縮刷版2003年11月上旬号


【2月20日】 これがワールドカップ独大会の1次予選「日本代表vsオマーン代表戦」の翌日に発売されることはきっと承知で書いてるんだろーから余程、ジーコ監督率いる日本代表が見せる戦いぶりに自信があったんだろーけどでも、あの体たらくを目にしてまだ「ナンバー」2004年3月4日号のコラムと同じことを言い続けられるんだとしたら永井洋一さん、もはや僕たち一般人に向けてスポーツの世界を分かりやすく、納得のできる形で離してくれるジャーナリストって域を抜けて、論理は分からないけど結論としてそーなる、それしかないとゆー言説を開陳しては天賦のものと下命し一切の下々からの反論を受け入れない、ある意味ジーコ監督と同じ”神”レベルの評論家へとステップアップしてしまったと言えそー。

 「チーム結成からしばらくは、選手たちが『自由』の重さに耐えかね、無難なプレーに逃げていた。しかし最近では、自分のプレーをいかにしてチームの攻撃に昇華させていくかという意識が高まっている」って一体、いつの話を言っているんだろー。コンフェデレーションズカップでのフランス戦? それはあったけどでも、あのマレーシア戦ですら自由を自在な戦術へと昇華させてマレーシアを圧倒したって感じじゃなかった。ゴールキーパーがオマーンのあのキーパーだったら果たして4点も取れてたか? 難しかったんじゃなかろーか。去年の春にあった五輪代表の対ミャンマー戦でのキーパーでもやっぱ得点、取れなかったかも。

 「交代で投入された選手たちはそれぞれに自分の特徴をアピールし、また、周囲の選手にもそれを生かそうとする意識が見えた」。そうかもしれないけれど、そうした意識をまるで汲まずに代わらず発熱の3人組を使ったのがA代表。「何が求められているかということが選手に浸透している」って? 頑張っても試合には出られない、海外組の練習相手って立場を求められてる諦観が、浸透し過ぎてこ緩いプレーをさせているんじゃない? 永井さんがひとり孤高の意見を言うのは慣れて来たとはいっても、こーも世評と眞反対の意見を載せてひるまない「ナンバー」はある意味スポーツメディアのサヨクかも。「五輪代表に、大久保嘉人が帰ってきた」(36ページ)。絵空事も結構載るし。

 ふりゃふりゃと「幕張メッセ」で開幕した「AOU2004アミューズメントエキスポ」を見物。まずはかけつけたコナミのブースでネット対戦型のプロレスゲームを見、それからセガのブースでネット対戦型麻雀ゲームを見てゲームセンターに行ってもどこか遠くの誰かと対戦したいものなのか、って不思議だけど納得の気持ちにとらわれる。不思議ってのはつまり最近の家庭用ゲームでもネット対戦が可能になっているのにどーして、わざわざゲーセンなんかに出かけるんだろーってことなんだけど、家に閉じこもって遠くの見えない誰かを捜すひきこもり感覚とは違い、街へと出たついでに衆人環視の中で技を見せつつコンピュータではない誰かを倒す快感が、こーゆーゲームでは味わえるのが受けてる理由だったりするのかも。カードを使った戦略なんて家じゃーやってても「こんなにカード持ってるんだぜ」て自慢にならないし。

 サミーのブースでSNKプレイモアっておそらくはSNKの流れを汲んでる会社が「キング・オブ・ファイター」とかをサミーの業務用ボード「アトミスウェイブ」向けに出すとかって発表があって某有明にあるパチスロの会社といろいろやってる会社を抱え込んでしまうところに対抗心の燃える炎がチロ見える。まあそれは憶測で実際のところ業務用ビデオゲームがもっぱら衰退している中でかつて「ネオジオ」で一世を風靡したゲームが今ふたたび遊べるよーになるのはファンにはたまらないことで、そーしたゲームを遊ぶに相応しい筐体の上にやって来たのはある種の必然だったと言えそー。「サムライスピリッツ」も参上だそーで「ギルティギア」も確かやってるサミーが2D対戦格闘の美味しい所どりをしていった果てに現れる、2D対戦格闘の新時代の到来なんかを期待しつつ様子を見守ろー。そんな時代が来るって保証はないけれど(格闘ゲーム自体がなあ)。

 「バーチャロン」みたくツインスティックで操縦する「ZOID」を操り対戦する業務用ゲームがタイトーから出ていていよいよ「ZOID」も玩具だけでなく映像系でも復活か、なんて期待を持ったけどアニメが始まる様子はまだ見えないんで、テレビシリーズの2作品の重厚だった最初のに明るかった後の両方が好きだった僕としては是非にゲームが売れてアニメ化の方も進んで欲しいとゆー思いに駆られる。それよりタイトーの「ZOID」ゲームを説明していた巫女さんセーラー服ってよく分からない服装に身を包んだ女の子たちの集団がなかなかにグッド。スリムとも長身とも言い難い体型やら脚やらが醸し出すボリューム感に側で圧倒されちゃいました。コナミもアトラスも悪くなかったけど好みでは今「AOU」で1番かも。

 ここんところの出世速度のアップぶりからあるいは近いのかもと想像はしていたけれどここで大団円を迎えてしまうとはちょっぴり意外だった吉村夜さん「ハーモナイザー・エリオン」シリーズ最新刊にして完結編「大志を抱いた魔法使い」(富士見ファンタジア文庫、580円)。王国の放逐された姫だと自称するエナンザとゆー少女と彼女を助けに回った宮廷魔術師でも切れ者のゼロニアらが奪って逃げた大水晶を取り戻すべく、エリオンら宮廷魔術師の奪還部隊が結成されて追い掛けていくところに、政争やら謀略やらが絡んでくんずほぐれつの大ドラマになるのかな、なんて考えていただけに、4巻とはちょっと少ないな、って気になってしまう。

 もっともそーしたどろどろとした方向へと向かわせず、更なる強大な第三者の敵を出してはそっちに戦闘の対象を向けさせ対立の構図をいったん引っ込めてしまったのが、長の権力闘争ストーリーにならずに話をあっさり綺麗に終わらせる結果を呼んでしまった感じ。あらかじめこーゆー展開にする予定だったのか、長い話になる予定を切り上げ新たな敵を移入して話をまとめたのか、別に知りたくはないけど興味がある。とはいえエリオンに戦闘での勝利ではなく信念による納得をさせた上でまとめ上げたのは流石とゆーか綺麗な大団円。人間の欲望って何だろー、人間の幸せって何だろーって気持ちを浮かべさせられる部分もあってこれで終わりでも存分に堪能できた。これからエリオンがどーゆー苦労をするかは想像によって楽しむことにして、吉村さんには「エリオン」並みの斬新なアイディアとキャラクター作りをお願いしつつ、新シリーズの立ち上げを待つことにしよー。


【2月19日】 「東京中日スポーツ」の勝ち。なのはもちろん昨日のサッカーワールドカップ1次予選「日本代表vsオマーン代表」の報道、なんかではなくグンゼ「V−FA」のCMキャラクターとして選ばれた釈由美子さんを紹介した記事のことで例えば「日刊スポーツ」なんかはパネルの前でポーズを取る釈さんを正面ですらない斜め横上から全身像として小さく抑えているだけなのに対して、「スポーツニッポン」は真正面から雛壇へ上がろうとする釈さんが、片足をひょいっと上げた姿を捉えていてそこには上げた脚の付け根を被う白い布がしっかりと写っているのである。

 それは「スポーツ報知」もしっかりと抑えているんだけど、これに「トーチュウ」を加えた3紙を並べて検討した結果、写っている白い布の白い布っぽさ、写真のクリアさ印刷の鮮やかさでもって「トーチュウ」がナンバーワンだと判断した次第。もしかすると「サンケイスポーツ」の方が良かったのかもしれないけれど、当初の目的だった機能のジーコの采配への批判がおそらくは「サンスポ」だと皆無に等しいだろーから買わずに済ませてしまったんで詳細は知らない。産経新聞お得意の匂い着きインクで刷ってあったら面白いんだけど。どんな匂いなのかは知らないけれど。甘酸っぱいのかムッとするのか。

 あと写っているのがいわゆるアンダーウェアなのかどーかも不明であるいはスパッツとか、アンダースコートとか見せパンといった類かもしれないけれど例え見せパンであってもモロではなく、スカートの奥、女性の脚の付け根に何かがのぞいているとゆーシチュエーションそのものが官能だから気にしない。週末の「FRIDAY」には出るのかな。やっぱり来週の「FLASH」かな。質量で「東京中日スポーツ」を上回ってくれていることにひっそりと期待だ。

