縮刷版2006年6月上旬号


【6月10日】 そして気が付くと始まっていたワールドカップの「ドイツvsコスタリカ」戦は、早々にドイツが1点を取ればコスタリカもワンチョペなんて不思議な名前の選手が凄いすごいと煽られていたドイツの正ゴールキーパー、レーマン選手を抜いて1点を奪い返して同点にして、試合を振り出しに。いつかのサウジアラビアみたいな虐殺は受けないぜってことなのか、それとも虐殺するだけの力が今のドイツにはないってことなのか。でもバラック選手がいなかったから、入ったら虐殺になっていかなあ。

 とはいえ3点を奪われてもコスタリカのディフェンスラインはそれなりにお仕事をしていたみたいで、慣れてくればもっと抑えて逆にワンチョペ選手の攻撃によってぐんぐんと上へと上がっていくのかも。ポーランドの案外な弱さを勘案すればエクアドルとコスタリカの間で2つめの枠を争うことになりそー。とか言っててドイツがポーランドと昔にあれやこれやもあって反抗を食らって、最後は4つ巴の得失点争いになったらちょっと楽しい。その時には、コスタリカ戦の最後に決めたミドル一閃が大きく物を言うのか。1点たりともおろそかにはできないのがこのレベルでの戦いってことで。

 ちなみに「サッカー批評」の第31号で反町康治さんが予想するところによれば、ドイツが1抜けで2番目がポーランドとエクアドル。でもってポーランドが行くとのことなんだけど、既に終わったその間の直接対決がエクアドルの勝利に終わったところをみると、早速の調整も必要か。その「サッカー批評」第31号は、元名古屋グランパスエイトの福田健二選手の特集も掲載されていて、名古屋から東京仙台を経てパラグアイメキシコとしてスペインへとたどり着いた福田選手のキャリアが、本人のコメントなんかも含めて紹介されている。

 まずはグランパスエイト時代に短い時間ながらも指導を受けたアーセン・ベンゲル監督との再会に関するエピソードがあって、チャンピオンズリーグ準決勝のビジャレアルとの戦いで、福田選手の所属するカスティジョンの隣にある街へとやって来たアーセナルを率いるベンゲル監督に会いに行った福田選手にこう言った。「おまえのゴールを狙うアグレッシブな姿勢が好きだったよ。とにかく使えばゴールをするという雰囲気があった。今でもそういう選手でいてくれることを願っているよ」。今の福田選手の様子はつぶさには見てないけれど、その姿勢だけはかつて買ってて福田選手もそれに答えようとスペインで前向きに頑張っている雰囲気が記事から伝わってくる。

 2部といったってそこはスペイン。フランスなんかよりはるかに厳しいリーグでそれなりに結果を残している福田選手は考えようによっては大黒将司選手よりも上にいるって言えば言える。けどでもパラグアイなりメキシコで仕事をしている時にも福田選手にジーコ監督の関心が向くことはなかったし、今もメディアも含めて関心の埒外、海外組であるにも関わらず国内組よりも注目されないってのは何だろー、いったん関心の埒外に外れた選手にはもはや這い上がる手段がないってことなのか。

 けどそこは結果がすべての世界。ろくすっぽ活躍できないまま日本復帰が取りざたされている大久保嘉人選手を向こうに、2部でも頑張りそのひたむきにゴールを狙うストライカー魂で、得点を積み上げ今ふたたびの脚光を浴びてくれるとまるで無視している時大主義で夜郎自大なメディアに、いい感じのレジスタンスとなって気持ちも浮き立つんだけどなー。来年もまだカスティジョンでやるんだろーか。注目。ところで「あそこの家族はね、奥さんの方あサッカーは巧い。日本代表クラスだから」って原博美さんが言っているけど、誰なんだろー、福田選手の奥さんって。

 柏にJ2を見に行くか駒場になでしこリーグを見に行くか悩んでいたけど気が付いたら正午前でどちらに行くのも諦め近所を散策。今週はすかいらーくの株式非公開化の会見なんかもあって結構忙しくって、知らず疲れが溜まっていたみたい。海浜幕張まで出向いてアウトレットのアディダスの店でジャージの上着を購入。クールビズにも役立つ日本代表のユニフォームを着て仕事へと出向く機会も多くなる中で、上に羽織るんならやっぱりアディダスのジャージでないと不味いって判断。

 ワールドカップに合わせて日の丸が胸に入ったジャージも売っているけどいかにも過ぎてパス、いや欲しいんだけどまだ高いんだよね、残念。幕張のアウトレットには「KIRIN」ってロゴもはいったプラクティスの上っ張りも売っていたけど流石に高いしカバーオールなんで脱ぎ着が面倒なんでパス。日本サッカー協会のマークがでかでかと入ったワンピースも売っていたけど買っても着れないからこれもパス。家でガウン代わりに着てもいいけど、宅急便が着てそれで出ると何だと思われるかねないし。


【6月9日】 まーきまきまきごーる、まきごーる、まきごーる。とテレビに向かい唄える瞬間が来るのかどうかは分からないけどそれでもメンバーに入ったことだけは確かだし、もはや練習で怪我をして送還されることもない訳で、ワールドカップ独大会のメンバーとしてその名前が参加者として永遠に国際的に刻まれることだけはほぼ確定したって言えるだろー。そんな栄光を先取りするかのよーにキリンビールが新川にある本社につり下げた垂れ幕にも、巻誠一郎選手の顔写真がしっかりと描かれ脇に流れるイルミネーションにもその名が登場しては今一度の感慨を与えてくれる。入ったんだなあ、巻選手。

1カ月前までそこに名が入るなんて誰も思わなかったよお  原宿本社の垂れ幕が周辺の規制もあって一切の広告的な効果を得られない幕になってて色も押さえ気味でデザインもシンプルで、「キリン」の「キ」の字も入っていないんだけど新川の方は商業地域ってこともあって日本サッカー協会のエンブレムの下に「KIRIN」とロゴが入った上に、両脇に流れるLEDのイルミネーションにも時折赤字で「KIRIN」の文字が流れてそこがキリンビールの本社だってことを声高に主張する。でもってキリンビールが日本代表を応援していることも。

 もっとも垂れ幕には「祝ワールドカップ出場」って感じのコピー入っていなくって、知らない人が見たらあれはいったい何だろう、日本代表っていったい何をしているんだろうって疑問も浮かぶんだろーけど今や日本代表の試合があれば5割近い人が見る時代。日本代表が何かをやっているからもちろん知って、あとは買ってに見る人なり、メディアがワールドカップと関連づけてアピールしてくれるからキリンとしても無理矢理世界規模でのワールドカップのスポンサーになる必要はないんだろー。だいたいがバドワイザーと違って世界規模で商売してないし。

 厳しいのはその他の飲料メーカーで、代表を応援しているとすら言えない中でワールドカップといかに絡めて商品を宣伝するのか、あの手この手を考え繰り出して来ることになりそー。キリンだって日本代表がワールドカップに出なくなった時、例えば2010年の南アフリカ大会に日本代表が出場できなかったらいったいどんなビジネスを展開するんだろー。日本代表が勝手に盛り上がれる大会をでっちあげてそこでアピールするのかな。ワールドカップに出ない代表への興味が急速に薄れる中でそんな懐の広い支援が出来るかな。未だサッカーがマイナーだった時代から応援して来たキリンだから、きっと続けてくれるとは思うけどでも、最近は株主の意見も厳しいからなあ。そんな時の態度でCSRとやらへの真剣味も見えて来る。注目だ。

 とか言ってたら始まっちまったよワールドカップ。開会式がどかんとそれも民放なんかで中継されているのを見ると日本にもサッカーって奴がそれなりの価値を持つコンテンツだって、今んところは思われているんだってことがよく分かる。昔なんてNHKで夜中にちょこちょこっとやってた程度だったもんなあ。86年の時は学生だったら割とあれこれ見た記憶があるけれど、90年のスキラッチが得点王に輝いたイタリア大会なんて、既に就職していたからあんまり見るチャンスもなくって、スキラッチが得点王に輝いたって話くらいしか記憶にない。そのスキラッチが日本でプレーしてたんだもんなあ。Jリーグって凄かったんだなあ。おっと86年のリネカーもいたっけ。

