそれなりな訳だしあんまりライバル心は抱いていないのかな、いやいやあれでなかなかの負けず嫌いだし。

 その瑛花は最初は音羽よりちょい長くて肩にはかかっていないくらいの髪型だったのが性格のきつさと真面目さを出す意味もあって長くなって今の後ろで縛ったロングになったとか。もしも初期のまんまだとイメージは違ったかな、あとモーションスリットの色も赤い案があったのが某超人気アニメの某某な某にイメージとして被るんで青になっていったらしー。シンジやカヲルとなら被っても良いのか? んまあこいつらのプラグスーツ姿を真っ先に思い浮かべる人って少ないし、コスプレしている人もあんまり見ないし、見てもそんなに嬉しくないし。巻末の方にはOVA版がフィルムコミック風に掲載されていて瑛花さんとか良い感じだったんでTVシリーズも買っていることだしと迷わずコナミスタイルでOVAを注文、ガレキ付き、ってまだ残っていたのか、アートワークもつてい来るから重複だけれどこっちは枕元において表紙を眺めながら薄いなあ丸いなあと感じつつ眠ることにしよー。夢に見られたらいいな。遼平じゃなく。

 何で「アクエリアンエイジ」で男の子ばっかりの映画になるんだって思いつつもまあ男の子たちの映画の方が客も多いんじゃないか男子はリアルな女子キャラが演じる実写ものに引く傾向もあるしと納得した発表会で某君がアクエリ違いの抜けた発言をしてすかさず木谷さんがフォローして横に座っていて良かったねえと思いつつ近所にあった「アニメイト」に寄ったら「コードギアス 反逆のルルーシュ」の新しいポスターが入ってたんで回したら2回ともユフィ×スザクだった。ルルーシュの単独じゃなかった分だけ嬉しいけれども個人的にはC.C.が欲しかった。百円玉が尽きたんで2回でそこは出たけどいずれ再び挑戦、って行くと今度はルルーシュばかりが出続けるんだそうなんだ。前も6種類なのに20回くらい回して結局猫まつりは出なかったもんなあ。頑張る。


【12月16日】 アンアンはだから正体は男でデフォルト? どうもそんな感じが志麻友紀「神父と悪魔」(ビーズログ文庫)の第4巻「煉獄の大悪魔」でわき上がっては来たけれどもそれを見破れるのは希代のエクソシストでもあるヴィヴィくらいのもの。普通一般の人には教会でかいがいしく働くメイド(教会にどうしてメイドがいて不思議がられないかは悪魔だからってことで)のアンアンにしか見えないんで別に気にする必要はなさそー。一方でヴィヴィの正体にあれやこれやと憶測が湧いて興味はそっちに引っ張られる。

 2巻目で親しくなった人狼のサーシャを半分くらい人質にとられる形で煉獄へと赴いたヴィヴィ一行に迫る影。問いかけられるヴィヴィの出生。悩みつつもそこはそれ、傲岸不遜で鳴るヴィヴィだけのことはあって立ち直って元の暮らしを取り戻す。けど少し進んだ話が次回、どんな発展を見せるのか。いっそサーシャが嫁にと所望する声に応えてアンシャールじゃないけど可愛くなっちゃえば良いのに。いくらサーシャでもまた収録がビーズログ文庫でも衆道はあんまり歓迎されてないみたいだし。

 んで花田一三六さん「創世の契約」シリーズの第3巻「傭兵王」は傭兵でありながら離合集散を繰り返すのを由としないで兵站を起き女たちも鍛冶屋も連れて移動していたラインバッハの銃傭兵部隊が教会の風変わりな教皇の許しを得て領地を得てさあいよいよ国造りの始まりだってところでラインバッハが撃たれてしまったのが前巻。その続きがどうなったかが気になるところではあるけれどもそれは読んで頂くとして、物語はどこか観察者めいてただけに見えた龍族が案外に人間世界にちょっかいを出して来ていることでその意図こそ計り知れないもののやっぱり目的が気になるところ。それは人族の居留地で龍族と関わりそこを出て旅することに決めた青年ラスティが関わっているからなのか、それとも単なる偶然か。さらに世界の版図を広げて進む物語の後半戦に注目。

 家を出るに当たって重武装。何しろ午後の3時くらいから長ければ夜の10時くらいまで、吹きさらしの「横浜国際競技場」に居続けなくちゃいけないから寒さ対策は万全に万全を重ねても足りやしない。一昨年に第1回目の「FIFAクラブワールドカップ」を見たときも相当な寒さで途中に帰りたくなったくらいだし、その前の年の最後となった「トヨタカップ」では、モウリーニョ監督もデコ選手も抜けて出涸らしとなりかけてたFCポルトとそれからオンセカルダスってどういう訳か妙な強さをその時ばかりは発揮して、南米のリベルタドーレス杯を勝ち抜いてしまうブラジルとアルゼンチン以外の国のクラブチームが戦って、知ってる選手の少なさに寒さもなおいっそうつのった記憶があって、今回こそは防寒対策をしっかりしとこうって気にさせられた次第。

 まずは買い置きしてあったミズノの肌から出る熱をため込んでくれるタイツを履き、それから秋葉原のニッピンで安売りされてたフェニックスのこっちもやっぱり熱をため込むシャツを女性用だったけれどもLサイズだから大丈夫と買い込んでいたものを着用。その上にウールのタートルネックセーターを着てさらにショットのピーコートを羽織ってとりあえず上半身は完成し、さらに下はジーンズで酷い目にあった経験を元にコーデュロイにしてそしてウールの分厚い靴下をはき、その上からコロンビアの中にウールがはえてるスノーブーツにも似たブーツを履いて身は完成。なんだかもこもこして来たなあ。ふと思ったけど「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界って誰も厚着とかしてないよなあ、常夏なのかなあ、それとも着替えが買えないくらいに貧乏とか、カレンとか、扇とか。

