縮刷版2003年8月上旬号


【8月10日】 ミニ扇風機を買って以来エアコンをつけなくなって電気代が大助かり。ただし部屋の中では裸が基本で窓の外とか気にする人は向かないかも。それでも日中はさすがにこもっているとひからびる可能性があるんで、仕事の原稿をとっとと送って荷物をまとめて外へと出て、電車の中で読書と決め込む。椎野美由貴さんの「バイトでウィザード 蘇れ骸、と巫女は叫んだ」(角川スニーカー文庫、514円)はマイナスの念が溜まって起こる澱みをはらう嬌声術者になりたての二卵性双生児の兄と妹が、事件へと立ち向かうシリーズの最新刊。前巻で陰謀が明るみになりなぞめいた美女が悪のヒロインとして主人公たちに絡み始めて面白みが増しただけあって最新刊でもきっと一段の激しいバトルが繰り広げるかと思いきや、意外にもすんなりと決着してしまった感じがあってこれからさあどーなるんだろーってな期待半部に不安2割5分が頭をよぎる。

 そこらじゅうに現れては人間を襲い嬌声術者をこてんぱんに叩きのめす謎の少女が現れるって話に金儲けの臭いを嗅いだのか、双子の妹の豊花は兄に舞い込むガードの以来を受け、犯人探索の以来を受けては事件へとどっぷりはまりこんでいく。ところが予想していた以上に手強い相手に兄の京介がやられ豊花もやられてしまう始末。おまけに謎の少女の正体から背後に暗躍する人物の存在が浮かび上がって来たことで、事態は単なる探偵ごっこから組織のトップに対する叛乱といった大がかりなものとなり、その関係で京介の命も危うくなってしまう。

 父の絶対的な権力を嵩にしつつもその父である光主を、光流嬌声術の一派を叩こうと企む美女の深廉寺華奈の仕掛けに立ち向かうって展開は、ある意味で前巻とも重なるけれど余韻を残して終わった前巻に比べて、意外にすんなりとオチてしまったのが不思議なところで、それこそお茶の水博士と天馬博士の関係みたく延々としたバトルを繰り広げさせれば話もつながっただろーものを、終わらせてしまった上に権力争いの要素すらつぶしてしまって、これから果たしてどーやって、話を盛り上げていくのかが分からなくなる。僕が興味を抱いたそーいった壮大な設定よりも、クールな京介と守銭奴の豊花の凸凹コンビが風紀委員長の攻撃にも負けず暴れ回るって”学園ドラマ”の方がヤングに受けると、編集の人が路線を修正して来たのかなー。ともあれ次を見ててから作品の是非は判断しよー。

「神崎風塵流、連雀の舞」って叫んで打っても点にはなりません。ペアで赤熱鳳仙花をやっても一緒  竹橋の「国立近代美術館」に行ったら特別展は来週からだと言われて退散、するのも面倒なんで北の丸公園をつっきって、「技術科学館」で何かやってないかとのぞいたけれどやっておらずだったら「日本武道館」はどーだと行ったら何かやってたんでのぞく。裾のヒラヒラとした衣装に身を包んだ女の子が長い棒みたいなものを振り回しながら走ったり止まったりする競技、って聞くと「ラクロス?」って思う人もいるかもしれないけれど、いくら起源がネイティブアメリカンたちにあるとはいっても「ラクロス」を武道と見るのはさすがに無理。やっていたのは実は長刀で、少年武道錬成大会ってゆーのが7月から行われて空手に剣道に柔道に少林寺拳法に銃剣道ってな具合に続いた大会の、最後をかざったのがこの競技だったらしー。

 入ると剣道のよーな袴姿の女の子たちがウロウロとしていて、一瞬天国のよーな気分になったけど、廻りは武道家の卵ばかりで手にはめいめいが竹刀みたいなものとはいっても叩かれれば痛い武器を持っていたりするんで、嫌らしい目で眺めたりするのは無しにして、ひたすらフロアで繰り広げられている競技の方に集中する。向かい合って長刀をかまえて打ち合う姿は剣道のよーだけど、長さがあるんで間合いが剣道とは違うし面胴籠手を狙う剣道ともちょっと違って脛も防具がつけられていてそこも狙えるよーになっていて、下段に切っ先を振ると上がおそろかになって切り返されたりするから気が抜けない。長刀の持ち方も剣道みたく右手が決して前じゃなくって、相手の構えや使いたい技に応じて左手を前にして下に右手をそえたりと、自在に持ち替えているところに剣道との違いを見る。

 少年のカテゴリーなんで剣道の錬士クラスの戦いみたいにスピードがあって一瞬で勝負が決まるよーな凄みを放つ選手はまずおらず、何とはなしにポカポカとやっているうちに勝負がついてしまうところがあって、長刀の戦いの神髄めいたものは分からなかったけど、それでも歳が上になればなるほど動きに無駄もなくなり、勝負も一方的に決まることがなくなって、鍛えられた人たちならではの武術の冴えみたいなものの一端を、垣間見たよーな気にはなれた。いつかプロに近い人たちの戦いを見てどれほどのものか確かめたい気分。正月とかに大会とかやっているのかな。あれで結構当たりも激しく体力的に厳しいラクロスのプレーヤーと戦ったら果たしてどっちが勝つのかな。

 電車を乗り継ぎ「よみうりランド」へ。コンサートの「情熱大陸」を見に行くなんて甲斐性があるはずもなく、目的は脇の「東京ヴェルディグラウンド」で開催される「Lリーグ」の試合「日テレ・ベレーザvsA・Sエルフェン狭山FC 」を見に行ったもので、前回は京王線の「よみうりランド前」からゴンドラで山を越えていったんで、今回は小田急側からバスであがろーかと思ったらこれが間違いの元だったらしく、日曜日の夕方ってことでランドから下る自動車の行列にバスが巻き込まれたのか、時刻表に載ってるバスを4本見送るくらいの間待ってもバスは来ず、1時間近く並んで結果、到着したバスに聞いたらこれが2時間30分遅れの号だそーで、7月の終わりに行った時のあまりにしょぼくれたイメージから、「よみうりランド」もそろそろ厳しい状況にあるのかと思ったことを撤回、これでまだまだ存在意義のある遊園地(とゆーかプール)なんだと認識を改める。

 どーにかこーにか到着したグラウンドで1時間ほど待って始まった試合は、しょっぱなこそ狙ったゴールにボールが入らずバーに嫌われたりする展開に、これはベレーザちょっとまずいかと思ったものの、そこは地力の激しい差が出てしばらくするとゴールラッシュが始まって、前半で実に4点の差をベレーザが狭山につけてしまった。今回はツートップに女子日本代表にも名を連ねている荒川恵理子選手とそして、確かまだ高校生ぐらいだったと記憶している山口麻美さんが入って若さとスピードで引っかき回してくれてなかなか見応えがあった。

 今回はそれに加えて右サイドの中盤に入った近賀ゆかり選手が大当たりで、サイドを走り中へと切れ込みシュートも放つ姿はまるで日本代表の稲本潤一選手を見るよー。前に同じグラウンドで見た時は、途中交代に怒り心頭だったのか、その場でガバリとユニフォームを脱ぎ捨て(インナーは当然着てるけど)る気の強いところを見せていたけど、今回はその強気がプレーに反映されて見ていて爽快だった。代表に入ってもやれそーな予感。あと背番号17番だから井関夏子選手かな、すごい走りのスピードを見せてくれて驚いた。選手層の厚さはさすがに名門、日テレ・ベレーザ。

 試合は近賀選手に山口選手に荒川選手が点を取りまくって結局はえっと10対0くらい? 最後までいるとコンサート帰りの波に巻き込まれる懸念があったんで残り10分の所で後にしてしまったんだけど、とにかく圧勝したみたい。前半の試合も残り少なくなって順位もほとんど確定して、10月からは上位チームと下位チームに分けてそれぞれでリーグ戦を行うことになっていて、試合の質からいえば似た実力のチームが集まって内容も一段と仕舞った試合が見られるよーになる模様。圧勝の試合もボールの流れが華麗で見ている分には楽しいんだけど、ミスれば負けるピリピリとした状況で真剣に戦う(ベレーザは競争が厳しいのか今日も最初から最後まで手抜きなしだったけど)試合も決してて悪くない。日程がどーなるかは分からないけどこっちである時は極力のぞきにいこー。それより前に女子のワールドカップがあるなあ。見たいなあ。行くかアメリカ。


【8月9日】 この夏スタートしたアニメーションの中では誰もが1番に押す「住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー」を見て、エンディングのクレジットを見て大爆笑、作画1人かよ。とにかく素晴らしいエピソードで、畳みかけられる展開での描かれる絵のおかしさと、繰り出されるセリフの面白さに浸っているうちに30分があっとゆー間に過ぎてしまった。足で鈴雄をぐりぐりとやる朝香の恰好も良ければ意味なく風呂にはいっている小鈴のデフォルメ効かされたレイアウトも素晴らしく、犯罪人に立ち向かうところでストップモーションになったネルロイドガールの両足おっぴろげたポーズの妙さといった小技もそこかしこに挟まれた絵は、トリニトロン管(液晶じゃねー)から目をはずすことを見る人に許さない。

