縮刷版2004年4月下旬号


【4月30日】 ああもう2004年も3分の1が過ぎてしまったよ。とか思いつつ原宿まで電車を乗り継ぎ「ラフォーレミュージアム」で5月5日まで開催されている「超合金エキスポ2004」を半ば取材に大半は遊びで見物する。午前11時の開場と当時に上がるとすでに何人かの列が出来ていてあれば、きっと限定の品物を求めに来たマニアか誰かだと類推したけどオープニングから1週間が経ってまだ、こーして買いに来るあたりを見ると根っからのマニアってことでもないのかな。けどチケットがなければ買えないし1回1つづつしか買えない品物なんで、まだ残っている間を連日、買い出しに来てるプロの人だったりするのかもしれない。ご苦労なこってす。

 入るとそこにはショーケースにずらり並んだ超合金。代名詞にもなっている「マジンガーZ」を筆頭に、「ロボコン」から「ゴレンジャー」だか何かかずらりと並べられていて、よくもまあこんなにキャラクターが生み出されたものだと感嘆すると同時によくもまあ、これだけのものを超合金化して来たものだとその頑張りに感心する。中には超合金しにくいものもあったんじゃないかって思うけど、どれもこれもがそれなりに、超合金ってフォーマットの中に落とし込まれてそれっぽい雰囲気を醸し出しているからすごい。1番超合金化しにくいものって何だったんだろー? 「新世紀エヴァンゲリオン」の後ろの方の使徒とか超合金化しにくそー、ってかアクションフィギュアにだってガシャポンにだってなってない。昔はキャラはどれもが超合金化を前提に考えられていたのかな。

 アートな人による超合金への取り組みもあって例えばGROOVISIONSは例のチャッピーみたいな人間大のフィギュアを銀色に塗って超合金のイメージを出してたし、「アランジ・アロンゾ」はハコトンみたいなキュービックみたいなキャラクターのフィギュアで超合金とキャラクターの融合を計ってた。そんなアーティスティックな品物の数々にあってひとり「明和電機」はその名もずばりの「超合金 社長」を出品。つまりは土佐社長を象った超合金で背中に「パチモク」を羽根のように拡げ手には「サバオ」だかを持っていて、例の菜っ葉服に固めた姿で超合金的フォルムで佇んでいてもしこれが、このままの姿で商品化されたら欲しいと思わせるだけの出来に仕上がっている。

 テレビCMも作られていてこれもいかにも超合金的。別のブースで流れていた愛川欽也さんによるアカガマキンニコ」(赤提灯、1回我慢してキン坊ニコニコ)的なCMではなくストレートに商品の特徴を紹介する内容で、「マジンガーZ」なんかのCMに混じって流されていたら知らない人だとそーゆーキャラが「マジンガー」にも出てくるのかな、って思ったりしてしまうかも。「ボスボロット」なんてのが出てたくらいだし。「たのみこむ」あたりで商品化の企画とか立ち上がらないかな。1万円までだったら出すぞ。暴走族バージョンも出ないかな。

 ほかに目玉は東大の人が調合したとかしないとかゆー本物(?)の「超合金Z」のインゴット、かな。ケースに入っているけど上から手を突っ込んで手に持てるよーになっていて、実際に持つと片手ではなかなか長時間は支えられない重さでこれで作られていれば「マジンガーZ」、そうそう易々とは壊れないってことがよく分かる。けどこの重さがあの大きさならいったい重量は何万トンになるんだろー。隣には「ルナチタニウム」ってのもあって「ガンダム」だか何かに使われている合金で、持つと「超合金Z」よりちょっぴりだけど軽くなっている。強度が同じなら、あるいはチタンなんで強度が上を考えるなら「ガンダム」の方が「マジンガー」より軽くて強いってことになるのかな。

 前田建設ファンタジー営業部による「マジンガーZ」の基地「光子力研究所」の設計図面(超合金サイズ)なんかも飾ってあってこれをこのままの縮尺で出してくれれば超合金を集めている人にとって嬉しいかも。10万円までだったら出す人とか出そーだな。バンダイで商品化とかしないかな。帰りがけにせっかくだからとミニチュアサイズで再発売された「黒ライディーン」を1つ購入。アニメ自体への思い入れはあんまりないけれど、アニメに出てきた「ライディーン」の神話的なイメージを持ったフォルムの美しさとそして、超合金化されてもしっかりと受け継がれたそのフォルムと変形のギミックは、妙に記憶に残っていただけに改めてこーして手に取れるとちょっと嬉しい。けどもったいないんで開けずに箱を外から眺めてギミックと重さを想像のうちに味わおー。2万2000円とかの「ダンクーガ」はさすがに買えねえぜ。

 魔法が詰まった弾丸ってゆーと最近だとあれか、浅井ラボさん「されど罪人は竜と踊る」のシリーズあたりが思い浮かぶしちょっと(随分と)前ならアニメーションであった「星方武侠アウトロースター」なんかにも出てきた記憶があってまあ、目新しいギミックではないし街ひとつぶっ飛ばすくらいの力を持っている人間が出てきてそーした力への葛藤を抱きつつ前へと進む話だったら「トライガン」あたりを先陣に挙げればやっぱり幾らでも出そー。そんな既視感のギミックと設定に彩られた高殿円さん「銃姫1」(メディアファクトリー、580円)がだったら、データベース的な設定のフランケンシュタインかとゆーと決してそーではなくって、読んで抜群の楽しさを感じさせてくれるのはやっぱり、繰り広げられる人の心の奥底にある憎しみの気持ちの恐ろしさを暴き、それでもそうした感情を御して人間が生きていけるすばらしさを描いているから、なのかもしれない。

 とある宿。姉とゆーエルウィングーの胸元に顔を知らず埋もれさせていた少年セドリックが目覚めるとそこには連れだって旅をしているアンブローシアという名の少女が立って怒髪天。言い訳をしても直情径行のとおろがあるアンには効かず一悶着あったあとでよーやく宿を出た3人は、とある街へと立ち寄りそこでペチカとゆー名の少女の世話になる。父を市長に殺されたというペチカが密かにめぐらせた復讐に、巻き込まれることになった3人だけどそこでそれぞれが持ち前の力を発揮して事態を収める。憎しみが災厄をもたらし力が世界を破滅に導こうとするなかで、人を思う気持ちが放つ輝きが光明をもたらす展開が読んで胸に慈しみをもたらす。

 アンブローシアの若いのに波乱でいっぱいの人生に込められた憎しみにもとりあえずケリがついたと思ったら、今度はエルウィングに秘密が現れいったいどーなってしまうのかとこの先に興味津々。人を癒す歌を唄うのが仕事の癖してすさまじいばかりの音痴で唄うと癒されるどころか患わされる人も動物も続出で、彼女が山野で唄うと銃も弓矢も使わずに鳥やウサギが捕れてしまうとゆー、歩く電磁波娘とゆー突出した設定を持っている上に秘密まであってこれからのエルウィングをめぐるエピソードに期待大。実はお姫様なアンブローシアも加えた巨乳貧乳に挟まれ目立っていないセドリックが本領を発揮するのか、でもって当面の敵こと「銃姫」を奪って逃げた魔銃士のオリヴァントを倒すことが出来るのか。エナミカツミさん描く可愛いアンに豊満なエルのイラストともども追って行こー。

 洋ちゃん杉ちゃんはなぜにそこまでトゥルシェを嫌うのか。「ナンバー」2004年5月13日号の巻末コラムで杉山茂樹さんが相も変わらずの数学者ぶりを発揮しては「3−4−1−2」の布陣を批判しているんだけど、「チャンピオンズリーグ」と「UEFAカップ」でそれぞれベスト4に残ったチームがスペインとイングランドとフランスとポルトガルだってことをまず挙げて、スペインとイングランドにはピッチをワイドに使うチームが多く、”負け組”となったイタリアにドイツには「3−4−1−2。負け組は2〜3年前までこの布陣が支配的だった」って続けてる、その論旨の組み立て方にどこかぎくしゃくとした所を覚えてしまって、そこに何かの作為めいたものを感じてしまう。

 なるほど残っているチームに「3−4−1−2」とやらはないかもしれないけれど、そんな彼らに破れ去ったチームだって別に「3−4−1−2」だった訳じゃない。レアル・マドリッドにしたってアーセナルにしたってA・Cミランにしたって「3−4−1−2」の布陣が2〜3年前まで支配的だった訳じゃない。むしろ選手をどう揃えどう使うかってゆーマネジメントの部分での差異が勝ち組と負け組を分けたよーな気がするんだけど、そーゆー論拠にはまるで触れないでただ、イタリアとドイツは数年前は「3−4−1−2」が支配的だったらしーと言い、だからこそトップ8に残れなかったと示唆している。これって本当? 去年のチャンピオンズリーグの決勝に残った2チームってどこだったっけ? そこって「3−4−1−2」の布陣を組んでたっけ? 分からない。

 ともかくそこに「3−4−1−2」がとりたてて劣るってゆー論拠を見いだすことは難しいんだけど、アクロバティックにも強引に「3−4−1−2。負け組は2〜3年前までこの布陣が支配的だった」と言い切ってなおかつ「今もその傾向にあるチームが多い」とつないでとどめの言葉。「そしてそれは日本についても言える」と持っていく。五輪代表は確かに3バックかもしれないけれど、A代表は神様ジーコが信奉する4バックがメインだぜ。なのに「A代表のサッカーも、傾向は類似する」と言ってしまうその論理の、根拠ってどこにあるんだろー。もしかしてチェコ戦での布陣を今日発売の雑誌に設けられた数週間は前の締め切り時点で予想していたのか。だとしたらちょっとすごいかも。

