縮刷版2004年10月中旬号


【10月20日】 今市子さんの超絶人気シリーズ「百鬼夜行抄」(朝日ソノラマ)もはや12巻。怖さの中に可笑しもあって夜でも暗い場所でも平気で読めるシリーズだけど、この巻については収録されているエピソードのことごとくが怖さにシフトしていて気にする人だと気になって夜とかトイレにいけなくなっちゃう可能性もありそー。つのだじろうさんの「恐怖新聞」とか「亡霊学級」にはさすがに叶わないけれど「学校の階段」あたりは確実に上回っていそー。夜に読むならオムツをはこう。

 冒頭の雪女に会う話も怖いけど田舎に続く神事をちゃんとこなさなかったことから起こる怪異に主人公の飯嶋律律が巻き込まれてしまう「水辺の暗い道」は、科学万能の時代ではあっても過去より続いてきた風習には意味があって決しておろそかにしてはいけないんだって強く身に刷り込まれる。空き家になった家へと帰った大家の女性が台所の下に穴を発見しておびえる「蜘蛛の糸」は、電話のコードが台所の床下のその穴から伸びている構図が不気味だし、穴をめぐって現れる人々もやっぱり不気味。

 幸いにして物語では律が現れ群がる怪異をすぱっと解決してみせるけど、もしも普通の人がそんなシチュエーションに律なしで巻き込まれたら、どーなってしまうんだろーかとやっぱり夜にトイレにいけなくなる。やっぱり引きずり込まれてしまうんだろーか。それとも狐に食べられてしまう? 怖いなあ。どっかに律かあるいは司ちゃんはいないものか。あるいは青嵐。いれば部屋を夏場にカサコソとうごめく黒い奴を食べてくれたかもしれないのに(それはホイホイさんに頼みなさい)。

 分かってるねえ「週刊サッカーマガジン」。2004年11月2日号から「短期集中連載 お仕事です! Lリーガーの職場に潜入」って企画がスタートしたんだけどメディアでも散々っぱら話題になった西友練馬店のレジ打ちをしている日テレ・ベレーザの荒川恵理子選手をいの一番に取り上げるってことはなく、同じベレーザで同じ日本代表「なでしこジャパン」の酒井與惠選手をフィーチャーしている。

 中盤でも底で走り回っている選手で同じ「なでしこジャパン」では宮本ともみ選手にばかりメディアの目が向きどちらかと言えば無視された存在だったけど、その実守備に攻撃への繋ぎにと大活躍している選手でリーグMVPにも2年連続で輝いた逸材だったりする。そんなメディア受けする選手ではなくサッカーファン好きする選手をいの一番に持ってきたところにこの企画を、サッカーファン向けに作ろうとしているんだって意気を感じる。

 まあ日頃から取材先にしている東京ヴェルディ1969と日テレ・ベレーザの取材窓口となる広報担当ってことで取り上げやすかったのかもしれないけれど、一目見てそのプレーぶりにファンとなった身としては感謝することしきり。4月から広報担当をしていたってことは仮に春からの五輪出場騒動でベレーザの選手に取材を依頼したら、広報担当としてお話できたのかもしれないけれど残念にもそーゆー取材の機会はなく、ただ競技場でいつもながら安定感のあるプレーを見るだけに止まっていた。試合後だとサインとかお願い出来そーだけど、子どもだったらまだしもいい歳をしたおっさんが声をかけても薄気味悪がられるんで前へと出られない。

 やっぱり取材にかこつけるのが良さそーで、女子サッカーも週末は「国立霞ヶ丘競技場」でL・リーグとしては初? となる試合が行われる予定で、創刊されたばかりのサッカー専門新聞「EL GOLAZO」も最新の10月20日号でL・リーグを取り上げているくらいに話題を集めているみたいなんでここは、年末にでも今年の総決算として女子サッカーの人気興隆を取り上げつつ、取材にかこつけお顔を拝見にいきたいもの。ところで取材の時に例えば「日テレ・ベレーザを支えなでしこジャパンを支えた人気選手に取材がしたいんですが」と持ち掛けたら誰を紹介してくれるんだろー。「それは私です」と言ってくれたら歓喜。むろん当方はそう思っているんだけど。

 雨風のまだそれほど強まっていない午前を電車で多摩センターへと向かい「サンリオピューロランド」で23日にオープンするキティちゃんのおうち「キティズハウス」のプレスレビューを取材する。あの映画「デビルマン」で毛が生えたレオタードに身を包んで美しい脚や丸みを帯びたヒップを見せてくれた冨永愛さんが、ハローキティのファン代表って事でテープカットに駆けつけるとあって「デビルマン」に感じ入った身としては颱風だからといって逃げる訳にはいかないのです。いや「デビルマン」は関係なくても冨永さんは見たいんだけど。

カエル怪獣と巨大犬に挟まれ子どもがぴーんち、助けてキティ、の図では全然ありません  結婚を発表して妊娠もしているってゆーけど現れた冨永さんは長身は長身でかつスリムなままで今でもモデルとしてステージを闊歩してたって不思議はなさそー。これからどんどんとせり出して来るのかな、それでも出産後はあっさりと元のスタイルへと戻しそー。「ピューロランド」には子どもの頃に来たことがあるってゆーけど出来て14年のピューロランドだけに冨永さんが子どもだった頃ってのはつまり1990年代。22歳って若さを改めて強く認識させられなおかつそんな歳で世界をまたに大活躍し、妊娠もし「デビルマン」にも出演する活躍ぶりにスターの威光を改めて見る。「続・デビルマン」にも出て欲しいとおろ。あればだけど。あるのかな。

 「キティズハウス」は前からあった施設をよりモダンでスタイリッシュに変えたもので、ビクトリア女王時代の英国の家を模したスタイルの家(でも色はキティなんでピンク)の中にキティのあの顔のデザインをモチーフにしたテーブルがあり椅子があり、時計があり調度品があってキティファンなら是非に住んでみたいって思わせそー。上品なピンク色で固められたベッドルームなんて、眠ると毎晩だってキティの夢に浸れます。「夢見工房」は使わずに。

 よくあるキティが描かれた家具や家電と違ってモチーフを活かしつつもスタイリッシュなデザインになっていて、前に日本橋の「GARAGE」で見たミッキーマウスのイメージを取り入れたスタイリッシュな家具と同様、作ればたとえ椅子が1脚10万円とか50万円とかになっても、世界のエスタブリッシュな人とかに人気となって売れちゃいそー。インテリアデザインとかプロダクトデザインをやってる人も是非に見物を。入場だけで大人3000円は高いけど、ケロケロケロッピにシナモンにダニエルにキティに会えるんで損はしません、ってどーゆー計算だ。


【10月19日】 「キネティックノベルとシネマティックアドベンチャーの違いを述べよ」と聞かれれば、シネマティックアドベンチャーについては映画みたいなストーリーを持ったアドベンチャーゲームだって答えられても、キネティックノベルについてはだったら映画みたいなストーリーを持った小説だって、答えて小説は普通ストーリーを持ったものだと返されそうで悩ましい。ってかそもそもキネティックノベルとは映画のようなストーリーを持った小説ではなく、映画のような絵でもってストーリーをつむぐ小説のことらしー。つまりはアニメーション?