 さらに昨日買ったジッポのオイルを使った懐炉をカバンにしのばせさらに、寒さがつのれば着れば良いかとフリースの分厚いパーカーをカバンにたたき込んであと、手袋を取り上げさらにネックウォーマーも引っ張り出してカバンに詰め込み装備もほぼ完成とばかりに家を出て、近所の酒屋へと出向いて「IWハーパー」のポケット便を買い込み胸ポケットに入れて電車に乗る。いくら肌着が熱をため込んでくれても発せられる熱が少ないと意味がない。燃やすには燃料が必要、それにはやっぱりウィスキーが1番ってことで。

 そんな装備を身に着け手に持ちまずは向かうは「パシフィコ横浜」。ゲームポットってオンラインゲームをあれやこれや提供している会社が何か初めての大型イベントを開催しているってんで見物に行くといきなり串田アキラさんが「太陽戦隊サンバルカン」の主題歌を唄ってた。僕らにとっては景山ヒロノブさん以上にアニメソングの兄貴分。「宇宙刑事ギャバン」とかも唄ってくれてもっと早く来ていたら大好きだった「超電子バイオマン」とか聴けたんだろーかと残念さも浮かんだけれど、3曲だって生で聴けたんだからこんなに嬉しいとこはない。容貌はなるほど年相応って感じだったけれども歌声の張りは衰えず。これからも頑張って叫んでシャウトしてくださいな。

 適当に広報の人とかに挨拶してから横浜へととって戻してヨドバシカメラの上にあるユニクロで膝掛けの類を探すものの、今は作ってないみたいでそれならと安売りされてたヒートテックのカーゴパンツを買い込む。タイツとコーデュロイのパンツだけでも大丈夫かとは思ったけれどもそこは用心に越したことはない。んでもって地下2階にある食堂街に出来てたカレー屋「カレーの市民 アルバ」とかって店で食事。どろりとしたルーにキャベツが添えてあるのは「ゴーゴーカレー」と同じ北陸金沢のカレーだからだったみたいで豚カツを乗せウィンナを乗せて食べると見かけは変わらず「ゴーゴー」風。ただし味はちょっぴり上品でハヤシ風っていうかデミグラ風っていうかワインが煮込んであるっていうかそんな感じの甘さがあったけど種は何だろう? 次も横浜に行ったらまた寄ってみよう。

 んで地下鉄に乗って新横浜へと到着してそこで「ドトール」に入りお茶しがてらジッポのカイロに火を入れそして、歩き始めて途中にあったドラッグストアに寄って最後の仕上げとなる使い捨てカイロのパックを購入。川を越えスロープを登りアプローチを抜けてそして入った「横浜国際」のゴール裏には浦和レッドダイヤモンズのサポーターが陣取り3位決定戦の開幕を待っていた。元気だなあ。最初こそ座っていたバックスタンドには正面から西日が射していたけどすぐに沈んであとはひんやりとした空気が身を包む。これは大変とまずはジッポのカイロを背中に入れ、首にネックウォーマーを巻き手に手袋をしてカーゴパンツはまだはかず、膝に使い捨てカイロを張ってその上からフリースのパーカーをブランケット代わりに置いて試合を観戦する。おお暖かい。

 んで試合。やっぱりワシントンすごいなあ。2点取って前の1点を合わせて3点は得点王? 試合数から言えば十分な実績でこれでクルゼイロだかに帰る良い土産も出来ただろー。個人的には大事な試合でいつも怪我をする闘梨王選手のクセがまた出たらしく出場していなかった代わりに、ユーティリティーぶりで鳴る阿部勇樹選手が3バックの真ん中に入らざるを得なくなって、あの展開力やあの突破力やあの突っ込み力を見られなくなったのが残念で、もしもちゃんとボランチに入って良い仕事をすれば海外から来ている人の目にとまっ、てそのまま移籍って夢も叶ったかもしれないだけに闘梨王選手にはPK戦で3位が決まった後のセレモニーに無理に足を引きずって出てこなくても良いから、ちゃんとしっかり絶対に直せと強く言いたい気分。

 さてメーンイベントだ。寒さも強くなって来たんでここでカーゴパンツをはいてそして外でウィスキーをラッパで飲んだらこれが効いた、っていうかもしかしたらジッポのカイロよりもヒートテックのカーゴパンツよりも手袋よりも効いたよーな感じで体が内側からポカポカして来たけれど、これがいつもどーりの衣装だったら外の冷気に当たってすぐに冷えてしまっただろーからミズノやフェニックスの肌着もヒートテックのカーゴパンツもちゃんと意味を持っていて、それらの複合でもって今回の対寒さ戦にはかろうじで勝利を収められたんだとここは理解しておくのが良いだろー。あと効いたのは顔面を風に当てないネックウォーマーと、そして何より試合がことのほか白熱したことか。

 うん本当になかなかにしっかりした試合で、ミランの選手が回すボールはどんな体勢でどんな強いボールであってもピタリと足に吸い付くし、そして出すところにちゃんと選手が走り込んでいたりするところが日本と違うっていうかこれが世界標準っていうか。難しいこととかスーパーなプレーとかは一切無し。基本的なテクニックと基本的な動きがちゃんとしっかり出来ているだけで、見て実にエレガントなゲームになるんだってことがよく分かった。トラップミスを奪われ反撃をくらいそれが奪われるドタバタした試合が多いもんなあ、日本って。ミランに限らずボカもしかりしているからこそ拮抗した試合になって最初にインザーギが走り込みたたき込んで、直後にボカがセットプレーからヘッドでジダの横を抜けてゴールネットを揺らして同点に。いやあ拮抗してきたぞ。

 ここで膠着状態に入るかと思いきや、ミランは攻撃の手をゆるめずカカ選手が縦横無尽に走り前でインザーギ選手が巧みなステップで前へと突っかける姿勢を見せ続け、後ろからガットゥーゾ選手が押し上げるその横からさらには最前線へ最後列へとセードルフが走り回る。そしえネスタ選手の得点がきまって2対1となりさらにここでも再びのピッポことインザーギ選手がカカ選手の冷静な横へのパスを受けてゴールインたたき込んで2点差に。最後はカカ選手が中盤からドリブルであがりディフェンスを翻弄して抜けてゴールキーパーをぶち抜く1点で4対1になってボカも万事休す。ミランが1人退場をくらいまたボカのゴール前でのどたばたしたシーンからシュートした球がミランのディフェンスに当たり、ジダ選手でも取れない場所に飛んでオウンゴールとなり2点差となるものの後はジダ選手がどんなヤバいボールでもはじき出し、掴んでラインを割らせずそのままミランが勝ちきって世界1に輝いた。