 戦隊もののパロディーから始まり金のなさにふてくされる鈴雄と小鈴とのかみあわないかけあいの妙、戦いの最中に宇宙犯罪人たちが幾らもらっているかを聞いて驚きネルロイドガールがさらにそれを上回る額をもらっていることを聞いて愕然とする展開の間の良さ等々、シナリオの部分の面白さも抜群。そんな脚本と絵コンテと作画が最高のテンションで絡み合って生まれた、奇蹟のよーな回だって言えそー。DVDで見るとさらにいろいろと発見出来そー。来週も水着がいっぱいっぽくって永久保存必須の回になりそー。エーデルワイスはどんな姿を見せてくれるのかな、栗華さんは錆びちゃうからやっぱり水着はノーなんだろーな。楽しみ楽しみ。

 昨日会った3人の、1人は所々に差し挟まれた例えや言い回しに才能を見ていたよーで、別の1人は電車の中でページを繰り続け、残る1人は表紙の美形を本人とは信じていなかったと、そんな具合に本を読む仕事をしている人たちの、関心の埒内に入って来ていたことに驚きつつもそれだけの人になったんだなーと、「超人計画」(角川書店、1300円)をめぐるあれこれから、滝本竜彦さんの凄さを改めて確認する。「本の雑誌」の2003年9月号にも藤田香織さんの紹介が掲載されていたし、日の丸アマゾンの順位もここに来て上昇の兆し。 評判がさらに高まれば、直木賞より山本周五郎賞より先に日本エッセイストクラブ賞だって取って不思議はない。かもしれない。かな。

 「ボイルドエッグズオンライン」で連載されていた時は、前半のただひたすらに自分の恥をさらして自虐の限りを尽くし、笑いを取ろうとする文体と内容に惹かれ転げ回っていたけれど、まとまった単行本を読んでなるほどそーしたエピソードも面白いし繰り出す文章の流れ文体の独特さに感嘆しつつも、終わりへと近づいたラスト2章の、連載中はネタもつきたかと思い眉をひそめていたエピソードに、ひそむ作者の本質めいたものが何とはなしに感じられて気になったし気に入った。

 「面白い小説が書けないからと言って、それがなんだというんだ、人生が破綻したからといて、それで何がどう変化するというのか。辛いから苦しいからって、それに何の意味がある? ぜんぶ同じことではないか。ぜんぶどうでもいい話ではないか」(182ページ)と達観して死すら想起しつつ、一方で死ぬ意味すらないことに気付き、死ぬまで暇つぶしをするんだと決意する、その一見前向きなようで実のところは後ろ向きですらない、同じところをぐるぐると回ったままで停滞し続けているだけの自分を、主観的に意識しつつ客観的に見つめ、だからといってどうしようもない自分に呆れ苛立ち怒り悲しむその単純で複雑な心理が、行間からしみ出して来るような感じがして本を取り落としそうになった。

 最終章の「曙光」の、世話焼きな村上達朗さんに引っ張り回され辟易としているよーな気持ちを書き連ねているよーなエピソードも、読んでいるうちにはしゃぎすぎている村上さんを良識とか常識といった次元に置き、その世界に順応しよーと頑張りあがいたもののどこか遊離した気分を棄てきれず、そのままどんどんと書き割りめいた虚ろさを醸しはじめた世界を置き去りにして、ひとり自分の世界へとひきこもっていく心理の動きが感じられ、世界の書き割り感に順応しているよーでその実嫌気を覚えかけていた我が身の心境が重なって、絶望感がじりじりっと背筋から全身へと広がって来る。なるほどギャグと自虐にあふれらひきこもり君の商品的エッセイ集と見せかけて、ゆるゆると自意識の世界へと読み手を引きずり込んでいく私小説だったのだな、この「超人計画」は。日本エッセイストクラブ賞はだからやっぱりあげられない。「太宰賞」も新人コンテストだからマッチしない。「超人計画」にはそう、芥川賞こそがやっぱりふさわしい。

 雨の中をバーゲンだからと幕張まで出かけて「ガーデンウォーク」のナイキのアウトレットで去年のバレンシアのアウェーを購入、出来てしまったらやっぱりやりたくなるのがマーキングで、迫る台風で時速25キロ規制が一部に出ていた京葉線で木場へと出ては臨海線でお台場へと向かい、青海にあるグランドームでバレンシアのマーキングを探したけれど知ってる選手はアルゼンチン代表のアイマール選手しかおらず、それにしよーかと思いつつもやっぱりはやり物は苦手だと、思い直して探った結果、残っていた背番号8番でスペイン代表でも活躍しているボランチのバラヤ選手のマーキングを選んで貼ってもらう。リーガエスパニョーラのマークが抜けているから正規品ではないのかもしれないけれど、銀色の枠で囲まれた背番号はいかにもそれっぽく仕上がったんで良しとしよー。バレンシアが来るか似た色のオランダ代表が来るかしたら来て行こー。来ないよ今世紀中は多分絶対。


【8月8日】 フジテレビの日。パチンコの日。算盤の日。ほか何かあったっけ? 圧力さえ覚える暑気を払いのけるよーにして乗った電車で新城カズマさんの「イスベルの戦賦を1巻2巻と一気読み。世界に名を遂げる運命を持って生まれて来ながらもその運命に翻弄されてお姫様から奴隷へと身を落とし逃げ出して戦士となったイスベルも、自由を謳歌するには世界があまりにも厳しすぎたのかやがて再び隷属の身へと墜ちていく中で、文字を持たない人類が文字を得ようとあがく様、鉄の文明を持たない人類がその魔法にも似た威力を見知って求めさまよう様が描かれる。

 剣を振り回せばなかなかなイスベルと人間の2倍はあろーかとゆー巨大な女性のウィルガのペアに口先三寸で世渡りをするに至ったメーアとゆー少女が絡んでおりなすスピードとパワーとノイジーなやりとりも読んでなかなかの面白さだけど、そーしたキャラたちが運ばれる運命の先にあるだろー人類の”目覚め”めいたものがもたらす世界の激変への予感もまた興味深く、そーした方向へとイスベルやウィルガ、そして彼女たちと敵対する共和国の若き司令官エディオンが辿るだろー運命が、ぶつかる山や谷が果たしてどーいったもので、それどどーやって渡り乗り越えていくのかってな冒険にも興味が及ぶ。2巻の終わりでパワーだけでは勝てない謀略めいたものも示唆され泥沼へとはまり始めた物語が次に見せてくれる展開に、今は関心を持って3巻のいち早い登場を祈ろー。D−SUZUKIさんのイラストがこの手の文庫には珍しくアニメ絵でもゲームイラストでもないタッチだけど物語の雰囲気的にベストマッチ。他での活躍も見てみたい、「SFマガジン」とか。

 そろりそろりとショップに並んで来たそーなんで見に行ったユヴェントスの新しいユニフォームは、なるほど白と黒のコントラストが去年にくらべてくっきりと出て目にも鮮やかに見えないこともないんだけれど、やっぱり下のメッシュの部分がまるまるホワイトになってしまって、結果白と黒の縦縞が腹の付近で切れてしまうデザインになっていて、それも切れ方が逆アーチ型になっているものだから遠目にはどことなく縦縞の腹掛けをしているよーに、見えてしまわないこともなくって買うのにちょっと躊躇する。同じアーチに切れててもインテルは下がブルーだからあんまり気にならないんだよなー。

 ただし今シーズンにペルージャから戻ってきたミッコリ選手を個人的には気にしているんで、その背番号9番とネームのマーキングが可能になったら、もしかしたら買ってしまいそーな気がするしあと、今年からユニフォームのサプライヤーになったナイキがユヴェントスのカラーリングを取り入れたシューズを「エアマックス95」など3足で作って予約を受けていることもあって、これが当たったら上と合わせるためにやっぱり買ってしまいそー。問題は下にはくパンツとかだけど、誰に見せるでもない独身者なんでそこは買って気ままに着れば良いってことで。 背番号は金色になるみたいだけどこれもなかなかに恰好良さげ。それだけに腹掛けカットが気にかかるんだよなー。来年はラインを下まで伸ばしてね。

 押しつけられるよーな暑さの中をエンターブレインが実施した「えんため大賞」の表彰式とパーティーを取材。受賞した人は誰も彼も彼女もみんなまじめそーな人たちばかりで、ことクリエーターって人のどことなく世間とは有利したイメージを未だ持っている目には、そんなにまじめで良いのかなって覆ったけれどまじめだからそ内心に秘めたエネルギーを作品にぶつけられるってこともあるから構わないのかもしれない。ちなみに大賞を受賞した人は喋りも快活でネタってほどではないけれど、人に話を聞いてもらいたいそのためには面白いことも言わなくちゃ、って対象を意識する感性が身についているよーな印象を受けて、そのことが久美沙織さん中村うさぎさん秋津透さんといった面々の圧倒的な支持を得て大賞を受賞するエンターテインメントの小説を、書かせたのかもしれないなー、なんて思えてくる。ともあれおめでとうございます、田口仙年堂さん。賞金いったい幾らなの?

