縮刷版2006年9月中旬号


【9月20日】 たとえ全身に鋲が打たれたエナメル製のタイトな衣装を身に着け頭をツンツンに尖らせた細身の男たちが、ステージ上を暴れ回りギターをへしおりスピーカーをけ落としシャウトしながら観客席の中へと飛び込ねは、近寄ってきたスキンヘッドの男たちと殴り合いミニスカートの女たちと抱き合って盛り上がり、かくして10年の後に世界を席巻するビッググループの最初の伝説が誕生したとしてもそこは「渋谷C.C.Lemonホール」なのだ。

 かつて一世を風靡し名曲を幾つも残しながら今は単身で世界をまわる伝説のギタリストが往時からの熱烈なファンを集めて渋いギターテクニックを披露し老ファンたちを涙させてもそこは「渋谷C.C.Lemonホール」なのだ。建て直しの行われた「渋谷公会堂」が売りに出していた命名権をサントリーが獲得。付けられた名前の微妙にポップでスイートな雰囲気に、ロックの殿堂でありインディーズからメジャーへの登竜門として日本中のミュージシャンたちから憧れを集めたその場所のイメージが、大いに損なわれるんじゃないかって気持ちもしないでもない。「渋谷黒烏龍茶館」なら京劇とかの舞台には向いてそうだったけど。

 けれど、思い返せば「東京スタジアム」が「味の素スタジアム」になった時だって、男達の叫びがこだまするサッカーの殿堂に、主婦の料理のお供の名前がつくのは似合わないって誰もが思いながらもしばらくすれば誰でも馴れてしまったよーに、ロックだろーとパンクだろーと「デトロイト・メタル・シティ」であろーとも、「渋谷C.C.Lemonホール」の上で伝説を刻みメジャーへの道へと歩んでそして、30年後に「シーシーレモンホールで見たあれは凄かった」って感じに語られるんだろー。そーゆーもんだよ資本主義社会。「渋谷BOSSホール」なら永ちゃんのコンサートにばっちりだったのになあ。

 「FLASH」の2006年10月3日号を買う。もちろんビーチバレーの妖精を名高い浅尾美和さんの特集を見るためで白い砂のコートに立つ浅尾さんの後ろ姿をとらえたショットにはじまって、斜め上から下から正面からと追いかけた写真はビキニのショーツのバックからはみ出んばかりにふくらんだヒップとか分厚くはないけどそれなりに高さを持った胸とかが映されていて目に実に良い感じ。その姿を実際に拝めるシーズンもすでに終わってしまい、来年までお預けってところが気持ちをそそる。

 とはいえ浮き沈みの激しい世界なだけに来年も未だそれなりな実力を保持してビーチ界に残ってくれているのかそれとも、もともとの仕事であるモデルの世界へと172センチの長身を活かして戻りビーチで鍛えた躍動感と知名度でもって、メディアスターの座をつかんでビーチになんて見向きもしてくれなくなるのか。期しつつ待とう来年を。海外とかへの遠征があるみたいだけど……流石に行けません。

 違うその記事じゃない。「FLASH」で目当ては最後の方に掲載されている「メディア再編…『産経を読売が買収』情報を追う」って記事で先だって産経新聞が銀行借り入れじゃなくって150億円を社債発行で賄ったってニュースが流れたけれど、その社債が5年後に償還されるかどーかを不安に思った機関投資家が引き受け証券会社に訪ねたところ「この社債は読売が償還するから大丈夫」って返事があったとかどうとかで、それが産経を読売が最終的には買収するって記事の論拠の1つになっていたりする。

 事実かどうかは知らないけれど仮に買収されれば給料が新聞業界でも屈指の読売と同じ水準になって30歳で年収が1000万円とか、ボーナスが1回で150万円とかってウハウハな待遇を享受できるのかも、って期待もありは関係者の間に浮かんだかも。とはいえ世の中そんなに甘くない。激しいリストラに配置転換。格差待遇に冷たい視線といったものの中で疲弊しすりつぶされていってしまうんだろー。それが合併ってものだから。だったら合併される会社のそのまた子会社はどうなるの? そんなの最初っから、ポイだろーなー。ああ無情。

 アマルが立った! アマル・オシムが立ち上がったよ! 何が起こっても動じずベンチの隅に座りっぱなしで声すら発することのなかったジェフユナイテッド市原・千葉のアマル・オシム監督が、ナビスコカップの決勝行きを賭けた川崎フロンターレとの第2戦で遂に立った。立っただけじゃなくってベンチの外へと出ては試合の間中ずっと立ち続けて、選手に言葉を贈り続けた。いったい何がおこったんだ。どんな心境の変化なんだ。

 否。変化などしていない。リーグ戦の間だってずっと立ちたかったに違いない。しかし。イビチャ・オシム監督から引き継いだチーム。イビチャ・オシムの日本代表監督就任に関連してジェフ千葉の選手までもが持ち上げられて浮かれてしまった空気の中、じっと座りベンチの中から誰が使えて誰が浮ついていて誰が戦って誰が戦えないかを、布陣の変更も行い選手の心理状態もつかみつつ、見極めようとしていただけなのだ。

 そして天王山。第1戦目をアウェーで2対2と引き分けてのぞんだホームでの第2戦でアマル・オシム監督はいよいよ監督としての本領を発揮することに決めたようだ。布陣を阿部勇樹選手に佐藤勇人選手のダブルボランチに戻し最終ラインをストヤノフ水本斎藤で固め両サイドを山岸坂本としてトップ下にクルプニコビッチを置きトップを巻誠一郎選手とそして衛星のように周り槍のように飛び込む機動力を持った羽生直剛選手を配置した。

 マリオ・ハース選手の不在をのぞけばまさしくベストメンバーで。それがようやく揃ったってこともあるんだろうけどやれば出来た試合でも、阿部選手を最終ラインに引き佐藤選手のワンボランチを試し続けることで選手たちの意識改革を促し、楽山選手や水野晃樹選手を先発で使って潜在力のアップを図ろうとした。結果あんまり巧くはいかなかったみたいだけど。

 それが負けられない、落とせないこの1戦で変わった。というより本来の采配を行った。結果。前半に2点を奪取し後半に追いつかれながらも結城選手の投入で守備を固め水野選手の投入で前線に押し上げて失点を許さず前半後半を引き分けに。そして延長に入り疲れてきたところを幾度と無く攻め入るパワーを見せ、最後には攻め立ててたまらず相手が絡んで起こったハンドによってPKを得てそれをキャプテン阿部選手がきっちりと決めて見事、2年連続のナビスコカップファイナリスとの座を獲得した。

 欲を言うなら前半途中からまるで攻められなくなり後半も相手にパスを繋がれっぱなしで攻められっぱなしになり、一方でジェフ千葉はといえばパスがつながらず奪われ反撃を喰らう繰り返しだったけど、運動能力の高い外国人選手を並べた相手に中盤勝負で勝てないと分かって前線に放り込んで押し上げ守る我慢のサッカーを選んだだけ。決勝では鹿島アントラーズを相手に本来のパスがつながり走りも豊富なジェフ千葉ならではのサッカーを見せてくれると信じよう。しかし2年連続で国立の舞台。幸せだなあ。


【9月19日】 「Jリーグ」の危機、ってゆーよりメディアの危機って言うべきなんじゃないのかなあ。サッカージャーナリストの大住良之さんが書いた「Jリーグを見殺しにしていいのか」って見出しのコラムがあって、Jリーグは試合内容も充実してきているのに、肝心のリーグについての報道がなくってすべてが「日本代表報道」になっていて、どの選手にオシム監督が注目しているか、どの代表選手がリーグ戦でも活躍したかって感じの記事ばかりが幅を利かせていることを嘆いてる。

 個人的にはそんなの98年に日本が初めてワールドカップに出た時からずっとじゃんって思ってて、何を今更って気もしないでもないし、大住さん自信がだったらどれだけJについての報道に、力を注いで来たのって聞き返したくもなるけれど、今はそれなりな立場になったサッカージャーナリストが、敢えて書かなきゃいけないくらいに、代表中心の報道がメディアを席巻してリーグの楽しみ方なり各チームの特徴なんかを伝える記事が、優勝争いの行方も含めてまるで載らなくなって来たんだってことは言えそー。そーいや某オレンジ色のニクい夕刊紙でJリーグの記事なんて読んだことないぞ。

 でもそんなメディアは東京なり大阪といった大都市圏で編集されてる全国向けの新聞とか、東京に本拠を持つ民放キー局での話。スタジアムに行けばどこもそれなりに観客は入っているし新潟なんてそれなりどころか東京に本拠地を置く2チームよりも入ってる。メディアだって地方紙とか地方局といった地域メディアが地域のチームをちゃんとフォローして盛り上がってたりする訳で、代表中心なんかじゃないJリーグ中心の報道がちゃんとそれなりに成されている。でもって読者視聴者もちゃんと存在している。