 さて本題。釈ちゃんでは抜群のクオリティを見せてくれた「トーチュウ」だけどことジーコ采配への評価に関しては1面に中西哲生さんを持ってきて小温いことを言わせていて評価減。「内容ではなく結果が求められるのがこの戦い。そういう意味ではジーコ監督のさい配は見事だった」って言うけど投入された久保選手が得点できたの相手ディフェンダーのクリアミスとゆーラッキーによるもので、試合の最中に久保選手がどれだけの攻撃力を見せたのか、あるいは鈴木選手がどれだけの攻撃力アップにつながったのかって考えた時、プロだったらとてもじゃないけど「さい配は見事だった」なんて言えないだろー。「7年前を比べて日本のレベルは間違いなく上がっているだろう」ってゆーけどこれ本当? ジョホールバルでイランと死闘を演じた日本代表が今の代表と戦ったら気迫で7年前のチームが勝っちゃいそーな気がするけれど。

 もっとも1面じゃなくって3面に載ってるラモス瑠偉さんは「中田以外、戦う姿勢もなければアイデアもない。幸運に恵まれた以外、何もない試合だった」ってコテンパンで「」”殿様サッカー”が通用するほど、W杯予選は甘くない」と自身の体験も踏まえて厳しいことを言っている。「スポニチ」はあの金子達仁さんが「終盤の内容がお粗末極まりないものになってしまった原因は、はっきり、ジーコ監督のさい配にあった」と言い切ってるし、「日刊スポーツ」のセルジオ越後さんに至っては「準備不足。態勢不十分。この1年半、何をしてきたのだろうかと、いぶかるような試合だった」を断じてジーコが求めたものと正反対の、放り込むだけのサッカーになってしまった代表に異論を唱えている。

 さんみたくはっきり「これ以上ジーコに任せても良くならない」とまでは言ってないけど全体にネガティブな空気が色濃くなって来ている状況で、キャプテン川淵三郎日本サッカー協会会長は「いままでいきてていちばんうれしい」なんて中学生みたいなことを言ってる訳で、それが本心ではなく雇い主としての礼儀だとしてもちょっと世間とのズレがあり過ぎて、かえって呆然とした感情を招いてしまう。そんな四面楚歌の状況にあって我らが代表監督は、国内組の台頭も「チームワークの醸成にあてたい」と試合では海外組ばかりを使い続けてきた経緯をまるで無視するかのよーに「15分しか合わせてない」「あと2週間あれば」なんて言い抜けて平然としているから凄いとゆーか偉大とゆーか。神様は言うことまで神懸かり。

 あまつさえ「U23日本代表vsU23韓国代表」の試合を見るか見ないか分からないけどとりあえず帰国してしまうんだからもはや何も言うことはない。こんな監督に任せておいて果たして良いんですかと、オフィシャルスポンサーのキリンビールの決算発表会見で登場した社長の人に聞いてやりたくなったけど、30分しかない時間の中で相手の数字の説明を聞いた残りの10分余で、そーゆー尾籠な質問をして場を凍り付かせる勇気はなかったんで後でエレベーターで社長の人を捕まえて、どーですかと尋ねると勝って良かった応援するよとのこと。スポンサーからのプレッシャーがかからないとしたら残るはやっぱり僕らの祈りか。祟る神を鎮める力を持った仏の登場を願うしかないのか。つまりはやっぱりインドによる引導か。でもそれだと1次で終わってしまうんですけど……。

 ロングヘアでスカート姿のマギーちゃんに惚れ。「R.O.D The TV」は読仙社のビルを壊してテロリスト扱いされた3姉妹を引き連れ日本へと還って来たのは良いものの、そこにまで手が回って菫川ねねねと3姉妹はマンションを捨てて逃亡の身に。途中で手がかりを得て「ザ・ペーパー」こと読子・リードマンの居場所の手がかりを掴んで探しだそーとするねねねたちだったけど、読仙社に加えて大英図書館までもが4人とそして読子・リードマンを追い掛け始めて大騒動。そして前半に時々あったほんわかとした日常ドラマが遠い日のことのよーに思えるくらいに、非日常的で非常識な展開へと至ってこれが果たしてどーゆー決着を迎えるのか、楽しみだけど展開が飛び過ぎていて敵が強すぎて、着地点が見えずちょっと心配。ねねねは作家として復帰できるのかなあ。これほどまでに続きが楽しみなアニメはこの期はこれだけかも。とりあえず残り話数もリアルタイムで全部視聴だ。


【2月18日】 執筆時間10分とゆー円谷プロダクションの新プロジェクト「ウルトラマンノア」に関する渾身の記事に対する反響の、ネット周りでのまるで皆無に等しい様にマイナーなメディアで働く哀しみを覚え砂に水を撒くよーな徒労感を覚えつつ、それでもそれなりに見て頂いている方々のいるよーな感触に背中をおされてこれからも、訳の分からないグラビアチックなイベント記事でもって世の中を引っかき回して行こーと心に誓う。次はできれば動かない人形よりも動いているアイドルが良いけれど、水着ならなお結構、ヌードはさすがにマズいけど。

 それにしてもいろいろ集まる「インターナショナルギフトショー」。ずいぶんと前に「ポケモン」のパチモンの「ニセモン」だかを見かけたのも確かこのショーだったよーに記憶しているけれど(違ったかな)、今回はハンディって会社が並べていた「いまだにものごいかっぱ」に目が釘付け。よーするに河童のキャラクターでぬいぐるみとか携帯ストラップとか貯金箱とか耳掻きとか、いろんなグッズに展開されていてなかなかの可愛らしさを見せてくれているんだけど、よくよく見ると「ものごいかっぱ」とゆー名が現すよーに設定にあれこれ仕掛けがあって、愛くるしさの裏に結構な毒を秘めてるキャラクターのよーな気がしてくる。

 ざっとプロフィールを振り返ると出身地は大阪・道頓堀側で主な出没地は「戎橋」、仕事は「いまだに”ものごい”」で、日課はもちろん「ものごい」、家は「ごみ箱」、必須アイティムは下にしく茣蓙とゆーか簀巻きとゆー、放送コードがあったら引っかかっちゃうかもしれない設定になっている。なるほどぬいぐるみにはちゃんと簀巻きがついてるし、ティッシュボックスは段ボールを継ぎ足したハウスのミニチュアの様。「ござ製ペンケース」あり簀巻きにされたマスコットあり。電化されたホームレスの多々いるなかでオーソドックスに正統派の「ものごいファッション」を見せてくれている。

 もっともそーした境遇への諧謔あるいはそーした境遇でいることの韜晦を込めたキャラクターかといえばさにあらず、そこはかとないみすぼらしさから人間の持つ保護意欲をくすぐって、10代から30代の女性にストレートな人気を持ったキャラクターとして親しまれているらしい。本当かい。大阪方面ではもう結構な年月を売られてそれなりに評判になってテレビにも出演しているそーだけど、果たして東京でもみすぼらしさが母性本能をくすぐって人気となるか、それとも嫌悪感を煽って忌避されるか。どっかの店頭で山と積んで反応とかを見てみたい。新宿西口公園? 洒落にならん。

 って訳でむくむくと「埼玉スタジアム2002」。遠い昔に見た「ワールドカップ日韓大会」の「ブラジルvsトルコ」の時みたいな賑わいはなかったけれどそれでもその晩秋に見た「日本代表vsアルゼンチン代表」の時くらいにはスタジアムへと向かう道路が賑わっていて代表Aマッチらしー雰囲気が漂う。雰囲気だけは。問題は試合の内容が代表Aマッチらしーものだったかってことだけど結論から言えば……言えば…言えないや。なるほど勝つには勝ったし勝つことが目標なんだからそれで万々歳なんだけど、それはあくまで通過点としての目的であって最終的な目的すなわち「ワールドカップ独大会で決勝トーナメントに駒を進める」ことについては、なかなかに悲観的な想像が頭をよぎって離れない。

コーナーキックでもフリーキックでも点が取れる気配がまるでなし。相手キーパーがそれだけ凄かったってことで  21世紀では最低だったと言われたA代表の試合「対イラク戦」に比べれば人が変わったよーに(代わったんだよ)動きが良くなって、フルコートでフットサルをやってるよーな足元から足元へとボールを回すだけの腹立たしいプレーはなくなった。試合前の練習なんかでも従来だったら鬼を1人で周囲を囲んでボールを足元から足元へと回すだけの”鬼ごっこ”が、今日は5人対5人で激しく動きながらボールを回す「レアル・マドリッド」的な内容になってて、それが試合でもそれなりに出たって感じ。

 それもこれも中盤で仕切りタイミングがあれば前線へと走り込む動きも見せた中田英寿選手のプレーがあったからだろーけど、それで一気呵成に攻めて1点でも取れれば試合を決められたにも関わらず、中村俊輔選手がもらったPKを相手キーパーのすさまじいばかりの反射神経と体のバネに裏打ちされたプレーで止められたのが運の尽き。流石はノルウェーのチームでレギュラーになったキーパーだけのことはあってその後もコーナーやらシュートやらをしっかりセーブして日本代表の勢いを殺ぐ。