 帰りがけにもらったエンターブレインから出ている須田信太郎さんって人の漫画「ウルティモスーパースター」(エンターブレイン、920円)を読んで激しく感嘆、これは面白い、最高に面白い、泣きたくなるくらいに面白くって大笑いできるくらいに面白いと、満天下に向けて拡声器で叫び出したくなったけど地下鉄の中だったんで遠慮する。国道沿いにカラオケボックスがあるくらいの田舎に住む高校生の通う学校に、ある日得体のしれないマイクロバスで覆面レスラーがやって来ては高校生の数学の担任に向かって「10年越しの決着をつけよう」と誘いかける。実は教師はメキシコで盛んなプロレス「ルチャ・リブレ」の元選手で、呼びかけた団体のトップウルティモスーパースターに引っ張り出されて結局1戦を交える羽目になる。

 話はそんな2人のバトルに惹かれ家でをした高校生が、ウルティモスーパースターたちと旅をしながらルチャ・リブレの世界にどんどんとハマっていく展開で進んでいくけれど、結構な戦歴を持ちながらも今は覆面レスラーとして弱小団体を引っ張るウルティモスーパースターの決して妥協しない、けれどもガチガチのストロングではなく観客を楽しませることを恒に忘れないスタンスと、そんな彼の廻りに集まるルチャ・リブレの莫迦たちの姿に接する高校生の体験を読むうちに、夢に向かってひたむきに走ることの辛いけれど面白くって楽しい様が心の奥底からわき上がって一緒にルチャをしたくなって来る。

 強靱なレスラーたちを派手な演出に乗せて動かし、観客にドリームを見せるって意味ではアメリカのW.W.Eなんかが知られているし大成功しているけれど、能書きが多く前書きと後書きとBGMがなければ成り立たないショーとしてのレスリングじゃなく、ただリングが出来てそこにレスラーたちが立ちさえすれば、出現するドリーミーなエンターテインメントの世界があるってゆー状況を、「ウルティモスーパースター」は教えてくれて目から鱗が落ちるよーな驚きと感動を味わえる。所属している1人の選手が普段住んでる漁師町へと出向いたウルティモスーパースターに地元の女子高生たちが喜び勇んで飛びつき、落ち込む男たちを後目に一緒に興行を成功させよーと頑張るエピソードが、押しつけがましいエンターテインメントじゃなく、地域と密着したエンターテインメントを作ることの面白さを感じさせてくれて泣けて来る。

 やってることはなるほどストロングかもしれないけれど、選手どーしの因縁やら、その勝負へと至る能書きやらを遡って予習しなければ楽しめない今時のプロレスに飽きて来た人は是非に御一読あれ。ジャイアント馬場の16文キック、ジャンボ鶴田のジャンピングニーパット、アブドゥーラ・ザ・ブッチャーの地獄突きからのエルボードロップ、テリー・ファンクとドリー・ファンクJrのスピニング・トゥー・ホールドに、予定調和を覚えつつもそれこそがストーリーの完結だと、納得できるくらいに激しく感動的なレスリングを毎週テレビで楽しんでいた全日本プロレスファンとして、この「”愛”と”信用”でなりたってる”命がけのショー”」にすべてを捧げる人たちの物語を支持します。あぽー。


【8月7日】 暑さがあまりにも激しいせいか、そこかしこでエアコンがぶっ壊れている模様。かく言う当家でも暑すぎるのか温度感知がうまくいかないよーでかけても真っ当な冷風が出ず、おまけに何十分か経つと突然止まってしまう症状が発生、その度にスイッチを押しに行くのも億劫なんで、ここはエアコンをあきらめ外の風を入れよーと、ベッドサイド(といってもベッドの上)の壁際に積んであった本の山に隙間をあけて、窓を掘り出し上へと跳ね上げ空気を入れると、何とはなしに涼しい風が入ってきて熱中症に気持ちなりかかっていた体もどーにか冷えてくる。

 台所の換気扇を回すと狭い部屋で空気の流動が起こるのか、窓から入る風もどことなく強くなるよーで、これならエアコンがなくてもどーにか夏を過ごせそーな気になってきた。さらにダメを押すために、近所のロフトでUSBから電源を取って羽根を回す超小型の扇風機を買ってきて、ミカン箱(みたいに本が詰まった籠)に向かって上に載せたパソコンを打ってるポジションの、正面に積まれた同様に本が詰まった籠のへりにクリップで扇風機を取り付け回すとおおこれは。真正面から裸の体に風が吹き付け、背中からも外気がかかって完璧なまでに快適な環境ができあがる。安上がりだなあ。

 もとより24歳になるまで住んでた実家はエアコンがなく、19歳から乗ってた自動車もクーラーが壊れて夏はサウナかサハラってな感じだったから、エアコンがなくても過ごせる体は出来ていた。この10余念でエアコンのある仕事場に自宅って環境が続いていたから多少はナマっていたかもしれないと心配していたけれど、意外にタフさを維持していたことが判明。冬は冬で効かないエアコンに業を煮やして勝った電気毛布1枚で、風邪をひかずに去年から今年にかけた寒い冬を越せたから、これで電気代の1万とかなるのを気にせず1年を過ごせることが決定した。浮いたお金はこの夏にふっとんだ(シーツがはがれカバーも破れて中綿だけになった)布団の代わりに使おう。部屋代われ? それは宝くじがあったら考えます。

 むろん今持ってトルシェ贔屓のトルシェビキであることに変化はないけれど、一方でその老獪さと熱情を併せ持った指導で弱小中堅チームを一気に上位へと押し上げたジェフユナイテッドのイビチャ・オシム監督を慕うオシミストとして、今日発売になった「ナンバー」2003年8月21日号と「スポーツ・ヤア!」の第73号がともにジェフのことを取り上げ中でオシム監督の手腕に賛辞を贈ってて嬉しい限り。興味深かったのはナンバーで、ドイツ語が堪能なファンが料理の話を聞いたらニコヤカに答えてくれたのが、優勝してねと世辞を言った途端に「どうしてうちが優勝するんだ?」と怒り出したって話に、精一杯のところで戦っていた結果がたまたま上位だったとゆー現実を、誰よりも認識するとともにそーした認識を理解せず、浮つくなり固くなるなり選手がなってしまうケースを、オシム監督が恐れていたってことが伺える。

 もっともそーした心配が現実になった今、選手たちがオシムの心配をいらぬ杞憂と切り捨て自分勝手に走った挙げ句に崩壊するパターンを踏むことがなくなり、プレッシャーを超えられなかった悔しさをかみしめ何がいけなかったのかを認識し、セカンドステージに向けて気分を立て直しているよーで、中西永輔選手の「まだトップで戦うとの自身はない。おの貴重な経験が財産になっていく」(「スポーツ・ヤア!」)って言葉に代表される、自覚とそして前向きなスタンスが、引き続いて面白い戦いを臨海をはじめあちらこちらのスタジアムで見せてくれそー。ファストステージでは2試合しか見られなかったけど、セカンドステージはもーちょっと出来るだけ、ジェフユナイテッド市原の試合に通ってベンチの上に頭ののぞくオシム監督のデカさを目の当たりにして来よー。ちなみに「スポーツ・ヤア!」には女子サッカーの日テレ・ベレーザで名司令塔ぶりを発揮する小林弥生選手が登場。その笑顔、はずすと食べられそーにふくよかです、中にはもちろん餡がぎっしり、ジャムおじさんいい仕事しています。

 ブロードバンド時代の予想を上回る到来にハードディスクレコーディングの普及を予見する聡明さを見せ、予告した新ハードの投入はきっちりとスケジュールを守ってきたソニー・コンピュータエンタテインメントの久多良木健社長だけに、たった1枚のディスクを見せて、コンセプトを語っただけでも「PSP」の持つ位置づけと可能性はそれなりに伺えたとは思うんだけど、“勝ち組”にはとことん乗ってもり立てる日本のメディアの俎上に乗ると、現実をはるかに上回る過剰なまでの期待感が寄せられる一方で、対抗馬となる任天堂に過剰なまでの懸念が寄せられてしまう、そんな状況に我慢がならなかったのか、これまでかたくなに煽りっぽい発表を避けて来た任天堂が、今日開かれた経営方針発表会の席上で、岩田聡社長自ら新型ゲーム機の開発を行っている旨明らかにし、なおかつ来年の春にはどんなものなのかを発表できるとスケジュールまで語ってしまったのには、驚きつつもそれだけ戦闘意欲を盛り上げて来たんだなーと受け止める。