 94年のアメリカ大会だって試合の内容まで鮮明なのはイタリアとブラジルが早朝に激突してバッジョがPKを外した決勝くらい? それと強烈極まりなかったバルデラマ選手の頭か。マラドーナ選手のドーピングってのもあったなあ。カメラに向かって疾走して吼えた直後の追放劇。悲しかった。それが日韓大会を経てほとんどまるごと、関連情報も含めて見られるんだから幸せってゆーか。たとえ一時のブームに終わっても前回と今回で一生の思い出は残せそー。あとは日本代表の成績で永遠の記憶を残しておくれ。3連敗? それはもう戴いた。7連勝。だねやっぱり。


【6月8日】 宵越しの金なんてもたなくたって、なくなったら働けば日々の暮らしに必要なお金はもらえたし、働けなくなったら誰かが助けてくれたんだろう。だから江戸っ子たちは毎日を気楽に生きて働き遊んでそして死んでいった。そんな素晴らしい大江戸が、さらに素晴らしい人情ならぬ化け物情に溢れた街だったら? 香月日輪さんって人の「大江戸かわら版 異界より落ち来る者あり 上・下」(理論社、各1000円)は、まさしくそんな街に生きることの楽しさって奴を語り描いてくれた物語だ。

 主人公は雀って名の子供でかわら版を書く仕事をして生きている。火事があれば見に行っては仙女みたいに綺麗な青年につかまり中空を飛び観察し、それを書くとのっぺらぼうのキュー太が絵を付け、蜘蛛のような刷り師がかわら版に仕立て上げてくれて雀はそれを持って出かけては、口上も鮮やかに売りまくる。大きなネコと連れだっては街を歩き、狼のように恐ろしげな同心から事件のネタを広い、大きなウサギのいる飯屋の上で雀を最初に世話してくれた魔人に挨拶をしてまた街に出る。

 まさに怪物ばかり妖怪ばかりの世界にあって、雀だけが人間。そうこの大江戸はあの大江戸とは違って暮らしているのはすべてが化け物。だけれども誰も脅かさず誰も食べず誰も怖がらない。みんな気の良い人……ではなく化け物ばかりで親切で情に溢れ、粋で気っ風の良い化け物たちと出会いながら雀が過ごす日常を通して、世知辛い人間世界では失われてしまった情とか親切とかいったものの尊さに気付かせてくれる。

 雀のよーに落ちてきた人間の女の子がいても脅かさず騙さず、かといって自分たちの暮らしに無理矢理引っ張り込むよーなこともせず、一時の感情に揺れてるけど少女にとって本当に最適な状況とは何なのかを、少女が自分で決断できるようになるまでニコニコとしながら見守っている。雀も同様で落ちてきた時は酷い有様だったけど、回りの助けも借りつつ自分で自分が世界のために出来ることを探し、見つけてかわら版屋の仕事を始めるステップに、やりもしないうちから諦めている人の大勢いるこの現実の至らなさを思い知らされ、前向きに生きていこうって気持ちを高められる。

 童話よりはやや上でいわゆるライトノベルよりはやや下の、ヤングアダルトとでも言えば良さそうなカテゴリーに属する物語だけど、大人が読んでも存分に面白く、キャラクターで読むライトノベルのファンが手に取っても抱負で特徴的なキャラクターたちが織りなすドラマを楽しめる。江戸の言葉に溢れて読んでテンポも楽しく小粋さに笑みも浮かぶ物語。あまりに有り体なライトノベルの氾濫に眉を潜めている人がいたら、是非に読んで欲しいもの。そして今を悩んで足踏みしている若い人たちにも。やれることがあって、それと必要としてくれる誰かがいる。そのことに気付けばきっと明日に足を踏み出せる。

 総合10位に4位と来て5位とつまりは1度なりとも表彰台に上がったことのないチームを僕たちのヒーローであり何ごとにも勝利し続けてきた「仮面ライダー」の名前で呼んで良いのかどうかって疑問、きっと誰もが抱いていることだろー。それがさらなるプレッシャーを読んでライダーたちを固くして、鈴鹿8時間耐久ロードレースに出場する本田の「仮面ライダーカブト」チームはきっと今年も表彰台を逃すんじゃないかって、今から予想したらちょっと申し訳ないのかな。でもやっぱりプレッシャーだよねえ、「仮面ライダー」は。

 これが例えば「電人ザボーガー」チームだったら途中でバイクをロボットに変形させて受けを取ればそれでオッケー、あとはレースに負けても文句なんて出てこないし「月光仮面」のチームだってバイクはバイクでもカブみたいなバイクじゃ勝てなくって当然と、誰からも労ってもらえるだろー。「ワイルド7」だったら逆送して向かってくるライダーを飛葉がウッズマンでぶち抜き八百が南部で射抜き親分がコルトパイソンで吹き飛ばし両国がミサイルで殲滅して最後をユキちゃんのキャノンで粉砕すれば、レースの成績なんて関係なしにやんやの喝采を受けただろー。

 でも「仮面ライダー」は別だ。それは巨大ヒーローを模した巨人運動会に「ウルトラマンチーム」で参戦するのと同じくらいのプレッシャーになる。負けられない。格好悪い所は見せられない。右から左から押し寄せる伝統とブランドから来るプレッシャーに負けず怯えず、コンスタントな成績を出せるよーな人がいたらすでに世界GPの舞台でチャンピオンになっていたって不思議はない。

 と考えると10位から4位と来て5位に食い込んだライダーは、それなりな強さは持っているって言えるのかも。今年3位に入賞できればかかるプレッシャーをものともしない精神力を獲得出来たと判断して、ホンダも世界GPの舞台へとライダーを送り出してあげては如何。そして次はツーリングカーレースに「マッハGoGoGo」チームで参戦してドライバーにプレッシャーを与えて強い選手に育て上げると。「マッハ」でだってやっぱり負けられないよなあ。世界的な知名度を持つそれで負けたら恥ずかしいもんなあ。

 世間では「ホスト部」ばかりが持てはやされているけれどなかなかどーして「プリンセス・プリンセス」も素晴らしいじゃああーりませんか。絵はどこまでも美麗でお話はどこまでも真っ直ぐ。突拍子もない展開はなく淡々と、男子校で女装する姫の役目を押しつけられた3人組が直面する様々な出来事が描かれていて、楽しげで可笑しげで苦労もあってそれでもやっぱり面白い学園の様に微笑みが浮かんで来る。

 彼女がいるのに姫にさせられた野郎の葛藤が、彼女の理解によってすんなりと融けていく展開の真っ当さ。ああ青春。絵になった時は声を除けばとことん女の子に描かれているからこそ目に違和感なく入ってきて、その中でドラマが放つメッセージを堪能させられるのかも。これがビジュアルも含めて違和感たっぷりになりそーな実写版だったら、果たしてどんな印象を受けるんだろー。気味の悪さが先に立ってドラマに没入できなくなるのかな。それとも案外にビジュアルも含めて楽しめるドラマになるのかな。怖いけど楽しみ。


【6月7日】 夏には海水浴に行くんだから冬にはスキーにだって行くんだろー4人組。海水浴場でも潜水服に身を固めていた鉄子も雪遊びだったら出来て良かったねって言おうとしたら、何とその重量でリフトのケーブルが切れて落ちて雪まみれ。なおかつ積もって固められた雪すらその重量を支えきれず、見る間に体が沈んでいってしまって歩くことすら困難。これではスキーだってスノーボードだって出来ず仕方なくひとり寂しく雪だるまを作って遊ぶのであった哀れ。

 そんな「錬金3級まじかる?ぽかーん」の後編は温泉へと入りに行った4人組が超グラマラスな方々と出会うって展開。入っておいでよと誘われいそいそと全てを脱ぎ散らかす4人のビジュアルの、テレビ的な限界はあるもののそれでも緩いUHFローカルな基準で目にも瑞々しいものを見せて戴き心も晴れる。ありがとう。ちょっと前にとんでもない回があって頭を抱えたこともこれでサッパリ見ずに流せた。あれくらいの崩れなんて崩れに入らないくらいに凄まじくも素晴らしい崩れっぷりを見せる作品が今まさに進行中だからってこともあるし。

 さてもお話の方はパーッと脱いででこぼこした所を見せてくれた4人組にも増して温泉で待ち受けている方々の見せっぷりが凄まじく、目をテレビ画面へと近づけついつい頬ずりしたくなるくらいだったけど、そんなグラマラスな胸元から下へと転じた目に入るロケットとも像さんともつかない物体が、4人組を凍り付かせるどんでん返しにまず爆笑。さらにもう1段の落ちもあってそこまで凝るかと作った人たちへの賛辞も浮かぶ。深いなあ。目の保養も出来て驚けて笑えるアニメ。これだけ楽しませてくれるんだからお礼にDVDを買っても良いかなって思えて来た。あれがどう直っているかにも興味あるし。