 問題は、そーした地域におけるJリーグ人気をちゃんとフォローできない、ってゆーか地域に根をもたず応援するチームを持てずだからといってリーグそのものにスポットを当てる方法論を持たない、代表の人気にすがり代表を切り口とする以外に報道の仕方を知らない中央メディアの能の無さ。そんなメディアにJのファンは、だったらと「エルゴラッソ」みたいなJリーグに詳しい専門紙を買い中央集権的なスポーツ紙なんかを見捨て、CSチャンネルやケーブルTVなんかの専門チャネルを見て民放なんか見なくなっている。それだけのことなんじゃなかろーか。

 プロ野球なら巨人中心の報道しかできず、故に巨人の凋落とともにどこに向けてどんな紙面を作ればいいのかが分からなくなって、とりあえず松井選手イチロー選手に未だプロでの実績がない斎藤王子といった名の知れた選手をクローズアップする手法で逃げ切ろうとしつつも、野球のファンが求める紙面にはならず故に見放されて来ていることとも重なる現象。すでにしてテレビではプロ野球の中継がドル箱コンテンツではなくなったよーに、スポーツ新聞におけるプロ野球の有名選手人気チーム中心の記事作りも人気のコンテンツではなくなっている。代表報道もしかり。なのに変われないでいるメディアの未来を考えた時に気はただただ重くなるばかり。こんなご時世に旧態依然とした発想とそれから旧態依然とした体制で、新しいメディアを作ったところで巧くいくはずもありません。若い人はみんな分かっているのに止められない悲劇がかくして繰り返される。もちろん当然に喜劇として。

 徳間書店からいよいよ創刊となった「コミック・リュウ」を読んで何か「ヤングキングアワーズ」っぽいなあて印象を抱く。かつては中綴じだった時代の「ヤングキングアワーズ」と、並べて置いて題字を隠して読ませたら、100人に10人くらいは間違えてしまうんじゃないかって気すらする。なるほど作家的には「それでも町は回っている」の石黒正数さんが重なっているくらいであとは、最近描いている作品のタッチが鶴田謙二さんに似通っている大石まさるさんの代わりに本家の鶴田謙二さんが描いている程度だけど、良い漫画を載せよう、単に絵がイマドキの人に人気ってだけじゃなく、お話もちゃんとしている漫画を中心にして、可愛い4コマも乗せコラムも充実させようって編集の上でのスタンスが、「ヤングキングアワーズ」を感じさせて止まない。

 ってゆーか「トライガンマキシマム」が掲載されているよーに、「アワーズ」がかつての「少年キャプテン」が作り上げた作品や作家の雰囲気を受け継いだ漫画誌だったって印象もあったりする訳で、そんな「キャプテン」の前進ともいえる「リュウ」の名を復活させた「コミック・リュウ」が「アワーズ」とどこか似通っていても別に不思議じゃないのかも。掲載作品ではふくやまけいこさんと吾妻ひでおさんと石黒正数さんと安永航一郎さんと五十嵐浩一さんが良かったってことで。とりわけ安永さん。ちゃんと漫画になっている。おまけに絵柄もとっても可愛い。こんな余力がまだあったのか。なのにどうして最近沈黙してたのか。うーむ。とりあえず安永さんに頑張れとエール。次号も買うかは安永さんの作品が掲載されているかにかかっているぞ。吾妻さんが載ってれば買うけど。

 パラマウントホームエンタテインメントのラインアップ発表会があったんでのぞいたらアルファ社製の「MA−1」のトップガン仕様がついて来た。きっとDVDの特別パック用に仕立てた奴だなあ。けどそんなおまけにも関わらず集まりが悪かったのは午前中だったから? 映画の試写会ってそーいやたいてい午後からだもんなあ。午前中はやっぱり弱いのか映画記者。それはそれとしてラインアップではテレビドラマの「4400」ってのと、デジタルリマスター版の「ブラック・レイン」にちょい注目。「4400」は半世紀にわたり行方不明になっていた人たちがいっせいに戻ってきては超能力を発揮しはじめるってストーリーで、誰が何の目的でさらっていたのかどうして超能力を持って戻ってきたのかといった謎が明かされていく展開が興味をそそる。それ以上に中心となる最初にさらわれた女の子のいたいけさが。

 「ブラックレイン」の方は映像が綺麗になるのも凄いし「ブルーレイ」と「HD DBd」版もほぼ同時期に出るのも凄いけど、それ以上に松田優作さんがオーディションに臨んだ時の映像が初めて収録されていて、挑発するような狂気と静けさを併せてはらんだ眼差しでもって相手を威圧する優作さんが映ってた。これでリドリー・スコットを納得させたのか。けどその眼差しを今見ることはかなわず。今年の11月6日で18回忌。もうそんなに経ったのか。享年39歳だったとしてなお仰天。今の僕より若かったんだ。合掌。


【9月18日】 シロイシロイパンパンシロイ。折角だからと近所のコンビニエンスストアで35周年を迎えた「カップヌードル」を買ってすすりながら見ていたアニメ「ゼロの使い魔」で、画面いっぱいにあふれかえった白の祭典に口中の麺をまだ暑いまま飲み込んで胃がヒリついた夜。ただはいただけの格好を下から煽ったアングルは静止させてそのまま切り取り壁紙にしたいくらいの素晴らしさ。これをクリアな画像でじっくり見るためだけにDVDを買おうかって気になって来た。ほかにもこれまでいっぱいあったし。

 お話はあと1回でとりあえず1期終了みたいで、攻めてくるレコンキスタを相手に零戦でひらり舞いあがった才人が日蝕に飛び込みもといた世界へと還るより、ルイズやトリステインのみんなを助けるために竜騎士たちを相手に戦う道を選んでさあお楽しみはまだまだ続くぜって感じになるんだろー。文庫本で読んだって明確に記憶があるのもこのあたりまでだけど、お話の方は終わっていないどころかまだまだ序盤。相変わらず居残った才人にただの主人から恋する少女へと変貌してきたルイズとの関係が、新たな展開も交えながら描かれるそれからの展開は果たしてアニメになるのかな。ラブコメ的な要素が抜けて陰謀めいた展開も増える中でルイズの白の出番も少なくなるけど、1つの作品を描き切るつもりで是非に続きもアニメ化を。出来れば白いのもそれなりに。

 18日に始まった「吉野家」における牛丼販売の再開に、まるで有り難みを覚えないのは僕が名古屋出身で、名古屋じゃ吉野家どころか松屋もすき家もらんぷ亭も含めて牛丼をまるで食べたことがなくって、牛丼なんて東京発の深夜放送のラジオから流れる例の「牛丼ひとすじ80年」とかってCMを通してと、あと「週刊少年ジャンプ」でスタートした「キン肉マン」の初期のエピソードで、筋肉スグルが貧乏暮らしの中でごちそうとして食べているどことなくわびしい姿を通してしか知らず、故に関東ローカルの食い物だって認識していたからだったりする。

 東京に出てきてからも「吉野家」には滅多に行かず、かろうじて船橋駅にかつてあった丼物のスタンドで、割に味の染みこんだ「牛丼」を休日とかに食べていたくらい。そこもなくなってしまった今となっては、「すき家」「らんぷ亭」なんかも含めて牛丼を食べるのなんてせいぜいが2月に1回とかそんなもん。池袋駅にあるスパゲティ屋うどん屋やきそば屋なんかも同居した食堂で出てくるこれまた甘いタレがどっぷりと染みこんだ牛丼(胸焼けするくらいに旨い)を入れても年に12回行くかどうかって食べ物。だからどうして東京の人間たちがメディアも含めて牛丼の再開に歓喜するのかがよく分からない。「バーガーキング」をだったら再開してくれよ。巨大な「ワッパー」がまた食いたいよ。

 まあメディアなんてものは東京で起こっていることが全国民的なニュースなんだと思い込んでいる節もあるから、有楽町の店に東大の院生が並んだとかシーファー米駐日大使が虎ノ門だかどっかの店に出向いて夫人といっしょに牛丼を頬張ったとかって関東ローカルなニュースを、全国民が待望していた国民食が返って来たってな感じに大々的なニュースとして伝えたがるんだろー。これが仮に名古屋でいっとき鳥インフルエンザから名古屋コーチンの出荷が止まっていたのが再開されたとか、大阪で明石のタコが手に入らず店を閉めていたたこ焼き屋の営業が再開されたって話になっても、どこのメディアも全国向けのニュースなんかじゃ伝えないんだろーなー。そんなもんだよメディアなんて。

ウエンツなら何を着たって格好良いだろうになあ  上着を脱いでネクタイを外しシャツを半袖くらいにすれば涼しさも明らかに感じられる「クールビズ」に比べると、温度を20度に抑えられた室内でもそれなりな暖かさを維持できるファッションをしましょうって「ウォームビズ」だと具体的にどんな格好をすれば良いのか今ひとつ浮かばない。着込めば良いだけって言えば言えるんだけどそれだとモコモコムクムクになって格好悪い。かといって昔みたいにラクダの肌着とパッチではって人たちのために有り難くも日本橋三越本店様が、こんなファッションをしましょうよってファッションショーの形で提案をしてくれた。