 もちろんそこは任天堂だけあって、ハードなのかソフトなのかと詰めた質問をされると口をつむぎ、今までにない物、新しいものを作るといったコメントを述べるにとどめてしまったから、いわゆる家庭用ゲーム機なのか、それともちょっぴり違う形のものなのかは判明しなかった。あるいはテレビにつないで遊ぶ玩具ゲームみたいなものの拡大版って可能性なんかも想像したし、携帯ゲーム機をさらに高度にしたものなんかも想像してしまったけど、僕の考えつく範囲のことをやっている程度の会社じゃないんで、来年の春にはきっと驚愕の発表を聞けることだろーと信じたい。

 ソフトを買えばポイントが溜まる「クラブニンテンドー」の創設は、店舗のポイントカード制度とかを上回ってソフトの直接的な購買に結びつくのかな、セガの店でも似たことやって成功したって話は聞いてないからなあ、いっそ「クラブニンテンドー」専用ソフトを作ってそこだけで売れば盛り上がるのかな、ジャンルはゲーム会社経営シミュレーション、名前は当然「ニンテンドドドドド」。売れないゲーム、映画のよーなゲームを作ると偉い人が出てきて突っ込みます。「ゲームっちゅーのはやなあ」。

 どれだけ凄い技術でも使われる場所を間違えれば無用の長物に終わってしまうのは自明の理。そこで考えたいのは新潮社が写真集、コナミがトレーディングカードで協調して出すことになった、立体写真を使った商品の第一弾のモデルに起用されたのが優香さんだってことで、なるほどそのキャラクターの剽軽さは決して嫌いじゃないけれど、こと2枚の写真を専用ビュアーで見ると立体に見える技術を使って写真集を作る対象として、ボディにとてつもないメリハリがあるとはあまり言えない優香さんを使う意味に、いささかの懐疑を感じてしまうのはきっと僕だけではないはずだ。つまりはホリプロと組むよりイエローキャブと組めってことなんだけど、始まってしまったからには仕方がないので、ひとまずは第2弾に用意されている乙葉さんに期待しつつ、ホリプロが誇るムッチリ系の女王、フカキョン深田恭子さんの登場なんかに勝手に期待しよー。あるいは若い頃の榊原郁恵さんとか。お嬢さんお嬢さん。


【8月6日】 いたかやっぱり剛の者。「東京スポーツ」の2003年8月7日号最終面に掲載されていた、昨日の「FC東京vsレアル・マドリッド」の試合のに関する記事で使われていたサポーターたちの写真の中に、ブルーとレッドのFC東京カラーのフラッグにマジってやっぱりブルーとレッドが基調となったスペインリーグのバルセロナのフラッグが移っていて、その似てるっぷりに前々からレアルが来たらレアル・マドリッドを世界で1番目の敵にしているバルセロナの、カンプ・ノウでの”歓迎”ぶりを国立でも再現して、観光気分のレアル・マドリッドをめいっぱい歓待してやれって思っていたのと同じことを、考える人がいたんだなって分かって嬉しくなった。

 どーせだったらいっそのこと、去年のスペインリーグでの「FCバルセロナvsレアル・マドリッド」の時のよーに、ヤジは飛ぶは瓶は投げ入れられるは豚の首は放り込まれるわってな状況を、そのままでは半ば犯罪になってしまうから声でもって「ぶたのくびぶたのくび」ってな感じにヤジってやればフィーゴも苦い思いでに足をすくませ試合をFC東京が有利に運べた、かもしれないんだけどサッカーショップの店頭でもレアル・マドリッド9にFC東京1ってな感じのレプリカユニフォームの量だっただけに、地元であってもアウェーの気分で肩身の狭い思いを逆に、サポーターも選手もしていたに違いない。だからこそそんな中でのバルセロナのフラッグ持ち込みは光るアイロニー。もっとも来ているレアル・マドリッドファンではない大半のデビッド・ベッカムファンには、FC東京がバルセロナでもきっと見分けがつかず、気にもとめなかったんだろーけど。

 試合に関して言えばやっぱり圧倒的だったレアル・マドリッドだけど、テクニックの凄さはそれとして、さらに驚いたのはボールが前線へと入るとっちどころに2人3人4人5人と白いユニフォームの選手たちが上がってきて、数的に不利どころかテクニックも加えて圧倒的に有利な状況を作り出してしまうことで、前線でボールを受け取ってもトラップをミスして奪われ反撃されるよーな愚をおかさず、キープしている間に中盤から人を集められるだけの基本的な技術を、どの選手も持っているからこそ出来ることなんだろーと、本当に今さらなんだけど基本の大切さを思い知る。シュート練習も悪くないけどそこへと持ち込むまでに必要なことを日本も、もっとやるべきってことなのかな。

 よーやくやっと田中啓文さん「UMAハンター馬子 闇に光る目」(学研ウルフ・ノベルズ、850円)を読了、1巻が文庫で2巻が新書なら3巻はハードカバーになるのかな。それはそれとして「未知生物(UMA)」をどーゆー訳か追い求めては地方へと出かけていく、いかにも大阪のおばちゃんって感じの見かけながら、「おんびき祭文」とゆー一種の語り芸をさせればどんなベテランの芸人であってもその足下にひれ伏すくらいの腕前をもった蘇我家馬子が主人公となったこの話は、前の巻に続いてヒバゴンだかグロブスターだかチュパカブラってな、もはや日本伝来ですらない得体の知れないUMAがいるのかいないのかを追いかける馬子と弟子のイルカの動静から、珍説奇説がたっぷりで中には駄洒落も少し(いっぱい)交じったUMAの正体への言及がなされて読んでいろいろと為になる。

 馬子が普段はあんまり見せない本気の芸を披露する場面のタメから一気に開陳へと持っていく流れはやっぱり圧巻で、印籠を見せる水戸黄門以上に強い感動とカタルシスを得られる。本当はこーした場面をもっともっと読みたいんだけど、残念ながら人間国宝の諸国漫遊記ではない「UMAハンター馬子」のシリーズ、UMAの珍説奇説に当然駄洒落も読ませつつ、実は相当に裏を持っていそーな馬子の正体への想像をかき立てさせるのがメインだから仕方がないどーやらイザナギイザナミの御代まで時系列が遡りそーな雰囲気もあるけれど、そーした妄想も含めて今はただのおばちゃんの馬子の正体への想像力と、敵対する一派の執拗なちょっかいを超えた馬子たちの活躍を期待して、次の巻の登場を待つことにしよー。もしかして革装の限定豪華本とかになるのか。


【8月5日】 むろん朝目覚めると枕元に天使が立って「あなたを夢の世界に連れて行ってあげましょう」と背中の羽根を抜いてフッと息を吹きかけて、たちまちのうちに「FC東京vsレアル・マドリッド」のチケットへを変えて僕にプレゼントしてくれる、なんて話もなくただひたすらに蒸し暑い中を会社へと出かけていつもと変わらない仕事をする。町中にはボツボツと「23」の背番号を背負った「ベッカムくん」&「ベッカムちゃん」が彷徨き始めていて、来ても来年の親善試合だろーチームのたかだか1試合のためにわざわざ高いお金を出して、レプリカを買う奴の気がしれないなーと、行けなかった悔しさも含めて内心で悪罵を浴びせる。でも行けてたら買ってたね、オーセンティックの奴を、絶対に。

 渋谷の「カンピオーネ」も原宿の「KAMO」もともにハンガーを出してレアル・マドリッドのレプリカを並べて売り出しているのは良いんだけど、年末の「トヨタカップ」には来ないことが決まっている以上はレアル・マドリッドのユニフォームなんて次に売る機会なんてまるでなく、もしかすると来年にはまた新しいタイプへと切り替えられている可能性なんかも考えると、こんなに仕入れて良いんだろーかって心配もわき起こる。メディアでの突出した活躍に「マンチェスター・ユナイテッド」の背番号7入りユニフォームを山とぶらさげていた店が、どこも処分に四苦八苦して「プレミア必至」だなんて(ないないそんなことまずない)張り紙付けて売ろーとしている様を見、移ろいやすい日本人の関心の範囲を考慮に入れると、今回の来日フィーバーが後にどんな負債を招くか、ちょっと考えてみたくなる。

 メディアも事情は同様で、ろくすっぽサッカーに興味も抱いていなかったメディアが、フィーバーに乗ろーとしていろいろ画策したところで、その時にはすでに凋落は始まり乗った時にはすでに時代遅れも甚だしくなっているんだろーけれど、そこはそれ、思いついたら一直線、周囲の反響よりも自分たちの満足ってのが昨今のメディアに共通の傾向だったりするんで、世間の醒めきった視線をよそに偉い人たちの「ベッカムが旬」「レアル・マドリッドは時代の寵児」ってな思いつきに、5年前なら旬だったよなー、レアルは50年前から時代の寵児だったんだぜ、ってなボヤきを入れつつ現場は、下らない企画や記事を垂れ流させられては、サッカーファンの目を汚し続けることになるんだろー。せめて来年もレアル・マドリッドが来日してくれることを願おー。でもジダンそろそろヤバげだしロナウドもいつパンクするか分からないしフィーゴもそろそろ外に出そーだし。いやいやデル・ピエロにトッティにロビーニョにファーディナンドにその他大勢のゴールデンな選手をかっぱいで来るからレアル・マドリッドは永遠に不滅なのだ。いっそ監督もいわゆるひとつのお方に終身で名誉な奴をお願いしたら如何。