 新世代が作った半導体の「xavix」を使った、テニスだとか野球だとかボクシングだとかの体感ゲームをどーして遊び好きなのに買わないかとゆーと、別に家庭用ゲーム機と違って単一の遊びしかできないからじゃない。「xavixポート」を利用するものならポートに差し込むカセットを代えれば複数の遊びだって可能な訳で、まあそのカセットにそれぞれ体感用のインターフェースが付いてくる面倒くささはあるけれど、ポートさえ用意しておけばあとは割に低い価格で、それなりに本格的なテニスなりボクシングのプレーを楽しめ体力増進にも役立つってメリットはある。だから問題は別の所にある。狭いんだよ我が家。

 テニスを楽しみたくてもラケット型のコントローラーを触れない。ゴルフをしたくてもゴルフクラブのスイングを読みとるセンサーを置く床が見えない。だからエポック社の時代から出ていた「xavix「のチップを使ったテレビ玩具も、新世代が自社ブランドとして出した「xavixポート」利用のフィットネスに役立つスポーツゲームも、これまで涙を呑んで買わずに来たしこれからも今の部屋に住んでいる限りは多分買わない。唯一、ドラゴンクエストのキャラを使い剣の形をしたコントローラーを振り回すゲームだけは買ったっけ。でも家では遊ばずそのまま実家へと送ってしまった。持っていたからといって遊んだとも思えない。面白さよりも優先されるのは住環境ってことで。

 だから任天堂の次世代ゲーム機「Wii」が発売されたとしても、果たして今までのゲーム機のよーに飛びつき遊ぶかってゆーと微妙。なるほど「xavix」を知らない人には興味深いインタフェースに見えるけかもしれないけれど、ラケットにもガンコンにもゴルフクラブにもなり切れていない羊羹みたいなコントローラーをラケットの如く振り回した所でどこまで爽快感が味わえるのかが今ひとつ読めない。任天堂が関東方面の人で「E3」に行けなかった人向けに行った体験会でテニスを触ってみたけれど、やっているうちは面白くってもこれを家でやるのは不可能かもって気になって欲しい度がガクッとスポイルされてしまった。

 センサーで動きを読みとるタイプのコントローラーを使って遊ぶゲームのラインアップがまだ見えてないのも躊躇の理由のひとつ。デモだとテニスが遊べたけれどこれなら「xavix」を使ったラケット型コントローラーを振り回す奴と画面的にも変わりない。あくまでもデモンストレーション用だから、選手は動かせなくなっててただコントローラーを振り回せばあとは勝手にボールの所まで移動して打ってくれるよーになっていただけなのかもしれない。でもそれって初心者にはテニスっぽいことが出来て楽しいけれどちょっとテニスを囓った人には楽しいんだろーか。ちょっと分からない。

 初心者だって遊んでいるうちにもっと凝ったことが出来ないかって気になって来る。そうなった時に選手の移動までも可能にすると今度は手元のコントローラーだけでは操作が追いつかなくなりそー。テレビ玩具のテニスだから許されていた壁打ち的な楽しみ方、「xavix」が唄いとするフィットネス用具としての味わい方が、「Wii」の場合だと許されるのか。ゴルフにしたって同様。最初はコントローラーを振り回す楽しさに浸れていても、いずれ飽きてしまうだろう。そうなった人が、また同じような遊んで飽きる体験をするだけだったら、もうゲームはいいやって気になってしまい、かくしてテレビ前から「Wii」は撤去され、高画質の映像を楽しめる「プレイステーション3」に置き換わって行くって現象も起きるだろう。

 コントローラーを振るスピードとか、捻りまでも読みとってテニスならトップスピンをかけたりライジングを打てたり、ゴルフならドローやフェードが打てたりすれば凄いけど、そこまでの機能が果たして付いているんだろうか。付いていたとして、今度は初心者をそんあ深い所まで引っ張り込めるんだろうか。簡単だから楽しめたけど複雑ならもういいや。そう思わせたら負け。あくまで初心者が初心者なりにゲームを楽しめる道具として、「Wii」のワイヤレスコントローラーはあって、こんな楽しそうなことが出来ますよって外向けにアピールして、初心者が「Wii」てマシンへと関心を向けさせる一種のフックに過ぎないのかもしれない。

 だからワイヤレスコントローラーを使って遊ぶゲームは、剣戟でもスポーツでも操作性は簡単で良い。簡単な方がむしろ良い。向かってくる相手を斬りつけボールはただ打ち返すだけで十分、移動したりスピンをかけたりって複雑さ奥深さはいらない。それが楽しみたければ従来型のコントローラーを使えば良い。例えるなら携帯電話に最初っからバンドルされているよーなテトリスだったりスロットマシンみたいなコンテンツ。ちょっとした合間に楽しめますよ、だからソフトのお値段はおやすいですよ、あとは「脳トレ」みたいなお勉強にも役立ちますよって訴えれば、ゲームなんて関係ないって思っていた人でも気を向けるだろー。

 根っからのゲームマニア向けのゲームが無いわけじゃなくって、別にコントローラーを振り回さなくても、コントローラーにはスティックもトリガーもボタンもついてる。それを操作してゲーマーが楽しむゲームを作れば良いだけのことだ。家族の誰もが何らかの楽しみを得られるマシン。そう誘いをかけるんだろー。

 その上で狙いはネットと繋げる「Wiiコネクト24」を使ったサービスに置いて、一種のホームサーバー的な役割を「Wii」に果たさせ、新しいコンテンツをダウンロードさせたりあるいは携帯電話の「iモード」よろしく様々な情報をそこで流通させるなり、コミュニティを発達させてその上で何かのビジネスを展開するなりするんだろー。朝、起きて手元の「ニンテンドーDS」に「Wii」から届いているコンテンツを通信で取り込んで出勤して、電車の中で遊んだり確かめたりするってことも可能になる。

 それってソニー・コンピュータエンタテインメントが「プレイステーションポータブル」でやりたがっていたことだけど、あの起動の遅さ取り回しの面倒さに比べて操作は簡単、起動も早く値段も安い「DS」なら、構えずにそーした情報の持ち運びが出来るよーになる。かつて大手町にある新聞社がテレビの電波に新聞の情報を載せて送り届けてそれを家に置いた専用端末に移して出勤時に見せようとして大失敗した「電子新聞」だって、これならもっと簡単に、それと構えさせないで出来てしまう。新聞に限らず雑誌だって配信可能。インタラクティブなんて別にいらない。ネットにわざわざアクセスして読むより手軽に情報にアクセスできるんだったら利用するかもって人はいない訳じゃない。

 携帯電話でだって出来るサービスかもしれないけれど、ボタンのいっぱい付いて複雑な携帯電話を使いこなせない人ってまだまだ多い。そんな時に「DS」のシンプルな操作性が威力を発揮する。任天堂がトライ&エラーを繰り返しながらも、我慢してネットワークの利用を促す上で必要な条件は何かを突き詰め考えた上で、「DS」で超シンプルなネット接続機能を実装して来た理由ってのもそんな利用方法を考えてのことなのかもしれない。

 任天堂がプラットフォームをオープンなものにするかは分からない。「iモード」みたく課金の仕組みをそこに作って収奪する仕組みにするかもしれない。けれどもそうしたサービスが可能な枠組みが、それもなかなかに強力な枠組みがまた1つ生まれそうってことだけはコンテンツを持つ所は考えておいた方が良いのかも。何しろ端末は840万台だ。「電子新聞」とはきっと1000倍数が違う。ちょっとくらい任天堂にフィーをあげたってペイできるんじゃなかろーか。

 「Wii」の普及がどれだけ進むか分からないけど、一方で「DSステーション」なるスポットが全国にどんどんと増えている。駅のキオスクの横に置かれたステーションでちょちょいと「DS」を操作し電子化された新聞を買う、雑誌を買う、音楽を買う、小説を買う、パズルを買うってサービスだってやってやれない訳じゃない。もしもやれれば「DS」をひとつ手に入れてみようか、ついでに「Wii」も導入してみようか、なんだゲームも遊べるのか、こりゃなかなか面白いなあ、って家が増えるのかもしれない。そんな方向性へと果たして向かうのか。向かったとしたら、パソコンソフトの雄であるマイクロソフトもエレクトロニクスの巨人ソニーも、やろうと試行錯誤しつつ未だ果たせないホームサーバー&情報端末の世界に任天堂が到達してしまうって訳でそれはそれで痛快。どうなるのかなあ。楽しみ。


