縮刷版2006年月5上旬号


【5月10日】 「錬金3級まじかる?ぽかーん」を見て「ぽっかーーーーん」とする。それはいつものことじゃないかって? いつもは「ぽかーん」で今日は「ぽっかーーーーん」。桁が違う強さが違う。絵が……崩れてる。話が……壊れてる。かつて「ロストユニバース」とゆーアニメで繰り広げられた伝説の作画崩壊、通称「ヤシガニ」の紛う事なき再来って奴を21世紀になって再び目の当たりにしよーとは。真夜中にぼんやりとテレビを見ていた頭が驚きに溢れて気を失いそーになった。

 ちょっぴりだけなら05年12月まで放映されて06年1月にはDVDも出ていたはずなのに、未だDVDが出て折らずよーやく7月28日に発売が決定した「銀盤カレイドスコープ」の例もあるけれど、一応はそれなりの動きを保ってたからまだ見られた。対して「まじかる?ぽかーん」の第6話Bパートは全体に歪み、且つ動かない口パクだけのアニメーション。つーか動かないんだからアニメって言うのも憚られる、

 これだけ週に放映されるアニメが増えても、反比例するかのよーに絵だけはしっかりしたのが増えていて、アニメを作ることに上から下まで誇りを抱き責任を持つよーになったと感心していた気持ちもこれで雲散霧消。やっぱりどこかに巨大な爆弾を潜ませた恐ろしい世界だってことを、バブルさながらのブームに参入して来た人たちも痛感したんではなかろーか。とはいえそこは「まじかる?ぽかーん」だけあって、ゆうまのやる気のなさが炸裂しまくっていたストーリーにはちょっとばかりではない作画の崩壊に展開の滅亡も妙な味になっているから不思議とゆーか。サービスシーンもたっぷりあってそっちに眼をそらされて、まあこんなもんかと微笑みながら見てしまった。

 これが作画だけは完璧さを最後まで維持し続けた「交響詩篇エウレカセブン」で起こったら、どんな反響が起こっただろーか? これもネタだと消化されなま暖かい視線の中で苦笑を浴びて終わりだったかもしれないなー。「創聖のアクエリオン」だったらあののことネタだと喜ばれもてはやされたかも。アニメが増えたことで楽しみ方も幅が広がったってことで。とりあえず「錬金3級まじかる?ぽかーん」の第6話BパートはDVDでの作り直しが決まっているみたいなんで、そっちでどれだけの改修が行われて来るのかを楽しみに待つことにしよー。できれば修正前放映バージョンって奴もセットで入れて販売して欲しいなあ。「ガンドレス」かい。

 伝説を見た。1993年のワールドカップアメリカ大会アジア予選で「ドーハの悲劇」に沈み、また1998年のワールドカップフランス大会を目前に代表メンバーから外され魂を彼の地に置いてきたカズこと三浦和良選手を筆頭に、そのフランス大会でフォワードとしてピッチに立ち続けた城彰二選手とやはりフランス大会に中盤の抑え役として臨んだ山口素弘選手といった、サッカーの日本代表史におけるレジェンド(伝説)たちが、21世紀も結構な年月を過ぎ去った今において、目の前のピッチを縦横無尽に走っては、ボールを追いかけ蹴りつないでゴールへと迫っている。

 ふと脇を見れば、そこにはやはり「ドーハの悲劇」をカズとともに味わった高木琢也監督がいてラモス瑠偉監督がいて柱谷哲二コーチがいて都並敏史コーチがいて、ベンチからピッチに睨みをきかせてる。決してマスターリーグのよーな花試合じゃない。ゴルフのシニアトーナメントでもない。2部とはいけ歴としたリーグの公式戦で実現する伝説の男達の邂逅。これを奇蹟と言わずして何を言う。目の当たりにせねば。この眼でしかと確認せねば後世に悔いを残すとばかりに駆けつけた「味の素スタジアム」。そしてそこではまさし日本のサッカー史に刻まれるべき伝説の試合が繰り広げられた。

 11試合負け無しとはいえ昨年まで低迷を長く続けた横浜FC。対するにJ2落ちしたとはいえ分厚い選手層を駆使して上位に踏みとどまり続ける東京ヴェルディ1969の対戦は、序盤こそボールが落ち着かない中をヴェルディがパスをつないで攻め立てるものの、横浜FC躍進のキーパーソンで、高さを活かしてあらゆる攻撃を跳ね返すトゥイード選手がヴェルディの攻撃に立ちふさがって得点を許さず、やがて落ち着きを見せた辺りから前へとプレッシャーを強めた挙げ句に奪い取ったカズのコーナーキックを、高い打点からトゥイード選手が見事に決めて横浜FCが1点を先取する。

 相手はテクニックだけならJ1のチームにだって遜色のないヴェルディだ。パス回しも鮮やかにポゼッションを確立しよーとするも横浜FCの弛まない全力疾走が聞き始めてボールをヴェルディ陣営深くまで運べるよーになって闘いは白熱の度合いを増していく。そして後半にやはりサイドの頑張りから入れられた短いクロスに中央へと飛び込んでいったカズ選手が反応してボールをネットに突き刺し2点目。あまりの見事さに当人も大喜びだったみたいで、ファンサービスめいたカズダンスなんて踊らず、ただただ腕を振り上げ己の得点を喜び周囲のサポートに感謝する格調高いパフォーマンスで、伝説の男たちの今を半ば興味本位で見に来ていた人に、その現役ぶりを改めて見せつける。

 負けじとヴェルディもミドルを放ちゴール前から押し込もうとするものの、神懸かりとしか言いようのないセービングを横浜FCのゴールキーパー菅野孝憲選手が見せて結局ヴェルディを零封する。いやあ良い試合だった。素晴らしいゲームだった。しかし横浜FC、1試合めで監督を更迭するくらいに瀬戸際まで追いつめられていたはずなのに、高木監督になって10試合を超える闘いを繰り広げてきた現在は、最後までまるで衰えることのない前へのプレッシャーと、それをサポートする周囲の動きの連動があって、見ている人に息をつく閑を与えないし、ましてや退屈さに欠伸なんで出させない。

 そのプレーは走りにかけてはリーグ1のジェフユナイテッド市原・千葉に勝らずとも劣らない激しさ逞しさ。これが最後まで続けばJ1昇格だって果たせるだろー。監督の高木さんが凄いのか、最前線で引っ張り続けるカズのプロ意識の賜か。ともあれ凄い試合をありがとう。ワールドカップでJ1が中断してもJ2の横浜FCの試合だけは見ておいた方が良いかも。決して誰もワールドカップには呼ばれないから、いつもレジェンドたちによる伝説の宴を楽しめます。

 鬱々とした気持ちをこれほど代弁してくれているコラムがあっただろーか。「週刊サッカーダイジェスト」の2006年5月23日号にフィナンシャル・タイムズのマーカス・クリステンソン記者が寄せている文章は、「正直なところ、日本代表の主力を形成する選手が置かれている状況に不安を感じてしまう」とゆー趣旨でもって、ジーコジャパンでレギュラーを確約されている海外組の選手たちへの異論を蕩々と認めている。例えば中田英寿選手。「ボルトンのチームメイトで、日本のファンが熱中するような選手はいるだろうか」「相当なオタクでもない限り、名前され覚えられない。こうした事実からも、中田のイングランドでの成功度が推測できるはずだ」とスタメンで出場し切れなかったその立場の微妙さを仄めかしている。

 それから中村俊輔選手。「中村の収穫とは恐らく、こうした精神力の向上と、圧倒的なファンの大声援ではなかろうか。彼のテクニックがスコットランドで一層磨かれたというっような詩的が日本であったとしたら、私はそのような記事と著者の質を大いに疑う」。レベルの低いリーグで王様を演じてもそれは世界におけるステップアップにはなっていないとゆーことか。稲本潤一選手。「プレミアシップ下位のフルアムやウエスト・ブロムウィッチでさえスタメンになれず苦しんでいる様子を見ると、(アーセナルを放出した)弁ゲル監督の判断は正しかった」。そんな選手たちが戻ればレギュラー。誰だって不思議と想うだろー。

 極めつけが高原直泰選手。「ドイツのトップチーム、ハンブルガーですでに4シーズンが経過している。瞬間的にいい時期もあったが、全体的には凡庸なFWだ」「新天地を求めてもよさそうだが、ハンブルグを離れる気がないようだ。プレー以外の部分であの街に愛着でもあるのだろうか」。そんな”ミスター100%”がひたむきさで得点を積み上げ、前線で潰れたりディフェンスを引きずっては他の選手たちの得点機を演出している巻誠一郎選手よりも序列ではるか高みを占めて日本に戻らずドイツで日本代表の到着を待っている。やっぱりあの街に愛着があるんだな。