 最初は普通のスリーピースなんだけどチャコールグレーとかだと冬場に重たくなるのか、明るめのピンストライプのスーツで靴も茶系にして軽さを出している。つづいてダークスーツの下に明るい黄色のカーデガンを着せるファッションとか、ネイビーのブレザーのしたにパープルのVネックセーターを着せるファッションとかを提案。ただのセーターだと地味になるとこをろちょい派手目な色使いでもって明るくしましょう若々しく見せましょうよってことらしー。これはまだ理解の範疇。謎だったのがジャケットの上からベストを着せるコーディネート。見るからに……微妙。

 聞くとイタリアあたりじゃ流行っているらしーけど、オレンジのジャケットの上にマッキントッシュでゴム引きのコートで有名なブランドのキルティングベストを着せてスリムなイタリア人ならたぶん似合う。でもここは日本で着用したのは社員とゆー日本人のモデルさん。どう見ても適当な重ね着にしか見えないところがもの悲しい。でもまあ最近の若い人はスリムで長身になっているんでこーゆー着こなしだって平気でやってしまうかも。キルティングじゃなくても薄手のダウンベストをジャケットの上から着るとか。学生服の上から黄色と黒のシマシマのちゃんちゃんこを着るとか。ちゃんちゃんこはちょっと流行るかも。ウエンツ似だと自信満々な輩の間で。


【9月17日】 「東京ビッグサイト」に時東ぁみさんを見に行ったら「GEISAI10」をやっていた。違う「GEISAI10」の会場にぁみにぃがゲストで来場していたんだけど、10回目を迎えた「GEISAI」はいつになくパワーが浸透から拡散から雲散から霧消へと、かつてSFが辿りかけた道を順調に歩んでいるかの如くで、見回してもハートを鷲掴みにしてくれる作品がなっかなか見あたらず意気消沈。会場も何だか狭くなってて、そこに来場者をぎゅっと詰めたものだから通路も狭くて、午後になって人が増えてきたら行き違いも出来ない状況が発生したんじゃなかろーか。まあそれもそれで熱気が感じられて良いんだけど。

 そんな中でも毎度ご登場の「笹サンド」こと大畑伸太郎さんは、淡く滲ませた夜のコンビニエンスストアの絵の前に、似たタッチで彩色された女の子の立像を置く新しい試みに挑戦。遠目にみるとバックのコンビニに溶け込んで、それでいて立像なだけに迫ってくる感じもしたりと、不思議なビジョンを見せてくれた。どっかのショーウィンドーに飾っておきたい一品。見て感じる人もいたのかどっかのスカウト審査員が目を掛けて賞を贈ってた。これが初受賞だったとしたらちょっと遅すぎな気も。そうでなくってもとっくに世に出ていろいろな場所で使われてたって不思議じゃない作家さんなのになあ。とりあえず祝・受賞。

 それからやっぱりどっかのスカウト審査員から賞をもらっていたユニット「ホリ ト オオイズミ」さんは金沢に在住の堀一浩さんと大泉佳広さんの2人がいっしょに出典したって感じ。とくにコラボレートしている訳じゃなかったけれどザラリとしてどことなくセピアな色調のレトロな雰囲気をもったモチーフは2人に共通していて、かたや絵画でもって悶える人物なんかを描き、こなた陶板っぽさを感じさせる技法不明な絵でもってプロペラみたいなものが描かれたプレートを出展していた。個人的には大泉さんの方の作品が硬質でいてそれでいて暖かみもある雰囲気と、それからプロペラってモチーフが気に入って好み。審査員が支持したのはどっちだろう? これからを注目したい作家です。

 あと見て気になったのがコロロって人で鉛筆書きのイラストなんだけど、アニメの人が描くラフスケッチみたく可愛らしくってなおかつ動きもあって見ていてなかなかに楽しげ。調べるとコミティアなんかにも出展している人らしくって、童話みたいな絵本みたいなのが並んでた。これはこれで趣(おもむき)もあって心に馴染むんだけど、鉛筆書きのラフってそれだけでどことなく巧みに見えてしまうところがあって、本当に真剣に描いた時に果たしてどんな絵を描ける人なのかを知りたい気持ちが大。永遠にラフな鉛筆のイラストで食べていくならそれでもいいし、それを描きたくて描いているんだったら外野が言うことなんてないけれど、でも見た目に感じた才覚が、たとえば本の挿し絵だったり本格的なアニメだったりって、マスに届く場でも発揮されて欲しいもの。ちょっと気にしてこれからを観察していこう。

 さて登場の時東ぁみさんは、パインアッポーみたいな形をしたコケが回りに植え付けられた奇妙な乗り物に乗って登場。かけあがったその衣装はピンクのタータンチェックのスカートにピンクのネクタイとピンクづくし。眼鏡のフレームも薄いピンクで可愛らしさも倍化されてて最前列にほぼ近い場所で眺めていると心にピンクのウェーブが沸き起こる。これが萌えっていう奴か(違うでしょう)。最初は元気いっぱいに「センチメンタルジェネレージョン」を演ってくれて踏ん張る場面の足の筋肉とかジャンプする時の胸回りとかが気になって仕方がなかったけれど撮影禁止だったので心のカメラに深く焼き付けるだけに留める。今晩夢に見たい。

 あとちょっと前に出た曲と11月1日に出る新曲の計3曲で終了だったのが物足りないというか。それで15分しか過ぎて折らずあとアンコールにパインアッポーにちなんだ「発明美人とパインアッポー」を演ってくれると信じていたけど、場所が「GEISAI」なだけあってコラボレートしたアーティストの紹介に終始。まあ仕方がない。こっちはそんなアートも見に来ているから良いけれど、ぁみにぃだけを見に来た熱烈極まりないファンの人たちにとって1500円って入場料で聴けたのが3曲だけで果たして満足だったかな。まあ11月の新曲に使われるプロモーションビデオをいち早く見られたから良いのか。セーラー服姿で動き回るぁみにぃ最高。今度はステージでもセーラー服だ。それにピンクの眼鏡はちょっと合わない? 合わせてしまうのがぁみにぃ。気にしない気にならない。

「AKIRA」の時代から変わらぬセンス。だけど古びぬセンス。それが才能か。  会場を出て「パレットタウン」へとまわり、明日までの日程で開かれている「カップヌードル」の発売えっと35周年? だかのイベントを見学しつつ最近のカップヌードルで使われているアニメーション「FREEDOM」の先行上映って奴を見物する。すでに一部の映像から3DCGでもってモデリングされた大友克洋キャラが、アニメのセルっぽく塗られた姿で動き回る作品だろうって予見も立っていたけれど、上映されたものはまさしくそんな感じで、CMと同様に大友キャラの再現度も高いものに仕上がっていた。あるいは漫画として描く時から、3次元の空間を意識してキャラクターもメカも背景も描いていたし描けた大友さんだから、3DCGになってもちゃんとそれっぽく見えるってことなのかな。

 そんな映像は映像として興味深いものだったし、CGならではの人間の動きもどこかぐにょぐにょっとしてはいても見て気にはならない程度。大半の場面はバイクみたいなものを駆ってのレース場面にあてられていて、いかにもCG向きなそんな画面で迫力たっぷりスピード感いっぱいのレースシーンを楽しめるようになっている。「IGPX」だなんて言っちゃダメだよ。問題があるとしたらやっぱりシナリオ? だってねえ、宇宙ステーションが落下した地球は人が住めなくなるくらいに荒廃して、代わりに人間は月面にドーム都市を築いて文明を維持させていたって設定自体が定番SF的っていうか80年代アニメ的っていうか。そんな世界に暮らす人たちは別にそこを地球だと思い込まされてはいないし、強権的な管理にあえいて人間らしさも失っていない。

 むしろ決まりさえ守ればバイクみたいなのを駆ってレースすることだって認められている。それはなるほど「自由」すなわち「FREEDOM」であって、主人公のタケルもそんな与えられた自由、管理された自由にとりたてて違和感を抱いてはおらず反抗だってしていない。少なくとも現在は。おそらくはそんな彼が、CMに描かれていたよーに地球らしき場所から打ち上げられたロケットで月面にもたらされるメッセージを受け取り、月だけが唯一絶対の文明ではないと知り外に広がる世界に心を馳せ、自由に見えても所詮は狭い場所で管理された自由でしかないと知って、飛び出そうとするストーリーが繰り広げられるんだろう。ちゃんちゃん。満腹。それともそこに驚くべき大どんでん返しは潜んでるんだろうか。実は火星の地下都市だったとかって。ないよなあそんなこと。