【6月6日】 雨ざあざあ振ってないんで支度をしてから「東京ビッグサイト」で開催中の「ヘルス&フィットネスジャパン2006」を見物する。まずは見かけた謎の危惧。ただの棒。それを担いで左右に体を捻ってる。天秤棒か物干し竿でもいいんじゃない? って誰もが思って当然だけど使ってみれば分かる違い。ちょっぴりカーブのかかった棒を背中にあてて両手を添えてぐっと体を横に倒すと曲げた方の腕が下がって反対側の腕は棒に押されてさらに上がってよりいっそうに脇腹の筋肉が引き延ばされる。

天秤棒でもゴルフクラブでも代用可能、ではないらしい、のだがさて  それだって物干し竿で十分じゃん。と言われれば傍目にはその通り。だけどこの謎の「Vシャフト」には表に見えない秘密がある。棒の中に入っているなぞのつぶつぶが、棒を傾ければ下へとながれて棒の動きに加速をつける。そのちょっとした動きが引っ張る効果をさらに際だたせる。なるほどねえ。効けば阪神タイガースの矢野選手がイメージキャラクターに起用されてて、ポスターなんかにも掲載されてた。きっと甲子園のロッカールームでこいつを肩に左右前後と体をひねっているんだろー。その効果はきっと成績に現れるはず。注目だ。あとは値段に関心。教えてくれなかったけど幾らくらいだろー。竿だけ10000円より安いかな。

 折角だからと「ゆりかもめ」に乗り開通した豊洲駅へと向かう路線を初体験。「有明コロシアム」の横を抜けてまずたどり着いた「有明テニスの森」って駅なんだけど既に「デファ有明」すら超えていて周囲に森はなく建物すらなし。そこから戻り道路を渡って行かなくちゃいけないんだったら「国際展示場」横の駅で降りて歩いて行った方が早いんじゃないかって気もしないでもない。それとも周辺の埋め立て地にこれからテニスの森でも作るのか。さらに凄かったのは「市場前駅」とかゆー駅で、おそらくは築地から移転してくる市場が出来るんだろーけど今はまだ空き地。乗り降りする人もいないのに駅を作らなきゃいけないってのは何故なんだろー。「汐留」だって周辺がオープンしてから作ったのに。後からオープンするより安く上がるのかな。

 次の「新豊洲駅」も同様に何もない駅。いやかろうじて東京電力の作ってるドラムみたいな建物があるけど建設中で利用は不能で当然ながらに乗降客はゼロ。それでもやっぱり作らなきゃいけない理由って? それとも下りるとそこに何かあるのかなあ。でも流石に下りられない。そして最終「豊洲駅」は昔のNTTデータくらいが屹立していたイメージが一変して、駅の前上に高層のUR賃貸によるアパートが建設途中で横には「ららぽーと豊洲」も建設中。中にはメキシコだかが発祥の、仕事を体験できる子供のための施設「キッザニア」が確か入る予定で、完成すれば相当の賑わいになりそー。

 「キッザニア」ではいろんな仕事を体験できるらしくタカラトミーとかANAだかも出店を計画しているとか。そこでの経験がそのまま将来の仕事選びに役立つ訳ではないけれど、そーゆー場所で仕事を通してブランドなり商品に接した子供が、将来においてユーザーになり得るって可能性は皆無じゃない。なおかつそーゆー所に出して子供を支援している企業のイメージ向上にも繋がるってことで、日本での初お目見えにも結構な数の企業がお金を払ってでも店を出したいと申し込んだとか。夢を与えるよりも希望をふりまく職業テーマパーク。なるほどこいつは巧い商売だ。出来たら行こう、僕にベストな職を探しに。

 官製でも確か大人向けに似たよーな施設があったって記憶しているけれど、金にもならなきゃ為にもならない生きた化石に確かなってたんじゃなかったっけ。だったらいっそ対抗してニートな青少年が興味を持ちそうなジャンルに関わるお仕事を体験させる施設を作ってやったら、どう。アイドル歌手のコンサートの警備とか。アニメスタジオの制作進行とか。書店のマンガコーナーの担当とか。両手に持った鉄砲を同時にじゃなく交互に撃っては無限に弾を出し続けたり時々ビームを出したりする時代劇アニメの音楽担当とか。そのハードさにきっと就業意欲、なくなるな。

 予感めいたものがきっとあったんだろーなー。あるいは空気がそんな風になっていたんだろー2002年のワールドカップ日韓大会目前。「週刊サッカーダイジェスト」に掲載されてる4コマ漫画の「スーパーさぶっ!!劇場」が完全版としてまとまり刊行されて買ったら第1巻はまだ02年の日韓大会が始まる遙か前。当時から変わらぬ存在の薄さを見せ続けていた明神選手とか顔面の怖さで周囲をおののかせていた奈良橋選手とかの今も変わらないキャラっぷりに消えて行った多くの選手を思いつつ長く続けることの大切さって奴をまずは思い知る。

 んでもっていよいよ近づいていく日韓大会に向けて選手が選ばれるかどーかを思い悩む描写もあってそこで中村俊輔選手がアピールの足りてなさを心配してるのがちょっと意外。当時から既に代表確定って空気が日本を支配していて、それが外れたから誰もが驚いたってゆーのが4年後の今の定説だけど、4年前を描いたこの漫画だとアレックス選手と並んで当落線上にいたよーで、1つの漫画ではアピールしよーと俊輔の蹴ったボールがトルシェに当たりそーになってそれをアレックスが受け止めて、トルシェに褒められ試合に出させてもらったってオチになっている。

 もう1つはアレックス選手と中村俊輔選手が2人並んでトルシェの回りを走ってアピールしているって漫画で、けれどもトルシェは気付かず小野伸二選手ばかりを見ているってオチ。最近になってインタビューにも答えているトルシェはあの日韓大会でアレックス選手と中村俊輔選手のどちらを選ぶのか、最後まで迷ってアレックス選手のユーティリティ性を買ったって説明しててつまりは2人は同格で、村山文夫さんの漫画はそのことを見事に言い当ててたってことになる。それとも当時からそんな空気がやっぱりあって敏感に反応しただけなのか。そーだとしたら俊輔選手を落としたことを世紀の大失敗のよーに書き立ててる昨今のメディアなり評論家の人って、過去に見て見ぬふりをする愚か者たちなのか。落選直後のサッカー専門誌と新聞の論調を読み返してみたいなあ。


【6月5日】 球をもらい突っ立ったまま足下から足下へと蹴り出す繰り返し。そして時々アリバイ的に前へと走りもらいクロスをあげれば仕事をしているって思われるんなら、こんなに楽なサイドプレーヤーはないって言うか。それが1点目では確かに得点となったけれど、後にまるで効力を発揮しなかったことの方がむしろ重要。センターに合わせ落としてそこに誰かを突っ込ませるタイプのフォワードを置かず、むしろ裏に走り間を抜けるタイプばかりを置けば、攻撃がちぐはぐになってしまうのも当然過ぎることだろー。

 だからアレックス選手の調子が良かった前半にこそ、高さのある巻誠一郎選手をワントップで置いてそこに駒野選手アレックス選手からクロスを入れさせ、後ろから中村選手中田選手にぶつけさせるプレーをしなくちゃいけないのに、巻選手が出てきた時にはサイドからクロスを誰も上げず巻選手はトップで孤立してしまう。サイドを使おうと中田選手が放り込んでもそこで受ける選手がいなきゃ話しにならないよなあ。効いているかい中田浩二選手。一番フレッシュなはずなのにまるで動いてなかったもんなあ。

 まあいくらピッチ内で中田英寿選手がひとり状況を打開しよーと頑張ったって、監督自身が戦況を見て適切なピースを入れて戦術を整えさせよーとしないんじゃあ無理ってものだ。理由もなにもない思いつきの交替がちぐはぐな攻撃を生んで膠着状態からじり貧へと進む場面ばかりが、本番でも続くんだろー。そんな胃の痛い試合を埼玉スタジアム2002まで見に行くべきかどーか。スカパーには申し訳ないけど、家でパジャマがやっぱり相応しいかなあ。

 今となっちゃあ「レッドウィング」のアイリッシュセッターだって買える(といってもABCマートの安売りでだけど)くらいの金はあるけど高校生の当時に3万円も4万円もするワークブーツなど買えもしなけりゃ買ってももらえず、紹介されてる雑誌の「POPEYE」を読みながらいつか大きくなったらリーバイスの501を履き足下をレッドウィングで固めて、オシュコシュだかのダンガリーのシャツ着て歩いてやるんだって願望を密かに温めていたっけか。