 ちょっと違う。「うぐぅ」に「がお」、ではなく「Kanon」に「Air」の「Key」ブランドを持つビジュアルアーツが東京は神宮外苑で発表した「キネティックノベル」とは、パソコンの上で紙芝居のよーに繰り出される絵とテキストでもってひとつのストーリーを視ていくいわゆるビジュアルノベル。ゲームでは散々っぱらやって来た手法を、このブロードバンド時代にインターネットでもって提供したらどうよってことで発足させたプロジェクトが「キネティックノベル」らしー。

 小説は分厚くて読めないしゲームは長すぎるからやらなくなってる、って説明については異論反論出そーだけと状況的に小説が決して積極的には読まれて居らず、何十時間もかかるゲームも敬遠され気味になっているのは多分事実。そーした状況に対応するには3時間から5時間、パソコンの前でクリックを繰り返すなりすれば読める一種の絵付き小説を提供することだって生まれたのが「キネティックノベル」って奴で、言ってしまえばヤングアダルト文庫のイラストが全ページについた奴ってことになるのかもしれない。

 第一弾として登場する「プラネタリアン」とかゆー作品は絵が駒都えーじさんでシナリオが涼本悠一さんとゆーライトノベル業界的にもビジュアルノベル業界的にも葉鍵っ子たちにもそれなりに知られた面々。紡がれる物語は細菌戦争とかがあって人がいなくなった都会に入り込んだ男が視たものは……ってSF仕立てで選択肢はなく一直線に進む展開によって例えば「猫の地球儀」的だったり、あるいは「イリヤの夏、UFOの空」的だったりするデストピア世界でのラブストーリーが繰り広げられそー。

 ゲームに慣れた目だと選択肢がないのがかえって不思議に映るかもしれないし、インターネットで配信する一般向けのコンテンツって関係からエロ的要素が一切排除されているのも葉で鍵な人たちから違和感を持たれそーな気もするけれど、そーした分野で決してエロとかゲーム性とかではなく、物語性でもってアピールして来た会社だからこそ挑める、新しいジャンルってことになるのかも。

 読めばなかなかに感動しそーだけど我が家は残念にもブロードバンド環境がなく50メガバイトとかあるコンテンツをダウンロードするのは不可能。なんて”書評”はそーした環境にある人に頼んでこっちはいずれ小説化される日か、CD−ROMか何かで発売されるかもしれない時を待ちつつ紙の読書にいそしむことにしよー。11月末にもヤフーBBで先行して公開してそれから一般にも公開予定。続編も続々登場の予定。ちなみに「キネティックノベル」の呼び名は登録はしてもパブリックにするそーなんで追随する会社があれば是非。葉?

 仕事を辞めて食っていく自信がないばかりに職場にしがみついている身として自信満々でいられる人への羨望は人一倍。超久々に買って表紙が水着ギャルになってて昔の体操服ギャルの時代を懐かしく思いつつやっぱり表紙は美少女だよねと強く訴えたくなった「サイゾー」の2004年11月号に掲載されていた、「CASSHERN」の紀里谷和明監督へのインタビューで紀里谷監督が自信満々に自作を肯定している言動に惚れる。何より興行収入が高かったって実績がバックにはあるけどそーした後付の理由以上に持てる力、思っていることのすべてをぶつけて作ってそれが、大勢の人を感動させたって事実を、喜んでいる節がインタビューから伺える。なるほど、こーゆーのがクリエーター冥利に尽きるってことなのか。

 「そりゃあね、自分の息子が作ったものだからひいき目もあるだろうけど、でも70歳近いオレのおふくろとか、その友達のオバちゃんたちもわかってくれたわけよ。子どもたちもわかってくれた。それじゃダメなの?」って言われればはいそうですねとしか言い様がない。セリフで説明してはいけないのか。テーマを前面に押し出した映画があってはいけないのか。「サイゾー」って雑誌が既存のフォーマットに乗っておらず大手企業の広告も入らなければB社のアイドルも出ないにも関わらず、信念を通していることを挙げて反論されたらもー、返す言葉もないってことで。しかし本音がほとばしるインタビューって最高。やりたいけどでも新聞じゃーできないなー。次は是非に那須博之監督にト・ツ・ゲ・キ。

 見ればただの郊外。畑や空き地が広がる向こうにアパートが並んでいたり、団地の下に小綺麗でこぢんまりとした公園があったりする、ここ船橋でも割りにみかけたりする光景なんだけどそんな写真の下に添えられた、子どもが虐待されたとか大人が少年に襲われたとか一家が惨殺されたとかいったニュースを見、あらためて写真を見返しそれがその事件の現場だったと分かって来ると、とたんによくある光景が非日常的な異空間に思えてくる。それが秋山忠右さんが「ZONE」(日本カメラ社)って写真集。

 都市近郊に広がったそーした新住民たちが住む街が共同体との関わりを外れているが故に人とのつながりが希薄になって心が荒廃し犯罪が起こりやすくなる云々といった、しれっとした説明なんてものもあったりしそーだけどそーした郊外に限らず昔だったらあまり気にならず目にとまらなかった事件は下町でも、田舎でも起こっている訳でことさらに”ZONE”とやらを貶める気持ちはない。問題はきっともっと他の所にあるんだろー。

 記事を読んで光景が非日常へと変わるなら、逆に事件が起こった場所でもそれを気にしさえしなければよくある日常でしかないって言える訳で、つまるところ紙一重でしかない日常と非日常が背中合わせで存在するこの世界を、僕たちは生きているんだってことを自覚し何が起ころうともそれをことさらに場所の責任とかにせず、環境のせいとかにせずに本質を見極める必要がありそー。敢えて犯罪の場所を撮るって行動は、過去を掘り返されて迷惑する人もいそーで秋山さんには後でいろいろ異論とか出そーな気もしてきたけど、そーした活動から得た僕なりの考え方ってのもあったんでひとつのジャーナリスティックな活動として評価をしておきたい。


【10月18日】 明け方までかかってアンケートとか原稿とかを仕上げてから寝て起きて「東京コンテンツマーケット2004」へと出向く。午前からだと思ったら開場は正午からだったんで会場の「東京国際フォーラム」に来ているネオ屋台村のロコモコ丼を買ったらただのハンバーグライスだった、ってそれがロコモコ丼なんだけど。ハンバーグ好きの日本人が生み出したらしーけど真偽や如何に。松屋のデミハンバーグ定食を買ってサラダともどもぶっかければそれもロコモコ丼って言えるのかな。

 将来性のありそーなコンテンツを来場する企業とかいろんな人に見てもらってビジネスにつなげようってイベントだけに全国からより抜きの96社だかが集まって、キャラクターとか映像作品とかいろいろなコンテンツを展示していたけれどエッヂの立ったコンテンツよりまず目が行くのがオタク色の入ったもの。多分DKさんっぽい絵の立て看板があったゲーム会社でまず話をし、それからスケブを広げて絵を描く人の背後に電撃文庫とか、そっち系の小説で割に見かける類のイラストが貼られたコンセプトって会社のブースへと自然に足が向かってしばし話を聞く。

 何しろメディアでビジネス関連の肩書きなんてぶら下げているんで、世間(おたく的世間)に疎いと思われたのも当然と言えば当然で、ブースにいた人は日本では萌え市場がこれから伸びると説明し、ケモ入ったキャラクターは一般性があると一所懸命に説明してくれて、例えばペットショップとか動物病院とかのキャラクターに使われる可能性もあってそーした方面に、抱えたグラフィッカーの人たちの作品を提案し提供していくのが事業ですって説明してくれて、なるほどそれは面白い試みですねってって感じで耳を向ける。