 バイクレースのシーンだって「AKIRA」冒頭の金田と鉄雄の疾走シーンを思い出させてはくれても、21世紀ならではのビジョンを見せてくれるものではない。20年前に生み出された大友的な未来像を今もって繰り返しているだけのものでしかなく、馴れ親しんだ大人にはふーんなるほどねえって感じしか抱かせそうもないけれど、かつての「AKIRA」を知らずアニメの「AKIRA」すら見ていない昨今の10代にはあるいはメカは斬新でキャラは異色で動きは鮮やかに見えたりするのかも。目の大きなあごのしゃくれた美少女キャラばかり見ている目には確かに大友キャラ、意外に見えるかもしれないからなあ。そんな世代を狙っているのかな。けどでもなあ。乞うご期待。


【9月16日】 生きていたのかZ(ゼータ)文庫。その名に「機動戦士Zガンダム」の名を冠し、劇場版「Z」の公開とも重なって盛り上がるかと思ったのも束の間、なかなに新しい本が出ず出ても数が少ないあめに目立たず、やがてかつて存在しながらも今は伝説のビール「アサヒZ」と同じ運命を辿るんじゃないか、なんて心配もしていたけれど、ふらりとよった秋葉原の「KBOOKS」に新刊2冊が平積みになってて生存を確認する。勝手に殺すなよ。でも積極的に情報を集めている身でもないし情報が寄せられる立場でもないんで、店頭で確認するしか生死の判別なんて出来ないから仕方ない。

 さても新刊のうち1冊は「ブギーポップ」のシリーズで名を馳せた緒方剛志さんがイラストで、さらに本文が元長柾木さんとあっては買わないわけにはいかないと手に取りついでにもう1冊のあらいりゅうじさん作、KEIさんイラストの「影踏みシティ」(竹書房、619円)も重ねさらに「ギャラクシーエンジェル文庫」と1部に評判の「GA文庫」から出ていた「神曲奏界ポリフォニカ」から「ポリ赤」の1冊と「伊佐と雪」の続編とあと「ジョン平とぼくと」って「大西科学」名義の1冊を遭わせた新刊3冊もまとめ買い。

 且つ徳間書店から刊行中の「エッジノベルズ」新刊2冊のうちの目についた1冊を拾って重ねてレジへと持っていったら4000円が吹っ飛んだ。参ったなあ。これで全部じゃないんだよなあ。読み切れない以上に買い切れない。大人でこうなんだから子供はとても。なのにレーベルは増えるし刊行点数も増えていく。なおかつレベルも漸次向上。素晴らしいのに読まれないまま埋もれていく物語の数々に悩みも募るけど、それを言うなら漫画の方がはるかに大量の消費すらされない物語を生み出したりする訳で、そんな中から生き残る物が世界に冠たる漫画大国へと日本を至らしめたんだとしたら、今のこのライトノベルの競争激化がやがて世界に冠たる小説大国へと日本を、押し上げる、かなあ、ちょい不明。しかしいい加減お金も尽きてきた。速読と瞬間記憶の能力を高めて店頭でザッと舐めてそれで書評も書かなきゃ財布が保ちません。でも買っちゃうんだよなあ結局。

 さて元長さんの「ヤクザガール・ミサイルハート」(竹書房、667円)は太平洋戦争の末期の新型爆弾が中空で破裂しないまま静止してしまった結果、戦争状態が終わらないまでも戦闘は終わり日本の米国も諸外国もそれなりに発展していったパラレルワールドの世界が舞台。広島で行われることになった枢軸国と連合国と共産国の会議に合わせて行われる子供たちだけの会議に招待されたアメリカ人の少年・アドルファスが、チンピラに絡まれていた少女を助けようとして反撃をくらい囲まれていたところに、現れたのが刀をさげた1人の少女。顔に喋る入れ墨を入れた彼女の鮮やかな剣さばきによって少年は助けられる。

 アカリという名の少女はヤクザで、トップを失い跡目争いのまっただ中にあって本命に挑む対抗の女ボス・古藤怜子の下で鉄砲玉として働いていた。そんなアカリに興味を抱いたアドルファスは彼女をヤクザの組織から引き離したいと思うけれどもそれは自分勝手な思いでしかなくアカリからは逆に恥をかかせたと誹られる。それでもアカリへの想いを募らせるアドルファスは、アカリにつきまいい彼女が敵対する矢車一族の本拠地へと乗り込んでいった時も付いていく。

 異境からの技術を取り入れ肉体に改造を施された矢車一族を相手に、卓越した剣の腕だけで挑むアカリ。だが、戦いだけが使命だと信じ込んだ彼女の心にどこかにアドルファスの存在が忍び込んでは、鉄砲玉よりさらに協力な、異境の技術を取り入れた最終兵器「ミサイル」へと改造されることが約束されていたアカリを迷わせる。権力の座に近づくためにはアカリの力が必要な古藤怜子の執念につきまとわれ、大半を殲滅した矢車一族の残党に追われることになるアカリに未来はあるのか。そしてその出生に新たな謎が加わったアドルファスの将来は。爆弾を上空に抱きながら凍結された時間の行方とも相まって、より壮絶にして壮大な戦いが予見される続刊に期待も高まる。

 雑魚はともかく中ボスラスボスといった感じの面子ですらバッタバッタと切り伏せていくアカリっていったいどれだけ強いのか。つかいろいろと使えば使えそうなキャラたちですら容赦なく退場させてしまう「キル・ビル」も真っ青なバトルシーンの畳みかけがなかなか。爆発しないままとまった爆弾って設定は爆発したエネルギーに閉じこめられた少女が出てきた古橋秀之さん「ある日爆弾が落ちてきて」の中の1編ともちょい通じる設定で今後のSF的ファンタジー的大どんでん返しの中でいろいろと効力を発揮してくれそー。緒方さんのイラストは……もうちょっとアカリちゃん可愛くならなかったのかなあ、男の子みたい、胸薄いし。

 2006年度の「ロマン大賞」を受賞してこれがデビュー作となる神埜明美さん「ジュリエットと紅茶を ようこそ呪殺屋本舗へ」(コバルト文庫、476円)もペラペラと一読。紅茶屋を開きながらも影では誰かを呪い殺す仕事も請け負っている小泉鏡花とその助手でふだんは葬儀屋でアルバイトをしている波多野康祐のところに浮気性の夫を殺害して欲しいって妻からの依頼があってとりあえず引き受けたものの夫は心臓発作で急死。仕事にはならず殺人犯扱いされて迷惑を被った鏡花と康祐だったがそこに新たに舞い込んだ仕事が1件。康祐が誰かに追われていたこころを助けた少女から、母親を殺した叔父を殺して欲しいと頼まれる。調べるとその叔父は病死していたが、背後に蠢く謎の組織の存在に鏡花と康祐は真相を求めて船橋市川を飛び回る。何で船橋なんだろう?

 呪殺といっても言葉によるプレッシャーとあとレールガンのよーな武器にそれからバイクをあっさり盗んで動かす機動力が武器な呪殺屋本舗。だから体裁は死体が消え人間が消える事件に挑むミステリー。呪いの言葉が人を追いつめ人の命を奪いその反動が呪った人にも罪悪感となって返ってくるって展開にはなかなか考えさせられるところも多い。加えてミステリーでは収まらない部分もあってどうして鏡花がそっち方面に通じているのか、でもって普段はどうしてレールガンだの何だのといった物理的な道具を重用するのかといった謎がこれから、どう明かされていくのかにも興味津々。現実社会が割にリアルに描かれていて事件も結構に奥深く、そして展開も鮮やかでキャラクターも立ってる少女向けのコバルトにあっては異色の1冊。それでいてコバルトらしさも持った1冊。今後に注目。


【9月15日】 ひょろりと始まってから12話でピタリ終わったアニメーション版「ハチミツとクローバー2」は出たばかりの単行本の最終回、すなわちちょっぴり前に掲載されたばかりの雑誌での最終回とほとんど同じ展開で枕元から行方不明になってる単行本を読み返す手間が省けるって言うか、シナリオを作りコンテを切って原画に動画に彩色アフレコ編集と時間も必要なアニメの現場にいったいいつごろこの最終回が渡ったのかが気になるところ。7月末の掲載だったってことは6月末には上がっててそこから一気にまくってアニメも制作した? その割にはしんみりとして良い出来。研究室で口ごもる山田さんの表情とか。

 あとエンディングの所でそれぞれのその後が描かれていたのもファンにはちょい嬉しいところか。ピーター・ルーカスといっしょにテレビに出演しては番組を無茶苦茶にしたり、入ったルカース・デジタルアーツで他のクリエーターたちが見守る中を超高速でパソコン叩いてネズミのアニメを作り出すところとか、いかにも森田先輩らしいけどそんなに熱心に仕事に励む森田先輩ってのも見ていてちょい不思議。それだけはぐから「見てる」と言われたことが原動力になっているってことなのか。これだから、男って、簡単。