 「巷には、4バックよりもトゥルシェ式3バックの方が、日本人には合っているなんて声も当たり前のように湧いていると聞く。心配せずにはいられない」。つまりはこれが言いたいがための「チャンピオンズリーグ」なり「UEFAカップ」の今年限定のベスト4分析であって、そーした傾向を挙げて3バックの、とゆーよりトゥルシェ前日本代表監督その人を非難したかっただけのよーに見えてしまう。なるほど日本人には3バックが合ってるって声は今もあるし、あのチェコ代表を相手に守りきったのも3バックだったけど、それは決して全面的なトゥルシェ式3バックだったんじゃない。そもそもトゥルシェ式3バックって何? フラット3? そんなものはもとよりひとつの尺度でしかなく、臨機応変にブレイクしては参集を繰り返していたチームが繰り広げていたのは、”ただの”スリーバックでしかない。

 誰も言っていない「トゥルシェ式3バックの方が、日本人には合っている」なんて言葉を引いて「心配せずにはいられない」とつなぐこの誘導ぶり。比較する欧州トップモードとやらがどれだけの資金と才能によって支えられているのかを考えた時、そのモードだけを素早い情報収集とやらで日本に移入したからといってそのまま有効に機能するのかどーかといった、思考がまるでなされていないとろこにザラリとした違和感を覚える。欧州トップモードを常にテレビで明け方まで見入っているイビチャ・オシム監督が採用している布陣は何? BSがあってCSがあってネットがあって雑誌もあって、欧州は昔に比べてはるかに近くなっている。情報は取り放題だし捨て放題で、そんな中から日本のチームはよりベストな布陣を強いているんじゃなかろーか。今の欧州で使われている戦術こそがトップモードってゆー杉山さんの「情報の取捨選択に、僕は大きな誤りがあるように思えてならない」んだけど。トゥルシェ憎しの念って奴なのかなー。


【4月29日】 「自慰子抄」より「報告(自慰子に)」を読む。「日本代表はすつかり変りました。あなたの怒髪天を衝くほどこだわっていた あの守れずこねくりまわすアレックスのいるフォーバックが とりあえず存在しないことになりました すっかり変つたといっても、それは偶然による変革で(中村高原柳沢の不出場と楢崎の確変と人はいひます。) 内からの信念であなたのやうに、フォーバックと黄金の中盤によるクリエイティブな個の力によるサッカーを 監督生命をかけてしんから望んだ そういう自己主張の結果得たのではないことが あなたの前では誇らしい。あなたは頭の中の自由を求めています。求められたって困る組織化された現代サッカーにあって、あなたがあんなに求めたものは、結局あなたを時代遅れの戦術の内に据え、あなたのチームをこはすでしょう。あなたの解任を今こそ願う。日本代表の形は変りましたが、あの苦しみに再び戻るかもしれない変革だと、あなたに報告するのはむなしいことです」

 つまりはそれだけのことであって次、同じよーな状況が訪れるとはにわかには信じがたいんだけど、無理して出ると言った中田英寿選手を説得して出さなかったところとそれから、一応は来ていて怪我もあんまりないことになっている柳沢敦選手を先発させず後半18分まで出さなかったところに亀の歩み寄りも遅いながらも進歩が見られていたりするのかも。あとは宮本選手中澤選手のセンターバックが復帰して来た時でもやっぱりスリーバックのままで行ってアレックス選手を前で使うかあるいはフォーバックなら左を三浦淳宏選手にするかってあたりが立ち直ったかどーかを判断する分かれ目か。夕べのチェコ戦でのアレックス選手のまあ、余裕を持たされていたとはいってもそれなりだった働きぶりから勘案すれば当然、フォーバックの左ではもー使いたくないよね。それでもなおかつこだわるよーなら苦しみは再び三度現れる。その時こそ、中止になった人文字の復活だ。

 「FRIDAY」の5月14日・21日合併号を買う。目的は上戸彩さん田中麗奈さんのパン……ではなくって「騒然!人物ワイド」に登場のサッカー日本女子代表、川上直子選手の記事。何で宮本ともみ選手でも澤穂希選手でも荒川絵里子選手でもなくって川上選手なのかは謎だけど、見出しから類推するにきっと編集部では川上選手がだれよりも1番「小柄でキュートでナンバーワン人気」だったんだろー。その掲載された写真を見ると例の「新宿十二社 熊野神社」で買ったとかゆー烏のお守りがパンツのゴムの所に縫いつけてあるのを発見。写真で見る限りぶら下がっている風はなくってそこに外から縫いつけてあるよーなんであるいは、試合の中継でも何度か写っていたのかもしれない。てっきりインナーの中の人肌に触れる場所とかに挟んでいたかと思ったよ。それだったら十万円払ったって欲しかったけどでも、パンツの外でも腰当たりに密着していたってことでいつか染みた汗ともども、譲り受けたいもの。オークションに出たら買おう(出ませんってば)。

 まったく超休日だってーのに超早起き(午前7時)して青海にある「日本科学未来館」で始まった「PlayStationと科学展」のオープニングを取材。「プレイステーション」に詰め込まれているすっごい科学を全部ぶちまけちゃうって内容で行くと「PS」の中で入ってきた情報を叩いて伸ばして丸めてふくらませる仕事に就いてる1300万人のこびとさんたちを拡大鏡で観察する展示が……なかったけれどかわりにそんなこびとさんたちが引きこもってる「エモーションエンジン」とか、お絵かきのこびとさんたち専用の「グラフィックシンセサイザー」とかがどーゆー働きをしているかってゆーモデルとか、初代「PS2」からバージョンが上がって集積が進んだため小さくなっていったヒートシンクの状況を見せる展示とかがあってゲームが実は科学のカタマリだったんだってことが分かるよーになっている。ファンタジーではなかったか。

 シリコンのインゴットなんてのも転がっていてこれを1本貰って変えると貧乳の人とか喜ぶかも、って思ったけれどそれはシリコーン違いなんで断念。あとは「PS」に独特な計上のコントローラーがどーゆー課程でデザインされていったかを並べた展示とかもあってゲームファンとかプロダクトデザインを志す人にとっては貴重かも。発売当時からの特徴的なCMが流れている小さなモニターもあるでこっちは広告業界を志す人は要チェック。見てみると今に至るまで約10年、似たコンセプトでずーっと来てたんだってことが分かって面白い。こーゆーこだわりがあってこそ、あのブランドが日本に定着したんだろー。それをハードの性能なりプロダクトデザインのおかげと勘違いしだすとマーケティングもプロモーションも無視の得体の知れない商品が出て山積みになるとゆー。なんとかエックスって奴だ。

 目の前で「PS2」を分解するイベントもあってなかなか。でも梅崎真紀ちゃんと違って2時間かけて組み立てるなんてことはしません。どこに持っていったんだろ。組み立てられる人にはプレゼント、ってんならもらうけど。でも初代だからないー、リージョンフリーの(違います)。そんな科学がいっぱいの展示にあってなぜか子共たちに人気なのが、2Dのゲームを表現するために置いてある、ハンドルを操作して車を左右に移動さえながらバックを転がる道路を進んでいくってゆー昔からゲームセンターに置かれていたドライブゲームの模型だったりするのがある意味皮肉っぽくってちょっと受けた。

 シンプルなんだけど分かりやすいってところがなるほど、子どもたちには肝なんだってことを教えてくれているよーで、科学だ何だとハード自慢をしたりポリゴンだ何だとソフト自慢をする一方で、楽しさってものがどこから来るのかってことをもーいちど、考える良い展示になっている、って別にそーゆー意図はまるでなかったんだろーけれど。バネでボールを飛ばして放物線を描いて穴に放り込む装置なんてのが人気なのも本来は物理と数学の必要性を説く展示なんだろーけど子供には一種のゲームとして受けてたし。「アイトーイプレイ」なんかも置いてあるんでそれなりに遊べはするけれど、「東京都写真美術館」でやってたよーな、旧いゲーム機を並べてプレイラブルにしたたりといった、元ゲームキッズだちのノスタルジーに働きかける展示にはなっていないからそーゆー関心で行くと肩すかしを食らう可能性は大。場所も場所なんで科学とデザインを宣伝の凄味を見るなり自由研究に来ている小学生を観察に行くなり、目的を持って行くのが良いでしょー。どんな目的なんだか。

 ぐるりと回って池袋でパソコンをドック入りさせついでにケラレが出てた「istD」用に外付けフラッシュを買ってから「ジュンク堂」で三浦靖冬さん「とわにみるゆめ。」(ワニマガジン社、857円)を購入。前の「おつきさまのかえりみち」と同様に、濃密に描き込まれた線による背景と小田いで次さんを鬼頭莫宏方向にシフトしたよーな(どーゆー例えだ)、あるいはあびゅうきょさんのタッチを立体的にしたよーな(これもどーゆー例えなんだ)キャラクターたちによって繰り広げられるストーリーでこれもやっぱり「おつきさまのかえりみち」と同様に、ロリ系のエロい描写があるそっち系のコミックの体裁を取っているんだけど、そーしたエロい描写をストーリー的な必然としながら、ある人物の”身代わり”として作られたロボットの少女が街へと逃げだしそこで出会った青年と、心を通わせ体を重ねながらもお互いに抱えるそれぞれの事情なり、心理なりから1つになれないでいる葛藤めいたものを見せてくれる。

 セクサロイド的な機能を持たされた少女ロボットが作られた理由の部分で別にドラマもあって、そちらもそちらでなかなかにシリアスな事情があって抑圧がコンプレックスを呼んで人間の心を歪め体を歪める恐ろしさと、結果立ち現れたものの美しさを感じさせて良い意味と悪い意味の両面から身震いさせてくれる。なるほど2重の意味での身代わりが青年の元へと現れた少女のロボットには込められていたってことでその狭間で、プレッシャーを味わい続けた人物が、最後に見せた爆発も理解できる。祖父への畏敬と兄への思いが交錯するなかで滅私した挙げ句に訪れたすべてをひっくり返す事態。すべての苦労が水の泡となって消えた時に、自分を差し置いて愛を得た身代わりが許せなかったってことなんだろー。

