縮刷版2006年12月上旬号


【12月10日】 やっぱりというか「陸上競技マガジン」の箱根駅伝特集号の巻末に「風が強く吹いている」で箱根駅伝を描いた三浦しをんさんが登場。6年をかけて書き次いできた作品の思い出を振り返りつつ描き上げた今年は取材もなしに炬燵でのんびりと箱根駅伝を見られるよーになるんだけど、取材で選手や関係者たちの苦労を知ってしまったからにはもうのんびりとは見ていられないかもって言っている。

 だったらもう諦めて今年も会場でリポーターなり解説なりで参加しちゃえば良いのに。やっぱり箱根駅伝は炬燵で見たいってんなら、ゴールの読売新聞の手前にあるサンケイビル前の広場に金魚鉢みたいなブースを作りそこに炬燵を設えて、炬燵に入りモニターを見ながらあれこれ喋る企画なんて提案してみたらどうよ日本テレビ。

 そんな三浦しをんさんの「風が強く吹いている」に「SIGHT」の2007年冬号で北上次郎さんが大森望さんと対談しつつ触れてあれやこれは批判を展開。「後半に、選手のひとりがリーダーに批判的なことを言うシーンがあるじゃない。まず批判の底が浅い。で、それをリーダーが説明するんだけど、『なんでこんな言葉で説得されたんだ?』って言いたくなるくらいに描けていないですよね、人物造型が弱いんです」って話してる。

 けどでもなあ、ハードボイルドとか「ありえねえっ!」ってセリフと行動を見せる男が描かれていても読み手は納得しちゃうじゃない、それが展開の上で違和感なければ、それと一緒ですよそーゆーセリフで説得されるってのは舞台の決めぜりふってゆーか歌舞伎の見栄みたいなもので、それに答えるセリフも型にはまった心地良いものじゃなくっちゃ。敵に囲まれているに、滔々と口上を述べる正義の味方をリアリティねえって非難したって始まらない。

 だいたいが北上さん、陸上小説としてイチオシしている「一瞬の風になる」を取り上げてベタホメしているのに大森さんが突っ込むと「大森くん、何から何まで完璧にする必要はないんだよ、ね(笑)?」なんて言って正統化している。ストーリー上の案配と設定の上のリアリティを並立させるのはちょい違うって言えば言えるんだけど、自らどっかに逃げを打つくらいだったら「風が強く吹いている」の少々のリアリティの欠如にだって目をつぶって描かれている“感動”って奴をもっと讃えてくれたって罰は当たらないよなあ。

 それとも「一瞬の風になる」を持ち上げたいあまりに対抗の「風が強く吹いている」は批判しなきゃいけないってゆーバランス感覚でも働いてしまったのかな。いずれにしても「風が強く吹いている」はもはや9刷と大ベストセラーな予感。シーズンインするこれからは更に重ねて10刷20刷と行きNHKが15日放映予定のボイルドエッグズを取り上げた「ビジネス未来人」放映とも相まって「東京タワー」の次を継ぐ大ベストセラーへと発展し行って欲しいなあ。行っちゃったりして。

 家に居ても寒さから毛布にくるまり寝てしまうだけなんで、家を出て京成で上野へと向かい何か面白いことがやっていないかと美術館街をうろうろ。ふと見ると雑木林の青テント群が根こそぎ撤去されていて、いったい何が起こったんだろー。あれだけの人はいったいどこへ? 冬だからまさか放り出してそれっきりってことはないんだろーけど、それにしても数が数だっただけに気になるところ。新宿の密度が上がったか隅田川江戸川を超えて郊外へと繰り出したか。うーん謎。

 その脚で東京芸術大学の美術館へと入って「THE WONDER BOX ユニヴァーシティ・ミュージアム合同展」って奴を見物。入るといきなりヤマゲラとオオジシギって鳥の標本が、剥製っぽく飾られておらず羽根を閉じて丸まったところを帯で止めたいかにも標本って形で展示されてて、これは一体何のアートかって思い説明書きを読んで納得。つまりは北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園・博物館ってところが、それこそ帝国大学だった時代から積み重ねてきた採集と標本化の意義って奴を示すための展示らしー。

 つまりは今あえて新宿の烏を標本にしようって考える所が少ないのと同様に、当時は普通に生息していた鳥を標本にする意義なんて誰も感じていなかった所を、それでも敢えて行うことで、今となっては絶対に見ることのできない当時の鳥の貴重な標本を、作ることが出来たんだってことになる。たゆまぬ日々の努力の積み重ねが、後世に大きな財産となる。それこそが研究を旨とした大学の行う博物的な活動。珍しいものや美しいものやその時の基準で貴重なものばかり集めることはなるほど世間に必要性をアピールしやすいけれど、そうじゃないんだってことを伝えるメッセージを持った展覧会ってことなんだろー。独立行政法人化され予算の審査も厳しくなって無駄と見なされる活動をしづらくなっている大学の抵抗って奴?

 展示だとあと琉球大学資料館に伝わるイリオモテヤマネコの資料がなかなかの貴重さ。平べったく敷き皮にされたヤママヤーの哀れさはそれとして、発見から半世紀も経たずして絶滅の危機に瀕しているイリオモテヤマネコなだけにこうして保存しておく意義ってやつは現時点でも大いに伝わる。同様に今となっては見ることのできないニホンアシカの剥製標本とかも貴重な一品か。

 研究成果って意味では東北大学の金属研究から生まれた山内東一郎さん作によるクロモリ鋼のピッケルとか、田上隕石とかニッポノサウルスの骨格標本とか「東京芸術大学」とはちょいそぐわない展示もあって妙に楽しい。どちらかっていうと価値ある名画や名曲の譜面やら楽器やらを残して伝えたがってる風に見える東京芸大が、こーやって発見発明の品々も展示して見せる意図ってのがどこにあるのか。それとも意図なんてないのか。企画した人に聞いてみたいところだけど面倒だからやらない。ともあれ名画もあれば縄文人弥生人の骸骨もある不思議な空間は17日まで開催予定。行って平べったくなったヤママヤーの情けなさに涙してくださいな。


【12月9日】 そして「Wii」を未だに眠らせたままにしつつ目ざめると雨。晴れてたら「フクダ電子アリーナ」へと出向いてサッカー天皇杯の「コンサドーレ札幌対アルビレックス新潟戦」を見物するジェフユナイテッド市原・千葉の選手を見物に行きたかったところだけど、雨の上に風も出ていて気温はこの何週間かでも1番くらいに低そうで、治りかけの風邪がぶり返したら来週の堺さん壮行会とかいろいろな行事に出られなくなるんで寒空に雁首並べたジェフの選手を見たい気持ちを抑えてしばし引きこもる。

 あとで結果を見ると見事にジェフ千葉を破ったコンサドーレ札幌が延長PK戦の果てにアルビレックス新潟を撃破し準々決勝に駒を進めた様子。負けたジェフ千葉もこれですこしは浮かばれたかな。しかしあの寒空で90分のみならず延長の30分とPKの15分とかをよくぞ見学し切ったぞジェフ千葉選手たち。写真とか見ると坂本隊長阿部キャプテンに中島国王水野コーキと主力選手が揃い踏みで、これはメインスタンドの上部席あたりからしっかりとピッチを見下ろしている。

 上に放送席とかあって後ろが塞がれていて風があんまり吹き込まない場所ではあるけれど、暖房なんかないんで寒いことには違いない。そんな中をお揃いのベンチコートで下にはジーンズとか私服を着込んで自腹で観戦したその悔しさが、命じたアマル・オシム監督に向かうことなくコンサドーレ札幌に破れた自分たちに向いてくれることをただひたすらに願いたい。アマル監督もどっかで見ていたのかな。自分たちの聖地なんだからユニフォーム姿で見学だ! って言われなくて良かったね。