 おめでとうミラン。強かった。もうひたすらに強かったんだけれどこのチームをしてリーグでは上位に食い込めないんだからイタリアって国は恐ろしいなあ。調子が悪くて疲れていて蹂躙はされたものの得点は1点に抑えた浦和レッズの守備力も同時に浮かび上がってきた。自信を持って良いのかも。ってことで重武装のおかげと何よりウィスキーのパワーとあとは試合そのものの熱さで乗り切った午後3時から午後9時半までの6時間超。繰り広げられた本物のサッカーには学ぶところもたくさんありそーで、それはスペシャルなテクニックじゃなくトラップとかキックの基本技術とあと判断力のスピード。それらを高めるだけでも相当なチームになりそうだけれど、判断力のスピードを何より大事と叫んでたおじいさんは病に倒れて今は病院の中。この試合を見せてあげたかったし見ればきっと判断力と技術力の精進を言ったに違いないけど、果たして現代表監督は何を言う? それによって託せるかどうかを考えたいなあ。


【12月15日】 やっと見た「もやしもん」はゴスロリ少女が結城蛍だとあっさり判明。声もまだそんなに作ってないから蛍ん時と変わらない。日吉酒店を粉砕する時は言葉遣いが女性になっているからあるいはちょっぴりそっち寄りの声になる可能性も考えられるけれどアニメがそこまで行くかは不明。沢木の復活あたりを目標にいったんまとめて続きは後日ってことにして頂ければこれ幸い。「ハチミツとクローバー」方式だな。んでも「ハチクロ」は2部の終了と前後して本編が終了してしまったからなあ。それで行くなら原作だけはまだたっぷりある「のだめカンタービレ」が先か、「スカイガールズ」も終わって川澄綾子さんの間抜け系美少女の役もひとつ空くし。

 その「スカイガールズ」はコックの源さんがどーしてエリーゼにあんなに優しいのかが判明、そうか息子夫婦ごと孫までも……あんなに可愛い孫までも……ワーム赦すまじ。とはいえ今度は取り囲んで結界張って集中攻撃では倒せそうもないくらいな巨大なワーム。っていうかまるで島。こいつを倒すにはゼロと音羽の力が必要なんだけれども相手が弟とあって気持ちが萎えて発信不能。体力ゼロのアイーシャが突っ込むことになってさあ大変って事態になっていたけどそこはしっかり復活の音羽がゼロを駆り、最終場面ではアイーシャを越えて弟と対峙しワームを倒して世界を救うことになるんだろー。あと2回? 楽しみだ。アイーシャのモーションスリット姿はエリーゼ並に薄いなあ。

 仰向けになりながら一ノ瀬ことみが倒れていく場面の作画がちゃんと立体的に顔が描かれていたりして秀逸だったアニメーション版「CLANNAD」は気が付くとひとで祭りが終わっていて誰もが泣いたっていう風子退場のシーンを見てなるほど涙ぐんでは来たものの、永遠の別れって訳じゃ確かなかったあたりに希望があって別に泣くほどのことでもないんじゃないかと思えて来たけどそこでよくある目覚めへと、持ってはいかず現実の厳しさって奴を感じさせるあたりがなかなかに残酷。そんなずらしがこの作品のあるいは人気につながっているのかどうなのか。んで一ノ瀬ことみは破壊的なバイオリンの音色をいったい誰が演奏しているのかに興味。あの音色でもってキャラクターCDとかを吹き込んでいたらきっと世界で最も破壊的なCDになっただろー。やったりして。アニメはDVDの発売予定から見ると8巻で24話くらいか、ってことはまだ続くのか、どんな話になるのやら、DVDは成り行きを見てから考えよう。

 やっぱり大好きなんだなあ「機動戦士ガンダム」のことをGacktさんは。「コードギアス 反逆のルルーシュ」をこれほどまでに好きな芸能人って居るんだろうかとちょっぴりうらやましく感じながら、21日に発売になる予定ですでに夏の「ガンダムEXPO」ん時に古谷徹さんと池田秀一さんの2人のサイン入りポスターが先着何十人だかに着いてくるってんで、こいつは是非にもと予約した「機動戦士ガンダム劇場版メモリアルボックス」のリリースを前にしたプレミアム試写会とやらを見物に、新宿南口の紀伊國屋サザンシアターへとゴー。んで最前列でしゃがんだまま「土田じゃなくて良いのか」ってまず問いかけながらもランバ・ラル好きを訴え、シャアがシャワーならランバ・ラルは桶で水をかぶって行水してるはずだって感じに、なかなかに通な発言をして会場を湧かせた「アメリカザリガニ」の2人のトークをこなしてから、いよいよ現れた池田さんに潘恵子さんに永井一郎さんに富野由悠季監督と来て、そして登場したのが花束贈呈のGacktさん。なるほど確かに格好良い。でもって喋りもとことんGacktっぽい。当たり前だ。

 むっつりと黙り込んで時々ポロリって感じに見えたけれどもそこは「ガンダム」がテーマのイベントだけあってガンダムのどこが好きなのかと聞かれて「一言では言えない」と言いつつ「セリフにいろいろな意味があって深い」といったことを力説。19日に発売になる劇場版の「ガンダム」と「Zガンダム」の主題歌を集めながらも企画盤じゃなく9番目のアルバムってことで出す「0079−0088」についても「アレンジってレベルでは考えず、作っては直し作っては直しした」ってことを強調。「富野監督や井上大輔さんやガンダムのファンにガンダムの関係者、そして僕のファンに応えなくては」って意気込みを持って作ったらしく、相当に疲れて途中で「旅に出ようと考えた」ほどだったらしー。