 ひとときの愛を得たロボット少女に記憶の奥底へと思い出を刷り込んだ青年よりも悲惨な人生。故にだからこそ美しさを放って他のキャラクターたちを超えて読む人に迫って来るんだけど、個人的にはもーちょっとだけ目立たせて欲しかったって気もしないでもない。ともあれ傑作。SFとしても超優良。問題はやっぱりエロってカテゴリーにあって目に付きにくいし手に取られにくいってことだけど、読んで損なしの1冊なんでこれも体に不自由を抱えた少年少女が自由を求めた果てに崩壊する悲劇を描いた連作も入っている「おつきさまのかえりみち」ともども買って繰り返し読もう。見あたらない人は池袋の「ジュンク堂」に行け。どっちもあります。なになにまたやるの「文学賞メッタ斬り!」対談。


【4月28日】 こんどのゲッツは泣けるぜ。課題図書で回ってきたゲッツ板谷さんの「許してガリレオ」(ダイヤモンド社)を読んで強面にして巨体のゲッツ板谷さんが、その内奥に純真で繊細なハアトを持っていたってことを知る。子どもの頃に世話になって少年時代は迷惑をかけまくったバアさんが病気で死の床についている所へとたった1度だけ見舞いに行って、狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めにされたベッドの上で微睡むバアさんから、自分は良いからガンの闘病をしている母親の方へと見舞いに行きなさいよと諭されたエピソード。パジェロで走っていた高速道でハイビームで付けてきたスカイラインのドライバーを引きずりおろしてさあ締めようと意気込んだら、そのドライバーがしばらく前にパジェロに婚約者を跳ねられ殺されてしまった話を聞かされ赦したエピソード。人生の哀感をつかまえて書き記す筆の技の何と巧みなことか。山とある悪事と失敗談を垂れ流していただけの時代は今や昔のゲッツさん。これなら小説だって苦しまなくたって書けまっせ。

 仕事先で新聞から広告を抜き出して手の届かないマンションの広告にため息を付きつつ、入っていた千代田区の「ちよだ区議会だより」を何とはなしにながめて仰天。2月26日に開催された「第1会定例区議会」での一般質問の様子が抄録されているんだけどその中で、自由民主党議員団に所属する小林やすお区議が「生活環境条例で全国的に知られている本区で、秋葉原はアダルト系PCゲームの看板やチラシなど、子どもに有害な情報がはんらんしている。また、この地域は小学校の通学路も多く、性犯罪や傷害事件につながらないかと懸念もする。新年度予算では、青少年健全育成対策として、青少年モニター制度やPTA巡回パトロールなどが新規計上されているが、早急に具体的な取り組みを進めるべきではないか」って質問をしたことが紹介されている。

 答えて区の人は「青少年対策地区委員が中心となって、風俗産業の刺激的なポスターや看板などの自粛を事業者に働きかけるとともに、ショウ・中学校PTA巡回パトロールの実施に向けた取り組みをする」と言って対応を約束しているんだけどもしもそんなことをされたら今度、「ヴェネチア・ビエンナーレ 第9回国際建築展日本館展示」で森川嘉一郎が今の日本を象徴する街並みとして紹介しよーとしているあの光景が、一網打尽に根こそぎばっくり壊滅させられてしまう可能性なんかもあって、ちょっと心配になって来る。

 より詳細に発言を記録したPDFファイルもあって、その「平成16年千代田区議会第1回定例会議事速記録」によると小林区議は「問題なのは看板です。通学路から見える看板は販売が目的のため、目につく位置に置いてあり、絵売り女やコスプレ嬢、そして、アダルト系PCゲーム看板を初めて見た観光客や買い物客は、秋葉原にも風俗街ができたのかと思うことでしょう」「アダルト系の美少女看板やPCゲームのチラシなど、わいせつや暴力賛美の情報のはんらんは、大人や子どもたちの興味をそそり、性犯罪や傷害事件につながる可能性は、昨年のデータを見ても大きく懸念されるところであります」と指摘している。

 なるほど人によっては違和感を覚え眉をひそめたくなるよーな、エロい画像が出ている所もあるけれど、見てそれが人を猥雑な気持ちにさせるかってゆーと、正直疑問のよーな気がする。だってただの絵じゃん、それでリビドーを高められる人って相当に、漫画を読みアニメを見てあれを女性と認識するよー、訓練されているんじゃない? ヌード写真のポスターだったらいざしらず、普通の人があれを見ても感じることって異形な少女の異様なポーズのイラストってだけなんじゃなかろーか。絡みも何もない訳だし。

 むしろ電車の中吊りとかに出てくる水着の写真とそれから扇情的な見出しの方が、普通の感性の人を興奮させるよーな気もするけれど、そーゆーものを規制する方向を差し置いて秋葉原の現状を挙げて指弾するところに得体の知れない陰謀の策動みたいなものを覚えてしまう、ってまあ、地元の議員が昨今の性犯罪の増加を憂いつつ元凶と報じられた秋葉原を挙げただけなんだろーけれど。ともあれ昨今の表現に対するプレッシャーの強まる状況を見るにつけ、こーやって政治の現場で積み重ねられていく議論がいずれ、秋葉原の街からあの光景を奪ってしまう可能性は大なんで、記録しておく人は今のうちに写真を撮るなりビデオに残しておく方が吉かも。ひょっとすると「ヴェネチア・ビエンナーレ」で大評判を読んだ結果、それこそ”世界遺産”として残そうなんて動きが……出ないよなあ、やっぱり。

 「自慰子抄」を読む。「更迭された自慰子が造りあげた日本のA代表は 2年の混迷にどんより澱んで輝きを失い、いま緑のピッチに蹲って石のようだ。ひとりで6月の初夏の朝の暖かい時、このチームをそのまま育ててくださいと、おのれの退任後にA代表を遺していった都留四絵を思う。おのれが采配への完璧な自信に満ちあふれ、もうぢき強くなると思いこんだ果てに 自慰子は独逸世界杯出場の願いを葬った。2年の狂気は死んで終わった。ピッチに見つけたこのA代表の腐臭ただよう温さを わたしはしずかにしずかに味わう。狂喜乱舞の独逸世界杯の叫声も この空漠を埋めがたい。あわれな日本代表の未来を正視する時、世界サッカー連盟はこれを遠巻きにする。6月のあの歌も絶えた」

 「そんなにもあなたは中田ヒデを待っていた かなしくも緑のピッチの横で ボローニャからかけつけた満身創痍の中田ヒデを あなたのふるえる手がピッチへと送り出した キャラメルコーンの香気りが立つ その不世出の天才フットボーラーなる中田ヒデのプレーは ぱっとあなたの意識を異常にした あなたの白く濁った目がうつろに揺れる カンタレッリコーチの手を握るあなたの力の弱々しさよ あなたの自信に揺らぎはなく こういう世界杯出場の瀬戸際に 自慰子はやっぱり自慰子のままで こだわりの采配を一瞬にかたむけた それから90分 いつもピッチで聞くホイッスルが長く響き あなたのチームはそれなり止まった 過信の果てに逸した世界杯のスタジアム脇に かなしく涙する中田ヒデが今日も佇む」

 「自慰子は見えないものを見、聞こえないものを聞く。自慰子は行けないところへ行こうとし、出来ないことをさせようとする。自慰子は現世(うつしよ)の日本代表を見ず、日本代表の向こうにあるべきセレソンにこだわる。自慰子は規律の大切さをさっさとすてて、果てしない過信の自意識圏を突っ走った。A代表をコールするサポーターの叫びがスタジアムに響くが、自慰子はもう世界杯出場の切符を持たない」。うーんあんまり上手くないんでその辺、パロディパまたはスティーシュの上手な人に詩心を持って完全版「自慰子抄」をしたためて頂きたいもの。それをインド戦のスタジアムで観客全員で詠唱すると。でもブラジル人なんで何を言われているのか気が付かない。ダメじゃん。


【4月27日】 「スポーツ報知」の大勝利。だと個人的に思ったのはもちろん昨日行われたアテネ五輪の女子サッカーアジア予選決勝「日本女子代表vs中国女子代表」を報じた紙面のこと。むちゃくちゃ詳細に紹介されているとかいったことでは当然なく、使われている写真が1番良かったってことで中面で小さく報じた「東京中日スポーツ」は論外としても、1面でブルーのスパッツの奧まで見せて横っ飛びする大谷未央選手を写した「スポーツニッポン」すら上回って「スポーツ報知」の写真は素晴らしく、北朝鮮戦があった翌日の澤穂希選手の肩ひも丸見えショットを超えた今大会関連ナンバーワン写真と勝手に認定する。おめでとう。

 一体何がそんなに素晴らしいかと言えばまず、写っているのが丸山桂里奈選手ってことが素晴らしく、選手団の中でも見目で言えばトップクラスのその容姿が、両脇を中国の選手に挟まれ苦悶する表情で正面から捉えられていて、見るほどにその苦闘ぶりが伝わってくる。加えて左袖を引っ張られていることで襟元からのぞく白い肩。澤選手のよーには筋肉が盛り上がってはいないけれど、それなりに締まった質感を持ってアスリートならではの強さとそして、女性ならではの艶やかさを同時に放って見るほどに引き込まれる。触れるとやっぱり固いのかな。