 そんな阿部勇樹選手に対する獲得のオファーが目白押し。海外へと挑戦してくれるんならまだしも主力にして中心にしてキャプテンの選手を同じリーグに移籍させる間抜けなフロントはいないとは思いたいけれど、提示されている移籍金の額の大きさとあと選手自身のキャリアアップの希望を考えるといつまでも今のクラブに引き留めておくのも容易い話しではなさそー。過去にもそーやって城彰二選手とか出ていった訳だしなあ。とりあえず海外移籍の場合も含めて阿部選手の抜けた所を埋めて足る布陣を揃えることが先決か。

 フリーキックは水野晃樹選手がいるけれど、深い読みで相手の攻撃の芽を潰し正確なフィードで前線へとボールを供給する仕事は他の誰でもカバーできないからなあ。巨大な田中淳也選手が成長してストヤノフ選手水本裕紀選手と並べるくらいになれば中島浩司選手を中盤に上げて佐藤勇人選手を底に置けるようになるんだけど。しかしやっぱり足りないなあ。フォワードも足りないし。外国人が欲しいなあ。ガットゥーゾ選手とダービッツ選手とピルロ選手とマケレレ選手。まとめておいくら?

 家にいても眠ってしまうんで気力を振り絞って「東京都現代美術館」で開催中の大竹伸朗さんの展覧会「大竹伸朗 全景 1955−2006」を見物に行く。入って入って歩いて歩いてどこまでも続く大竹作品の良にひたすら圧倒される展覧会ってのが第1印象で、何しろ子供の頃に書いた落書きから作り溜めたスクラップブックから大学時代の秀作からプロになって手がけた作品から何から何までを一切合切お蔵だし。細かく間仕切りされた部屋の壁1面が額縁にいれられた作品で埋め尽くされているよーな部屋もあったりして、人間って50年の間にこれだけの仕事が出来るんだってゆー驚きと感動を得られる。

 それにしても多作。そして多用。その時々で得たテーマに沿ってあれやこれやバーッと作りはするんだけど何年かするとテーマも切り替わってそれに関する作品が続き、また切り替わって別の傾向が出てきたりと1人の中にこんなにも色々な感性があるのかと驚かされること仕切り。アフリカをテーマにした作品なんかは見て伝わるメッセージがあって分かりやすいんだけどそーしたジャーナリスティックな筆を続ける訳じゃなく、マルセル・デュシャンかジャン・ティンゲリーみたいなガラクタとノイズの混在したミクストメディアな作品を手がけてみたりと常に次へと進んでる。

 「網膜」って銘打たれた大判のシリーズあたりからは抽象的な雰囲気をカンバスに著した作品が続いて見ていると吸い込まれそう。アフリカのシリーズの具象性も悪くはないけれど、色彩とそして描かれているものの変容し融解していくカタチが眼球の奥へと染みて来るこれらの大きな作品の方があとあとまで尾を引くって意味で僕の好みにあったかも。大きなカンバスの前にたって全身で味わってこその作品なんで画集とかで見るよりは行って実際に眺めて見る方をお勧めしたい。

 あと漫画みたいな作品とか巨大な自由の女神の看板をそのまま持ってきて色を塗り直した作品とか、多彩ぶりに加えてキッチュなものへの関心も現れた作品もあってバブルな時代にそーしたものを、最先端として崇めつつ振り返って気恥ずかしさに囚われている自らを、振り返らせてくれる。とはいえまたぞろバブルな時代が再来して、俗悪さが先端として崇め奉られかけているからなあ。この時代の先端とやらを観察し収拾しておけば10年後にはアートを生み出せるかも。六本木ヒルズとか六本木に出来る新しい美術館とか。俗悪の極みだもんこいつら。

 取り壊された駅舎の上に輝いた「宇和島駅」のネオンサインも「東京都現代美術館」の屋上に来ているそーなんで宇和島に関わりのある人は行って眺めて懐かしがってくださいな。会場では実は気づかず実物は見てないんだけど、夜とか木場の空に輝いて綺麗かも。会場では「宇和島駅」とオレンジに輝く文字が染め抜かれた黒いTシャツも売ってます。着ても知らない人には意味、わかんないよなあ、札幌で売ってる(かもしれない)時計台のプリントされたTシャツとか名古屋城で売っている(可能性もあったりする)金の鯱が背中を泳ぐTシャツと、同類って思われるのがオチだろーし。会場を出がけに入り口で眼鏡で髭のおじさんとすれ違ったけどもしかしたら大竹さん本人だったかな、場内で見た雑誌に出ている人と同じ顔だった、サインもらっておけば良かったかな、宇和島駅、って。

 秋葉原へと回り「ヨドバシカメラ」の6階で「Wii」はまだか「PS3」は出ないのかと待ち続ける人々の群をどちらも持っている優越感(でも「ニンテンドーDS Lite」は持ってない)に浸りつつ上に上がって書店で「サッカー批評」の最新号を購入、オシム戦術の分析がメーンか。目的は前の号から始まっていた、かつて市立船橋高校が全国を制覇した時に得点王に輝いた森崎嘉之さんの今をリポートした記事で今号ではいよいよ当人が登場。したけどジェフ千葉に入団してから辞めるまでの話が少なくって、どーして自分が通用せずそれをどー克服しよーとして、けれども果たせなかったのかって所をもっと聞きたかったってちょっと物足りない。

 清雲監督には気に入られず2年目も上がったけれど使ってもらえなかったって、言われたって高卒で1年目から使われる選手なんてそうはいない。青木孝太選手だって最終戦も迫ってよーやくの出場だった訳で、それなのにどーして出られないんだとモチベーションを落として果てにJ2JFLと下がりそのまま引退となった森崎さんに、どーしてそこでモチベーションを下げてしまったのかを深く聞かず、そーゆータイプなんだねえと同意してしまうから話が深まらない。

 まあ既に引退してしまった選手に往時を振り替えさせるのも酷な話しだから詮無いといえば詮無いんだけど、同じよーに持ち上げられた果てにギャップと直面して苦しみそのまま引退していく選手の未だ耐えない状況を、少しでも打破するために必要な何かをその失敗談から引き出して欲しかった。高校サッカーのヒーローがまんま成功するのに必要なのは監督なのかチームなのか個々人なのかそれらの総体なのか。最終的にはやっぱり本人ってことになるのかなあ。伊藤翔選手には間違わずにそのまま育っていって欲しいなあ。平山相太選手にははやく立ち直って欲しいなあ。青木孝太選手はオシム親子が視野に入れているから大丈夫、かな。


【12月8日】 不甲斐ない男子に代わって、女子のサッカー日本代表は長年勝てなかった中国を相手に夏のアジアカップに続いてアジア大会でも勝利しベスト4へと進出。続く韓国から勝利をもぎ取り決勝へと駒を進めれば、初となるアジア制覇も見えてくる。年齢から言えばフル代表で澤穂希選手とか酒井與惠選手の方が5歳以上は上だったりするから、姉貴分とも言えそうな女子のこの活躍を、見ていったい男子は何を思うんだろうって気になったけど、すでに現地からは引き上げ体制に入っているのかなあ、天皇杯もあるし帰りたい選手も多いんだろうなあ、でも出られるなんて思うなよ、特に平山相太選手。まだ無理だよトップじゃ。