 その後にリーバイスなんかは植田から高針方面へと抜ける途中に出来たカジュアルショップの「アルファルファ」とか、緑区にあって当時はまだ普通のカジュアルショップだった「ユニクロ」なんかに安く出回るよーになって、大学生のお小遣いでも買って履けるよーになったけど、流石に「レッドウイング」のブーツは手が出ずその願望はおよそ20年を経てよーやく適って、太くなった胴回りをジーンズに押し込み下に「レッドウィング」を合わせては、起こる股ズレに痛みを覚えつつ指先に巣くう水虫に痒みを覚えつつ、アメカジ気分に浸っていたりする今日このごろ。

 とはいえワークブーツを今まで諦めていたって訳じゃなく、実は高校生の時に「アイリッシュセッター」と同じ形をした奴を1足、買っては学生服に無理矢理合わせて高校に通っていたりした。ブランドは「トムマッキャン」。当時から「POPEYE」に取り上げられたり広告が出ていた「セダークレスト」とか、「ウゥルヴァリン」とか「チペワ」とか、「ゴリラ」といったお歴々と比べると、あんまり有名ではなかったけれど値段が当時で1万と数千円で「レッドウィング」の半値以下で買えて、なおかつ頑丈で買ってから夏をのぞけばほとんど毎日、それを履いて高校へと通い入学した大学へも通い豊橋から伊良湖岬まで歩くとゆー、専攻していた学科で恒例になってるイベントでもそれで踏破した。イベントが今も続けられているかは知らない。

 それほどまでに世話になったブーツを買った店が八事にあった専門店なんだけど、その経営母体であったツルヤ靴店が最近になって「ジャスコ」なんかを傘下に持つイオングループ入りしていたことを知る。ツルヤ靴店は名古屋を本拠にそれなりな店舗網を持ってて実家のある平針にも駅前に大きな店を構えていたんだけど、いつの間にやら渋谷やらにも店を出して全国区の靴チェーンに成り上がっていたらしく、イオンとも業務提携してよろしくやっていたのが、いよいよ本格的に共同歩調で展開していくことになった。

30年経てばお宝入り間違いなし、だと思うけど、でも高いかなあ  そんな話を聞く機会があってツルヤ靴店の沿革を見たら、平針の店は04年に店が閉まり、八事の「トムマッキャン」も98年には閉店となっていた。しばらく帰っていない間に名古屋も様変わりしているんだなあ。「スター・ウォーズ」の最初の奴を見たシネラマ方式の「中日シネラマ劇場」ももうないそーだし。テレビ塔はまだあるのかなあ。化け猫に壊されていないかなあ。

 ハローキティなら万全。なおかつアイリッシュドレスデンとあっては2000体が2万体だって直ぐに売り切れてしまうんじゃなかろーか。レース模様の飾りがついた磁器の人形を作って世界に知られるアイリッシュドレスデンが今度作ったのはハローキティの磁器人形。ドレスの部分には他のアイリッシュドレスデンにも増して細かく薄いレース状の飾りがいっぱいに取り付けられて、遠目にはまるで布のパーツが取り付けられているよーに見える。でも磁器。レースの布地に泥をしみこませて焼くと、レースだけが燃え磁器部分だけが残る仕組みで作られていて、レースの編み目もばっちりと再現されている。

 顔の造型も完璧で、立体化されたキティちゃんの愛らしさが見事に再現されている。値段は4万9900円と遊びで買うには高めだけど、世界のVIPが愛し日本の皇室からも親しまれている伝統のアイリッシュドレスデンではごくごく一般的な価格帯。それがハローキティというキャラクターで持って作られているだからこれが売れないはずはない。かつてリカちゃんおアイリッシュドレスデンも作られ即日完売になったらしーけど、世界にファンのいるキティだったら即時完売になったって不思議はないかも。6月16日からネットなんかで予約を受け付けるそーで、未来のお宝だを思ってひとつ買っておくかなー。


【6月4日】 力持ちだけど気は静か。献身的で愛情たっぷりに接してくれるその姿を見て育った少年の目の前でメイドは豹変してテロリストとしての本性を露わにし、ショットガンを振り回しては眼前の敵を1人またひとりと確実に殺していく。その姿に少年が抱く感情が自分のために戦ってくてれいるんだという感謝の気持ちであるはずがなく、逆に信じていたものが失われてしまうい哀しさであり、愛していたものに刃向かわれ怒りが少年の中に渦巻いては、その脚をすくませることだろう。

 だからアニメ版の「ブラック・ラグーン」が銃を振り回して暴れる最強メイド・ロベルタの姿を目の当たりにした少年に、驚きと恐れ、悲しみと怒りを覚えさせる描写を加えたのは至極真っ当。漫画版ではまだ初期で、アクションのレベルとどのあたりまでフィクションにしておくのか試行錯誤していた段階ってこともあったのか、印象としては「なーんだロベルタ強いんだー(笑)」的な流れでロアナプラでの再会を描いていてそれはそれで面白いものではあったけど、巻が進むに従ってリアルでシリアスなドラマの増えてくる漫画版「ブラック・ラグーン」の進化と深化に合わせるならば、裏切られたという思い込みをのみこみ総体としてロベルタの行動を理解し迎える展開へと持っていったのもむしろ当然か。単にエピソードを引っ張る上で隙間を埋めなきゃいけなかったってことかもしれないけれど。

 ただそれが冗長にならないところがアニメ版「ブラック・ラグーン」の凄さって奴か。ターミネーターの如くに燃えさかるバーから抜けてきたロベルタが、そのままナイフを突き立てダッチたちの駆る車に張り付き戦いを演じるアニメ版の無茶っぷりもそれでテンポが良くって痛快だったけど、アニメ版の方ではロベルタにメルセデスの窓をパンチでぶち割らせて、それを駆らせて超高速でダッチたちの乗る車に突っ込ませてはカーチェイスの最中に片手であの強力で鳴るダッチの手首を押さえさせて、ロベルタって奴のメイド服の裏側にある凄さをじわじわと感じさせる。

 さらには路地裏を抜けて逃走を図るダッチたちの車に無茶も極まりない方法で再度迫らせ、そこから漫画版にあるよーなナイフで車に張り付かせる流れの鮮やかさ。そしてそこから漫画版でも最大の見せ場となる世界最凶の女たちによるグラウンド・ゼロの勃発へと繋いでいこうとして興味を最後まで失わせない。張り付いたロベルタに向けるダッチのマグナムの射線に重なる少年。眼鏡越しの少年を見つめるロベルタの顔にさっきまでの恐怖と怒りの感情を少年はどう処理するのか。そしてどんな行動をとらせるのか。そうした葛藤と赦免のドラマも次週の見せ場となりそう。いやあ深いなあ。でもってカーチェイスのシーンの圧倒的な作画力。このシリーズ、21世紀に残る傑作になるかもな、20世紀の「ルパン三世」に並びあるいは超える。

圧倒的な安定感にトラップ力に展開力は日本の至宝だ沢穂希  ふと見た「セブン−イレブン」のCMが微妙。単純にピクニックに家族だか何か大人数で行くってストーリーなんだけど広げられたビニールシートに積み上げられたのがペットボトルの飲み物にパックされた弁当にラップらえたおにぎりにサンドイッチにお菓子にその他いろいろ。もしもそれらを全部平らげたとして出るゴミの量はいったいどれくらいになるんだろう。おそらくポリ袋に1つ2つじゃあ片づかない。これがお茶だったら家でわかした薬缶で作った麦茶でおにぎりもジャーで炊いたご飯に海苔を焼いて巻き付け瓶から出した梅干しを入れ卵焼きに唐揚げに煮物にその多をお重に詰めて持っていったものだったら、出てもせいぜいがおにぎりをつつむアルミホイルくらいであとは持ち帰って洗ってまた使うってことになっただろー。

溜めが作れてスピードがあって決定力も抱負。あとは突破力か永里  なるほど便利かもしれないけれどその便利さにはらわれるコストは膨大。そんなことが目の当たりにできるCMを流してそれでレジ袋の削減で省資源に協力してますって態度を見せられても鼻白む。まあ問題はそーした便利さに浸り苦労を厭うよーになった消費者の方にも多大にあるんだけど。レジ袋がノーならパック弁当もラップおにぎりもペットボトルもノー。ってくらいにならなきゃ省資源なんてできるわきゃない。もちろんコンビニだってコンビニの省資源への取り組みを讃えるメディアだって内実は承知してるんだけど、そこを突っ込むとコンビニ自体が成り立たなくなるのは明白だから突っ込まない。かくして世界は次第に失われ、100年先の未来は消える。生きちゃいないけどでも心配。