 身の回りに誰も行ったってゆー話をきかず、心配になってちょっと様子を伺いにいった原宿の「ウェンディーズ ジュラシック・パーク・インスティテュート・ツアー」は、大行列ではないけれど、それでも入り口に30分待ちの札が出るくらいには人が入っているよーで、夏休みに入って暑くなって平日だからお母さんが子供を連れて来るよーになったみたい。帰りがけにグッズを持った子供とか原宿で見かけるよーになったし、原宿駅に恐竜グッズを売るワゴンも出るよーになったし、ちょっとづつ認知度が広がっていつか爆発して押すな押すなの大行列でにぎわうことになるんだろー、100日の会期の95日目とか、いやそれはマズいか。遠目で見て入り口に立っているお姉さんがなにやら手にスプレー上のものを持って吹きかけているのが見えたけど、プロペラが付いている形から想像するに水を霧状にしてプロペラで冷やしながら噴霧する夏に嬉しいアイテムだったりするのかな。ジュラシック・パークの例の模様が入ってるのはなかなかに恰好良かったんで、いつか言ったら買おう。できればそれが使える夏のうちに。

 堕胎は罪かそれとも善かは、それこそ大昔から行われてきた議論で今なお世界で最強の國のリーダーを決める時に話題となるくらいに大きなテーマだったりする訳で、それでも答えを探るならケース・バイ・ケースってことになるんだろーけれど、そんなケースを考える際に、立場の違い性別の差異に信教信条思想の違いがやっぱり答えを大きく右にも左にも揺らしてしまうことになり、結局”正解”とゆーのは出てこないしそもそもが出せるはずものではないのかもしれない。諸田玲子さんがだから、「恋ほおずき」(中央公論新社)の中で示したのも、これぞ正解ってものではなく、男性と女性でそれぞれがそれぞれの立場で認めた答えであり、また立場の違いを超えてそれぞれが求めたより良い答えだったりする。

 中條医、とゆーのは表向きは婦人科の医者のことで女性に特有の病気なんかをもっぱら診療し治療しているんだけど、そーした診療の派生かあるいはそちらが本来だったのか、江戸の体制下では御法度になっていた堕胎も面倒を見ることになっていて、お話の主事脳の江与とゆー中條の女医さんも、女性から相談を受けては堕胎のための薬を処方し渡していた。そんなる日、ある事件をきっかけに彼女は同心を知り合いになる。彼は実は女性を看る医者をなくすべきとゆーお上の命令を受けて女医者が手がける御法度の実体を探ろーとしていたのだった。そうはいっても道ならぬ恋で出来てしまった赤ん坊、無理矢理の手込めで出来てしまった赤ん坊をどーにかしたいとゆー相談は減らず続いていて、同心の”挑戦”を気にしつつも江与はほおずきの根を煎じた薬を女性たちに渡していくのだった。

 話はそこから堕胎をめぐる奉公人と手代、花魁と客、役者と武家の奥女中といった関係を描き、そぞれのケースで怒る悲劇や事件を描きながら堕胎の是非を江与や女性の立場からと、倫理を盾に取った同心の立場から語らせる。興味深いのは江与の是と同心の非が入れ替わってしまうこともある点で、まさしく所変われば、立場が違えば変わるくらいに難しい問題なんだってことが伺える。最後まで読んでも答えは得られないけれど、いろいろとある事情を看ていくうちに、少なくとも一方向から一方的に意見を言い募るのではなく、さまざまな価値観があることを知り認めた上でさあどうすべきなのかを、答えは得られないまでも考える意識が醸成されるだろー効果をこの本は持っていそー。いろいろな立場からいろいろな意見がこの本をめぐって起こるだろーから、その成り行きを関心を持って見て行こー。


【8月4日】 新潟で17歳の女子高生と友達で同年の無職の少女がホテルに七輪を持ち込んだって話におそらく、たいていの人はまた練炭自殺かと思っただろーけどどっこい、今日日の女子高生はいい歳をして1人で逝けず仲間を募っていっせーのせで自殺するナイーブでセンシティブな大人たちとはモノが違っていたよーで、七輪をホテルに持ち込んだまでは同じだけどそこで練炭を燃やすんじゃなく炭火で焼き鳥を作ろーとして、炭が燃えすぎ消し方に困って水をかけたら煙がもくもくと出てしまい、報知器が鳴ってホテルにバレてしまって散々っぱらお灸をすえられたとか。そりゃそーだわな。

 ホテルで宴会ならわかるしベランダでバーベキューなら男側から見たお洒落に聡い女子高生っぽさも感じられないではないけれど、部屋で七輪で焼き鳥を焼こーとしたなんて今どきの女子高生、男どころか人間一般の理解を超えてアグレッシブでアバンギャルドでアンノウンな生き物だね。低年齢化が進んでいるとはいえ女子高生が過激にバトルする佐神良さん「S.I.B(セーラーガール・イン・ブラッド)」(カッパノベルズ)もまだまだ通用するなー。

 「東京トイフェスティバル」の会場では次に出かける予定とか考えて変えなかった「モノマガジン」の「王立科学博物館」大特集号をコンビニエンスストアで購入、POSの売上げデータに少しは貢献できたかな。メインの記事は緻密でグラフィカルで勉強になる上に岡田斗司夫さんと、海洋堂の宮脇修一専務との対談ってゆーかそれぞれが別に上下で「王立」について語り倒す記事が入ってて、お互いに張り合い琢磨しつつも良いもの画期的なものを作ろうってエネルギーに溢れてて、読めば流行ってるからってテキトーなキャラでお茶など濁している場合じゃねーぞ、って気にきっと多くの食玩メーカーをさせることだろー。させてもだからといって実行に移すとは限らないけど、商売だし。

 巻末付近の「岡田斗司夫の新オタク日記」に岡田さんと宇宙飛行士の毛利衛さんとのツーショット写真が2点ほど。「全部、毛利さんがらみ。そうか、毛利さんにはバリューがあるんだなぁ」とゆー写真を見た岡田さんのコメントはまさしくその通りで、発表会の記事を出すにあたって打ち合わせで説明した時のデスク陣の反応は、「タカラがですねえ」「うんうん」「海洋堂とですねえ」「なるほどなるほど」「宇宙飛行士の毛利さんも」「それはそれは」「実は岡田斗司夫さんが」「誰それ?」って感じだったそーな。記事もだから毛利さん絶対から来て横に岡田さんをくっつける写真と記事になったのです。

 なるほど「オタキング」「評論家」「東大オタクゼミ」「AERA」「エヴァ」「関西芸人」「アニメック」といった世間の動勢に関心のある人なら知っていて当然(一部除外)のキーワードで語れる岡田さんでも、世間の動勢とは違ってケーザイとケーエーに関心の中心を向けているメディアで仕事をする人たちにとっては、宮脇専務よりもバリューとして薄いものになってしまうらしー。タカラを除けば岡田斗司夫&ゼネラルプロダクツをまず知った僕はやっぱり向いてない商売なのかも、経済ライター。ちなみに「東浩紀」「庵野秀明」「福田和也」「斎藤環」「村上隆」あたりもまるでデスク当たりでは知名度なし。あなたの会社の40代はどーですか。

 中里融司さんの新シリーズ「星忍母艦テンブレイブ1 王子様はハーフボイルド」(ファミ通文庫、640円)なんかを一気読み。その有事とあらば手の平だって平気で返す世渡りの巧みと、星忍と呼ばれる超常的な能力をもった一騎当千ともいえる超人たちの暗躍でもって長くその命脈を保っていた惑星国家ビスティシアが一気に攻め落とされる場面から始まる物語は、ビスティシア御曹司で今はアムラフ星間大学に勉強に来ていた少年キオ・カロンが祖国を攻め滅ぼしたフォイアフォーゲル帝国の圧力で退学させられるのさせられないのと大騒ぎになっている場面へと移り、キオが退学させられないために大学で1番の秀才で良いところのお坊ちゃんで顔良く性格も最高のロッシュ・ユルフェと戦う羽目になる展開へと向かっていく。

 少年のルームメートでハイパワーにして頭脳も優秀なアンドロイドの少女アキ・リリスとか、「あろはおえー」って言うんじゃないかと思ったくらい年齢不詳の幼児風な肢体ながらも教授ってゆー女性のテレーズ・フェドレンカとか、ロッシュとかいった立ち過ぎの感すらあるキャラクター陣に囲まれ和気藹々とした学園ドラマが繰り広げられるかと思ったら、生き残ってキオに祖国が滅んだことを告げるか告げないか悩むぽけぽけな所がありながらも、戦えば宇宙戦艦級のパワーを発揮する星忍の少女ナミ・ナナセが大学へと駆け込んできては、侵入者と間違えられてひと騒動を起こした上に、さらにキオをのっぴきならない立場へと追い込んでいく。