 最終目的が1人乗りの「メーヴェ」を飛ばすことにある以上は、これも経過報告でしかないんだろーけど、そこに至るまでのプロセスってゆーかそれ以前の着想の根源と、そしてこれから乗り越えるべき壁って奴をひっくるめて、ひとつの“夢”って奴がそこにぼんやりとした形を持って現れている様を見るのは決して無意味じゃない。ってことでふと気が付いたらもう来週からの開幕に迫っていた八谷和彦さんの展覧会「OpenSky2.0」。その昔に(それほどで昔もない)中目黒のミヅマアートギャラリーでトークショーを聞いてから幾星霜、よーやくフェーズも進んで最終段階1歩手前まで来てここでひとつの節目として、成果をお披露目しつつ最終ステップへと進む足がかりを作るべく、1発展覧会を開いてアピールするってことになったんだろー。

 場所が初台にある超絶お洒落な空間の「NTTインターコミュニケーションセンター」なだけに、会場はもとより近隣の広場とか使って絶対に何かを飛ばすよーな実験はないんだろー。新宿公園にはそんな広場もなさそーだし、かといって超高層なNTT東日本のビルの屋上から落ちたら確実に逝くし。まあそーした実験は最終段階に期待するとして、会期中は対談とかいろいろ用意されてて面白そう。とりあえず3月3日なんてとっても良い日取りに開催の「タカノ綾×八谷和彦」は行くつもり。西島和彦さんの饒舌をもっても口を開かせられなかったタカノさんに八谷さんはどんな手練手管で言葉を喋らせるのか? ちょっと注目。

 下着姿だったり上半身裸だったりする女の子がわんさと出てきて、スクリーン狭しと飛び回る映画って噂を聞いて公開を楽しみにしつつも、なかなか行くチャンスのなかった「エコール」の最終日最終回にぎりぎり滑り込みで入って鑑賞。もう期待に胸いっぱいでいたんだけど見始めてそーした猥雑な期待とは対極を行く映画だって印象を強く抱く。なるほど生物学的に言えば女性の子供がわんさと出てきて、上半身裸で立ち上がったり泳いだり、バレエをしたり飛び回ったりするけれどその誰もが見事につるぺたで、同年代の男子と何ら代わらない体型で、且つ女性に特有の筋も見せないものだから映画を鑑賞している目には、それが女の子だってゆー実感がまるで湧いてこない。

 それでもそこに相対化の対象としての男子がいれば、女の子なんだって意識も出来るんだろーけれど、舞台となっているのはどこか森の中にあって壁に囲まれた秘密の学校で、棺桶に入れられ運ばれてきた6歳くらいの女の子が目ざめてそして1年づつ違う12歳までの6人の子供と同じ寮で過ごしながら、いつか外へと出ていく時を待ちつつも戯れ合うってゆーストーリーに一切の男子は出てこず、ただひたすらに女の子ばかりで集まり会話し戯れ合っている光景からは、それが女の子だってゆー見る側の意識のフィルターがどんどんと後ろに遠のいて、未成熟な人間たちが何の迷いも悩みも抱かず日々を過ごしているってだけの印象ばかりが強く浮かんで、官能への期待を冷やして消し去る。

 そしてそんな無垢な、とゆーより少年とか少女といった性差とは無関係な未分化の個体がやがて歳を経て初潮を迎え外へと出て行かざるを得なくなった後、たどりついた場所で男子を相手に媚態を見せ始める場面が迫って来るに連れて、そんな所へと連れて行ってはいけない、未分化な個体はそれだけで完全なのだから、敢えて分裂させる必要はないんだってゆー怒りにも似た思いに囚われる。男子を意識し始め体つきにも凹凸が出始めた年長者たちの見せる佇まいから、官能への誘いが漂い始めると、これぞ期待していたものだって具合に、気持ちはそんな官能へと傾きかける。けれども一方で、そんな世界へと人はどうして向かわなくてはいけないんだってゆー憤りも浮かんで来るから不思議とゆーか。願望が叶えられて嬉しいはずなのに嬉しくないってゆー、引き裂かれた気分を味わわされる映画って言えそう。

 分かりやすく解釈すれば無垢な少女もいずれ成長していくんだってゆーメッセージを、第二次性徴前の少女ばかりが集う空間を作り外部を作って発しようとしたんだってことになるんだろー。少女たちを導く教師として登場する2人の女性の、1人は足が不自由ながらもスラリとして知的で、もう1人は踊りを教えるべくレオタード姿となったヒップがとてつもなしに素晴らしい量感を持っていて、そんな知性と肉体をそれぞれに象徴する2人の女性の姿がスクリーンに踊るたびに、無垢な少女の未来を否応なしに突きつけられる。見れば女性だったら痛みと喜びの果てに達した今を痛感し、男性は比べてどちらがより官能的かを改めて理解する。そんな具合に人の成長って奴が持つ意味を考えさせられる映画ってゆー理解が普通だろー。

 でもそれ以上に思ったのは、未分化であるが故に惑わず迷わない子供の世界の純粋なまでの美しさだ。性への官能など超越した所に芽生える天衣無縫で天真爛漫で無垢でピュアな状態でいることのまぶしさだ。そう在り続けることが出来るんだったら在りたかったって気持ちに囚われ、いつか出ていく時を思い悩むビアンカのうずくまりすすり泣く姿に、激しい同意を抱くだろー。もっともそんなビアンカがいったん外に出さえすれば、教師たちの予言どおりにあっけらかんと森の日々を忘れ、なびいていってしまうところに世界の何ともいえない醜さを突きつけられ、けれどもそれが人間として生き伝えつながっていくための避けられない関門なんだと改めて思わされるのだ。悲しいなあ、人間って。

 ともあれ「シネマライズ」では公開は終了で、今週からは銀座のシネパトスへと映り公開なんで東京の人はゴー。それ以外はどっか地方での上映に期待するなり、早い時期でのDVD化に期待。家ならもっとじっくりと戯れる少女達を眺められる。出演している少女たちでは年長のビアンカが綺麗でスタイルも良くて、ふくらみかけの胸ともどもそっち方面への属性を抱く人間の感情を揺さぶりそーだけど、バレエ教師として登場のマリオン・コティヤールの実に形の良いヒップの前には、そんなロリータ趣味なんぞあっさりと粉砕されてしまうから注意が必要。いやあ、凄いよ、あれは。


【12月7日】 咳が止まらない中でも何とか読み終えシートを書き終え発送して一段落。さあこれで「Wii」で目一杯遊べるぞって思ったものの週明けに1本とあと諸々が重なり読みまくらなきゃいけない本が沢山あって「Wii」をテレビに繋いでいる暇がない。繋いだら繋いだで時間も奪われるだろーからここは、週末まで封印してひたすらに未読の消化に時間を当てるべく努力をする。

 とか言ってるはなから逃避して「プレイステーション3」のゴルフゲームをちょこちょこと進めていたり。宮里3兄弟装着とかって銘打たれているけど仁王様だか大仏様だか分からないキャラをいくらパワーがあるからって遣う気にはなれず、適当に作ったキャラをとっかえひっかえ着替えさせながら使い鍛えてよーやくハンディを24くらいまで持ってきた。と喜んでいたら考え事に気を取られ、ショットをミスしてオーバーを重ねてハンディが戻ってしまったり。精神の迷いが結構コントローラーの操作に出るから面白い。

 それでも一仕事が片づいたからなかのか、中級にコースをアップしたのがかえって良かったのか快調にラウンドを重ねてついにアンダーパーを達成。ドライバーでせいぜいが250ヤードの貧弱プレーヤーだけど刻んで寄せてパーセーブに務めつつロングホールでバーディを刻む堅実極まりないプレーが功を奏したみたい。これでロングドライブが可能な宮里藍選手(300ヤードは軽く飛ばす)を使えばもっと良いスコアが出たのかな。寄せとかも巧そうだし。体格に似合わず(CGのキャラが、って意味だよ)。