 そーいえばその昔にアコワークって会社があって漫画家さんと契約して、企業のパンフレットとか会社概要とかを漫画で作るお手伝いをしていたって話を取材したことがあったけど、漫画がより一般的なものになって来て、国がバックアップするくらいの代物になった現代はさらにそーしたビジネスが定着する余地は大きそーで、コンセプトって会社もそこに目を付けウェブで漫画やイラストの人をアピールしつつ、世間に採用をアピールしていこうってビジネスを始めたのかも。

 聞けばなるほどって思えないこともないけれど、肝心なのは普通の人にケモ入ったキャラがどこまでアピールしたか、って辺りか。個人的には肉感のあってころころとした獣美少女のキャラクターは、今風ってよりは80年代がリターンした感じに近くって年齢的にその辺でもまれた目にはとっても親和性があったけど、だったら普通のお父さんたちにも受け入れられるキャラクターかどーかって部分は、そーした方面に免疫のある僕では普遍性のある判断は出来ないんで、ここは是非に普通の人に見てきてもらいたいもの。「東京コンテンツマーケット2004」は19日まで開催中。

 ちなみにスケブの人が「大魔王ワールド」の大魔王な人で、説明していた人(管理人さん?)は秋口ぎぐるさんの知り合いとか。「秋口ぎるぐは読んだことがあります」と言ったら驚かれたけどそーか、やっぱり40絡みのおっさんが読んでいると意外に思われるジャンルなのかライトノベルって。いやそーなんだけど。ところで「ロンドンストーリー」の後、「ショットガン刑事」シリーズも他もなかなか出ないんだけど何をしているんだろー秋口ぎぐるさん。と思っていたら「グループSNE」メンバーになっていた。ほへえ。

 別のブースでは「村上隆は越えました。奈良祥智も越えてます」と関西弁で明るくアピールするおっちゃんがおったんで面白がって話を聞く。名前をフジイミツグって言うその人は何でも部品設計の工場で勉強したCADとかCGの技術を使ってコンピューターで絵を描いたらこれがヒット。工場を辞めて独力でキャラクターをこねあげCGを描きイラストとかの仕事もして、関西ではそれなりな知名度を得たけれどやっぱり関東でメジャーにならないといけないって事で、今回の「東京コンテンツマーケット2004」に出展することに決めたとか。

 プロフィルなんかを見ると結構な活躍ぶりなのに、それでもやっぱり東京でって考えるのは東京にそれだけメディアも企業も集中しているってことの現れか。作品自体はとてもCGやイラストの勉強を専門にしたことがないとは思えないくらいに、紙粘土で作った河童もCGで描かれたキャラクターも面白くってしっかりしていて、道具や技術なんかじゃなくって感性がやっぱりこの世界、重要なんだってことを教えられる。

 来る人を拒まない売り込みぶりをしていたけれど2日間の会期で果たしてどれくらいの人にアピールできるのか。ってか「東京コンテンツマーケット2004」ってどこからどれくらいの人が来場するのか。分からないけどこのフジイミツグさんも含めてインディペンデントで活躍中のアーティストが、多々来場して自慢のキャラクターをアピールしているんで、「GEISAI」とか「デザインフェスタ」とか「ライセンシングアジア」とかで新キャラを探している企業の人なんかは、こっちものぞいてみると良いかも。だから会期は19日まで。

 誰だと思って買った「AERA」の表紙の美女が「ファンタスティックサイレント」のD(ディー)さんで仰天、ここまでの人になっていたのか。何かの取材で多摩センターへと出向いた時にそこの本屋で宮崎駿さんの謎の帯が気になって「ファンタスティックサイレント」を買って4年くらい? 残酷なタッチの絵でもって泣ける話を描いた内容にこれは一体どーゆー才能だと着目していたら、あちらこちらのメディアに露出を始め「SFマガジン」の唐澤俊一さんの連載とか、表紙とかにも顔を出しているのが分かってまた驚いけど、一般性って意味では天下の朝日新聞の雑誌登場に勝るものってなかなかないからなあ。これで誰もが知るクリエーターになったかそれとも更に凄い活躍を見せてくれるのか。とりあえずライナーが100ページとかあるらしーCDを買って来よう。どこ売ってる?


【10月17日】 今日もきょうとて女子サッカー「L・リーグ」の「さいたまレイナスFCvsTASAKIペルーレFC戦」。日テレ・ベレーザに続く2位につけているレイナスがこの試合にもし勝って、伊賀上野で伊賀フットボールクラブくノ一と戦うベレーザが負けでもしたら順位が入れ替わるとゆー天王山。3位に付けて連覇を目指すペルーレにとっても”絶対に”負けられない試合だけに首位決戦ながら引き分けに終わった前週の「ベレーザvsレイナス戦」に並ぶ好試合が期待出来そーで、スタジアムへと向かう足取りも軽くなり、減額必至のボーナスのことで澱んだ気持ちもちょっとだけ明るくなる。ちょっとだけ。

 満杯のバスが埼玉スタジアム2004へと赤いレプリカユニフォームを着た浦和レッドダイヤモンズのサポーターを運んでいく様を見送りながら浦和駅からてくてくと歩いて到着した駒場スタジアムは、レッズのサポーターを欠きながらもメインスタンドを結構な割合で埋める人間が集まっていて、あの感動の北朝鮮戦からアテネ五輪を経てなお続く、女子サッカーのそれなりな盛り上がり具合を今さらながらに痛感する。去年の同じ駒場の試合でスタンドがいっぱいになったなんてこと、なかったからなあ。来週の国立霞ヶ丘競技場での後座に何人、残ってくれるかにも興味が湧いてきた。1万人は残って欲しいなあ。ヴェルディサポが全員残ればそれくらいいくはずだよなあ。

なでしこジャパンのロナウジーニョはコーナーキックも華麗で美麗。だけど点にはつながらず。TASAKIペルーレ連覇の危機に。  上背はあんまりないけどボディのめりはりが素晴らしい遠目には美貌の主審に頬緩ませながら見入った試合は前半、動きの今ひとつ鈍いレイナスの守備陣を翻弄しつつペルーレが川上直子選手のミドルで先取。以後も危ない場面を作り出すものの代表ゴールキーパーの山郷のぞみ選手が頑張って1点差で切り抜ける。でもって後半。ハーフタイムの叱咤が効いたかそれとも作戦だったのか、急に動きが良くなりボールもつながるよーになったレイナスが怒濤の攻めを見せてペルーレ陣を翻弄し、まずは遠目からフリーキックが公式では田代久美子選手の得点ながらも実際はオウンゴールでまず同点へと追いついた。

 さらにゴールキーパーが飛び出したところを前節でも若林エリ選手とツートップ気味で動いたスモールスターの高橋唯選手がかわしゴールへと流し込んで逆転。一方の山郷選手は飛び出してのキャッチも良ければ止まっての受け止めも完璧でペルーレに得点を許さずそのまま逃げ切って見事、勝ち点3をゲットした。一方のベレーザはくノ一に敗れた模様でこの結果、レイナスがベレーザを勝ち点で1ポイント上回って念願の首位へと躍り出た。いや以前にも立っていたから奪還か。どっちにしたって凄いことにはかわりない。