 こんな記事が日本の記者が書いて日本のスポーツ紙に掲載されることなんてまずはない。だって不興を招くから。けれどもだからといて日本のスポーツ記者が間抜けってことはないだろー。誰だって疑問を抱いている。そしてこんな記事を書きたいと願っているけどそれが許されない環境が、下らないマッチメークばかりを繰り出す日本サッカー協会を増長させ、次の世代を引き上げようとする動きをまるで見せず4年後の日本代表を惨敗へと導こうとしているジーコ監督に己が頑なな信念を抱かせ続ける。かくして訪れる衰退の時。それはすなわち日本サッカー協会の衰退であり、スポーツメディアの衰亡なんだろーけれど、だからといって修正できないまま日本のスポーツメディアはレミングよろしく自滅へと道をひたすらに歩む。ドイツの向こうに見える虚無。嗚呼。


【5月9日】 争奪戦に敗れ去ってほぼ絶望的となったドイツ行きに気分は曇りがちながらも一方では開幕まで1カ月ってことでいよいよ本格的な応援イベントがあちらこちらでスタート。日本代表を応援し続けて28年のキリンビールも原宿にある本社ビルの壁面に、でっかい垂れ幕を掲げて日本代表の応援を始めるってことで朝っぱらからえっちらおっちら原宿へと取材に出向く。もちろん制服で。すなわち日本代表の新しいユニフォームで。

巻き上げられ吹き飛ばされ架線を多い運休させたら大変というリスクを超えた応援メッセージ。キリン腰が据わってます。  何しろ世界が注目するスポーツイベントに向けたカウントダウン的なキャンペーン。打つ方も打つ方なら取材する方もそれなりのノリって奴を見せていっしょになって盛り上がっていくのが筋って奴で、当然ながらすべての取材陣が代表のオーセンティックなりレプリカを着込んで取材に当たっているんだと思いきや、そんな格好をしていたのは僕1人であとはドブネズミ色したスーツやら菜っ葉服やらカジュアルウエアで”制服”は1人もなし。

 唯一代表っぽいシャツを着ていた女の子がいたけど見るといわゆる「勝ちT」だったらかキリンビールの仕込みで社内向けの映像なんかに出てくるガイドか何かでいわばお身内。取材陣では結局単独での制服姿でそのお陰で情報を聞きつけ群がってきたただのファンかと思われウザがられていた可能性もあったけれど、そこはそれ、胸に輝くエンブレムに抱く誇りとモチーフにした刀を携える侍のスピリッツをここぞとばかりに奮い立たせて、長い足を曇り空にさらす美人コンパニオンの接写に励む。って垂れ幕はどこいった?

 いやちゃんと取材はしてますってば。時間が来て下から上へと引っ張り上げられた、高さが20メートルで幅が25メートルもある巨大な幕にはジャパンブルーを下地に白でメッセージとかが染め抜かれ、また日本サッカー協会の巨大なエンブレムも入って遠くからでもサッカー日本代表を応援してるんだってすぐ分かる。よくよく見ると素材がメッシュで風が抜けるよーになっているため、強風に掲出されダンマクみたくバタバタ風に跳ね上げられることもなく、静かに壁面を覆っている。考えたなあキリンビール。

 もっともその垂れ幕ががキリンビールの支援下にあるかはそこがキリンの本社だと知る人以外にはまず伝わらない。なぜなら垂れ下がった幕にキリンを想起させるコメントもマークも一切無し。近隣が広告厳禁な為でなるほと見渡すと周囲のビルには一切の看板もなければネオンもない。

 下を通る山手線にはラッピング広告が時折デカデカと描かれているくらい。それが許されて看板垂れ幕の類は認められないってのは如何なものかと思うけれど、すぐに行き過ぎる列車と恒久的に輝き続ける看板電飾とは扱いが違うってのも当然か。ちなみに一緒に披露された寄せ書きのフラッグにはちゃんと「28年間代表を応援している」って普通から使われている言葉が描かれていたけれど、それだとキリンをすなわち示しているからと垂れ幕では外され「わたしたちは」って感じに曖昧な表現にぼかされていた。

 本当だったらJFAのエンブレムにある赤い色もマズかったらしーけど、そこは国民的行事ってことで認められた模様。そこまでして掲げて代表を応戦する義理ってのもなさそーだけど、応援し続けることで得られるPR効果の絶大さって奴はやっぱり何者にも代え難い。いくらJFAがスポンサー料をつり上げたって、ここまで育ててよーやくそれなりの成果を得られるくらいの存在に日本代表もなった今、これを他に奪われる訳にもいかず多少の交渉はあるんだろーけど引き続きキリンはJFAを応援し続けキリンカップも開催され続けることになるんだろー。

 かくして時差にヘロヘロな中南米なりアフリカはいても、オランダスペインドイツイングランドイタリアフランスポルトガルといった欧州の超強豪はまず出ないフレンドリーさに溢れた日本に相手を招いてのマッチがこれからも続いては日本代表に真に必要なアウェーでの度胸って奴を育む機会をなかなか得られず、またこの4年間で若手が育てられる機会もなしに過ごしたツケも廻って、オーストラリアも加わりレベルを底上げしているアジア予選での勝ち抜けも厳しくなって日本代表がワールドカップに出られない、10年前なら当たり前のことが再び起こっては長い暗黒へと突っ込んで行くんだろー。せめてキリンには海外オッケー、強くなってこその収穫だって意識を持ってこれからの支援に臨んで欲しいなあ。あと財力を活かした強豪国の招聘なり、適地に乗り込んでの試合の実現なりも。それはJFAのお仕事なんだけど、彼ら全然それしないし。

 夜のブルガリア戦もだからそんな下手打ちのJFAによってろくすっぽ1軍選手のいない相手に本来のレギュラーたる欧州組の1人もいないチームが開幕まで1カ月となった大事な時期に戦うとゆー、意味不明な試合になるかと心配したけどそこは”英雄”にして”実力者”のストイチコフが率るチームだけあって、目を掛けられれば安泰だけど目を付けられれば例え日本にいて大活躍をしていたってストヤノフ選手みたく呼ばれない(呼ばれたくないのかもしれないけれど)仕打ちを受けるとブルってる選手達が頑張りそれなりにガツガツとプレスに来てくれたおかげで、ユルい雰囲気がまるでなく親善試合にしては楽しめた。

 日本の攻撃もサイドに入った村井真二選手の前へと激しい動きがありそこから入れるクロスもあって日本に得点の予感。最前線で縦横に動き相手を引きつけ引っ張り、または相手にぶつかってディフェンスラインを押し下げ後ろのミッドフィルダーが動きやすい状況を作りつつ、競り合いの中からボールを落として見方につなげてシュートを打たせ、または自らシュートにいって得点を奪おうとする巻誠一郎選手の頑張りもあって、後ろから遠藤保人選手に阿部勇樹選手が上がり込み、玉田圭司選手も広げてもらったサイドのスペースでボールに触れては突っ込みパスを出しては得点の可能性を演出する。

 ただしフォワードとゆーよりは本来はウィングプレーヤーとしての素質が高い玉田選手が、本来の仕事であるフォワードとして得点を奪うことはなく、与えられた活躍の舞台に載っては自ら三文芝居を演じて見ている人をがっかりとさせる。それそこは巻選手にクロスを入れるべきだろうって場面もあった感じ。そこで巻選手に得点されるのが怖かった? まさかそんなことはないんだろーけど、でもちょっと心配。ちなみに中盤でボールを持った時の玉田選手の動きは抜群。これだったら最初からウィングプレーヤーとして巻選手のワントップの周囲を廻るのが良いって気もするけれど、それなら他に人材は抱負なんでお引き取り願いますっていった所? でもやっぱりジーコ監督は選ぶんだろーなー、玉田選手を。つまらんなあ。

 それにしても泥臭いゴールでも奪えた巻誠一郎選手の強運は評価されてしかるべき。アレックス選手の早いシュート系のクロスにディフェンダーの間を抜けた巻選手が触ったか、触らないまでも目を眩ませてファーにいたディフェンスに当てさせて得点を奪ったシーンはなかなかの感涙者。この強運を維持するためにもジーコ監督、ドイツに巻選手を連れていくべきかって逡巡しているに違いない。一部のマニアがそうって欲しいと願っているだけかもしれないけれど、でもそれを万人が思えば立派なパワーになる。世界が認めたフォワードとして是非にドイツへと旅だって行って欲しいものだけど、はたして。


【5月8日】 白人至上主義の団体さんが、どうしてまたあんなフだかスだか分からないマークを腕につけ旗にも描いて持っているんだろーって突っ込んでも仕方がない。たとえそれが称揚している訳ではなくっても、そこにその記号があるだけで大衆の閲覧に供することの出来ない地域があり、またいろいろ言われてしまうものだってことでそんなトラブルを事前に避ける意味もあって、見たこともないキだかルみたいな模様を敢えて使ったんだろーなー「ブラックラグーン」。一方では「ヘルシング」みたく堂々と復活組が出てきて暴れるアニメもあったりする訳で、その辺の違いを考えるならテレビで放映されるかされないかって所が線引きのラインになっていたりするのかも。DVD化の時にはしっかりこっそり直っていたりして。