 しかし何というか巧くなり過ぎ工藤晴香さん。とつとつとした棒読みが寡黙なはぐにピッタリとハマってた第1期が馴れている耳には第2期最終回近くのはぐのスムーズに出て来て感情もこめられた声が「ノエイン」の上乃木ハルカに聞こえてしまう。感情の起伏も豊でアクションなんかもあった「ノエイン」でこなれてしまったのかなあ。テレビドラマとかにもいっぱい出てるんで演技力は向上したけどその分、初々しさも消えてしまった感じ。あの時は戻らないってのは本当だなあ。いかにも「ハチクロ」らしい。

 あと竹本祐太の声が野島健司さんに代わっていたらしーけどはぐの声に気を取られて気づかなかったよ。何でも神谷浩史さん交通事故に遭われたとのこと。1番感情的にも盛り上がるシーンでの代役は無念だっただろーなー、サンドイッチにはさみこまれた四つ葉のクローバーに嗚咽するシーンとか演りたかっただろうなあ。演らせてあげたいなあ。回復の具合はどーなんだろう? DVD化の際にそこだけ吹き込めるよーになっていることを願おう。

 えっとどうしろと。セガが来週の「東京ゲームショウ」に出典するタイトルを発表してその中に「プレイステーション3」向けのタイトルも混じっていて、「バーチャファイター5」なんかハイビジョン画質でもって高精細な映像を再生できるマシンだけあって、ゲームセンターのモニターで見るよりも、家のワイド画面液晶だかで再生した方がかえって綺麗かもって思えるくらい素晴らしい仕上がりになっていたんだけど、それだけのハイスペックも使い道によっては凄まじいものになるみたい。

 その名も「宮里三兄弟内蔵 SEGACLUB」ってゴルフゲームは誰あろう宮里藍選手に優作兄貴にもう1人誰だか知らない長兄が、リアルなCGによって再現されていて、それが高精細高密度な画像となって50インチ60インチのワイド画面に映し出されるから何というか迫力というか。奈良時代に運慶快慶らによって削り出された神将たちの彫刻群にも似たプレッシャーが、画面から溢れだして来るようでそんなプレッシャーにも負けずに良いスコアを出せるプレーヤーは、どんな場面でも怯まず負けない人間に育つことだろー。耐えるって何かを教えてくれるゲーム。ちなみに顔だけじゃなくボディも超リアルな再現度。そっちの迫力はなかなかだけどどこまれ揺れるかは分からない。やっぱり買って試すか。

 いろいろ考えるんだなあ玩具菓子の作り手も。前に「タイムスリップグリコ」のシリーズで懐かしい雑誌を豆本化して封入して発売したことがあったけど、今度はセガトイズがコミックスをまんま豆本化してチューインガムとセットにして発売。「ミニコミ vol.1」って第1弾には「タイガーマスク」とそして「デビルマン」が入っていて1冊367円で買って読めるとか。「タイガーマスク」は4巻までで「デビルマン」は2巻まで。最終回まで読めないのは残念だけど、「デビルマン」の2巻ではお風呂で美樹が襲われたり、妖鳥シレーヌと美しくも悲しいバトルを繰り広げたりする「デビルマン」でも屈指のシーンが拝めるからそれを確認するだけでも意味があるかも。「タイガーマスク」は……読んだことないからこれをきっかけに読むか。


【9月14日】 明け方に目ざめてテレビを付けたら西瓜の外見と中身が畑の上をくんずほぐれつしていたので何事かと目を凝らしたらチャンピオンズリーグの「マンチェスター・ユナイテッド対セルティック戦」だった。去年までは横縞だったのにどうして縦縞にしたんだろうセルティック。でも最初に横縞を見た時は妙にもっさりしているなあと感じたけれど見ている内に色鮮やかでモダンなデザインだと思えて来たら太めの縦縞でもいずれ慣れて西瓜と見間違えることはなくなるんだろう。お腹ぷっくりなロナウド選手が着たらそれでも西瓜に見えて来る?

 けどやっぱり西瓜のメインは外側じゃなくって中身らしく色も濃紺な赤になって胸スポンサーも「AIG」に変わったマンチェスター・ユナイテッドが赤をまとう者どもらしく、日本のJリーグとかジーコ監督率いたサッカー日本代表の目分量で3倍の速度で走っては敵陣へと迫って何度もチャンスを作る。奪われても取り囲んでは奪い返し、安易な相手のパスにはニュータイプよろしく先を読んでカットしそこから反撃へ。セルティックの中では質量の面から1番西瓜に近かったグラヴェセン選手の通れば必中だけどでも通らなかったパスを奪って運び決めた3点目とか、カウンターってこうやって仕掛けるんだってお手本のように走り運んで決めてしまった。なるほど寝ないで欧州の試合を観戦しているオシム監督が各駅停車って言う訳だ。ボールとかジムとか言われないだけマシか。

 一方のセルティックもトップに入ったなんとかかんとかヘッセンリンク(ヤン・フェネホール・オフ・ヘッセリンク)って選手が長身のみならずテクニックでも流石なところを見せて1点。リオ・ファーディナンドを相手にかわしチャンスと見たら逃さず一閃! そして得点なんてシーンを見せつけられれば、そこで持ち替えたりキーパーをかわそうとしてトラップがそれてシュートが打てなくなるシーン続出の日本代表とかJリーグとかの試合で観客からため息が漏れるのも分かる。コンマ何秒か早ければ、ってことをテレビとかで見た海外の試合から理解しているんだろう。選手が理解しているか、なんだけど分かっていても動かないのかそれとも分かっていないのか。オシム監督といっしょに明け方のチャンピオンズリーグ観戦会をやるべきだ。

 そんなうんたらかんたらヘッセンリンク(ヤン・フェネホール・オフ・ヘッセリンク)にドンピシャで合わせた長めのフリーキックが素晴らしかった中村俊輔選手。サイドで3人に囲まれたってするりと抜け出す技量を見ると囲まれてはつっかけて奪われる日本代表の左サイドとこれは交換すべきだって意見にも納得。とはいえ本当は囲まれる前にパスを出せれば良いんだけど、その辺の判断とかその辺を理解して走る選手がいるかいないかとかって部分で西瓜の中身のチームとはやはり差があるんだろう。俊輔選手が当てられて前ではなく下げ走ってもらうシーンとかが出るのも前目に人が来ていないから? それでも下げて渡した相手が横パスかさらにキーパーへのバックパスとはならないところが気持ち良い。オシム監督が目指すわけだよ欧州リズム。

 向かって右目から右隅に確実に決めるパターンがまた出ても動けないファン・デル・サールのポジションが悪かったのか分かっていても止められない俊輔選手のフリーキックが凄いのか。ともあれ枠に飛ぶのが素晴らしい。アジア相手なら飛べば決まるからやっぱり必要か、オシムジャパンに。んでもって最後までみてどうたらこうたらヘッセンリンク(ヤン・フェネホール・オフ・ヘッセリンク)の名前を覚えられないまま眠り起きて「アミューズメントマシンショー」へ。何が目玉か探したけれど個人的にはアトラスが出してた「きらりんレボリューション」のカードゲーム機が1番だと認定。

 だって「きらレボ」だよ、今んとこ女の子たちの間で1番人気らしー(見たことないから人気の秘密が分からない。声優さんの謎演技が人気の秘密?)アニメーション。それを「ラブベリ」よろしくカードゲームにしたのがこの機械で、手にしたカードをマシンにスキャンさせると画面におそらくは3DCGなんだけどアニメ風にシェードされてセル塗り調になったキャラが出てきてはいろいろ演じてくれる。そんな再現度の高さといい、もらえるカードのキラキラっぷりといいこいつが流行らない理由がない。展開が12月だからその頃にもまだ人気があるかが不明だけどまだ朝日新聞が「おんなのこたちに『きらレボ』現象」とかって記事にしていないから、まだしばらくは人気も右肩上がりに続くだろー。期待。タカラトミーが出してるトレカとも連携するとかでそっちも楽しみ。それにしても何が人気なんだろー「きらレボ」。

 昨日に続いて富田麻帆さんの昨日ほどタイトじゃないけど若々しさにあふれていたファッションをタイトーのブースで見物し、付随して木谷高明ブロッコリー会長の紹介する業務用ゲーム機向け「アクエリアンエイジ」を見つつ脇のブースで身長2メートルはあろうかという外国人2人の学ラン姿に圧倒されつつ原稿を書き写真を送ってそれから「AMショー」に合わせて幕張メッセで開催してくれた任天堂による新型ゲーム機「Wii」の発表会を見物する。12月2日発売。価格2万5000円。白い任天堂が勝つわとララアも言いそうな設定にゲームファンの歓喜も聞こえて来そうだけど気になったのはバーチャルコンソールと銘打たれたネットからのダウンロードコンテンツのラインアップ。そのチャンネルって呼ばれるメニューの中に「ニュース」ってのがあったのがニュースでご飯を食べている身として引っかかった。