 けど曲によっては詩を変え曲も直して出すことに了解をもらってからは動き始めてどうにか完成。「自信の作品。絶対に喜んでもらえる作品ができた」とまで言い切るあたりに、「ガンダム」への思いの深さが感じられる。そうだよなあ、あの福井晴敏さんだって「機動戦士ガンダムUC」をやるにあたってなかなかの覚悟をしたらしーからなあ。聞いてもらって富野さんは「Gacktの力量や洞察力に感動している」って絶賛。すでに聞いてた池田さん古谷さんもGacktさんによれば「初めてガンダムに入った時のことを思い出す」って言ってくれて「嬉しかった」ってGacktさんも喜んでいた。笑顔のGacktさんって珍しい? でもそれくらいに嬉しかったんだろーなー。

 「他の誰かに適当にやられたらと思うと、心が沸々として来た。他の誰がやっても出来ない。僕なら出来る」とまで感じて作ったCD「0079−0088」はなるほど「哀 戦士」は「哀 戦士」ながらもちょっぴりテンポが変えてあってビートも効いてて激しさ3倍増。「めぐりあい」は静かに始まりそして歌いあげるサビの部分の調子が変更してあって、井上さんでは高らかに広がる感じだったものがGacktさんだと深く先鋭的な感じになっている。「機動戦士Zガンダム」関連のはすでに劇場で聞いてた奴だと思うからまあ良いか。「砂の十字架」はライブっぽく1発撮りのギターソロを短く入れてあっただけ。谷村節はちょっと合わなかった? 基本は劇場版ばかりだったけど個人的にはGacktさんが唄う「いまはおやすみ」がちょっと聞いてみたかった。どこか中世的な雰囲気が戸田恵子さんの唄った歌をどう変えてどう聴かせる? そんなライブがあったら面白いなあ。

 とかって仕事があったんで行けなかった女子サッカー「なでしこリーグ」のディビジョン1と2の入れ替え戦「伊賀FCくノ一vsジェフユナイテッド市原・千葉レディース」は千葉のサポーターがわんさか詰めかけ相当なにぎわいだったみたいだけれども試合の方は2対2でそこからPK戦へともつれこんで1点差でもって千葉が涙をのんだ模様。1年間を戦い最後の最後で昇格ならず、ってのは疲れる話だけれどもそこはそれ、2位に甘んじてしまったシーズンをまずは振り返りつつここで1位となって無条件に昇格すれば良いんだと気持ちを切り替え来年も臨んで欲しいもの。監督の里内猛さんも初めての采配をよく引っ張った。来年もそのままやるならいっそうのフィジカル強化とそしてテクニシャンの要請を。ちょっぴりディフェンスが弱い所があったからなあ。伊賀は宮本ともみ選手がやはり良かったのかな、さすがは代表、来年は北京? 頑張って。


【12月14日】 「売ります」ってのはそうか売るほど増えちまうってことなのかやっぱり。ってな訳で海原育人さん「ドラゴンキラー売ります」(中央公論新社、900円)はアルマちゃんを皇女に仕立て上げたい派がいよいよもって本気になってアルマを引き戻そうとドラゴンキラー4人組を仕立ててココの住むやさぐれた街へとやって来る。迎え撃つはココと妙に弱虫だけれど戦うと強いリリィと「いっぱいあります」で加わった「いっぱい」な割には1人だけだった痛みを操るアイロンってドラゴンキラー。だけども別にひそんでたジョーカーによってアルマはさらわれてしまう。

 んでもって救出に乗り込むリリィにアイロンにココだけれども敵も手強く大騒動。アルマを救出できてもこんどはリリィがつかまったりとくんずほぐれつの大騒動で様々に様々なドラゴンキラーの力も絡んでどっちが勝つかのバトルをたっぷり楽しめる。情報屋のベーカリーに暮らすスレンダーというかペッタンに近い寡黙なアズリルが、スカートの裾翻しながら本気を見せて戦う場面を美麗なイラスト付きで楽しめる、ってのも美味しいところか。これまでひたすらぶすったれてただけだもんなあ。胸も尻もないだけにココにもラダーマンにも関心の拉致ギアだったけどこれでなかなかに良い女性。パーマーも良い趣味してたってことで。

 けどしかしドラゴンキラーに用心棒に酒場のスプリング&ボニーのダーティペアにも勝ってもっとも強くて恐ろしい女がアルマだったとは! その手管その度胸。なるほどむしろやっぱり皇女になるのが相応しいって思えてくる。だからいよいよもって国を巻き込む政争が始まるかっていうとシリーズはここでとりあえず打ち止めの模様。妙にデカい話にして過去に傷を持つ小悪党でしかないココに分不相応のヒーロー役を割り振るんじゃなく、狭い街の軍隊並の力を持つドラゴンキラーが街を別に殲滅もせずちょこちょこと、小競り合いのレベルで戦う中でココが狂言回し的に動き回ってそして万事オッケーって話に収めたあたりが、ちょっともったいないとは言え読み頃感って意味でベストな選択だったって言えそー。でもまあせっかくのこの設定。いつか別のシリーズでもって活かされることを願い待とう。

 こっちは割と早かったなあ続編。ってことで「鉄球姫エミリー」の下品さと苛烈さが同居する凄まじ物語が今度はどうなるかって注目されてた八薙玉造さん「修道女エミリー」(集英社スーパーダッシュ文庫)は弟王の体調不良で姉姫を後継に担ぎ上げようとする勢力を排除すべく弟王を担ぐ一派が前巻に続いて暗躍して、修道院にこもったエミリーを亡き者にいようと企む。っても表向きはむしろ逆で一派の三男坊で前巻で圧倒的な力を誇りながらも遠距離攻撃によって敗れた老重騎士のマティアスから教えを受けたグレンが、父から命じられマティアスから聞かされた理想像を胸にエミリーの護衛になるんだと勇み修道院をたずねるとそこには甲冑をまとって下品な言葉をまき散らし、“敵”の一派であるグレンを追い返そうとするエミリー姫がいた。

 幻滅、するかと思いきやなかなかに生真面目だったグレンは父の画策する陰謀とはとはまるで無縁にエミリーの護衛になるという責務を果たそうとするもののそこに陰。日に日に落ちるエミリーの体調。さらにマティアスのような手練れも倒した亡霊騎士の足音。エミリーにすらかなわない自分なんかいたって無駄だと諦め、エミリーを廃したい父の期待に答えなくてはと感じ、エミリーなんか見捨てて逃げ出したくなるところをけれどもマティアスの想いと何より自分自身の考えを思い出してひとつの道を選択する。

