縮刷版2007年1月上旬号


【1月10日】 「週刊サッカーダイジェスト」の2007年1月23日号は阿部勇樹選手を表紙に移籍市場について特集をしているけれども目当てはそれよりカラーでページが組まれた全日本女子サッカー選手権大会の決勝の報。にょっきりと脚を天へと胴上げされるTASAKIペルーレ磯崎浩美選手の可愛らしさを見るとほんと、嬉しかったんだろうってことが伝わってくる。前に優勝したのって確かPK戦になって小林弥生選手がPK戦を外して日テレ・ベレーザが破れた時だったっけ? リベンジを果たしてベレーザを破り優勝だったらなおいっそうの感もあっただろーけれど、そのベレーザを破り出てきた岡山湯郷Belleが相手ってのもまた意義深い優勝だったのかも。

 そんなTASAKIペルーレの状況について別に西森彰さんが見開き2ページで特集を書いていてこれがまた格別な読みごたえ。ワールドカップに五輪があってバックラインを整備出来ない中でシーズンにのぞんでしまったツケが出て05年までちょい優勝から遠ざかってしまっていたけど06年あたりからまた徐々に調子を取り戻した上に、企業チームらしく社員選手が中心だったチームに大学生を入れて活性化を図り厚みも増すって手法をとっていたからこその、長いシーズンを主力選手が抜けても勝ち抜けたんだってリポートがあってなるほどと納得。川上直子選手が抜けて今年は大谷未央選手も怪我をしたりして、シーズンは今ひとつ震わなかったけれど阪口夢穂選手ってニュースターも登場して、最後に大きなタイトルを獲得できたのは来年に向けて大きな自身につながりそー。

 ちょい前に特集されてたTEPCOマリーゼが同じ企業チームながらもモチベーションの維持ができず監督の戦術ミスもあって2部に落ちたのとは対称的。そのあたりが新興と古参の違いって奴なんだろー。この特集って続くのかな。代表中心で妙に安藤希選手に肩入れが激しい「エルゴラッソ」の女子サッカー記事とは違う深くて視野の広い記事。さすが西森さん、是非にその筆を北京の女子ワールドカップでも震えるよーに日本代表よ、買ってくれプレーオフを。

 世にライトノベルのヒロインの数々あれども、これほどまでに強烈な個性を持ったヒロインはいなかったんじゃなかろーか。電撃小説大賞にて第13回の大賞を受賞した紅玉伊月さん「ミミズクと夜の王」は、額に数字で焼き印を押されて手足を鎖で縛られた奴隷の少女がヒロインってんだから、ビジュアル的なインパクトは宇宙一。もしもイラストの付く作品だったとしたら、そんな恰好で手足は薄汚れていてまとう衣服も襤褸ってヒロインを、誰がどうやって描くのかにとっても興味があって、2月の発売が今からとっても待ち遠しい。

 先読みしたお話は、そんな少女のミミズクが、魔物の住む森へと迷い込んで魔物に襲われることなく魔王に罰せられることもなく日々を送っていたんだけど、王国があって、そこに王様と騎士がいて王国に魔王が女の子をさらったって噂がひろまり、騎士が救出に赴かざるを得なくなって、行って魔王の居城を焼き払いミミズクを王国へと連れ帰る。ミミズクは奴隷の頃に比べて自由だった森での生活や、魔王との日々を忘れさせられていたんだけど、持ち前の明るさを失っておらず四肢の不自由な王子と仲良くなり、それなりな日々をこちらでも送っていた。それでもやっぱり心にひっかかっていた森での日々と、フクロウと名付けた魔王のこと。やがて蘇る記憶の中、ミミズクは自分の脚で歩み始めるのだった。

 シリアスさのうちに少女の不遇を描くファンタジーってよりは、不遇を理解できない少女を一種の狂言回しに、他人を虐げる人々の醜さやら、国王に忠誠を誓わなくてはならない騎士の不自由さ、それでも最後には正しさのために決まりを破る痛快さといったものを描く寓話といった感じ。それがライトノベルの中心的な新人賞となってしまった電撃小説大賞を受賞したのは意外だけど、歴史の浅さから何だってアリってスタンスで、他では選ばれないだろう新人を見つけ育て、目新しさを求める読者の間にムーブメントを起こし、今の地位を築いた電撃らしいと言えばむしろ言えるのかも。「ポプラ社小説大賞」でも結構なところまで行けたかな。ともあれ「狼と香辛料」とはまた違った新しさを持った作品の登場を、読書ファンは刮目して待て。

 こっちはライトノベル的にはわりにありがち。だけど「小説すばる新人賞」って一応は文学の賞を取った作品に出てくるってところが、ボーダーの崩れる状況を如実に示しているってゆーことか。水森サトリさんの「でかい月だな」(集英社、1400円)は、綾瀬とユキって13歳の男子中学生が綾瀬って方の兄貴のスクーターを持ち出し、とことこと無免許で2ケツで遠出した帰りに、峠でガス欠となって立ち往生。ふと見上げた空に満月が出ていて、それを見た綾瀬が「でかいな」と呟き、つられて見上げたユキの胸元を突然、綾瀬が蹴ってユキを斜面へと落としてしまう。ユキが気が付くとそこは病院で、転げ落ちたはずみで脚に何かが刺さって粉々になっていて、バスケットボールはもう出来なくなっていた。

 どうして綾瀬はユキを蹴ったのか。理由も判然としないまま綾瀬は施設へと送られいなくなる。残ったユキは家族がなぜか激しく綾瀬に対して怒る中でひとり妙に醒めていて、リハビリを経て学校へと通い始めてからも綾瀬のことが気になっていた。長い入院で出席日数が足りず留年したユキは、同級生だった仲間と別れて1級下のクラスで周囲に知人もいない学校生活の中、浮き上がった日々を送っていた。そんなある日。頭は良いんだけどどこか得たいの知れないところがあって、錬金術だの霊界との通信装置だのと言い出す中川という少年と知り合い、彼の部活動へと引っ張り込まれる。

 周囲がどことなくユキに遠慮するなかで、何の気後れもなく中川はユキに話しかけユキも彼の家へと赴くくらいの交流ができる。もう1人、ユキを過剰にいたわることなくむしろ逆に激しく憎悪するそぶりをみせる横山かごめという少女がいて、どういう訳か片目に眼帯をし続けている彼女が、ユキは気になって仕方がない。無視されるのを承知でかごめへと話しかけ、また中川の研究室に通う日々を続けているうちにユキは、街に奇妙な現象が起こっていることに気づく。世界が妙に優しくなっていたのだ。犬や猫が捨てられていても保健所に送らず皆で里親探しに奔走するし、収集のない日にゴミが出ることもないし、駅前に違法駐輪の自転車も並ばない。

 いったい何が起こっているのか。それはユキの目に見える中空を泳ぐ魚と何か関係があるのか。かごめが眼帯していることと繋がっているのか。やがておとずれるというその瞬間に、ユキはわだかまっていた過去に体面するために、家を出て海辺へと向かう。不思議なシチュエーションが織り交ぜられてはいるけれど、ファンタジーとかSFと言い切るほどではなくそういったこともあるかもって、説明の付けられることばかり。それでもちょっぴりの奇蹟がありさえすれば、立ち止まっている場所から前へと進み始められるんだという希望が、この本を読むことによって与えられて自分も歩きだそうって気にさせられる。

 天才で達観している中川というキャラクターも強烈なら、眼帯で学校では押し黙っているのに口を開けば悪口雑言がきーきーと飛び出し、蹴りまで放つかごめちゃんも超強烈。キャミソールにカットジーンズでぎゃんぎゃんと迫ってくるその肢体に、くらっと来ない男はいない。でもやっぱり1番は引っ込み思案なんだけどユキにはなついて、中川とユキが話している中に混じりたいとココアを飲んでやっぱり寝てしまう中川の妹のまいちゃん、かなあ。1回くらいしか出てこないのが残念。もっともそーしたキャラクター性で押す小説ってよりは、重なっていた道が突然に分かれてしまう理不尽を、周りの反応も含めてどう受け入れどう噛みしめどう昇華させていくのかってところから、モヤモヤとした悩みに足踏みしがちなティーンの心を刺激する青春ストーリー。読み終えて心の闇は消え、差し込む月光にやがて来る朝を思い、顔が上へと向くはずだ。

 けふのうちにうらわへいってしまふわたくしのあべちゃんよ、こがらしがふいておもてはへんにさわがしいのだ(あまるんくびとてちてけんじゃ)、こくあかいいっさうじゅうこうなさぽうたあからわらいがうくくとひびいてくる(あまるんくびとてちてけんじゃ)、黄色に青のせんのはいったこれらわれわれのゆのふぉうむに、おまへがまとうせばんごう六をつけようとして、わたくしはうごかぬせんすいかんのやうにこのふゆの移籍市場のゆくへをながめていた(あまるんくびとてちてけんじゃ)。

 真紅いろのうらわさぽうたあからかちほこるこえがびちびち伝わってくる、ああゆうき、移籍するといふいまごろになって、わたくしをいっしゃうくらくするために、こんなねっとりとしたあまるのくびを、おまへはわたくしにたのんだのだ、ざんねんだわたくしのいだいなあべちゃんよ、ちいむはもだえあしぶみしつづけるだろう(あまるんくびとてちてけんじゃ)、はげしいはげしいくるしみのあひだから、おまへはわたくしにたのんだのだ、うらわやとうきょう、なごやなどとよばれたちいむのかんとくからよせられたいせきをしないためにも……うらわのこまばのでじまにきいろはさびしくたまるだろう。

