縮刷版2004年6月下旬号


  【6月30日】 菊島社長のいきなりの白に背伸びした栄子ちゃんの張り出した双房で今月も楽しませてくれると思った「ヤングキングアワーズ」2004年8月号に掲載の「ジオブリーダーズ」だったけど程なくしてM4号の襲来にメリケンサックを取り落とした栄子のマジに怯えた表情に続いて本編が始まってもしかしたら室長と話して以来かもしれない超絶マジな菊島社長の表情に事態が相当切迫しているって雰囲気を強く感じる。別の場所では高見ちゃんがまやを守って化け猫と戦っていたりする訳でこのまま一気に神楽崩壊なんて事になってしまったりするのかも。でもって田波くんだけは成島と病院で永遠にいちゃいちゃしやがってると。どこへ向かっているのかな。来月もまた目が離せません。

 んで「ヘルシング」。セラス婦警がもはやセラス的な逡巡葛藤臆病から抜け出して圧倒的なパワーでもってゾーリンを蹂躙して続く決戦へと自ら臨むまでに急成長。羽根まで生やして空をジグザグと飛んでいく姿はまるで吸血鬼で(吸血鬼じゃん)、これならアーカードの帰還を待たずに敵「最後の大隊」のおおむねだいたいの所を蹴散らし露払いを務めてくれそー。けど魔弾の射手もゾーリンもただの下っ端、どこにだって現れるシュレディンガーすら序の口に強い敵がまだ山ほど残っているからセラスも結構大変かも。何よりそんな怖ろしい輩を使い操る少佐が残っているからなー。死すら恐れずむしろ願って突き進むこいつって一体何者なんだ、過去にアーカードと何があったんだ。これまた目が離せません。来月で終わらないのは見えているけど。目次の近況「エヴァンゲリオンブームきたる。」が不明。今エヴァ? アスカ萌え?

 「ザ・スニーカー」2004年8月号到着。「トリニティ・ブラッド」アニメ化っすか。でもって制作はGONZOっすか。「ブレイブ・ストーリー」の映画化とか山ほど仕事をこなしている感があるけれど、ここに「トリブラ」なんて描くのも話を組み立てるのも面倒極まりない作品をもって来て、最近はなかったGONZO現象(作品が途中でいろいろになる。いろいろはいろいろ)が起こらないかと今から期待と心配が頭のなかに交錯する。まあ本当に最近はオチるとかクズれるとか聞かないから(見てないだけかもしれないけれど)大丈夫と信じて待とう。声は誰になるのかなあ。小野坂昌也さんかなあ、ってそれだとヴァッシュじゃん。まあそれでも良いけど。むしろ今はアニメより作者の方が心配か。集中治療室入り。いったい何があったんだ。「ブシロード」の方は大丈夫か。続報を待とう。

 六本木の紫の薔薇。って書きたかったけど向こうが「青」と言い張るんだからとりあえず「青」だと信じて書くのが大人の対応って奴で。サントリーが”不可能”の代名詞にもなっているらしー「青いバラ」をついに開発したって発表があったけど、ケースに入れられたバラは遠目に見ても近くによっても紫色にしか見えず写真を何人かに見せてもやっぱり紫って答えしか返って来ない。にも関わらず企業が「青」だと言い張るのは、何もその方が商売になるからってだけじゃなく、青色色素がほぼ100%、入っているって根拠があってなるほど化学的には「青いバラ」って言って言えるんだってことだけは無理でも納得させられる。とか言っているうちに開発社がバイオレットとかって紫系のカラーを口にして、決して心底からの青だと納得している訳じゃないことも伝わってきて心ゆらゆら。とりあえずは「青」と言い張り記事は出して置いたけど、明日以降に果たしてどんな反応が紙面なりメディアをにぎわすのか、それを見て読者はそのメディアの”誠実さ”を図ってみるのが面白いかも。フォトショップで加工して真っ青にして載せてくる所もあったりするのかな。

 ほとんと全てのスポーツ新聞が1面トップで「ライブドア、近鉄球団を買収」って記事を掲載していて名前を売り出すって意図がもしもあったのだとしたら、ライブドアの堀江貴文さんその目的だけは達成出来たって言えそー。約1紙、奥菜恵さんとの関係があるやのごとく(本当は藤田晋さんとの関わりがあるってことなんだけど)書いてメディアの瓦版屋らしい意地を見せてくれたけど、それを別にすれはやっぱりプロ野球ってスポーツメディアの世界において、とてつもないプライオリティーにバリューがあるんだってことを1日の動きで強く思い知らされる。何十億円とか使って名前を売ったものの経営が行き詰まったライブドアをさくりと買収するだけに留まらず、ネームバリューを求めて社名をライブドアにしてしまった程、ブランドマーケティングに強い関心を持っている人だけに近鉄買収ってニュースがもたらす効果も頭のどこかに入っていたんだろー。

 喧嘩しても買収してもともに転がり込むだろー”正義の味方”の看板。こーなるんだったらウチが乗り出しておけばって地団駄踏んでるIT企業の社長とかいそー。でもまあ、次にヤクルトだって日本ハムだってあるんだから諦めない、悲しまない。でも買うなら球団よりステイタスはあってやり方によっては儲けだって出せる某経済系専門新聞社の方が将来において使い勝手があるよーな気も。ああでも届く範囲が限定されているか。ともあれ1つ、ヤマを踏んだ堀江社長が次にどんな奇手を打ってはメディアを驚かせてくれるのかに注目。日本がダメなら野球がダメならサッカーだプレミアだってリヴァプールを買いに行ったら凄いかも。買えるでしょ。600億円も資産があるなら。ヴィッセル神戸よりは遙かに名前だって世間に売れると思うけど。アブラモビッチよりミキタニノフよりホリエスキー。日本なんて狭い範囲でおじさんメディアを驚かせているより、世界を震撼させた方が気持ち良いぞー。


【6月29日】 そりゃ冗談で「ヴィッセル神戸を楽天が買ったんだから近鉄バファローズはライブドアが買うんじゃない?」なんて話していたことはあったけど、まさか本気で乗り出して来るとは堀江貴史さん、よほどにお金の使い路にあれやこれやと模索していたに違いない。オン・ザ・エッヂから名前を変えるきっかけになったライブドアの買収なんてのはまだ序の口だった訳で、その後に買収したえっとどことどこだったっけ、とにかく名だたるIT関連企業を傘下に入れてIT業界では先に買収王の名を、孫正義さんよりは後だけどともかく上げた楽天の三木谷浩史さんに続いて轟かせよーとしていたとは恐れ入ったよ驚いた。

 ただなあ、出来てせいぜいが10年のプロサッカーチームを買うのと半世紀もの伝統を持ち利権に既得権益の複雑怪奇に絡み合ったプロ野球の球団を買うのとでは、意味も違えば難易度もおそらくは大きく違う。まず買うまでがきっと大変で、水面下でいろいろと話し合いも進めていて、しこりについても解消策が出来ていただろーオリックスとの合併話を、横からそれも新参物がかっさらえるほど甘くて単純な世界ではなさそーな気がするし、仮に買えたとしても5億円とかもらってる選手がいたりする球団、経営自体は赤字続きの球団を株式公開企業が買って、それもITって決して安定しているとはいえない企業が買って果たしてどこまで維持し続けられるのかも心配。

 本体が赤字になれば株主から突き上げを喰らうのは必死で、だからといって解りました売りますなんてことを簡単に出来るものではない。選手にもファンにもプロ野球界に対しても、守らなくてはならない一線ってのがあってそれを維持し続けるだけの財力気力胆力が、ライブドアに備わっているのかがよく見えない。ここで球団を存続して欲しいってファンの希望とかを無視して、近鉄が頑なにオリックスとの合併に邁進すれば、世間から近鉄が受ける印象は決してよくはないだろーけれど、だからといって相手がライブドアで、世間が納得するかどーかも微妙。まあ今の経営状態なら大丈夫なよーな気もするけれど、そーしたホワイトナイトの出現を快く想わない旧勢力が、ライブドアの進行ぶりを非難し揶揄し誹謗して来る可能性もないとは言えないからなー。そーなった時に痛くもない腹をさぐられとばっちりを受け、経営に影響が招じてしまうことが目下の懸念。さてどーゆー展開になるのやら。明日以降に注目だ。切込隊長が何を書くかも含めて。