 いくら凄まじい力があってもやっぱりぽけぽけなナミが星忍になれてしまう設定はかなり悩ましいし、過去から謀略策謀の類で生き残ってきたビスティシアが裏切りとかあったとしてもそれすら感知できないまま、あっさりとフォイアローゲル帝国の手におちてしまうあたりの流れも不思議といえば不思議。頑な過ぎて融通の利かない少年の態度にも共感を抱き辛いところがあるけれど、そんなこんなで自覚し自律しはじめた少年が、どんな力を秘めているのか一人また一人と披露されていくだろー星忍たちの超常的なパワーを借りて立身出世していくそのプロセスに、アンドロイドのアキとか御曹司のロッシュとかが絡んで星間星団星雲を巻き込んで広がっていく展開には興味をそそられる。なんで続きをとりあえずは期待して待とー。1家に1台アキが欲しい。


【8月3日】 イプシロンちゃんだったっけ、そんな名前の美女ロボットが瞬間活躍する場面にときめきつつウランがそっぽを向いて口をへの字にする場面にそそられつつもしっかりと見た3週間ぶりの「デ・ジ・キャラットにょ」は、前半後半が半ば続きの怪談話、なんだけどそこは「でじこ」だけあって笑いまくりの30分に仕上がっていて、またまた登場したユーレイちゃんだなんって妙なキャラクターの今後の登場なんかに期待もかかってしまったけど、夏向けキャラってことだからきっと次は来年の夏になってしまうんだろー、ってそこまで続くのかい「にょ」は。あと一緒に出てきた魔女っぽい婆さんの声が確か千葉千恵巳さんだったのに仰天、どれみが老けた姿?

 終わったのも早々にパソコンへと向かって8月20日開催のサッカー「日本代表vsナイジェリア代表」のチケット取りに「e+」へアクセス。最初こそまるでダメだったけど10分とかしないうちに繋がるよーになってあっさりとカテゴリー2のアウェイが取れてしまって拍子抜け。さらにつなげたらさっきまで終了だったカテゴリー1のアウェイも復活してて取れそーだったけど別に無理して取ることもないと流して今回の争奪戦は実質的にも気分的にも完全勝利を成し遂げる。まあ欧州組はシーズンが始まる直前だったりすでに始まっていたりで招集はかけないだろーけど、ファーストステージが終わって順位が確定したことを受けて、これまでまるでお呼びのかからなかった人に声もかかる可能性が出てきたんで、そーした新しい人をどー組み込んで試して来るのか、ってな部分で見る興味もつなげそーな試合になりそー。個人的にはやっぱりボンバー中澤選手に入って欲しいところ。ジェフユナイテッド市原からも1人2人是非に。何ならイビチャ・オシム監督も付けまっせ(付きません)。

 そんなボンバー中澤選手の活躍で晴れて優勝を成し遂げた横浜F・マリノスがだいたい1面を飾っているスポーツ新聞を何紙か購入。ふだんはどんなにJリーグが盛り上がっていても、中田中村高原しかサッカーだと1面に持って来ないスポーツ新聞もさすがに見過ごせなかった模様。ビッグクラブでなおかつビッグスポンサーだし。面白かったのは「スポーツニッポン」で3点目を叩き出した奥選手とその奥さんの内助の功をかけて「奥さまに感謝」ってな見出しをつけて、佐伯日菜子さんの顔も丸抜きで入れた紙面を作って笑う。佐伯日菜子さんってやっぱり奥の奥さん略すと奥奥さんって呼ばれているのかなー、ご近所とかで。それはそれとして佐伯日菜子さんの顔を見ていてなるほど横浜F・マリノスが最後に抜け出す訳だと確信、だってきっと真夜中に奥奥さん、部屋で黒いマントとか羽織って魔法陣に向かってマリノスの躍進とジュビロ&ジェフの凋落を詛っていたんだぜ、「エコエコアザラクエコエコザメラク」って。勝てる訳ないって。勝つには初代の吉野公佳さんは既婚なんで3代目「黒井ミサ」のの加藤夏希さんをオシム監督を引っ張ってきたフロントの手腕でジェフの誰かの嫁にしよー。

 朝一番で行くだけの体力気力もなくなってしまったもののそこはやっぱり行かねばならぬ、行って「王立科学博物館」の売れ行きを確かめねばならぬと「ワンダーフェスティバル2003夏」へと向かう。すでに行列なんてまるでなく、これだったらきっと「王立科学博物館」も「タイムスリップグリコ」とかと同様に品切れ確実かなー、なんて思っていった会場中央のブースは後ろに巨大な段ボールの山が出来るくらいに残っていて意外に思う。けどまあ別に会場限定の品物でもないしそんなに離れず店で売られるよーになる商品を、先行だからってわざわざ買う人もいないってことで、誰でも彼でも何でもかんでもぎょーれつ作って買う”バブル”状態から一段抜けて、味正常な状態になっていたって言えそー。勝負はだから店頭ってことで。

 同じことは向かいでやってた「東京トイフェスティバル」の会場でも言えて、総監督を務めた岡田斗司夫さんがテーブルについて手売りしていてもそんなに群がる人がいるでもなかった。もっとも岡田さんが自分で箱から出して組み立て並べたフィギュアの実物を見て、欲しくなった人もいるかもしれないから、午後は午後なりに結構な数がはけたのかも。気にはなっていたけどその時間、隅にしつらえられたステージで何っていったっけ、モルダイバー? ハイパードール? ビューティーペア? 分からないけど宇宙を救うよーな恰好をした美少女2人の抑揚のないうたと激しくない踊りとそれから胸の2つのポッチもくっきりな仲谷かおりさんの「まいっちんぐマチ子先生」を最前列から堪能してたんで、「王立科学博物館」がどーなっていたのか見えませんでした。宇宙と美少女じゃあやっぱり美少女なんです、僕。

 戻って「ワンダーフェスティバル」ではアルフレックスのブースで「町娘」と「武家娘」の出来に感嘆。表情こそ何とはなしに似ていたけれど、町と武家では着物の感じも髪の形も変えてあって、どっちも揃えて家にある「新撰組」とか「座頭市」とかに絡めてみたい気もしたけれど、お金もないんで残念無念にも諦める。「悪代官」を持っている人には必須アイテムだったはず、だって「悪代官」には「あーれー」が付き物だから。どーせだったら帯を片方から引っ張るとクルクル人形が回ってほどけるよーになっていたらって思ったけれど、そこはそれ、足を回転台か何かにつなげて回るよーにすれば良いだけだから買った人は台とか自作してください。顔も良いけど着物もやっぱり良い出来で、人形は2種類だけど着物は4種類くらいあったのかな、それを全部揃えると相当な値段になりそーだけど、ファンの人はきっと買っていったんだろー。ファンの支えがアルフレックスを進歩させるのです。次はどんな吃驚を見せてくれるかな。現代物でひとつふたつ冒険が見たいな。

ゴールが決まって打ち上げ花火、なんて神宮球場じゃないからありません  会場を午後2時には退散して遠く「成田中台陸上競技場」へと女子サッカーの「Lリーグ」を見物に行く。気分的には「等々力陸上競技場」へとJ2「川崎フロンターレvsヴァンフォーレ甲府」を見に行きたかったけど遠いしお金もないし、それよりやっぱり先週に出た「FLASH」でその健康的な美貌を見せてくれたYKK東北女子サッカー部フラッパーズの大部由美選手を生でもう1回見たかったんで、家からもそれほど遠くない成田を選んで向かった次第。駅からも歩いて10分ほどの競技場はトラックこそあるけれどピッチはそれほど遠くなく、スタンドもしっかりとしていて全体に見やすい環境。ここが会場になる試合があったらまた来てもいーかもと思わせる。でもあっても次は下位リーグになってしまうのかな、地元のジェフユナイテッド市原レディースが3位以内に入る可能性はなさそーだし。

 前に「東京ヴェルディグラウンド」で日テレ・ベレーザとの試合と見た時にも感じたけれどジェフユナイテッド市原レディース、決して攻め手に欠ける訳じゃなくツボにはまればスピーディーな攻撃をしかけることも出来るんだけど、全体にトラップが甘くてこぼれた所を相手チームに拾われ攻撃に転じられ、そこでディフェンスが慌てて抜かれキーパーが握りが甘いのかポロリと落としてディフェンスがさらに大慌てしてキーパーが抑えられるにも関わらずボールに密集しては蹴りだそうとして蹴り切れず、逆にとられて押し込まれるミスにミスを重ねる失点が続いて試合の行方を自分から決めてしまうところがあって、勝てないまでも同点なりで逃げ切れるところをなぜか大敗にしてしまう。ボールに寄せるスピードにもどこか鈍さがあって、河村乃里子選手とか清水由香選手とかスピードを持っている選手もいるんだけど、そこへとつなぐ以前にボールを奪われてしまって攻撃を重ねられない。