 雨かと心配したけど天気も保ちそーだったんで電車に乗り継ぎ西が丘サッカー場へと女子サッカーの「mocなでしこリーグ2006 日テレ・ベレーザvs岡山湯郷belle」の試合を見に行く。およそ800人くらいだから前々週によっすぃーが来た時よりよっすぃーのファンを差し引いた数と思えばほぼ妥当。これが相手が関東圏のチームなら応援団もたくさん来てただろーから、女子サッカーも多くて1000人をコンスタントに集められるコンテンツへと育って来たって言えそー。もうちょっと代表チームの試合があって話題が沸騰すればさらに大勢が来るんだけどなあ。その為にも来年のワールドカップには何が何でも出場を。

 試合は前半こそ互角に進んだものの後半に四方菜穂選手とそして荒川恵理子選手を投入してから一気にベレーザペースに。荒川選手が最前線でスピードを使い切れ込めばそこを永里優季選手がフォローする形が出来て立て続けに得点を奪い終わってみれば4対0の圧勝に。すべてを永里選手が叩き出して若いながらもエースストライカーって貫禄を見せつける。まあもっとも周囲に名人の揃うベレーザならではのエースで、1人で突破し決めるんだったら荒川選手や沢穂希選手の方がまだ上か。今回もそんなシーンを何度か見せては代表キーパーの福元選手と1対1とかになっていたから。永里選手はそこを止められた所に突っ込み得点を挙げてた感じ。だから代表で永里選手を使うならトップは荒川選手と大谷未央選手でその下にセカンドストライカー的に入れる方が良いのかな。あるいはサイドに正確なクロスを入れられる選手を置いて永里選手の高さを活かすとか。ともあれ楽しい試合。また行こう。ワールドカップでJリーグがなくたってサッカーは消えてないし終わってないのだよ。


【6月3日】 そうきたか成田良悟。完成しなかった越佐大橋の突端に作られたまま廃墟となった島を舞台に起こるギャングとマフィアとチンピラとヤクザたちによるくんずほぐれつの大乱戦。その中で過去を振り切り昔を捨て記憶を埋めて集った狂犬に猟犬に番犬たちが三つ巴に対峙し、さらにんは行きながら伝説となった殺人鬼に伝説の中から生まれた情報屋が錯綜。そして闇の底で人心を惑わし破壊を目論む存在が浮かび上がっては絡み合い、もつれ合っては分かれていく物語がこれで終わった。

 「がるぐる!」の上巻で始まった探偵の姉と弟による人探しは知らず殺人鬼を追いもとめ殺人鬼は愛に迷い東の護衛団と西の自警団がプライドをかけてぶつかりあう。そして続く下巻。まさに意外などんでん返しが待ち受けて、絡む人々に何かをもたらして集結する。ただ1人を除いて。そのはっちゃけぶりとまとめっぷりは、どれだけ風呂敷を広げようともきっちり畳み見事に治める成田良悟さんならでは。それぞれに見せ場もあってファンも満足。とりわけダウナー系のチェーンソー娘とこ砂原潤ちゃんのファンにはたまらない描写があって読む手もピタリと止まること請け負い。あと中華鉄パイプ娘のリーフェイちゃんのファンにも。

 誰よりも1番殺人を繰り返している奴の、抑えきれない感情の爆発がそうさせているって辺りが実は人間として案外にまともだったりするのが皮肉というか。意味もなく金のために平気で殺め、いっさいの悔恨も抱かない奴らの行動のまるでまともじゃない様との対比から、いったいなにがまともなのかって懐疑が浮かんで来るけど結局のところは誰もまともじゃないってことで。それは島の中に生きる人たちも島の外に暮らす人たちも、あらゆる人間が。全部。ならば己を信じて生きるのみ。迷わず前へ進むべき。ってあたりの大切さって奴を間抜けな探偵のシャーロットの言動が見せてくれる。抱きしめたい。キュッ。

 ともあれこれで終わりの越佐大橋シリーズ、だったはずなのになぜか続く短編集。登場人物たちの過去だか今だか未来だかが描かれるってゆーからきっと、砂原潤が何でまたあったチェーンソー娘になってしまったのか、とかリーフェイがどうして鉄パイプをこよなく愛するのか、とか戌井隼人が七色に髪を染める時にかかる時間はいったいどれくらいとか知りたかったこと、謎だったことが明らかにされていくことだろー。それはそれで楽しみ。ナズナと殺人鬼との恋の行方? そればかっりはなあ。適いそうもないよなあ。朝から晩まで緊張感にあふれた暮らしが続くのをどっちも覚悟するなら別だけど。

 夜の原宿でのギグに向かう途中で秋葉原へと寄り「東京アニメセンター」の入っているビルの2階にあるカレー屋さん「アキバ海岸」にまた寄ってゆで卵を食べる。じゃないカレーを食べておまけのゆで卵もついでに食べる。やっぱり3個。前回も4つ出てきて3個で断念して次こそはコンプリートと誓ったものの、ご飯を大盛りにしてしまった上に、カレーも2皿頼んでしまったのがまずかった。食べれでども食べれども減らないカレーのご飯に最後の1個のゆで卵へとどーしても手が伸びなかった。残念無念。次こそは。それでもご飯たっぷりに野菜サラダにスープがついてカレー2鉢で880円は安い方。いつまでオープン記念のゆで卵が付いているかは分からないけどしばらくは付いてそーなんでまた行って今度は2皿+大盛りでなおかつゆで卵4個のコンプリートに挑もう。ダイエット? そりゃどこの国の話ですか?

 ふくらんだお腹をサントリーの「黒烏龍茶」で溶かしながら秋葉原を散策してジャンクっぽい品物が集まる店へと寄って「ねこなべ」の製品版を買ってそれから池袋へと向かいジュンク堂で「メカビ」を立ち読み。買わないよ。買うもんか。お呼びじゃないんだ僕なんか。じくじくじくじく。ぐるぐるぐるぐる。それから原宿へと向かい「GAP」とか「アディダス」とか「KAMO」で時間を潰してそして「アストロホール」へと乗り込むと、すでにステージ前には人の壁。なおかつ続々と入ってくる人でそれほど広くないライブハウスのフロアがぎっしりと埋まってしゃがむこともできない。数分で膝に痛みが走ってこれで最後まで持つのか心配になって来たけれど、回りで誰もしゃがんでいる人のいない様子に歳こそ倍近い身ながら負けてはいられないと、立ちっ放しのまま待つことおよそ40分。

 そこに鳴り始めたポリスの名曲「ロクサーヌ」。スティングのかすれて甲高く響く雄叫びの凄さ、アンディ・サマーズのカッティングの切れ味、そしてスチュワート・コープランドのスコーンと抜けるドラムの響きに心浮き立たせた、最高潮に気持ちの盛り上がった所に現れた我らが時東ぁみさんは、まずは「スクール・ランブル2学期」の主題歌になっている「せんちめんたるじぇねれーしょん」を唄い踊って会場の空気を一気に盛り上げる。壁で細くて綺麗で元気いっぱいの脚が見えないのが残念だったけど、人垣の間からも顔だけはしっかり見えてその眼鏡の向こうでニマつく目の可愛さと、決してゆるめない笑顔で唄いいつづけるその口元の愛らしさに打たれて幸せな気分になる。ジャージー素材なのか上半身をピタリと包み込んだピンクの衣装も胸元の丸みをそのまま浮き立たせていて最高。来て良かったなあ。

 「21世紀まで愛して」とか持ち歌を入れつつ、松田聖子さんの「制服」だとか山瀬まみさん「可愛いひとよ」とか谷山浩子さん「恋するニワトリ」等々の、まさに僕の世代的にどんぴしゃりな懐かしさを抱かせる曲も演ってくれて、ラジオとかで流れるこれらを聞いていた若い頃の思い出がふわりと浮かんで心まで若返る。見渡せば20代からもしかすると10代もいたかもしれない会場で、上から数えた方がたぶん絶対に早い人間でも、ここにいたって良いんだって思わせてくれる選曲だ。嬉しいなあ。しかし誰の趣味なんだろう? 本人? とはちょっと思えない。つんくさん? かなあ。ともあれ嬉しい限り。80年代歌謡をこれからもどんどんと入れていって欲しいなあ。振りは流石に踊れないけど、一緒に口ずさんであげられるから。「恋するニワトリ」。ほぼ覚えてたよ。

 お色直しの後に出てきたナースっぽくってゴスっぽい服で数曲唄った後でその下に着ていたホットパンツとキャミソール姿がまた最高。はっきりとは見えなかったけどガーターベルト付きのレースの黒いニーソックスもはいていたみたいで、最前列の人はそんな淫靡さ漂うナマ脚を、眼前に拝めてきっと素晴らしい夜になったことだろー。次こそは前列をゲットしたいものです。って行く気かなのか渋谷の「オンエアイースト」だかでの夏ギグに?