 次節はベレーザは宝塚バニーズ、レイナスは大原学園JaSRA女子サッカークラブとともにL1下位に沈むチームとの対戦でポイントの上積みはほぼ確実。ここでレイナスが勝ちベレーザが負けるよーなことがあればレイナスの優勝が決まるしそーはならなくても最終節、意地をかけたペルーレがベレーザを敗りにかかる可能性は結構あって、レイナス優勝の可能性が結構な確率で見えてきた。リーグでは浦和レッズが首位を走りナビスコカップでも優勝の目が見えていて、これでチャンピオンシップをレッズが勝って天皇杯もレッズが取って天皇杯と同じ元日決戦になりそーな女子サッカーの日本選手権をレイナスがとれば、埼玉県が完全制覇を成し遂げるって寸法。けどどれも取れない可能性だってあるんでここは気を引き締めて残る試合を頑張ってくださいな。まずは野球の日本シリーズで埼玉県が勝つかに注目だ。

 アニメーション版の「げんしけん」の予習をしよーと秋葉原で漫画版の「げんしけん」を今更ながらに買って読んで昼寝したら夢に斑目が出てきたよーな出てこなかったよーな気が。夢なんで曖昧だけどそれほどまでに精神との高いシンクロ率を持った作品だったって言えそーで、我が内に潜むそーした方面の素養に今さらながに気づかされる。しかしどーして高坂ではなく斑目なのかが謎。理屈っぽくっていろいろ知っててあちこち出歩いている割に、本気で取り組んでいるものもなければこれといった取り柄もない、上っ面だけで中身からっぽな表層おたくの斑目が僕と同じってことなのか。同じってことなんだな、やっぱり。勉強しよう。

 アンケートとか原稿書きとか。10冊も読んでつるつると書けばどーにか納まる原稿と、何十冊も読んだ上であちらこちらをめくり返し、記憶もひっくり返さなくっちゃいけないアンケートのどちらが難しくって大変いかと言えば当然にアンケートの方なんだけど、価値では原稿の方が上にあったりするから悩ましい。部屋のそこかしこから山をくずして本を抜いてアンケートを整えて締め切りまでに送信。したけど大きな何かを落としてしまったよーで落ち着かない。困ったなあ。結果が王道を行くとしらマイナーも究極を行く回答が果たしてどこまで反映されるのか。興味を持って結果を待とう。


【10月16日】 バーボンをショットグラスで1杯、あおった途端に眼底から眼前へと突き抜ける圧力が出始めて目がちかちか。欠けた雲母のプレートでも挟んだよーに視野の一部にきらめく歪みが見えるよーになって本も読めずパソコンも打てない状況が一昨晩、起こったその原因をもしかしたら悪い眼病かもとちょっぴり心配したけれど、とりあえずは疲れ目だろーと薬局でドリンクの「ベッセンアイ」を飲み錠剤で疲れ目に良い「ナボリン」をむさぼり食った上に目薬を射したらズンとした痛みとともに筋肉がほぐれる感じがして、やがて焦点も合うよーになって何とか元通りの目に戻る。暗い部屋で小さい字を打ち読み過ぎた。体をいたわらねば読書も出来ぬ歳になってしまったのか。それともただのストレスか。ストレスの原因なら山とあるけれど。

 杉山隆男さんの「メディアの興亡」で潰れそうになった「毎日新聞」の編集局に広告担当の役員がやって来て、この記事を扱ってくれたら広告が出るんだと言ったら下っ端の整理部員だかが「あんた新聞を何だと思っているんだ」と怒鳴りつけたってエピソードが確か、紹介されていた記憶があるけれどもしもその広告担当役員が社長であってもやっぱり下っ端は「あんたバカぁ?」って怒鳴りつけたんだろーか、怒鳴りつけたんだろーな、それが歴史と伝統のある全国紙の矜持であり、またジャーナリズムが死を賭してでも守るべき一線だ。

 もちろんこれは妄想であって仮にも全国紙を標榜するメディアにおいて、会社のトップが編集局にやって来て編集局の偉い人にこれが載ったら広告が載るからと言って掲載を依頼し、編集トップがそれを受け入れデスクへと回しデスクもそれに異論を挟まずスルーして現場へと下ろし、現場もそれを諾々を受け入れ取材に回るなんて事態が、起こってなどいないし起こることなんてありえない。あったとしたらそれは全国紙ではないし、ジャーナリズムでもなくフリーペーパーですらないかもしれない。じゃあ何だ? 考えるとストレスが溜まるぅー。

 とりあえず治ったとは言えストレスの原因はなくなっておらず酷使すればいずれ元に戻る可能性もあるんで家に籠もっての読書はやめて電車を乗り継ぎバーニングしかかったノートパソコン(ファンが回らず熱を持ってシャットダウンを繰り返す)を修理に出しに池袋へと向かう途中でいくつか読書。まずは最近熊が里へと降りてきては射殺される事件が相次いでいることにいち早く異論を唱え、熊は知性もあれば人権もあって大事にすべきだってことをたぶん訴えよーとはしていない川崎康宏さんのAlice」(メディアワークス、570円)を読む。知性どころか喋ったよ、熊が。

 熊だけじゃなくいろいろ喋るんだけどそれは本編で。メビウスチルドレンってある種の薬害でもって生まれた異能をもった少女アリス。昔ちょっとヤサぐれてたけど今は立ち直って大学受験の勉強をしつつも昔取った何とやら、襲いかかってくる敵も少なくなくって手に銃を持ち全身これバネの体力も活かして群がる敵を撃ち蹴り殴るハードな日々を送ってる。そんなアリスが日頃アルバイトしているのが探偵事務所で所長の名前はボーボーと言うんだけどその姿がまるで熊、ってゆーか熊そのものでカナダ出身でカナダ国籍を認められた5頭目のグリズリーで日本には親善に来て何故か探偵事務所を開いてる。

 そんな探偵事務所に持ち込まれた猫探しの依頼。見事に探し当てたんだけどその猫に実は秘密があって奪いにやって来る奴あり、恨みも込めて襲いかかってくる巨人ありと大騒ぎ。そんな中でもアリスはダーティペアみたいな小さい衣装を身につけ飛びはね敵をうち払い、ボーボーも胴衣に袴で巨人を相手に大格闘してみせる。設定もシュールなら展開も適当。それでいて人間とは何か、記憶とは何かを問うあいろぼっと的テーマもあって楽しめる。爆裂天使な割に純情な所もあるヒロインのアリスと「カミカゼ」「ハラキリ」「一億玉砕」と叫び巨体を震わせ敵を撃つグリズリーとその他いろいろなキャラの活躍ぶり、また読みたいなあ、きっと読めるんだろうなあ。

 そして第2話はサイドセブンをホワイトベースが離脱する話、みたいなもん? あの巨大なロボットが何分間も空中を飛び回れるのはきっとコロニーだからで遠心力の関係で重力が小さくなる場所があったんだと思うけど科学の知識がないんで詳細は不明。射出されたジェットスクランダー(仮)を着用すると機動力が増すばかりでなく動きも素早くなって弾も避けられるよーになる場面に「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」がリアルロボット系ではなくスーパーロボットの系譜に連なる作品だってもしかして証明か。池田秀一さんは美声が若返っている感じで小山茉美さんは逆に老練さが出た感じ。最後まで出てくれるのかな。