 対するYKK東北フラッパーズはついているトレーナーが良いのか(練習の時の支持の出し方とか交代でベンチにかえって来た選手にすぐにストレッチとアイシングをする手早さとか)選手の動きにキレとスピードと冴えがあって、寄せるのも早ければ回すのも早くってジェフの選手たちを翻弄してはゴール前へと一気に迫っていってしまう。テクニックでも抜けてる感じがあってとりわけキャプテンの佐藤春詠選手とか、トラップも上手く視野も広く司令塔っぽい形で左右を走らせ試合を支配しているし、底では日本代表キャプテンで試合前に花束を贈られていた大部由美選手がしっかりと支持を出してガードを固め、時に中盤へと押し上げて攻撃を分厚くする役目を果たしていて、これなら先週に日テレ・ベレーザを破ったのもフロックじゃないって思わせる。

 終盤に来て投入した高橋唯選手のスピードとテクニックが、疲れて来ていたジェフのディフェンス陣を切り裂き翻弄して反撃の糸口すら与えず最終的には5対1で完勝。年齢とか見るとベテランに属する選手らしーけど、これだけの人がスタメンではなくサブだってところにYKKフラッパーズの今の選手層の厚さも伺える。あるいは上位リーグでも勝ち抜いて、リーグ優勝ってこともありえるのかな。ってか今いったいどこのチームが1位で2位で3位なんだ。Jリーグですら真っ当に伝えないスポーツ新聞にそんな情報が載っているはずもないしなあ、せめて日本サッカー協会がこまめに伝えてくれればなあ。女子サッカーの振興ってそんな所からでもちょっとは出来るのになあ。ねえキャプテン。


【8月2日】 「カンピオーネ」の福袋に入っていた「FIFAワールドカップ日韓大会」のトレーディングシールを粛々と台紙に貼る日々。何せ100パックもあるんで破って貼っても貼ってもなかなか減らないんだけど、全部で576種類もあるためか重複が案外に少なく出ればだいたいがどこかに収まるの、明けても明けても重複だったりする普通のトレーディングカードに比べて精神的にはまだ嬉しい。とはいえだんだんと埋まってくると破っても破ってもダブりになって落ち込んで行くんだろー。今の楽しさをとりあえずは存分に味わい尽くすことにしよー。

 傾向があるのか日本代表は中山雅史選手に中田英寿選手に宮本恒靖選手に森島寛晃選手の4人だけなのに対して韓国が16人中で11人を出す効率の良さ。写真が大会前ってことだからなのかアン・ジョンファン選手が今の軍隊帰りではないのはもちろん、大会の時のおばちゃんパーマですらないストレートの総髪っぽい髪型で大笑い。きっと100人に見せても「これ誰?」ってなること請負かも。ベッカム選手は髪型をいじり始める直前の丸坊主にしていた時の写真が入ってて雰囲気怖げ。男臭さ漂うプレミアシップのフットボーラーって感じで道歩いていたらフーリガンだと思って避けちゃいそー。トルコのユミト・ダバラ選手は今といっしょ、ってことはつまり宮城でヘッドを決めた時みたいなモヒカンじゃなく、ルストゥ選手もロングじゃなくって頭を後ろでしばってなくってやっぱり「これ誰?」って感じ。3年くらいで人って変わるものなんだと実感する。でもフィーゴ選手は髪型も顔立ちも今とまるでおんなじ。きっと赤ん坊の時からあんあおっさん顔してたに違いない、生え際もびっちりとして。

 通い慣れた学校から転校して一念発起、三枚目のオモロイ奴と男子生徒の評判も悪くはなかったけれど、せてめ1度くらいは二枚目目な所も見せて男たちだけじゃなく、美少女たちからもモテモテになってやりたいと思う人も多いはずなのに、まるで変わらずイメージはそのまんまどころか輪をかけてスチャラカをやってやり抜いている姿を見るにつけ、それが根っから好きなんだなーと納得するしかないと、阿智太郎さんのメディアファクトリーから出た最新刊「陰からマモル!」(580円)を読んでその筋金ぶりに感嘆する。戦国時代の大昔、おいしいこんにゃくを作る家を子々孫々まで守れとこんにゃく好きの殿様に命じられた忍者がいた。そして現在、紺若家の一家を忍者は今も陰になって守っているというのがだいたいの設定。いかにもでしょ?

 設定が設定なら展開もやっぱり阿智太郎さん。紺若家の娘のゆうながピンチになった時、いつも周囲をうろついていた幼なじみで冴えない恰好をしたマモルの姿が消え、代わって忍者姿の男が現れ叫ぶ。必ず叫ぶ。「おとなりを、まもり続けて400年」。ゆうなを襲っていた勢力はその得体のしれない恰好にも驚いてかならず聞く。「誰だおまえは」。マモルの代わりに出てきた忍者は言い返す。必ず言い返す。「陰に名前はない!」。そんな決まり文句を太ゴシックでひっさげて、ピンチになると現れそれも1人じゃなく一家で現れ紺若家をピンチから巣くう(だけ)の物語が放つ、パターンにハマっているからこその覚える親近感とわき上がる納得づくの高揚感はなかなかで、どこに河岸を変えても阿智太郎さんは阿智太郎さんなんだとそのスチャラカの盤石ぶりに、心からの拍手を贈りたくナる。忍者と言えば本家のメディアワークスでもシリーズを始めていたけど、パターンを変えてそれぞれにそれなりな楽しさを与えシリーズ化だってオッケーな布石を打ってあるのは文才、商才に通じていればこそ、か。とりあえず先行きに注目。

  灼熱の中をかいくぐって「池袋サンシャインシティ」で開かれている「世界おもちゃ博物館」へ。ロンドンで1999年まで開館していた、世界でも希有なアンティークのおもちゃを集めていた博物館が都合で閉館して、コレクションも散逸しかかっていたところをどういった経緯からかバンダイが購入することになって今まで修理とそれから内容の検討を行った上で、晴れて極東の地で復活をとげたそのお披露目ってイベントで、会場こ「ワールドインポートマート」の輸入品雑貨店を売るフロアの上と割に日陰な感じだけど、展示してある品物は由緒もあれば価値もある、世界的に見ても貴重で希少な品物ばかりで最新のおもちゃを横浜で見るのも良いけれど、最良のおもちゃをこっちで見るのも悪くはないしむしろ大人には楽しいかもしれない。

 タイのプリンスが運転していたミニチュアなんだけど今時の電気自動車くらいはある自動車の玩具に感嘆。「王様と私」の王様の子孫にあたる人が持っていたらしい。でも写真の少年はユル・ブリナーにもチョウ・ユンファにも似てないぞ(似てないさ)。ジュモーのビクスドールなんて幾らするんだろ。バンダイの赤箱のミニカーもあってミニカーコレクターの森永卓郎さんがかじり付いてほしがりそー。岡田斗司夫さん系の未来玩具はあったかな。個人的にはスケートするティディベアが可愛くて欲しくなった。終わりになつかしいブリキおもちゃとかマスダヤの巨大キカイダーにゲッター人形が売ってるショップもあったんで、そこで復活させて販売して欲しいなあ。

走れ走れ走れ走れ走れ走れ走れと降ったら声が出るうちわだったら選手もさらにピリっとした?  転進して「国立霞ヶ丘競技場」で開かれたジェフユナイテッド市原の優勝を祝う(可能性だけはある)試合を見物。開門2時間前に行列ができたのはジェフの試合では珍しく、きっとみんなオシムうちわが欲しかったんだなーと想像する。もらったうちわはそれはもうありがたいお言葉満載で、中でも「限界に限界はない。限界は個々の選手の目標で、限界を超えれば、次の限界が生まれるのだ」なんて何の分野にも応用できそ。これが真理だとすればなるほど、試合でセンターバックに入った中西永輔選手がピリッとせずにエメルソンを止められず1点を決められ、後半に中盤でのチェックを怠ったことで進入されたエメルソンにバックス陣が翻弄されてさらに1点追加され、1点を返したものの追いつけず優勝を逃してしまったけど、ここが限界ではなく上を目指すってことは可能だってことなんだろー。信じたい。それにはやっぱりバックス陣の強化、かな。

 ただ終盤にかけてはうちわにもある「リスクを冒さないサッカーは、塩をコショウのないスープのようなもの」って言葉の意味を存分に見せてもらったのがひとつ面白かったところ。ラインは維持しつつ中盤を明け両サイドをはらせた上で最前線に3人を並べてロングボールを放り込み、1点を狙いに行くサッカーは最初っからこればっかりだと往年のイングランドサッカーを見せられるよーで退屈しただろーけど、終盤にかけて是非にも追いつきたいってシーンでのことだったんで、意味も分かったし希薄も伝わって楽しかった。出来れば最前線に当てたボールを拾い左右に散らす中盤が1人、いれば形もさらに強まったよーに思うんだけど、ボランチ陣がやや下がり目でできず波状攻撃が仕掛けられなかったのが残念なところか。1点とったら5人を最終ラインに並べてあとはエメルソンに永井選手任せの浦和レッズにも是非に見習って欲しい「オシム語録」です。でも永井エメルソンの攻撃は凄かった。ついでに坪井選手のスピードも代表クラスだった。レッズは好調なよーだしヴェルディも上がり目でセカンドステージは混戦を楽しめそう。名古屋グランパスエイトはなあ……ネルシーニョよりレオンで名古屋誉めに安穏とする選手たちの根性、叩き直して欲しかったかも。