 ということを書かずにすんでいられれば、こんなに良いことはないのになあ。それにしてもいったいどうなっているのか阿部勇樹選手の移籍に関する話は10日って言われたリミットになっても未だ進展する兆しはなし。相当に迷っているってことなのか。1つに決まっているならそんなに問題もないんだろーけど。そうこうしているうちにセレッソ大阪から大久保嘉人選手が神戸へ移籍って噂が出てきたし、林丈統選手は京都から磐田に移籍が決定。復活の村井から飛ぶクロスに走り込んで持ち込みシュートを決めるワラシの姿が見られるかも。甲府のバレー選手はガンバ大阪でフォワードの移籍は活発ながらもそろそろ収束。そんな中にあってフォワードの駒不足が深刻なジェフユナイテッド市原・千葉に果たして新居選手は着てくれるのか。要田選手を放出しなけりゃ良かったのになあ。どうするのかなあ。


【1月9日】 つーってんで「月刊ニュータイプ」から広告を見て欲しくなったDVD−BOXリストーっ。バンダイビジュアルからは「魔法使いTai!」がOVAの6話とテレビシリーズの13話をセットにして3月23日に2万9400円で登場し、それからやっぱりバンダイビジュアルで「THE ビッグオー」の第1期と第2期をセットにして英語版音声まで収録したボックスを4月25日に3万6750円で発売。ちょい前の2月23日には「機動戦士ガンダム第08MS小隊」も2万5200円で出るんだけどこれはまあ、ファースト至上主義者としては関心のやや埒外にあて気分次第での購入ってことになりそーで、むしろ1月25日に出る「Aika」のリマスターボックスが、1万6800円とお安くその上に白見せ放題ってことから欲しい気をむらむらと沸きたたせている。

 さらに3月23日には「ラーゼフォン」のボックスが劇場版の「多元変奏曲」も込みで発売されるとかで価格は3万6750円とややお高いもののテレビシリーズを見られなかった身として欲しさ満々。山田章博さんの描く耽美で流麗なイラストなんかもたっぷり見られそーなところが購買意欲に拍車をかける。さらに4月4日には橋本一子さんによるCDBOXもリリースとか。どーせだったら幻の名盤「ichiko」をビクターには再発して欲しいんだけどジャズ方面へと向かってしまった一子さんの幻想性耽美性が色濃く残ったサウンドトラックを聴けるんだったら4500円なんて安い安い。買うしかない、って思っているけどそこまで記憶が持つかなあ。覚え書き覚え書き。

 「ロストユニバース」のDVDボックスとやらは例のヤシガニを無修正で収録してくれているんだったらちょっと欲しい気もするけれどそれは流石になさそーなんでパス。3月21日発売の「noir」のコレクターズボックスは音楽の良さとキャラクターの可愛さ恰好良さに惹かれないでもないけれど、ラストが何せアレだったんでDVDを1巻だけ買って止めたって経緯があるんで多分買わない。それより何より1月26日にゃあファーストガンダムのボックスの後編が出るじゃないか3万1500円。これは石丸の貯まってるポイントで賄えるけど同じ日にいよいよ「コードギアス 叛逆のルルーシュ」のリリースが始まってそっちも入れればポイントも尽きてしまうからなあ。以後はやっぱり現金か。貯めなきゃ。頑張って。良い仕事ないかなあ。

 てっきりアニメの地上波放送かと思ったら実写だったか「死神のバラッド」。のっけからわらわらと子役の男の子たちが出てきて、何が始まるのかいつからアニメに変わるのかとながめていても変わらず男の子はいかにも子役って口調でそれもとてつもなく辿々しく喋って耳になかなか厳しい。でもそのうちにそれも可愛らしいと思えてくるから人間の耳っていい加減。あるいはビジュアルの見目麗しさに気持ちも寛大になるってことなのか。モモを演じるはポスト小倉優子と評判らしー浜田翔子さんで銀髪に白いぞろっとした衣装でご町内を歩く様が微妙におかしい。お話は母親が死んで働く兄と頑張る妹を後目に酒浸りになる父親が、よーやく立ち直ったところで兄が死神へと連れて行かれる残酷さ。見て何のハッピーさも得られないディスな展開を好んで見る人なんているのかなあ。コスプレ翔子たんに半ズボン美少年目当て? でももうちょっと、心温めてくれそーなお話をお願いだ。暗すぎるよ今回は。

 女装だって似合っちゃう美少年が登場するって意味ではちょい似てる、訳ではないけれどまあ同じ「電撃文庫」ってことでお仲間に入れてしまおー鈴木鈴さんの新シリーズ「あんでっど・ばにすた!」は、何やら「五法」不思議な力を駆使できる少年の荻原真尋と少女の御船冬子のところにそーした「五法」の力をとりまとめ世間に役立たせようとする「諮問機関(カウンシル)」がら派遣されて来た少女セフィラが現れ、真尋を「アンデッド」なる五法によって生み出された不浄の存在を突き止める仕事に引っ張り出す。真尋とは幼なじみの冬子は真尋がセフィラといっしょにいることが気に入らず、後を付けるよーに雇っている佐乃宮司って長髪でくわえ煙草のおっさんと、それから黒島晶って見た目もうるわし男の子(21歳)に命じるもののそこは宮司に憧れている晶くん。女装してたってこともあって宮司にしがみついて嬉しがって、ご飯を一緒に食べよう食べられないなら泣いちゃうって可愛いところを見せてくれる。健気だねえ。

 そんな脇役たちのドタバタを後目に本筋では真尋と諮問機関のセフィラによる追跡は続いていたけど、そこに現れたのが当のアンデッド。実は諮問機関すら1目を置く存在で、なのに諮問期かから追われているのは妙だってことになって判明してきた諮問機関から来たと言い張るセフィラの正体。かくして過去を捨て自分を捨てて組織の命令に従い破滅へと突っ走る少女の哀しい運命が浮かび上がり、そんな少女を迎えて心を痛める真尋の苦悩が描かれ物語をドタバタラブコメからシリアスなバトルストーリーへと押し進める。

 ラストは「死神のバラッド」に比べればまだ爽快。だけどそれはすでに自分ではない存在になって生きのびて果たして嬉しいのか、単に周囲の自己満足に過ぎないんじゃないかって気もしないでもないところが悩ましい。あとアンデッドに使えるメイド姿のカジャのあんまり活躍していない所も気になる部分。涼元悠一さんの「ナハトイェーガー」に登場するヒルダくらいのドジっ子ぶりか、あるいはメイド刑事なみの爆発を次巻があれば期待したいところ。宮司と晶のほんわかラブシーンもあればなおオッケー。それが宮司には災難でも。


【1月8日】 1話からの一気見で『コードギアス 叛逆のルルーシュ』漬けとなった頭でレコード屋へと吶喊して、「FLOW」のシングルコレクションのDVD付きを買ってオープニングの「COLORS」をDVDで繰り返し見てほぼ完璧に覚え込む。あとは顔立ちをボーカルのKOHSHIみたいな阿部勇樹顔にすることが必要だけど、FLOWにはもう1人、阿部勇樹顔をした弟でギターのTAKEもいるからどっちなんだと言われそう。カラオケで披露するには眼鏡と帽子も必要かな。それより以前にカラオケなんぞもう5年は軽く行ってないし、これから5年、行く予定もなさそーなんで披露する機会そのものが無いんだけど。しょーがない家で手のひら振りふり唄おう。

 とか阿部ちゃんのことを思い浮かべていたらスポーツ新聞あたりが阿部選手の浦和レッドダイヤモンズ移籍確定を報じ始めて呆然。まあそりゃいつまでもジェフユナイテッド市原・千葉にいたって年俸も上がらず将来に渡って優勝争いの檜舞台に上がれるかも微妙なんだけど、でもどーせ移籍するんだったら阿部ちゃんには海外へと飛び出して、クレバーな読みでディフェンスをしつつ正確なフィードで善戦へとボールを供給しまくる、ACミランのピルロみたいな立ち位置を、ビッグクラブで掴んで欲しかったし掴めるって確信もあった。

 それがよりによって浦和レッズかあ。良いクラブだけど優勝争いはできるけど圧倒的な戦力の中にピースとして混じって楽しいのかなあ、だったら名古屋グランパスエイトみたなポテンシャルはあるんだけど今ひとつモチベーションの上がらないチームへと行って、藤田俊哉選手と中盤を組み本田圭祐選手を使い杉本陽太選手ヨンセン選手に得点を取らせて優勝争いをして欲しかった。ゴールを守るのは移籍したクッシー櫛野亮選手。とはいえあの藤田選手秋田選手を擁しても上がり切らないモチベーションが、どちらかちえばおとなしい阿部ちゃん1人で高められる訳もないしなあ。むしろ坂本隊長みたいなキャラクターの方が活性化につながるか。どっちにしてもここまで情報が並んで来ると阿部ちゃん抜きのジェフ千葉になることはほぼ確実。抜けた穴を埋める選手は誰になるんだろう? 立石結城水本ストヤノフに勇人コーキ羽生山岸巻青木? 1人足りない。困ったなあ。