 とはいえホールはアメリカンで真っ直ぐで平淡で、中級だからバンカーとかブッシュとかあんまりなくってパーセーブしやすかったのも好スコアの一因。初級でら全英オープンが開かれるセントアンドリュースじゃ30オーバーとかやらかしている腕前じゃあ、まだまだアマ1級あたりから抜け出せそうもない。「みんなのゴルフ」が出るのは駅で拾った最新号の「R25」によると来年の夏あたりみたいなんで、それまではセガのゴルフでじくじくと腕前のアップに務めよー。それしかやらない「PS3」ってのも勿体ない話しだなあ。

 体調は整わない中をパルコまで出向いて8日から開幕する「オブジェクツ・サブジェクツ<イマジネイション オブ ウルトラ>」って展覧会のレセプションを見物。その前に「Bunkamuraミュージアム」へと寄ってエッシャーの展覧会で噂の「ニンテンドーDS Lite」を使った美術館案内システムの使用状況を横目で見る。自分で使うほど落ちぶれちゃあいねえ、って叫びたいけどでも昨今、こーやって美術館で展示物を見ながら何某かのガイドを使うのが、美術鑑賞のデファクトになっている感があるから悩ましい。

 そりゃ確かに便利だろう。これなあに? って疑問をその場で情報端末が教えてくれるんだから。ふーんそうなんだって納得しつつ見ているだけで、何だか自分がお利口になった気にさせられる。でもそれって与えられる情報じゃん。誰かが編集した情報じゃん。目の前にあるのは古今の歴史を染みこませ未来に何かを伝える情報のカタマリなのに、そのほんの一部の情報を、誰かのフィルターを通して受けているだけに過ぎない。自分がそれを見て、浴びせられる情報の中から自分に重なるものを選び出し、どう感じるかってゆー楽しみが得られない。

 妙な絵がある。ヘンな彫刻がある。その色彩やフォルムを見て目に刻んでそして帰って図録で思い出しつつ解説を読み必要ならば図書館へと出向いて関連書籍を読み込む。いろんな意見を重ね合わせてそして自分の思いを混ぜ合わせて、自分だけの結論を得るってゆー楽しみを、押しつけがましいあのガイドってシステムが邪魔しているよーに感じてしまうんだけどそれってただの子供の戯言? 権威が示す正論に従うのが正しい美術の鑑賞法? もちろんガイドにだって有用なものはあるから一概には否定しないしできないけれど、でも展覧会の会場でぞろぞろと耳からイヤホンを下げ手に「DS Lite」を持ってタッチペンで操作している人の波を見ると、これが革新的な美術鑑賞の方法なのかって不思議な気持ちにさせられる。脳に埋め込まれたのチップから検索された情報が常に思考へと送り込まれるSFにある未来って、あれでなかなかに鬱陶しいものなのかも。

 んで「オブジェクツ・サブジェクツ<イマジネイション オブ ウルトラ>」はエレベーターに乗るなり黒部進さんがいて腰を抜かす。黒地で赤いボタンのついたピーコートを颯爽と着込み靴はナイキのハイテクなバスケットシューズとゆー出で立ちはダンディの極み。ショート気味の白髪にオーバルな眼鏡で歩く佇まいはそのままミドルエイジのファッション雑誌にモデルとして出ても違和感がない。それともそーゆー仕事をしているんだろーか。場内ではほかに二瓶正也さんもおられてこちらは割腹が良いおじさま体型に。でも笑顔は昔と変わらず。イデ隊員って呼びかけたくなったよ。

 場内は割とゆったりめに撮られた空間に「科学特捜隊」のヘルメットとかアラシ隊員が手に持ってた「スパイダーショット」とかがショーケースに入れて飾られていて見れば懐かしさがこみ上げる。感じたのはそれらのデザインのシンプルさで、ウルトラ関係の美術っていうとどーしてもどこか未来チックな「ウルトラ警備隊」のヘルメットとか衣装とか武器とか乗り物に関心が向きがちだけど、改めて見ると「科学特捜隊」関連のデザインもどうしてシンプルさ故の美しさって奴があって引きつけられる。

 「ウルトラホーク」の先鋭的なフォルムに比べて野暮ったいと思えた「ジェットビートル」だって模型を見れば実になめらかで優雅でそして美しい。装飾過多とは対極を行くモダンデザインの極みっていうか。インダストリアルデザインの流れとかにあんまり詳しくはないけれど、時代背景とかと照らして「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の怪獣ではない大道具小道具関係のデザインの源流と考えてみたくなった。っていうか既に誰か検証した人っているのかな。探してみよう。あと「科学特捜隊」の制服も飾ってあったけど女性用が実にセクシー。後ろから見た時の腰からお尻へと流れる曲線は人間の体型がそのまま現れていてあれこれ想像を掻き立てられる。モードとして見ても時代を感じさせてくれそー。そんな解説ならその場で音声ガイドで聞いてみたいかな。

 会場で今はトレジャーワークスに部門として吸収された形になったアルフレックスの人が来ていて近況など。時代劇のフィギュアシリーズは滞ってはいるものの企画の煮詰めにあれこれかかっているそーで進展が期待できそー。例のシベリア超特急の山下閣下すなわち水野晴郎さんフィギュアもいそいそとは動いているけど間に「『新撰組!』土方歳三フィギュア山本耕史バージョン」なんてものを作っていたと聞いて、早速当該のページにアクセスして即注文していまう。一仕事終わって気が大きくなっているとこれだから。貯まらない訳だよ。

 いやあ良い。似ているかはともかくとして洋装の土方ってのが実に良い。椅子もついてりゃ刀もついてる小道具の凝りようもアルフレックス的だけど、人形本体が持つ佇まいが実に良い。コートをたなびかせて後ろ姿で経つ土方の何という凛々しさか。首ちょっと太いけどこれはフィギュアだから仕方がない。発送もそれほど間をおかず始まるみたいなんで買って前に買った栗塚旭さんの土方と、対決させて見たいけど箱から出すのは勿体ないんでやらない。しかしやっぱりいい仕事しているなあ。


【12月6日】 未だに「Wii」の箱は開けられず。よーやく大きな仕事の1つが片づきかけたんで明日の夜にはきっと開いてまずは試しにテニスとか、出来るんじゃないかとは思うんだけどでも疲れも出てきているからバタンと眠ってしまうかも。買った意味ないなあ。でも売らない。エンターブレインが発表したデータだと発売2日間で37万台くらい売れたそーで初回出荷の40万台はほぼ完売になったって感じ。あの独特のコンセプトを受け入れてしまう人が40万人近くもいたのはちょっと意外だ。

 ソフトの装着率も1・7弱ってところで、1本を割り転売用に本体だけ買ったか家用でもPS2対応ソフトを遊ぼうって人の多かった「プレイステーション3」に比べれば、遊ぼうって人が「Wii」だと多かった模様。それでも2本には達しないところが今時の、ゲームを遊ぶ人の慎重さを著しているってことなのか。「PS2」じゃないんだから1本だけじゃあすぐ飽きるじゃないの? でも2本は買わない。それとも転売用でソフトを買ってない人を覗けば2本くらい行っているのかな。