 展開はほとんど漫画に沿ってて、一部にUボートの中で起こったアラモ砦のドンパチが実際に描かれて間をつないで30分の時間を逆襲1歩手前まで進行。いよいよ次週はレヴィがトゥーハンドでもってブラッドバス作りに励む「ブラックラグーン」でも陰惨で残虐極まりない場面が描かれることになっている。さてどこまで描くのか。無抵抗の船員たちを血の池地獄に鎮めるのか。楽しみ。まさか「涼宮ハルヒの憂鬱」みたいに孤島での探偵物語を描いているのに問題編は描いて解決編を次週に持って来ないで昔に戻る芸当を「ブラックラグーン」も演じて、いきなりレヴィとロベルタちんのどつき合いが始まったりはしないだろーな。それも早くに見たいシーンではあるけれど。日曜朝の早起きはなくなったけれど土曜深夜の夜更かしをしていたくなる作品。毎週楽しみにしているアニメがあるって良いなあ。

 それは「ハルヒ」とそれから直後に続く「Fate/stay night」も同様で、続けて見なくちゃならないもんだからこの時間帯にコンビニへと買い物にも行けずお風呂にも入れない。そんな「ハルヒ」は評判だったエンディングを放映開始以来、散々っぱらネット上とかで本物だけじゃなく男子高校生バージョンガンダムバージョンフィギュアスケーターバージョン等々を見まくったんでちょっぴり飽きてきた。制作元にはフルバージョンなり水着バージョンなりの放映を求めたいもの。みくるちゃんは上下にちゃんと揺れるんだ。長門有希は走っても飛んでもピクリとも揺れないんだ。間のハルヒはどんな感じになるのかな。島での水着姿を見る限りではそれなりにちゃんとありそーだけど。それとも固いのかな。

 「Fate/stay night」を流しつつ届いていた3箱の中から2次へと上げる原稿についてのコメントを手書きでジグジグと書いていたら手の甲に痛みが。ワープロパソコンでボードを打つよーになって、鉛筆を握りしめて強い筆圧でもってグリグリと紙に直に書くことから遠ざかっていた関係で、手も指も軟弱になっていた。1編について400字くらいで7編くらいについてコメントを書いたんで分量としては原稿用紙7枚分。たいした良じゃないのにそれで手に痛みが出てくるとは。鍛え直さないといけないなあ。そーいや捻りの効いた単文を書く練習のために「天声人語」を原稿用紙に写してた時代もあったけど、今それやると途中で呆れかえって筆が止まりそーだからなあ。かといって「産経抄」も筆者が代わって思想が露わになり過ぎな感じ。衒いと含蓄があってこそのコラムなのに。写経でもするか。

 ノベライズ維新だ。すなわち西尾維新さんによるノベライズ革命だ。講談社ノベルズが誇る売れっ子作家の西尾維新さんが人気漫画を相次ぎノベライズ。「Ploject−N」と名付けられたそのプロジェクトでは、まずはCLAMPさんの人気漫画でアニメにもなって映画も公開された「×××HOLiC」を題材に「×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」を書き下ろし、一方で「週刊少年ジャンプ」が誇る超絶人気コミックにして実写映画の公開も決まった「DEATHNOTE」を題材に「DEATHNOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」を書き下ろしては共に8月1日に発売するとゆー。

 おお凄い。集英社と講談社がタッグを組んだって所も凄いけど企画自体がやっぱり凄い。売れっ子作家がベストセラーコミックのノベライズを手がるんだから売れて当然。出版社の経営的にはこれほど嬉しい企画はないし、読者としてもあの西尾維新さんがCLAMPの、または大場つぐみ&小畑健さんの世界をどう文字にして現すのかって興味をそそられる。出せばそれなりに売れる人気漫画のノベライズなんだからあんまり売れていない作家さんのお小遣い稼ぎに任せてあげようなんてユルい考えはそこになし。ガチンコでもって商売的にも文芸的にも何か新しいワールドを作り上げようって意欲に満ち満ちている。

 ちなみに「×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」は大川緋芭さん脚本によってアニメにもなるそーな。CLAMP作品を西尾が描きCLAMP大川が脚本家するプロセスを、通って生まれたアニメは果たしてどんなかな。京極夏彦版「ゲゲゲの鬼太郎」は超えたかな。「DEATHNOTE」がアニメ化された暁にはやっぱり「アナザーノート」も映像化されたりするのかな。

 それより気になるのはこれ以降の展開。「ノベライズ維新」なんてぶちあげているんだからさらに別の漫画なんかをノベライズしては毎月のよーに刊行していくってくらいの大業を見せてもらいたいところ。とりあえずは「週刊少年マガジン」から「はじめの一歩」を西尾さんがノベライズした「はじめの一歩 アナザーイッポ デンプシー味ロールキャベツ」とか、「週刊少年サンデー」から看板の「からくりサーカス」をノベライズしてみせた「からくりサーカス アナザーサーカス オートマタ破壊指令」とか、「ヤングキングアワーズ」から「ヘルシング」をノベライズした「ヘルシング アナザーヘルシング トランシルヴァニア大蒜饅頭」とか何かを出していったら当人はともかく傍目には楽しい。「さよなら絶望先生 アナザー絶望 絶頂絶賛絶体絶命」ってのでも、良いかも。「ジョジョ」のノベライズは……乙一先生取られちゃいますよぉ。


【5月7日】 そんな昔から業界にいたのか大地丙太郎さん。中学生になった年に毎週毎週を圧倒的なアクションによって楽しませてくれた「未来少年コナン」を大地さんが新人の撮影アシスタントとして撮っていたとは知らなかったよ「BSアニメヤワVol.01 ルパン三世カリオストロの城」(キネマ旬報)に掲載されたインタビューを読むまでは。テレビで放映された中でも喋っていたんだろーけれど、BSの見られない環境にいるんでいったいどんな感じに大地さんが「カリ城」を擁護し唐沢俊一さんが国生さゆりさんから首を絞められたのか知らなかった。

 おそらくは短い中で喋られたことを余すことなく採録し、出てくる固有名詞や技術用語に脚注もつけてあって実に便利な上に、テレビではある意味フレームの中にアングルを作る意味もあって語れなかった大地さんからの宮崎監督作品への異論なり、逆に唐沢さんや岡田斗司夫さんからの宮崎監督の凄さや「カリ城」の良さなんてものもインタビューとして収録されてて、より多層的複眼的にこの希代の名作を味わい尽くせるよーになっている。

 ギャグを封印しアクションやテンポや演出の良さを削っても説教に走る窮屈さって奴が大地さんの最近の宮崎作品に抱く感想。けれどもそんな宮崎作品が「カリ城」よりも多くの人に、それも世界中の人から支持されているという不思議は何だろー、それだけ宮崎監督の持つ動きのパワーが、説教じみた物語という鎧を突き抜けて伝わるくらいに強力だってことなのか。けどでもやっぱり今見ても「コナン」は楽しいし「カリ城」は素晴らしい。そんな素晴らしさをまた見たいなあ。「カリ城」時代の宮崎駿夫監督に金と時間と人材を与えたらどんな作品が生まれたかなあ。

 先鋭化した村上春樹とでも例えられるのか。あるいは今の劣化した村上春樹が以前に帰って不条理を炸裂させた原点回帰とでも例えるべきか。どっちにしたってロートルな本読みには、かつてもっとも先鋭的だった作家・村上春樹の影が目の前にチラついてしまうけど、これを初見として読んだ人には、凄まじくも切れ味鋭い現代を切り取り都会を切り取った短編ばかりに映るだろう。

 古川日出男の「ルート350」(講談社)という、わずかに230ページと少しの本にぎゅっと詰められた8つの物語から放たれる、荒々しくて不可思議でパワフルでエモーショナルな光線に、打たれ飲み込まれて今いる現実の非現実さに、誰もが惑い慄然とさせられる。

 向こう三軒両隣の家に起こった奇妙な出来事。暮らしていたはずの3組の夫婦がシャッフルされ、同居していた娘たちは戸惑い苦しんでそしてバッハをかつて奏でていたハムスターの飽くなき生命力に巧妙を見出す。1983年に現れた虚構の陸地の上の虚構の楽園。そこで働く虚構の掃除婦は虚構のジャングルに爆弾を見つけて男と出会い恋をする。運動の得意そうな少女が真夜中にパソコンへと向かい文章を連ね聴き真面目なガリ勉の少女はレオタード姿でバレエに興じエロの探求に燃える少年はボクシングのジムでひたすらにパンチをうち続ける。

 江戸川橋の茂みで経済新聞にくるまれ休む幼い少女。隔絶されたお台場13号埋め立て地で起こった惨劇。山にかこまれた街で狙撃され倒れていく大人たちを横目にスナイパーへの反抗を企む少年たち少女たち。ごく平均的な日常に侵入しては現れる不可思議な出来事が、当たり前に流れていく日常とは違ったビジョンを見せる。そしてそんな非日常への畏れを抱かせつつ、より一層の憧れを喚起させて心を虚構の非日常へと誘う。

