縮刷版2003年2月下旬号


【2月28日】 今年もはや6分の1が過ぎてしまったとは人間、歳をとると時間が過ぎるのがとてつもなく早く感じるものだなあ。この加速度で時の流れの高速化が進むと60過ぎたあたりではまばたきしただけで3日、欠伸でもしよーものなら1週間は軽く過ぎている勘定(推定)になりそー。でもって80歳くらいになった翌日には120歳くらいになっていて、その1分後には380歳くらいになっている、訳ないな。けどしかしこの感覚だとあったゆー間に夏の「日本SF大会」とか来てしまいそー、まだ申し込みしてないんだけどさてはて行くべきか行かざるべきか、知り合いの少ない中で2泊3日を過ごすのってなかなか大変なんっすよ。

畑にいたら突然強い光に包まれ、気が付くと手術台の上で手首に何かを埋め込まれていたんだ  あの「週刊スタートレック」が山積みのデアゴスティーニが今度は「週刊リアルロボット」とやらを創刊するとかで新丸ビルにある発表会場へと行く。「新」って付いてはいるけれど例の新しくなった「丸ビル」ではない、道路を挟んで向かいある古いビルで、人によっては結構間違えたりするみたい、って笑っていたら当日の記者発表に登壇する予定になっていた、「週刊リアルロボット」について来る組み立て式の「本格小型知能ロボット サイボット」を開発した英レディング大学のケビン・ウォーリック教授がいつまで経っても現れず、聞くとどーも「新丸ビル」と「丸ビル」を間違えたとか、手に埋め込まれているチップがグリニッジ標準時仕様で時差があってまた目覚めていないとか、噂半分脳内妄想半分の理由が漂っていてちょっと笑う。いや後半の方はこっちで勝手に考えた理由だけど。

 そもそもが噂のバイオチップはすでにウォーリック教授の左腕からは摘出されているそーで、会見後の質疑応答の時に見せてくれた手首にはリストカッターの方向とは違って手のひらに向かって垂直方向に切れ目が入ったあとがあって、なるほどあそこに宇宙人からの指令を受け取るチップが埋め込まれていたのか、なんてまたしても妄想をたくましくしてしまう。具体的に手首のチップでどーゆー実験を行っていたのかは、来日を契機にどっかがきっとやってるインタビューに出るだろーから、そっちに期待してください、いや出るって保証はないけれど。

 さて「週刊リアルロボット」の方はデアゴスティーニならではの分冊百科に毎号毎号ロボットのパーツがついてくるってゆーやつで、前にあった恐竜の骨格模型とか最近出ているドールハウスを造る奴とかの延長線上にあるんだろーけど、それがロボットってところがSF少年(元)の気持ちをちょっとくすぐる。これで出来上がるものが学天則以下の人口無能だったら詐欺だと叫ぶところだけど、会見場に稼動していたロボットは黒い線の上をちゃんと下部のセンサーでトレースしてゆっくりではあるけど動いていたし、別の対物センサーがついたマシンは机の下で脚を避けつつ取り囲んだ記者さんたちの靴も避けつつ、ぐるぐると回っていたからなかなかなもの。値段からすればレゴの「マインドストーム」よりも安くておまけにそれなりなロボットが手に入れられそーで、「マインドストーム」への結構な引き合いを敷衍すればこの「週刊リアルロボット」も、目標にしている30万部はともかく結構な読者が生まれそー。

 「マインドストーム」だったらパソコンでプログラミングして動きを加えられるメリットがあるってゆーけど、この「サイボット」だってついてくるらしーCD−ROMからパソコンにプログラムを読み出し組み合わせた上で「サイボット」に転送して、動きをあれこれ制御したり機能をあれこれ付け加えたりできるんだとか。赤外線の受光部も付けられるとかで手持ちのコントローラーから操作できるよーにもなるそーだけど、だったらいっそ携帯ゲーム機の上でプログラミングして、結果を赤外線で本体に飛ばすよーなことを可能にしれば、携帯ゲーム機天国の日本でさらに売れ行きを伸ばしそーな気もする。そもそもそーしたことってすでにバンダイが「ワンダースワン」上で行ったプログラミングを「ワンダーボーグ」に赤外線で飛ばすことで実現しているし、「ゲームボーイアドバンス」でも確か赤外線で「ゾイド」だかを操作するよーな玩具がトミーで作られているし。もはやマシン的には末期でマーケティングとか気にしない「WS」にここは是非、実験でもして頂きたいところです。それで売れれば勿怪の幸いって奴だし。

 遅蒔きながら「SPA」3月4日号「万引き特集」。例の川崎市での本を万引きした少年を警察に突き出したら逃げられおまけに列車に跳ねられてしまったことから、突き出したら店主が悪逆非道とされ店を閉めるかどーか悩んだ事件を発端にして、横行する本の万引きについて今や時代を担う論客とやらになったらしー勝谷誠彦さんが文教堂副社長の嶋崎富士雄さんとやった対談なんかを載せている。大意としてはひとつには万引きをあまり犯罪めいて捉えない風潮への苦言と、そして増える新古書店の問題が本の万引きの原因になっているらしーことの指摘で、新刊コミックの買い取りを呼びかける新古書店を勝谷さん、「まるで盗ってこいと言っているようなもの、犯罪教唆じゃないですか」とまで言って非難している。