 それでも上位は「Wiiスポーツ」と「はじめてのWii」「ゼルダの伝説」「メイドインワリオ」と任天堂が席巻。5位によーやくテクモのゴルフゲームで健闘はしたけれど、任天堂ハードに対する任天堂ソフトの強さって奴を今回も見せつけられた恰好。これじゃあ他のソフト会社も気持ちが揺れるよなあ。とはいえインストールベースが「PS3」とはケタ違いだからなあ。どっちを積極化させれば良いのか。ソフト会社も経営判断が問われる時代になったなあ。

 物書きとしていはズブの新人って訳ではなさそーだけど小説として読むのはこれが最初っぽい本保智さんって人の「サバキの時間」(角川スニーカー文庫)は死者がよみがえって悪さをするのを閻魔様のお使いが退治して回るストーリー。ってだけなら斬新さにはやや欠けるけれど、そこに生まれながらにしてなぜか幽霊レベルのカルマとやらを背負った少女が現れ絡み始めて大騒ぎ。少女を幽霊仲間と認めて引っ張り込もうとする悪い幽霊がいて、そんな幽霊に使われる浮遊霊がいたりして、少女を挟んでサバキを行う少年のサバキと退治する。

 おおむねそんな展開で行く中に第1巻は少女が親しくしていた同級生の少女が悲しいシチュエーションで絡んで来て、人を巻き込んでしまうやるせなさに人を恨んでしまうカナ一茶に人を疑ってしまう悲しさが浮かび上がって心を痛める。それでも最後にはどうにかまとまり正しい者は正しい道を行くことが示唆され気持ちも晴れやかに。示唆される強敵との戦いが今後の展開の中で繰り広げられていっても、正しさを追求していく姿勢だけは持ち続けていって欲しいもの。期待しつつ刊行を待とう。

 映画がほとんど完成したのと、あと翌日にゲームソフトの第2弾が開かれるってんで行われた「龍が如く」の映画完成記念&ゲーム発売前夜祭を見学に。配給も東映と決まったよーでヤクザ映画の東映のこれは面目躍如とゆーか、それなりの体制でもって宣伝なんか組んでもらえればゲームしか知らない人でも興味を持つんじゃなかろーか。3月3日なんてお雛祭りの日に公開ってのも何かの象徴。ゲームは年連制限があるのに映画の方は指定無しってこになる可能性もあるそーで、子供だって女性だって楽しめる春の超娯楽大作としてアニメなんかと張り合ってくれればそれはそれで面白い。

 主体的にプレーするゲームと受動的に見て楽しむ映画は「水と油の関係」ってきっと、過去に携わったゲームの映画化なんかから体得したんだろー真理を東映の岡田裕介社長が話していたけれど、一方でそんな関係を「三池崇史監督だったらぶち壊してくれるんじゃないかと期待している」とも話してて、ゲームはゲームとして楽しんだけれどそれを別に映画でなぞる必要もないって感じにかシナリオを描き上げ撮り上げた映画はなるほど三池さんならではの映画になっている模様。そもそもがゲームの龍と映画の北村一輝さんの龍じゃあ初っ端からイメージが違い過ぎるから、そこで感情を移すことなんて不可能。どこかナイーブさを秘めた北村さんが可愛い女の子を連れて歌舞伎町、ではなく神室町を走り回る姿は女性の心をくすぐり子供の憧れも掻き立て劇場へと足を運ばせる、ってことになればそれなりのヒットも期待出来るんだけど、さて。とりあえずライバルは「ほえほえチンギス・ハン」かな。

 ああなんだ負けてやんの日本代表。パスを中盤で回せてもミスして渡しちゃ意味がない。フリーキックで2本やられたっていうけれどゴール間際まで攻め込まれてファウルを冒してのことで、そこまでいれてしまうところに中盤での守備の薄さがあったんだろー。チェックに行くってよりかすめ取ろうって感じ? 対して北朝鮮は囲んでガツガツ行って奪い取ろうって気迫を見せてた。攻撃もサイド攻撃一本槍じゃあ単調にならざるを得ないんだけど、中央からトップにいれて後ろから走り込む楔のパスとかあんまりなかった気が。平山相太選手の高さばっかり使おうとして攻撃を単調にしてしまうのは山本昌邦監督の時と同じ? やっぱり罪だよなああの高さ。アテネの時は大久保嘉人選手とかいたから良いけど、今回は平山相太に依頼し過ぎな感じ。今野や阿部ちゃんみたく守備もできる中盤とか少なそうだし、このままじゃあ北京の危ういか。


【12月5日】 出せば遊び始めて時間ばかりが潰れていくことが分かっているので「Wii」は箱に詰めたまんまでしばしの棚上げ。両脇に本が山と迫って両手を広げることさえ不可能な我が部屋で、あのコントローラーを操作してテニスとか出来るんだろうかって疑問に答えて似た境遇にある方々でも、「Wii」を楽しめるんだってことを早く教えてあげたい気持ちはやまやまだけど、もしも動かなかった時のこっちのダメージもデカいんでいろいろと仕事の重なる今はそっちを優先すると偽って、塩漬け状態に置いておこー。

 知らんどるうちに(名古屋弁で「知らない間に」の意)アジア大会のサッカーで女子代表がベスト4へと進出。まあ優勝したって来年の北京でのワールドカップに出られる訳じゃなくって来年に確か開かれるメキシコとのプレーオフ(アステカスタジアム10万人アウェーの再来なるか?)に勝つかFIFAあたりが年齢詐称なりを理由に北朝鮮の資格を剥奪するかしないとワールドカップには行けない訳で、ここで頑張るくらいならどーして夏のアジアカップで頑張らなかったんだよ大橋浩二監督って憤りも浮かぶけど仕方がない。ともあれここでの復調をバネに一気呵成にプレーオフまで畳みかけて欲しいもの。

 希望があるとすれば“ボンバー”荒川恵理子選手の復活とそれから怪我の治療で辞退した大谷未央選手の想いも背負ってTASAKIペルーレから参加した阪口夢穂選手の大爆発。最初の試合じゃ5点とか奪って一躍脚光を浴びたけど、続くタイを相手にした試合でも先取点を挙げる活躍を見せて堂々の勝利。続く試合はアジア王者の中国で、ここを相手に通用するところを見せられればプレーオフにもそして更に続く北京五輪への出場にも大きな期待が湧いてくる。

 タイ戦では荒川選手もゴールを決めたみたいで善哉。この決定力を戦術に合わないからか夏のアジアカップで起用しなかったのはやっぱり拙かったのかなあ。でもその頃って日テレ・ベレーザの試合でも確かあんまり出てなかったから仕方がないか。澤穂希選手に酒井與惠選手といったベテラン勢も好調な様子。そんなお姉ちゃんたちの活躍を海の向こうに観て妹たちに当たる日テレ・メニーナの全日本女子サッカー選手権大会の試合が確か日曜日にあるんだけど「ひたちなか」で午前11時はキツいよなあ。でも観たいよなあ。若い。女子の。躍動する。姿を。

 つか何だ、全日本女子サッカー選手権大会、今年は西が丘での試合はなしか。そもそも日テレ・ベレーザの最初の試合が真冬の福島Jビレッジって何の罰ゲームだ。1日置きは泊まって練習してそのまま試合でチームには都合が良いけれど、観戦にはとてもじゃないけど行けないよなあ。それとも出場するTEPCOマリーゼの動員力に期待しているのか。けどチームが最後までまとまらず2部落ちしたチームにそこまで入れ込む社員の皆さんがまだいるのか。個人的には監督不在の中を代理として選手も兼務しつつ指揮を執る大部由美さんを応援しに行ってあげたいけれど、でもさすがにやっぱり福島遠すぎ。