【10月15日】 学生野球協約に違反してアマチュアの選手に栄養費とかゆー名目で金を渡していたり関連会社のスポーツ紙に風俗とか消費者金融の広告を山と出していたり販売に当たって家におしかけ取らないとドアをけ飛ばすことだって平気な会社とか、総会屋に金を渡していたことが発覚して役員がおとがめを受けたり長年に渡って株主の構成をごまかして東京証券取引所から管理ポスト行きなんて懲罰にも等しい扱いを受けたりする会社とか。

 BSEの問題に関して表示をごまかし世間から非難を浴びた会社とか、世の中が大きく変わろうとしているにも関わらず流れについていけず売り上げを伸ばせず経営危機を招いたもののそこから脱却すべき明確な策を打てずかといって支援を求めることをしないまま瀬戸際へと追い込まれてよーやくトップがその首と引換に再建への途を付けたものの先は決して楽観できない会社とか。

 そんな会社の人たちが、年齢制限の課せられた環境で違法ではない成人向けのゲームを売ったり、アップされる違法なコンテンツを可能な限りパトロールしては削除しよーと努力している会社を、プロ野球に参入するには公序良俗に反し青少年の育成に好ましくないだなんて非難するこの滑稽さ。大人の世界って複雑です。まあそーした予想された突っ込みに反論するなりそーした突っ込みを出せないよーな根回しを、しておかない方も脇が甘いって言えば言えるけど。ところで売ってる商品のすべてが合法でかつ健全かって果たして言えるのか日本最大のオンラインモール。探す人とか絶対出そー。

 そうそう事の発端となった球団の経営がにっちもさっちも行かなくなって売り飛ばしてしまった会社ってのもあったっけ、それも買いたいって会社を袖にしてお仲間に。苦しい中で50年間も球団を持ってよくぞパシフィック・リーグを支えてくれた、そのことに敬意は払うべきって意見もメディアとかには出ていたけれど、ロバート・ホワイティングが書いた「イチロー革命 日本人メジャー・リーガーとベースボール新時代」(早川書房、2000年)の一節を読むとそーした敬意を払うに値するだけの努力をして来た球団なのか、って疑問が首を持ち上げる。

 団野村さんが野茂秀雄投手をロサンゼルス・ドジャースに移籍させた1995年。観客動員が伸びずチームは赤字で本体も鉄道、デパートともに赤字とゆー状況から移籍を待ってくれと頼んだ球団に野村さんが「そんなに金がないなら、なぜ球団をかかえているんですか」「だったら、チームをどこかに売ってしまえばいいじゃありませんか。経営方法をちゃんと知っている人間に」って当たり前のことを言ったら球団社長はこう答えたとゆー。「そんなの、あんたの知ったことか」。

 返して野村さん。「そのとおり」「そちらが財政的に苦しいかどうかなんて、われわれの知ったことじゃありません。きっと商売が下手なんですよ。だから会社の経営が苦しくなるんだ。しかし、そのしわ寄せを、選手におしつけないでください」。つまるところ”たかが選手”を働かせてやっているって構図が10年前でもすでに浮かび上がっていた訳で、にも関わらず何の手だても打てずに今日まで来てしまったことが、球団の合併へと至り今日の球界再編とゆー事態を招いてしまった。それでもなお旧態依然とした体制を護持しよーとしている訳でこれからの10年、ますます縮小するだろー日本プロ野球界た辿る崩壊への途を哀しみつつ哀れみつつ観察していこー。

寒くて客少なくて仕事できなくて収入たいしたこと……ないこともないか、千円札いっぱいなビール売り。  これも崩壊の序曲? プレーオフの導入で上位に限ったとはい言え最終戦まで大盛り上がりに盛り上がったパ・リーグに対して1位が決まってしまって記録もほぼ確定してしまったあとはひたすらに消化試合の続くセントラル・リーグの球場は、先だってのオレンジシートがむき出しになった横浜球場での「横浜ベイスターズvs読売ジャイアンツ」をはじめどこもガラすきの閑古鳥。松谷創一郎さんから今日が神宮の最終戦と聞かされかけつけた「ヤクルト・スワローズvs横浜ベイスターズ」も青いシートが剥き出しの状況で、世界でも屈指の大都会の都心部から最も近い場所で行われている、スポーツ・エンターテインメントの最高峰たるプロ野球においてこのていたらくとゆー事態に、根ざす問題の深さを見る。

 ってことはあんまり考えず、1列分のシートを2人で占領して寒空にビールを飲み、枝豆をつまみカレーをむさぼりつつ見る野球の何と贅沢なことか。おまけに最後の試合ってことでサービスで内野も自由席で2000円と格安で、これに加えて例えばビールを一律300円とかにして開始時刻も午後7時からとかにしてしまえば、近隣の会社から夕涼みとゆーには寒すぎるけど金曜日の息抜きにはなるって考えて会社員がおしかけそれなりなにぎわいを見せるんじゃないかって思ったけれど、料金は下げられても開始時刻までは繰り下げられなかったのがやや残念。回が進むに連れて背広姿が増えたのを見るにつけ、来年は是非にそーした”アフターセブン・ナイター”ってのをやってもらいたいものと深く思う。とくに千葉マリンスタジアム。あそこに午後6時は都心からではキツ過ぎます。

 試合は1回表からベイスターズの小池正晃選手ってあんまり聞いたことのなかった選手が第一号のホームランを放ち、続く打席でも第2号のホームランを放つとゆー活躍ぶり。松坂大輔選手と横浜高校で同級生だったもののその後のプロ生活では大きく水をあけられてた小池選手が、いよいよ本格的に浮上を遂げた記念すべき場面を目の当たりに出来たってことで、末代まで語りぐさに出来るか否かはやっぱり来年以降の活躍ってことになるんだろー。ちょっと注目。あとやっぱり古田敦也選手は存在感があったなあ。あの赤バットが見られるのもあと数年だろーけど、引退しても日本球界のために頑張ってくださいな。


【10月14日】 麻雀漫画だって読まないのにパチスロ漫画なんて手も出したことがなかったらかその存在にまるで気づいてなかった櫻井そうしさんの「コルトマリア」が河出書房新社から刊行。パチスロをする男が主人公なんだけど麻雀をする主人公を描きながらもまるで別の、愛とか人間模様とか企業とかの話をメインに流す漫画があったりするよーに、「コルトマリア」もパチスロをしながら家族との反発したり依存したりな関係とか、恋人との別れそうで別れられなかった関係を描いていたりして、物語としてちゃんと読めるしおまけにパチスロの勉強にもなって一石二鳥。いや凄いビジュアルってのに触れさせてもらったってことで一石三鳥か。

 浅田弘幸的ってゆーか浅田寅ヲ的ってゆーか風忍的ってゆーか、スタイリッシュでファッショナブルなキャラクターがしっかりとした線とベタでくっきりと描かれている絵で初めての目にはトンがってる感じがするかもしれないけれど、登場して来る人たちの性格が優しかったり気弱だったりと割に普通で時に面白くって、そんな彼や彼女が繰り広げる物語を気持ちよく読むことが出来た。でもって教えられるパチスロの技術。こーゆー漫画ってパチスロ漫画的には一般的なんだろーか。きっと違うんだろーな。