 杉山愛選手も個人的にはそれなりに、もちもちっとしてむにむにっとした姿態への好感があって愛でたい選手の1人だったけど、ウィンブルドンの準々決勝で対戦したポーランドのマリア・シャラポア選手のすらりと伸びた手足にこんもりと胸元を押し上げる双房と、その先端に現れた存在を目の当たりにするにつけ、この宇宙にはやはり”真美”なるものが存在しているんだってことを強く激しく思い知らされる。かつてクリス・エバートとか、ハナ・マンドリコワとかトレーシー・オースチンンとかいった美少女テニスプレーヤーってのが持てはやされた時代もあったけど、マリア・シャラポア選手を前にすればすべてが霞み、輝きの彼方へと押し流されてしまうだろー。はっきり言って反則です。こんな美少女が女子サッカーにも現れれば人気はさらに高まるんだがなー。芸能プロダクションとのタイアップからは出て来なかったのかなあ。それとも選定中? ちょっとドキドキ。

 2人の騎士がいて四つ葉のクローバーを探して来いと言われて1人は探して彷徨ったけれど見つからずもー1人は見つからないなら育ててしまえと畑を耕し水を引いて光を呼んだらクローバーが生えてきた、ってそんな話を呼んでビジネスに生きる人はやっぱり地道に畑を耕そうって想うのか、そんな当たり前の結論しか得られない訓話を喜んで受け入れるのか。世界50カ国で出版が決まったってゆーアレックス・ロビラとフェルナンド・トリアス・デ・ベスの本「グッドラック」(田内志文訳、ポプラ社)ってのがまさしくそんな話なんだけど、呼んでなるほどと想うのは努力をする側じゃなく、努力をさせる側のよーな気がする。つまりは偉い人たちが自分たちに都合の良いよー社員を”洗脳”するために、引っ張り讃え誉める本ってことなんだけどそんな偉い人たちに自分を認めてもらいたいってゆー人が、案外に多いこの日本では「読みました感心しました素晴らしいです頑張ります」と言って読むってケースも多々ありそー。かくして「チーズはどこへ消えた」とかに並ぶベストセラーに。日本ってとっても息苦しいです。

 息苦しさついでに。つぶれかけてたレストランが大手の傘下になりつつもとりあえずは大きな支援を受けず、残っていた料理人を使い彼らがまだ得意にしていた料理を出してはそれなりな支持を集めて、さあこれから口コミでもって来店客を増やそーとしていた矢先に、料理人にはもっといろいろバリエーションの幅を広げて欲しいと持ち場を変えて、フレンチだったらイタリアン、イタリアンだったら和食、和食だったら中華であるいはパティシェかモンゴルかニューギニアの料理を覚えさせよーとして、何が起こるかと言えば折角テーブルにつき始めた客が、まるで予想もしていなかった料理が次から次へと繰り出されることに辟易とし、裏切られたと想って2度とレストランの敷居を跨ごうとしなくなるってこと、だろー。それが現実に果たして起こるのかどーかは分からないけれど、明晰なマネジャーだったら踏ん張り所をちゃんと見極め、付き始めた客をとにかく固定化させる施策を繰り出し強めるよーなj気がする。もっともそーじゃないマネジャーも世の中には結構いるからなー。客ではなくオーナーの注文の多いレストランの運命やいかに? 夏は超えられても冬は迎えられなかったりするのかな。


【6月28日】 愛しいサッカーの試合となると脚にボールが吸い付いてしまって誰も取れなくなってしまう妖怪が主人公のライトノベルが登場。その名も「ねどべどさん」はファミ通文庫から絶賛好評発売中。つるつる頭の妖怪ずんべらぼうことコラーも出てます。ゴールキーパーがぬりかべぬりちゃんだったら完璧かも。でもこぬりちゃんだと小さすぎて踏みつぶされちゃう。そんな妖怪ねどべどが神々の国を退け臨んだ決勝でポルトガルの呪術師ふぃーごの妖しいドリブルか、オランダの猛犬だーびっつの噛みつきにあって敗退する「さよなら、ねどべどさん」も刊行されてます。次は2年後のドイツが舞台の「かえってきた、ねどべどさん」だとか。表紙はもちろんYUGさん希望だ。どんな話だ。

 もちろん日曜深夜にテレビ番組を入れたがらないTBSの陰謀によって「EURO2004」の準々決勝第4戦「チェコvsデンマーク」は見られなかったんだけど確認した結果は3対0と大差でのチェコ勝利。妖怪ならぬ妖精ネドベド選手の活躍は数字からは見えて来ないけれどきっと獅子奮迅の活躍でもってコラーの、そしてバロシュの得点を演出したんだろー。これで次は同様に快進撃、とゆーよりはひたむきな守りと攻めで強豪に挑みこれをうち破ってきたギリシャが相手で前を向いて死ね的な怒濤の攻撃ぶりが気持ち良いチェコを相手に守勢にならざるを得ないだろーギリシャが、それでも果敢に挑み散っていくかそれともぬりちゃんもこぬりちゃんも粉砕してゴールへと迫るかを楽しめそー。ここで勝てれば次がポルトガルでもオランダでも、ともに決勝まで来られて良かった的モチベーションになっているだろー相手より精神的に優位に立てそー。問題は体力が残っているか、だけどどっちも元気そーだから大丈夫か。準決勝も中継は片方だけなのかTBS。せめて「ねどべどさん」の方を見せてくれ。

 「第17回東京国際映画祭」の概要が発表に。7月に開かれる「東京キャラクターショー」でどーして初回から中心的な役割を担っていた角川書店が消えてしまったのかを訝っていたけどその秘密もいっしょに明らかになって角川歴彦ゼネララルプロデューサー、何が何でも「東京国際映画祭」を成功させるんだ、世間の注目を集めるんだってゆー意気込みに溢れていることが伺える。何でも10月23日から開幕する映画祭の直前の22日辺りから、千葉は幕張にある「幕張メッセ」で大々的なアニメ関連イベントを開催するとか。メインはどちらかといえばアニメの権利の売買でその意味では東京都のやってる「東京国際アニメフェア」なんかとモロに内容が被るけど、他に海外でイベントがあってバイヤーのあまり集まらない時期の開催で、なおかつ権利がどこにあるのか今ひとつ判然としない「アニメフェア」よりは内外から映像関係者の集まる「東京国際映画祭」に合わせ、権利関係もびちっと分かりやすくしてマーケットを開くことで「アニメフェア」とは違った展開を図れるみたい。

 その意気はとっても買いたいけれど、気になるのはだったら「東京国際アニメフェア」はどーなるのかって所で、年に2つもイベントがあってそこにいそいそと作品を出品できるほと、アニメスタジオに余裕があるとはちょっと思えない。なるほどテレビ局とか広告代理店とかパッケージメーカーだったらまだ余裕もあるんだろーし、資金を持って作品を作らせ権利をもらって売買しているのはそーした中間的な所になっているってのも解る。けどもり立てるべきはそーいった企業ではなくむしろ現場で厳しい労働条件にも関わらず、信念を持って作品を作っているアニメスタジオなりそこで働く人たち。そーゆー層へと直接資金が流れ込み、より良い作品づくりが出来るよーな環境づくりに果たして「東京国際アニメフェア」なり「東京国際映画祭」の関連イベントがなってくれるのか。イベントを開くくらいならその資金から1000万円でも5000万円でもスタジオに渡して1本、短い作品でも良いから作品を作ってもらってそれを世界に向けて発信した方が、よほど日本のアニメ産業の為になるよーな気がするんだけど、そーゆー”運動”にお金が回らないのが世の常って奴だからなー。せめて出展するアニメスタジオからはブース料とか取らないよーにして頂きたいもの。まあ無理だろーけれど。