 低電力でネットに常時接続されている「Wii」に明け方、まだユーザーが寝ている間にニュースコンテンツがプッシュ配信されているのか、あるいは起きて電源を入れてチャネルを立ち上げた瞬間にダウンロードされるのかは分からないけどそれはこの際無関係。重要なのはゲーム機を立ち上げテレビをつけたらそこに最新のニュースが着ているってこと。新聞いらないじゃん。郵便受けに取りに行く前に部屋のテレビでニュースが見られるんだったら宅配の新聞なんて不要じゃん。つかんで持っていって電車で読める? けど「Wii」のことだから、赤外線通信かなにかで手元の「DS」にニュースのコンテンツを転送できる仕組みを作るかもしれない。電車で「DS」で新聞を読み小説を読み「どうぶつの森」を遊べるんだったら新聞記事しか読めない新聞なんて誰がとる? こりゃ大変だよ新聞社。

 思い出すのはかつて産経新聞ががやろうとしながらも取りやめた「電子新聞」だけどあの時は専用端末にこだわったことが敗因の1つ。あわてて書籍コンテンツなんかも読めるようにしたけど方向が逆でむしろ「ザウルス」とか当時流行ったパームなりのPDAで読めるようにするべきだった。いずれにしても携帯電話に駆逐されただろーけれど。ただいずれ紙のパッケージがネットにとって代わられるかも、あるいはネットでプラスアルファが果たせるかもってビジョンは正解だった訳で、その経験を踏まえるならば仮に任天堂がニュースチャンネルへのコンテンツ提供を呼びかけて来るなら、紙を奪われると拒絶するんじゃなくこれこそが「電子新聞」だと乗るのが業界としての道筋ってことになるんだろー。

 それでどんなビジネスモデルが構築できるのか、紙の新聞以上の高い収益が確保できるのかって点はまだ不明。だいいちニュースチャンネルから買ってもらえるかどうかすら怪しい。共同時事に外電で網羅できるニュースだったらわざわざ一般紙から買う必要はないし、スポーツやITといった専門性の高いニュースだったらそれこそ何十人も記者を割き、連日連夜に発表会へと出向いて詳細な会見記を出し写真も載せインタビューもコラムも充実している専門のネットメディアがあるからそこから買えば良い。通り一遍のニュース、どれを読んでも同じニュースなんて誰も買わない。そういうのは通信と朝日か読売プラス日経があれば事足りる。地方向けには地方紙か。

 となるとますます大変なのは中堅どころの全国紙って奴でストレートでは勝負できないとなる以上、もっと特徴を持たせたニュース、というかプラスとなる解説なりオピニオンを充実させなきゃいけないんだろうけど、そうなると極端に走って結果一部に受け入れられてもマスはつかめずますます先細りって事態にもなりそう。ともあれ紙の形をして家に配達されて有料の新聞って形態がこれからますます不安定な立場へと追い込まれることだけは確実。ならばいっそネットに切り替えるか、無料にしてしまうかって選択も必要になって来るんだろう。こんな時代に日刊紙を新創刊しようなんて考える人がいるとしたら、今の時代によっぽど何か訴えたいことがあって、んでもってそれが読者を確実に掴めるって信じている憂国の士か、1部300円月1万円にして他では得られない情報を、広告も含めて連日発信し続ける取材力営業力を持った会社ってことになるんだろー。だからって成功するとは限らないんだけど。


【9月13日】 なんだか昔懐かしい「キング」ってタイトルの雑誌が出たそーなんで本屋で立ち読みしたけど「サイクル野郎」も「ワイルド7」も「銀河鉄道999」も「超人ロック」も「龍一くんライブ」も「ペリカンロード」も「プロスパイ」も「すくらんぶるエッグ」も「まんが道」も「ときめきのジン」も「すうぱあドッシー」も掲載されていないんじゃあ「キング」とは言えないと買わずにすます、ってそれ違う「少年キング」は少年画報社で「キング」は講談社のそれも初期黄金期を支えたミリオン雑誌。大衆に娯楽を提供するって意味から徹底したエンターテインメント路線情報路線が取られいたよーで、何でもランキングみたいなこともやって耳目を集めていたとゆー。読んだことないけど。

 そんな「キング」だけど、取り上げるのは五味隆典にリリー・フランキーに掟ポルシェにさらに藤田晋森達也姜尚中といった面々で、先端を行っているよーなんだけど最先端の見えないところを突っ走っているよりは、すでに手垢のついたプチ有名どころを集めて来たって感じがややあって、最先端を行きまくってた「POPEY」の後追い的に庶民感覚を目指した「ホットドッグプレス」なんかと重なる空気をそこに感じ。もちろん対象となる層は違ってて「ホットドッグプレス」はどちらかといえば悶々としてどん欲なティーンが相手だったけど、そんなティーンが20年経ってもやっぱり変わらず悶々としてどん欲だったりする昨今なだけに、「キング」の立ち位置は「ホットドックプレス」の兄貴版って所に当たりそう。そういえば過去に本当に「『ホットドッグプレス』の兄貴分」的な触れ込みで登場した雑誌があったような。タイトル忘れたけど。何だったっけ? 「CADET」だったっけ。今は……やっぱり廃刊か。

 ってことは「キング」もやっぱり? 「少年キング」とお案じ憂き目に? いやいやそんな縁起でもない。とはいえ今どき「ニッポン男児かくあるべし」だの何だとの激を飛ばしてくれるだけで、具体的な金儲けの方法とか会社勤めの極意とか、恋愛に役立つ情報もなければ自らの置かれた下流的な苦境を共に味わい、傷舐め合って苦笑いするような記事もない雑誌に共感を示して買う20代30代っているのかなあ。その当たりを見つつ行く末を見極めよう。とりあえずは北方謙三さんの伝説の悩み相談「ソープへ行け」を、このふにゃけた時代に蘇らせるべきだよな。それだけで懐かしさと新しさでもって昔からのファンと伝説の復活に興味を抱く若い層を引き込めるから。無理かなあ。

 暇な1日。まずは浅草にある「都立産業貿易センター台東館」で始まった「東日本玩具見本市」を見物。リリースの来ていたセガトイズの「夢こうま」って奴を見に行ったら本当に実物大のポニーがいた。事前に抱いていたよーには歩かず一種のベンチみたいに屹立しては背中に36キログラムまでの子供を乗せられるだけなんだけど、そこは「夢ねこ」シリーズで動く仕草のリアルな猫のロボットを提供して来たセガトイズだけあって、触ると首を振りニンジンをくわえさせるともぐもぐさせ、何度も食べさせるとお腹いっぱいになったからとそっぽをむく馬っぽい仕草をしてくれるから子供も世話をしようって気にさせられる。幅も高さも1メートルくらいあって日本人のプアなご家庭にはちょっと置けないし、そもそも6万8000円の値段ではおいそれとは買えないけれど景気も回復してきた折り、ちょっとした小金持ちな方々が大事な子供の歓心を買うべく勝手部屋に並べておこうと購入するんだろー。本当の金持ちは買わないかな。だって本物のポニーに乗れるから。

 そんな原稿を近所のミスタードーナツで書いて叩き込んでから都営浅草線で大門まで行き増上寺へと回って「天保異聞 妖奇士(あやかしあやし)」って土曜6時の毎日放送枠に放映される新番組の発表会を見物する。アニメの発表会が増上寺で何でまた、って疑問についてはおそらく徳川時代末期を描いた作品だから、徳川ゆかりの寺であるのが相応しいって判断があったからなんだろー。それにしても増上寺にあんあ瀟洒なホールがあったとは意外。となりにある「東京プリンスホテル」の「パークタワー」にも綺麗さでは負けてないかも。何に使うんだろう? お葬式? 結婚式? お寺で結婚式って挙げるものなのかなあ。神式のお葬式もあんまり見ないけど。不思議な国だ日本て。

 作品的にはどう見たって藤原啓治さんが声を当ててそうなちょいスレた兄ちゃんが、主人公となって江戸の街におこる怪異と対峙していくってストーリー。舞台は江戸だし美少女はいないし美少年もそんなにおらず美青年は月代が剃られて禿げているからキャラクター的な人気を獲得するのは難しそうだし、玩具に出来そうなメカだってあんまり出てこなさそう。そんな地味な作品を果たして「鋼の錬金術師」なんかを手がけたボンズが日7ではなく看板の土6に舞い戻って手がけるに相応しいかって疑問も生まれそう。

 けどまあそこはそれ、江戸時代な癖してメカっぽいのも出てくるよーだし、キャラクターでも男装している少女の奇士・宰蔵ちゃんがいるから大丈夫。ビジュアルだけ見てもいかにも男装少女って雰囲気だったから、声も重なればその扮装の下からじくじくと滲む少女ならではの色香って奴がテレビ画面を通してきっと見ている方にも伝わって来るだろー。キャラクター紹介だと「衣装を巫女に変えて舞うと妖夷を鎮めることができる」ってあるからそっち方面の衣装をまとった姿も見せてくれるのかな。その場合は髪形はどうなるのかな。期待しちゃう。とりあえずは若衆髷で良かったよ。月代剃った頭で巫女は、ちょっとね。