 スタートダッシュをかけらなかった日本代表、試合が進むに連れていつもの最終ラインでボールを回す悪い癖が出て、攻めきれず得点を取れず前半は0対0のドローで終わって激しいブーイングを浴びせられる。これではマズいと考えたのかジーコ監督、後半から人を代えてきたけどプレーぶりが今ひとつだった中村選手ではなくフォワードの柳沢選手を久保選手に代える交替で、これはまあ久保選手の跳躍力が飛び出す場面もあって成功したかに見えたけどやっぱりだんだんとボールが入らなくなって、だったら中盤を厚くしよーとしたのか小笠原選手を入れて来たんだけどそこでも中村選手は残留。病み上がりにしてこの使われようは果たしてイタリアに戻って大丈夫なんだろーかと心配してしまう。

 そんな中村選手を上回って酷い出来たったのが38度の熱を前に出したとゆー山田選手で攻めあがれず横パスばかりでたまに前に出すとミスになる体たらく。早く代えてサイドからの攻撃を厚くすれば良かったのに最後にジーコ監督が動いたのはやっぱりフォワードで、鈴木選手を入れて前がかりにしたけど中盤がまるで機能していない状況では崩して決定的なチャンスは作れず、ドローの色が濃くなって来る。ここで時間を気にして席を立ってしまったけど、ロスタイムに相手ディフェンスのミスもあって久保選手が流し込んで1点を取ってそのまま勝利で勝ち点3をゲット。引き分けを覚悟していただけに日本にとっては超ラッキーな終幕となった。

 これで最終予選進出への可能性が高まった、と言えば言えるんだろーけど力が拮抗していた98年フランス大会に向けた予選を戦っている当時ならまだしも、2002年日韓大会でベスト16に入ったチームがやって良い試合かとゆーと微妙で、あるいはアウェーの対オマーン戦で2対0で敗れる可能性も十二分にあって、そこで最終予選進出への夢を絶たれる恐れも出てきてしまった。そーなってからでは時すでに遅すぎるんだけどおそらくは今日の勝利とそして続くシンガポール戦、インド戦インド戦での勝利でジーコ監督はそこまで命脈を保ちそー。天王山となる10月13日のアウェーでの対オマーン戦はハラハラドキドキの試合になりそー。見に行きたいなあ。それより前にインドに連敗?  ない訳じゃないからなあ。


【2月17日】 切ない系な作家だってずっと思っていたから陰惨にして土着的な雰囲気を持った小説を、たとえノベライズだったとは言え書くとはちょっと思えなかった薄井ゆうじさん超訳の「殺人の追憶」(アートン)は、韓国で1986年に実際に発生した連続殺人事件が元になっていて、全編にわたって婦女子が陵辱された挙げ句に殺されたり、犯人を疑われた人が刑事に殴られたりとエロス&バイオレンスな描写が繰り広げられて目を覆いたくなる。

 田舎町の所轄の刑事と都会から来たエリート刑事が反目しながらもやがて一致協力して事件に立ち向かう、って展開と言えば言えそーな気もしないでもないけれど友情めいたものが最後に立ち上がる日本のそーゆーバディ物と違ってどこまでも理解をし合えない2人の姿に、1986年当時はおそらく色濃くあって今も決して消えたとは言えない学歴偏重、地域格差といった日本にもあるけど韓国ではさらに顕著らしー事柄に起因する、社会の難しさみたいなものが見て取れる。あと86年当時はさすがに日本でも少なくなっていた、自白偏重で取り調べでは暴力自在な警察の姿の向こう側にある軍政から抜け出たかどうかって時代ならではの鬱屈した空気も。

 実際の事件は今に至るまで未解決だけど薄井さんの小説では犯人像もちゃんと指摘してあって、これが果たして真相なのかと知りたくなる。映画の方ではその辺、どこまで指摘してあるのか分からないけど敢えて「超訳」って唄っている異常はその辺りまで含めて薄井さんの創作なのかな。映画は2003年の韓国でナンバーワンヒットになったそーなんで面白さではおそらくは折り紙付き。3月にシネカノン銀座ほかでロードショーが始まるんで見てノベライズとの違いとか、日本のよくあるバディ物との違いとかを確かめて来よー。

 うらうらと「東京ビッグサイト」まで出向いて「東京インターナショナルギフトショー」を見物。まずは事前に告知のあった「ウルトラマン」の新しい展開を円谷プロダクションのブースまで確かめに行くと、そこには銀色に輝く過去に見たことのないウルトラマンの像が屹立していて、そのメタリックなデザインに過去数多あった「ウルトラマン」とは違った目新しさを覚える。聞くとそのウルトラマン「ノア」は初代から続く「ウルトラマン」のシリーズの流れをリセットして、まったく新しいコンセプトのもとに動き出した「ウルトラマンNプロジェクト」の第一弾として登場して来たものだとか。そーゆー話は過去にも決してなかった訳じゃないけれど、今回はちょっと本気みたいでそれがデザインの斬新さにも現れているって言えそー。

 何しろ今回の「ウルトラマンノア」には羽根がある。背中にバーニアのよーに生えてる2本のとんがった物体がそれらしく、あるいは大きく開いて「ガンダムWING」みたく宇宙に小羽根を散らしながら飛んでいくのか、それとも小さいままジェットでも噴射して飛ぶのかは分からないけれど、シュワッチとジャンプすればそのまま中空に浮かんで進んでいった過去のウルトラマンたちとは、まったく違った空中での姿を見せてくれそー。量産型みたいな羽根が生える? その可能性もあるかなあ。中空を円になって舞う「ウルトラマン」たち。すっげえビジョンだ。

 もっとも量産型ではないんで何体も「ウルトラマンノア」が出てくるってことはなさそーだけど、案内ではこの「ノア」1体じゃなくって3体くらいは同じコンセプトのもとに造型されたシルバーに輝く「ウルトラマン」が登場して来るみたいで、上映されていた映像でも「ノア」の背後にシルエットになって2体の新しい「ウルトラマン」が映し出されていた。1つが零号機でもう1つが弐号機と呼ばれていたかは不明。ただ三位一体めいたコンセプトも打ち出されていたんで、勝手な妄想ながらもトリオを組んだ攻撃とかを見せてくれるってことがあるのかも。いっそ3人が1つになるとか。それじゃあ「トリプルファイター」だよ。

 会場をぶらついているとあの「NOVA」がブースを出展しているのを発見。これまではひっそりとキャンペーングッズなんかを作りつつ玩具店にも卸していたけどこれを機会に自社で作ったぬいぐるみとか玩具とかを、大々的にアピールして量販店のバイヤーさんとかに売り込みたいとか。ぬいぐるみの種類も凄かったけど驚いたのは最近のCMに出てきたメカうさぎをかたどった玩具が出ていたことで、頭を開くとちゃんとそこにはコックピットがあって、別売りのストラップタイプの「NOVAうさぎ」をセットできるよーになっている。尻尾を押すと目が光り足のバーニアが輝くギミックまでも。原宿の「キディランド」あたりには並んでいるそーだけどこれはちょっと買いかも。とにかく「NOVA」は本気で「NOVAうさぎ」を売り出すみたいで、あとは玩具メーカーが時々やる作りすぎて在庫をかかえて損を出す過ちを、慣れない商売の中でしないことを願おう。

 帰って「ウルトラマン」の記事を書き撮った写真を送稿し、やがて届いた電通発表の2003年の総広告費に関する記事を10分で仕上げて入稿。その足で東京証券取引所へと飛んで西友が発表した決算を聞き同時に西友が実施していた希望退職者の募集に関わるあれやこれやを聞いて記事にし写真もやっぱり出し、とって帰って細かい原稿をごちゃごちゃと書く、いったい僕の担当業種は何って感じ。1日を西友オンリーで過ごせる大新聞の大記者と違って弱小メディアはこれだけやってもまだまだ搾り取られてなおかつ給料は半分以下とゆー、女工哀史もかくやと思われる1日を過ごしているのです。これで新しい新聞だ? 困ったなあ。「ウルトラマン」に誰よりも先にあえる役得はあるけれど、それなら「ウルトラマン」を作る側に行った方が楽しいよなあ。


【2月16日】 「二兎を追うものは一兎も得ず」とは言うけれど、二兎を無理に追い掛けさせられた挙げ句にどちらの兎も取り上げられてしまったサッカーの大久保嘉人選手は可哀想過ぎ。喧嘩っ早いところがあってチームに迷惑をかける可能性があることは今もって否定しないけれど、そーした選手を「俺が直す」的な言動でもって居座らせ続け、試合に出られないにも関わらず合宿に呼んでいたジーコ監督が、さしてパフォーマンスを落としているとも思えないにも関わらず、A代表から落としたことにまず納得がいかなかった。