 恋愛でもヒツジ男でもレーダーホゼンでもワンダーランドでも、あってもしかしたら不思議はないけれど、だからといってそれほど多くはない可能性を見せては、不条理な気持ちを抱かせ賑やかな現実とは1枚皮を隔てて存在する世界を感じさせてくれた村上春樹。けれども今は大仰な仕掛けで説教臭い物語ばかりを書いては読者を辟易させている。またあんな気持ちを味わいたい。そう思っている人に「ルート350」はハマりそう。むしろより刺激的な壁1枚隔てた世界を見せてくれるはず。村上春樹なんて知らないよ、って人ならなお結構。一生に刻まれる読書体験って奴を味わわせてくれるはずだから。「LOVE」でもこれでも賞を取らなかったら古川日出男、残されているのはノーベル文学賞しかないかもね。

 雨模様で渋谷でのイベントがどーなるか不明だったんで行かず神保町へと回り「書泉グランデ」で彩文館から出ている時東ぁみさんの写真集を仕入れる。最後の1冊。売れているのか刷り部数が単に少ないだけなのか。つかいたったい何をやっているんだ自分は。DVDで動き唄う時東ぁみさんの動いているからこそのチャームポイントって奴を確認した上で、だったら静止している姿で水着姿に眼鏡とゆー、あからさまに狙っているとしか良いようのなビジュアルに果たして何を思うのかを検証したいって学術的な理由がそこには存在しているんだけど、まあ言い訳に過ぎんわな。

 ついでに荒魂書店で村瀬絵美さんって人の写真集も購入。1991年刊行。誰それって言われて説明するならかつてキクチメガネのCMで、「かみかおめがね」とかいった言葉を唱えつつ、制服姿に眼鏡をかけてはこちらを振り向き「わたしだよっ」と笑顔で元気良く言い放っては見ていた眼鏡つ娘属性を持つ青少年の心へと、強烈な破壊力でもって眼鏡っ娘が持つ魅力って奴を植え付けたアイドルで、生真面目な委員長風でもど近眼の地味っ娘でもない笑顔で元気な眼鏡っ娘って奴の個人的には雛形として、歴史に刻まれてしかるべき存在だと認識している。

 残念にも写真集にはそんな眼鏡姿はないみたいで、当時はいくらCMで眼鏡姿が話題になったからといって、それをウリにするのは反則だって常識がちゃんとあったんだろー。たぶん当時にそんな写真集が出ていたら、やり過ぎだって思いこっちも引いたかも。けど時代もかわって21世紀も5年が過ぎた現在は、水着であろーと下着であろーとはたまたヌードであろーとも、トレードマークとして知れ渡ったのなら決して外してはいけない、外せばもはや存在として無価値になってしまうくらいのアイテムとして、眼鏡が認識されるよーになっている。とゆーかそれでなければダメだと思わされるよーに僕たちも調教されてしまっている。これを喜ぶべきなのか。それともかつてのわずか15秒に満たないCMに現れた笑顔だけで10余年の時を超えて記憶に生き続けるパワーを眼鏡っ娘が持っていた時代をうらやむべきなのか。その辺り、是非に眼鏡っ娘の偉い人に解説してもらいたいところ。それにしても時東ぁみさん案外にナイスバディ。


【5月6日】 そういう訳で(どういう訳だ)朝のカテ戦での敗北を味わいつつ(何にことだ)、黄色いジェフの応援グッズを身にまとってから電車で秋葉原へと出向き、大プッシュしていく石丸電気で「時東ぁみ 1stミュージッククリップス ミュージックスV」を購入。帰宅してからとりあえずは昨日のミニライブで最初に唄ってた「発明美人とパイナッポー!!」を見る。元気でよろしい。妙に艶めかしくしたり、清純ぶらせたりするよりも元気っ娘をやらせるのが、この人に1番マッチしているよーな気がするなあ。

 これは写真集とかグラビアからじゃなくって、「せんちめんたるじぇねれーしょん」のCMとかPVで唄って踊ってる姿に惹かれた身からの意見だから、人によっては水着姿でシリアスな表情をして佇んでる方が好きって考え方をしているかもしれないけれど、広く一般的に波及していく時に音楽ってのは重要で、そこでインパクトを出すとなったら静かな曲よりは迫力のあるサウンドとそして元気いっぱいな唄いっぷり。テレビの歌番組に出る時も、決して大きくはない身長で、ステージにすっくと立ってぴょんぴょんと跳ねくるくると回りながら、満面の笑顔をカメラに向けてハキハキとした歌声を聴かせれば、もう1発で見ている人に強烈な印象を残せます。あとはチャンスか。とりあえず「せんちめんたるじぇねれーしょん」のPVのCMを、より多くの番組で流すことか。あれもなかなかに強力だし。

 そして電車を乗り継ぎ「日産スタジアム」へと向かう途中に、ほしおさなえさんの新刊「モドキ」(角川書店)を読む。なるほどドッペルゲンガーは1匹れいば2匹3匹といるってことなのか。西島大介さんの「アトモスフィア」でまず出会ってから何ヶ月も経たないうちに、平谷美樹さんの「銀の弦」でドッペルゲンガーに出会い自分とゆー存在への不安を抱く人間たちを見て日が明けて、またしても自分とそっくりの存在が現れうごめき始めることへの恐怖が描かれた物語を出会うこの偶然。いやこれは偶然ではなく世界が存在の不安に惑う中で、人間や生物のみならず物語にもドッペルゲンガーが現れて世界をより深い混乱へと、導こうとしている現れに違いない。

 学術研究の過程で見つかったミニチュアの植物たち。調べていくと新種ではなく一種のコピー的な存在だと分かる。一方でスーパーでバイトをしている女性が、街で見かけたアルバイト先の同僚の後を興味本位で追いかけたら、彼が人形の服を買っているところに行き当たり、そして彼がとんでもない存在を愛でていることを知る。いったい何が起こっているのか。人間そっくりの小さい存在が溢れだし、うごめき始めたその先に来る人間ならざる存在によってとって代わられていく世界への恐れが背中をチリチリと刺激する。

 かくも相次ぐドッペルゲンガー的な物語の登場に何か理由があるんだとしたら、それは自分という存在をドッペルゲンガーという対象を得ることによって確立させたいとゆーよりは、ガッチリとシステム化され死ぬその瞬間まで見えてしまう良い意味で安定的、悪く言うなら面白みのない社会に生きる現代人たちが、他ならぬ自分でなければならないという意義の希薄化を覚え、誰かにとって代わられる可能性に好悪を抜きに思いを馳せ、厭世的になっているからなんだろー。だからこそあらゆる困難を乗り越え自分という存在を屹立させるクライマックスではなく、拡散し多層化していくエンディングばかりが描かれる。それで果たして良いのか? と言われれば好ましくはなけれど、でも仕方がない、僕たちは気付いてしまったのだから、かけがえのない自分なんてものの無意味さに。

巨大なハーフナー選手に強靱な巻選手のツートップは迫力。名古屋の古賀選手も混ぜてやりたい。  とかいいつつもかけがえのない存在ってのもいるもんだと「日産スタジアム」でJリーグの「横浜F・マリノスvsジェフユナイテッド市原・千葉」の試合を見て感慨。マ、マリノスの20番は化け物か。3倍高いぞハーフナー・マイク選手。山岸選手のあざやかな得点でリードしあとは最後の数分間を逃げ切れば勝ち点3となったジェフに対して岡ちゃん岡田監督が送り込んで来たのが身長194センチの超電柱。突っ立っていたって1人ぬきんでている高さなのに、それがゴール前を走り回っては空を飛んでボールを落とすものだからたまらない。フリーにしてしまったところを当てられボールを落とされ、それを蹴られ混戦の中から押し込まれてしまい同点に追いつかれてしまった。

 パスをつなぎ崩して1点をゲットする美しさはないけれど、その高さを評価してユースから上がったばかりのハーフナー選手を送り込んではパワープレーで勝ち点を取りに行く岡ちゃんの、監督としての冷徹さって奴を目の当たりにして戦慄。なおかつ前節の名古屋グランパスエイト戦に続いてきっちりと仕事をしてのけるハーフナー選手。高さを武器としながらもそれだけじゃない実力の片鱗って奴を見せて来た。自らの得点がないのは気にかかるけど、いずれ筋肉とかついてきたら周囲を引きずり吹っ飛ばして決めるゴールも生まれるだろー。2008年の北京でトップに張って得点を量産しまくり2010年の南アフリカで平山相太とツインタワーを演じることだってありそー。逆にオランダ代表として立ちふさがる可能性もまだあるけれど。さっさと呼んで日本代表にしちゃえよ次期監督。


【5月5日】 子供の日。童心に還る日。ってことで日比谷公園まで出向いて時東ぁみさんのミニライブをかじりつきで堪能する。誰それって人も多そうな、今んとこ未だマイナーの域を出ていない新人アイドル。「つんくプロデュース」ってゆー胡散臭い出自で、あからさまに伊達っぽい眼鏡を衣装の時も水着の時も着せられるプロモーションのされ方をされていて、お前らこういうのが好きなんだろうって感じに押しつけがましさが溢れだしてる文字通りの”偶像”っぽさを感じていた人も結構いたりするかも。