 曲ではやっぱり「発明美人とパインナッポー!!」が激盛り上がり。ジャンプする奴踊る奴。いて周囲はちょっと迷惑だけどライブハウスのオールスタンディングのそれも醍醐味。いっしょになって体揺すれば気にならない。そしてアンコール。なかなか登場しなかったのは衣装の替えが大変だったからで最後はやっぱり「スクール・ランブル2学期」のエンディングになってる「この涙があるから次の一歩となる」を唄いお開き。そして来場していたおよそ200人くらいと1人ひとり握手をしてくれるサービスに、待ち時間も入れておよそ2時間の立ちっ放しでで出来た脚の痛みもすっと引き、また行こうかって気にさせられる。アイドルって、偉大だ。

 会場でも販売が始まっていたけど行列だったんでチケットはパス。ネットかコンビニで仕入れてそして6月14日発売の中野サンプラザでのファーストライブのDVDを買い、振り付けやら歌やらを覚えてそして夏の最中の熱いギグに望むことにしよー。年甲斐もなく。


【6月2日】 近くにコンビニなんてなくお菓子も売ってるパン屋や雑貨屋も7時には店を閉めてしまって後はせいぜい、自動販売機で缶ジュースを買うくらいしか夜になったらできなくなってしまう地域に住んでいたけど、それを不便と思ったことなんてなかった。映画館なんてないし本屋だって自転車で15分は走らないとなかったしゲームセンターなんてさらに遠く。そんな場所にいても夜をつまらないと思ったことなんてなかた。本でも読んでいれば夜なんてあっというまに更けていた、そんな不便だけれどゆったりと時間を過ごせた田舎から本当を言えば出たくなかった。

 今でもそんな場所で生活できればずっといたかっと思うけど、他にやりたいこともあって都会へと出てきてどうにかそんな本に絡んだ仕事をちょっぴりづつだけどこなせる場所にいる。だから後悔はしていないけどでもやっぱり懐かしく思う田舎暮らし。早見裕司さんの描いた「夏の悲歌」(ジグザグノベルズ、950円)の舞台となっている場所も、賑やかな繁華街もなければ楽しめる娯楽施設もないような、田んぼや畑のひろがる田舎だけどでも、のんびりとしてゆったりとした暮らしぶりはどこか心地よさげで懐かしい。都会に出て楽しい日々を満喫したいと願い若い人たちのきっと大勢いるだろう中で、そこから出たくないと笑いながら話す里中先輩の気持ちもだから何とはなしに分かる。

 そんな町でも、というより想いが溜まりやすい場所だからこそ起こったこれは事件なのか。4つ辻となった場所で男子生徒が次々に消える事件が起こり、興味を持った朝香紗英と石動一子という中学生の女の子2人が調査に乗り出す。紗英には霊感らしきものがあて事件の裏に誰か謎の少女がいることに気付くけど、一切の霊感を信じない一子は合理的な理由があるはずだと主張。そんな2人の間に立って里中先輩は自分が実験台になるからと言いだし4つ辻に立ち、そのまま謎めいた美少女によっていずこかへと連れ去れてしまう。

 強く愛しい男子を想う少女の執着が起こした事件。合理性を訴え里中先輩を結果として事件に巻き込んだ一子はおののき、霊感を覚えながらも止められなかった紗英は嘆き苦しむ。そこでお互いに慰め合い、同情しあうのがこれまでによくあるライトノベルのパターンだけど、ベテランの早見さんはそんな予定調和を許さずすれ違う2人の感情をともすれば痛みを覚えるような筆致で描く。なおかつラストも消えた少年を少女の執念から奪還し、晴れて紗英と里中先輩は結ばれる、なんてラブストーリーの王道にも流れない。ある意味でとても残酷なエンディングで、1人の少女に重い荷物を背負わせるような展開に読み終えて心癒されずむしろどこか反感すら抱く。

 それでもハッピーエンドになるばかりが世界ではなく、むしろバッドエンドに終わることの方が現実には多かったりする。そんな時、あなただったらいったいどんな行動を取るのか、取り乱すのか、怒るのか、逃げるのか、それとも運命なんだと受け入れ従うのか。決して予定調和へと逃げないエンディングがそんな逡巡と葛藤を与えてくれる。逃げれば簡単かもしれない。決して許嫁なんかではないのだから追う責任なんてない。けれども逃げない紗英。それはやっぱり彼女と里中先輩が生まれ育ったその町が、とても居心地のよい場所だからなんだろう。そんな場所で育まれた心が逃げることを一顧だにさせなかったのだろう。便利なだけが暮らしじゃない。心豊にしてくれる場所を得られた登場人物達に羨望。

 お金持ちで高飛車なお嬢様を蹂躙したいって心をちょっぴりでも抱いたことのある男子のきっと大勢いることだろーけど、生まれ育ちの関係で高飛車さが板にはりついた蒲鉾のよーになっているお嬢様が、たとえ召使いになたからってそうそう簡単に下僕的な振る舞いができる訳がない。面堂終太郎よろしくふんぞり返りながらご主人様を相手に命令しややがれと言うのが関の山ってところだろーし、実際に夏緑さんの新シリーズ「ぷいぷい!」(MF文庫J、580円)に登場する座堂シエラは、代々の家業であったはずなんだけど先々代あたりからご主人様が現れなかったため、表に出ることのなかった「ランプの魔人」の使命がしばらくぶりに降りかかって大わらわ。両親がソロモンの秘宝を探しに全世界を飛び回るのを見ながら寮に入り学生生活を送っていた新木陣が、長いこと部屋に埋もれていたランプをこするとメイド服姿になって彼の所に呼び出される身になってしまった。

 超絶美人でお嬢様。そんな座堂シエラをたいていの男子は好み堅物で知られる剣道部の部長も彼女に密かに思いを世sているよーだったのに、ひとり新木陣だけは女性に真っ向から興味を抱くことなくむしろ半ば鬱陶しい気持ちすら抱いて接していた。シエラが相手でもそれは変わらず、ご主人様の願いをかなえないと解放されないと分かり涙を呑みつつ陣の頼み事を胸を張りながら聞いてやろうとするシエラに対して陣は何もたのむことができない。必然的にシエラの魔法の能力はなかなかと上がらず、親たちが魔法でお金を出して作り上げて来た優雅なお嬢様としての暮らしにもピンチが訪れる。

 どうするシエラ、陣に自分を振り向かせることができるのか? できてもその高飛車な性格が邪魔をして陣の言いつけにそむいてやっぱりいつまでも魔法を覚えられないままなのか。ツンケンとした女の子を相手にどぎまぎしつつ頑張る男の姿に女の子のツンケンぶりも融けていくって展開は過去にも現在にも多々ありそーだけど、ランプの魔人の設定とか、世間を脅かす存在とかそんな存在を食らう別の存在とか、多層的で奥深い設定が仕込まれていそーでその辺りを解釈しつつ、ドラマを進めていく展開はなかなかにおもしろそー。シエラに命令なんてするのは苦手な陣がその辺りをどう割り切り、また命令されるのに慣れていないシエラにどう納得させるのか、作劇の部分でも今後にいろいろ期待が持てそー。次はどんな展開になるのかな。楽しみ。

 「攻殻機動隊」のアニメ映画がアニメ映画としては珍しく日米欧で公開されるって話を日本での公開よりはるか前に1面で紹介したり、「もののけ姫」がまだ制作されている途中で鈴木敏夫さんにインタビューして記事にしたり、劇場版「カードキャプターさくら」や「機動警察パトレイバー3 W13」や今となっては幻の実写版「ときめきメモリアル」のレビューをそれなりのスペースで書いたり、バンダイビジュアルが「未来少年コナン」でDVD市場にようやく出て来ることを書いたりしよーと、それが読まれていなければまるで無意味なのだと想い諦めにも似た感情に薄く笑う日々。