 神保町へと出て「VELOCHE」で年間ベストの原稿書きを適当にやっつけて、コミック高岡で早売りの「月刊アニメージュ」と「月刊ニュータイプ」を買ったらどっちも付録が「コードギアス」の別冊大特集だった。ここまで揃うのって「ガンダム」以来だと久しぶり? それだけ評判も人気も高まっているってことの現れか。設定面の解説とかキャラクターの紹介とかメカのスペック披露とか、やりだせばいくらだって特集できる素材があるもんなあ、この作品。そーしたフックの多さが引っ張り込む人を増やしていつしか爆発的なムーブメントを引き起こす、なんてことになれば「ガンダムSEED」を除けば1995年から数年の「新世紀エヴァンゲリオン」が引き起こしたムーブメントに近い規模での活気が業界にやって来るんだけど。必要なのはストーリーをどう畳むかってところか。謎ばっかまき散らしてもいけないけれど予定調和すぎても後が尻窄みになるから、その辺をどう案配してくるのか、注目注目。

 ニーナのイレヴンこと日本人への神経質なまでの恐怖心がいったい何に根ざしているのかは不明だけれど、異なる存在に対して抱く謂われのない感情って奴はいつの時代にもどこの場所にも存在していて今だって、中東でバルカンでロシアで極東でさまざまな感情が交錯しぶつかりあっていたりする。それが激しい憎しみへと発展してついには武力による衝突へと結びついたケースもあれば、憤り憎み合いながらも表向きはかろーじて文明的な交流が続いているケースもあったりと状況は様々。もちろん諍いがなくなることに越したことはないんだけれどそれが、無理だとゆーならせめて共存し合うくらいにはなって欲しいものだと思うんだけどそれが出来れば世界の争いの大部分が消滅するくらいに、難しいことだけに悩ましい。

 三條星亜さんって人のこれがデビュー作になるんだろーか、「楽/園」(講談社X文庫ホワイトハート)って物語はマッチ箱に情報を入れてやりとりする情報屋の少女、って言うには身長が180センチくらいあってちょっと言い難いんだけど、年齢的には立派に少女なアレグリットに調査の仕事が持ち込まれて幕を開ける。何でもその街の一区画に住んでいた、背中に片翼を持つ不思議な力を持った一族が根こそぎ消失してしまい、背後に人種差別主義者の団体が暗躍していているらしく詳細を知るべく乗り込んだその街で、アレグリットは1人の幼い少女と出会う。サキユとゆー名の少女は消えた片翼を持つ一族の司祭の資格を持っていて、一族を襲った迫害をたった1人生きのびて隠れていたのだった。

 もっともそこで正義に燃えて彼女を救うべく大立ち回りを演じるかとゆーと、情報屋として生き馬の目を抜きキャンディーにして売るくらいの大胆さで生きのびてきたアレグリットだけあって、サキユをとっとと街の大金持ちに引き渡して金をもらい一仕事を終えた気になっていた。ところが事情は一変し、サキユの命が危険にさらされ民族差別の主義者たちが現れた時、自身が出自故に差別を受け続けてきたアレグリットの心に火が着き巨体を跳躍させ四肢をふるってサキユ救出へと向かう。民族対立と差別の問題にアウトローたちが暮らす街の恐ろしさ、善良さの仮面に隠れた悪辣さ等々、教訓になる所も多々ある上にキャラクターもアレグリットは当然、ちょっぴりドジなところのあるサキユ等々、生き生きとしていて見ていて飽きない。どうにか平穏な場所へと落ち着いた物語がこの先にどんな展開を見せるのか、その中でアレグリットが抱える能力がどうして半端なのかも含めて明らかにされるのか、気にしつつシリーズの展開を追って行こう。


【1月7日】 思い立って録画しっぱなしになっててほとんど見てなかった「コードギアス 叛逆のルルーシュ」を1話からざっくりと見返す。つか最新の放映話数から遡っていく感じで見たんだけど最新の回でいきなりお下げの眼鏡っ娘ことニーナがなにやらゴシゴシとやっていたのに仰天。そののけぞりっぷりに「少女革命ウテナ」の様式的な耽美表現を思い出したけどああいった形式を楽しむ作品と違ってリアルでシリアスな展開を旨とした作品に出てくるそのシーンが、単にい1キャラクターの厚みを増すってだけでもなければマニアックなファン層のコミュニティに蒔かれた餌でもなく、後々の物語に何がしかの影響を与えるものだってことだけは信じておきたい。でなきゃニーナ、可愛そう過ぎるよ。

 んで物語。なるほど最初はどーしてブリタニアなんて国が日本なんて極東まで出刃って占領したんだろうって不思議だったけど遡って判明、日本には何やらサクラダイトとかってゆーレアメタルが眠っててそれがナイトメアとかゆー「GPX」マシン、じゃない人型何とか兵器の製造も含めて世界に欠かせないものらしくってそれを狙っておそらくは、アジア大陸からも食指が伸びていたこともあって世界を一手に握りたい超大国としてもみすみす放ってはおけないと、進軍して占領したってことなんだろーなー、きっと。易々と占領を許したのは単なる兵力の差ってよりはサクラダイトの産出に浮かれつつ世界に八方美人的な対応をしていたか、ブリタニア帝国とやらと同盟でも組んでて防備をおろそかにしてしまていたってことの反動か。そーした地理的政治的歴史的な部分でも納得可能な設定って奴が組まれているかどーか。これからのムックとかの展開に期待。作る人もきっと大変だろーなー、歴史地理政治経済を勉強しないと書けないから、絶対に。

 そーした設定面での想像し甲斐も人気の秘密だろーし、キャラクターのビジュアルもおそらくは人気を支える要因だろー。CLAMPさん原案の細身だけど凛々しいキャラは「機動戦士ガンダムSEED」あたりを軸に賑わったキャラとはまた違った赴きがあって気持ちをあれこれ乗せられそう。男子だけじゃなくって女子もなかなかに力の入った作画っぷりでボディのラインをここまでエロティックに描いてくれている作品もなかなか久しぶりなんじゃなかろーか。たとえばカレンの搭乗スタイルとか前屈みになっているもんだから当然にして垂れ下がるんだけど鍛えられているのかたわみとかなく引き締まって見えてなかなか。

 あとC.Cって得たいの知れない「無限のリヴァイアス」で言うところのネーヤみたいだけど感情も人格もあるあたりがちょい違う少女のお尻の作画っっぷりが素晴らしい。オープニングから何しろ画面いっぱいに広がる絵があるんだからスタッフの愛着が分かるってもので、パンタロンみたいなものを履いていても脱いで横になってシーツにくるまれている時でも、その丸みをしっかりと描いてあるからなー。男性と女性のボディラインで決定的に違うのは胸元だけじゃなくって腰からお尻のラインだってことをちゃんと知ってる。その凝りっぷりがコーネリア総督のボディラインをどー描くかに興味があるんだけど、登場以来ずっと軍服みたいなものを着ていて、ショットもバックが少なくってどーなっているのかやや不明。グラマラスなのかスレンダーなのか。サービスシーンの当来を待とう。それよりまさかご退場、ってこはないだろーね?

 ところでこれって最終条件をどの辺りに設定しているかによって展開も帰結も変わってきそう。ルルーシュによるブリタニア帝国皇帝の殺害? でもそれだけだとルルーシュの自己満足でしかなくって世界は代わりの皇帝が即位して相変わらず日本も含めた世界の統治は続くだけ。かといってブリタニアをとりあえず日本から退け、ルルーシュが代わりに日本を代表する存在となったところで東にアジア大陸があり太平洋を超えてブリタニアが存在する地勢的な中で日本が果たして以前のよーな独立国家の状態を保っていけるのか、その時に占領し移住していたブリタニア人たちと日本人たちの融合なり共存なりは図れるのか等々、1年2年じゃあどーしよーもない問題が山積みになっててラストシーンをちょっと予想できない。「機動戦士ガンダム」だってあの感動のア・バオア・クー攻略の後に長い戦争があってそれは「逆襲のシャア」まで続きおそらくは更に続いた訳だしなあ。そのあたり風呂敷をどこまで意識して広げてあってどう畳んでみせる気か、お手並み拝見といきましょう。

 サッカー成分が不足して来たんで西が丘まで「全日本大学サッカー選手権」を見物に行く。途中で入った松屋に店員が1人しかおらず大変そう。牛めしが出てくるまでに5分以上かかるのはちょっと問題だよなあ、どんなシフトになっていたんだろう? 本蓮沼で午前じゃあアルバイトも集まらないのかなあ。んでもって試合は期待していた早稲田大学のチアリーダーが衣装になることなく上下をウォームアップスーツで固めていて見るべき場所もなく、バックスタンドの応援席のそばに座った甲斐がまったくなかったんでそそくさとゴール裏へと移動しサイドチェンジとかがどう繰り広げられるかを確認しながら観戦する。