 「楽園通信社奇談」に続いて「ビブリオテーク・リヴ」も復刊となってコスミック出版に感謝感激拝復三跪九叩頭な人もいっぱいいっぱい出そうな佐藤明機ファンには明るい2006年。連載時にはまるで気づかなかった身でも、読めば無限に広がる図書館の不思議な描写とそこを管理する年齢不詳な幼女(?)と、彼女にお仕えするアンドロイドだかな女の子が繰り広げるファンタジックでSFチックなドタバタに、絡むメカやら宇宙人やら猫やらの物語が、昨今流行りのものほど萌えても媚びてもないけどしっかり可愛い絵柄で描かれていていっぺんで好きになる。同時代で読んでた人はきっと毎回楽しみにしてたんだろーなー。

 何でも希望としては復刊にあたって描き下ろして完結させる予定もあったんだけど都合でかなわず。残念ではあるけれども復刊されたということをとりあえずは喜ぶべき、なんだろー。新装版からの読者はとりあえずこれで充分。とはいえたぶん最近の技量で描かれた表紙絵のキャラクターの佇まいを観ると、この絵でもって描かれた話を読んでみたかったかもって気にさせられる。やっぱり残念。それにしてもいろいろ探しては復刊に取り組むコスミック出版に感謝。値段も1000円とお手頃で、復刊リクエストとか頼み込むとかしまくった果てに懐かしの名作が少部数が高額で復刊されるよりも、編集者の知識体力熱意でもって埋もれていたり流されていた作品がひょろりと普通に復刊されてくれる方が、新たな出会いもあって刺激もあった本読みとしては嬉しいかも。次はどんなのを見つけて来るか。期待大。


【12月4日】 風邪でもにゃもにゃとしているうちにアジア大会のサッカー「U21日本代表対U21シリア代表」の試合は放映が終わっていたみたいで日本がとりあえずの勝利をゲット。点差だけだと後に始まる五輪出場を決める試合の行く末がちょっと気になる結果だけど、水野晃樹選手が出ていない試合で代わって本田圭祐選手が鬼クロスを放り込んではセンターに構えるデカいのにピンポイントで合わせさせる訓練に励んでいるよーで、試合を通じての叱咤が眠り続けまくる平山相太選手のプロフェッショナル魂を燃え上がらせては、来年の本番にちゃんとした結果を出すくらいにまでコンディションを、上げてくれると信じよう。でもそーなると開幕するJリーグでFC東京が脅威になるか。いやいや本田も水野もいないチームで鬼クロスは上がらないから安心と。石川直宏選手のクロス関係の成長が鍵、かな。

 一方で日本に残っているジェフユナイテッド市原・千葉の選手たちには何とも言えない「罰ゲーム」が。天皇杯でせっかく割り当ててもらった「フクダ電子アリーナ」での5回戦を4回戦でコンサドーレ札幌に敗れることで失ったジェフ千葉の選手たちに、当日は自腹を切ってスタジアムに行き試合を見ろととのアマル・オシム監督による指令が下った模様。札幌からの遠征サポーターにやはりはるばる新潟からのアルビレックス新潟サポーターではゴール裏は当然のこと、メーンもバックもスタンドはちょっと埋まりそーもない。

 そんな中でおよそ30人はいるジェフ千葉の選手が固まって見てたらもう目立つ目立つ。何しろデカいし細いから、サッカー選手って。もしかしたらそんなスタンドの選手を目当てに観客がちょっとは増えるかもしれないけれど、目の前で試合が行われている最中にファンサービスなんてマナー的に出来ないから試合中は座りっぱなしの観っぱなし。冬に入って冷え込むスタンドでどんな表情で試合を見るのか。興味があるから当日はフクアリに行こうかな。席はフクアリの売上に貢献するべくSSあたりを買うのかな。でもってなか卯で牛丼を買いサマラナでカレーを買って試合前にスタンドでムギュムギュとやっているのかな。

 課題図書で回ってきていた日本ファンタジーノベル大賞の受賞作で仁木英之さんって人が書いた「僕僕先生」(新潮社)を読む。なになに仙道に凝りだした父親の言いつけでフリーターな息子がご近所の山にいる仙人の住処へと言ったらそこにいたのは白髭の老人じゃなくって10代半ばの美少女の姿をした仙人だったって? はっきりいえばありがちで、ライトノベルだったらその設定だけで十把一絡げにされてよっぽどストーリーに起伏があったりキャラクターが強烈だったり、放たれるメッセージが強力じゃなけりゃ残されない可能性が大。んでもって「僕僕先生」も展開だけならその先生に連れられ各地を回ってそこで政治や仙人たちと交流しながら世間とか、仙道の世界を垣間見たりしていくのんびりとしたストーリーで、圧巻のビジョンを見せられるて程じゃない。電撃大賞に残るかっていゆーと……微妙、かな。

 それが一般文芸の世界だとコンテストに残って堂々の大賞となってしまうってゆーのはつまり、それだけエンターテインメントとしてライトノベルが先鋭化しているってことになるんだろーけれど、先鋭化の果てにキャラやら設定やらに偏り過ぎて何を語りそれがどう受け止められるかってところにまで、配慮をしていく難しさも同時に生まれて来たりしていて、そんなところを一般文芸がフォローしてくれているってことなのかも。裏返せばライトノベル的な着想の切磋琢磨に鍛えられた人材が、そちらでは出し惜しみをしていたメッセージ性なりを打ち出せば一般文芸の世界で選考とかにあたっている方々を引っかけられるってことで次の展開なんかを考えている人は、名を変えパワーを抑えて挑んでみると面白いかも。

 午前中に立ち寄った秋葉原の「ヨドバシカメラ」には影も見えずついでに立ち寄った「アソビットシティ」も同様の惨状にこりゃあ週内の購入は無理だと諦めたもののものはついでと東商ビルで宇宙戦艦ヤマトの巨大プラモを見物した後で有楽町の「ビックカメラ」に寄ったらつい今し方まで販売していたってことを聞き愕然。そうかここには入荷するのかと辺りをつけ、朝に入るなら夕にもと考え夜中にニッポン放送でラジオ出演する用事があったのを幸いに、「ビックカメラ」の店内で原稿を読みながら待つこと暫く。午後8時半を回った辺りで店内放送が入り「ただいま入荷しました」との言葉に小走りで売り場へと駆けつけ行列に並びそして遂に「Wii」の本体を手に入れる。やっほう。

 それが定期便なのか単なる偶然なのかは分からないけれど、他ではあまり見かけない「ニンテンドーDS Lite」の緊急入荷をここん家では割に見かけることもあったりするんで、こと任天堂に関しては割に結構入荷があったりするのかも。とりあえずソフトはスポーツにゼルダにコントローラを1台買うならこっちがお得と「はじめてのWii」を混ぜてプラス飛行機の操縦が面白そうとハドソンの何とかってタイトルを購入。したのは良いけれど家で果たしてあのコントローラーを振ったりできるのかってのが目下の悩みで、その辺りを是非に試してみたいんだけど今の状況ではまず置き場所の創造から始めなければ箱から出すことすら出来やしない。用事も山積みなだけに楽しむのは週末か。速く冬休みに入らないかなあ。いっそ永久冬休みにしてしまおうか。


【12月3日】 熱は引いたが咳がとまらず体調はもやもや。それでも溜まる仕事をこなさなくちゃと家を出て電車に乗ってひたすら原稿読みを進めつつ秋葉原へと向かい、まずは「ヨドバシカメラ」を覗いたけれど「Wii」は出ておらず「プレイステーション3」も見かけず「ニンテンドーDS Lite」もなく、師走のボーナスシーズンを迎えてお前ら商売する気あんのかって殺気がフロアに溢れて喉に悪い。もちろん販売店が悪い訳じゃなくって年間でもっとも稼ぎ時に必要とされる分を供給できないメーカーに責任の大半があるんだろうけど、一方には買っても遊ばず横へと流して利ざやを稼ごうとする人たちの横行も、品不足に影響を与えているから悩ましい。そんなんも見越して供給するのがメーカーの務め? かもなあ。