 そして今日の五輪代表からの落選。上のチームに呼ばれ続けていたためコミュニケーションが取れていないのだとしたら、責任はやっぱり”もてあそんだ”ジーコ監督にある。忙しくってパフォーマンスが落ちてるってゆーけどFC東京の茂庭選手はA代表にも五輪代表にも選ばれている訳だし(天皇杯は戦ってないけど)、忙しいのはあんまり理由にはなってなさそー。やっぱりA代表から落とされたことが信頼性に影響を与えているんだろー。こんなことなら早々とフル代表に見切りをつけさせ五輪代表に専念させておけば良かったね。まあ日本でのシリーズからは復帰をさせる可能性も示唆してるんでそれまでの間、練習試合でもプレシーズンマッチでも大活躍を見せて張れて復帰と行って頂きたいもの。その間にヤサグレ度を増して復帰しても即退場、だったら意味がないんでメンタルケアをよろしく所属チーム。

 「第六大陸」(早川書房、680円)と 「神は沈黙せず」(角川書店、1900円)をベスト投票に並べておいてこんなことを言うのもヘンだけど「このSFが読みたい!2004年版」の国内ベストの分かりやすさを見るにつけ、表紙に起用された上に漫画まで寄せてその中で講談社から出ている「ファウスト」とそれから「SFマガジン」の挑戦を並べて評価している西島大介さんの感性と、その感性に応えたラインアップを「マガジン」誌上で展開している塩澤快浩編集長の感性が、この後今日の「ベストSF2003」を選んだSF人たちの感性とどう乖離するなり戦うなり、寄り添うなりしていくのか興味が浮かんで仕方がない。

 「大ザッパに言えば、特集『ぼくたちのリアル・フィクション』は、SF側が『セカイ系』と呼ばれる90年代以降に顕著な漠とした作品傾向を強く意識した特集だった」と西島さんは漫画「セカイの中心で、愛。」で書くけれど、受け止めた側が果たしてそこまで編集側の意図、つまりは西島さんが同じ漫画で紹介している「SFマガジン編集長の塩澤快浩氏が、口ぐせのように言っていたのは、『[ファウスト]よりも先に、この特集を出したい』だった」というエピソードに言い表せる既成のジャンル的な概念をすっ飛ばした作品を集めて見せつけたいって意識を果たして汲んでいたのか。それよりはむしろ「SFマガジン」という看板の下に参集したことで逆にこれらもぜんぶ「SF」なんだと”我が陣地”に入った彼らを歓待し、微笑みつつ今後の頑張りを期待したよーな所があるんじゃなかろーか。

 もちろんこれは僕自身が抱いた、SFを長く小説の王と崇め奉り、その一方で虐げられて来た歴史から来るねじくれた心に起因する、これもSFあれもSFとレッテルを貼って喜びたがる感情であって多くの若い読者は先の「ぼくたちのリアル・フィクション」をまさしく「ぼくたちの」ものと思い納得したかもしれない。「ベストSF2003」のラインアップはあくまでも旧世代、あるいはコアなファンによる伝統的な感性から見たベストに過ぎず、それとは違うところで塩澤さんなり西島さんなりが考えている「セカイ系」または「リアル・フィクション」によるベストがひっそりと選ばれつつ、旧来のベストを駆逐する日を虎視眈々と狙っているのかもしれない。それは投票している元長柾木さんが選んだ「涼宮ハルヒ」「戯言シリーズ」「舞城」といった辺りになるのかもしれないけれど、でもやっぱり「SFマガジン」45年の伝統を突き崩すにはまだまだ勢力として弱いかな。やっぱり作るしかないのか「SFマガジン」版「ファウスト」を。タイトルは「ハイ」? それはちょっと縁起が……。

 我に還って言うなら「ベストSF2003」のラインアップは見事の一言。順位に多少の変動はあってもこれらでベストの20位くらいまでは占めてしかるべき、だっただろー。個人的にはタイミング的にも遅くって内容もトンデモと誤認される懸念があった山本弘さん「神は沈黙せず」が見事に3位に入ったことがちょっと意外でだったけど、80年前後に「早川SFコンテスト」の常連として名前を連ねているのに憧れた人たちとか、また90年前後にライトノベルの優れた書き手として見知った人たちが投票する側に大勢いて、その”本格SF”への帰還を好意的に受け止めたんだろー。ライトノベル系が20位までを見渡して秋山瑞人さん「イリヤの空、UFOの夏」しか入ってないのは哀しいところで、これからも目一杯この辺りを紹介していかなくてはと意を強くする、けど僕の紹介するのは非SFが多すぎるとただでさえ言われているからなー。でも良いのだ。久美沙織さんが野村美月さん「Bad Daddy!」を選んでいるのを見て勇気も涌いてきた。これからも面白くって不思議な作品で尊い紙面を飾って行くぞ。

 ゆうこりんは可愛かった。みやむーは格好良かった。同じ「優子」の名を保つ小倉優子さんと宮村優子さんの新旧アイドル2人、ってゆーじゃジャンル違いのまだまだ現役アイドル2人が、カプコンのゲーム「鉄騎大戦」で戦うってゆー聞くも涎の垂れそーなイベントがあったんでいそいそと「六本木ヴェルファーレ」へ。過去に幾度か見る機会もあったけど終ぞお目にかからずに来てしまった小倉優子さんが果たしていったいどんな格好で出てきてくれるのか、もしかしたら水着なんかで登場してくれるのか、なんて余計な期待も抱いていたけど現れたゆうこりんは「鉄騎大戦」だけあってミリタリーっぽい制服に長靴とゆースタイル。だけどそれもなかなかに格好良くって無表情だと凄みがあって笑うと融けそーになる顔立ちともども、やっぱりこれは良いものだって確信を抱く。

 対するみやむーはえっと何時以来? 途中降板もあった「ご存じ月光仮面くん」の発表会見以来かな、とにかく久々のご対面だったけどとりたてて顔立ちに変化はなくまた声の張りも色つやも以前のまんまで、もっといっぱいテレビに出てきて主役を張ってくれても良いのにと思わせる。あるいは小西寛子さんみたく声優さんから役者へと、転進を図っているのかもしれないけれど紹介された時も声優だったよーだし単に仕事をセーブしているだけなのかも。試合の方はといえばそこは年の功(小倉さんの年齢知らない。宮村さんは想像)でみやむーが見事に勝利を修めてマシンに踏ん張った太股もまぶしげにバンザイのポーズを見せてくれた。それでもやっぱりメディアはゆうこりんが頑張ったって書くんだろーなー、光あるところ闇があり、闇なくしては光なく、闇として光を支える、それが声優の定めってことで。頑張れみやむー。


【2月15日】 当然のよーに自分でお金を出して買ってきた明治の「ブラックチョコレート」をもらったシャンパンで涙と一緒に流し込みながらしばらく前に購入済みの「軌道警察パトレイバー THE MOVIE2」の豪華版DVDを鑑賞。故障する前のLDプレーヤーで押井守さん作品だけを集めたLDボックスに入っていたのを見てからもう3、4年くらいになるんだろーか、その間にサウンドリニューアル版のDVD(ジャケットだけLDサイズの奴、「王立宇宙軍 オネアミスの翼」だけ買ったなあ)も出たけどこれは買わずに聞き逃してたんで、今回のDVDでLD版と同じサウンドとカップリングで入っているサウンドリニューアル版を初めて聞いて、これだったら別に大きなサイズのを買わなくっても良かったと安心する。

 たぶん5.1チャンネルの環境が整っている場所で聞いたら全身を音場に包まれ迫力のサウンドに響くセリフを楽しめたんだろーけれど、スピーカーの前に障害物の山とあるステレオの環境で聞くとどーしてもセリフが下がってしまって聞き取りにくくなってしまうんだよね。とは言え音楽とか増えたセリフなんかも確認する意味でまずはサウンドリニューアル版の方で1話をまるまる鑑賞したけどやっぱこれ、良いわ、特に今のこの時期に。

 警視庁の会議室で会議とゆー名の政治に溺れる偉いさんたちを前にぶつぶつとつぶやく後藤隊長。そのセリフは、真剣な勝負から遠く離れた場所で平和を享受し続けた挙げ句に空気を楽観によって支配され、それを現実を思い込んでいるうちに既に始まっていた戦争に、気付かないまま滅びへの道をひた走る、今まさに日本が直面している問題を指摘してる。そう、楽観を現実にすり替え安心に浸りきっているジーコ監督率いるサッカー日本代表の。まだ遅くないからジーコジャパンの代表はこの映画を見て自らの楽観を恥じ、バックアップも得られない危機的状況でも正義を信じて危地へと飛び込む特車2課のスピリッツを感じて18日の予選へと臨んで欲しいもの。けど太田の吶喊&玉砕スピリッツは真似しないでね。