 試合は早々に早稲田が得点してそれから着実に積み重ねて3点まで。これで勝ちだと確信して会場を後にする。立命館も1点を返したみたいだけど結果は4対1で早稲田圧勝。次の準決勝で流通経済大に勝てばいよいよ国立でおそらくは駒沢との決戦かあ。楽しみ。流通経済大と駒沢もリーグのリベンジってドラマが乗ってて面白そう。かくも楽しみが豊富な大学サッカーなのに観客が高校サッカーの10分の1程度でのは、どうなのかなあ。でも組織面とか割りにきっちりしていた八千代高校の試合っぷりをみると早稲田であっても組織プレーやコンビプレーに滞りが見られパスミスなんかも割りにあったりする大学サッカーがJリーグを頂点にしたサッカー・ヒエラルキーからやや外れてしまっているってのもちょっと分かるかなあ。

 昔みたいに大学からプロ行きって選手をもっといっぱい出せばそれでも変わってくるんだろーけど、早稲田の中心にいる兵藤慎剛選手をじっと見ていてなるほど大学レベルでは抜けていても決して圧倒的じゃなく、このままプロに行っても体力的に置いていかえる可能性があるかもしれない。国見高校じゃああの平山相太選手と並び称される選手だったしワールドユースの舞台でも妙に重用されていたからもっと凄いプレーをしてみせてくれると思っていただけに普通っぷりが残念。だからこそ今の五輪代表に名前がないんだろーなー。勿体ない。高校サッカーで決勝に駒を進めた盛岡商業から入った山本修斗選手は出場しておらず見たかったけど見られず。何だろー累積での出場停止? それなら決勝には戻って来てくれるだろーからそっちを待とう。いずれにしても次の試合の勝利が条件。決勝ならばチアリーダーもちゃんとそれなりな恰好をしてくれるだろーから期待して見に行こう。違ったら泣いちゃう。

 読もうとしてお風呂に落としてぐちゃぐちゃになってしまった本田透さんの「円卓生徒会」(集英社スーパーダッシュ文庫)を買い直して読んだら夏緑さんの「ぷいぷい」だった。いやあっちは居丈高な女の子がランプの魔人とゆー出自に従い冴えない少年に仕えることになって当人としては嫌で仕方がなくって文句を散々っぱら言いながらも契約が途切れるまでは離れられないって設定で、こっちは高飛車な女の子が魔女とゆー出自に従い冴えない少年に隷属することになって当人としてはすぐにでも逃げ出したい気分なんだけど魔力をご主人のために使い切るまでは離れられないって設定だからほら、まるで全然違う……でしょ? いやまあそれでも舞台が異世界になって少年が美少女騎士を周囲に増やしながらアーサー王伝説に従い力を得て行く展開は「ぷいぷい」とは違うからそれはそれで楽しめる。ランスロットって美少女騎士がセイバーちゃんっぽいのもご愛敬。そんな騎士たちを侍らせ現世へと戻った少年と少女たちとのドタバタが、また読めると嬉しいかも。


【1月6日】 新番組って訳じゃないのか「カレイドスター」は第1シーズンのうちから半分くらいをピックアップして放送するダイジェスト。オープニングのSugerによるたどたどしい歌声「Take it Shake it」をGONZOの10周年記念CDじゃなくって初めてみたぞ。それくらいに本放送を見ていなかった作品だけど、こーして見るとなるほどヒットした理由がよく分かる。動きが良いしテンポが良いしキャラが良いし太股が良い。でもってきっとストーリーも良いんだろー。表情とか「銀盤カレイドスコープ」の動きの付け方に似てるところもあるから「銀盤」の放映直後に「カレイドスター」からの影響云々をストーリーやタイトルも含め言及されたってのもなるほど仕方がないことか。

 けどでもやっぱりキャラクターマーチャンダイジングには向かない作品だよなあ。武器とか変身グッズとか出てくる訳じゃないし。1年で終わってしまったってのも半ば仕方がないことか。とはいえ放映が終わってもう何年も経つアニメが月刊漫画誌への漫画掲載ってゆータイミングに合わせてか何かの理由でスポンサーが付いて放映されるのはちょっと珍しい。新作の制作を中止したりしているのに何でまた旧作のスポンサーになんかなっているんだってお怒りのバロットちゃんとかいそーだけど、比べてかかる費用もきっと桁が違うから仕方がない。

 それだけに本放送の時にそれなりに話題になりつつも滅茶苦茶な大ヒットとは至らずひっそりと幻の名作として語り継がれていた作品が、真夜中にダイジェスト放送とは言え改めて衆人の目に触れる機会を得られて、そこから新たな評判を招いて続編映画と発展していく、なんてことになれば放映されてDVDが出てそんでおしまいなサイクルすら崩れつつあるアニメのレミング的“死の行進”に一石を投じて、良い作品さえ作っておけば後にいろいろ余録も生まれるんだってポジティブなサイクルが出てくれば面白いんだけどなあ。つか「カレイドスター」ってDVDって何種類出てるんだ。初回限定版とか通常版とか1期と2期をまとめたボックスとか。そのまとめボックスは8万円とか目茶高だし。かといって1期だけのはもう無いし。買うかまとめ箱。

 んで「セイントオクトーバー」。いきなり街頭のそれも大きなテレビを何故か公園で眺めながら向かい合い両手を組み合わせて経つ女の子2人の映像が出てきたけれどあれは何の儀式だろー、「ダーティペア」が必殺技を出す時のポーズを真似たとか。やや塗りが平べったくって合間に出てくる「ときめきメモリアル Only Love」の陰影がしっかりとした塗りが映画級にゴージャスに見えるし、キャラの線の固さがやっぱり合間に出てくる「おとぎ銃士赤ずきん」の絵を妙に柔らかく生き生きと見せてしまう。ンじゃあ見所がないかってゆーと妙にほのぼのとしてのんびりとして阿呆っぽい展開が面白いっちゃー面白い。妙な衣装で摩天楼で会議する悪党とか。中の秘書っぽい女性がどこか浮いている感じなところか。次回予告のバックで徒手体操をしているチビキャラの3人の動きも楽しいし。ってかそこが1番に見所だったかも。声が決定的に微妙だけどまあそのうち聞き慣れるだろー。馴れる前に終わる可能性もあるけれど。

 ちょー、おまー、八千代ーっ。昨日の準々決勝で見せていたパスサッカーの華麗さに、こいつを是非に現場で見たいと今日の準決勝を国立まで見物に行こうと思って見上げたら降りしきる雨。こりゃ無理だと諦めつつでもまあ今の八千代なら決勝に出てきてくれると信じて帰ってテレビで後半だけ眺めていたら何だ八千代が押されまくりの展開に。幾度となくディフェンスラインを破られ1対1となったゴールキーパーが幾度となく止めて、無得点のままロスタイムまで来てしまう。

 これはPK戦だと確信した時間帯に得た盛岡商のコーナーキック。上がったボールを滑るからと用心してパンチングで弾こうとした八千代のゴールキーパーだったけど、予想以上に強いキックに弾ききれず滑り前へと飛ばず後ろへと転がってインゴール。そこから返そうとしても時間が1分もなく、ホイッスルが鳴り残念にも八千代はここでさようなら。グルノーブル入りが決まった伊藤翔選手に続いてJ入りの決まっている2人の選手をこれで高校時代に見ることが適わなくなってしまった。やっぱり行っておけば良かったかなあ、野洲との試合を市原臨海まで。反省を踏まえて明日の市原臨海の全日本大学サッカー選手権で巻弟原弟のいる駒沢を見に行きたいけれど、遠いんだよなあ朝早いんだよなあ。西が丘の早稲田で我慢しておこうかなあ。チアリーダーも早稲田ならいっぱいいそーだし。

 新年だってゆーのに誰を呼ぶでもなく誰からも呼ばれることもない雨の週末を、無愛想が醸す人徳の無さを達観しつつ電車に乗り込み読書読書。これもまた人生だ。マンションに引きこもり冷房の効いた部屋でパソコンを駆使しながらデータを集め探偵として活躍する「ニート探偵」が熊柄のパジャマを着た女の子で、下はズボンじゃなく何故かニーソックスで傍らに大きな熊の縫いぐるみを置いていて食べるのは具なし麺なしのネギだけラーメンで、貧弱故に割り箸を割る力がなく腕をぷるぷるとさせながらよーやく割ったら途中で折れて長さが半端になって、そんな様にぐすぐすと涙を流しつつそれでも具なし麺なしのネギだけラーメンスープを食べ終わると冷蔵庫からドクターペッパーを取ってこさせてごくごくと飲んでは悪口雑言をまき散らすってゆー、そんなキャラクターが出て来るってだけでもうファンがついたも同然、勝ったも同然、かな。

 けど杉井光さんの「神様のメモ帳」(電撃文庫、610円)はそんなキャラクター性だけじゃなくって「ニート」ってゆー昨今話題の人たちを、穀潰しってんじゃなくって敢えて何もしないで己が生き方を貫こうとする人たちととらえ、そんな人たちが1つ目的を得られた時には一致団結して事にあたるってゆー前向きさを描いた点と、あと若者の間に蔓延っているドラッグに新しい物が誕生してそれが不思議な方法でもって浸透していくミステリアスな設定を盛り込んだ点が、お話を厚くして読む人をぐっと引きつける。

 苦い展開があってそしてほのかな期待を持たせるエンディングがあって読後感も引きずる痛さはありつつも安寧。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「たったひとつの冴えたやりかた」に出てくる重要なキーワードを1文字だけ変えて看板に掲げた美少女ニート探偵、って点もマニアの関心を引き起こしそう。岸田メルさんのイラストも静謐な感じがして良いなあ。とりわけ折り込みの口絵のミニポスターのアリス。ニーソックスの奥に見えているアレはアレ?