 「アソビットシティ」では未だに予約分のみの販売。2日に取りにこれなきゃあとは放出するくらいの意気込みが欲しかった。来ないのはきっと他で手に入れたからもういらねえよって人じゃないのか。ソフトは割に余っててゼルダもたまごっちもゴルフも残ってた。スポーツはあったかな。その辺が「DS」のメモリーカードとは違う点か。ソフトだけ買っておくかとも思ったけれど本体をいつ買うか本当に買うかも分からないんでパス。

 せっかくだからと山手線を大回りして新宿へと出て西口の「ヨドバシカメラ」ものぞいたらやっぱり未だに行列が。「Wii完売」って書いてあったけどあれは何の行列だったんだろう? 余ってるってイメージも良くはないけど、行列しなきゃ買えないマシンってイメージが付き過ぎるのも、メーカーにとっちゃあんまり良いことじゃないんだけどなあ。だったらいらない、って気分の醸成がやがてゲーム離れへとつながりかねない気もしないでもない。とはいえいつ行っても売ってない「DS Lite」が未だに売れ続けているからやっぱり要はソフト次第か。そこまでのめり込ませるソフトが「Wii」にはあるのか。その辺が勝負の分かれ目か。

 お台場へと回って「デザインフェスタ」を見物。もう5年以上は通っているけど年々活気に溢れて来ていて規模もデカくなっててまるでアートなコミケの様。来場者も増えてるよーで「国際展示場」の駅を降りて「東京ビッグサイト」へと向かう人の数にもそれが現れていた。某「GEISAI」じゃあこんな感じに人並みが「ビッグサイト」へと向かわない。場内も一般客より出展者の方が多いよーに見えるし。まああっちは主宰に認められることが一義で来場者へのアピールはその次って空気もあったからそれはそれで機能していたってことになるんだろうけれど。でも認められたからってどうなるものでもないってことも、見えて来ていたからここで一休みってのも止む無しか。

 さて「デザインフェスタ」は通路をかき分けて歩かなきゃいけないくらいの盛況ぶり。来場者に見てもらいたい買ってもらいあいって意識を持っての出展と、そこにいけば何か面白いもの楽しいものがあるかもしれないって来場者の好奇心を抱いての到来が、うまく噛み合って極上のお祭り気分を醸し出しているって言うのか。あっちでファッションを見せこっちでアートを見せそっちでロックを演りパフォーマンスもそこかしこってゆー、ごった煮な雰囲気も1日をそこに滞留させたくさせる。フード関係も充実しまくってるし。

 うろうろとしてたら「東京コンテンツマーケット」で「TCMアワード」の動画部門賞を獲得したTAKORASUさんが出展していて大人気。それも「デザインフェスタ」に集うファッショナブルにスレンダーな女性たちから大人気ってゆーのがちょっと羨ましい。ひっきりなしにブースにやって来てはポストカードを漁りしゃがんでモニターを見入り何枚かカードを購入して行くその様子は、コミケの壁際ほどではないけどそれなりな賑わい。2日目でこれなら売上もいい感じになったんじゃなかろーか。

 「TCM」での受賞が世間にどこまで伝わっているかは分からないし、記事が掲載された「まんたんブロード」の読者層とも違っているよーに見えたから、これは従来からのファンってことになるのかな。それでこの人気なら、存在に関する情報がさらに広がっていけばもっともっとマーケットを拡大できるのかも。ほかにあれやこれやと見た中ではアナハリ外伝って人のポストカードがなかなかの可愛らしさ。こっちはどちらかといえば同人誌即売会系イベントとの親和性も高そうなイラストで、まんま文庫の表紙とかに起用する所とかあっても不思議はなさそー。既にそーいった方面で活躍している人なのかな。

 Tシャツ方面をあれこれ探して「ちくわぶ」はあんまり新作がなかったんで今回は「UNIT OF LAND」ってところで「ぽちょむきん」がどうなったのかチェックし忘れてた北道正幸さんとのコラボレーションTシャツから「ねこだいすき」って奴を仕入れて帰る。通りがかってパッと見て、いかにも北道さんらしい顔立ちの女の子が描かれていて、おまけに題材が猫でもしかしたらと近寄って見たら北道さんとのコラボTだったという次第。つかこんなに沢山コラボしてたんだ。漫画の方は「ぷーねこ」は続いているよーだけど爆裂するストーリーがある奴もそろそろ読みたいんだけど、やっぱり無理か、何描いても途中で不条理へと引っ張り込んで泥沼にしてしまう北道さんだから。1枚でワールドを作るTシャツはまさにメディアとしてうってつけなのかも。


【12月2日】 前日の午後あたりから湧き始めていた悪寒に止まらない咳が夜中にかけて本格化して来て、いよいよ風邪も本番となった感じにこれで早朝から出かけて行列すると後々尾を引きそうだと「Wii」争奪戦への参加は断念。まあ年内の出荷台数から見れば月内のいずれかのタイミングで手には入れられそーだけど、買っても遊ぶ暇なんてないし買ってまで遊びたいゲームも無いんで(ゼルダ属性は持ち合わせていない)結局、買わずにそのままって可能性が現時点では半分を上回ってそー。とか言いつつ明日とかに秋葉原で見つけちゃたら速攻、買いそうな気も実はちょっぴりしてるけど。「プレイステーション2」がそーだったし。

 家では電気毛布に毛布を重ねて暖をとってはいたから寒さ対策は万全と思い込んでいただけに風邪の到来はやや意外。古いマッキントッシュを掘り出した際に拭き上がったほこりにヤられたのか。だから咳とか鼻水とか気管支系にキてるのか。不明ながらも寒さだけはもーちょっと対処しておく必要があると近所のデパートで、西川産業のアクリル製毛布って奴を買ってきては前からある毛布と重ねて間に電気毛布をいれてサンドイッチにした奴を、被って寝たらこれがなかなかに暖かい。そりゃ羽毛布団とかあったら最高だけど夏場に冷房の効かない部屋で羽毛布団は汗まみれになってペチャンコになってしまうんで、勿体ないからここは重ね着の要領で自在に出し入れできるよーにする。つかやっぱり引っ越すべきか、せめてベッドルームくらいは別に作れるくらいの場所に。

 汗を噴き出させて37度5分くらいあった熱を引き下げ何とか思考も真っ当なレベルにまで戻すことが出来たんで、支度をして「フクダ電子アリーナ」へと向かう途中で下車して千葉駅前にある「ヨドバシカメラ」に寄ったらやっぱり「Wii」は完売だった。昼前で並んでいる人がいたからきっと整理券でも配ったのか、それとも予約者限定で販売したのか。早朝に混乱は起こらないけど、五月雨式に連なる人たちでかえってレジがいつまでもいっぱいになってて、他のを買おうって人にはちょっと鬱陶しかったかも。それは秋葉原の「ヨドバシ」でも同様で夕方の5時くらいで6階のゲーム売り場のレジが半が「Wii」専用になってて、他のを買おうって人が待ちぼうけを喰らわされていた。朝の混雑を見せずにイメージの改善を狙ったんだろーけどユーザーサービス的にはちょっとな感じ。難しいなあ商売って。