 ところが「スクールランブル二学期」のPVの中で満面に笑顔を浮かべつつ、唄い踊る姿から放たれる輝きに、これはあるいは本気でやっている人のなのかもしれないと考えを改め、1度は実物を見ておくのも悪くはないと、かけつけ繰り広げられているサッカー関連のイベントもそっちのけで、ステージ前に陣取っては途中に木村和司さんと「キャプテン翼」の高橋陽一さんいよる日本代表は誰が良いトークを聞きつつ、フットサルの試合に現れたミスマガジンとか南葛YJシューターズとかいった、アイドルフットサルチームの歩く姿を横目で追いつつ待つことしばらく。いよいよもってステージ上に現れ元気いっぱいに踊り唄う時東ぁみさんは、輝く眼鏡にいつも失わない笑顔から放たれるまぶしさが目を眩ませ、背景にある資本主義的な経緯なんてまるで気にならなくなってしまった。これが生アイドルのオーラというものなのか。

 「スクールランブル2学期」のPVなんかを見た時には割にスラリとした人かと思っていたけどステージに上がった時東ぁみさんは小柄で髪型もPVでのいかにもアイドル系じゃなく、ストレートにしてあって眼鏡も小さめでそれで白いシャツにピンクのタータンチェックのスカートを履き同じ柄のネクタイをしめるスクール風でとってもキューティ。そんな格好で現れてまずは何だったっけ、たぶん「発明美人とパインナッポー」って奴を印象に強く残る振り付けでもって披露。それを最前列から居並ぶ子供の日に童心へと還ったそれなりな年齢の兄ちゃんたちがいっしょになって踊り唄う光景は、傍目から見れば快晴の休日のそれも東京のど真ん中で、いったい何をしているんだろうって訝られることこの上ない。

 けれどもそんな集団の中に入っていっしょに体を動かしている身には、周囲の訝しげな視線なんてまるで無関係。激しいアクションにまくれあがるタータンチェックの下からのぞくスパッツに瞬間、心躍らせつつも決してゆるまず放たれ続ける笑顔に視線は釘付け。いつしかともに拍手をし、拳こそ振り上げなかったもののいっしょになって歌を口ずさんでしまっていた。続けて「スクラン」の主題歌「センチメンタルジェネレージョン」のCDとカップリングの静かな曲「涙があるから次の一歩となる」を唄い切り、そしてビートも聞いた「センチメンタルジェネレージョン」へと移って会場のテンションも最高潮に。拳をふりあげ手を横に振り、最後の「いぇいいぇいいぇい」で左右にピースサインをする振り付けを、流石に一緒にはやらなかったけれど心で受け止めながらその躍動感あふれる踊りや歌声の確かさを、感じてこれは本気でありかつ本物だとゆー確信へと至る。

 あまりに感銘を受けたんで、そのまま続けて行われたサイン会にも並び、すでに持っているんだけど改めて「スクラン二学期」のオープニング曲が入ったCDのそれもDVD付きを買い直しては列に並んでサインを戴き、握手までしてもらってこちらの歓喜も最高潮へと到達。その手の何ともやわらかさを、さらに1度感じられるならまた並びなおして何か買おうとすら思ったけれどそれは流石にヤバいと我慢し、遠目にサインをする姿を眺め最後まで嫌な顔1つしないでサインに応じ握手に応じ笑顔で去っていく姿に心で手を振りながら、また会う日の到来を願うのであった。明日は流石にサッカーのジェフ戦を見に行くから無理だけど、7日に渋谷のハチ公前でミニライブもあるらしーんで、連休の最後を締める意味もあって行こうかと思案。それより6月の渋谷で開催されるギグに行くべきかと逡巡。するどころかチケットを買ってしまったよ。どうしよー。それまでに振り付け、覚えられるかな。

 そのまま銀座方面へと抜けると中央通りでマーチングバンドのパレードが行われていたんで見物。プロっぽい衣装に身を固めた集団にあって全員がジーンズにTシャツとゆー姿で演奏しながら歩く高校生だかの手段があって初々しさに目を奪われる。とくに女子。白いTシャツの前の成長期にありがちな人それぞれに高かったり低かったりする様を、高校教師は毎日のよーに拝んでいるのかと思うと僕もせっかくとった教員免許を活かす道を、改めて考えてみるべきなんだろーかって迷いが浮かんで心を悩ませる。そんな不純極まりない動機で来られる方が迷惑だろーけど、なあに顔にも態度にも出さない自身はある。いつか静かに潜り込んでは、弾け膨らみ盛り上がる中にどっぷりと浸る日の訪れを夢見よー。ところで教員免許に有効期限ってあったっけ。

 ドッペルゲンガーとアイデンティティを描いて評判の西島大介さんによる漫画「アトモスフィア」に対するこれもドッペルゲンガーか。平谷美樹さんの最新刊「銀の弦」(中央公論新社、2200円)は世界がある日ぐらりと来て、気が付くと自分のドッペルゲンガーが発生しては石に重なって死んでいたり、歩いては自分の存在を確立しよーと元からいる自分を殺しにいったりと大混乱するストーリーが繰り広げられる。ある日自分と同じ姿の誰かが現れそれを殺したり殺されたりする設定は西島さんの「アトモスフィア」と実に似通う。違うのは西島さんの作品が、何故そーなったのかとゆー理由の解明をまるですっ飛ばし、強烈だけど分かりやすい理由をとりあえず起きつつもむしろ起こってしまったことがもたらす様々な出来事をメーンに描いて見せている。

 対して平谷さんの「銀の弦」はまずもって何故そーなったのかとゆー理論の部分をしっかりと構築しつつ、そんな理論にのっとった形でドッペルゲンガー現象が起こった場合に、いったいどんなシチュエーションが到来するのかといった部分を、ロジカルに描いてみせよーとしている。エスカレーションした挙げ句に多層化して分裂していく世界の様をエンディングに描いている点でも「アトモスフィア」も「銀の弦」は双子のよーであり、漫画と小説と形こそ違えドッペルゲンガーのよーなんだけど、でも同じドッペルゲンガー現象を描いていても、そーした現象へと至るロジックに重きを置きつつ現象がもたらす混乱を描いた平谷さんをハード派とするなら、理由なんてどうだって良いから、自分のアイデンティティが歪み虚構と現実の区別もつかないくらいに融解している世界にあっても、自分は自分なんだと思ってさえいればどうにだって生きていけるんだと示唆する西島さんはソフト派か。読み比べてみると発見もあって興味深い1冊。というか2作。しかしどーして同時に現れたんだろーなー。やっぱりどちらかがどちらかのドッペルゲンガーか。


【5月4日】 遅ればせながらもようやくやっと「錬金3級まじかる?ぽかーん」を見てぽかーんとなる。本編にじゃなくエンディングに。誰だ唄っているのは。「朝比奈みくるの冒険」も結構凄まじかったけどあれはネタとして音程を外して唄っていた訳で、比べて「まじかるぽかーん」のエンディングは外しっぷりに本気っぽさがあって聞いてて何とも心が泳ぐ。ヤバさを感じて目が回る。けどでも背筋に震えが走るほどではない所に、もしかしたらやっぱりネタとしての音痴を演じていたりする可能性もあるのかも。いったいどっちだ。つか誰が唄っているんだ。

 読みのがしていたライトノベルのシリーズを幾つかチェック。1巻で挫折していた「タマラセ」(角川スニーカー文庫)の最終巻をとりあえず手に取り開いたけれど、あとでくっつくくらいに綺麗に着られた腕の断面の例えに包丁で切られたトマトを持って来たところでしばし呻吟。葛藤。沈黙。懊悩。模索。躊躇。気を取り直して「トリックスターズ」シリーズの最新作「トリックスターズD」(電撃文庫)を読む。美人魔術師の佐杏冴菜が活躍しねえじゃねえか。けどまあ周らしき人物のイラストが描かれていてナイスなスタイルを拝めたのが収穫か。印象としては言葉遊びが過ぎる割には物語がないってゆーか。そーゆーものだと言われるならばそうなんですかと答えて敬いつつも模様眺めを決め込みたい。次こそは佐杏冴菜の活躍を。ハミュッツ=メセタに悪辣熟女ナンバーワンの座を奪われる前に。

 天気も良いので神宮球場に野球を見に行こうと松谷創一郎さんから誘われ出向く。「ヤクルトスワローズvs広島カープ」戦。個人的にはどっちの球団にも激しい思い入れは皆無で、とりわけカープについては今いったい誰が主力なのか投手は誰がいるのかも不明。広島出身の松谷さんんから解説を聞きつつそうですかでも岩村選手とか、青木選手といった「ワールドベースボールクラシック」に出場した戦士たちがいるスワローズにはかなわないだろーと内心多いながら見ていたらこれがどーした。初回からヒットを重ねてランナーを出し、後続を断たれて得点できなくっても佐々岡投手は腐らずしっかり丁寧に投げ続け、ラミレス選手にラロッカ選手と1発を持つヤクルト打線を相手に得点を許さない。