 あとやっぱり気になるのはキャラクター関連のイベントが一緒に開かれオタクな人たちを集めて人気を盛り上げようって考えている節のあるところ。角川書店が「東京キャラクターショー」から退いてそこにかけてるって所からも相当に気合いの入ったイベントになりそーな予感はあるけれど、でもねえ、夏場に山程のイベントをこなして直前に「東京ゲームショウ」もあってなお、10月末にイベントに出かける財力&体力がマニアに残っているかどーか。せっかく「ホビーエキスポ」と「C3」がひとつになって「ワンダーフェスティバル」とはちょい毛色の違うキャラクターイベントが立ち上がって整理もついていたのに、また1つイベントが加わってどれに一体行けば良いのか、行って何ができるのかって疑問が巻き起こる。

 「東京キャラクターショー」の7月開催ってタイミングは10月に始まる新番組の前宣伝に最適って意味合いがあった。これが10月開催だと、改変ですでに新番組が始まっている時で宣伝イベントとしてはやや旬を外してしまっている観もある。あとイベントのスケジュールとして年が明ければすぐに「次世代ワールドホビーフェア」も開かれるタイミングで、キャラクターを持った会社がどこまで乗ってくれるのかって疑問も浮かぶ。そこは「東京国際映画祭」って知名度と、経済産業省がバックについているってゆー安心感から出ざるを得ないって判断にどこも至りそれなりな賑わいを見せてくれるだろーけれど、それならそれで夏前のイベントを整理統合して、1度でそれなりな成果を得られる日本でも有数のイベントへと育てていって欲しいもの。アニメに造詣の深いゼネラルプロデューサーが代わったら終わりましたじゃ意味がない。

 あとバックアップしている経済産業省の意気込みも気になるところ。アニメが流行っているからやってみましたでも儲からないので辞めました、って感じのつまみ食い的イベントにするくらいなら最初っから手を出さないでいてくれた方が良い。その辺は経済産業省出身で、東京国際映画祭の事務局長を務める境真良さんが、それなりな造詣でもって維持発展していってくれると信じたい。信じるに足る人材? アニメとかゲームとかどれくらい好きな人なの? 話したことないから知らないけれど。それにしても何故に幕張なんだろー。東京だったら我らが聖地、「東京ビッグサイト」があるのにわざわざ幕張でやるのかが解らない。東京じゃないじゃん。六本木から千葉くんだりへと移動しなくちゃならない映画祭担当記者の嘆きが今から聞こえてくる。

 おまけに行ったら行ったで、そこで繰り広げられているのはアニメに漫画にゲームといったオタクなアイテムのオン・パレード。こんなものの為に俺たち私たちは移動させられたのかって、高踏で鳴る映画記者たちの怒りを買ってイベント自体にケチを付けらる心配すら浮かんでしまう。まあまあとコスプレーヤーの美少女がなだめても火に油、って感じかな。見慣れない人が見たらあれほど奇異な格好ってないもんなー。そうそう今回はメイン会場のひとつが六本木だってことで、六本木にアニメと来ればまず名前の思い浮かぶ「ロクロク星人」の御方の来臨なんかをちょっと想像してしまったけどとりあえず第1回目の発表時にその名前は見えず。アニメは得意でも映画となるとまだまだ勉強中ってことなのかな。それとも別に関連イベントとか六本木で開いてまたまた世界に名前をアピールするのかな。


【6月27日】 入らない時は入らない。これ定理。いやあもう両チームともびゅんびゅんとシュートを打ちまくって決定的な場面も山ほどあったのにポストに嫌われたりカバーが入っていたりキーパーの手が伸びたり首が伸びたり手から磁力が出てボールを吸い付けたりといったプレーに技が続出して、「EURO2004」の準々決勝3試合目「オランダ代表vsスウェーデン代表」は最後まで点が入らず延長戦へ。延長後半だかのロッベンの弾丸シュートなんてスウェーデンのGK、弾くどころか後ろにそらし気味だったのにそれがポストへとはね詰めてたマカーイの前にも転がらないんだからノーゴールの神ってのがきっと、この試合に降臨してはゴールマウスの前に寝そべっていたに違いない。

 けど凄いのはPK戦になだれこむ試合だからって本番も、延長もともにダレる場面がまったくなくって最後まで誰もがひたむきに、ボールを追っては前を向いて点を取ろうと頑張っていたことで、なおかつ打てば宇宙開発衛星発射なヌけたシュートがまるでなく緊張感が最後の最後まで途切れることなく続いていて、テレビの画面から目を離すことができなかった。見たのは途中からだけど。いや眠くて起きられなかったんです。接戦からPK戦へとなだれこんだ「ポルトガル代表vsイングランド代表」の試合もきっとこれくらいに緊張感の連続だったんだろーなー。だから敗戦したけどイングランドのプレーぶりを誰もが讃えポルトガルの戦いぶりを誰もが誉め、記録と記憶に残る好カードだって評するんだろーなー。

 もともとのプレーが凄いのに、これほどまでのひたむきさを見せてくれるからこそ見ている観客たちも心を込めて”我らが代表”を応援している訳で、そんな選手たちと観客たちの気持ちの上を向いたベクトルが、「ワールドカップ」に並びあるいは超えた大会へと「EURO」を押し上げているんだろー。アテネ五輪よりプライオリティーとして低いだけじゃなく、ドイツの「ワールドカップ」へと出る上での調整試合みたく「アジアカップ」を捉え監督にもノルマを課さないなんて、言っていやがるどこかの国のサッカー協会会長はつまり、はなっから「アジアカップ」を「EURO」みたく代表の選手たちが国の誇り、プレーヤーとしてのプライドを引っさげ最高のテクニックとひたむきさで臨み、観る人たちに感銘を与える大会にしたい気持ちなんてないってことか。欧州は「W杯」に「EURO」と2年おきに燃えられ南米も「コパ」がありアフリカも「アフリカ選手権」で燃えているのに……。アジアに生まれた不幸に涙せよ。奴らをトップに仰ぐ罪に絶叫せよ。

 それにしてもロッベンのヒーローぶりは今大会でも屈指のものになりつつある模様。ルーニーの活躍がおそらくはトップで以下、クリスチアーノ・ロナウドとかカッサーノあたりも続いていた若手選手青田刈り(ってすでに全員がトップクラスの人気&知名度だけど)ムーブメントの中に完全に割り込んで来た感じ。延長後半で放ったシュートも凄かったし、サイドをえぐる攻撃ぶりも凄まじかったし、PK戦も最後をロッベンが絞めてテレビにたっぷり映ったりして、そのヒーローぶりを全世界規模で見せつけてくれた。圧倒的なフォワードでもなく中盤の司令塔とも違ってサイドをえぐり決定的なクロスを入れ、いざとなったら自分でも決めるテクニシャン。こーゆー選手が日本代表にもいれば試合も観ていてスリルがあるのに。放り込んであとは任せたクロスは見飽きた。打った瞬間にスタンドへのプレゼントシュートはもう沢山だ。

 むくむくと起き出して「ラグナロクオンライン」のイベントへ。妙に人数が多いけど50万人が楽しむゲームなんだからこれくらいいても不思議はないかもと思ったら違って「コミックシティ」行きの人たちだった。当たり前か。それでも到着するとそれなりな行列が出来ててこれはきっとゲストの誰かが目当てなのかと思い入り口に近寄ると。「桃井はるこ急病につき休場」の張り紙。これを観ておそらく来た人の8割は愕然としたんじゃなかろーか、ってことはないか。そんなに桃井はるこさんが好きか。だったら3年くらい前に日本ファルコムのゲームで産経とかがやった小さいイベントに桃井さんが来た時にどーしてみんな来なかったんだ。その時はまだまだマイナーだった? そりゃそーだ。「インパク音頭」くらいしか知られていなかったからなあ。むぎむぎ。