 ものすごくとてつもなく久々に「江戸東京博物館」へと出向いて「円山応挙展」を見る。子供が喜ぶ怪奇幻想超常心霊現象の本ばかりを読んできた関係で応挙といったら「幽霊画」の人って認識が頭にあって、「応挙展」でもさぞや山ほどの幽霊画が展示されて冬の寒さをいっそう凍えたものにしてくれるんだろーと考えていたらこれが大違い。いわゆる「写生」の始祖として、従来の日本画とは一線を画した画法なりモチーフでもって描かれた作品が並べられてて、鬼面人を驚かすよーな派手さもなければ涙や笑いといった感情を引っ張り出す物語もないけれど、徹底した細緻で精密な描写とそして、日常をさっくりとすくったよーなモチーフでもって見る人たちを驚かせたり安らがせたりしてくれる。

 花魁だか芸妓だかを描いた絵はなるほど平面な日本画っぽい表情を見せてくれてはいるけれど、着せられている着物の柄の細緻さ鮮やかさは西洋の油絵を見るよー。孔雀なんかは羽の目玉みたいな尾羽の1つ1つに細かく生えた繊毛の1本1本までもがちゃんと描かれていて、そーした細かい部分から積み上げていく作業と、孔雀や鶴が動き群れ歩きはばたく瞬間の形をリアルに写し取る観察力の結節したところに、見て驚きの写生画が出来上がっているのかもしれない。子狗を描いた絵なんてもう最高、ソニーのベガのCMなんかより100倍リアルで100倍可愛いぞ、Tシャツにもなっているぞ、買わなかったけど。

 Tシャツと言えばたった1枚だけ飾ってあった幽霊画がプリントされたTシャツもあったけど見た感じそれだけバックプリントだったのが残念とゆーか。けど正面から堂々を幽霊を見せられると周りの人がめーわくだから背中に背負ってジャケットとかで普段は隠しておくのが小粋ってものなのかもしれない。絵の方はさすがは応挙の幽霊画あけあって、奥さんをモデルにしたってことらしーけどとにかく美人で儚げで、血とか傷とかいった凄みはないけど見ていてどーしてこの人は幽霊になんてなったんだろう? なんて憐憫をかきたてられる。細かく見ると左目の上に1本、すーっと降りた毛髪が描かれていたりしてそれが単なる美人がではないハレとケでいうケの感じを醸し出しているよー。掛け軸にして飾っておくとそれだけで夏なんて涼しい気分にさせてくれそー。夜とか現れて添い寝してくれるんならそれも良いかも。命何日保つから知らないけれど。

 唐沢俊一さんプロデュースによる川上史津子さんと笹公人さんのコラボを見に行こーかと新宿まで出たけど体力の限界を覚えて退散、もしかして風邪かも、いや単に仕事関係で立ちまくりつつある”BAKA WALL”の阿呆らしさにリスタートを前に死にそうなだけなのかもしえないけれど。なので晩ご飯をかきこんでそのまま死んで目覚めて見た「MEZZO」は、先々週とその前の2回のあまりの酷さに見るのをしばらくやめよーかと思っていたのが、先週の偽マルチ話で持ち直して来た流れを継いでまずまずの絵にエピソード。もっと幽霊少女の儚い生涯に感情を移入させる方法があったんじゃないかとは思ったけれど、それでも全体にまとまりのある展開でドタバタとした中でしんみりとした気持ちにさせてくれたんで良しとしよー。このまま最後まで尻上がりに盛り上がれる、かな。


【2月14日】 すわ”スターシステム”発動か? なんて心配をしてしまうのは最近のスポーツ新聞なりスポーツマスコミが、ちょっとばかり活躍したり将来が期待できそーな選手を集中的に取り上げては本人を頭に乗らせ、挙げ句に潰してしまう場合が結構な頻度で起こっているからで、「スポーツニッポン」2004年2月14日号の終面「好奇心」で日テレ・ベレーザの永里優季選手が、女子サッカー日本代表の候補に選ばれたってことが大々的に取り上げられている様を見るにつけ、ここからわんさと取材が重なって当人にあまり良いことにならない可能性があったりして恐ろしい。

 これが沢穂希選手とかメディアに出慣れている小林弥生選手だったら今更って印象で別にメディアスクラムの被害は起こらなかっただろーけど、永里選手は去年のLリーグの試合でレギュラーを張っていた訳じゃない。エースの大野忍選手にペアの荒川恵理子選手とそして全日本女子選手権ではほぼ先発で起用されてた山口麻美選手よりもトップでの経験は乏しい選手。にも関わらず日本代表に選ばれたことで余計にいらぬ期待を文字通りの”好奇心”を集めてしまって、そこから内的外的に感情の高ぶりが起こってしまうんじゃないかと不安になってしまう。ってかどーして山口選手じゃなかったんだろ、これが山口選手だったらメディアの注目は倍増しだったかもしれないのに。

 もっとも書かれた記事を読むこれでなかなか永里選手、根性があってサッカーに臨む姿勢にも筋が通ってて、メディアに取り上げられたからといって浮かれたり騒いだりするよーなこともなしに慌てず怪我を治してU−18全日本ユースでMVPを獲得した時のトップフォームを取り戻して、若手ではピカ1とされる日体大の丸山佳里奈選手をも脅かす存在になってくれそー。そーなればベレーザだって去年のよーな得失点差でリーグを落とす心配もなくなるし。だいたいが1紙が取り上げたからって女子サッカー選手にメディアが群がる状況なんて訪れる訳ないよなー、去年のワールドカップ出場をかけた対メキシコ戦後だって別に誰もファッション誌の表紙でモデルなんかを務めなかったし、代表無得点の男子フォワードと違って。

 しかしこーゆー選手を評判とか噂とかじゃなく自分の目で見て、ちゃんとピックアップして来る女子代表の上田栄治監督には頭が下がる。去年にあちらこちらで見たLリーグの試合でも会場で何度か姿を拝見して、どちらかと言えばベレーザとかさいたまレイナスって言ったトップチームの試合に行くことが多かったんで見かける機会も多いのかと思ったら、来期(とゆーか今期)からスタートするL1とL2の分割で、L1参入を決める「埼玉スタジアム2002」の脇にあるサブグラウンドでの試合にも、ちゃんとやってきてはスタンドなんてないちょっとした土手にコート姿で僕の横に立って、戦況をじっと見ていたのには驚いた。

 A.Sエルフィン狭山FCの佐藤舞選手とか、このままL2に下がってしまうのが残念な程に見ていて凄い選手はいたけど、それでも代表に入るかどーかは微妙な選手が大半な試合でも、ちゃんと足を運んでその目で確認するスタンスを目の当たりにするにつけ、天皇杯も見なければ高校サッカーなんて眼中にまるでなかった代表監督の”らしからぬ”態度と比べてしまいたくなる。スタンドがあるスタジアムでも別にVIP席とかじゃなく一般の人たちと一緒に普通に見てるんだもんなー、上田監督。この人が自分で見て目を掛けて選んだんだからきっとやっぱりそれなりに、才能のある選手なんだと永里優季さんのことを信じてベレーザの荒川選手沢選手、田崎ペルーレFCの大谷未央選手に鈴木智子選手とそして丸山選手のトップ5を退けて代表に食い込んで来る日を待とー。テレビ向けには山口選手も(しつこい)。

 早起きして銀座の「博品館」にオープンした「ムシキングミュージアム」の取材、に行く前の時間を近所の「ドトール」にこもって今日から一般発売の始まったメジャーリーグ開幕戦のチケットゲットに勤しむものの、殺到するアクセスにサーバーへと繋がらず断念。帰宅してから再度アクセスして見るとヤンキース絡みの試合はメインのタンパベイ・デビルレイズ戦はもとよりプレシーズンマッチの読売ジャイアンツ戦、阪神タイガース戦ともソールドアウトで敗北感に打ちひしがれる。けど折角だからと残っていた「タイガースvsデビルレイズ戦」から何度かアクセスしているうちに予定枚数終了から再浮上して来たS指定を1枚9000円也よーやくゲット(対ヤンキース戦より5000円も安いのは何故?)。松井秀喜選手は見られないけど大リーグの選手を相手に元大リーガーの貫禄をヒデキ違いで伊良部選手が見せてくれるか新人鳥谷選手が大リーガーの剛速球をどう打つか、なんてところを観察して来よー。やっぱりハッピとメガホンは必須か。それとも大リーグなんでメガホンは禁止かな。