 そしてとどめが左袖を上へと引っ張られたことによって浮かび上がったボディのライン。つまりは右脇から左肩へと布地が引っ張られることで、右の胸部も下から引っ張り上げられ真正面ながらそれなりの陰影をもって見る目に量感のある山嶺の存在を伺わせてくれている。これが筋肉に覆われた澤選手だったら更に、とか宮本選手だったらあるいは、とか考えてしまうけどそーしたベテラン選手と違って、まだ学生の丸山選手の若さあふれる胸部がそこに、存在しているんだってことを改めて認識させてくれて嬉しくなる。白いパンツが雨に濡れた関係で下から浮かび上がる何かへの、妄想もあれこれ浮かぶけれどそーした写真は新聞だけにとりあえずなし。夜の中継を見ても遠目が多くてあまり映っていなかっただけに、そのあたりはブームと見て乗り込んだだろー一般メディアのカメラパーソンたちのがんばりに期待しよー。

 しかし負けてしまったってことは川淵三郎キャプテン、約束どーりに報奨金は40万円しか払わないつもりなんだろーか。なるほどそれが厳しさって言えば言えるけど、試合自体は不可解な、それはもーハンガリー戦で日本代表が食らってPKを取られ、ジー子監督が不平不満をチェコに入っても引きずってぶつぶついってる、茶野選手のプレーに対する判定よりもはるかに不可解な判定でもって、PKをとられ負けただけであれがなければ勝っていた可能性だってある訳だし、また一方では予想以上の感動を与えてくれた対北朝鮮戦の勝利だけで、充分に”優勝”に値すると思えて仕方がないだけに、太っ腹にも10万円くらいポンと上積みしてやって、50万円を1人づつに払ってやって欲しい物。頑張れば付いてくる、って事実がどれだけの夢を与え未来をもたらすかを考えたら、安いものだと思うけど。

 約束だから理由が立たないってそれでも言うなら、ここは選手ではなく選手たちを支えた家族への「よくぞここまで育ててくれました」的慰労金とか、あるいは選手たちの面倒を見続けているクラブへの「よくぞここまでの選手にしてくれました」的奨励金として払ってあげるって手もあるよーな。それだと代表を出していないものの一方ではLリーグに参加して女子サッカーを支えた他のチームに悪いってゆーなら、リーグ全体の報奨金なり助成金の上積みとして20人分の200万円にまあ、色をつけて1億円とか払ってあげれば格好良いんだけどねえ、川淵キャプテン。代表だけで女子サッカーは育たないんだし。

   あさぎは容赦ない。ってことを思い知らされたあずまきよひこさん「よつばと 第2巻」(メディアワークス、600円)は映画に感化されたよつばが水鉄砲を片手にお隣さん家へと乗り込んではお母さん半分殺して全部殺して恵那も「おんなこどもはやらない」と言いながらしっかり殺し、風花は鼻の穴から水を放り込んで殺そうとしたけど死なず最後にあさぎの所へと向かって銃を向けたものの弾切れとなって流しで補充し再び立ち向かった銃を奪われ撃たれ撃ち抜かれ水をかけられ完膚無きまでに殺さる。あさぎ情け容赦ない。けどスイカが出てきてよつば復活。あさぎびっくり。でも別の巻では母親のショートケーキのイチゴを奪い、よつばのイチゴも奪おうとする容赦なさ。けど良心が咎めたのかよつばのは食べずに返却。容赦ないけど根は小心、かも。

 新キャラのみうらちゃん。男の子かと最初思ったけれどよつばが側溝から浚ったかえるを見て怖がって後じさりするシーンでの足の揃い方腰の引け具合が女の子っぽかったんで女の子だって認識する。けど水着も下着も出てこないからもしかしたら違ってるのかも。見せろ。あさぎの代わりにプールに連れて行かれた風花のビキニスタイル。「ウエストに肉がちょっと余っているのがマニアックでいいよな」とゆージャンボの言葉に心底より納得。たしかになかなかなにソソられます。つまんでみたいつついてみたい。一方で競泳水着スタイルの監視員のお姉さんのボディにも惚れ。肉が余ってるってよりは筋肉が張っている感じの肩幅とショートの髪型が素晴らしい。こんなお姉さんがいるプール、誰か知りません?

 文世ちゃんも容赦ない。宮本福助さんの「拝み屋横町顛末記二」(スタジオDNA、552円)に出てくる長屋の家主で古くから済んでる隠居たちの悪巧みにも動じないどころか逆に斬って返す容赦なさ。けどその父親の容赦のなさはさらに輪をかけてすごくって、冬に窓ガラスを全部外すは拝み屋でも恐れる凶悪な例をけしかけるわとしたい放題。おまけに謎の箱を向けて寿命を五年も奪って封じ込めてしまうんだから、奪われた方も今日死ぬか明日死ぬかと戦々恐々の日々だったんだろーけど、そーやられたことで結束して隠居する年まで生きられたってことの背景には大家のいじめがあったってことで、案外に店子思いの人だった……訳ないなあ、30年も脅かされ続けたんだから。隠居3人組の活躍が多くて女っ気が少ないのが2巻の個人的な難点か。その辺で次巻に大きく期待。


【4月26日】 新聞社といったらすべての情報が真っ先に集まる最先端の情報拠点だと、思ったら大間違いなのは記者がときどきパソコンをチェックしては、巨大掲示板に流れる速報を見てわしわしと広報に電話して確認を取ったりするのが常態化していることでも明かだけど、そーした細かいトピックは別にして、それなりにバリューを持った情報ですら速報として伝わっていない状況に直面するとさて、これはいったいどーゆーことなんだろーかと頭にハテナまーくが浮かんでマイムマイムを踊り始める。1つだけビックリマーク。

 藤田田さん、って言ったら日本マクドナルドを作って日本にハンバーガーのあの味を染み渡らせた張本人だけど、そんな人が亡くなっていたことが今日になって分かって新聞各社がネットに情報を上げ、通信社各社がフラッシュを打ちまくっているのが外にいる自分の所にも伝わってきてこれは一大事と会社に電話して「藤田田どーする?」と聞いたら返ってきたのが「藤田田が何かした?」って反応だったからひっくり返る。次の仕事が迫る中で支持を待ってたら出足が遅れるんでとりあえず30分で評伝をでっち上げて送稿したけどそんなんで新聞を作ってて良いのかと自己嫌悪、はしませんいつもそんなもんだから。

 時事通信のファクスが入り端末が置かれデスクのワークステーションから共同時事のチェックも可能で最近ではブルームバーグの巨大端末も入って情報武装も完璧な中で大勢の偉い人たちが詰めていて、誰1人として気付いていないってのが怖ろしいとゆーか悠長とゆーか。忙しい現場の仕事をその日だけは捨てさせられて、持ち回りで時事のモニターを選別する補佐が1人いるはずなのにそれすら機能していないってことなのか。それだけ今目の前にある紙面を埋める仕事に邁進していて、刻々と入ってくる情報に対処できないってことなのかも。人の余裕のなさが気持ちの余裕を奪って挙げ句に懐の余裕を無にするデフレスパイラル、ハマり切ってます。

 んでもって早売りの「週刊サッカーマガジン」と「週刊サッカーダイジェスト」のともに2004年5月11日号。どちらも昨日の夜にあったサッカー日本代表の対ハンガリー戦の結果を写真ともども入れているのは凄いけど、1番のトピックだったジーコ監督のユニフォーム”プレゼント”事件に触れられていないのが不気味とゆーか不思議とゆーか。あの時間帯で底まで見ている余裕もなく、試合の中で書き続け終わったと同時に書き上げ印刷所へと回った関係で最後のシーンを見ていなかったのかも。かくゆー僕も試合にあきれ果てて試合終了と同時にチャネルを変えてしまってそのシーンを見てません。勝ち組か負け組か。これがきっかけで、ってな感じの歴史的な場面になることを祈りたいんだけど。

 それにしても微妙な選評。選手の採点で6点を付けられたジーコ監督への「週刊サッカーマガジン」のコメントが「一時は追いつくなど、交代策も決まった」ってなっているけどあれを策って呼んで良いのか悪いのか。ランキングで下位の相手のそれも西欧の強いチームでプレーしている選手が皆無な相手を攻めあぐねて0対0の膠着状態が続いているのを打破して見せた交代だったら「決まった」って言えるけど、格では下の相手に2点をリードされてマイナスになっていた状態を、交代によってゼロに戻しただけのことだろー。

 例えるなら経営に失敗して会社を赤字で借金まみれで債務超過にしてしまった状態に、かろーじて打った新たな資金の導入が、見てくれの決算書をとりあえず黒字にしてみせただけで本質的な負債とか、構造的な問題とかはまるで解決されていないにも関わらず、よくぞどこぞ(ヒトリデデキタ?)から資金を引っ張ってきてくれましたと感謝するよーなもの。まるであり得ないことがサッカーの、とゆーかジーコ監督では成り立つってのが不思議で仕方がない。それがつまりは神業、って奴なんだろーけれど。普通だったら赤字へと転落させ経営をガタガタにした責任を非難されて辞任に追い込まれているだろーな。あるいは取締役会で解任とか。

 そーいえば大昔、そんなことをされた老舗百貨店の経営者が取締役会の席上で「何故だ!」って叫んだことがあったっけ。置かれた立場の分かっていないっぷりにかけてはその上を行く我らが代表監督も、そんな状態に追い込まれればやっぱり「何故だ!」って叫びそーだな。強化委員長の上着を奪い取ってキャプテンに投げつけたり。まあ「サカマガ」も同じ号のメイン記事では「確かに0−2からリアクションを見せた。しかしゲームに入るのがいかにも襲い。警戒していたセットプレーで2点を失う前に、眠りから覚めることはできないのだろうか」と苦言を呈しているから事の本質はしっかり掴んでいる様子なんで安心。