 場内はイベントステージがあって即売ブースがあってそれはそれなりな混雑ぶり。だけどメインは誰もが同じ会場の半分くらいを仕切って開催されている同人誌イベント「ラグフェス」の方みたいでテーブルが並んだおなじみの雰囲気の場所をコスプレしていたりいなかったりする人が闊歩したり、スライムに似て非なる造形物を抱えたり置いたりしている人が徘徊したりとそれはもー「ラグナロク」な雰囲気を醸し出していた。神々の黄昏って陽気だねえ。前に「サンシャインシティ」で観た時もそれほど大きくはない会場にびっしりと人が来ていたけれどそれから1年が経って会場は広くなってもそれなりに埋まる人数が来るくらい、「ラグナロクオンライン」の人気が未だ衰えずむしろ数あるオンラインゲームの中で唯一的な存在になりつつあるんじゃないかって実感を抱く。「リネージュ2」でここまでの規模になるだろーか。「ファイナルファンタジー11」でだってこんなには来ないだろー。勝てば最後まで勝ち続けるネットの、これが特性って奴なのか。それとも本気に面白いのか。やってみるか。でも時間が。フリーになれば。そうなると金が。世界は矛盾に満ちている。

 原稿をあげてとっとと退散。ほとんどボランティア。だって日曜に出たって代休なんて取れないんだし、仕事としてカウントされて面倒な要求に答えるなんで面倒なことしてられません。使いたければ使えば良えばいいさ。使いたくなければ没にしろ。それとも代休を取れる体制にしてくれる? 無い物ねだりはやめよー。さて新宿へと出てそこから京王線で永山駅へと向かい降りて「多摩陸上競技場」へ。地図をちらりと観てその足で勝手に歩き始めて早速迷ってうろうろとしたものの何となく匂いのする方へと向かって歩いていったら「澤」だの「荒川」だのといったコールが耳に届いてきてどーにかこーにか女子サッカー「Lリーグ」の第3節「日テレ・ベレーザvsYKKAP東北女子サッカー部フラッパーズ」の試合が始まる前に会場へと到着出来た。若い女子が体育する匂いを逃す程枯れちゃいないってことか。

 競技場に入って仰天。それほど大きくはないと言えスタンドが人でびっしりと。オリンピックに出場が決まっていこうの女子サッカー人気を受けたブームがまだまだ続いているどころか、ますますヒートアップしているみたい。さて試合はといえば攻めるベレーザに守るフラッパーズって構図が開始直後から続いてベレーザはシュートまで持っていくことすらなかなか出来ず見ていて焦燥感が募る。酒井與恵選手が中盤の底でさばいて左右に振ってもそこからなかなか前へと攻めあがれず、クロスもはいらず決定的な場面を作れない。それでも中央から大野忍選手に荒川理恵子選手に山口麻美選手が突破したりサイドから五輪代表入りも期待される近賀ゆかり選手が崩したりしてゴール前までボールを運んでも、そこでもたつき囲まれ奪われ反撃へ。1点がなかなか奪えない。

近賀ゆかーり近賀ゆかーりげーっとげーっとげっとごーる! きんが(ちゃちゃちゃ)きんが(ちゃちゃちゃ)  エンドの代わった後半も似たよーな状況で持ちすぎ系な荒川選手に大野忍選手(サポートがないから仕方がないのか)が囲まれ奪われ、ミドルを打っても浮かんで入らない状況が延々。中盤を差配してしかるべき小林弥生選手のキレがやっぱりあんまり戻っていないよーで、サイドに流れたり後ろに下がって中央の3人をケアできず分厚い攻めを繰り出せない。これはお互いに無得点のまま終了かと諦めかけた後半も40分過ぎに、ゴール前の混戦を近賀ゆかり選手がやや離れた場所から叩き込んで1点を選手。そのまま2人交代とかって時間を消化する作戦も繰り出しどーにか逃げ切って3連勝を達成できた。交代でもって意気揚々と引き上げて来た近賀選手は毎度毎度でユニフォームを脱ぎ下にアンダーシャツ姿になって見ている僕たちをハッっとさせてくれたけど、アスリートだけあって肉感とは正反対のスレンダーなボディだったんで見てそんなにドキドキはしなかった。でもまあ目には嬉しかったです。それなりに可愛いし。

 ただ試合の中でロッベンばりのサイドアタックに切れ込んでのクロスがあったかとゆーとそんなにはなく、去年までの近賀選手のスピードがまだまだ発揮されているって感じはしない。サイドをいっしょに組んで突破していく選手がいないのかな。まあこれでトップ下に澤穂希選手が戻ってくれば中盤も固まってサイドを使う動きも高まって、近賀選手のスピードが活かされる場面も出てくるものと期待。初戦1点2戦目4点で3戦目1点とどちらかと言えば得点力不足な状況に陥っている状況を打開しないと、初戦から調子良く得点を積み重ねて来ているTASAKIペルーレに得失点差で上回られてリーグ優勝の座をさらわれてしまうんで、夏の五輪を間に挟みつつ戦術を極めコンディションを高めて圧倒的だったベレーザのモードを取り戻そー。来週も行きます駒場だったっけ。


【6月26日】 つまりはバルテズがいなければとっくに予選リーグで落ちてたかもってことで「EURO2004」の「フランス代表vsギリシャ代表」は、パス交換も鮮やかに攻め上がっては一気に戻って守備をするギリシャの総力戦的、とゆーほど悲惨なものではないむしろジェフユナイテッド市原がやりたげにしていて未だ到達していない現代のサッカーをものの見事に体現しているプレーぶりにさしものフランスも自由勝手はできず前半はほとんどシュートすら打てない状況で進む。

 むしろシュートはギリシャの方が何本も打てていて、それも超高速の日本人だったら弾くかこぼした挙げ句に詰められシュートされかねない強烈なシュートを、バルテズがこともなげにキャッチしてみせる後光に相応しい仏技”仏陀の掌”でもって得点にせず。ゴールラインを割りそーになったシュートもライン真上のほとんどはいりかけたところで抑えて書き出す流石なプレーを見せたおかげで点にはならなかったんだけど、そんなフランスの攻撃陣の方はといえばガッチリ固められたギリシャの守備をアンリもトレセゲもこじ開けられず、ピレスとかがサイドをえぐって入れるマイナスのボールも寸前で止められゴール前にこぼれず如何ともしがたい状態。

 そんなこんなな攻防が続いた後半に、ギリシャが早いクロスをほぼフリー(フランス3人でギリシャが最後5人、だもんなあ凄い詰め)でハリステアスが叩き込んで1点を選手。そこからフランスの猛攻が始まるのかと思ったけれど暑さもあってか速さも高さも出せず33分に入ったロテンもジダンが邪魔(?)で左からの得意なクロスを数多く爆発させるまでは行かず(それでも何本か良い仕事、後半42分のクロスの惜しいこと、何でもっと早く出しておかないのかと後悔)、そのままジ・エンドへ。前回の覇者も今回台風の目となったギリシャの前に膝を屈することになってしまった。最強じゃなかったのかい?

 これで右のジュリが出ていてトップにフランスリーグ得点王だったシセもいたら攻撃力が上積みになったかもしれないけれど如何せん、中心的存在として中心に根を生やしたジダンが根の生やしすぎなのか働けず、かといってジダン頼みの状況を変えるほどジャック・サンティニ監督気持ちに余裕がなかったのか動けずメンバーをガラリと変えて臨んだポルトガルのフェリポンのよーには勝ち抜けなかった感じ。ベスト8って成績自体にはきっと文句は出ないだろーけど見知った選手ばかりを並べっ放しで冒険もしないで敗退してしまったことに異論は出そーで2年後に向けて、権威を退け序列を破壊しチームを作り替えることの出来る監督が求められて来そー。トルシェ? マルセイユ・ルーレットを華麗に決めたジダンに向かって「お前はジダンか?」と言いそーだな。言ってやってくれい。

 人間と妖怪との間には、深くて暗い河がある、のかないのかを考えさせてくれる話でやっぱりあった「さよならぺとぺとさん」(ファミ通文庫、640円)は妖怪ぺとぺとさんことぺと子が単なるミーハー心からじゃなく、シンゴとの関係にいろいろと気を回してちょちょ丸の誘いに応じていたことが解る辺りで気持ちシンミリ、涙うっすら。巻の頭からしきりに繰り返しいろいろなパターンで繰り出されるぺと子のバラエティーに富んだ足音の、単にバラエティーに富んでいるだけじゃない、実は結構奥深かった意味とも重なって妖怪と人間ってやっぱり相容れないのかなあ、河童だったらまだマシなのかなあと寂しくなる。けどそこはそれ、綺麗に結んで可能性を示唆してくれているんでまだ、諦めずむしろこれからの一段の結束なんかを期待しつつ「かえってきたぺとぺとさん」(仮題)の刊行を待とう。ちょちょ丸が抱きしめたこぬりちゃんの餅変身ってどんな形してるんだ。