プレー中にミット持ちマスクはめて抗議して欲しかったなあ古田  一方でヤクルトは先発のロドリゲスだかゴンザレスだかがこれまた速球を丁寧に投げては広島打線に大量得点を許さず、1点を奪われはしたものの何とか持ちこたえてなかなかの見応え。この流れだと先に意気消沈した方が負けかと推測しつつ見続けたえっと何回だったっけ、2点をリードしたカープがノーアウト満塁の好奇を作り出し、ここで打席に立った選手がサードゴロを打ちトリプルプレーもかくや、と思わせたもののヤクルトの3塁種が3塁ベースを踏んで2塁ランナーを3塁でフォースアウトにしてからホームへと送球してしまい、受けたボールでキャッチャーは3塁ランナーをホームでタッチせずに1塁へと送球。従って3塁ランナーはアウトにならず得点となり。ホームから1塁へと送られたボールでバッターランナーはフォースアウトになったものの、1点がカープに加わりスワローズを突き放した。

 このプレーに試合では監督に専念していた古田さんが飛び出し抗議。最初はトリプルプレーの成立を抗議していたのかと持ったけどど3塁ベースを踏まずに投げたため本塁はフォースプレーでアウトだよと、そう言いたかったみたい。それだと3塁にランナーが残ることになるけれど、1点がカープに入ることもなくなるから守るスワローズには有利な判定となる訳で、さてどっちなんだろーとこの試合で唯一となった古田監督の見せ場に注目したけれど、結果的には3塁は踏んでおり従って本塁はタッチがなくセーフでカープに1点追加、1塁はアウトでセカンドにランナーが残るとゆー、カープとしてはしてやったりの判定が下った。

 これで3対0。それでもまだ安心できる点差ではないけれど、カープは今年とっても絶妙らしい継投で後続を完璧に押さえ込んでスワローズを麗封。広島出身の松谷さんにはまさに完璧ともいえる結果と相成った。順位でも多分スワローズを抜いて4位に浮上。佐々岡投手は通算100勝とゆー価値ある勝利を手にし、またおそらくはカープで僕が知る数少ない選手のうちの1人、かつて”赤いゴジラ”と呼ばれた嶋選手も打率を3割に乗せて何とはなしに浮上のムードを出してきた。あるいは今年これからカープが活躍するよーなら、前日の黒田投手の勝利と会わせて転換点となり、よもや優勝することになればそのきっかけとなった、シーズンを語る上で大きな意味を持つシリーズだったかもしれない。優勝すればだけど。優勝するかなあ。外国人が1人も並ばない打線で優勝できたらそれはそれで凄いけど。

 球場で思ったのは東京なのにカープファンの実に多いこと。レフト側の外野席がほぼ真っ赤に埋まり内野席もファンがぎっしりと詰めかけているのには驚いた。たとえ国立でサンフレッチェ広島の試合をやってもアウェーのゴール裏は埋まらないだろー。その意味でプロ野球とゆー何十年もの歴史を持つスポーツならではの、ファン層の分厚さってやつを思い知る。東京ってゆー全国から人が集まる地域的な事情もあるんだろーなー。名古屋でカープ戦をやっても名古屋ドームのレフト側が埋まるとはちょっと思えないんで。でも埋まったりして。最近は名古屋も景気がよくって全国から人が来てるから。

 あとスワローズの応援から騒々しさが消えていたこと。トランペットを何人も並んで吹き鳴らしながら声を出しメガホンバットをぶったたく騒々しい応援をずっと思い描いていたけれど、それはカープだけでスワローズの方はトランペットは鳴っても1つくらいで、音程を取るためのガイド的な役割。メーンは鳴らす笛とそして応援する人たちの声が中心。メガホンバットを叩く騒々しさは残っているけれど、それがなければ一体になって声を出す千葉ロッテマリーンズの応援に近いものがある。去年のマリーンズの躍進にあの応援が大きな貢献をしたってのが伝わり、また古田新監督が就任してファンが誰でも参加しやすい応援ってのを求めた結果がこれなのかなあ。だとしたら好ましい傾向。願うならあの耳にやかましいメガホンバットが消えてくれれば良いんだけど、それで食べてる製造会社の人もいるからなあ。悩ましい。


【5月3日】 冲方丁さんのイケメンぶりを間近に見たいと思ったものそれだけってのも何なんで遠慮して「東京都現代美術館」へと出向き「カルティエ現代美術財団コレクション展」を見物。うーん普通。つか驚くべき作品ってのが割と少ない。最先端の現代美術を青田買い的にバンバンと購入しているカルティエ現代美術財団の、目利きなキュレーターがやってるんだからもっと世界に衝撃を与えるよーな作品が展示されていると思ったのに、初っぱなにあったのがキッチュな花柄インテリアのライザ・ルーの作品で雰囲気だけなら草間彌生さんの延長って感じ。見た目はなるほど派手だけど、執着心ではるかに勝る草間さんのパワーにはとうてい及ばない。

 アレッサンドロ・メンディーニのカテドラルには興味をひかれたけれどもこれだって巨大なガウディのキラキラとした建築をこぢんまりとさせただけって言えば言える。それだったらバルセロナでほんまもん見た方がなんぼかマシ。クエスチョンマークを巨大化させたリチャード・アーシュワーガー。しょせんはギャラリーに収まる巨大さじゃあね。人間の質感を持たせた女性の像を巨大化させたロン・ミュエク。デュエイン・ハンソンのバリエーションって感じかな。大きさには確かに意味があたけど。眠っている巨人ってあんな感じかなあって。でもだったらベッドに体は入れないこと。想像させるくらいなら見せつけて驚かせろよってーの。「ガンダム展」のセイラさんみたいに。

 アルタヴァスト・ペレシャンの映像作品は良かったかも。っても基本的にはロケット開発航空機開発の映像を繋ぎ合わせただけで幾度となく打ち上げに失敗しては爆発するロケットの映像が迫力だったりようやくにして成功して打ち上げられていくロケットの映像が「王立宇宙軍オネアミスの翼」だったりしてロケットな人にはこのままDVDにして売ってくれって言われそう。たぶんサターンが上がっていく場面にアニメの「王立」が挟み込まれていたらさらに評価がたかったんだろーけど。誰かペレシャンに「王立」の映像贈っちゃれ。

 超長いテーブルの左右に黒い人形と白い人形を配置して白だ黒だと言わせるデニス・オッペンハイムも面白かった。けどその端から作品を観察してはメモを取る美大生っぽい女の子の眼鏡っ娘に目が向いて作品をまんじりとは見られず。アップいして上でお団子にした頭といー薄べったい胸板(板ゆーな)といーなかなかにコケティッシュ。作品のメモをしきりに取っていたけど宿題か何かかな。論文の材料とか。さすがに胡散臭いと思われるので声はかけなかったけど。

 迫力はマーク・ニューソンの実物大ジェット機って奴か。ギガントを小さくしたよーなエイっぽいデザインで前にF16みたく空気取り入れ口の大きく開いた期待は羽根にカーボンが使われていたりと材料も含めて本格的。これだけのものを作るのにかかった費用を考えると流石は世界のカルティエ、未来のある人には大盤振る舞いをするもんだと関心する。吹き抜けの部屋の外に置かれた鉄板を溶接して作られたパナマレンコの潜水艦とは何たる違いよ。けどなあ、未来のビジョンって奴を現実化させたものだったら八谷和彦さんのジェットボードの方が本当に浮かび上がる分、上のよーな気もしないでもない。

 流線型という未来の乗り物にありがちな特質を追求して探求している中村哲也さんってアーティストもいる。比べてマーク・ニューソンはインダストリアルデザイナーだけあって造形美と機能美を兼ね備えたものは得意だけれど、エッセンスを追求したりコンテクストを載せたりって部分で何か物足りない。これが八谷さんだったら本当に飛ばすことを考えただろー。いくら金がかかろーとも。でもって実際に今はあの「風の谷のナウシカ」に出てきたメーヴェを飛ばそうって躍起になていたりする。こーゆー人をこそ世界からかき集めた金で応援すべきなんだろーけど、そーゆー方面へは特別なプレゼンテーションがいりそーだからなあ。日本だと手下とどんどんとカルティエ方面に送り込んだりしているアーティストの人もいたりするんだけど、同業者はさすがに取り次いではくれないだろーし。

 森山大道さんはどこで見ても森山さんで安心。ナン・ゴールディンも同様。ウィリアウ・エグルストンも川内倫子も。ってか今更って感じもしないでもない。パリに東京にニューヨークに上海にインドだかリオデジャネイロだかの街頭なりリゾートの模様を5分ほど取った映像を並べて巨大なスクリーンに映してみせるレイモン・ドゥパルドンの作品は結構好き。街頭に立ってぼーっと眺めていたいあわよくば美女が通りがかるのを見ていたって願望を叶えてくれるのと、各地の雑踏のまるで違った空気を一カ所にいて味わえるのと、楽しみどころが幾つかあっていつまでもそこにいたいって気にさせてくれる。

 東京はJR飯田橋の水道橋寄りの出口から出て振り返って歩道橋へと上る人をとらえた映像。ずっと撮りっぱなしなのに美人が来るとカメラを振って追いかけるあたりも煩悩を見透かされているよーで楽しい。歩道橋方面から歩いて来る眼鏡女性にとりわけ関心。隣の上海でバンドからテレビ塔方面に向かい女性をデジカメで撮ってる人も眼鏡女性で目が釘付け。日中眼鏡っ娘対決の勝者や如何に。他の地域をゆっくりとは見ていられなかったんで今度また行って他の地域にも眼鏡っ娘がいないかを観察だ。