【1月5日】 明け方にかけて「全日本女子サッカー選手権大会」の決勝「TASAKIペルーレ対湯郷Belle」の放送を見たらいやあ、巧いなあどの選手も足下でぴたっとボールをおさめてそれを走り込んでいる他の選手へと渡してさらに自分も走るから、見ていてぽんぽんとボールが回って心地良い。ひとつにはプレッシャーが薄いってこともあるんだけど開いているスペースにちゃんと動いてもらうプレーが、チームに浸透しているからこそ出来るんだろー。

 鈴木智子選手のゴールシーンも鮮やか。1点目はサイドでかわした選手のシュートがバーに当たってはねかえった所に詰めてて2点目はディフェンスをひらりとかわしてシュート。このスピードとテクニックが代表に加わればワールドカップ行きにも大きく近づくんだけど。まあ上に荒川恵理子選手がいて大野忍選手がいて同僚に大谷未央選手もいるから代表入りしてもレギュラーとなるかは微妙なんだけど、調子の良さはこの3人に並ぶか上なんで勢いを保って先発もつかみプレーオフでのメキシコ撃破、そして中国でのワールドカップ行きを決めてもらいたいもの。頑張れ女子サッカー。酒井與惠選手も。

 えっと2007年だよなあ今年は1997年ですらないよな。なのに「週刊サッカーマガジン」も「週刊サッカーダイジェスト」も新年最初の号でカズこと三浦和良選手が共に表紙ってのが何とゆーか不思議ではあるんだけど、でも異常だとは思えないのはリーグのトップカテゴリーに所属するすべての選手たちを並べても1頭、カズが抜きんでる存在感を放っているってことなんだろー。

 控えじゃなく先発で試合に出て得点もするパフォーマンスに加えて、チームメイトたちを叱咤し自ら率先して体調管理にも努めるプロ意識。「サカダイ」で北沢豪さんに聞かれて応えたそれら諸々はまさにキング・オブ・サッカー選手に相応しい。だから表紙でオッケー。インタビューはやっぱり北沢さんをインタビュアーに持ってきた「サカダイ」のほうがちょい、くだけててそれでいて必要なことはちゃんと喋っているから上、かなあ。

 とくに負け試合の後でのモチベーションの保ち方とか、そこで見ている人じゃなきゃあ分からないことを話してくれている。試合に出ていなかった三ツ沢での東京ヴェルディ1969相手の負け試合で「下向くな」と呼びかけたら山口素弘選手だけは前を向いていて顔色も変わっていなくて冷静で、これなら大丈夫と感じバスでホテルに到着してから2人で勝つぞ上向け賞金上げるぞと騒いだらみんなものって来て、それで気分がリセットされて次に臨めたってゆー下りはベテランの経験の大切さって奴を教えてくれる。これが分かっていればドイツのベンチに藤田選手なり松田選手がいたんだろーけどワールドカップ。

 それにしても「サッカーマガジン」はサイドの企画が阿部勇樹選手に山岸智選手に水野晃樹選手へのインタビューとジェフ尽くし。阿部ちゃんは真正面からだと妙にほんわかする所を斜め下から見上げるよーな目線をした顔写真にして片眉をちょい上げさせているから何か強そう。これで口元をちょい上げていたら凄みも出たけどそれやっちゃうと恰好付けすぎなんでまあこの辺で。試合中にキックを放つユニフォーム姿の顔はやっぱり引き締まっているなあ。この顔が今シーズンもフクアリで見たいなあ。瑞穂とか味の素とか埼玉とかじゃないと良いなあ。

 山岸選手水野選手は恰好付けなくってもイケメンビーム。コーキなんて前髪ちょい長めにして目にかかってるもんだからもうとってもアイドルっぽい。試合がなくなってしばらく経つからなのかちょいほっぺた、ふっくらしているのが気にかかるけど。話していることは謙虚でシーズン前半の調子の悪さを自戒し未だスタメンに定着していないことを自覚して、それができないうちはフル代表はもちろん五輪代表にだって選ばれないかもしれないって、ちゃんと分かっているよーなんで一安心。けどシーズンに入ると上った血がまた苛立ちを起こさせる可能性もあるからなあ、コーキ。冷静に。キャプテン&隊長の牽引がまだまだ必要だよ。


【1月4日】 仕事始めも近いと思うと気分も盛り下がって明け方に「ザ・スタイル・カウンシル」のもう1年以上も前にワゴンセールで拾ってあったDVDを流して横目で見たりしながらネットを徘徊。聴きながら「シャウト・トゥ・ザ・トップ!」とかその昔「ベストヒットUSA」だか「MTV」だかで流れてた旋律の懐かしさに心を若くし、あの頃はいろいろやりたいこともあったもんだと振り返り、それに比べて今はどうだと自問してまあそれなりに出来てはいるけれど無駄な時間もいっぱい使ってて、残り少ない人生にはたして費やすだけの価値があるかと思い気分を底に沈める。

 それでも詞の内容はともなくサウンドはカフェバー的なお洒落さ明るさに溢れた「ザ・スタイル・カウンシル」だけあって、80年代的ロードレーサーが出てくるこれも名曲の「マイ・エヴァ・チェンジング・ムーズ」なんかを聴いていると気分も軽くなるから音楽って有り難い。音の重ね合わせに響くブラスやピアノの旋律が何とも80年代的で心地よい。こーゆー音楽がやっぱり好きだなあ、ラップやミクスチャーは苦手だよ、とか言いつつ大晦日の「カウントダウンTV」を見ながら懐かしさに惹かれYU−KIちゃん(そろそろ40歳)の変わらぬ愛くるしさに打たれた「TRF」のビデオクリップ集を見ながら、ダンスもビートもこれはこれで悪くないと思う明け方。この辺割といい加減。ビデオだと「Unite! The Night!」が好きかなあ、珍しくタイトスカート姿で脚にょっきりでゆったり闊歩するYU−KIが実にセクシィで。

 そんでもって眠って夢にYU−KIちゃんとか出てきてくれれば嬉しかったのに、見たのは何とかトレーディングってゆー、どうやら何でも運ぶ運び屋みたいな仕事がちゃんと会社組織になっているところに行って、採用の面接を受けようってゆー話でこのあたりやっぱり現状へのいてもたってもいられなさ、って奴が影響しているのかと後になって振り返る。夢だけあって流石に不条理で、受付でこちらの名前を言うと手渡されたのが大きめのカフスボタン。それも5つくらいでどーやら背広に開いているボタン穴にはめるのがその会社での流儀になっているらしい。現れた別の人もそーやって付けているのを見て自分もせっせとはめ込むんだけど背広なんて空いてて3つくらいのボタンホールがどーして5つとか開いているのか、その時には気づかない辺りもやっぱり夢の不条理故か。

 でもって面接を受けていると、テーブルでいっしょに受けている若造が新聞のブランケットを繰りながら応対していてそいつがどうにも頓珍漢。こっちはそれなりな経験もあって受け答えは抜群、もう採用は確実かと思われたところでフェードアウトして、それからしばらくして続きが始まって面接していた人が社長らしき人から面接官がどうだったかと感想を聞かれている所に居合わせて、そりゃどうもと挨拶したら社長の人が押井守さんだったとゆー、この夢の意味するところがまるで分かりません。夢の中で国際的な運び屋企業の仕事を小川一水さんが小説に書いているって受け答えもしていたけれど、それが何だったか思い出せず目ざめて考えたらそんな小説は書いてないって気が付いた。特配課はちょっと違うし。でも書いてて不思議じゃないところが小川さん。民営化もされたことだし世界に羽ばたく特配課、また描いてみませんか。

 んで仕事へと出向いてニュースを聞いていたら渋谷区で歯科医の娘が家の中で殺害されてバラバラにされて発見されたという事件が飛び込んできて、両親と長男は帰省していて次男は大晦日から合宿で末娘の長女は家に残っていて最後に両親が娘と話をしたのは30日だという辺りからこいつはひょっとしたらと思っていたら案の定に夜になって容疑者が浮上。たぶんそうじゃないかとゆー動機も出てきてどーしてそんな安っぽいドラマみたいな展開になるんだろう人間ってもっと立派な生き物のはずなのにとやりきれなさに沈む。でもまあ案外に安っぽいのが人間で、だからこそ安っぽいドラマの展開を笑いながらもあるいはと思いながら見てしまうのかもしれないなあ。

 さらに夜になって殺害された妹が06年12月に行われた舞台で初舞台を踏んだ女優の卵だったことも判明。芸名で自分のブログも開いてて、すでに見られなくなっているけれど残っていたキャッシュに最後の日付のものもあってフカフカの猫と戯れながら兄とか家族の話を書いていて、いろいろ大変だけどともかく自分の夢を実現するんだって頑張っている感じが漂っていて、それがもうかなうことはないんだと思うと読んでて涙が出てくる。いよいよこれからだ、ってところだったのになあ。フライヤーに顔写真も末尾とはいえ掲載されているってことは、それなりの役ももらっていたんだろー。共演はテレビなんかで活躍している俳優たちで、見初められ引っ張られればさらに大きな舞台にも、って希望に溢れていたこの年末だったんだろー。それが……。