 そこも30分くらいで出て赤羽橋から地下鉄大江戸線で六本木へと向かい「荒木飛呂彦漫画家生活25周年プロジェクト」として発表されたバンダイナムコゲームスによる「ジョジョの奇妙な冒険」第1部「ファントムブラッド」のゲームかと、同じく「ファントムブラッド」の劇場アニメーション化の話を聞く。そうか「ファントムブラッド」がこーゆー風にメディアミックス展開されるのって珍しいのか。人気が爆発したのはカーズやワムウとの戦いよりも花京院にポルナレフを連れてユーラシア大陸から中東を抜けアフリカまで行きディオと対決した第3部の当たりからで、メディア化ってなるそこが中心になっていたからなあ。

 けど原点はやっぱりジョナサン・ジョースターとディオの因縁。徹底した正義の心と覚えた波紋の力で挑む潔癖のジョジョに高潔さが裏返って悪に染まったディオとの戦いこそが、善も悪もひとしく正しいものと認めそこから全精力をかけて戦う人々の姿の素晴らしさ、生きようとする姿の力強さを描き出そうとしている荒木さんのポリシーにマッチしている。だからこその「ファントムブラッド」のゲーム化と劇場アニメ化は、7部まで続いて7000万部に達した「ジョジョ」の20周年を飾るに相応しい。

 先陣を切って発売されるゲームは基本は格闘ゲームっぽいけど漫画に出てきて筋肉が張り上がりまくったジョジョにディオの姿がちゃんと3DCGで再現されているのが凄い。見た目2Dなんだけど動くとちゃんと動くって技術も含めてそれなりな労力がかけられていることがうかがえる。なおかつシステムとして搭載されたポージングによって力を溜めたり回復したりする技が組み込まれている点も、「ジョジョ」って作品への愛が見られて好感。それの何が面白いかって言えばつまりはゲームの中で操っているキャラクターにジョジョ立ちをさせるってことで、周りから攻めて来ている中でいきなりジョジョ立ちすれば何だこいつ負ける気かって普通は思う。

 けどそれは「ジョジョ立ち」だ。荒木さんが現実には不可能だけど見た目格好良いポーズとは何かって考え描いた「ジョジョ立ち」だ。会場に来ていたその名も「スピードワゴン」の大のジョジョファンの小沢さんが、頑張ってやろうとしても適わなず、それでもこだわり続けた「ジョジョ立ち」なればこそ、決めれば強くなっても当然だし強くなるためには決めなくっちゃって意識も働く。考えたなあバンダイナムコゲームスは。CMのセンスもなかなかだったし、応募すれば100人にあの「石仮面」が当たるってキャンペーンもファンの喝采を浴びそう。もらえれば早速1滴指から血をたらしてみたくなるくらいの出来映えだったけど、もしかして本当に針が出てきたらどうしよう? その時はその時だ。被って超人となりそして不可能な「ジョジョ立ち」を決めるのだ。

 なんて話も原稿にして出してから六本木にある「ヴェルファーレ」で開かれた「ギャラクシーエンジェル」の10月から始まるテレビアニメの発表会見などを見物。テレビの歌番組では凄まじいヘリウムボイスを聞かせていた平野綾さんも登場したけど普通にハルヒの声だった。ありゃいたい何だったんだ? ほかにも出演声優さんとか歌を唄っている富田麻帆さんとか登場してビジュアル的にはなかなかな華やかさ。最初はぞろりとしたシャツ姿だった富田さんがフォトセッションの時にはボディコンシャスなニット姿だった関係で眼も1点に釘付けになってしまった。素晴らしいなあ。あの素晴らしさをまたしても拝みに16日にあるとゆーライブをのぞいてみたくなった。10月1日のイベントは流石に。とか言いつつ。うーむ。


【9月12日】 雨なので牛参りは遠慮。これまでにえっとおおよそ20の牛はゲットしたと思うけどベーシックなデザインの上に施すペインティグでもって差異を付けている奴が割に多いってのが今回の印象で、造形的な部分で大きく冒険しているのもあるにはあるけどこれって印象を残すものが「寿司牛」くらいしか思い浮かばない。「寿司牛」も改造の度合いはそれほどでもなくって寿司だねを乗っけるワンアンディアが光った逸品。牛そのものを解体して再構築してみせるよーな試みがそれほど見られないのは、この「カウパレード」が造型を競うアートフェスタってよりも、メッセージを発するメディアイベントって位置づけに傾いているからなのかもしれない。割に適当な解釈。

カウパレゲットだぜ。西瓜牛だぜ甘いぜ種もたぷりだぜ  完読した記憶はないけどだいたい読んだ「このミス大賞」受賞作品「チーム・バチスタの栄光」に続く海堂尊さんのシリーズ化第2弾「ナイチンゲールの沈黙」(宝島社、1680円)のプルーフが届いて別方面かも課題図書で届いて否応なく読んでなるほどうーむ。ミステリーにしないでほのぼのペーソス感動感涙ストーリーにすればそれこそ奥田英朗さん「空中ブランコ」みたいな読まれ方だってして共感を受け、人気が爆発するかもって思ったけど根がミステリ大賞出身なんで仕方がない。不定愁訴の人の喋る愚痴を聞くのが仕事の田口公平医師が勤める病院に働く看護士が、夜の繁華街で誘われ入ったライブハウスで伝説の歌姫が唄い吐血する場面に行き会い病院へと引き取る。

 その一方で2人のうちの浜田小夜は勤める小児科病棟に入院している患者に眼球摘出の手術が必要な子供をかかえて対応におおわらわ。同意してくれない父親にひねくれた息子のコンビに手を焼きつつ、先輩看護士の助言もあって失明へと不安に怯える患者たちの心のケアを”愚痴外来”の田口に依頼。かくして始まる田口と小夜の奮闘記へと発展していくのかと思いきや、眼の悪い少年の父親が殺害される事件が起こり「チーム・バチスタの栄光」と同様、田口がカウンセリングの能力を生かし且つまた「チーム・バチスタの栄光」にも出てきた変人役人の白鳥も加わって、事件の謎に挑むストーリーが繰り広げられる。

 悩める少年の心を解きほぐすストーリーに重なって、過去を覆い隠して勤める小夜の心が解きほぐされていくストーリーが描かれるだけでも充分に楽しめたよーな気がしないでもなく、事件化によって歪められる幾人かの人生を思うと胸苦しさも覚えてしまう。伝説の歌姫の役所も小夜の圧迫されていた過去を引っ張り出す程度と本編にさほど絡まず勿体なさも募る。ミステリーにするならするで事件の裏側に蠢く近しい間柄だからこそ起こる憎悪めいたものをクローズアップし、そんな憎悪に飲み込まれてしまった人間の悲劇を描く方向で固めてくれた方が読みやすかったかもしれないけれど、それだと肝心の田口が脇に回ってしまうから悩ましい。結果、こーゆーいろいろな要素を混ぜ合わせた作品に仕上がったってことなのか。まあそれでも面白いのは流石な腕前か。物語の芯をつかめばそれこそ奥田さんよろしく直木賞だって狙える作家になれるかも。期待だ。

 本を破って食べるのも、過去にいた人間の幽霊然として振る舞うのもそうしなくっちゃって思い込みによるものだと考えれば、野村美月さん「”文学少女”と飢え乾く幽霊」(ファミ通文庫、600円)の中で繰り広げられているファンタジックでオカルトチックなシチュエーションにも合理的な説明がつくんだけど果たして本当にそうなのか? ってまだ言い切れないところが微妙。とりあえず物語を食べちゃうくらいに愛している文芸部の部長の天野遠子さんのことは妖怪なのかもと認めて本作をミステリー仕立てのファンタジーってカテゴリーに入れておこう。でないと担当外になっちゃうし。ってそれを言うなら浅井ラボさん「TOY JOY POP」なんて完全無欠な管轄外ってことになるけれど、なあに冴えない中年の独身男にとって女子高生の物語はすべてファンタジーなのさ。それが清楚でも逆に淫靡でも。

 前はえっと太宰治か誰かだったシリーズは「”文学少女”と飢え乾く幽霊」ではエミリー・ブロンテ「嵐が丘」が重要なキーに。文芸部に舞い込む謎の暗号文を書いているのは何十年も前にいなくなったはずの女性の幽霊。その幽霊に取り憑かれた少女も見かけは清楚ながらもどこかに人生を投げているところがあって大勢の男性と成り行きで付き合っていたりする。そんな中にいたのが遠子が居候しているとゆー家の息子で、彼も遠子が文学作品を食べちゃうくらいに好きだってことは知っているけどそれが単なる悪食なのか、それとも妖怪故の所業なのかは明らかにしてくれない。