 メイン記事でも言葉の端々に見え隠れする不満と不審のニュアンスが伝わって来るんで、次のチェコ戦の結果いかんでは直撃インタビューで相手に馬脚を現させたり修辞的なテクニックで暗愚さを仄めかせるんじゃなく、自身の筆で論陣をはりまくり出す可能性もあるかも。キャバクラで寿司を投げるより悪いことなのかどーかも含めて審判への交換してもらったホームチームのユニフォームを投げつけた行為への是非も含めて次号での論調が楽しみ。ああっ来週はゴールデンウィークで出ないのか。

 真夜中に女子サッカーのアテネ五輪予選決勝。山郷のぞみさんは神でした。中国女子代表の強烈なシュートを横っ跳びして手1本で触って外へとはじき飛ばしたプレーはまるで男子のリーグを見ているよーで、この活躍があれば希望している欧州への移籍だって出来てしまうかも。PKの場面は微妙で相手がターンしてスリップダウンしたよーにも見えるんだけど仮に触れていたとしても、それがPKになるほどハードなプレーだったとは思えないだけに可哀想になる。けど上田栄治監督もやっぱり神。苦言は言っても不満は言わずむしろ糧にしつつ前へと進む気概をインタビューで語ってくれてなっるほど、こーゆー度量があの豊満な女性選手たちを包み込んだのかと納得する。これで上田監督がベンチに戻ってきた選手のユニフォームを剥いで審判にぶつけたらビジュアル的には面白かったのかもしれないけれど。もちろん僕はあとで審判に電話して「ぶつけられたユニフォームを売ってくれ。100万円」とか言うんだけど。汗に雨の染みたユニ。おタカラです。


【4月25日】 自宅に帰って録画で見返して応援の声の大きさと揃いっぷりを改めて確認。グループリーグでの2試合ではナリを顰めていた代表応援チームがコールの指揮を取ったみたいで双眼鏡で確認したらゴール裏の最前列、フラッグのポールを握った人たちの間に金髪長髪の人の姿が見えたけけどあれが有名なリーダーの人なのかなあ、でもサングラスだったんではっきりしたところは不明。さすがに3万人もの人が集まる試合だと、Lリーグで東京から加古川菅平へと遠征していく熱心な人たち(逆に関西からだと埼玉に平塚といった各地)の頑張りだけでは束ねられないってこともあったのか、今回は応援も代表の人たちの1本(と後はTASAKIペルーレの同僚の人たちが少し)に統一したのかな。だとしたらとりあえず大成功ではあった。

 北朝鮮の応援が早くから始まってブラスバンドも鳴りだし揃った声が響いていたのと対称的に、日本側のゴール裏では太鼓も鳴らず声も出ず、だた相手の応援にブーイングするだけでもしかしたら応援する人たちが四分五裂でもしているのかと心配したけど、選手紹介が始まる前あたりから太鼓も鳴り出し声も出始めそれがメインスタンドからバックスタンドから広がってスタジアムの4分の3を包み込むよーになった結果、スタンドの両端で交互に違うコールが飛び出しては連携する形で場内をいっぱいにしていくパターンとは違った、一体感のある空間がそこに現れた模様。メインスタンドで総立ちになって「ニッポンニッポン」なんて声を張り上げる人たちを見たのって、最近だと「ワールドカップ2003日韓大会」での日本代表戦のパブリックビューイングの時くらいだったからなあ。それだけ応援したくなる試合だったってこともあるんだけれど。

 あと北朝鮮の応援団の礼儀正しさにも良い感じ。試合が終わって北朝鮮の選手達が引き上げてもずっとバックスタンドに残って、ウィングランを始めた選手達が近くに来るのを待って拍手をしていたのにはなるほど、これがノーサイドの精神かと感心した、ってそれだとラグビーか。けど選手達の気が急いていたのかそーやって待っていた北朝鮮の応援団の前を3人ばかり走り去ってバックスタンドに陣取る関係者が集まった席へと向かったものだから、選手たちがそーした声にまとまって返礼をするシーンが見られなかったのがやや残念。義務では別にないけれど、どんな相手であっても礼には礼を尽くすのが度量って奴だろーから。何人かでも残って臆せず手を振って応えていた選手の人たちには感謝。

 明けてスポーツ新聞各紙も大々的に女子サッカーを取り上げているのを確認。これでアトランタ五輪に出場を決めた若き男子代表みたいなブームが来て澤穂希選手が「ラ王」CMに出て飛行機からパラシュートで飛び降り綺麗に着地して見せた後ろで山本絵美選手が木にひっかかってジタバタしている場面とかが、テレビで流れたりするのかどーかは知らないけれど澤選手あたりがシュートを決めるシーンをスローで送ったりする映像なんかを使ったCMは出てきそう。キャノンがデジカメで使えば……女性版中田英寿選手だな、名実ともに。「日刊スポーツ」4月25日号の3面で北朝鮮の選手に袖を引っ張られて肩口が見えている澤選手の写真の盛り上がった筋肉に必死の形相、キまくってます、金剛力士です吽形像です。

これが日本女子代表を勝利に導いたアイテムだ。谷間に挟んでいたのかな。先行き心配な男子のA代表にも付けさせよう。ヒモでくくりつけるんだ。どこに? 男子だけに(以下自粛)  そんなクローズアップされた澤選手や他の選手達のどこにいったいぶら下がっていたのか知りたい烏のお守り。増島みどりさんのリポートによれば何でも決戦の朝に近所の十二社熊野神社に詣でた時にそこで売られている「八咫烏」のお守りを見つけて全員で買って身につけて試合に臨んだそーであるいは上半身を揺れないよーに抑える衣類の下か、それとも下半身を包み込む衣類の中かどこかに入れていたのか知りたいけれどそこは女子選手だけあって、もっている裁縫道具でシャツの裾に縫い込んでいたのかもしれない。身につけていたんだとしたらそこに染みこんだ勝利の汗ともども是非に勝利のお守りとして譲り受けたいものだけど、こーゆーのってブルセラとやらになるのかな? ブルーなセラフィムたちへのリスペクト、って意味だよ。

 そんなエピソードを聞いていてもたってもいられず早起きしたまま電車に飛び乗り1時間ほどかけ新宿へとたどり着いて新宿西口公園まで歩いて「十二社 熊野神社」に我らが女子代表を勝たせてくれたお礼参りをする。似たことを考えたサポーターできっと大にぎわいになっていると思ったけれど午前九時半ごろの境内は掃除をする人が2人に近所からやって来た参拝客が数人程度と静かなもので、エピソードを読んでお礼参りに来る熱心なサポーターを捕まえ話を聞いたり、これが勝利のアイテムだって感じで可愛い烏のお守りをリポートするメディアはまるでなし。なんだかんだ騒いでたって、こーゆー所に女子代表へのブームがまだまだ一過性で一時的なものなのかもしれない可能性が現れてるのかも。まあ朝っぱらからそーゆー場所まで千葉から駆け付ける僕が酔狂なだけなのかもしれないけれど。この足でアテネも行きてえなあ。

 約束どーりに西新宿の「マップカメラ」へと寄ってデジタル一眼レフを購入。別にこれを僕が買ったからって女子代表にはまるでメリットはないんだけど、何かに踏み切る決断する理由付けにさせてもらったってことでご容赦を。ちょーど「EOSkiss」のブラックボディも発売になってて「ニコンD70」あたりと比べて迷ったんだけど、何故か去年に発売された「ペンタックス istD」のデジタル専用レンズにカメラバックにバッテリーグリップもセットになった「シューティングセット」が破格の値段で残っていたんでこれを購入してしまう。

 ペンタックスは父親が「SP」を使ってて愛着があって「MZ3」を買って二週間で電車で落として中古で「MZ5」を買って壊れてって実に様々な想い出がある機種だけに、ここで再び巡り会うのもあるいは運命だったのかも。今度は落とさないし壊さない。レンズは専用の16ミリから45ミリのズームでF4オールなんだけどワイドはともかく望遠側の長さが不足。そこのところ70ミリまで引っ張ったニコンの「D70」とセットのレンズの良さを感じるけれど、文句を言っても仕方がないんで望遠側も遠からず揃えてそいつをかついでアテネ五輪に女子代表の勇姿を取りに行くことに……したいなあ。交換レンズはやっぱりペンタックスかな。「ボーエンだよ。ワイドだよ」。懐かしすぎて歳ばれる。

 「うぉややー」「とぅおおー」「うぉややー」「どぅおおー」って男どもの野太い声が響くこれがヨーロッパのサッカー場って奴なのか。一応は日本で1番偉いサッカーA代表の対ハンガリー戦は、中継がないって割には他に娯楽もないのかマジックマジャールの遺伝子なのか、スタジアムに詰めかけて来た人もそれなりにいたよーで、歌う声には芯が通ってて腹の底に響く感じで、これを5万人とかはいるスタジアムでやられたら、アウェーのチームが萎縮して満足なプレーが出来なくなるのも分かる気が。日本代表向けの「ニッポン」「ニッポン」のコールは決して小さくないし2万人とかでやれば昨日の女子代表での対北朝鮮戦の時みたく相手を威圧できるんだけど、少ないとやっぱりどこかか細い感じがあって、相手の張り上げる怒声に比べるとやっぱり迫力が今ひとつ、なんだよね。

 試合の方はうーん、この”国内組”で臨めばオマーンだってシンガポールだって相手じゃなかったよーな気が。このメンバーで幾ら試合してたって、本番じゃーやっぱり酷いコンディションの黄金とやらがよれよれの試合を繰り返すだけ。単なるスポンサー向けの”消化試合”で勝てばジーコ監督に1勝をプレゼントする”贈答試合”、負ければ主力がいなかったからって言い訳のをプレゼントする”無効試合””でしかないってのがどこか虚しい。注目はひと仕事して長旅でかけつけスタメンでプレーしたものの得点機を作れず4人中に3人が途中でお役ご免となった磐田勢に次があるのか? って所。アキタナラハシ化するのか?