 ホラーの方面で活躍していたこともあったよーで巻末に収録の短編「マフェットのお嬢さん」は名家の子息の嫁に乞われた少女が見る、名家の人々の残酷だったり強欲だったり優しかったりする物語。簡単にいえば人は良い意味でも悪い意味でも見かけによらない存在だってことで「コルトマリア」とは違って極端を行くキャラクターが極限を行く描線ともあいまって、エッジな気分にさせてくれる。でも犬は可愛く描かれているのが不思議で妙。さらに巻末のショート漫画には一杯犬が出てくるし、当人も犬を飼っているよーで犬好きな気分が犬の絵に現れているってことなのかも。でも僕はやっぱり猫が好き。

 目を見開き正座して見るには精神にハラハラ感を与えすぎる試合ってことで直視せず、布団に寝転がったまま音だけ聞いていたサッカーのドイツワールドカップのアジア1次予選。そう1次でしかない予選をこーした気持ちで見ることになるとは8年前でも思わなかったけど、時に慢心しがちな人間を諫め世界の舞台をただひたすらに憧れていた時の気持ちを取り戻させるって意味で、ジーコ監督の登場は日本サッカー界にとってもサッカーファンにとっても良かったのかもしれない。これで最終予選を買ってドイツに行ければだけど。

 それでも時々目に入った布陣はべたっと引いたバックラインと前線で体を張る鈴木隆行選手らフォワード陣とが間延びしたオールドタイプ。パスは回っても攻め手を欠いて得点機を作れない展開に「それでも引き分けだったら良いから」と言い聞かせよーとしても、世界でロシアを相手に7点をとって圧勝したポルトガルのよーなチームがある以上、両チーム以上に実力差があってしかるべき日本とオマーンの試合ではちょっと心が落ち着かない。

 最終的には鈴木選手の1点が決勝点となったけど、ロスタイムに入って攻められた日本のアレックス選手が川口選手に短いバックパスをしてみせた場面なんかに気持ちは一挙の絶対零度。不意打ちみたいなプレーがさらにプレッシャーの厳しくなる最終予選、そして本番の檜舞台で出ないとも限らないって辺りに予選通過を素直に喜べない自分がいる。

 シンガポール戦はロートルが出ての花相撲でもしそーな雰囲気があるけれど、そーした余裕をぶっこくくらいなら森本平山カレンに大久保田中達也に今野といった未来のタレントを呼んで日本のルーニー探してもしてもらった方が、ファンも嬉しいし何より代表チームのためになる。なんてことを言っても理解できないところがジーコ流。今は幸いにもそーした得体の知れない試合を見ないで済む、シンガポール戦のチケットを買ってなかった我が身を喜ぶことにしよー。


【10月13日】 ダイエーの産業再生機構送りが決まってテレビで速報のテロップが流れてから程なくして、西武鉄道グループの総帥で西武ライオンズのオーナーでもある堤義明・コクド会長がライオンズのオーナーも含めてすべての役職から辞任すると発表した速報が、テレビのテロップで流れるこの示し合わせたよーな状況を、果たして賢い人たちはどう深読みするんだろー。

 あり得るならばダイエーの自主再建断念で保有の維持が危ぶまれるよーになった福岡ダイエーホークスと、オーナー辞任で放り投げられた西武ライオンズとの合併といった所で、西武所沢球場と福岡ドームのどちらをフランチャイズにするかはともかく、実現すれば堤オーナーが前に口にした「もうひとつの合併」を図らずも果たされた形となってスポーツ界における堤オーナーの面目もしっかと立つ。

 かくして現段階において4球団となったパシフィック・リーグは参入を表明しているライブドア、楽天のともに準備不足を理由に日本プロフェッショナル野球組織から申請却下の憂き目を見させられ、かくして運営不能となったパリーグはストライキまで打って選手会が獲得したはずの、来季は2リーグ制度維持で極力6球団づつ12球団とゆー約束を、経済事情が許さなかったとゆー理由から反故にして、セントラル・リーグと緊急避難とゆー恒久措置として合体して1リーグとなり、セもパもチームのオーナーは安泰とゆー帰結に向かうのであった。悲しいけどこれが日本野球、なのよね。

 こーなるあるいは砂上の楼閣絵に描いた餅捕らぬ狸の皮算用って色も濃さを増す楽天とライブドアの新球団人事だけど、とりあえずは世間にアピールできるうちにアピールして球団ともども社名を売ってしまおうって意図でもあるのか、GMが決まった監督が決定したといっては記者会見を開いて、それもテレビの生番組が始まる時間帯に絶妙にぶつけて中継とかを得て確実に露出する戦略を織り交ぜて、新球団のPRに余念のないところを見せている。

 ワイドショーとかNHKの朝ドラ直後のニュースが始まる朝の8時半に、仙台は宮城野にある「県営宮城球場」で開かれた関係でとてもじゃないけど行けなかったライブドアにおる暫定GMの発表に続いて、午後11時半とゆーこちらも昼前の民放のニュースが始まる絶妙な時間からスタートした楽天による新球団の監督決定記者会見。スポーツ紙なんかで既報のとーりに元中日ドラゴンズで西武ライオンズで最後は阪神タイガースだった田尾安志さんが、13年ぶりのユニフォームを着る決心を固めたと発表して注目を集める。

 監督はやってなくてもコーチぐらいは勤めていたと思ったらタイガース退団以後はずっと在野で解説とかタレントとか歌手(やってたっけ?)にいそしんでいたそーで、そんな人に監督なんて重責が勤まるのかと心配になったけれどそこは頭も顔も良い田尾さんだけあって「12球団を解説者として全部見てきた」と言い「タイガースの若手と汗を流して来た」とも言って現場感覚は失っていないとアピール。「練習なんて何時間もしないで選手の自主性に任せ、必要としている選手を使ってチームを作る」って当たり前なんだけど当たり前に出来てはいなかった運営をしていく方針を訴えて将来に期待を持たせる。

 「外から見ていた時には先に手を挙げたライブドアに好意を持っていたけど、三木谷さんと話してみて裏取引とかないってことが分かった」とも言っていて、それが事実を現しているかどーかは当事者、とゆーより三木谷さんじゃないんで分からないけど、信じるならば田尾さんが喜んで引き受け前向きに活動していくだけの下地は整っているって言えそー。問題は踊り場へとあげられた田尾さんが、実は参入を認めないだなんて”茶番”によって梯子を外され傷つくことで、首位打者を敬遠によって奪われたことで全国にファンを作った田尾さんを足蹴に仮にしたならば、野球ファンの反感は楽天へと向かって事業にも影響を与えかねないんで、ここは田尾さんの信頼に応えるよーながんばりを見せて頂きたいところ。精一杯やってダメなら仕方がないから。

 一方のライブドアは暫定ながらGMにニューヨーク・メッツとサンフランシスコ・ジャイアンツで新庄剛志選手の通訳をやり、その前は横浜ベイスターズで通訳をやりファームの「湘南シーレックス」立ち上げに関わり地域密着型のファームとゆー新しいモデル作りに尽力した、小島克典さんを起用するって発表。野球選手の経験もなければ楽天が選んだGMのマーティ・キーナートさんのよーなスポーツビジネスの分厚い経験にちょっと及ばない人選で、これは世間をちょっと驚かせた感じがするけれど、若い発想と若さに似合わない経験でこれまでにない球団を作る一方で、5年先10年先にプロ野球界を担う若いGMを育てるって効果もあるんでこちらもなかなかに捨てがたい。