 しかし大人気だね「ムシキング」。別に特別限定品のレアカードを配るってんじゃない、カードを入れるケースに日付が入ったものを配るってだけなのに「博品館」の前は開場の何時間も前から人が行列を作り始めて最終的には600人とかそんなくらいに行ったのかな、とくなく大行列が出来ていて、それがセガってどちらかといえばハイエイジに支持されているメーカーの商品であるにも関わらず、ほとんどが5歳とか6歳とか7歳といった幼稚園児に小学生の低学年でソニックですらなし得なかった子供層の開拓を、これで一気に成し遂げてしまった。

 遊ぶとカードが払い出される原理は「ワールドクラブチャンピオンフットボール」のノウハウがそのまま活かされていて、大人買いに走った挙げ句に弱いカードが大量に廃棄されるって心配もそれほどなく、売り上げがインフレーションした挙げ句にバブルが弾けて急速に陳腐化してしまうこともあまりなく、1年くらいをかけてじわりじわりと支持を集めて来たのもパッと出してはすぐに上がりを求めて次へと移るゲームなりアミューズメントの会社にしては珍しい成長の仕方をしているのも興味深い所。小口久雄社長も言っていたけれど、これまでだったら次のアイテム次の商材へと展開していたのを踏みとどまって、キャラクターとしてじっくり育てていくそーで、まずはそんな一手が「ジョイポリス」なんかじゃない「博品館」4階への「ムシキング」進出となって現れたのかも。版権キャラクターと違ってロイヤルティが不要。飼い主もいないんで肖像権とかパブリシティ権とか主張されず売れば売るほど儲けになるのも美味しそう。これで向こう1年のセガは安泰、かな。「CRムシキング」とか出されてイメージとか崩されないことを後は願おう。


【2月13日】 妄執とも偏執とも言えそーな少年のぐるぐるとした情景描写の周囲に得体の知れない教師や血みどろの少女が浮かんだり現れたりする滝本竜彦さん「ムーの少年」のビジョンが、以前に読んだ何かに重なっているなあ、と考えて思いついたのが「フラグメンツ」あたりからの山本直樹さんのコミック。真っ当じゃないキャラクターが織りなす不条理極まりない展開であるにも関わらず、スプラッタにもならず熱血にもならず淡々と、饒舌なのに静謐な雰囲気で流れて最後にストンと断ち切られて気持ちを宙吊りにされる読後感に似たところがあって、この小説を山本さんが漫画に描くとどんな感じになるのかちょっと読んでみたくなる。そんなコラボレーションが実現する時なんてあるのかなあ。

 もちろん「FRIDAY」の2004年2月27日号は即買いしたけど、買って分かったのがそのページが袋とじになっていたことで、心底より見たいとゆー思いが溢れ上がって喉を底から押し上げて来るにも関わらず、衆目が集まる電車のなかでクレジットカードを使ってペリペリと、袋とじを開いてその素晴らしい写真を拝むだけの勇気はまだなく、中身の素晴らしさを想像しながら家へと帰って思いっきり袋とじを破り開いて、中身を舐めるよーに拝み時には本当に舐めるまでの長い時間を、おあずけをくらった犬とも火あぶりにされる魔女とも生殺しにある蛇ともつかないジリジリとした気持ちで過ごす。そんな人、今日はきっと多かったんじゃなかろーか。「上戸綾 テニス悩殺 丸見えハプニング写真」の文字が踊った「FRIDAY」を、ブリーフケースの書類の隙間に挟んだまま、会社に行って仕事してからまっしぐらに家へと買った人は。

 そんな苦しい思いを1日、強いられただけあって現れた「テニス姿の劇的瞬間」は、スコート姿でこちらにヒップを向けて俯せになった写真だけあって当然のよーに手前へと突き出された両の脚の間に、純白のそれがしっかり過ぎるくらいに覗いていて、顔を近づけ鼻先で感触を確かめ舌をつきだし味見してから、指をのばして触れ最後にはそのページを胸へとあてて思いっきり抱きしめたいって気持ちが涌いて来た。来たけどさすがにそれをやってしまうと、それも明日がバレンタインデーって日に1人狭い六畳間でやってしまうと虚しさも100倍増しで募って来るんで、頭の仲で妄想するに留めておく。言ってしまえばフリルも鮮やかなアンダースコートなんてもんじゃないただのスパッツなんだけど、それでもスコートの下に履いてるってだけ人間、嬉しくなってしまうんだよね。いや素晴らしい。100ページ掲載の田中麗奈さんいよるピンクの三角布の大披露ともどもこの号は歴史的な1冊と断言しよー。やっぱり永久保存用を買っておくか。

 君子が豹変するのは悪いどころか必要で、だからこそ難局を乗り切り難敵を倒して前へと進み上を目指せるものだけど、豹変するにはそれを周囲に納得させる状況の変化なり強靱な理論が不可欠で、それがなければ豹変はただの心変わりととられ、納得して追随するどころか迷走への不安から周囲を逆に離れさせ、信用も失わせることになる。そーした文脈を踏まえた上でこの1週間、吉野家ディー・アンド・シーの安部修二社長が見せている右から左へと大きく触れる言説が、果たして理由ある君子の豹変なのかそれとも臆病者の迷いなのかを、ちょっと考えてみたくなっている。

 先週、東京証券取引所で開かれた記者会見で、安部社長は吉野家が牛丼の販売を休止した後に売るカレー丼なりマーボー丼なり豚キムチ丼といったメニューが、単なる代替メニューではなく次代の吉野家を造っていく上で、残すこともあり得るメニューと言ってこれまでの「単品主義」からの脱却を伺わせる発言をした。「時計は巻き戻せない」とも言いまた真剣にやらなければ相手に失礼といったニュアンスの言葉で、新たに取引を始める代替メニューの素材なりの仕入先を気遣って、なるほどこれは本気で吉野家を総合的なファストフードのチェーンストアへと変えていく気なんだと伺わせ、その切実な言葉にこれは応援してあげなければと感じさせた。

 ところがどーだ。開けて12日。「朝日新聞」のインタビューに応えて安部社長は、東京証券取引所での言をひっくり返して、「輸入再開後も複数メニューを販売する店は残すが、『単品経営』を捨てるつもりは全くない」と時計の針を巻き戻す考えを述べている。資本主義の殿堂の中、50人もの記者が見守り、そんな記者たちを介して何百万何千万もの株主たちが見守る会見で「単品主義」からの脱却を宣言してから10日にも満たないわずかな日数。その間にどーしてこーも言説が代わってしまったのか、理由が分からず頭を悩ませる。あるいは東証ではやや勇み足過ぎたを反省したのかもしれないし、「単品主義」であったからこその高収益体制を捨ててはいけないと株主なり親会社なりからお達しがあって方針を一転させたのかもしれない。豊富なネットワークを駆使して米国産牛肉の再開目処が実は内々に立っていて、その情報をつかんで早期に「単品主義」に戻れると感じてインタビューに臨んだのかもしれない。

 もちろんこれらは単なる妄想で、事実は単純に東証での勇み足を改めたかったのかもしれない。それならば構わない。構わないけれどでもやっぱり釈然としない。東証での会見とゆー超パブリックな場で言ったことを、公器と呼ばれエスタブリッシュメントに読者が多いとはいっても全国民なり全投資家が読んでいるとは限らない(読んでいるはずがない)「朝日新聞」のみで言説を転じてみせても、それは讃えられる豹変ではない。パブリックに発した見解はパブリックな場で改めるべき、なんだけどそーは言ってもやっぱり天下の「朝日新聞」、そこで発しさえすればパブリックな意見訂正と見られて世間も納得してしまうんだろーなー。だから忙しい偉いにもすぐに出てくれるってことで。悔しいなあ。辛いなあ。あるいは「朝日新聞」による論理のすり替えなんかがあって安部社長の思いがねじ曲げられていたりする可能性はあるのかな。あるんだったらなおのことパブリックな場で意見を発して欲しいなあ。某工業新聞紙上? これはダメ、偉い人のプライベートなメディアなんで。


【2月12日】 とゆー訳で大地丙太郎さんが予告していた、第6話に登場の目黒祐樹さんも竹内力さんもひれ伏す御大とは、柳生但馬守を演じた大平透さんだったことが判明した「十兵衛ちゃん2 シベリア柳生の逆襲」。喪黒服造だかの声を想像していたらわりにストレートに渋い声だったんで最初は気付かず聞き流してしまったよ、アニメがいかにオーバーな演技を普段は求められているかが分かり、けれどもそーゆー演技ばかりんじゃなくって基本的な声もちゃんと出せる大平さんたちの世代の声優さんの凄さが分かった回。あと前はただ叫んでいただけの目黒さんにもアットホームな演技があってなかなか。映画の人ってアニメに複雑な勘定を抱いているっぽい印象があるけど、これで結構目黒さん、役が柳生十兵衛ってこともあって馴染んでいたりするのかも。映画だからって実写版ルパン三世に比べれば格段に格好良い役だし。