【4月24日】 決戦の朝をクリアに目覚めたものの微妙な肌寒さに外出を午後からと決めて届いていた「SFマガジン」の2004年6月号をぺらぺら。同時多発「凹村戦争」レビューとかあってこれで評判が倍増から3倍増4倍増になって増刷に留まらず3刷4刷へと進んで、著者の西島大介さん家に幸せが訪れることを願ったり叶ったり。1冊の本が漫画と日本SFとライトノベルでの登場はおそらく本邦初。どーせだったらホラーと科学ノンフィクションでも扱えばいろいろな視点から見られて面白かったんだけど、作為が強くなるから3人くらいが適当か。僕のは相変わらず読み底が浅いなあ。

 タカノ綾さん「飛ばされていく 行く先」はウィリアム・ギブスン「ニューロマンサー」。しばらく前にスターリングもやっていかたらサイバーパンクでは2人目かそれ以上ってことで世代的にはちょい、遅れているのにちゃんとこの辺りも読んでいるんだと感心感心。あのムーブメントの中でカッコ付けに読もーとしてスターリングみたいに読み込めず挫折気味だった僕と違ってちゃんと、作品として読んで理解し評価しているところが素晴らしい。

 あのめくるめく繰り広げられる電脳のビジョンを、自在に散りばめたキャラクターの配置と詩的で散文的な言葉でもってたった5ページの中で解釈して解説してみせる腕前はやっぱり凄い。どんなSFでも同じ分量の中でそれぞれにぴったりの絵と形を考え出して来るからなあ。こーゆー才能があったとはその昔、酒場でぐらぐらしている顔を見ている時は気付かなかったよ。こーゆー企画をタカノさんに振った編集の人の炯眼に脱帽。毎回言うけど「ニューロマンサー」をタカノさんの表紙で出すと新しいイメージを醸して新しいファンを呼び込めるかも。とか言ってたら森奈津子さんの新刊「からくりアンモラル」(早川書房、1600円)の表紙に起用。なるほどからくりでアンモラルなモチーフ。何描いてもぴったり来るなあ。

 いてもたってもいられなくなって試合開始までまだ相当に時間があるうちに家を出て新宿西口へとたどり着いてカメラ屋なんかをのぞいきならが時間を潰す。欲しい品物があるんだけど使うお金の勿体なさから臆してしまう優柔不断さが邪魔をして踏み切れず心の中で「買うたやめた音頭」を踊ったはてに結局買わずに出てしまう。夜には負ければ明日のプレーすら危なくなる女の子たちがすべてをかけて戦う試合があるってーのにいい歳をしたおっさんがこんな臆病で良いのかと自己嫌悪。わかったもしも今晩の、まず勝てないと言われている試合で我らがサッカー日本女子代表が北朝鮮女子代表に買ったらキャッシュで頬を叩いて買ってやるぞと決心する。でも勝てない可能性が高いからなあ。つまりは買いたくないってことだよなあ。優柔不断極まってます。

 そんなこんなでたどり着いた試合開始2時間半前の「国立霞ヶ丘競技場」は千駄ヶ谷の門にすでに3列の行列が出来ててちょっと驚き。Lリーグなんて100人も来れば結構な入りで代表だって仙台で開かれた試合じゃあこれも数百人がやっとってところで、同じ「国立」で開かれた「全日本女子選手権」の決勝ですら入るのはメインスタンドの中央部分くらいってことろ。2時間前に行列が出来るなんて光景は終ぞ見かけたことがなく、これは世の中に相当に女子サッカーへの関心が染み渡っているぞって手応えを覚え、もしかしたら去年の夏のメキシコを相手にしたワールドカップ出場をかけたプレーオフに迫れるかも、なんて思ったら良い意味で甘かった。

 その数3万1000人。北朝鮮の応援団も8000人くらいいたけどそれをさっ引いても2万3000人だから対メキシコ戦を上回っての結集で、メインスタンドのほとんどとバックスタンドのロウ部分がすべてにそしてホームゴール裏のすべてがブルーに埋め尽くされたスタンドを、女子代表の試合で見られるなんて予想燃していなかっただけにちょっぴり泣きそうになる。と同時にこれだけの数がいれば8000人でブラスバンドまで持ち込んでチアースティックを鳴らし声を揃えて応援する北朝鮮を凌駕できると安心する。

澤だ荒川だ川上だ大部だ、酒井は?  そうこうする内に始まった「AFC女子サッカー予選大会2004」の準決勝にして勝った方がアテネ五輪出場権を獲得する「北朝鮮女子代表vs日本女子代表」の試合は、押されっ放しの中をしのぎ切ってカウンターを狙うかと思いきや、しょっぱなから荒川恵理子選手に大谷未央選手のツートップが背中に澤穂希選手も従え再度に川上直子選手に山本絵美選手を並べて北朝鮮ゴールへと襲い掛かる先制攻撃を選択。相手がおよよって戸惑っていた11分頃に酒井與恵選手がサイドの川上選手へと振ったボールを川上選手が中央へと放り込んで相手ディフェンダーがクリアをミスした所に荒川選手が突っ込み拾って冷静にゴールし傍目には意外、けれどもチームとしては狙い通りの先制点をゲットする。

 あそこで焦ってキーパーに当てるのが某A代表にしてブンデスリーガだったりするしあるいはサイドに振ってはディフェンダーにクリアされてしまうのが某A代表にしてセリエAフォワードだったりするだけに、ちゃんと自分でそれもきっちり決めて来るところは流石と褒め称えたい。当然にしてディフェンスなんて置かない中を400本とかシュート打たせてカタ作りを付け焼き刃的に行わせるより、この試合のこのゴールシーンを見せてシュートはこー打ちこー入れるんだってイメージを描かせた方が良いよーな気がして仕方がないんですけど、ねえ、某A代表監督さん。

 なおも続く攻撃は荒川選手が斬り込み抜け出て入れたセンタリングを相手ディフェンダーがクリアしよーとして失敗して味方ゴールに入れてしまうオウンゴールになって2点目をゲット。もっとも決して簡単な点差じゃないのは2点リードをして抜けた気持ちをつけ込まれて逆転を許すケースがサッカーには多々あることで、それだけに疲れが出たかどこかに故障でもあるのか、後半に入った試合でチェックをせずボールもあまり追い掛けない荒川選手の動きが気になっていたら、ちゃんと見ていたよーで上田栄治監督、後半も早々に荒川選手を代えて丸山桂里奈選手を入れて前線から相手にプレッシャーをかけて攻撃の目を早々と詰み、逆に攻撃も丸山選手のスピードとテクニックを生かした突破が出て北朝鮮を追いつめる。

 コーナーキックから宮本ともみ選手がゴール前へ落とした所に走り込んだ大谷選手がちょんと合わせてゴールを奪って3体0と試合をほぼ決定。5分だなんてどこから拾えばそんな数字が出てくるか分からないロスタイムも安心して見て逆に1点2点を加えてしまえと思いっているうちに、審判の笛がなって試合が終わってこの7年だか8年間、勝てなかった北朝鮮に勝ってアテネ五輪への切符を国立競技場のピッチから掘り当ててしまった。負けても次勝てば切符を取れる試合とは違って1発勝負の試合だけに緊張感から足も止まってしまうかも、なんて抱いた心配をまるで無視しての圧勝ぶり。去年のワールドカップの時よりも守備が強くなり攻撃の連携もまとまっていて、1年でよくぞここまでのチームに仕立て上げたものだと上田監督の手腕にただただ感嘆する。

1夜開けたら川口前園がヒーローになっていたよーに彼女たちもヒロインになっている、といいな  試合に出られなくったって普段は存分に練習できるフルタイムのプロたちを集められるA代表の監督と違ってふだんはアルバイトをしているか仕事をしていて練習は午後なり夕方で、そんな1週間を過ごした週末に遠征しては試合をこなして1晩寝てまた仕事に行って練習に入る毎日を、1年のほとんどで過ごしている女子選手たちのコンディションたるや海外からとんぼ帰りする男子の比ではないだろー。そんな選手たちの姿を地方の会場でも下位リーグの試合でも分け隔てなく足を運んではその目で見て、ピックアップしてそして競争意識を常に持たせながら鍛え上げていく手腕はカテゴリーも世代も無関係に代表チームに使えるノウハウ。このノウハウを果たして次にどこで使うことになるのかは分からないけど永久に女子の監督をするんじゃないんだから、あるいは同じブルーの別カテゴリーでそのこまめな仕事ぶりを発揮することになるのかも。その日を期して待とう。

 個人的には別にアテネ五輪に行けなくたって、今年も「よみうりランド」や「平塚競技場」や「大宮サッカー場」に日曜日ごとにかけつけて、女子の試合を見ながらその活動を応援し続けていく気はあったけど、ここでこーして見事に目的を果たした以上は日曜日のLリーグの試合会場に、大勢のファンが詰めかけるよーになってその関心の多さからスポンサーが増えて、今ふたたびのプロ化へと至ってくれれば選手たちに練習の時間が増え体力も向上して、今以上に良い試合を見せてくれるよーになるんでやっぱり五輪行きは純粋に喜びたい。