 そんな一つ仕事を終えた達成感があるいは兄への諫言につながって、身の不幸を招いてしまったんだとしたらやりきれなさは更に募る。と同時に、その手で人を殺めてしまっただろう兄の、現在の心に去来している罪悪感の凄まじさにも思い及んで身が震える。すべてが曲がってしまったその瞬間を、元に戻せるんだったら人は神様に残る人生を捧げたって構わないと誓えるだろう。悪魔にだって魂を売りたくなるはずだ。でも時間は戻らない。だから常に冷静であらねばらないと感じる新年深夜。それにしても不思議で不気味なIT社会。予想なんてまるでしていなかった事態によって夢を断ち切られ、人生を閉じられ、けれどもそれまでの軌跡が綴った思いとともどもにネット上には残されていて、追跡できるんだから。自分が何かをしでかした時、あるいは何かしでかされた時に残る軌跡はどんなプロファイルを浮かび上がらせるんだろう? オタクでした。ああなるほどね。かな、やっぱり。

 第136回芥川賞候補が決定したけど青山七恵さん「ひとり日和」も佐川光晴さん「家族の肖像」も柴崎友香さん「その街の今は」も田中慎弥さん「図書準備室」も星野智幸さん「植物診断室」も読んでないからどれが優れているかは不明。名前で選ぶんだったらやっぱり星野さんかなあ、あと佐川さん。個人的には長く愛読している柴崎さんにそろそろ取って欲しい気も。捻れてなくって真っ直ぐで読んで爽やかでそれでいて青春に染みる作品が好きなんだ。候補作がそうかは知らないけれど。第136回直木賞候補も決定。池井戸潤さん「空飛ぶダイヤ」も萩原浩さん「四度目の氷河期」も北村薫「ひとがた流し」も佐藤多佳子さん「一瞬の風になれ1〜3」も白石一文さん「どれくらいの愛情」もやっぱり読んでない。「一瞬」は買ったけどまだ未読。唯一の既読作の三崎亜記さん「失われた町」は無いよね、さすがに。選ばれそうなのが萩原さん白石さんで対抗に北村さん、かなあ。でも誰が受賞しても驚きがないのが今回の両賞。もうサプライズは止めたのかな。


【1月3日】 チアリーダーを見に行く、じゃなかったアメリカンフットボールの試合があるってんで東京ドームへ「ライスボウル」を見に行ってついでにチアリーダーを拝めればって思ったけれど、立派に鍛えられた社会人側のプロフェッショナルなチアリーダーたちを間近に拝めそうなオンワード・スカイラークスの応援席は動員された人たちで既にいっぱい。ならばと法政大学の側へと回ったものの同じ日に箱根駅伝があったせいで法政大学応援団チアリーダー部の半分くらいが大手町へと回っていて10人ほどしかおらず、臍も脚も出して飛び跳ねながら応援するオンワード側に比べて見劣りすることしきり。それでも若さで乗り切れるだろーと期待半分不安半分で着席して、繰り出される演技を見つつその向こうで始まった試合の方もちらちらと見物していたら。何と。試合が面白くなって来た。

 いきなり法政大学側のキックオフをオンワードがキャッチしそのままリターンでタッチダウンへと持っていってしまうプレーが飛び出し、これは学生側も蹂躙されるんじゃないかって諦めに似たムードが漂ったけれど、そこから得た攻撃権を法政が着実にファーストダウンへと結びつけるドライブを見せてゲインを獲得。最後にタッチダウンを奪って同点に追いついてしまう。ここで供にトライ・フォー・ポイントを外してしまったのが1つには勝敗の分かれ目になったのかもしれないけれど、総体的には法政側が犯したミスをオンワードが見逃さず着実に得点へと結びつけたことが大きかったってことか。法政が同点に追いついた直後のオンワードの攻撃で、長いパスをワイドレシーバーが走って受け取りそのままタッチダウンってプレーが飛び出したのも、試合が始まったかりで守備を煮詰め切れていない法政側に気持ちの緩みがあったからだろうし。

 それでも同じクオーターできっちりと同点に追いついた所が法政のすごさが。続く第2クオーターでは守備も立て直して来てオンワードの逃げ切りを許さない。超ロングのフィールドゴールを決めたオンワードに対して、やっぱりフィールドゴールで追いつき迎えた第4クオーター。パスにランに冴えまくった法政クォーターバックの菅原選手が自らダイブしてタッチダウンを決めてリードを奪ったんだけど、ここでトライ・フォー・ポイントを決められなかったのが第2の勝負の分かれ道。オンワードにタッチダウンとトライ・フォー・ポイントを決められ1点のリードを奪われ、さあ巻き返すぞって攻撃で相手の地面すれすれに蹴られたパントを法政の選手が跳ね返す形となってそれをオンワードの選手が抑えて攻撃権が相手に渡ってほぼ万事休す。あとはじわじわとヤードを獲得して時間を進めるオンワードの攻撃を止めて奪い返すまでには至らず、法政が1点差で晴れの初優勝は果たせなかった。

 それでも去年のオービック・シーガルズ相手の30点差負けから今年は1点差にまで詰めた頑張りはなかなかなもの。菅原俊くんってクォーターバックが好選手だったのとそのパスをサイドに短く走って受け取りヤードをゲインするワイドレシーバーの頑張りが効いたって言えそうで、それだけに相手クォーターバックの長めのパスをワイドレシーバーに幾度となく通されてしまった守備陣のもうひとふんばりが効かなかったことが惜しまれる。あとはやっぱりトライ・フォー・ポイントはきっちり決めておけってことか。

 好試合に肝心のチアリーダーも霞んでしまったけれど、後半になると箱根駅伝組も加わって応援団もスタンドに入り好試合も重なってなかなかの盛り上がり。これだから生のスポーツ観戦は辞められない。チアリーダーでは1人、黒めの髪をして背はそれほど高くない、リーダーっぽい雰囲気を持った人が両腕をあげても肘がまがらず動きもシャープで目に付いた。何より脚がまっすぐ、そして高く上がるのが素晴らしい。ラインダンスになっても1人だけ、頭の上までつま先が上がっているんだから凄いなあ。近寄って観察したかったけれどそこから振り下ろされるかかとが脳天に食い込み昇天する可能性が大、だったんで断念。しかし良かった。また見たいけどどこに行けば見られるんだろー? 野球は先だし。

 危機は外ではなく、内にある。それは組織の外ではなく同じ組織の内にということであり、また人が持つ心の内にということだ。メディア良化法が施行され、表現が著しく制約を受けるようになった近未来の日本にあって、唯一表現の自由を守れる存在が図書館。図書館法を根拠にどんな本でも保管し、閲覧させる力を持った図書館に対して法務省は、メディア良化委員会を使って武力も辞さない弾圧を続け、対抗して図書館側も武装した図書隊を組織して、メディア良化委員会の攻撃に立ち向かっている。

 そんな図書館の戦いを描きつつ、表現の自由が脅かされる薄気味悪さをえぐり続けてきた有川浩のシリーズ「図書館戦争」「図書館内乱」に続く第3弾「図書館危機」(メディアワークス)では、じわじわと図書館にしのびよって自由を蝕む“危機”の存在がくっきりと浮かび上がる。前作「図書館内乱」で存在が明らかになった、表現の自由をいったん譲歩してでも図書館を法務省に匹敵する政府組織に格上げして、対抗すべきだと考える一派もなるほど危険な存在ではあるけれど、方法論こそ違え同じ志を持った図書隊の仲間であって、今回は敵としては直接的には対峙しない。

 今回の敵はまず見方のはずの図書館にあった。茨城県の県立図書館と隣り合わせの近代美術館が募った美術展で入賞した作品は、メディア良化委員会の制服を使い表現の自由を脅かす存在を挑発するテーマを持っていた。当然ながらメディア良化委員会は反発して攻撃を画策するものの、そこには県立図書館もあって当然ながら防衛組織も存在しているはずだったが、県庁から赴任して来た県立図書館の館長が煮え切らない。大過なく人気を過ごして県庁に戻りたいと考える事なかれ主義で、武装闘争を嫌い話し合いでメディア良化委員会と退治しようとアピールする「無抵抗者の会」なる組織に肩入れしては、県立図書館にもあった防衛機能を弱体化させていた。

 そのため図書館組織側では、入選作を奪おうと目論むメディア良化委員会の攻撃が迫る中、訓練を受けた隊員たちで組織される特殊部隊を県立図書館へと派遣して、迫るメディア良化委員会の攻撃に備えさせる。シリーズの主人公で、170センチの長身と猪突猛進な性格を持った女性図書隊員の笠原郁も、特殊部隊の1人として同僚の手塚や上司の堂上、隊長の玄田らとともに茨城県へと乗り込んで行く。到着すると県立図書館の防衛隊は、業務部から疎外され差別を受けても黙っているという悲惨な状態。すべては事なかれ主義の図書館長がもたらしたものだった。まさに敵は内にあり、郁たちはメディア良化委員会の攻撃を前に、まず内部の敵を相手に戦う必要が迫られた。

 そうした障害を乗り越えて、クライマックスは県立図書館を舞台にした笠原郁たちとメディア良化委員会の銃弾飛び交う攻防が繰り広げられることになるが、メーンとなる茨城県立図書館での攻防へと至るまでに描かれているのが、表現の自由に対する人々の無関心をえぐるエピソードだ。玄田と仲の良い週刊誌の女性編集者が、当代1の人気俳優にインタビューへと言って聞き出した話を記事にしようとした過程で起こったトラブルを描くエピソードで、旧来から使われてきた言葉が、根拠もはっきりとしないまま差別的だとパージされていった過去の状況を示しつつ、そうした状況がもたらすだろう雁字搦めの表現機制に思い足らず、法律の成立を許してしまった人々の無関心が指摘される。