 いずれにしても今後のNPBによるヒヤリングなんかを経て決まる新球団の参入。なんで手堅さの楽天を取るか斬新なライブドアを取るかを委ねられたお上が、どー判断するかによって将来のプロ野球がどーなるかも決まってきそー。だけどやっぱり気になるのがダイエーの産業再生機構行きに堤義明オーナーの辞任で、ここから導き出されるかもしれない新たな事態が手堅さも斬新さも蹴散らして、旧態依然から退行への道をプロ野球界に歩ませることになるのかも。今後の要注目。振られて棚上げされた千葉ロッテマリーンズはどーなるんだろ。

 週末の興行で3位に入ってなかなかの滑り出しを見せながらも、こと評判については賛否渦巻く劇場版の「デビルマン」を、割にポジティブに捉えている人がいて僕とか原作者本人だけじゃなかったと一安心。漫画家で「黒いチューリップ」シリーズが今どーなっているのかちょっと知りたい東城和実さんが10月13日付で言っている「原作者が一番こだわった部分だけは大事にしてあってそれだけでOKかなと思えた」ってのに強くうなずく。

 夏目書房から出た「別冊DIVA 甦るデビルマン」ではその原作者の永井豪さんが、何故か大月隆寛さんのインタビューを受けて「牧村家の悲劇は、けっこう胸に刺さったですねぇ」「牧村家のやさしたみたいなものを、この二人(ミーコとススム)に注ぐことで表現できたっていうところがジーンときましたねえ」って話してて、これまた同感でそー大きくは見誤っていなかったことを今さらながらに確認する。ラストに希望を持たせたことに原作者が喜んでいるのにも好感。「(漫画版は)救いがないですよね。映画ではあの2人に未来を託してくれたので、嬉しかったですね」と言っていて、作者自身が支持するエンディングだったと分かってそれが好きだった我が身が異常ではなかったと分かって喜ぶ。「甦るデビルマン」はあの大泉実成さんが「エヴァ」と「デビルマン」を比較する評論を書いていたり、大原まり子さんがエッセイを寄せていたりするんでそーした書き手に興味のある人も一読を。


【10月12日】 家にゲームはなく漫画雑誌もなくテレビだってろくすっぽ見せてもらえなかった身でありながらも漫画に染まりゲームに興味を持てたのは母方の兄弟で長兄にあたる人の家に住む6歳だか8歳だか歳の違う従兄弟が毎週読んでいた「週刊少年チャンピオン」を読ませてもらっていたからで、当時の「チャンピオン」と言えば「ふたりと五人」が連載されていたり「ブラックジャック」に「魔太郎がくる」に「恐怖新聞」に「あばしり一家」「よたろう」他、多々名作と呼ばれる漫画が連載されていて、そこで見知った吾妻ひでおさん手塚治虫さん藤子不二雄さんつのだじろうさん永井豪さんジョージ秋山さん水島慎司さん石森章太郎さん等々の名前が土台となって今に至る漫画読みの日々へと繋がっている。

 とりわけ吾妻さん手塚さん永井さん藤子さん石森さんといった辺りはSF好きへと至った土台にもなっていたりして、つまりは今の自分の趣味の多くをその従兄弟の家で見聞きした漫画雑誌や単行本(「やけっぱちのマリヤ」とか)に依っていたりする訳なんだけど祖父母が相次いで逝って以降、兄妹の仲がそれほど宜しくなかったこともあって必然、従兄弟間だも会う機会がなくなって、この20年近くはほとんど没交渉になって果たしてどんな暮らしをしているのか、知らなかったけどこの前突然に病気か何かで亡くなったと聞かされて、理由は不明ながらもお互いそんな歳になっていたのかと妙にシリアスな気分になる。

 「人生ゲーム」や「サッカーゲーム」や「チェス」「チェッカー」に「ルーレット」で遊んだのもその従兄弟の家で、そっちの方面でも教えを頂戴した訳でまさしく恩人に当たる人だけど、ずぶずぶとハマったまんま抜け出せず部屋じゅうを本の山で埋もれさせながらもさらなる深みへと潜ろうとしている自分と違って大学を出て就職をして妻子も得、海外勤務もする真面目な社会人ぶりを発揮していた従兄弟が、やや年上とはいえ裂きに逝くとは世の中これでなかなかに複雑怪奇なものらしー。悲しいか、と聞かれれば20年の没交渉が懐かしさは感じさせても慟哭までには至らない、冷徹さを醸成してしまっていて大きくは揺り動かされはしないけど、それでも直接間接に影響を与えてくれた人間の、死はやはり痛ましくここにその功績を称えて心よりの合掌を贈る。「さらば宇宙戦艦ヤマト」の公開されていた栄の劇場まで車で運んでくれた恩も忘れません。26年前のことを覚えている僕も僕だなあ。

 そんな偶然から今がある僕とは違って見渡せば溢れるアニメに漫画にテレビゲームで育った今のティーンにとって、大学でアニメ雑誌を読んだりエロゲーをしたりフィギュアを下からのぞいたり格闘ゲームで朝まで遊んだりする仲間たちと過ごす毎日は、決して一般不偏なものではないとはいってもそこそこに日常化しているものなんだろー。だからこそごくごく内輪の半ば宗教と化した集団に世間の冷たい目を跳ね返し、自己を正当化する理論を与えあわよくば選ばれしエリートなんだって錯覚を与えつつも所詮は俺達カルトなんだぜってニヒルな自虐の道を指し示していた「おたくのビデオ」のよーな設定ではなく、ただ淡々とアニメ好きゲーム好きフィギュア好き声優好きな連中の日々を描いたアニメがテレビシリーズになって毎週普通に放映され、DVD化されてそこそこ売れるメディアミックスが成立するんだろー。これを良い世の中と見るかそれともアイデンティティ喪失の危機と見るか。遠くから見れば「おたビデ」も「げんしけん」も似たり寄ったりなんだろーけど。

 7人が車にこもって七輪焚いて集団自殺したとのニュースに7人もよく入ったなあと感心したけど最近の3列シートのSUVなら7人が8人9人でも平気で余裕で座って乗れるから、この後同じよーに仲間を募って大勢で一気に逝ってしまう事件なんが連鎖的に増えるのかも。メディアに乗るとそれが妙に美しげに見えてしまうのか真似したがる輩が後に続くんでここは無様にも1台のオースチンミニに20人とか乗り込んでは中毒死した奴らの話をでっち上げ、耽美から演芸へと状況をシフトさせて笑われるんだったら辞めたいって人を増やすのがあるいは作戦かも。ぎゅうぎゅう詰めのまんま逝かれて引っ張り出せずチェーンソーでばらばらにして引き出すシーンを流せば誰も真似しなくなるぞ、滑稽で。でもギネスブックに載ったら今度は記録狙いが逆に出たりするからなあ。悩ましい。


【10月11日】 朝に目覚めると予想外の雨で、どうしたものかと思案して2度寝して起きるとどーにか上がりつつあったんで後は、東京まで行ってから様子を伺おうと電車を乗り継ぎ都営三田線の本蓮沼駅へと出向き「国立西が丘サッカー場」で女子サッカーのL・リーグのたぶんひとつの天王山「日テレ・ベレーザvsさいたまレイナスFC」を見る。ここまでL1でどーにか1位にあるもののベレーザ、強いところが相手だと思った程攻撃が爆発しないで得点に悩み、なかなか下を突き放せないでいる。