 オール殲滅で美女の頭蓋骨が踏み砕かれ愛し合い行きたいと願った恋人たちは冷たくなって地中に埋まり、戦いの終わった後には2人くらいしか残っていなかったハードな前巻に比べると、自分を結果として傷つけようとした者すら赦すエミリーの態度とかもあって血の気が少ない感じもするけど、そこはそれ、前巻の残酷さに引いた人に敵も味方も失いたくないグレンのこだわりを見せて世界にはまだまだ救いがあるんだと、思わせ安心させようとする作者の優しさが現れたのかもしれない。とか言ってて次巻であっさりグレンとか消し飛んでいったらそれはそれで愉快。

 うーん。まあ大丈夫かな。少なくとも滝口順平さんについては心配してないし八奈見乗児さんたてかべ和也さんも喋るに関しては詰まったりくぐもったりすることはなく、あとはシナリオ自体が面白いかどうかって所にかかって来そうと見ている「ヤッターマン」の悪玉チームのメーンを張ってるドロンジョ様が、果たして前のような勢いと色気を持って迫って来てくれるんだろかってことだけがずっと悩みの種だったけれども浜町の方で行われた発表会で聞かせてくれた声とか富山敬さんの代わりはこの人だけの山寺宏一さんもそのエネルギッシュさに打たれていた所を見聞きすると、しっかり整えて来てくれているんだと信じて放送開始日を待てそうだな「ヤッターマン」。

 例えば滝口さんの代わりに銀河万丈さんとか廃してドロンジョには大原さやかさんで周囲は立木文彦さんとか藤原啓治さんとか大塚明夫さんとかいった層を並べてもそれなりな仕上がりになった気はしないでもないけど現役としてまだ大丈夫ならそれはそれで代える必要もないのかも。続編で「コードギアス 反逆のルルーシュ」のミレイ・アッシュフォードが小原さんになっていたらそれはそれで驚きだけど。脚本に関しては若い層とか入って来てるんで今風になってて苦さ寒さは感じないで済みそー。ってか済ませてくれ。

 妙にアメリカっぽくタツノコっぽかった前に比べてキャラクターはソフトになってて現代風でそれでいて「ヤッターマン」の雰囲気は遺しているから今の人が見ても受け入れられて昔の人が見てもこれだよって感じさせてくれそうだし、メカは30年を経て大河原邦男さんが今ふたたびにデザインを手がけてリファインさせたメカたち。そして音楽には山本正之さんがちゃんと絡んでオープニングから例の歌を聞かせてくれそう。唄っているのは山本さんじゃないけど。もっと有名な人だけど。古いところと新しいところを混ぜ合わせた新生「ヤッターマン」が果たしていったいどんな感じになってどんな層に受け入れられるかで、タツノコの今後の戦略も変わって来るんで頑張って欲しいなあ。ついでに「ジェネレイターガウル」を復刻して欲しいなあ。


【12月13日】 14時15分16秒に何かが起こった? 「朝日新聞」のおまけで入ってた「be Extra」ってのが本の特集をやっていたんだけれど「2007年 心に残った1冊」ってラインアップを見て呆然。読んでねえ。読みたさもねえ。これがでも人々の心に残っているってことは売れているのかともっぱらなマーケットとの齟齬に悩む。挙げられているのは9冊で島本理生さん「あなたの呼吸が止まるまで」と綿矢りささん「夢を与える」と江國香織さん「がらくた」と安東きみえさん作で下和田サチヨさん絵の「頭のうちどころが悪かった熊の話」に佐藤多佳子さん「一瞬の風になれ」に小池昌代さん「タタド」に青山七恵さん「ひとり日和」に松浦寿輝さん「川の光」に上橋菜穂子さん「獣の奏者1」ってなっている。

 ここで既に読んだのは「一瞬の風になれ」と「夢を与える」くらいだなあ。ってか女性作家多すぎ。本を読むのが女性で描くのも女性で内容は恋愛でって構図がこうも現れているとは驚くばかりだけれども、あるいは一般に認知される小説を書けるのが女性作家で結果こうして女性作家の作品ばかりが売れて、認知されて心にも残るって構図なのか。ここに入ってひとり頑張る松浦さんの「川の光」がいったいどんな話か読んでみたくなって来た。万城目学さんも森見登美彦さんもいないし恩田陸さんもいないし三浦しをんさもいないのがやや謎だしちょっと残念。そういうのを好むのはやっぱどっしりとした物語性にこそ美を見出す人たちで、登場人物たちが繰り広げる恋愛が軸の展開の方にこそ世間の感心は向いているのかもしれないなあ。売れるんだったらそっちを書けってことか。

 万城目学さんは「be」の中でインタビューに答えてて、4月に聞いたこととだいたい同じことを話しててついでにおすすめの3冊を挙げてて中に誉田哲也さん「武士道シックスティーン」が入っていたのに感動、これは本当に面白い話なんだけれども今ひとつ、世間に知られていないんだよなあ、「ザ・スニーカー」でも紹介したけどもっと読んでもらいたいよなあ、「バンブーブレード」とあと「鹿男あをによし」で剣道トリオとして盛り上がって欲しいよなあ、それも意識しての紹介? ちなみに万城目さんは最新の「週刊新潮」にも登場して平城京跡で木の側に多々ずんている。写真が妙に福々しく見えるのは健康が増進されたからなのかそれとも写り方の問題か。年明けにはドラマも始まるし連載「プリンセストヨトミ」も始まるしとまさに順風満帆な万城目さんのキャリアを彩る賞レースでの勝利はいつか。見て行こう来年も。