 さて話の方はといえばこれも予告どーりに思いっきりキレてる回で、シベリアで氷着けになって300年経って蘇った柳生十兵衛の娘がフリーシャってゆー設定の無茶さは「ラブリー眼帯の秘密」の時から続くものだから良いとして、蘇ったまんまゆらりゆらりと北海道へたどり着き、そこで動物たちに出会っていっしょに暮らすってゆー展開がもー無茶苦茶。これが他のアニメで出てきたら違和感もたっぷりあったんだろーけど無理に無茶がなだれのよーに重なり起こっている大地さん演出の究極を行く「十兵衛ちゃん」だけ「ああやってるなあ」って感想になってしまうのはある意味人徳って奴か。そんなフリーシャがいよいよ自由に正体を現し裏切られた自由がおちこんだりもしたけれど、果たして元気になるのかぶち切れるのか今後の展開に要注目。「ニュータイプ」のあらすじ紹介だとしばらくはおちこんだまんまになりそーだけど最後にはきっと見せてくれるだろー、あの超然として勇ましい立ち回りを。見られないんなら「ラブリー眼帯」のDVDボックスを買ってそっちを見るからいーけど。

 続いて「R.O.D THE TV」。そーかやっぱり3姉妹あの衣装は紙で出来てたのか。脳に強制的に知識をインストールする機械に徹底抗戦する菫川ねねねの頑固っぷりには敬服するけど、一方で作家ってゆーのはあそこまで強情っぱりで自分の世界に固執しないとなれないものだってことが分かって、右に左に流されやすくあらゆるものに影響されやすい自分じゃ決して作家にはなれないんだと諦観にむせぶ。バトルシーンはマギーちゃんも格好良かったけど、やっぱりアニタちゃんの大ジャンプしてから着地の時に両の脚をがばっと折り曲げどだんと降りてショックを吸収するシーンのスピード感とパワフルさには負けてたかなあ。図書館でジュニアと邂逅したシーンのスカート姿でのバトルに並ぶ名シーン、だったかも。リーさん良い最後。鳩がライターを回収したのは何だろー、1度は重なったねねねとリーさんの敵味方に分かれての永遠の訣別をそこに込めたのかな。それとも何かあとで小道具として出てくるのかな。

 小道具じゃないけどインパクトは大きかった留守番電話の「あのー」の声。つまりは読子リードマン復活の狼煙ってことですでにアニメ雑誌なんかでも版権イラストで競演しているよーに、「THE TV」の主役を張ってるアニタと愉快な姉たちに、「R.O.D」といったらな読子リードマンが絡んで、巨悪を相手に共闘してくれるってことになるんだろーか、それとも遠くから助言なりをするだけなんだろーか。ジョーカーは未だに敵か味方か判然としないし小説ではドジっ娘だったって記憶のあるウェディ・イアハートはすっかり有能な秘書然としたお姉さま。そんな中に昔と変わらないままボケボケっとした読子が出てきたら過ぎた時間の長さとの整合性がとれず違和感を覚えてしまいそー。もしかしてシベリアで氷漬けになっていおたとか。いやそれはないだろーけどどんな感じで登場するか(大人びているか、とか老けまくっているとか)はやっぱり要注目。エンディングも歌い始めているくらいだしきっと相当大きな役所で登場してもらえるだろーと期して待とう。

 さらにまったく分からなくなってる滝本竜彦さんの「野生時代」2004年3月号掲載短編「ムーの少年」は青春小説とか魔法少女小説とかいったヤングアダルトチックな煽りに惹かれて読むと大変なメに遭うんでワーニング。筋はとりあえずあるよーなんだけど自殺したっぽい少女もそんな少女を気に掛けていた少年も、2人の担任で少女といろいろあったらしー担任教師も全員が全員デンパ野郎で発せられる言葉も態度も読んで普通に理解し感動できるものとはほど遠く、ひとつ所を妄想がぐるぐると回ってバターのよーにとろけ出し、すべてを呑み込んでいく不条理で不安げな物語になっていて感動とか感銘といった感情を寄せ付けない。だいたいがして「ムー」は「ムー大陸」とかじゃなくってそのままズバリ学研の「ムー」だって所に真っ当じゃない世界観が垣間見える。そんな世界観を主観的に把握しつつ客観的に描いてみせる筆のさばきは流石なもの。バランス感覚を持った上で異常ともいえる言語空間を作り上げてしまえる才能が、これからどー育っていくのか活躍の場をどー広げていくのかが気になって仕方がない。だから書いてくれ。「僕のエア」でも「ECCO」でも完成すればそれは世界を変えるブンガクになるだろーから。

 日本代表は恥ずかしさで臍を噛むべきだ。と思った人の3万8000人はいただろー「国立霞ヶ丘競技場」で開催された親善試合「日本代表vsイラク代表戦」は、止まった選手どうしが足元でボールをつないで前へと向かう攻めのユルさに苛立ち、イージーなパスを簡単にカットされてあたふたと戻る不甲斐なさにあきれ果て、こいつら本当にやる気あるんかいなと大声で毒づきたくなる。とにかくボールの扱いが雑な日本代表。トラップをすれば長くてかっさらわれ、ドリブルをしても止められ脇からさらわれるよーな選手ばかりでは、ワールドカップの1次予選はともかく最終予選を戦っていけるのかがひたすら心配になってくる。。

 最終的に2点を取ったとはいえ相手は戦争によって集合もかけられず、つい1カ月前までは練習すらままならかったイラク代表。勝って当たり前であとはどれだけの得点を稼げるのか、って疑問があったけど前半戦を終わって0対0の展開になっていたのを見てこれは、相当にヤバいところにチームの状態が来てるんじゃないかと心配になって来る。なるほどアレックスのクロスから柳沢選手がヘッドを決めた1点目も、アレックスがワンツーでゴール前へと飛び込み決めた2点目も素晴らしかったけど、そのアレックスが他の場面で見せたまるで精度のかけらもなかったクロスの山を見せられ、逆サイドでは山田暢久選手がやっぱりこねて中へと入り込めず上げても精度ゼロなセンタリングを見せられては、2点を取ってもまるで誉められない。

 逆にイラクはシンプルにパスを回して素早くゴール前へと攻めるスピードの速さ、トラップやパスをミスしない精度の高さが日本以上で、ここに天性のストライカーがいてトップに構えていれば、今日の展開も考慮に入れて想像して、ワールドカップに出ても不思議じゃないチームになりそー。ってかアジアカップじゃ日本危ないかもよ。楢崎選手がゴールキーパーじゃなかったら同点だった可能性もあるし。ともあれこのまま来週18日のアジア予選本番に臨まなくっちゃいけない訳で、中田英寿選手がひとり入ってこのぬるま湯的なチームに芯が入るのか、それとも花相撲ならぬ花親善試合と同じヌルさユルさで臨んでは苦戦を続けるのか。まずはオマーン戦での渇の入りようを観察だ。ダメなら五輪代表と総取り替えだ。


【2月11日】 「ほしのこえ」収録DVDまるごと付録の時も手早かったけど大野修一編集長、今度の「月刊アニメージュ」2004年3月号はあの「もえたん」の特別版が付録に付いていてこれまた吃驚。中身も三才ブックスから出たものそのままじゃなくって「アニメの国に迷い込んだぱすてるインクちゃん」って設定でアニメ絡みのジャーゴンやら習慣やら習性に絡んだ例文がわんさと載せられていて、時々それなりに真っ当な(僕基準。一般人から見てどーかは知らない)例文もあった本家「もえたん」を買って愛で受験に使用している人でも別に買って楽しめそー。受験に出る可能性は一段と低まってるって言えそーだけど。

 だって出ませんって、「hollow=からっぽな、うつろな」なんて単語の例文「彼の弟の中身は空っぽだが、たまにネコが入っている」なんれ例文は試験には絶対に。もしも仮にこんな例文が試験に出て、何かに気付いたよーにハッと顔を上げた時に隣りの奴も同じ動作をしていて、そこで目が合ったらきっと心が通い合って、入学した後も良い友達になれるだろーね。翻訳した人の名前に堺三保さんの名前も入っているけどきっと、どれを訳していても様々な思いが同時代的なもの、懐古的なものも含めて頭に立ち上ったんだろーなー。「inherit=〜を引き継ぐ」の例文「祖母が経営していた女子学生寮を相続し、管理人になった」とか。