【8月1日】 夏本番、と行くかと思ったけれど決して快晴とも思えない天気に眠らせたまんまの「ボクらの太陽」を永眠させたくなって来た今日この頃を、一服の清涼剤と思いつつ「ヤングキングアワーズ」2003年9月号を読んで過ごそーとしたけど、爆発に銃撃戦に殺戮とホットな描写がてんこ盛りで、気持ちだけ先に夏になる。いったいどーなったか田波の状況が知りたくって真っ先に開いた「ジオブリーダーズ」は、読者の期待を常に裏切り脅威のビジョンとストーリーを見せてくれる伊藤明弘さんだけあって、高見ちゃんのその後も含めてまるで降られておらず、どこぞの温泉にこもって悪巧みする入江とその一味とたぶん自衛隊当たりとの諍いがリアルな人死に付きで演じられてて買ったばかりの9巻の、いくらダイナマイトをどんどんやろーと誰も死なないテキトーさから一転して、真っ当さでもって話を進め始めたんだってことが改めて伺える。

 箏井さんのヤサグレ具合もシリアスな雰囲気に不気味さを加えていて、入江に言われていきなり服を脱ぎ脱ぎし始める場面での躊躇のしてなさぶりには、いったい何を見てそこまで自分を棄ててしまったのかと気持ちの変遷のプロセスを知りたくなる。にこやかに見えて本心は箏井のはるか上を行って冷徹無慈悲な入江の側にいると何かが伝染って来るのかな。その割にはいっしょにいるボディガードの1人は割に人間っぽい反応をするからやっぱり最初からの資質ってことになるのかな。なおいっそうのやさぐれ具合に期待。でもあっさり棄てゴマにされてそれすらも無表情で受け入れ死んでいったりするのかも。来月こそは田波の消息を是非に。いきなり八事霊園から始まったら……それもそれでありなのか。

 「ヘルシング」はソーゲンブリッツがだいだらぼっち化してアシタカの隊長もセラスのサンもどーやって鎮めよーかとおおわらわ。しかし一体アーカードはどこに行ったのやら。そろそろ忘れかけてます。「エクセルサーガ」はスクール水着(なのに胸は立派)が目に衝撃。ついでに「ヒミツの保健室」もスクール水着(こちらは無乳)が目に電撃。夏ってすばらしい。「コミックマスターJ」はまるで真夏の怪談風。いったいどんな作品を挙げれば「キラー店長」に許してもらえるのかと頭をぐるぐると巡らせたくなる。「スターレッド」と「軽井沢シンドローム」と内田善美と吉野朔実あたりなら大丈夫かな。伊藤明弘はスゴーン、内藤泰弘もバゴーン、平野耕太だってドゴーンかなあ、内容が内容だけにやっぱ。

  夏の風物詩、とはぜんぜん言えないんだけど何故か「福袋」が登場したってんで渋谷の「カンピオーネ」へと出向いて1つ所望。一応は必ずユニフォームが入っているってゆーんだけどサイズとか、チームとかはまるで分からないのがちょっと気持ちに厳しくて、それでもだからこその福袋、小さかったら痩せればいいじゃないかと楽天的な気持ちに自分を切り替えて、手に持ち軽いつづら重いつづらのどっちがおまえの望みじゃあ、ってな葛藤とも戦いなら、やっぱり重い方がスパイクとか入っているかもしれないな、なんて想像を巡らせて選びレジに運んで1万円を払って外に出て、地下鉄の駅で早速開いてなぜ重たいのかを知ってはははははと笑う。トレカかよ。そりゃ重いはずだ。

 入っていたのは1つがなぜか今さらにパニーニ社が作った1997年のイタリア・セリエAのトレカで、想像するに売れ残りを詰め込んだって感じなんだけど、箱にはパルマ時代のジャンフランコ・ゾラにインテル時代のポール・インスが描かれていたりして、なるほど古いことは古いんだけどそれが妙なお宝感を醸し出してて個人的にはちょっと楽しい。ちなにみマルディーニはやっぱりミラン。移籍しない選手はファンにはありがたいんだけどカード的にはつまらないなあ。これが定価だと6650円で他に去年の「FIFAワールドカップ日韓大会」に向けて作られたらしい、やっぱりパニーニ社の出場予定選手のステッカーってのが入ってて、6枚入りパックが実に100パックも入った定価1万円もする商品と知ってちょっと驚く。

 最初はなんだトレカじゃないのかとガッカリしたけど、別にステッカーを貼るチームごとに別れてほかに会場の写真も貼れるスペースがついた500円するシール帳も入ってて、袋を破ってシールを取り出して選手の名前と通し番号を確認して、1枚1枚台紙に張っていく過程で選手の名前とかが分かったり、去年の賑わいが思い出されてこれもなかなかに楽しかったりする。これも個人的には当たりの商品。有名選手だとイタリアはトッティにヴィエリが出て、アルゼンチンはヴェロンにクレスポにサビオラにシメオネと大所が出そろった。フランスはジダンにトレセゲ。ピレスが台紙にあるのはきっと開幕前に作られたから、かな、高原もあるし、でも俊輔はない、なぜだ?

 ほかにはバルセロナのエンブレムがついたフリースが7000円でサイズMならまあ着られないこともないからオッケー。ベッカムの名前と背番号が入ったマンチェスター・ユナイテッドのTシャツ3800円はサイズXSで着るのは無理。作りすぎて余ったのを詰め込んだっぽいなあ、これは外れ。ASローマのフラッグ2000円をいったいどーしろと。風呂敷代わりに使うか。意外と恰好いいかな。肝心のユニフォームは01−02のフェイエノールトのアウェーで背番号14の小野選手のネーム入りが当選。決してほしくない訳じゃないけどだったらお金を出してまで買うかってゆーと微妙な線上に位置する商品だっただけに、入っていてどちらかとえいあば当たりだったよーな気になっている。

 KAPPAでMサイズはピチユニにならないかと去年のイタリア代表とか見て思ったけど、01−02の当時はまだあんまりピチピチじゃなくってMでも着られるんでこれもラッキー。色はグレーでやや明るめのラインが継ぎ目に入っているシックなデザイン(でも襟ぐりに赤と白がちょっとだけのぞく)なんで街着に良いかも。これが13800円で締めて43750円(暗算合ってる?)がインした1万円の福袋は明ける楽しみも含めて圧倒的な”買い”商品。Mサイズでもオッケーって人は行って買って明けて喚起or落胆しよー。

 読子さん、時間ですよー、って声にもぞもぞと起き出しては紙をふるって悪と絶つってな爽快なドラマかと思い込んでた「R.O.D THE TV」をアニプレックスの試写で見て、まるで違う設定の内容だと知って瞬間心に暗いものがよぎったけど、作家としてそれなりの地位を固めながらもなぜか今は新作がかけず気持ちもやさぐれている菫川ねねねがサイン会に訪れた香港で、紙を操る三姉妹と出会ったところから始まる物語は、3人3様の紙使いぶりとそれから3人3様のキャラクターぶりが面白く、動きの良さとスケールの派手さもあってなかなか楽しめる。長身の男役系(だけど純情)な2女マギーも人気出そーだけどやっぱ末っ子でやんちゃなアニタちゃん、かな。スカートから付きだした脚をバタバタさせる場面なんてもう最高。見所です。止めて見ます。見えてます。ひゃっほー。スカパーは見られないんで地上波に期待しよー。いつ放映なんだ。

 アニメーション業界が今年1番の話題作だと思い込んでいる「サブマリン707R」もいよいよ完成したよーで、昨日あがったばかりとゆー映像をこれも試写で見る……見る……見所は……やっぱり速水あゆみかあ、ベッドでアンダーウェア(たぶん)で寝ている姿に、上半身を起こしてタンクトップの肩ひもがちょっとだけ下がってゆるまった胸元あたりの映像が、見る人に激しく喚起の念を起こさせ癒しと赦しの気持ちを抱かせるだろー。本編はストーリーはまずまず。動きはそれなり。潜水艦戦でどーゆー騙し合いから勝負が決まったかを描き切って欲しい気もするけど映像では見せられても混乱するだけだから結果だけを表すのもまあ有りか。気になったのはのべつまくなしに鳴るメロウな音楽でエンディングテーマから引っ張ったものらしーんだけど場面に合ってなかったり、喧しかったりして切るなり縮めるなり下げるなりして欲しい気が。評判になってる庵野秀明さん演出のオープニングはきっといろいろな意味で評判を呼ぶだろーとここに断言。やりやがったな。


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