 その他の方々も含めて「be」では記憶だと挙げられてはいなかったけれども現代の日本文学シーンにおいて確実にスターの座を固めつつある古川日出男さんが、その名も「ゴッドスター」(新潮社)のサイン会を朗読会も交えて開くってんで丸の内にある丸善へと出向いて見物。大きな壁掛け用の時計をかかえて出てきて置いて90分1本勝負とつぶやきそして、まずは確か萩原朔太郎さんを読んで口をならしてから「ゴッドスター」へ。すでにいわゆるアナウンサー的な朗読ではなく俳優さんが詩なんかを読むように情感を入れ、ところどころに演技も交えて読むスタイルが萩原作品から出ていたけれども「ゴッドスター」では冒頭の、姉が死ぬって部分を上声で弱々しげにおぼろげに囁いてからそして本編へと行き始まる大演技。テンポをつけ抑揚を着け感情を交え伸ばし止め叫び戻る繰り返しでもって、あの読むほどに脳内に断片が積み重なっていく小説に、言葉の色がガツガツと着けられて脳内でのビジョンがぶわっと盛り上げる。

 途中に中原中也や宮沢賢治や吉増剛造吉岡実といった何となくそれなりに通じるところのある詩人の作品へと戻り、ここでも叫び下げゆるめ走りといった具合の朗読を披露。その内容との演技やタイミングのマッチっぷりに果たして事前に読み込み練習を重ねた上でここはこう読もうって決めて臨んだのか、それとも場面場面で即興で演技プランを固めているのか興味を持つ。さらに言うなら「ゴッドスター」は書いている時にこう読もうって決めて叫んだり喋ったりしながら書いたのかってことも。とりあえず1時間半を長くは感じさせないほどに熱気がこもりそして演技もまずまずで出し物としてとても上質なものとなっていた感じ。

 決して声優さんとかみたく美声ではなく「コードギアス 反逆のルルーシュ」のどの役だって当てはめられそうもない、しゃがれてかすれた感じの声だったけれども、女性っぽさも混じり子供っぽさもにじんで「ゴッドスター」の雰囲気を完璧に現しているよーに感じられたのは役を理解した上で読んでいたからなのか、まあ自作のキャラだし理解できていて当然か。欧米だと自作を読むポエットリーリーディングなんかを良く作家がやっているそーだけれどあっちでもこーゆー感じにいろいろ舞台っぽくやるのかな、それともそれは古川さんだけで普通は訥々と読むのかな。最新号の「新潮」に朗読が入ったCDが付録でついているんで買って他にどういうことをやっているのか聞いてみよう。

 そんな間にもちょろっと「PSP」でワンセグを使ってFIFAクラブワールドカップの準決勝「ACミラン対浦和レッドダイヤモンズ」の試合の状況を見ていて後半に入っても0対0なのはなかなかではあったものの、疲れからかまるで中盤を制圧できず繋げず前線へと持っていけないままミランの攻撃を守り続けるってゆー、弱いチームが強いチームを相手に亀になってる典型みたいな雰囲気が続いてこりゃあいずれ破られるかもと想っていたら、サイン会を終えて自宅へと戻って確認してなるほどやっぱり攻められっぱなしの中からカカにサイドをえぐられつめてたセードルフに綺麗にたたき込まれて1失点してしまう。

 その後も中盤から前へと運べないことに加えて持っても判断に迷うケースが散見されてパスが出ずそのまま詰められ潰される始末。幾度かシュートは打っても決定期は作れないまま試合が終わってこうして浦和レッズの冒険は終わった。決勝はやっぱりなミラン対ボカ・ジュニアーズでそれにエトワール・サヘルと浦和レッドダイヤモンズの赤星対赤菱な試合を前座で楽しめることに。そっちに大量に人が集まりミラン戦で半分くらいに減ったらなかなか痛快だけれどそんな勿体ないことはしないだろーから浦和レッズを破ったミランを赤の好で応援するレッズファンの叫びが冬の横浜に響くことに期待しよう。インザーギ出てくるかな決勝くらいは。あとマルディーニ。


【12月12日】 何かの日。そうか原作だとあそこは宮崎駿監督になっているのか。だとしてもというかだとしたらなおのこと引導渡そうとしているみたいで微妙さも臨界点だったかもしれないけれど、アニメーション版「バンブーブレード」では珠ちゃんが図書館で一心不乱に読んでいたのは新人・谷口悟朗さんがたぶん声を当てていたかもしれないキャラクター。今やっている作品を最後に引退して後進の指導に当たるってことは来年の春から始まる「コードギアス 反逆のルルーシュ」が最後になるってことだけに、そりゃまた残念無念、

 第3弾の早期の制作を期待していたのにって脱力感も湧いたけれども元が駿さんだからこそ妙にハマった場面な訳で、それを流石にそのままじゃ拙いと知人恩人を引っ張り出して無理矢理に当てはめただけ、だから悟朗監督にはまだまだ頑張って頂けると期待しよう。もしこれがゴロウはゴロウでも吾朗監督の方だったら反響はいかばかりだったか。自然主義にあふれた傑作を1本、遺して後進の指導に回られてはあの静謐な世界を見てみたい身には寂しい限りだし。ってかどうして次をやらないんだろう、宮崎吾朗監督。

 それにしてもだんだんと黒さが溢れ出して来ているなあミヤミヤ。中学時代の経緯をビジュアルは見せず言葉もソフィストケイトさせているとはいえボコったって周囲には理解可能な言説でもってうわずり気味の声で喋ってる。聞けばダンくんだって気づきそうなんだけれどもそころまるで気づかないか気づいていない振りとしているダンくんの優しさばかりが光ります。でも先生を相手に立ちふさがったときに細い目をあけ除かせたアレはミヤミヤのオーラ以上に黒かった。あれで案外にすごい過去を持っていたりするのかどうなのか。そろそろ原作、買い時かなあ。

 前夜分を処理して今夜分の「げんしけん2」はスーちゃんがゴットゥーザ様で悪のセリフ頻発。その面白さの陰に隠れて斑目の咲への感情がにじみでた所をしっかり捕まえるアンジェラがすごい。荻上さんと笹原の間に通う何かには気づいているににそっちはまるで気づかないのは身近すぎてあり得ないと思い込みすぎているから目にフィルターがかかってしまっているからなのか。虚心坦懐。んでもって「ナイトウィザード」は妙に絵がしっかりしていてお話の古典性との間に妙な雰囲気が沸き立つ。ステッキを持った紳士然とした奴が廊下を歩くシーンを煽りで描いた場面なんか奥行きもあって歪んだ雰囲気も出ていて絶妙。エリスを守って戦う柊連司と灯のバトルも動き回って飛んでいた。お話時代はどんでんもないまま行きそうだけれどまあ、悪いものではなかったと2007年の記憶には留め置いておこう。「ドラゴノーツ」は見て泣くてもこっちは見ているくらいだし。