 明らかに不穏当な言葉が制約を受けるのは仕方がないとしても、それは法律とか、何某かの圧力によって行われるものではなく使う人の心が判断して決めるのが望ましい。1つでも法による機制を認めれば、それは後にいくらだって拡大解釈されて為政者権力者の言いように使われる。例えば児童ポルノの問題。子供の虐待に直接的につながる写真や映像が規制を受けるのはやむを得ない。だから法律が施行された。しかし施行からさほど時を得ていない昨今、施行の当時にも問題となった、絵なりCGといったものへの規制強化がふたたび囁かれ始めている。そしてメディアには絵やCGの規制もやむを得ないといった空気が漂い始めている。積極的に後押ししないまでも表だって反対しないことで流れを規制へと向かわせている。

 表現の自由が保障されるためには、過剰な表現は規制されてもやむを得ない。そんな考え方が背後にあるのかもしれないがしかし、メディアは大事なことを忘れている。今は攻撃に回っていても、いつかは攻撃される側に回される可能性があるのだということを。1つの組織を敵と味方に分断し、片方に片方を攻撃させて潰した後で残る片方をさらに分断して互いの勢力を削らせ弱体化させて、最後に組織をまるごと潰すのは歴史が示す権力者による統治の常道。なのにメディアはそれに気づかないか、気づかないふりをしているかで共闘へと回らず同じ表現の自由を求め戦う仲間を攻撃に回り、自らの延命を計ろうとする。

 メディア良化法に縛らせた「図書館」シリーズの世界は、もはや絵空事ではなくほんの薄紙1枚隔ててすぐそこに存在する。大きすぎる危機を前に、メディアには内ゲバにも似た状況を改め、また世間にも自由への制限がもたらす危機をもっと感じ取って欲しいものだけれど、そうした危機意識を煽る力を持ったメディア自身がこういった状況なのが悩ましいというか。それこそ「図書館危機」に描かれているような、世間が関心をもってその動向を見ている存在が、率先して何かを語り危機を訴えてくれれば良いんだけど。

 でもそんな世間がリーダーと仰ぐ存在が今の世の中にはいやしない。人々への到達度の高さでは当代1ともいえるアイドルグループのメンバーだって、いくら「きれいな何とか」ってテレビでいくらつぶやたところで商品の存在感を決定的に高めるまでには至ってないんだから。だからせめて「図書館危機」が売れに売れて「図書館戦争」が映画にでもなれば世間も注目してメディア良化の気持ち悪さに気づくんだけど。でも話を聞かないんだよなあ「図書館戦争」の映画化なんて。出来るわけないよなあ。今時の映画って作ってる胴元が規制を見逃し許すメディア様、なんだから。未来は薄暗さに満ちている。


【1月2日】 どちらが表でどちらが裏かはともかく、元旦の夜にフジテレビとテレビ朝日がともに芸能人による麻雀の試合を放送するあたりに日本のテレビ局のぐだぐだぶりが伺える今日この頃。そりゃ麻雀だって立派に頭脳スポーツでオリンピックの競技にだってなろーかって話もあるけれど、一方では点棒になぞらえられてリアルマネーがトレードされるアンダーグラウンドな部分でもって多くプレーされている遊び。パチンコ番組と同様に、そこんとこへと見る人を押し出す可能性が完璧ではなくてもほとんどの割合で排除されないうちは、元旦に堂々と放送されるに相応しいかどうかって所に悩ましさが付きまとう。芸能人の強豪とかじゃなくって、中国のチャンピオンと日本のチャンピオンが最高峰のゲームを見せてくれる番組だったら学ぶところもあるんだろーけど、それだと視聴率がなあ、とれないからなあ。競技を競技としてリスペクトする風潮。育たないもんかなあ。

 その意味で言うなら小林立さんって人の「咲 Saki」(スクウェア・エニックス、505円)は麻雀を健全な知的スポーツとして昇華させようってゆー意図が込められた画期的な麻雀漫画か。清澄高校に入った宮永咲はクラスメートの京ちゃんに誘われ学校にある麻雀部へと引っ張り込まれる。家族麻雀でお小遣いの危機に常に直面して麻雀があまり好きではなくなったとゆー咲だったけど通学途中に見かけた美少女で同じ1年生の原村和(のどか)が麻雀部にいると知って興味を抱き、ちょっぴり幼げでタコス好きとゆー片岡勇希も含めた4人で麻雀を打ち始める。和が中学生チャンピオンとしての実力を見せて抜け出す中で咲も何とかおっつけプラスマイナスゼロで半荘1回目を終了。これはあんまり強くないなあと皆に思わせるが、2回目、3回目ともやっぱりプラスマイナスゼロで上がったことから部長に目を付けられる。そんなことがあるはずないからだ。

 実は咲は弱くない? とてつもない強さで手を選び点数を計算しながら打っているだけ? 実力を舐められたと怒り和は咲に挑み、咲は和との対局の中で家族麻雀で負けると奪われ勝つとそしられる日々を続けてきて植え付けられた勝利への恐怖を払拭し、勝利する喜びを噛みしめる。そして立ち上がった清澄高校麻雀部の最強デュオが次に挑むのが全国大会。そこには離婚した咲の父母の母についていった姉の宮永照が出場するとあって咲は是が非でも出場したいと頑張るが、その前に立ちふさがるのが県大会の強豪たち。雀荘でのアルバイト中に出会ったプロ雀士ですらかなわなかった強敵もいる県大会に向けた2人の挑戦がこうして始まった。

 麻雀のゲーム性を紹介する内容にはまとまりがあって素人な僕が読んでも何となく理解できる。そんなゲームを見せるのが油っ気をギトギトとさせたおっさんたちじゃなく可愛らしい女の子たちとゆーのがまた宜しい。雀荘ではメイド姿のコスプレをして打ってみたりもするけれど、そこで谷間に挟み込むとかいったイカサマを見せることもないんでそーゆー淫靡さを好む人はものたりないかもしれないけれど、その分ゲーム性が前面へと押し出されてくるよーになっている。その雀荘も賭け事禁止。これは連載されている雑誌の性質ってのもあるんだろーけれど、それ以上にやっぱり麻雀の面白さって奴を伝えたいんだってゆー意欲が勝ってのことだと信じたい。中学生で麻雀の全国大会があって高校でも大会があって学校に麻雀部があるのが普通ってゆー設定自体がパラレルワールドっぽいけれど、それも麻雀が賭け事ではなく頭脳スポーツとして認められ高められ敬われる世界を描きたいって意欲の現れと信じてこれからの展開を見て行こう。

 そしてしあわせさんが住むという柏市へと東武野田線に乗って向かいしあわせな空気を胸一杯に吸い込んではせき込みながらバスで辺境にある柏の葉公園総合競技場で開かれた高校サッカーの野洲高校対真岡高校の試合を見る。セクシーさが売り物のチームが繰り広げるパスとドリブルで攻め立てるサッカーから立ち上るセクシーな熱気がしあわせ色に染まる柏の空を熱して竜巻でも巻き起こすのかと期待したけどディフェンスががっちりとして守りチェックも素早い真岡に対して攻めあぐねた野洲高校。ならば走って走りまくってチェックを外し攻め立てるのかと思ったけれど、年代別の日本代表にも選ばれ横浜F・マリノス入りも決まった乾貴士選手は中央にどんとはってはボールを受けてさばいて後はとことこと歩く省エネぶりで、なるほど決定的なスルーは出しても2枚3枚でチェックに向かう真岡の壁は破れない。

 後半こそそれでも時折奪取してはボールをもらう動きは見せたものの、これからの連戦を考えるとやっぱり無理はしたくないのか出してあとはお任せって感じで存在感を打ちだせない。なるほどもらったフリーキックを見事に決めて1点を奪いそれが決勝点となって野洲を3回戦へと導いたのは乾選手かもしれず、おそらくスポーツ新聞はその1振りをもって褒め称えるんだろーけれど、一方の真岡だってポストにはじかれる惜しい当たりがあってそれが入っていれば同点だし、乾選手のフリーキックだって守備陣の堅守に比して力のやや劣るキーパーの半ばミスから得点になったよーなもの。それをもってしてスターだ天才だと讃えるよーなら日本のスポーツ新聞に見る目もなければ未来もないんだけどでも、やっぱり高校サッカーのトップは乾選手なんだろーなー。ともあれ勝ち抜けて野洲は羽生直剛選手も輩出した八千代高校と3回戦を戦うことに。屈指の好試合になりそーだけどでも、明日は雨、なんだよなあ、市原も遠いし、どーしよう?