ベッドの上に座布団を敷き埋まったベッドサイドの籠を机にして積み上がった衣類の上に扇風機を置いたこれが我が書斎  目覚めて駆け付けた近所の「ファミリーマート」で棚に並んでいた滝本竜彦さん原作、大岩ケンヂさん漫画の「NHKへようこそ第1巻」(角川書店、560円)の「ファミリーマート仕様」を買う。2冊買う。4冊入荷していたうちの2冊だから半分だからこれでこの店の「NHK」消化率は5割に達したことになる。5割バッター。MVPだね。ちなみに出かけて還ってきてのぞいた同じ店にはまだ2冊の「NHKへようこそ」が。何故買わない、ファミマの制服姿の岬ちゃんが帯で手を振ってくれているのに。コスプレだぜ。コンビニ店員だぜ。これで萌えない訳が……萌えないか。まあいい全国でどれだけのファミマ仕様の「NHKへようこそ」がバラ蒔かれたかは知らないけれど、将来に滝本さんが直木賞をもらうか太宰治風のエンディングを迎えるかして名を轟かせたときを睨んで、2冊のうちの1冊を記念品として永久に、「ファミリーマート」のコンビニ袋とともに我が家に保存することにしよー。でもきっと埋もれて出てこなくなるんだ。我が家は142ページの佐藤達広家並みに凄いです。

 さて漫画版「NHKへようこそ」は、出だしこそ単行本のダイアローグも構成もそのままにそろそろと滑り出してはいるものの、漫画ならではのフレームアップにクローズアップにオーバーアクション妄想パッションが徐々に発揮されていって、読んだことあるなあって確認の気持ちだったものが知らず画面へと引き込まれている。やっぱり絵で見る岬ちゃんは可愛くって、なおかつ大岩ケンヂさんならではのキュートな姿態に描かれていて、それが時々中の柔らかくってぷにぷにしているっぽい肉体もさらけ出してあって、目を釘付けにして離そうとしない。162ページから163ページの妄想のエスカレーション、そのラストシーンは絵なのに触れた時に覚える弾力感を手の平に浮かべさせる。素晴らしいなあ。触りたいなあ。柔らかいんだろうなあ。なんてきっと絵を見て滝本さんも部屋で身もだえていることでしょー。折り返し部分にあるあんまり汚れてはいない部屋は滝本家? それとも大岩家? どっちにしたって僕ん家より綺麗だぜ。羨ましいぜ。やっぱり作家か漫画家になろー。どーやったらなれるんだ。角川学園小説大賞に応募するしかないのか。あれなかなか倍率高いんだよ。皆とっても上手いんだよ。参ったなあ。


【6月25日】 フェリポンすげえ。「EURO2004」の開幕戦だった対ギリシャ戦のメンバーと、正念場に入った準々決勝対イングランド戦のメンバーの何とゆー違いっぷりか。ひとケタがズラリだった初戦から間2戦を経て残っているのはGKをのぞけば7人中の3人だけ。フィーゴはやっぱりはずせなかったとしてもフェルナンド・コウトにパウレタの不発不調をあっさり外しパウレタはベンチからも外し(出場停止だっただけだけど。でも出られても出さなかった公算大)、10番を背負ったルイ・コスタまで外して天王山その1(以下すべて天王山だけど)のイングランド戦に若かったり活きが良かったりする選手を選び送り込むその柔軟性戦略性に富んだ采配ぶりを見るにつけ、場当たりに思いつきが2年経っても幅を利かせる某代表監督との差を激しく感じさせられる。これで同じブラジル人だからなあ。

 もちろんテレビでは見てないけれど凄い試合だったみたいで追いついたポルトガルが延長後半に途中交代で送り込まれてまだフレッシュだったルイ・コスタのゴールでリード。ゴールデンゴール方式だったらここで終わっていたけれどシルバーゴールなのか延長は最後までやる主義だったのかそこでは終わらずランパードに取り替えされて同点へ。PK戦へともつれこんでベッカムがやっぱり外してバッジョづいて来たのはそれとして、ルイ・コスタまで外してこちらも似たよーな境遇となって同点からサドンデスへと入りポルトガルのGKリカルドがどーやら最後を決めてジ・エンドとゆー実に劇的な勝利でもって勝ち上がったみたい。

 優勝候補が一転、グループリーグからはい上がれるかって先週あたりにもがいていたチームが総力戦でもって準決勝まで残るこの意外。勝つことによって監督への信頼も結束もきっと高まっているだろーポルトガルに優勝の芽、ありと見た。次は果たしてスウェーデンかオランダか。オランダもどん底からはい上がって来ただけに根性はありそーで、監督の差が勝敗の行方を分けることになりそー。それにしてもフェリポン、ブラジルで勝ちポルトガルで勝ったら次はどこに行くんだろー。2006年までは率いたとして次はどーです、アジア制覇を目指してみては。「偉大な10番の後が私では役者不足。お隣で頑張らせて頂きますbyフェリポン(予定)」。韓国は栄え日本は……。こーなったらもー1度ワールドカップ招致だ。

 ど阿呆としか思えない話を幾つも聞いて「ダメだこりゃ」と頭を抱え続けた1日。思いつきに思い込みを体臭の如く発散させては手近なイジりやすい所へと押し込み権力と怒声で言うことをきかせてうまく事が回り結果が伴うと思っているんだろーか? ホント正月に餅が食えるか心配になって来た。それはそれとして「週刊新潮」の2004年7月1日号にササキバラ・ゴウさん「<美少女>の現代史」(講談社、735円)の評。だけど1ページも使って紹介している割にはトーンとして厳し目なのが誉めるケースの多いレビュー欄にあってちょっと意外。「ぶっちゃけ、空回りしてしまった感がある」と冒頭近辺でまず疑問を投げかけ「なにせ、『現代史』と銘打ってるのに九〇年代以降のオタク・シーンについて言及している箇所は最後の三十ページほど」と構成に異論を挟んで「『<美少女>の近代史』とでも銘打ったほうが、より的確だったのではないだろうか」と流している。

 なるほどそれは確かにそーなんだろーけれど、そもそもこの本って今の「萌え」一辺倒な状況を解明するべく書かれた本なんだろーか。そーした状況を哲学的社会学的に腑分けしてみせたのがまさしく東浩紀さん『動物化するポストモダン』で、そこで繰り広げられた思考に対して根底となるデータの部分にいささかの誤謬があるって認識した前世代のオタク代表として、ササキバラ・ゴウさんが立ち上がって概論として現したのが「<美少女>の現代史」であって、東さんに対抗して「萌え」が何かを突き詰め何に起因するのかを考えるために書いたんじゃないよーな気がする。「萌え」へと至った美少女の歴史を一歩下がって見たもので、そんな本にだから「同じオタクとはいえハァハァ萌えまくる世代とは、感覚が離れてしまっているんじゃなかろうか」と言ったって、違っていて当然じゃんと答えるより他にない。

 「『萌え』を考察する上で重要な資料になるはずだから、昔のことはきっちりまとめといてやる」ってスタンスで「萌え」は解らないと開き直って書けば良かったんだって言っているけど、これってそーゆー「まとめといてやる」的スタンスで書かれた本だったんじゃなかったの? 「現代」を無理して語っているの? あくまでメインは評者の言う「近代」でしかなかったんじゃないの? ササキバラ・ゴウさんじゃないから本の詳細な意図までは分からないけれど、「悔やまれてならない」と言われるほど無理なんてしてないよーな気がする。それともやっぱり「萌え」まで含めて語り括ろーとしたのかな。そんなササキバラさんも夏のコミケに出版される東浩紀さん所の同人誌に執筆する予定とかで、かたや「萌え」を動物化と語って激しい納得と非難を共に浴びた東さんと、こなた「萌え」解ってねーじゃんと非難を浴びつつも概論として良い仕事をしていると誉められている毀誉褒貶な2人が、どんな論を立てて言葉を繰り広げてくれるのかが今から楽しみ。評者の紀田伊輔さんが呼んで何を思うかも楽しみ。