 乙一さんが大推薦していて怪談話の多い「幽」に掲載されてた短編を集めた本だってっからてっきり平山夢明さんのついこないだ読んだ「他人事」みたく、転落した車に閉じこめられた父親が、横で妻の死に行く声を聞きつつ車外に投げ出された娘を案じて通りがかった男に救助を頼んではみたものの、男は娘が弱る様子を伝えるだけで逆ギレまでして怒るんで、いったいこいつは誰なんだとどうにかはいずり出て見たらびっくりってな感じに、さまざまな形の恐怖に溢れたホラーばかりが入っているのかと想ったらこれがどうして、愛と悲しみに溢れた転変週だった山白朝子さんの「死者のための音楽」(メディアファクトリー)。

 川で溺れていた時に聞こえてきた、心をつかまれ泣きたくなるような音楽をずっと想いながらいつかその音楽に身を委ねる日を夢見ていた母親の言葉に娘が胸詰まらせる表題作から、誰も見たことのない鳥が、屋根にひっかかって尾羽枯らしていたところを助けて命も救った作家への感謝の意味からなのか、その娘を守り続けて頑張り続ける話から、野盗に襲われ命を失ったはずの父の記憶を受け継ぐ赤ん坊を生んだ娘がやがて再び繰り返しの中へと浸っていく話から、怖いんだけれどどこかに叙情が溶けて混ざって読むほどにしんみりとした哀切を覚えさせてくれる。生きているものを何でも黄金に変えてしまう廃液の存在に狂う女の話みたいな恐ろしいものもあるけれど、これとて震える情念の発露って奴。読むほどに情を感じさせるこの怪談の書き手は遠からず情念の使い手としてメジャーなシーンを揺るがせるだろー。注目。

 銀座あたりで会合があって終わって近所の「ウェンディーズ」でPSPをワンセグにつないでFIFAクラブワールドカップの「ボカ・ジュニアーズvsエトワール・サヘル」の後半を観戦、うーん1点差での敗戦はちょっとエトワール、惜しかったけれどもそこをしっかり勝ちきるところがボカのボカたるゆえんか。けどだからといってACミランが浦和レッドダイヤモンズに確実に勝てるとは限らないのがサッカーの世界。1年で最高のコンディションがここにやって来て浦和レッズをセパハン戦すら上回るパフォーマンスに押し上げミランに仕事をさせずに勝ち上がり、決勝でボカと対戦、なんてことだって現時点では考えられる。そーなると前座はエトワール・サヘル対ミランで後座に浦和レッズvsボカとなかなかの好カードを見られるんだけれど果たして。会場には行かないけれども密かに見てようPSPで、古川日出男さんの朗読を横耳に。

 しかし写真で見ても巨大だ「スーパーメガウェンディーズ」。これまでだってクラシックに114グラムのパテを使っててそれをトリプルに重ねたものがあった訳で肉の量に驚きはしなかったけれども間にチーズが挟まっていたりするところがまたボリューム感。ベーコンが重なりトマトにレタスが挟まったそれはそびえる摩天楼のようで喰うに果たしてどんな口をしたら良いのか想像も付かない。見渡してもまだ食べている人とかいないしなあ。上から1枚1枚剥がして食べる? でもそれじゃあハンバーガーじゃないしなあ。「コードギアス 反逆のルルーシュ」でタイアップがウェンディーズだったらC.C.もピザじゃなくってハンバーガーを喰ってたのかなあ、んでもってメガ登場に喰わせろルルーシュと言って取り寄せ大口をあけてパクリを飲み込んでいたのかなあ。いや本当にC.C.だったら一口でパクれそうな気もして来たぞ。


【12月11日】 見る暇がなかったんで「バンブーブレード」は録画したまんまにして家を出て途中に丸の内OAZOにある丸善で「コミックガンボ」をもらって真っ先に「ステージガールズ」を読んで棒立ちに。シゲさん……。そうだよなあいくら漫才の台本を書くのが巧いからって所詮は学生上がりの素人がまだろくに舞台経験も踏まないまま、追放されて以来ずっと飯屋のアルバイトだったんだから漫才コンテストの頂点まであと1歩、なんて所に立って普通に出来るはずないもんなあ。それを見抜いて修さんは最初の段階からあんまり高い点数を着けていなかったのか、決していじめていた訳じゃあなかったのか。

 そんな修さんが仕掛けた陰謀がいよいよ炸裂してカメちゃんガキさんの「ドルフィンズ」が専属で雇った台本作家の正体も明らかになるなかで引くに引けず目の前で倒れたシゲさんのためにもとカメちゃんが奮起しガキさんを引っ張りヨシダマの松園を粉砕し、見事「マゼコン」の頂点を極めてそして始まる新たなストーリーの中で、再起をかけようとするシゲさんがカメちゃんとコンビを復活させるかそれとも無念を共に晴らすべくレナとのコンビを続けて先を行くカメちゃんガキさんのコンビを追いかけていくのか大いに期待……していたのに何だって「コミックガンボ」休刊だって? いやあ驚いた。それにしても急だよなあ、今日出た号を持っての休刊だもの。普通はないよねこういうことって。

 何しろ原作者の上野毛あさみさんも聞いたのは最近だったみたいで急に決まったらしいことが伺えるけどそれにしても「マゼコン」編であとたった2話、それもクライマックスの2話をお預けされているこの身の辛さよ。いやいやそれを発表する場を奪われた原作者と漫画を描いている黒岩よしひろさんの無念を想うとファンとしてはひたすらに再起の場が訪れることを祈るよりほかにない。さらに言うならヨコシマンさん「パート怪人悪キューレ」も続いて欲しい漫画のひとつ、っていうかこれって普通に青年コミック誌とかで連載されても十分に人気を獲得できる漫画じゃん。まだ1年分もないんだからしばらくはまとめて再掲載しつつ半年後くらいに連載再会、なんて行ってくれれば嬉しいなあ、場所はどこがいいかなあ、「コミックチャージ」なんて……ちょっとどうかと。いやいやまさか今月に単行本も出そろう雑誌が。いやいやいやいや「ガンボ」だって単行本が出た途端だったし。うーん。