 ともかくもそんなジゴロな彼をしてなびかせることのできない少女がなにゆえにそうなってしまったのかを巡る物語が、帰結した先に繰り広げられる悲しくて寂しくて、けれども少しだけホッとできるエンディングを味わってくださいな。とりあえず1番の妖怪はオーケストラピットで指揮もするけど絵も描く姫倉麻貴かな。こいつが1番おっとろしい。あと過去にベストセラーを出しながら今は平凡な人間として遠子のためにお話を書いては食わせている井上心葉に突っ慳貪いしながらも実は……な琴吹ななせがちょっといじらしい。入院した先にお見舞いに来た心葉にパジャマがしわくちゃでちょっぴり汗くさいかもってジタバタする様に惚れ。汗くさい? 結構嗅いであげます絞って飲みます辛かろうと甘かろうと。そんないじらしさを袖にする心葉には悪魔の災厄を。


【9月11日】 「まなかわいい」という言葉は伊奈川愛菓(いながわ・まなか)女流2級のためにある。ってそもそもそんな言葉はないんだけど、だったらこれから作って定着させて行けば良いのだよ。91年3月生まれってことは完全なる平成世代で年齢的には15歳。林葉直子さんは確か12歳で女流2級になっているし中井広恵さんは11歳10カ月、藤田綾さんはさらに早くて11歳7カ月で女流2級のいわゆる「女流棋士」になっているから決して早熟ではないけれど、小学校の4年生だから始めたのは10歳と決して早い方じゃなく、そこから2年くらいで女流育成会に入り3年で抜ける速度はまずまず。その成績も11勝1敗と圧倒的な所を見ると、ここに来て爆発的に強くなっているって言えそう。

 なによりほら、ビジュアルが。昇級の決定を報じる女流棋士会のページにある対局中とかインタビューを受けている時の写真を見ても決して派手じゃなくむしろ逆に地味すぎるファッションに髪形なのに放たれる輝きは目の奥を刺し脳天を貫く。これでもうちょっと歳が重なって来た暁にはいったいどんな顔立ちになっていくのか。そりゃ林葉さん的な日本人にはとてもじゃないけど見えない美貌とは違うけど、瑞々しさを持った健康な美貌って奴でもって世の将棋ファンたちをぐっと惹きつけてくれるるに違いない。伺うに眼鏡をかけることもあるよーでこちらもなかなか。とうよりむしろむふふふ。今は千葉涼子さんが一手に引き受けている眼鏡女流棋士人気も伊奈川女流へと流れて行くんじゃなかろーか。だから是非に対局では眼鏡を。

 言いたくはないけれど「また久保か」。オシム監督の就任以来、オレンジ色の夕刊紙が誇るサーカー日本代表記者の久保武司さんが紡ぎ出す捻転分裂記事がサッカー好きの間に激しい感情の渦を巻き起こすよーになって数ヶ月が経ったけど、そんあ感情の渦を浴びてもひるむどころかむしろ栄養にして立ち向かってくる所はさすが、勇猛果敢じゃなければ生きていけないタブロイド夕刊紙で看板を張るだけのことはあると感嘆も尽きない。今日もきょうとて「オシム内閣改造ウス〜イ柱 不振原因は『コーチ陣』」って玉稿を発表。「オシム内閣が年内にも改造される。その第1弾がコーチ陣のテコ入れ。不振が続くサッカーオシムジャパンの年内残り試合は3つ」ってブチ上げてくれちゃっている。

 不振ってああた、オシム監督が代表を率いるよーになって4試合を戦って成績は3勝1敗。勝率実に7割5分。得点は5で失点はわずかに1とハード過ぎるくらいにハードな日程の中を招集された、代表経験も国際経験も乏しい選手たちを擁して戦っているにしては、素晴らしいとしか言いようのない成績をここまで治めている。ジーコ監督の時は4戦目までで1勝1敗2引き分けで得点は4、失点は5。アルゼンチンが入っているとは言え3試合がホームでなおかつワールドカップ日韓大会のメンバーを残し準備期間もたっぷりあってのこの成績で、誰か「ジーコジャパンの思わぬ不振」なんて書いただろーか? 個人的には大不振だと感じていたけどメディアにそんな言葉は踊らなかった。

安心しろ日本ではビルに飛行機は突っ込まない   なのにオシムの場合は「不振」と書かれてしまう。いやいや書いているのはオレンジ色のニクい夕刊紙くらい。つまりはそう書いてしまえるこの記者には、一般人とはまるで異なる日本語的な感覚があるってことなんだろー。それとも常人には見えない「不審」なものが選手たちの戦っているフィールドに見えているんだろーか。例えば選手たちの足に取り憑く怨霊とか。目を凝らしてみると薄毛のブラジル人で呟く言葉は「アシュケー」とか。そんな怨霊の害が自らに及ぶのを恐れて「不審」は言わずに「不振」と仄めかしているとか。ありえるかなあ。ありえるかもなあ。

 週も明けてやっぱり牛追い。おもに東京駅の丸の内北口から攻めて東京駅前で何頭か見つけてゲットする。天空にそびえる丸ビルを背後に屹立する牛なんてなかなかな佇まい。まるで日本の中心に鎮座ましましている気になっていやがるに違いないけど、実際のところは俺の方がと東京駅の前には別に2頭もいて、我こそが日本の玄関口に鎮座まします偉大な牛だと思い込んでいて、けれども人どおりの少ない東京駅前のぼうぼうに生えた植え込みの中で誰にも触られずにひっそりと屹立している、60数頭いる中でももっとも寂しい部類に入る3頭だったりするのは当牛たちには内緒だ。でないと夜中にもっと賑やかな所へと行きたいって動き出しては妖怪変化と退治されてしまうから。

 だってすぐ側の丸ビルの中にいる牛たちなんて実に華やか。カフェに集う女性たちに囲まれ触れて愛でられていて1カ月の期間中にきっと女性たちの手からこぼれた角質で黒く立派になってしまうだろうから。僕も触ってもらって黒く立派に……ちょっと意味深。そんな丸ビル牛ではロビー内にいる寿司牛がなかなかな出来。背中にエビを乗せた牛でちゃんと牛の背中との間には緑のわさびも入ってて、ちょいとつまんで食べればあのエビの味覚が口いっぱいに広がりそう。そんなくらいに背中のエビがリアルに出来ている。何で玉子や穴子や中トロやイクラじゃなくってエビなのかは不明だけどシャコよりは簡単だし何よりやっぱり美味そうだから、なのかなあ。

コハダにイカでは味わいが出ないもんなあ   そんな丸ビルを出たところにこっちはリアル牛が2頭いて、集まってきた女性たちにべたべたと触られていてちょっと羨ましい。僕も紐に繋がれ藁の上に寝てればやっぱり触ってもらえたかなあ。踏んでもらっても構いませんが。つか先週はいなかったリアル子牛が登場したのは「カウパレード」に関連して牛乳の促進キャンペーンをそこで展開していたからのよーで、寿司牛の脇の看板にも「牛乳に相談だ」のお馴染みのコピーが描かれ「お茶に誘ってだめなら牛乳に誘ってみよう」だなんて無茶なスローガンが書かれてて、そうかそれならって気になって、まずは牛乳を手に入れようとビルの前で乳牛の子供を触っているおねいさんたちからお乳を搾り取ろうとしたら殴られた。それは嘘ですが。しかし折角キャンペーンを展開しているんなら乳絞りの実演くらいはやってくれてもいいのになあ。Fカップくらいのをドーンと放り出してはチュウチュウと。だから違うって。

 既に帰宅していて着けたテレビで見ていた「ニュースステーション」がニューヨークの世界貿易センタービルに飛行機が激突したってニュースを流してこれはと思いチャネルをNHKに切り替え見ていたところに飛び込んできたもう1機の激突の瞬間。爆発して燃え上がりそしてやがて崩落を迎えた世界貿易センタービルの映像にいったいこれから何が起こってしまうんだろう、世界はどうなってしまうんだろうと不安に駆られて夜を過ごしてから5年が経ったけど何のことはない世界は未だにちゃんとあってワールドカップは2度も開かれオリンピックも冬夏冬と開かれるくらいに世界は秩序を保っている。アメリカの突出と突出したイスラムの対峙とゆー、ローカルな所に帰結させたいって世界の思惑がそこにあったってことなのか。

 結果、ただイラクばかりが未だに混乱の中に在り続けていて、すでに911で亡くなった人の数を遙かに上回る使者を出しながらも、終わりの見えない泥沼にあるのは一体どーゆーことなんだろーか。どこかで何かのボタンを掛け違えてしまったんだろーか。必然として選ばれた道だったとしても、厳然として突きつけられている現実を見れば何かがやっぱり間違っていたとしか思えない。とはいえだったらあの時、どんな道を選ぶべきだったのかって考えると答えもなかなかに出てこない。潰れていったWTCの中に散った命の周囲に浮かんだ想いへの対応を遠く島国に暮らす人間が言えるはずもない。が。しかし。5年の後にはどんな答えが出てそして世界はどうなっているのだろう。その時にもまた綴りたい。綴れれば。


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