 秋葉原へと周りDVD−RAMを何枚か仕入れてから戻りテレビでJリーグの「ジェフユナイテッド市原・千葉vs浦和レッドダイヤモンズ」戦を鑑賞したら完勝だった。いやあすげえ。あんなに走ってたんだ。いつもだったらゴール裏の斜め上から見下ろす感じなんで1人の選手がドリブルで走り込んで来たり、コーナー付近からクロスを上げる挙動なんかは間近に見られたんだけど、NHKのメーンスタンドから撮った映像だと中盤でボールを奪った途端に奥から手前から何人もの選手が前へと走り始める姿が一目で確認できて、その迫力に真夜中のプレミアシップとかを見ている気分になった。ワンタッチでボールを回しながらも確実にゴールへと近づけていく無駄の無さ、フィニッシュのあとは成功しよーとしまいと切り替え守備へと回り奪えば即座に攻撃へと向かうスピード感も海外の試合と比べて遜色ない。

 もっともそれが出来たのは相手があんまり激しくチェックに来なかったってこともあるんだろー。前線のチェックに出しどころを失い、最終ラインでぐるぐる回してからふいっと攻撃に転じる動きが、ちょっと前のジェフ千葉の試合にはあって見ていて苛立たされた んだけど、レッズ戦についてはそーした最終ラインでの横パスだったりキーパーへと戻る動きがほとんど無し。ストヤノフ選手が持って上がる場面もあってそれだけ相手のチェックが緩かったって言えそう。けどでもやっぱり目まぐるしく入れ替わりながら中へサイドへとボールを回して隙あらばシュートを狙う動きは最高。これが続けば優勝だって間違いないんだけど続かないよなあ、流石に。体力的に。

 個人ではサイドの山岸智選手がバリ切れ。攻めても凄いし守りにも戻る動きは楽山選手にはまだ出来ない。巻誠一郎選手も完璧。ポストとなっては絡んでくる羽生猶剛選手に渡して狙わせたと思ったら佐藤勇人選手があてたボールに走り込んで足で蹴り込みゴールを奪う動きも見せたりと大活躍。代表入りの可能性を微力ながらも高めたことが出来たんじゃなかろーか。

 もっともこれも周囲との連携がちゃんととれているからで、孤立させない押し上げの速さと、それを赦してしまった相手の対応の拙さが絡んでのプレーであって、すべての試合で出来るとは限らないし連携が無茶苦茶な代表だったらなおさら孤立の可能性も高い。当ててくれる中村俊輔選手アレックス選手のクロスなり中田英寿選手のロングボールがあって、そこに走り込んで来る森島選手佐藤寿人選手のフォローがあったりしすれば生きるんだけどなあ。活かしてくれないかなあ。無理かなあ。帰っちゃうんだもなあ。


【5月2日】 ベビースターラーメンったら子供が好かした小腹をちょいとだけ充たすおやつの代表で、遊びの間に10円玉を手に持ち駄菓子屋に行って1袋、買ってあけてべりぼりと貪り食ってそれからまた遊びに興じるといった思い出を30歳から40歳といった世代の人なら誰でも持っているんだろーけど、時もかわり会社名も「おやつカンパニー」となって近代化された「ベビースターラーメン」は、地味だった単品勝負から幅を広げていろんな味を続々投入。最近なんかはコンビニエンスストアと結託して、ご当地味の商品を作っては巨大なコンビニ網でもって全国津々浦々へと商品を流すよーになっている。

 その意味ではある種の定番商品にとってコンビニエンストアが果たした役割ってのはなかなに巨大。KIOSKに行けば必ず「ボンタンアメ」が並んでいるのと同様に、ローカルなお菓子を全国区へと押し上げるパワーを持っている。しかしそこに留まることなくコンビニの挑戦は続く。6月に開幕するワールドカップに向けて何と「ベビースターラーメン」のワールドカップ版ってやつを作りセブンイレブンで5日から、販売をスタートされるらしー。

 さすがに32カ国全部は無理だけど、日本とそれから同組みに入って対戦するオーストラリアとブラジルとクロアチアと、あとは開催国のドイツと食の都ともいえるイタリアの計6カ国バージョンを作って並べて売るらしー。試合の時には対戦相手の国のバージョンを一気食いして日本を応援するなんて、ベタなあちらこちらで見られそー。

 面白いのはそれぞれの「ベビースターラーメン」がそれぞれの国に馴染みの料理の味になっていることでドイツだったらジャーマンソーセージ、イタリアだったらピザで日本は照り焼きチキンといった具合に、それなりのセレクトがされている。オーストラリアはオージービーフでステーキ味、ブラジルは肉を鉄串にぶっ刺して焼いて食うシェラスコの味。ステーキとどこが違うのかは不明だけどきっとまあそれなりに違うんだろー。

 問題はクロアチア。だってほら、誰もクロアチアの料理なんて知らないよ。ユーゴスラヴィアの時代からだって何が伝統の料理か不明。ピクシーだって名古屋じゃ普通にイタリアレストランとか行ってたみたいで、とりたてて何かを好んで食べたって話を聞かないし、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身でクロアチア系のイビチャ・オシム監督がこれだけは欠かせないと食べている料理が何かも聞かない。

 だから実は始めて知ったサルマという料理の名前。ようはロールキャベツなんだけど、3週間は塩に漬けたキャベツを使い中には豚肉とそれから米も巻き込んで似て作るとか。きっとそれなりに辛い感じで肉の柔らかさに米の食感も混じった不思議な味がするんだろー。食べてみたいなあ。っかオシムもこれを食べているのかなあ。そーだったら是非にフクアリ周辺に屋台で出して欲しいもの。食ってオシムが張り切ればジェフユナイテッド市原・千葉も快進撃が続く。是非に。

 PENTAXの「istD」に取り付けるストロボを買ったらお金が尽きたんで「SFセミナー」は微妙。フクダ電子アリーナでの浦和レッズ戦はチケットが買えなかったんで行かないけれど、珍しくテレビで地上波の放映があるんでそっちを見ている可能性が大。冲方丁さんはこの前の「東京国際アニメフェア」で見たからなあ。巨大な記事にして掲載したけど反響はあんまりなし。読まれない新聞ほど虚しいものはない。大丈夫だろーか。夏のボーナス。

 むしろエージェント的な機能を果たしているTOEの立場と立ち回り方にはちょっと興味が。これも「東京国際映画祭」で偉い人が出てきては、冲方丁さんの作品とか榊一郎「フルメタルジャケット」とか、その辺を映像化してく計画なんかを話していたのを聞いているけど、メディアミックス的な活動とは別に、冲方丁さんって1人の作家を抱え込んでプロデュースしていくのはまた違った活動のメソッドが必要。作家自身がまたセルフプロデュース的に自分の活動の幅を広げ企画を提案していく人だから、そんなエージェント側の権能と作家側の指向をどうマッチさせ、なおかつビジネスとしてのスキームを作りどこから収益を挙げようとしているのかってのはこれからの作家のあり方を考える上でひとつの指針になる。

 けど場は映画祭じゃなく制作発表会でもなく「SFセミナー」。経済的な面とかいった立ち入った話にはならずにざっくり、小説家なりアニメの監修者なり漫画の原作者としての冲方丁さんの活動を振り返りつつ、「マルドゥック・ベロシティ」が今いったいどうなっているかを訪ね聞いては首を長くして待つファンの渇望に応えるってのが、時間的にもイベントの性格的にも精いっぱいって所か。それなら後で「SFマガジン」か何かに載るリポートを読めば十分だからやっぱり「SFセミナー」、微妙だなあ。東浩紀さんが真夜中に若者と激論を交わす姿とかは見たいけど。

 海外組の1人もいない試合を今やってどれだけのコンビネーション醸成に役立つかは曖昧だけど元よりコンビネーションなんて期待もできない足下パスが心情のチーム。走り込んでポジション交換をしながら相手を崩すよりも突っ込んでは倒され得たフリーキックで空中戦を仕掛けるシンプルだけど面白みのない試合がおそらくはドイツの地で繰り広げられると考えると、多少なりとも小技を持ち且つ1億分の1くらいの確立にかけてモチベーションを挙げている選手が1人2人含まれているこのチームの方が、見る分には楽しい試合をしてくれるかもしれないなあ、なんて思いつつキリンカップに招集された23人のリストをながめる。

 おそらくはここに選ばれたゴールキーパーは川口能活選手を筆頭に土肥洋一選手楢崎正剛選手で確定。絶対に出ないだろー土肥選手を外して若い名古屋の川島選手なり大分の西川選手を入れるなんて芸当をジーコ監督がするはずない。ディフェンスもキリンカップ招集組でほぼ確定。宮本恒靖選手に三都州選手に中澤佑二選手に加地亮選手がスタメンで田中誠選手に坪井慶介選手が選ばれあとは中田浩二選手が海外から桑って、残る枠をおそらくは駒野友一選手が埋めるんだろー。つまらねえ。