 鉄板で焼き上がって来るハンバーグの@宇レートをあちらこちらで試しているシリーズの一環として線路際にあった「ふらんす亭」でランチのマヨネーズハンバーグとレモンステーキのセットを注文。肉は薄切りで焼きすぎたら焼肉みたいになってしまったんで次はひっくり返さずに食べよう。ハンバーグは「ペッパーランチ」ん所よりは大きくで肉も粗挽きって感じ? その上にマヨネーズをベースにしたソースがかけられていて甘酢っぱい感じが肉のジューシーな感じと混じり合ってなかかなの風味を醸し出す。悪くない。先々週もやっぱち千葉でこちらは線路の下の商店街にある何とかって店で、やっぱり鉄板でハンバーグを焼いて出す店に入ったけれど、そこよりは特徴があってボリューム感もあったんでまた「フクアリ」に行く用事があったら寄って食べよう、って何時になるんだ「フクアリ」での試合再開は。

 そんな感じに年内は確実に打ち止めとなるだろー「フクアリ」行きの最後くらいは快勝で飾って戴きたいと臨んだ「ジェフユナイテッド市原・千葉対横浜F・マリノス」の一戦は、1万7000人を超える満席の中で行われたんだけど開始早々にまずはマリノスがゴール前でのサンキュー坂田大輔選手の反転シュートが決まって1点を背負う展開に。そこから幾度となく攻め込んではゴール前でいい形を作るんだけど、全体に遅れ気味の攻めからになってしまってゴール前を分厚く固めたディフェンス陣の壁を抜け出せず、クロスをいれれば跳ね返されてシュートを売っても弾かれる。

 そんな中でも幾度かの決定的な場面は作るんだけど、トラップがちょい前に出過ぎたり後1本の足が伸びずにゴールにはつながらない。こーゆー場面をこの何試合かずっと見てきて決定力って奴の大切さを強く激しく痛感させられる。夏までの巻誠一郎選手だったらあそこで全身を投げ出していたか必死に足を伸ばしていたんだけどなあ。冬だとやっぱり体も縮むかそれとも別の何かが縮んでしまったか。一方の青木孝太選手はルーキーにして最終節ながらも先発してフル出場。柔らかいタッチでポスト役もこなせば切り込みシュートへと向かう強さも見せてくれて今後が期待できそう。

 つか期待しないと来年はマジで降格争いに絡んでしまいそーだよジェフ千葉。マリオ・ハース選手の抜けてしまう穴を埋められる選手になるか。スピードのあるスーパーサブ的なフォワードも1人は欲しいよなあ。そして何よりディフェンスか。最終節ってことでベンチメンバーに入った田中淳也選手なんか188センチの長身で、セットプレーん時なんか威力を発揮しそーな気もするだけに、来期こそはストヤノフ選手欠場の穴をディフェンダーとして埋めるくらいになって欲しいもの。レギュラーに定着してくれればな良し。買った福袋に入ってた背番号14のじゅんじゅんのサイン色紙にも価値が出るってもんだから。


【12月1日】 「集英社スーパーダッシュ文庫」の授賞式とかに潜り込んで氷詰めにされた「コバルト30周年」のプレートとか記念のケーキとかを見物しつつ時間を過ごしてお開きも近くなった頃、退出されてく審査員の中にいた古川日出男さんから読書感想文のページを読んでますよと言われて何かイケナイことでも書いてなかったかと「13」(幻冬舎)についての感想ページを見返そうとしたらノットファウンド。どしたものかとFTPのソフトを開けてみたら数字を名前にしていたファイルが幾つか消えててその中に「13」も入ってた。

 理由は不明。あっちのサーバー側に何か不都合でもあったのかもしれないけれど、ともかく自分から消した訳じゃなく、そもそも何を書いていたのかを自分でも思い出せず、こりゃ復活させておかないとって1年半くらい前まで使ってたパソコンを開いてもやっぱりFTPには乗ってない。それより古いマシンとなるともう何年も可動させてなかったマッキントッシュの「LC575」の中に入ってて、引っ張り出そうにもまずはマシンから掘り出さなきゃいけないと手前の荷物をどかしてキーボードを打てる状況までにして、起動させたらスタートアップスクリーンが「パーフェクトブルー」の3人娘のイラストだったのに吃驚、一体何時から使ってなかたんだ?

 ともあれいろいろとプラグインを読み込んだ果てに現れたページから、当該ファイルを引っ張り出そうと右手を見たらマウスがない。なにしろ使い勝手が信条のマックだけあってマウスが万能になっている分、キーボードからの操作はなかなかに難解で、ってより覚えてなくってこいつはマウスを買って来なきゃと思ったもののUSBでもないADBポートのマウスが今時売っているのかと、ネットでチェックしたものの分からない。秋葉原に行けばジャンク屋辺りに転がってるだろうと考え翌朝に秋葉原へと赴きジャンク屋街へと行く前に、とりあえず「ヨドバシカメラ」に寄ったら1発で見つかったよサンワサプライのADBポートのコンフォートマウスが。量販店ってとかく人気商品の集中しがちなんだけど、こと秋葉原に店を構える以上はどんなお客さんの要望にだって応えられる体制を、整えておかなきゃってスタンスで臨んでいるんだろー。あのデカさは見かけ倒しじゃなかった。

 問題はネットにもたぶん繋がらない「LC575」からどーやってデータを取り出すかで、FDしか外部記録装置しかないマシンのDOSフォーマットのFDを突っ込みデータを移してIBMのパソコンで開けば開けるのかと、別口でFDDとディスクも仕入れて帰宅して実験。マウスの方はちゃんと認識して使えたし、当該ファイルも見つかったけれど、メモリーが足りないのかCPUが弱っているのか動きが鈍くFDをなかなか認識しないまま時間ばかりが過ぎていく。こりゃ何時間かかるか分からないとひとまずデータの移管を諦め、その場で画面を見ながら使っているパソコンに書き写し、相変わらずの誤字も直して体裁を整えてアップ。とりあえず何か含むところがあって消したんじゃないって体面だけは整えられた。中身についてはまあこんなところか。

 そんなことをしているうちに「LC575」も落ち着いてきたのかFDを認識するよーになったんで、エディターで書いてあったファイルを何枚かDOS/VフォーマットのFDに移してIBMで開いてみたら簡単に開けてそのまま移そうと思えば移せる状態になっていた。何やってたんだ。とはいえあんまり巧くはいってないのか何枚かのファイルは他のファイルと混戦状態になっていて判読できず。それがFDに問題があるのかマック側の書き込み装置に問題があるのかは不明なんだけどネット上でも手元でも、すべてをひっくるめて残っているのが「LC575」ん中だけなんで仕方がない、時間をかけてサルベージするかモニターを読みながら書き写すかして頑張って復活させよー。ついでに昔ダウンロードしまくったイケナイ画像も何とかしてFDか経由で移管しよー。

 その古川さん。「僕たちは歩かない」(角川書店)ってタイトルの新刊を出してて寓話か説話か童話かって雰囲気のお洒落な装丁の中に何やら宮沢賢治風(といっても読まずに表面をざっと眺め見ただけの印象から)の物語が綴られていて面白そう。奇想が炸裂してビートがほとばしる長編も圧巻だけど「gift」みたいな小品もアイディアと語り口が素晴らしい古川さんだけあって、「僕たちは歩かない」も読めばいろいろと浮かんで来るビジョンなり、受け止めたくなるメッセージがあるんだろー。週末に読もう。森見登美彦さんが古川さんに対抗するかのよーに「夜は短し歩けよ乙女」(角川書店)って本も出してて迷うけど。歩くべきか、それとも歩かずにいるべきか。


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