 テレビで「ハリー・ポッターと賢者の石」。僕にとってのハーマイオニー・グレンジャーはこのハーマイオニー・グレンジャーであってその後の、1年ごとに着実に成長して性徴してしまったハーマイオニー・グレンジャーはもはやハーマイオニー・グレンジャーではなく、当然のよーに最新作「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」に出てくるハーマイオニー・グレンジャーは確実にハーマイオニー・グレンジャーではないのだけれど、それを離れて見ればひとりのエマ・ワトソンちゃんとして見て眺めて心浮き立つ訳で、つまりは人間の好みってゆーのは場当たりだってことなのです。マッドサイエンティストが少女を人形にしよーとした気持ち、ちょっと解るかな。ハリー・ポッターはどれでもいいや。


  【6月24日】 もちろんWOWOWどころかNHKのBSだって見られない環境にあるメディア貧なんでリアルタイムで見た訳ではないけれどそれでも気になって早起きしてチェックして、スペイン、イタリアに続いてドイツの「EURO2004」グループリーグ敗退を確認。これで第二次世界大戦当時の独裁系枢軸が枕を並べて討ち死にした訳で2001年9月11日にニューヨークのツインタワーに飛行機が突っ込んで以来、米国を中心に巻き起こった米国以外のイラクとか北朝鮮といった強圧的な政権に対する呪詛が、世界に広まった挙げ句に時空すら遡って今ではすっかり民主的になったものの過去にそーした政権を持っていた、スペインにイタリアにドイツまでをも呑み込み手足を縛って奈落へとたたき落としたって言えそー。

 フランスといーオランダといー北欧の各国といー、第三帝国に蹂躙された国が軒並み勝ち上がって来たのもそんな”反独裁”への機運がドイツの、イタリアの、スペインの力を殺いでしまったから。この流れで行くとやっぱり最後はイングランドがVサインとともに欧州での覇権を取り戻し、果てはベルリンまでをも乗り込み2006年の大会で凱歌を上げそーな予感。その時の敵は表向き連合の米国にロシアってことになるのかな。米国はアドゥーって凄いのが出てきたし。あとチェコに親善試合で勝った日本をこのままチェコが勝てば”欧州王者”だなんて言う人も出てきそうだしそう言いたいところだけど、呪詛はやがてシルクロードを渡り日本へと到達しては大切な「ワールドカップ2006ドイツ大会」への出場をかけた最終予選あたりで日本代表の手足を縛って来るんで日本代表は、今から陰陽師100人に大僧正100人を雇い加持祈祷と調伏を行い川崎大師へと行って厄除けのお守りをもらうこと。白い呪術師を招聘すればさらに吉?

 JR渋谷駅のホームを電車から降りたら電車があった。ってのは別に向かいのホームに反対側へと向かう電車が止まっていた訳じゃなく、ホームが山手線の内回りと外回りでそれぞれに別々になっている渋谷駅の、内回りを降りた場所のホームに電車とよく似たカフェスタンドが出来てたってことでのぞくと中にはカウンターがあって中吊り広告が下がってて、モニターもぶら下げてあってフジテレビ関連の番組の宣伝だか番組そのものだかを流してた。つまりは電車の形を模したカフェをホームにJRがひと商売しよーと設置したもので、加えてカフェだけじゃーつまらないってことで全体を1つのメディアと見立てて広告塔にしてしまったって寸法。ラッピングバスとかが最近は通りを走っているけど、それのカフェ版って行った方が正しいかも。

 降りればすぐに渋谷の街へと向かい乗れば仕事に向かうなり家路へとつくためさっさと電車に乗る山手線でどこまで利用客があるのか悩ましいところだけど、だからこそカフェって単独の出店じゃなくラッピング広告ってゆー付加価値を着け、そばに寄った人にも何某かの”宣伝効果”を期待出来るよーにしたって言えそー。もちろん入ってくれればしめたものだし、その点でフジテレビってゆー誰もが興味を抱きたがる「コンテンツ」を備えたクライアントはベストなチョイスだったかも。向こう1年にわたって設置されるそーなんで近くに行った人は眺めてみてはどーでしょー。珈琲とかの味は知らない。でも旧日本食堂だからそれなりのものは出してくれそー。しかしなあ、題して「F電」だなんて分かるのかなあ、今時の奴、元ネタの「E電」なんて絶対に知らないぞ。僕だって知らないよ。

 仕事をやり倒してから「ホテルニューオータニ」で開かれた角川春樹さんの出所パーティー、と呼べば呼べるけどここは優雅に「復活の日」と読んだイベントへと出席。取材とゆーよりSF系からの観察とゆー立場だったけど来る人訪れる人の豪華さに、さすがは業界にその名を轟かせ、今なお強い影響力を持つ人物のパーティーだと強く激しく納得させられる。友人代表として挨拶にも立った北方謙三さんに親代わりな紀伊国屋書店の松原治会長にやっぱり親代わりの日本陸軍元参謀にして現在はNTT顧問の瀬島龍三さんをトップスリーに、小松左京さんやら町田康さんやら津川雅彦さんやら崔幼一さんやら富野悠由紀さんやら大林信彦さんやら井上やすしさんやら渡辺淳一さんやら新井素子さんやら山田正紀さんやら、なにやらかにやら近寄ればその後光に身もすくむ人たちばかりでそんな人たちを間近に見られたこの会合、会費1万5000円は払って全然惜しくない額だった。

 もちろんそーした有名な人に出会えたってこともあるけれど、それよりもむしろ価値があったのは角川春樹さんてゆー、日本の出版史上に燦然としてその名を刻むだろー人の、かくも大きな転機となったイベントに居合わせられたってことの方。還ってきたと挨拶し、これからも不良であり続けると宣言し、47人の角川春樹事務所の社員を率いて株式公開を目指し、それどころか世界制覇すら目指しているんだと宣言した場に居合わせられたことは将来においてきっと、強い思いでとなって一生のうちの幾ばくかのページを飾るだろー。一時期体調も危ぶまれ、激痩せも目立って余命に不安を感じたけれど、2年5カ月と3日ぶりに世に出てからのアグレッシブな活動ぶりとも重なって、顔色は良く艶も張りも出て入獄直前に見た時よりもはるかに健康になっている感じ。このままだと軽くあと10年20年は生きて角川春樹事務所を引っ張って行きそーで、大言壮語に聞こえないこともない”世界制覇”もあながち夢物語で終わらないかもしれない。さてどーなるか。何をやらかしてくれるのか。もー1度くらい「SFセミナー」に呼んでくれないかな。でも「SFの時代」って言ってくれるとも限らないか。何の時代? やっぱ「グルメ」なのかな。グルメ文庫創刊だそーです。

 帰りがけにもらった包みに「週刊読書人」の6月25日号が入っていて開けるとそこに角川春樹インタビュー。末尾に「我は神なり。神は我なり。神、我とともにあり」って言葉もあって相変わらずの超然ぶりが伺える。出所して翌日に出社して人事異動を断行だなんて普通の経営者じゃー出来ないよ。受ける側は戦々恐々だろーけど、獄にあってもそれだけ見てたんだってことが納得出来る人事だったら文句も言えないだろー。どこにあっても見ている人は見ていてそれを即座に断行する。人の上に立つもののそれが当然の資質って奴なんだろー。そんな人の下で働ける人たちが羨ましい。同じ「週刊読書人」には歌人の枡野浩一さんのコラムもあって新人歌人の脇川飛鳥さんを紹介していて写真も載ってて脇川さんなかなか美人っぽい。でも紹介が「体育会系」。性格が体育会? それとも武力が体育会?