 中盤は中田中村稲本の海外3人衆に1抜けした元海外組の小野選手を確定させつつ小笠原選手遠藤選手福西選手が入って残る1つを多分松井選手が獲得だ。長谷部? 阿部? 穴埋めっしょ。使う気ならこれまでの試合で試してるって、もっと沢山。そしてフォワードは久保柳沢高原大黒で確定。柳沢のケガが快復しないようなら玉田選手で巻選手も佐藤選手も呼ばれません、呼ぶんだったらリーグ戦でまるでダメな玉田選手なんて招集しないよ、普通なら。でもって変わりに我那覇選手とかを入れてるよ。

 と考えるともはや5月15日の楽しみは皆無。そんな当たり前の会見に監督が出て喋る必要なんてないのに前の監督が海外での視察を優先させて欠席したことをあげつらって、選手思いだと報じるメディアもきっとこれからわんさと出るんだろー。選手思いなら5月に「ナビスコカップ」を控えたチームから主力選手をぶっこ抜いてベンチどころかスタジアムに座らせなんかしないってば。けどでもあるいは。まあ良い方に裏切られることを期待しつつ温い目で5月15日のその時を待とう。またしても「10番NAKAYAMA」だったら大笑い。


【5月1日】 「ヤングキングアワーズ」の2006年6月号では大石まさるさんの「水惑星年代記」が引き続き連載中。線の太いタッチとどこかレトロな雰囲気が鶴田謙二さんっぽさを醸し出してるシリーズだけど、今号は爆発する研究室にチャイナさんとはまた違ったパワフルな女性の登場が、なおいっそうの鶴田っぽさを感じさせてくれる。

 物理研究に励む青年を訪ねてきたのは数学科の助教授なんだけどこれが女性で美人でちょっぴり乱暴者。その頭脳明晰な人らしー高飛車な言動と、ストッキングに包まれた脚の線がとってもキュートでどちらかといえば幼さの見えたチャイナさんよりも好みかも。気球で世界一周のレースは後篇へと続いてさてはてどんな結末が。そしてフィオナ・ブラック助教授にどんな運命が。「ジオブリーダーズ」ともども楽しみ。単行本早く出ないかな。

 6月の開幕を控えてワールドカップ関連のムックとかもそろそろ店頭に並び始めて来たけれど、講談社から出ているオフィシャルなんかよりもよっぽど役に立つ決定版が早くも登場。その名も「萌えもえ! W杯観戦ガイド」(イカロス出版)はタイトルが現しているよーに株とか自衛隊とかプログラムとか英単語を美麗なキャラクターのイラストなんかとともに分かりやすく解説してくれる”萌え本”の系譜に連なる1冊。なんだけど最近の萌え本にありがちな、絵はどこか中途半端で情報も通り一遍でどっちの方面からも不満の残る本ではなくって、情報も詳細なら絵もなかなかに目に嬉しく、これ1冊あればほかのどんなガイドブックもいらないんじゃないかって気にさせてくれる。いやマジで。

 フットサル好きな3人の美少女がワールドカップのドイツ大会に出場するチームについてトークするって設定。それぞれのチームが注目国なら4ページで普通の国でも見開き2ページで紹介されている丁寧さも良いけれど、そこに候補選手とかフォーメーションとかも合わせて紹介されているのがなかなかな配慮。どんな選手がどんな布陣で戦うんだろうっていつも考えるサッカーファンの願望にちゃんとかなってる。イチオシ選手ってコーナーもあるんだけど、それもなかなかのセレクトぶり。イングランドはルーニー選手でフランスはジダン選手ってのは当たり前過ぎるけどでも実際に注目株なんだから仕方がない。

 アルゼンチンはメッシ選手とリケルメの2人を推しているのがなかなかの通ぶり。最近になってよーやく日本でも名前が広がり始めたメッシ選手の名前だけど、アイマール選手とかテベス選手といった有名どころをおさえるだけの知名度を一般に持っているって訳ではない。またリケルメ選手も有名だけどビッグクラブにいる訳ではない点で、真っ先に上がる選手とはちょっと言えないんだけど、サッカー好きにとっては見逃せないそんな2人を並べて取り上げているところに、筆者のこだわりとそしてサッカーへの愛ってやつが感じられる。通り一遍じゃあ絶対にこんな風にはならないだろーからね。

 さらに凄いのがイタリアで、トッティ選手でもなければデル・ピエロ選手でもなくミランの中盤の底を固めるピルロ選手がイチオシ。ガットゥーゾ選手に負けず劣らず大事な役割を果たしながらもビエリ選手なりインザーギ選手といった前線の選手に知名度で負けがちな中盤の底の選手たちにチェックを入れているところにも、なかなかの通ぶりって奴が見てとれる。そんなイチオシ選手たちを描くコリンシアン風のイラストも結構な巧さ。似てる選手似てない選手が微妙に混じっているけど立体感が出ててなかなかに可愛らしい。このままフィギュアになったら面白いんだけどなあ。

 トークの辛辣さもこれまた通。バラック選手のルックスがドイツで人気って話に「そんなこのあり得ないってー」「ただの馬ヅラ……」と突っ込んでみたり、ベッカム選手が年間に下着代を300万円使う話を持ち出し「ベッカムは母国じゃ、アホ・キャラで通ってるからね。日本でいうところの新庄みたいな感じ」と身も蓋もないことを言ってみたりとやり放題。公式ガイドブックじゃ絶対にのっていない、けれども知っていると絶対に面白い情報がいっぱい載ってて知っていればニンマリとできるし、知らなくっても勉強になって本番の試合でニタリと出来る。

 日本代表については3人の女の子がそれぞれに「イケ面」「玄人好み」「ガチンコ」とゆー3つの基準で選手をセレクトするコラムもあって、このうちの「ガチンコ」がDFが闘莉王選手に宮本選手に茂庭選手でボランチが今野選手と福西選手、左に三浦淳選手で右に駒野選手でトップ下は中田英寿選手、そしてトップが巻選手と鈴木師匠とゆーメンバー。見るからに頑健そー。ポスト2人じゃ誰が得点するんだろうって疑問もあるけど、そこにトップ下の中田英選手が絡んで飛び出し得点する、って流れもこれで見えるからなー。その点でなかなかに納得感のあるセレクトかも。サッカーを知ってる人が書いたコラムだってことが伺える。

 ちなみにヒデと宮本は「イケ面」にも「玄人好み」にも入ってる。ヒデがイケメンか、って問題はさておいて、「イケ面」に選ばれている我らがキャプテン、阿部勇樹に関して「阿部がイケメ……なんでもない」と突っ込みが入っているところにも爆笑。活躍しているチームの中心選手ってところで何か阿部選手、格好良いんじゃないかって思わせるところがあるけれど、実物はあれでなかなかユニークな顔立ちで、いわゆる「イケ面」かと問われると微妙さを通り過ぎて明確に違うって意見も帰って来そう。そんな悩ましさをちゃんとネタにして紹介しているからまた凄い。深いなあ。

 これほどまでの内容で、おまけに放映時間とか注目マッチの見所紹介も入っるんでテレビで観戦を決め込む人には最適な1冊。何よりコンパクトで軽いんでドイツとかにワールドカップを見に行く人もバッグに1冊、入れておけば現地で困ることはない。可愛い選手のイラストは選手を知る当該国のサポーターたちにも大受けしそー。指さしてこれがクラニツァール選手だロナウジーニョ選手だと、対戦相手のサポーターに教えてあげればそこで新しいコミュニケーションが生まれるんだ。良い本をありがとう。次は「萌えもえ! バスケ世界選手権観戦ガイド」も作ってね。夏に開かれるのにまだ全然知られておらず、まるで盛り上がってないから。

 世界がハルヒの思うとおりに動いているなら、地域探索でハルヒとキョンがペアにならなかったのは何でだろー。キョンが部室に入るたびにみくるが着替えている場面に行き当たるのも、2人の中を近づけまいとするハルヒの思惑の結果なのか。その割には結構良い仲になってて地団駄を踏みあからさまに悔しがるハルヒの描写が何ともいじらしい。アニメーション版「涼宮ハルヒの憂鬱」は、そんな細かい描写まで目が離せない。

 お話の方は「憂鬱」シリーズが粛々と進行。すでに野球の時に現れていたのに改めて新キャラクターとして古泉が登場。でもって次週ではまた一気に話を先へと進めて「憂鬱」シリーズは長門有希と朝比奈みくるの正体が明らかになったまま棚上げされる複雑な構成を、考えた人はちょっとすごい。正直に言えば最初の「憂鬱」シリーズがあまりに完璧であとの展開はどこか付け足しめいていた感もあっただけに、インパクトのある「憂鬱」を小出しにしつつ周囲を埋めていく、ジグソーパズルで言うなら特徴的な柄を合わせつつま枠線を固めてそして中へと戻り汲み上げていくよーに、話を進めていくこの手法なら、飽きさせずに興味を先へと引っ張っていってくれる。ラストの回はやっぱろ「憂鬱」のエンディングと重なるのかな。


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