 思えば96年のアトランタ五輪以来の五輪行き。あの当時は男子もメキシコ以来の五輪出場を決めて、1夜開けたら川口能活選手に前園真聖選手といったところがスターになっていたけど、3万人もの前で絶対に負けられない試合を圧倒的な強さとそしてひたむきな気持ちのこもったプレーぶりを見せてくれた彼女たちも、明日には世紀のヒロインになっているかもしれない。澤選手に宮本選手に川上選手に永里選手あたりが抜きんでて取り上げられそーだけど、個人的には酒井與恵選手の予想どおりの活躍ぶりを讃えたい。通は貴女の献身ぶりに惚れたはずです。もっともまだ終わった訳じゃなく、すべてが再びスタートを切ったばかり。喧噪に奢らずまずはアテネでの男子でも取れるかどーか分からないメダルをゲットして頂きたい。ともあれ今日は素晴らしい試合をありがとう。カメラは買うしかないな。それ持ってアテネに行きたいな。行くかいっそ。仕事はつまらんし会社の経営状態もいまいちで潮時っぽいし。


【4月23日】 「辞める」って見出しに「ジーコ監督」って添えられた「スポーツニッポン」の4月23日号をもしいきなり駅の店頭で見て小躍りして読んでそれが2006年のワールドカップが終わった後だって知ったとしたら怒りに新聞を引きちぎっては駅にまき散らしただろーけど、幸いにしてネットで事前にそーした「東京スポーツ」的なひっかけがあるって知っていたから心理的な傷はあんまり負わなかった。天下の「スポニチ」ともあろーものがそーした引っかけ見だしを臆面もなく出して来るってゆーなり振りの構わなさへの寂寥感はあるけれど。ここまでしないと新聞って売れないのか。どーりでどっかのお洒落なまるごと経済紙が売れない訳だぜ。

 見出しについてはそれで納得したしジーコ監督が日本代表だけを指揮して後はやらないってゆー事へもまあ、後は出来ないだけでしょって突っ込みたい気持ちはさておいてジーコ監督の勝手なんで批判はしない。納得できないのがそこに散りばめられた記事の気持ち悪さではっきり言って誉めっ放しに褒めちぎった内容で、ちょっと前あたりに評論家の人とかが「解任論」をぶち、イビチャ・オシム監督への打診をスクープした新聞とは思えないくらいの表現ぶりにいったい編集局で何が起こったのかと訝りたくなって来る。想像でしかないけどあーいったネガティブな記事で突っ走ったことにどこかから横やりやら踵落としやらゼウスの雷やら降ったりしたのかな。

 記者だって素人な訳じゃなくむしろ僕たちなんかよりよっぽどサッカーに詳しい人た揃っているんだろーけれど、後藤健生さんや湯浅健二さんといった同じプロの眼を持った人たちから芳しい評判の上がってこないジーコ監督の練習を「メニューも豊富だ」「状況、対戦相手に合わせメニューを変えていく」と書き「ほぼ同じメニューで通したトルシェ監督とは対照的」(これってホント?)と前監督を引き合いに出して「研究熱心さと情熱を兼ね備えている」って褒めちぎっている。「練習を見れば成長するためのヒントがたくさんある」とも書いているけど過去、そーしたことを書いた評論家の人って誰かいたっけ? って考えたくなるほどに、あんまり一般的ではない意見を堂々1面で繰り広げているから分からない。

 「日本の選手がスピード信仰から抜けられた時、もっと正確性が生まれる。急ぎ過ぎは完ぺきから遠ざかる」って持論をジーコ監督が開陳したことも取り上げて「正確性を身につけて、後からスピードを上げればいいんだ」と言ったことも紹介して、「決定力不足には根本的な意識改革が必要なのかもしれない」と結んだ小さいコラムも同じ1面に乗っていて、そこでどーして「スピードも正確性もどっちもなければ負けるんじゃないですか」って突っ込まないのか分からない。「規律vs自由」みたいな二元論をここでも持ち出し「スピードvs正確性」の対立をでっち上げて、ジーコに阿る筆の運びが気持ち悪くって仕方がない。

 本当にジーコ監督の言うよーに「正確性を身につけて、後からスピードを上げればいい」んだろーか。本当に正確性を堅持したままスピードを上げていけるんだろーか。ゲームセンターのバイクゲームでどれだけ綺麗にハングオン決めたって、スピードがあってGがあるサーキットで同じハングオンが決められるものではないし、時速40キロでサーキットを走ってベストなラインを完璧に描けるよーになったとしてとしても、時速200キロになって同じライン取りが出来るはずがない。いくらゆっくりとした動きの中で正確性ばかりを鍛えたって、実際にそれを使うのはトップスピードってシチュエーション。使う筋肉も求められる判断力も別物だろーと思うのに、そーした指摘をまるでしないでジーコ監督の言うがままに書いてしまえるメディアの神経がちょっと分からない。

 「2006年で辞める」って言葉も含めてジーコ監督がこんな珍奇なことを言い出すのは今に始まったことじゃないから呆れはするげど怒らない。けどメディアは別。解任デモの報道からこっち、ちょっとは真っ当な方向へと立ち直り始めたと思っていたのに、ここに来て再び”大本営発表”になってしまったのは何故なのか。もとよりそれがメディアの体質なのか。裏側を見てみたい気もするけど見ると気持ちも荒むだけなんで、ここはメディアはそーゆーもんだと了解しつつそんなメディアの鼻薬とかとは縁のない、意有る人々がその意志を紙面に反映させられるよーな時代が早く来ることを願おー。手前のメディアでまるで意志が反映されておらず羊頭狗肉に牽強付会で針小棒大な記事が紙面を飾っていることはこの際棚上げだ。

 はるばると軽井沢。バンダイが英国の「ロンドントイ&モデル博物館」とやらから購入したアンティークトイのコレクション7000点のうち約1000点が展示されることになって28日に新幹線の軽井沢駅前にオープンする「ワールドトイミュージアム」の内覧会があったんで見物に行っただけで決して「らくか」に行って「軽井沢シンドローム」ごっこをしたり、小諸の「懐古園」に行って「すくらっぷぶっく」ごっこをするためではありません。どちらも僕の青春だったなあ。それはさておきコクドが運営している軽井沢のアウトレットモールのほとんど入り口ってゆー絶好の立地に出来た「ワールドトイミュージアム」、入ると正面にとてつもなく巨大なジオラマがあってまず圧倒される。

でかいが緻密、でもって暖かみのある「モデル・コール・マイン」を見られるのは世界でも軽井沢だけ  前に同じコレクションをちょっとだけお披露目した「池袋サンシャインシティ」でのイベントでは見せることが不可能だったこの「モデル・コール・マイン」ってディオラマ、何でも英国で炭坑で働いていた夫婦が1904年から実に18年もかけてえっちらおっちら作っていった模型だそーで、そー聞くとなんだ日曜大工かって思われるかもしれないけどそーした素人っぽさはまるでなく、実に緻密に炭坑町の当時の様子が地上も地下も含めて再現されていて、おまけに置いてある人形が動くよーになっているから凄いもの。裏側に回ると炭坑の坑道の最下層でご飯を食べる人形が、ちゃんと口をぱくぱくさせていて、果たしてどーやって動力をここまで、ってかこちらにもあちらにも伝えているのか知りたくなる。

 何でもワインとか食料品の木箱とかチェスのボードとかが材料に使われていたり、18年もの制作期間の間に少しづつ作られ継ぎに継がれていったことがロンドンから分解して持ってきて修理しているうちに分かったそーで、そこまでして1つの作品を完成させよーとした夫婦の気持ちに、少女たちの物語を生涯にわたって描き綴りつづけたヘンリー・ダーガーとか、サウスダコタにある「マウントラシュモア」を14年がかりで掘って掘りきれなかった男とちょっぴり重なる、執念のよーなものを感じてしまう。出来上がったものはとにかく巨大で縦が472センチえ高さ256センチ、幅264センチもあるんで他への移動は絶対不可能。「ワールドトイミュージアム」でしか見られない世界玩具遺産なんで軽井沢へと行った折りには是非に立ち寄って見物しよー。

 行きの新幹線で小林恭二さんの「宇田川心中」(中央公論新社、1900円)のほとんどを読了、って東京駅からわずかに1時間ちょっとの軽井沢までで読めてしまえる小説なのって言われそーだけどそーなんです読めてしまえるんですノリノリなんです面白いんです圧巻です。渋谷のスクランブル交差点ですれ違った少女と少年のエピソードから幕を開けた物語は幕末へと転じて小間物屋の娘と若い僧侶との恋に邪魔が入った挙げ句に娘と僧侶が悪党たちの言いなりになって道玄寺にある秘宝の鉦を取りに向かうとゆーストーリーの中に恋することって何なのか、他人を信じることって何なのかが語られ翻って自分の恋とは無縁の人生の味気なさ、みたいなものを痛感させられる。

 出てくる主要な人物たちの絡み合った因縁がほどけ隠れていたものが明らかになっていく段取りなんかが読んでいて心地良い。クライマックスでの急展開があまりに性急な気もしないでもないけれど、芝居を意識して書かれた話ってことを考えると次から次へとどんでん返しを繰り出し畳みかけるのは芝居の常道ってことでこれもまた良し、ってことになるのかな。胎内巡りみたいな描写の途中で娘と僧侶が得体の知れない輩に出会って試練を受ける展開は前の「カブキの日」なんかにも通じるけれどあれほど入り組んではなくストレートに意味がつかめストーリーへの関与も直接的なのが、読んでいてすんなり読めた理由かも。とにかくエンターテインメントな一冊。芝居で見たいなあ。はつには誰が良いかなあ。広末涼子さん? は老け過ぎか。上戸彩さん? 良いかもね。


【4月22日】 とっとと起き出して「ジオブリーダーズ 魍魎遊撃隊 File−X ちび猫奪還」の第2話とやらを鑑賞。なるほどあーやってつないでこーやって引きを作って次回への興味を抱かせてるのか。DVDどころかLDだって持ってるきっととっても珍しい人間なんで何がどんなシーンかはほとんどばっちり頭に入ってるんだけど、改めてテレビで見てもやっぱりいろいろと楽しめてしまうのはそれだけ丁寧に作られているって現れか、それともどっぷりと「ジオブリ」にハマってしまっている贔屓目故か。後者だな。