 あとは林家木久扇さんの評伝漫画「昭和バカ囃子」と日高トモキチさん「トーキョー博物誌」が単行本も出ている漫画では興味深い所かなあ、もちろん江川達也さんの「ぼっちゃん」も。あの原作の間合いを活かしつつ漫画にしていった腕前は流石だった。連載中で単行本が出ていないところだと最近始まった「ぼうえいえにっき」が可愛い絵柄で割にシリアスな侵略SFを描いててちょっと展開に興味があったし「茶の風」って日本生まれの日本育ちなのに見かけが外国人で誤解される青年が、茶道に目覚めていくって話も面白かった。「朧」もそれはそれで怖くて楽しかったのに。最近単行本が出てそのネタが多かったけれども休刊後は街頭で今なお「ガンボ」を配り続ける謎の女性とかが出たって話が増えるのかなあ。それは既に収拾済み? 代わりにだったらどんな怖い話を聞かせてくれるんだろう。秋葉原の辺りで堆く積まれた「ガンボ」の下から見つかったミイラの正体、とか。うーんうーん。

 いやあなるほど放送作家という人はいわゆる一般のピープルとは違った思考の持ち主でないとつとまらないっていうことか。例えるなら逆張りっていうか斜め上を行くっていうか、とにかく普通じゃ考えられない突拍子もないことを言ったりやったりしてこそ世間を驚かせられるってことなんだろー。でなきゃあこんな文章なんて絶対に書けない。村上卓史さんって放送作家の人が「AFC主催のサッカー日本代表試合を独占中継したテレ朝に」「スポーツ番組復権の可能性を見た」ってことを言っているんだけれど読むといわゆる真っ当なサッカー好きの理解を超えているどころか、絶対に理解できないだろー事象が羅列してあってさすがは希代の放送作家だと感心させられること仕切り。

 だってタイトルからして「テレ朝にスポーツ番組復権の可能性」を見てしまうって文章なんだもん、あの“角弾頭”との異名を取る絶叫ばかりの実況に「絶対に負けられない」と負けても構わない試合でも連呼し続ける勝利至上主義、そして調べもしないで30年1日のことを言い続ける老辛口評論家に「ボールはつかれない」と名言をちりばめつつプレーの技術的戦術的側面ではなく状況への外野的感慨をひたすら喋って90分間を埋め尽くす解説者を配した中継は、ことサッカーという競技の本質を極め一般に理解させながら徐々にその素晴らしさを啓蒙していくスタンスとはまるで対極にあって、サッカー好きにはとうてい認められないことばかりだった。それが希代の放送作家には何かことのほか素晴らしいものに見えたらしい。想像するならそれはだから一般大衆という存在にストレートに、そして刹那的に快楽を感じさせ一瞬の共感を得させる上でベストな手法であってそこから視聴率というすべてにおいて神とされるものの復権が、成されていくんだって訴えたかったんだろう。なるほどテレビの申し子、放送作家だけのことはある。

 「スポーツは深く見つめれば見つめるほど、その競技の面白さや奥深さが見えてくる。それは制作サイドにしても同じだろう。関われば関わるほど伝えたいことが見え、伝える手法も進化していく」という言葉はなるほど至言。だからBSとかCSなんかはスポーツそのものを深く見つめさせるために、夾雑物を廃しスポーツを分かっているアナウンサーや解説者を配して視聴者の中にスポーツを見るマインドを芽生えさせ育てさせている。でもそれでは時間がかかり過ぎて、放送作家にとって、あるいはテレビ局にとって神であるところの視聴率アップにつながらないと考えた筆者が特効薬として例示したのは、あの絶叫して上っ面だけのさして当たってもいない紹介を連ねた「煽りVTR」の称揚だった。

 「ファンに歓迎され、大会そのもののテイストとして認知された」っていったいどこのサッカーファンなりバレーボールファンなり陸上競技ファンが認知しているんだって言いたくなるけれど、放送作家の人がここで言うファンとは、つまりテレビのファンであってそんな人がちがテレビというメディアの持つ、本質よりも上っ面の面白さでもって刹那的な快楽を満たしてくれる機能に大満足していることから、“復権”への手応えを掴んだのだろー。こうまで褒め称えられてテレビ朝日も、そしてスポーツに芸能人の応援だとか極端なまでの日本びいきといった手法を持ち込み、スポーツのファンからはそっぽを向かれつつある地上派のすべては自身を持ったに違いない。そしてスポーツファンならぬテレビファンの刹那的な快楽のために今後も煽りまくり讃えまくったスポーツ番組とやらを作っていくことになるんだろー。そこにこそ放送作家の大勢を楽しませるノウハウも活かされるってもの、頑張ってください、凡才で愚鈍な僕たちは時代遅れなのでBSCSで地味なスポーツ中継を、スポーツだけを楽しめるスポーツ番組を静かに地味に見ていきますから。

 そりゃあここで「コードギアス 反逆のルルーシュ」に出てくるC.C.の声がゆかなさんから川上とも子さんに変わったりしたらひっくり返るけれども別に30年も一日に同じ声優さんが登場して来る必要なんてないのは某怪盗3代目のシリーズが今現在置かれている惨状を見れば分かりそうなもので、だからこそ先手を打って猫型ロボットはご一新を図った訳なんだろーけれどもそれを知ってか知らずか頑迷な保守という意味で挑戦的なスタンスを見せてくれそうな事態に果たして何を想うべきなのか、迷っていてもしかしてそこは希代のプロフェッショナルだけに意外とも言える素晴らしさを見せてくれるかもしれないけれども一方に7年前のナイトメアもよぎるだけに悩ましさが渦巻き中。さてもどんな事態になることやら。バズーカについてはベスト・オブ・ベスト。他に無し。それだけに……。それでも見てしまうんだろうなあ。おだてられりゃ誰だって木に登るんだよなあ。


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