 終わって徒歩でつくば高速鉄道の「柏の葉キャンパス駅」へととことこ。距離はあってもまあ歩けない距離ではないことを確認。バスが忙しい時とかは野田線を柏駅から乗り越し大鷹の森から柏の葉キャンパス駅に回り徒歩、ってのもアクセスとしてありかも。その柏の葉キャンパス駅には巨大な「ららぽーと」がいつの間にやら出現。周辺の未だ真っ平らな土地の中に屹立するそれは砂漠に生まれたラスベガスみたいな煌めきを放ってて、周辺から誘蛾灯に誘われる虫のよーに大勢が集まって賑わっていた。店もそれないに入ってそーだけど、元祖の「ららぽーと船橋」がある土地に住む人間がわざわざ行く場所じゃあないよなあ。でもシネコンはちょっと羨ましい。車があれば柏もこれで結構便利そう。しあわせ色に近づけるんなら住んでも良いかな。あり得ないけどあと。


【1月1日】 登場即退場となった曙の体たらくに来年こそは金子賢選手との谷底決戦を確信する一方で20年ぶりのゴールデンアームボンバー復活をひっさげ輪島が曙と対戦とゆー横綱決戦も夢見る大晦日を、ザッピングしながら見ていた紅白でほしのあきさんが期待どーりに胸もを開いた上にぎゅっとしめた衣装で現れたもんだからもう大騒ぎ。最初は右手で右端に寄せていたマイクを途中から体の正面で両手で握りしめるよーになってダメだほしのあきさんその格好はダメだと内心で叫ぶ。ちゃんと指導しとけよNHK。

 画面が対称的な仲間由紀恵さんにカメラが切り替わっると「ええい仲間は良い、谷間を見せろと」とテレビに手をかけ揺さぶりつつ呟いたたお父さんの横で、息子が呆然と立ちすくむ光景が全国で繰り広げられましたとさ。でもって息子は「こんなイージューを」と最新の写真集をぶん投げようとして、見上げ迫る大きさに「イージューも悪くない」と部屋に持ち帰り、引き出しの1番下に放り込んだら冬休みだからとやって来た彼女に見つかり悲惨なお正月を迎えるのであった。罪作りな。

 それを思えばリアルなボディースーツなんて可愛いものだよ。だって絵じゃん。リアルだけど所詮は絵じゃん。例えば「新・日曜美術館」でアングルの「泉」とか「ミロのビーナス」を映したってありゃあ絵だし彫刻だからって誰も文句は言わないのといっしょ。そう見えたってそうじゃないなら法律的にも公序良俗的にも文句など言う筋合いにないのだ。しかし良く出来たたなああれ、描いてある絵の立体感の付け方が着ている人のボディラインにピッタシだったのが誤解を招いた大きな要因かも、横を向いた時とかふくらみを描いた線がそのまま実際のふくらみの輪郭線みたくなっていたからなあ。作った人グッジョブ。使ったDJ OZMAナイスパフォーマンス。後のTBSでの「カウントダウンTVライブ」に出演した時も同じボディースーツがいたのにこっちには文句はなかったのかな。

 そんなカウントダウンTVを見ながら新年あけましておめでとうございます。07年になりまして皆様におかれましては本年もよろしくお願い申し上げます。去年は会社方面はつぶれかけから未だ大いなる助走の途中にあって大変ではあったものの、書き物の方は日向まさみちさんの「本格推理委員会」(角川文庫)の文庫の解説とかをやって、明石散人さん「謎・ジパング」(講談社文庫)の解説を書いて4年後に桑田乃梨子さんの「おそろしくて言えない2」(白泉社文庫)の解説を書いて、それから3年ぶりに回ってきた解説の仕事とゆー訳で次がもしもあるならせめて今度は2年後ってことになるのかどーかは分からないけどあれば良いなあと思ってみたりする元旦の朝。起きたら11時でやんの。

イイダコのたこ焼きにチキンステーキに目玉焼きの載った焼きそばに巨大大判焼きと豊富や食い物を国立競技場は見習うべきだ!  こりゃあ寝過ぎたと飛び起きたものの例年と違い「天皇杯」へと行く用事がなかったんで去年一昨年と2日に行っていた中山法華経寺へと出向いて後厄のご祈祷を受けよーと京成の中山で降りてぎゅうぎゅう詰めの参道を抜けて鬼子母神へと行くとこちらも大行列。お札に名前を書いてもらうまでに1時間以上はかかりそーだったんで持っていた定金伸治さんの「ユーフォリア・テクニカ 王立技術院物語」(CNOVELSファンタジア)を読んだらめちゃくちゃに面白くって待っている時間があっとゆー間に過ぎてしまった。時代は産業革命期。舞台は欧州っぽい場所にあるとある国。伝統はあっても衰退の傾向が見られるその国にあって新たな技術の育成は必須と作られた王立技術院に、どことなく差別を受けている東洋からネルという教員が助手のユイとともにやって来た。

 差別されているため教授ではなく講師として招聘されて、「水気」という最先端の技術の研究に従事するべく研究室を立ち上げたネルのところに1人の少女がやって来て技官として雇ってくれと床に頭をすりつけんばかりにして依頼する。見た目はまだ若いエルフェールという名の少女は技術者になりたいとゆー一念で勉強して18歳で女学院ながらも博士課程を修了し、かつて学術雑誌で見て憧れていたネルが来るとゆーことで履歴書を送ったものの、女性の社会進出が遅れている上に体力も必要な技術者だから、という理由だけではなくさらに別の理由もあって履歴書がネルまで回らなかったものだから怒り心頭、家を抜けだし技術院の警備員を殴り倒してネルの研究室まで行って直訴に及んだとゆー次第。

 そんな真摯な態度に打たれたとゆーか、東洋から来て人出が足らなかったからとゆーかネルはエルフェールを技官に採用することを決めたものの何しろ相手は思い立ったら猪突猛進。採用が決まった時には嬉しさのあまりに柱に頭をガンガンとぶつけて額から血をだらだらと流して喜ぶくらいの変人だから扱いが大変。そこをネルはエルフェールが持つポテンシャルを見極め闘争心と向上心を巧に引き出してエルフェールが目指す「水気」を使った花火の技術の革新を手助けする。ライバル研究室の妨害も乗り越えそして臨んだ隣国で大花火大会でエルフェールは、ネルは見事に大輪の華を咲かせることが出来るのか?

 とまあそんな展開の物語は、困難にぶちあたっても怯まず新しさに向かって邁進する研究者魂って奴が描かれる一方で、夜に眠る時間どころかトイレに行く時間すら惜しんで実験に没頭する研究者の生態って奴も描かれていて理系な学生を経験した人には響くところが多そう。なおかつ異国から来たネルたちが見下されたりする様や、女性研究者の地位が低く見られている中でリベラルさの看板として飾られるだけの女性研究者の姿も描かれ、実力だけでは渡っていけない世の理不尽さって奴に憤る人もいそう。竜とか妖怪とかいった敵と闘う物語も悪くはないけれど、研究の壁、差別の壁って奴と闘い乗り越えていくストーリーだって存分の冒険の素晴らしさを教えてくれる。

 何よりもエルフェールってキャラクターが凄い。何しろハー・ロイヤル・ハイネスって呼ばれる身分ながらも技術に燃えて警備員をなぎ倒し王立技術院に侵入しては見事に技官となって研究室に入るアクティブさも凄いし、テーマを与えられば風呂にも入らずそれも3日も入らないで研究に没頭して成果を出そうと頑張る姿勢も素晴らしい。嬉しさのあまりに床を転げ回ったり床に頭を打ち付けたりする変態的なところもあるけれど、勝ち気で剣術や戦争に燃えて燃えまくる王女様だっていっぱい出てくるのがライトノベルなファンタジーの世界なんだから、こーゆー学問に燃え己の探求心に燃える王女様だっていたって良いんじゃなかろーか。むしろ新鮮。ネルを狙うライバルの参画があり、それも1人ならず2人もあったりしてプレッシャーがかかる上に、技術で覇権を目指す従兄の策謀もあって自身のみならずネルまで狙われはじめた展開の中でどんな暴れっぷりを見せてくれるのか。続きが楽しみ。出るよねきっと。

 ちょうど読み終えたところで受付の順番が回ってきたんで後厄のお札を頂きそのまま鬼子母神のお堂へと入るとここではあんまり待たずに祈祷を受けてそして有り難いお経でもって頭を触ってもらい退出してお札を頂き終了。いやあ長かった。けど去年一昨年とここでご祈祷を受けたら会社はずっと地底探検中ながらも体調の方ではまるで大病をせず大きなトラブルもなくどーにか何とかやってこれたから御利益はなかなかなもの。鬼子母神だと都内の入谷と雑司ヶ谷の鬼子母神が有名だけどここん家は日蓮大聖人の御親刻だそーから霊験もあらたか。たいていの怨魔退散してしまうだろー。

 んじゃあ恐ろしいかってゆーとそーでもないのが法華経寺の鬼子母神様。最近キャラクター化されたそーで見るとこれがなかなかに可愛らしい。つい最近に決まったらしくて、初詣に行った境内に商品はまだ揃ってなかったみただけど、新たなキャラクターとしてグッズなんかに展開されるみたいなんでちょっと注目しておこー。さっそくコラも登場。人気だねえ。参道では屋台も並んでいてとりあえず見かけたたこ焼き屋さんに入ったらイイダコがまるまる1匹入っている珍しいタイプでこれがなかなかに巧い。大きなタコの脚のぶつ切りよりも歯ごたえがあって味わいがある。初めての味だったなけど他の地域では有名なのかなあ。鬼子母神の後で見たら長蛇の列で祖師堂に参拝できなかったんで再度お参りに行きつつまた買って食うか。


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