【6月23日】 イタリアから勝利を奪ったアン・ジョンファン選手を叩き出したペルージャの例に倣えばA.C.ミランも、やっぱりトマソン選手を「反イタリア的」とか言って叩き出してしまうんだろーか。そんな心配を「EURO2004」グループリーグ最終戦「スウェーデンvsデンマーク」で2点を叩き出してイタリアに不利らしー「2×2」のスコアを作るのに強力してしまったトマソン選手に抱いてしまったけれど、そこで終わっていればイタリアも救われた訳でむしろその後に同点に追いつかせてしまったデンマークの選手なり、得点をとってしまったスウェーデンのヨンソン選手の方にイタリアの憎悪は集まりそー。当該選手、イタリアにはもー行けないな、って言ってると何かアン・ジョンファン選手イタリア行きの噂も出てきているから案外に大丈夫なのかも。とりあえずトマソン選手の今季に注目。イタリア首相にイジめられないといーな。オーナーじゃん。

 それにしてもイタリアにスペイン。思い起こせばどっちも「ワールドカップ2002日韓大会」で韓国に敗れ去ったチームで当時は審判の拙さをのみ敗戦の理由に挙げて真っ当な審判の元で試合をしたら負けるなんてあり得ないとかヌかしていた記憶があるけれど、そんな2チームが2年後に万全の体制で臨んだ「EURO2004」でともにグループリーグで敗れ去ったってことはつまり、審判に原因があるんじゃなくってチームそのものに元から原因があって、にも関わらずそれを認めたくなくって原因を審判に押しつけてただけだって言って言えそーな気もしてくる。とっとと負けて明らかにチームの体制が悪かったんだと認めたフランスがその後に頑張って立て直し、ベッカム依存から若手の底上げを果たして臨んでイングランドが勝ち抜けたのとは対称的。ここでもしまた原因を別に求めるよーなら今世紀にスペインとイタリアが大きな大会で上位へと勝ち上がるのは不可能なんじゃなかろーか。トラパットーニは辞めるみたいだけどサエスは自分には責任はなく2006年に向けて監督を続けたい模様。ならば我らが日本代表はグループリーグでスペインと同じになるよー今から願をかけておこー。問題は出られるか、だけど。トラパットーニを監督に招くって手もあるか。

 見たいなあ、対カナダ代表戦。男子についてはベネズエラとオーストラリアで見て驚くってよりはどこまで来ているかを確認するだけの華試合になりかねない可能性もあるけど、女子については去年の「ワールドカップ女子サッカー米国大会」で対戦して敗れた因縁の相手でここに勝たないと本番でのスウェーデンにナイジェリアだったっけ、超強豪に見知らぬ敵を超えて上へと上がれる可能性は極めて低くなるんで、怪我だけは気を付けつつもきっと本気で臨むはず。1年を経て肉体的にも戦力的にも鍛え上げられた面々がその力量をどこまで到達させたのかを確認するにはベストな試合になりそーで、割に真剣に近い女子代表の国際試合を間近に見られるチャンスがしばらく来そーもなさそーなこともあって見逃せない。けど時間が午後4時半ってのはなあ。早引けするにもちょっと早過ぎ。いっそその日だけ夏休みを取るか。永遠の夏休み? ちょっと取りたいかも。それだとアテネにも行けるしね。

 買ったけど時間がなくって読み出せない木村航さん「さよならぺとぺとさん」(ファミ通文庫、640円)の表紙を長め折り返し部分のこぬりちゃんの愛くるしさに身もだえする日々。それでもちょっとだけ冒頭を読んでキャラクターの可愛らしさとは別に、ぺと子が小学生たちから妖怪だ何だと騒がれる描写に田舎の子供たちの残酷な素直さが浮かんで背筋が立つ。ある意味弱者への差別に虐待の萌芽を感じさせる描写だけどそんな周囲にまるで屈託をみせず逆手に取るとかって意識もなく、天然の優しさ明るさでもって子供たちに対峙するぺと子の態度に心洗われる。始まった本編はそれでも可愛い格好をしたぺと子にちょちょ丸にくぐるにまる子(ぺと子母)といった面々の媚態津波で目はもー釘付けなんだけど、そんな”萌え”の裏側できっと今回も、人間とそれ意外の者たちとの関係の難しさに気付かせ、そんな関係をよりよい方向へと導いてくれる物語に浸らせてくれるだろー。ひと仕事片づけた週末にチェックだ。神野オキナさんの朝日ソノラマの新刊にも早くとりかかりてぇ。


【6月22日】 「週刊サッカーダイジェスト」の2004年7月6日号は前週に急ぎ開幕戦をやってしまった分、「Lリーグ」の結果を速報するページはなし。代わりに「月刊女子サッカー」のコーナーがあって21日から始まった代表の合宿についての記事があって23日まで行われているトレーニングキャンプに呼ばれたメンバーが紹介されている。ざばっと見ると前のアメリカ遠征に呼ばれていた日テレ・ベレーザの近賀ゆかり選手がこっちにも入っていてスピードとテクニックでサイドを崩す凄さをよーやく認められたらしー状況が伺える。

 開幕戦のリポートだと「アピールした」って書いてあって、その試合を見た僕の個人的な印象だと、去年ほどにはサイドをパス交換をテクニックでもって切り裂きゴールラインぎりぎりまで入ってはクロスを上げる業師ぶりを、まだ見せてなかったよーに思ったけれど開幕早々でもそれだけやれたってことを上田栄治監督、ちゃんと見ていたってことなのかな。サイドは川上直子選手に山本絵美選手のTASAKIペルーレ所属の2人が頑張っているだけに割り込むのは難しいだろーけれど、まだ20歳って若さとあと、美形なんだけど眉根に凄みを感じる容貌でもって斬り込んでいって欲しいところ。山口麻美選手にも続いて欲しいなあ。

 それにしても選ばれた22人を見て実に18人が身長160センチ台なのにはやや吃驚。もちろん決して大きくはないんだけれどそれでも女子としてはやや大きい部類に入るメンバーが、アスリートだけあってやっぱり揃ってはいるんだって言えそー。このまま眺めて行けばやがてだんだんと平均身長も上がって行きそーな予感で、ここで170センチ以上だなんて無理に規定して168センチとか7センチとかの有為な人材を逃すよーなアブナイ橋を渡るのは止めておいて欲しいもの。もっとも川上山本の両翼に中盤の要の酒井與恵選手、中盤のテクニシャンでFKも凄い小林弥生選手の中核4人が揃って150センチ台ってのにも吃驚。つまりは女子サッカーは身長じゃないってことで。

 刑事は鬼かそれとも仏か。鬼だ、って鎌田慧さん「狭山事件 石川一雄、四十一年目の真実」(草思社)を読んだ人はきっと絶対に思うだろー。狭山で発生した女子高生殺害事件の犯人として逮捕され、後に四十年近くも獄中で無実を訴え続けることになる石川青年(当時)がどーゆー具合に犯人とされていったのかが鎌田さんの綿密な調査と怜悧な思考によって描かれているんだけど、ここで描かれている警察が石川青年の親戚を捕縛する可能性をほのめかして石川青年に自白を強要し犯人へと仕立て上げ、証拠もでっちあげていったらしー捜査の様子にある刑事の姿は、嘘をつき真実を見極めずただ組織の中で上のいいなりになっている情けないもので、無期懲役になって仮出獄した石川さんがまず真っ先にいろいろ言いたかったにも関わらず、自分より先に刑事が死んでしまったことを悔やむ部分にも刑事の鬼っぷりが伺える。

 一方で神奈川県警で長く強行犯相手の刑事を務めながらも日々に出会う死からその背後にある家族の複雑な思いを感じ取り、退職して僧侶になった人間の人生をつづった大島龍穏さん「鬼刑事、僧侶になる」(サンマーク出版)を読むと、刑事は別に無理矢理にでも犯人を捕まえ検挙しては成績を競いあうよーな人間ではなく、また犯人への憤りだけから仕事に猪突猛進している訳ではないみたい。それより事件を起こした犯人に憤り被害にあった人たち、突然身内を失う哀しみに苛まれている家族といった人たちへの、気配りをちゃんと知っているんだってことがうかがえる。そんな人間でなければ人の気持ちを和ませ平穏の境地へと誘う僧侶の仕事なんて務まらないだろー。