 しばらく前なら新海誠さんのインタビューを100行くらいのスペースで載せ、今敏さんや平沢進むさんのインタビューも敢行し、この何ヶ月かでも冲方丁さんの顔写真入りで「シュヴァリエ」のアニメシリーズ化を記事にし、筒井康隆さんの顔写真入りで「時をかける少女」の映画化発表会見を記事にし、昨日付けでは東映アニメーションが新しく取り組むことになった「画ニメ」の記事を同業社中では最大のスペースで載せ、今朝に至ってはセガのアミューズメント施設のイメージキャラクターに決まって会見した小倉優子さんを自分で撮影した写真ともども、同業者では唯一記事にしてカラー写真まで載せたりしたにも関わらず、どーやら音羽方面にある出版社から新しく生まれたオタク総合誌を仕切る偉い御方の眼中には、当方の振るまいなどカケラも入っていないのだなあと思うとどうにも気分がボワーンと濁って来る。

 けれども考えてみればあっちが狙いとするのは”マスコミ”におけるオタクの受容であって、当方がフィールドとする”ミニコミ”が何をどれだけ書こうと向こうが気に留める理由など皆無にして絶無。それこそチラシの裏に書いた趣味の繰り言の範疇に過ぎないのであって、権威ある”マスコミ”の中で苦労しながらも場を切り開き、頭の固い人々を啓蒙しつつオタクを紹介しては、マスへと向かいそれらを普遍化させていった人たちの受難の道のりに、音羽のオタク総合誌が興味を抱くのも当然にして必然なのだろー。とゆー訳でそんな話も聞けるらしー「メカビ」はただいまどっかで発売中だ(笑)。笑い事じゃねえなあ。ミニコミがチラシ化して便所紙になる日も見え隠れしてるっつーのに。


【6月1日】 本来は賃金も含めて同額で、だからこそ日常より同額の組合費を支払っているにも関わらず、経営がいろいろと立て込んでいるからという理由でもって10万円とも20万円とも推計される額の格差を、親会社に対して2年の予定が2年半目もつけられ3年目もほぼ確実な状況にある子会社の夏のボーナスも近づく中で、あれを買おうかこれを買おうか算段している今日この頃。

 そでもも安らかで愛ある生活を諦めている関係もあって、可処分所得はそれなりに達しているため格差があってもまあそれなりに使えそーな額にはなるから有り難い。あれやらこれやら買っても生活には大きな影響が出ることはない。といってもそこにさらにコム・デ・ギャルソンあたりでスーツにシャツにシューズまで買えてしまえる額があっちには出ているんだと思うと急に神経も過敏になって来るんだけど。困ったなあ。なおかつさらにいろいろ画策されていそーだし。参ったなあ。

 とはいえもらえるものは有り難く頂戴。さて何を買うか、といってもすでにしてワールドカップ独大会に出場する日本代表のユニフォームを、まずはオーセンティックで10番中村俊輔選手のマーキング入りで買ってしまったその上に、我らがジェフユナイテッド市原・千葉から日本代表へとただ1人選出された巻誠一郎選手のマーキングが入ったオーセンティックのユニフォームまで買ってしまったからあとどれ程もエンターテインメントには振り向けられない。頭の毛に効く錠剤もそろそろ切れかかってるし。安くはないんだよなあ、あれ。

 一方で欲しいなあと心に浮かんでいるものを列挙するとファッション系ではパパスで見かけたパナマ帽(22万円、のは流石に手がでず2万から3万といったライン)に麻のセットアップスーツ、それに合わせられるジョン・ロブのショーウィンドーで見かけた茶系のスウェードのスニーカー、麻のオープンシャツ、アディダスが特別に作った日韓戦で木村和司選手が着用したのを真似た背番号10とKIMURAの文字が入った白地に日の丸が張り付けられたサッカージャージ、それと度の合わなくなって来た眼鏡のフォーナインでの買い換えといったところ。

 足すと軽く10万円は突破してしまい20万円近くに届きそうで、そんなものマスコミ企業でもらえるボーナスからしてみればはした金じゃんて言われそーだけど残念ながらマスコミではなく現状はミニコミ。なおかつ区別されている賞与の金額は在京マスコミの大所に働く推定で30歳くらいのエリートが月々にもらっている手取りよりも少なかったりするから20万円近くってのはとてつもなくデカいのだ。6畳1間に天井まで本を積み上げても引っ越さないわけ、分かるでしょ、引っ越さない、ではなく引っ越せない、のだ単純に。ともあれ天井のある額には希望にも天井を付けるのが当然の仕儀。ってことで今んとこパナマ帽1個で終わりかな。暑い夏に薄いと大変なのだよ焼けて焼けまくって。

 梅雨入り前にジメジメした話もここまでにしてカラッと五月晴れ……じゃないもう6月だ新緑の季節に相応しい蒼天の下で行われた伊勢丹屋上にできた庭園のオープニング記念式典を見物。ジリジリと照りつける日差しが屋上で跳ね返り空気を熱して都会を灼熱の地獄へと変えるヒートアイランドの是正の一助になればと作ったそーで、ビヤガーデンとか木馬とかトーマスの機関車とかデビュー仕立てのアイドルが唄うステージとかがあって不思議はない屋上に、芝生が植えられ築山が作られ木が植わり花が咲き乱れていたのにはちょっと驚き。フェンスの向こうに東京都庁も見えるコンクリートに囲まれた場所に出現した緑はそれだけで心を涼やかにする。

 どんなスペースも有効に使って儲けを叩き出すのが流通の本懐、って時代も昔になって今は集まる人たちの快適性を求める心に働きかけることが付加価値になっている。ダンボの乗り物が回ってなくてもビールにおつまみを楽しめなくても、緑があってホッとできればそこにいたいって気分は起こる。そんな気分を楽しみたい人が集うよーになった暁に、下の店にも好影響が出れば良いって考え方なんだろー。良いものを売るのは当たり前。あとはどう売るか。目に見えないアメニティも含めて”買って”もらえるようにできるか。その辺りのひとつの回答って奴が伊勢丹屋上の庭園にあるんだろー。アイドルの飛び跳ねる姿は見られないけど、風にそよぐ草木を長めながらアイポッドで音楽を聴けば心も落ち着くってものだ。それがたとえ時東ぁみさんの音楽であっても。平野綾さん「冒険でしょでしょ」であっても。

 オープニングってことで近所の小学生が招かれていたんでじっくり観察。若々しくも瑞々しい姿が心をとっても爽やかにする。本当に心を爽やかにする。爽やかに。嘘じゃないって。そんな小学生たちが楽しんでいたのが液晶のついたハンディ端末。見ると草花の前に立てられているネームプレートに端末を近づけ操作することで、その草花が何でどんな種類でってことを端末から流れる音声や画像によって勉強できるとゆー。坂村健さんが代表をやってるユビキタスの普及団体だかが協力しているそーで、会見には坂村さんも登壇してはあれこれ喋ってた。久々に見たトロンな人。「電脳都市」の80年代末期から雌伏の90年代を乗り越え掴んだ栄光の地位。坂村さんを見ていると沈んでも人っていつか浮かび上がれるんだって勇気が湧いてくる。会社だって沈んだっていつか浮かび上がれ……浮かび……言葉にできない。

 それから転戦してセガでゆうこりんを見物。去年は渋谷の店に登場してバルコニーから手を振ってくれたりしたんだけど、集まったメディアはせいぜいが10組くらいだったのに対して2年目となった今回はセガ本社にあるホールにぎっしりのメディアでテレビカメラもずらりと並んでて、ここ1年で更にゆうこりんのバリューが上がったことを確認する。ってか去年があんまり告知が行き渡っていなかただけなのか。メイド服で登場のゆうこりんは流石に可愛くお茶目で無邪気。喋り声が脳天をとろかし気分を100億万土の彼方にあるこりん星へと導いてくれる。危なく戻ってこれなくなるところだった。

 CSチャンネルか何かにも出るそーで「キッズステーション」の番組の中でピアノを弾いて女の子たちを踊らせるらしー。そのデモも行われてゆうこりん、クラビノーヴァに向かって「猫ふんじゃった」を……ではなく「しゃぼん玉」をちゃんと弾いてみせてくれました。巧いって訳じゃないけどちゃんと伴奏になっているくらいの腕前。いつもは笑顔なゆうこりんがこの時ばかりは目線をそらさず鍵盤をみつめていた所にも、かける演奏への想いの強さって奴が伺える。それとも練習が行き届いていなくて見てないと引けなかったってだけ? いずれにしても真面目な顔でピアノに向かうゆうこりんのシリアスな一面に今一度、惚れ直してしまいました。永遠なれゆうこりん。いつかこりん星へ還るその日まで応援し続けるぞ。写真集は1冊も持っていないけど。


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