 「ファウスト」のVol.2をぺらりぺらり。「フェイスタオルプレゼント」なんてものがあって抱き枕じゃなくて残念とはいえ、舞城王太郎さんデザインに竹さんデザインが各50枚づつとは大盤振る舞い。2004年7月30日が締め切りとはまあ気の長い話で3000枚の長編を募集する文学賞みたいに余裕があるけれど、これはおそらくはこれから舞城さんと竹さんが、1枚1枚絵を描いていくからなんだろーと類推して、届いたタオルを早速使って顔を拭いてそこに竹さんの美少女キャラクターなり、舞城さんのなんだか分からないものが転写される日を待とう。って直筆なのか。でなきゃこの締め切りの遅さは説明できない。それとも編集長じきじきの刺繍なのか。

 んで乙一さん「F先生のポケット」。タイトルでピンと来てしまった僕は「コロコロコミック」世代の先走りだったりするんだけど、もーちょっと解体した上で挿入されているかと思ったらこれが違ってモロ、そのままにF先生が描いた例の猫型ロボットが持ってた「四次元ポケット」から「タケコプター」やらなにやらが飛び出て来てしまって、それを手に入れた少女があれこれやってしまうって話になってて、むしろ「ドラえもんトリビュート」by「SFジャパン」or「徳間デュアル文庫」に掲載されてた方が相応しいんじゃないか、って思えてしまった。

 まあそーした記憶に強く残るガジェット、というより既にイコンと化したそれらの品々が現代社会においてどー使われるのか、って興味で読んで読めるし楽しい話ではあるけれど、面白かったのはそーした大人のイコンへの憧憬のその背後で繰り広げられる、虐げられて鬱屈していた果てに暴発する少女と、そして虐げられることから逃げて権力に媚びそれで自意識を綱渡り的に保っている少女の2人の対称的な姿。同調圧力ばかりが強まる今の社会で生きづらい、けど懸命にそれなりに生きようとしている2人を通して社会が持ってるどーしよーもない世知辛さが浮かび迫ってくる、よーに思える、のは僕がそーした同調圧力をはねとばそうとして出来ず消極的逃避に心理的引きこもりを続けている身だからか。残酷な中に切なさを描いて圧巻だったと認識していた乙一さんがこーゆー作品を書くよーになっていたとは意外だったけど、これもまた良し。次はやっぱりT先生の百万馬力、だな。

 「日米牛丼交渉」とは日本テレビ放送網、言いも言ったりって感じだけど実際今回のzゼーリック米通商代表部代表の訪日で最大の話題になっているのが牛丼もとい牛肉の輸入再開があるかないかって部分で、より本質的なものよりもより感覚的なものへと流れやすい人間の特性にのっとれば、その他の大部分を占めるWTO関連の話し合いが話題の埒外へと追いやられて冗談めかしてではなく真面目に「日米牛丼交渉」と呼ばれてしまうのも日本人であり日本のメディアらしーと言えば言えそー。でもきっと担当している官僚の人たちはカンカンだな。休日で誰も登庁していない役所に朝から出て頑張った仕事が「牛丼交渉」じゃあ、誇りも何もあったもんじゃないからね。

 わんさとカメラが居並ぶエレベーター前を素通りして帰っていくゼーリック米通商代表のダンディなおじさまぶりに目を細めつつ原稿をでっち上げて送ってから牛丼でも食べるかと思ったものの続々と入ってくるニュースはどこの「吉野家」も販売休止になって健か騒ぎまで起きてるってネタでそれならばと霞ヶ関から地下鉄日比谷線に乗って六本木へと向かい「森美術館」で7日から始まった展覧会の「草間彌生展 クサマトリックス」とあと「六本木クロッシング」って現代美術の最先端を集めた展覧会を鑑賞する、ってゆーか観光する。1500円を払って入った客の全員をまずは展望ルームへと流してぐるりと「六本木ヒルズ」のビルの周囲を回らせてから最初の「草間彌生展」へと向かわせる方式が目的とするのは、現代美術の粋に触れてもらうとゆーより「美術観光」と呼ぶしかほかになく、休日に観光地を訪れた人たちがその足でさほど興味もない人たちが、見る人を驚かせる作品にかけては日本でも有数の草間さんの作品に「なにこれ?」って怪訝な顔を見せたり「はははっ」と笑ったりしながらギャラリーを通り過ぎていく様は、どこかの観光地にある見世物小屋や郷土資料館と大差ない。

 そのまま上がった「六本木クロッシング」でも起こっている現象は同様で、アートの凄いところを見てもらいたい、なんて意欲のもとに作られただろー美術館のこの有様に、いったいどこでボタンを掛け違ってしまったのかと問いつめたくなる。が、一方ではお上りさんでも何でも無理矢理アートを見せてしまって、学問を修めたものたちによる権威といったバックボーンを共同幻想的にそれぞれが持って寄り集まるこれまでの展覧会の因習を打破し、現代美術を気楽に楽しみながら内容なんかもお構いなしに享受するってゆー新しいスタンスをうち立てよーとしているのかもしれず、それをもって「美術観光主義」とか何とかいった新しい美術運動へと発展させて行こうなんて壮大にして遠大な構想が果てにあるのだとしたら、こーゆー試みも面白いかもしれない。そのダシにされる出展アーティストたちはたまったもんじゃないけれど。

  作品について触れれば草間さんは過去からずっとある水玉や鏡を使った作品ではなく、藁を敷き詰めた部屋にニキ・ド・サンファルほどではないけど派手な色彩で塗られ人間とか犬の人形が立ち並ぶ、その壁を透明なシートに描かれたてんでばらばらなファッションに身を包んだ少女のイラストが埋め尽くしているって作品が、前にパルコギャラリーで見たタカノ綾さんも出展していた女性がテーマの展覧会で見たファッショナブルなアートをさらにスケールアップさせたみたいで、明るくって楽しげでいつもどこか苦しそーだった草間さんとは一線を画す、新世紀の草間彌生さんの姿を見せてくれたよーで嬉しくなった。この部屋にずっといたかったけど何しろ「美術観光」なんで尾瀬とか上高地なみに通行人が多くてはたせず。平日を選んでまた行きたいもの。

 導線とか無茶苦茶でも内容が良かったって意味では「六本木クロッシング」も同様で、まず入って正面に加藤美佳さんの人形をリアルに描いたよーな巨大な少女の顔の作品があってまつげまでがしっかりと描かれた緻密さ、人形をいったん作ってから絵に写すとゆー作業がもたらす奇妙なリアルさに目を奪われる。ずいぶんと前から見知っている作家さんだったけど変わらないままそれでも確実にステップアップをしている。すでに重鎮では会田誠さんが圧巻。「美術手帳」の表紙にもなっている魚だかと少女が絡み合っている絵も良かったけどそれより壁に掲げられた巨大なモニュメントっぽい少女のヌードの絵が最高。割れ目もまる出しに胸をはり腕の筋肉に力をみなぎらせて屹立している姿に真下から拝みたくなった、観音様観音様。

 そして八谷和彦さん。前にミズマアートギャラリーで、「オープンスカイプロジェクト」って銘打ってやっている例の「メーヴェ」を飛ばそうプロジェクトで、フェーズ1のラストを飾る実験機が飛ぶ映像を見てここまで来ていたのかと感心したけど、今回はさらに進んでいよいよフェーズ2へと移るみたいで会場ではパイロットを募集する旨告知も出ていていよいよ本格的に動き始めた緊張感を覚える、って別にプロジェクトにはまるで全然関わってないけど。それでもアニメーションで見た光景が実際になるのは夢のあることで、体重が50キロを切ってる20歳から30歳の女性で、我こそはと思っている人が応募して、その若い命を空に賭けてくれる時が来ることを今は願っている。胸はキツネリスが間に挟まるくらいが理想か。それだと体重50キロ以下はきついのか。オーディションとかのぞいてみたいなあ、コスプレいるかとか。

 それにしてもまるで話題になってる風のない「フジサンケビジネスアイ」。偉い人っちは会う人たちが口々に期待の言葉を贈ってくれるってゆーけれど、偉い人たちが会う人たちってのは取引先営業先販売先同盟先が大半で、相手すなわち偉い人たちに対して情報のアンテナ関心のベクトルを向けている。そーした電波をとらえて高い関心を持たれていると言って言えないことはないけれど、今重要なのは日常的に関心を持ってくれていた人たちではない層、すなわち無限にいる無関心な層であってそーした人たちが関心を抱くフックがまるで出ていないのがあと数週間っていった段階でとてつもなく気になるところ。多少なりとも関心のベクトルがあるだろーと見ていた巨大な掲示板でも真相を噂する雑誌でも、思いっきりスルーされている様を見ると改めて媒体が持っていたバリューの無さを痛感させられる。そろそろ始まったテレビCMが少しは世間の耳目に働きかけるかそれともやっぱりスルーか。成り行きを見守って行こう。他人事じゃないんだけど。


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