 一方でレイナスは、昨年まではとりあえず4強の1角に名は連ねながらも当初首位争いでは「なでしこジャパン」に5人を送り込んだ神戸のTASAKIペルーレや、宮本ともみ選手の所属する伊賀フットボールクラブくノ一 を上回れずにいたのが今年は守備が良く攻撃もなかなかでここまで堂々の2位に付けている。ベレーザとはずっと勝てずにいたのが昨年は引き分け2つをし、1敗をして遂に「埼玉スタジアム」の晴れ舞台で撃破し、得失点差で厳しかったとは言え可能性の残っていたベレーザの優勝を粉砕した。

 でもって今年もベレーザを倒し関東1位、あわよくば優勝をなんて考えて散々に強化もしたのが奏功してか上位に負けず下位にそれそれほど取りこぼすことなく6月の開幕からここまで来て迎えた今日の天王山。7月も対戦してやっぱり引き分けたベレーザを倒せば1位に出られる試合だったけどさすがばベレーザ、荒川恵理子選手に永里優季選手をトップに下から大野忍選手小林弥生選手酒井與惠選手が押し上げ散らしサイドを近賀ゆかり選手中地舞選手といったスピードのある選手が駆け上る怒濤の攻めで幾度となくレイナスのゴール前へと迫る。

 が。そこは「なでしこジャパン」の守護神、山郷のぞみ選手が構えるだけあって数々の決定的チャンスもベレーザはものに出来ず無得点に。一方でレイナスも前半早々にまるでテベス選手のよーに重量感とスピード感のある高橋唯選手だったか別の19番の若林エリ選手の方だったかが1人ゴール前でベレーザGKの小野寺志保選手と1対1になるものの躊躇し止められ決められず。これで波に乗ったかこちらも代表キャリア抜群の守護神ぶりでレイナスの攻めを寄せ付けず、結局スコアレスのままドローに終わりレイナスは首位を奪えず逆に、ベレーザは首位を守りきった。

 目に付いたのがレイナス選手の寄せの速さでテクニックのあるベレーザの選手が持つとそこに1人2人と近寄りボールを運ばせず、仕方なくベレーザの選手がパスを出せばそれを奪って反撃へと向かう守りから攻めへの切り替えは見ていて迫力があった。とにかく最後までスピードが衰えない。4年目を迎えて田口貞則監督を筆頭にしたトレーニングの成果が出てるってことなのか。単に怖いだけ? まあそれもちょっとはあるかも。ただ試合前の練習を見ていてもレイナス、割にシステマチックでストレッチも入念で、体力は充分でこれにあと左右への展開力が加われば相当なチームになっていきそう。

 一方でレイナスの2人3人の寄せでもかわしゴール前へと向かうテクニックとパスワークを見せるベレーザも相変わらず。小林弥生選手のスルーや放り込みにどこか威力がなくって攻めきれなかったように見えたけど、トップ下に澤穂希選手が復帰すればタメも増えて小林選手にも余裕が出来そうで、そこからの攻撃に見るべきものが出て来そう。少なくなる残り試合を落とした方がV逸ってことになりそーであと3試合、ベレーザは伊賀に宝塚バニーズにラストをペルーレと2つ厳しい試合。レイナスは次のペルーレにもし勝てば、優勝の可能性がぐっと高まりそーだけど果たして。17日の駒場は必見だね。

 「すでに、ライブドアは日本新聞協会に加盟している複数の新聞社と買収交渉をおこなっている。相手は地方紙ではなく、全国に販売網をもつ新聞社だという」って「AERA」2004年10月18日号の記事を読んでいったいどこの新聞社だろーかと想像。言わずと知れた「ライブドアニュース」設立に関連した記事なんだけどいつか前に指摘した、記者クラブ問題を、単に取材網を独自に持つベテランの獲得によってしのぐんじゃなく、また1次情報を通信社なりからの配信に頼るんじゃなく、既にクラブに加盟している会社の買収によってクリアすることにしたっぽい。「それには、各記者クラブにすでに入会している既存の新聞社を買収するのが一番手っ取り早いのです」って関係者も言ってるし。誰だ関係者って?

 気になるのはその「全国に販売網をもつ新聞社」がどこかってことで1番早く頭に浮かぶのが全国紙と呼ばれる朝日読売毎日産経の一般紙に経済紙の日経だけどそれぞれがテレビも含めたメディアグループの中で欠かせない役割を担っている以上、ネット企業を買収することはあってもネット企業に買収されることはない。だいたいが数千億円もの売り上げの会社を買収できる体力がライブドアにはないからね。

 ってーと続くのが産業紙と呼ばれてたりかつて呼ばれていた日刊工業新聞と日本工業新聞改めフジサンケイビジネスアイってことになるけどこのうち日刊は経営危機をファンドの導入で切り抜け本社も移転し再建途上。身綺麗になりつつあってさあこれからって感じでこれまでの伝統と全国津々浦々へと広がっている取材網を活用すれば、それなりな情報量を持ったメディアへと成長しそー。

 問題は経済よりは産業に近くそれもライブドアとは遠い機械電機に重厚長大系に偏りがちな部分だけどそれがあっての経済&ビジネス。そこに軽妙な差配が加わればなかなかなメディアへと育って行きそー。一方のフジサンケイビジネスアイは2月にタイトルが代わっていこう、それまで厚く担当を置いていた機械や電機やITといった分野を削り金融と中国って視線のまるで違う分野を厚くし一方でファッションだエンターテインメントだライフだ何だと一見、一般受けはしそーだけどそーした分野にはすでに雑誌がゴマンとある分野に乗り込んでは前知識の至らなさとゆーハンディに薄い内容の紙面を作って、チャレンジングな戦いに日々を邁進している。

 なるほどそれは新しい試みではあるけれど、ライブドアが狙う「日経に匹敵する高級経済紙」の路線からは、どちらかとえいば遠のく傾向にあったりする。それが証拠に産業の最前線に配置される人員は、例えば前なら建設だけでゼネコン住宅ほかで3人いて別に輸送で2人くらいいたものが、今では建設運輸を束ねて1人とか、前だったら5人はいた電機電子ITが今は2人とか、あるいは最近は一般紙でも4人くらいをはりつけている食品流通サービスの分野に1人といった”少数精鋭”路線で挑もーとしている。

 一方でファッションとかエンターテインメントとか占いとか天気予報とかグルメといった情報は厚くし、作家の死亡記事を一般紙よりも長くし、イチロー松井の打率も必ず載せるビジネスアイ。日本の経済の根幹をなす産業の動向をウォッチし、何億何千億ものビジネスに至るシードを伝えるより、日々起こるスポーツだとか芸能だとか熊の大量発生といった社会芸能ネタをウォッチし、そこから発生する”ビジネス”とやらが何千万円何億円かを調べ教える方が読者には受け、サラリーマンどうしの朝の会話に役立つんだと頑なに信じるトップの革新的な思想に染め抜かれている。

 つまりはどー見てもライブドアが持ちたい「高級経済紙」の対極にあったりするわけで、去年だったらまだしもこーなってしまった今、ライブドアが買ったところで望みの路線へと切り替えよーとしても相当な時間と労力がかかりそー。先を見るに聡明な堀江貴文社長がそんな思惑とズレた新聞社に買収を持ちかけていたとは思えないから「財務状況の割には高い値段を提示された」新聞社はそう、日刊工業新聞だったとここは独断で想像しておくことにしよー。良かったねえ。


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