 「テレビじゃ見れない面白さ」って最初にLDが出た頃ずっとCMで言っていたけどなるほどオープニングの青木沙羅さん唄う「RISING SOUL」のバックで流れる姫萩夕ちゃんの胸の先っぽに先っぽがしっかり描かれているから、テレビの一部じゃ絶対に見られなかった可能性が超高い。けどフジテレビじゃオッケーなみたい。だったら「R.O.D THE TV」でも「サザエさん」でも先っぽ見せまくってくれれば嬉しいのに。嬉しいのか? それはともかく「RISING SOUL」は何度聞いても何年経っても格好良い歌だよはー。これと本編で流れる音楽の格好良さが「ジオブリ」がアニメとともに残した偉大な資産かも。やっぱりサントラCD買っておけば良かったなあ。

 放り込まれた手榴弾をけり出す栄子ちゃんの足の付け根の白に感動。襲ってきた八百屋に郵便屋に宅急便を相手に自慢のモーゼルミリタリーをトゥーハンドで撃つ真紀ちゃんの手のモーゼルから空薬莢が1発撃つごとに1つづつ飛び出していく描写の細かさに感心。あとはこちらにお尻を向けて寝ている夕ちゃんの尻を包む白の描き方の色っぽさが見所だったか。次回はタンカーへと突っ込んだ一行が水着姿で繰り広げる格闘シーンが1番の見所か。わけてもビキニ姿の栄子ちゃんの見かけに寄らない格闘センスは喝采もの。全身を使ったバトルで胸の揺れ動く様までリアルに表現された描写をエブリバディ観察せよ。どうせ本編知らないとストーリーなんて理解できないんだし。

 ってんで「チャンピオンズリーグ」の「モナコvsチェルシー」、別名「偽レアル・マドリッドvs嘘アーセナル」を鑑賞。本当だったら目の前をジダンが駆けアンリが走りフィーゴがロナウドがピレスが映っていていたはずでテレビ的にもそっちの方が嬉しかったに違いないんだけど、普段あんまり見られないチームが見られる今回の方が個人的には実は嬉しかったりする。スカパーもWOWOWも無縁な暮らしをしていると、レアル・マドリッドですら年に数回しか見られないんだけどね。

 とりわけモナコのロテンはクレフォンティーヌか何かでアンリと動機で将来を嘱望されながらアンリほどには目立たなかったものが、去年のコンフェデレーションズカップにフランス代表として出場ていよいよかと思ったのもつかの間、調子が今ひとつで本来のキレが見られずクロスも届かず以後、しばらく代表から外されてこのまま消えてしまうんじゃないかと心配していただけに、チームで見事復活を果たし大活躍をし代表にも復帰して、ビッグイヤーのベスト4まで残ってテレビに再び現れてくれたのはとっても喜ばしい。左ベッカムって異名も伊達じゃないほどの美丈夫だし、このまま決勝まで行って日本中に名前を知られて欲しいもの。とか行ってたら早速1点目の実質アシスト。あの速度でぎゅいんと曲がるキック、蹴れるかい中村俊輔選手に?

 当たり前とは言えやっぱり勝つと嬉しいもので、アテネ五輪の出場をかけた大会のグループリーグ第2戦、タイ代表との戦いに我らが日本代表は6点を取って勝利して、いよいよ本当の意味での”絶対に負けられない戦い”こと北朝鮮戦に24日挑むことになった。澤穂希選手に大谷未央選手に酒井與恵選手に宮本ともみ選手といった主力を引っ込め永里優季選手に丸山桂里奈選手といったサブをピッチに送り込んで使った試合だけど第一線と変わらずスピーディーな展開でもってタイを圧倒。前半に2点を取ってそれから酒井選手と山本絵美選手が入った後半はボールに左右への散らしが生まれてオーバーラップしたサイドからクロスががんがん入るよーになって、4点を取って6対0でタイを圧倒して見事に1位で準決勝進出を決める。やっぱり酒井選手は次スタメンかな。入ると圧倒的に攻めにバリエーションが出るんだよな、ってこれも贔屓目故?


【4月21日】 断言するなら単なる我が儘で、パシフィックリーグでもそれなりの人気を誇る球団の社長とゆー重責を担いながら東京でもそれなりの影響力を持つ出版社の社長を兼務できると考える方がおかしくって、それもただの出版社ではなく他人様に経営の何たるかを説く記事を山ほど掲載している雑誌を発行している出版社のトップに、他の重責と兼務で出来るんだなんて生ぬるい考えを持った人物が就任して、どーして主なる読者となっているビジネスパーソンなり経営者たちを納得させられるんだと、思えば当然に球団社長を辞任するなり、出版社の社長就任を辞退するもので、それをしなかったとゆーことはすなわち我が儘であると、言って断じてそれほど外れてはいないだろー。

 つまりは極めて属人的なことから巻き起こった混乱であって、そんな人物をここに来て御していこーとする動き、すなわち”正常化”への路をたどりはじめた矢先に、未だこれを潔しとしない人物が、あるいは反発を抱かれていることにまるで気付いていない人物が、我が儘を貫こーとして窘められたと見るのが良さそーなんだけど、事をとにかく面白く誇大に描きたがるメディアって奴の手にかかると、すわ内紛かってなトーンで語られてしまうから困ったもの。意志疎通の乱れが経営陣にはあって、すなわち本業として営んでいるスーパー事業で進めている再建活動への信頼の失墜となって消費者に不安を与えた由々しき事態だと、フレームアップされて語られてしまうことすらあるから堪らない。

 そーした波風を起こすことが使命と考え、火のないところに震災を起こして恥じることなんてせず、大々的に「内紛」「経営再建に暗雲」と打つメディアを見たり読んだりして、頭で考えることなくメディアに出ていることが世の中に起こっているすべてと本気で考えている編集幹部がこれから、そーしたストーリーでもって記事を書けとか言って来そーな予感がないでもないけれど、仮にそー言われたところでこっちが出せるのは「周りの見えていない社長を持つとお互い(福岡ダイエーともうひとつはどこ?)大変だよね」って記事くらい。それじゃあつまらないと言われたらその時はトビますキレますアバレますんで覚悟しな。

 しかし忙しくって真剣に挑まなくてはいけない人気球団の社長と、忙しさではさらに上を行きそーな経営面で今が正念場に来ている出版社の社長が、それも遠く福岡と東京に離れている会社の代表が兼務ができると確信していた、企業の経営者としてはなかなかにユニークな部類に入る認識を持っている社長を迎えるダイヤモンド社も大変そー。「関連事業にのめり込むな、社業に専念してこその社長である」ってこれから「週刊ダイヤモンド」に書けるかな。まあオーナー代行としては残っても社長は辞めた訳だから別に良いのか。「事業に一貫性を持て」って偉そうに諭したりしている新聞が鳴り物入りえ始めた企画を1カ月2カ月で引っ込めたりしていることの方がよっぽどに問題だし。

 そんなことを考えながら聞いていた福岡ダイエーホークスの新社長決定の会見の、始まってまだ間もない時間に会見を聞く記者たちが並んでいる椅子の前列脇ってことはつまり会見している人の斜め前方に近い場所で、マイクか携帯電話か何かに向かって大声で、決定したことをリポートし始めた記者がいたのにはさすがに仰天。例えるならばテレビでよく見る福田官房長官が記者とやりとりしているその横で、やりとりしている内容を大声でリアルタイムでリポートしている記者がいるって感じになるのかな。記者の囲みに応じる松井秀喜選手の横でカメラに向かってリポートする記者がいる状況って言って言えそー。どっちにしたって異様な光景だ。

 もちろん伝えるべきことは伝えなくっちゃいけないのはリポーターとしての責務だけれど、だったら会見場の外へと出るなり後ろへと下がるなりしてやるのが一般的な対応だろー。にも関わらず真横でいきなりしゃべり出し、止めてくれないかと言われても止めずに続けたことをさて、ジャーナリストの鏡と讃えるべきかそれともマナー違反と謗るべきか。判断はシチュエーションを想像してみた人にお任せしましょー。しかし一体どこの誰だったんだろー。そのコンジョーはイグ・ピューリッツアー賞ものだ(そんな賞はありません)。

 のべつまくなしにテンションの高い実況があるでもなく、頑張れゴーゴーと叫びまくるかあるいはダメだダメだとボヤきまくる解説がいるでもないサッカー中継にテレビ朝日とか日本テレビとかはとっととサッカー中継の権利を返上して頂きたいものと痛感。ついでに美白だツインズだとあだ名付けに忙しいTBSも。もちろんサッカー日本U−23代表の対ギリシャ代表戦を中継したテレビ東京の実況が、NHKとかCSBSとかに比べて格段に素晴らしかったってことではないけれど、選手の特徴を細かく紹介しつつ状況を説明する実況に、タイミングよく挟まる解説は聞いていて五月蠅くなく寂しくもなく、そらなりな興味を引き出されつつ画面に気持ちをのめりこませることが出来たから、やっぱり廣実況だったんだって言えるのかも。

 テレビ東京が使うのって珍しいのかどーなのか、分からないけど今回登場のラモス瑠韋さんの解説も根性とかハートとかって情緒的な部分が引っ込み、展開を見て選手の動きやプレーをながめた上で何が至っていないかを、豊富なプレー経験を土台に説明してくれるから有り難い。この路線で行けばラモスさん、まだまだ解説者としての起用がありそー。浅野哲也さんは選手時代は目立ってなかったのに解説としては声質も含めて良い感じ。同じ名古屋グランパスエイト出身で全国区になった中西哲生さんとはどえりゃー違い(ちぎゃー)だ。


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