 さてはてどちらの刑事がより刑事なのか、ってのは難しいところで狭山事件の刑事も直前に吉展ちゃん事件があって警察の威信をかけなくっちゃいけないってプレッシャーもあってなおかつ、非道な犯罪を犯すものへの強い憤りもあったって言えなくもなく、その意味で刑事中の刑事として仕事に邁進したって捉えることも出来そー。その結果が”冤罪”であって良い筈はなく、分かった段階で直ちに反省できなかった所に強い問題がありそー。僧侶になった刑事も僧侶になることではなく、刑事なら刑事として人の哀しみにも思いをめぐらせそれをケアできるよーな職業へと、刑事の仕事を変えていって欲しい気もするけれど、あの頑丈な組織で末端の刑事に出来ることを考えると、僧侶として懸命に”贖罪”に勤しむ大島さんの態度はやっぱり素晴らしい。人を守り導く仕事って何かを2冊から知ろう。

 哲学は偉大だ。だってこの現代の複雑怪奇な男女の関係をすべてぴたりと言い当て解決の道筋を指し示してくれているんだから。石原壮一郎さん「哲學者に訊け!」(集英社インターナショナル)は副題「大人の男女関係その叡智と真実」が現しているよーに男女の間に生まれる諸問題を哲学者の残した言葉から理解しよーとしてみた画期的な学術書。読めば目から鱗な言葉が揃っているけど中でも関心したのはイマヌエル・カントの残した「神の存在を確信することは必要だが、証明する必要はない」って言葉。たとえばキャバクラに通ってキャバクラ嬢があれこれおべっかを使ってくれるけど、通っているうちにそのどれかはもしかしたら真実なんじゃないか、自分って気に入られているんじゃないかって思いたくなって来る。

 もちろん本当に好かれている可能性だってある。あるけれどもそれを必死になり血眼になって探し捉えるとゆーのは野暮とゆーもの。むしろどんな言葉であっても中に真実すなわち「神」が存在しているんだと確信しさえすれば、キャバクラ嬢の放つ言葉に一挙手一投足のすべてが輝いて聞こえ見えて来る。証明は不必要。思い込むこと。信じること。聞いて違ったらどーするとかって、心配するのもこの際野暮と退け男はひたすらに「神の存在を確信」すれば良いのだ。合コンでなかなかにとてつもない面子が揃ったら福沢諭吉を思い出そう。「天は人の上にも下にも人を作らない」。こっちがそう思うならあっちもそう思ってる可能性に思いを馳せてイーブンな関係を気付けば払った金も惜しくはない、ってことですね。それにしてもこの諭吉に添えられた漫画の、「柄谷や浅田も悪くはないけど僕的に言えば最近のおすすめは東だね」って今使うのはちょっと勇気がいりそー。やってること、違い過ぎるし。哲学あんまりやってないし。


【6月21日】 「ゾクタイ」のホットパンツなパニオンさんよりも、床一面に子供達が座ってパーツを組み立てている「ダンガンレーサー」の未だ衰えない人気ぶりよりも目を見張った「次世代ワールドホビーフェア」の目玉は、個人的にはやっぱり「等身大ガッシュ」だったかも。バンダイのブースで販売されてたそれは小さい子供分は軽くあって抱えて歩くと人さらいと間違えられそー。同じサイズのガッシュが何人も積み重ねられて売られているブースの様子もなかなかに人さらいっぽかったけど。

 作りはなかなかで顔の造型もしっかりしていて後ろで手にエポカか何かの百科事典を抱えて「ザケル!」って叫ぶと口から火とか吹いて回ってくれそーだけど7800円だかの値段ではそこまでのギミックはなし。なのでリアルを追求する人は買って音声認識の機構とかを組み込むのが吉でしょー。音声認識版の「プリモプエル」から換装できるのかな。これを買って左手に抱え家にある等身大の「ちよ父」を背中に性追い右手に等身大に近いぷちこを抱え、まだ買ってない等身大ノーマッドを胸の前に縛り付けて歩くと一体何やつと思われるのか興味。問題は夏場は暑苦しいってことで。松戸の等身大ガンダムの前で記念写真を撮るのもおもしろめーわく。

 等身大「ネム」ってきっと誰か作って来そーな予感。定金伸治さんの新シリーズ「ブラックランド・ファンタジア」(集英社スーパーダッシュ文庫、533円)は訳あって全身を縛り付けられたまま成長したため手足が動かず成長もほとんどせず、閉じこめられた部屋でただただ圧倒的な思考力を育み容貌だけはそれなりな年齢を刻んだ美少女ネムと、どうやらその弟らしい少年で孤児院で育ち今はチェスの真剣師をしているスィンとが出会い2人でペアを組んで向かってくる敵棋士を倒していくストーリー、ってそんな単純でもないけれど。

 物語の方はといえばネムと出会って部屋から救い出したスィンが異常なまでに観察力の優れたネムを連れてチェスの真剣勝負へと乗り込む場面からスタート。どこか気弱なところがあって攻め続けることが必須の真剣師に鳴りきれないスィンの指し手を継いだネムが終局までを読み切り大逆転に次ぐ大逆転をしてしまう。ところが逆転を喰らった真剣師が何故か両手を切断されて切り気障丸事件が起こり、続いてスィンと対戦した真剣師の娘も襲われる羽目に。さらにスィンが世話になっていたカフェのマスターも殺害されて、やがてその魔手はスィンとネムにも伸びていく。

 行方不明になっていた2人の父親らしき人物の暗躍もあって謎を帯びていく展開に、2人を助けよーとするシャーロック・ホームズも絡んで物語はクライマックスへ。チェスならではの引き分けのルールなんかを人間のキャラクター性にも物語の展開にも反映させていく作者の道具遣いの巧さには感嘆。意外さを持ったエンディングにも驚かされ、なおかつまだまだ先へと続けられそーな予感にこれから一体、どんな”敵”が2人の前に現れて来るのかと期待も膨らむ。小池重明とか出てきたら面白いかも。あとは花村元司か(どっちも将棋の真剣師、花村は後にプロ棋士)。

 あと記憶力の権化みたいなネムって少女の、大人びて冷徹なよーでいてその実寂しがりのところもあり、またスィンのパトロンめいた貴族の妹とのスィンを取り合って「フー」「フー」と猫よろしく喧嘩する元気な所も持ったキャラクターに惹かれるところも大。何より両手に抱えておけるサイズがなかなかで、だからこそ等身大ネムの登場なんてのを思ってしまったんだけどでも、ガッシュと違って持っててちょっと恥ずかしいかも(ガッシュは恥ずかしくないのか?)。「スーパードルフィー」で作って「ドールズパーティー」で抱えてあるけば問題ないか。

 いろいろあって大変な気持ちを脳内北方謙三さんに相談する。「ソープへ行け」。いやそれはなるほど言いそーなことかもしれないけれど本当はもっといろいろ示唆してくることもあるんじゃなかろーか。やりたいこと、すなわち小説を書くことを第一義としてそれに不必要なことはせず時間を失うよーな他の仕事にも就かず、肉体労働で金を稼いでは小説に邁進した若い時代を超えて31歳でデビューし以後、常にトップランナーを走り続けてなお今もひたすらに成長を続ける男だけに、やりたくもないことに時間をとられ心も奪われている状況はおそらく看過できないだろー。ならばどーするか。情け容赦ない世界に汲々とすることを認めるか。とりあえずは新刊「ただ風が冷たい日」(角川書店)を読んで考えよー。ハチロクのレビンが走りジョージ・ウィンストンの「オータム」が響く80年代青年には目ウルウルのハードボイルド。格好良いぞう。

 1週遅れで「週刊サッカーマガジン」は女子サッカー「Lリーグ」の開幕戦をリポート。カラー写真で拳を振り上げ微笑む酒井與恵選手の嬉しそーな表情に心ズッキュンズッキュンです。そんなマニアはきっと他にいないだろーけど。あと走る荒川恵理子選手をとらえた写真に心ドッキュンドッキュン。スレンダーに見えてあれでなかなかに立派に胸板(板ゆーなー)を持っていることが写真から確認できる。突起? それにしても思い出しても地の果て「埼玉スタジアム2002」で開催のリーグ戦に足を運んで立ちっ放しで試合を観察して良い選手がいればピックアップしよーとしている上田栄治監督の、気持ちの1分でも1毛でも某代表監督にあればなあ。どーして村井選手じゃなくって羽生選手なんだろーなあ。謎。林丈史選手でもいーじゃんか。


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