 横に当の新古書店からトップのブックオフにご登場願って話してもらった言い分が掲載されているけれど、それについては勝谷さん、ご自分の日記の方で「こういうのを盗人たけだけしいと言う。全国の良民常民諸君。絶対にブックオフだけではモノを買うのをよそう。泥棒は泥棒どうしの中でカネとモノを回していやがれ」(2月25日付け)と激しい口調でこき下ろしている。言い回しはなるほど過激で美麗ではないけれど、思うところは決して分からないでもなく、本をその中身の価値ではなく単純にモノとして取り扱うスタンスへの、文筆家としての曰く言い難い反発が、こーした言葉につながったんだろーと思う。「朝まで生テレビ」にまで引っ張り出される論客の言葉だけに影響力も大きく、ブックオフ以外にフックアイランドとかいろいろチェーンも増えて市場拡大の一途を辿りそーな新古書系リサイクルショップに対する、結構な一石となるだろー。そんな勝谷さんがかくも本の万引き問題に入れ込むことになった川崎の書店には、勝谷さんもきっと辞めるなと心からの声援を贈るっているだろー、頑張って頂きたいところ。ところでその書店で古書店らしーけどどーゆー種類の古書店なの? 「SPA」掲載の写真だと看板に「ブックアイ……」って書いてあるんだけど、まさか絶対に勝谷さんの言う「泥棒どうし」の一味じゃない、よね?


【2月27日】 これってある意味無茶苦茶ホットなニュースじゃねーの、って思った「週刊文春」3月6日号掲載の「連続告発企画 テレビが病んでいる4」。だってあの「北野国から」の倉本聰さんがだよ、テレビドラマが去年9月に放映された分で終了した理由として局側、つまりはフジテレビジョンが「スタッフが高齢化したため」って説明していることに対して「これはとてもおかしな理由で、そしたらスタッフを替えればいいじゃないかということですよね。なのに、ディレクターが『俺じゃなか撮れない』と言って、後進に道を譲らない。これは、傲慢というと言い過ぎになっちゃうけど、そこまで自信を持っちゃっていいのかなと」って感じで、明らかにディレクターの杉田成道さんを批判するコメントを発してる。傍目には脚本家も納得の大団円に見えたあの感動のフィナーレも、その実いろいろと温度差があったってことで、これほどまでの内容だったら企画の1つじゃなくってそれこそ独立した記事として「あの『北の国から』の倉本聰さんがフジテレビに反旗、ディレクターの傲慢に徹底抗戦」とかって感じで煽ったって不思議じゃない。

 もちろん「北の国から」ってドラマは著作・製作はフジテレビが持っているものだろーし倉本さん自身も「週刊文春」の記事で「実際、金を出すのもスポンサーを集めるのもぜんぶ局ですから、作家がやりたいように言ったってできるもじゃない」って感じのコメントを出していて、1作家として携わったものではあるけど決して自分のものではないってゆー認識は持っている。局がやりたくないって言った以上は1作家が何を言ってもひっくり返りはしないだろーとも思っている。けれども止める理由が「スタッフの高齢化」とゆー倉本さんにとって納得の行くものではなかったからこそ今なおこーやって苦言を呈している訳で、あまつさえ「これからも黒坂家の物語を進めていこうと思います」とまで言っていて、よほど今回の局の処置に怒っているんだなってことが伺える。

 杉田さんが本当に傲慢から後進に道を譲らないのかどーかは知らないけれど、一方で倉本さんが同じ記事の中で指摘している「俳優を使わないで、タレントを起用しているドラマが多過ぎる」ことが、局側のタレント人気に乗って安易に視聴率を取りたい意識とそして、これとは背中合わせの関係になる、タレントを売り出したい芸能プロダクションなんかの思惑を浮かび上がらせていて、そーした双方のメリットが合致しにくい単発のドラマなんかにいつまでも関わり合っていられないってゆー論理が働いて、たとえ視聴率が良くても、そして後進に道を譲る選択肢があったとしても、打ち切りへと「北の国から」を向かわせたんじゃないかって思えて仕方がない。同じ企画で倉本さんと並ぶ脚本家の雄、山田太一さんも稽古の少なさ、企画の画一化を嘆いているけどこれほどまでの御大2人が言っても変わるテレビ界とは思えないのが何ともまー淋しいとゆーか哀しいとゆーか。

 「今やスポーツの感動に勝てない」って倉本さんに言われてしまったテレビドラマに起死回生の道があるとしたら、視聴率とか気にせずお金も潤沢なNHKしかないんだけど、言ってる端から大河ドラマ「新撰組!」に香取慎吾さん抜擢、だもんなあ、それも近藤勇役で。渋さで光らせるべき土方歳三は山本耕史でなんじゃこりゃってキャスティング。唯一藤原竜也さんの沖田総司がそれなりって感じだけど、個人的にはこっちは演技タコでも二枚目を配して、要の役所をベテランで固めて欲しかった、芹澤鴨の佐藤浩市さんみたく。いっそ佐藤さんを近藤で芹澤を三国連太郎にすれば良かったのに、ってそれだと「美味しんぼ」だよ、でもそれなら見てみたい気も。加藤剛さんが平将門を演り大村益次郎を中村梅之介が演り呂栄助左衛門を現松本幸四郎さんが演ってた時代が懐かしい。あの頃はタレントっても草刈正雄さんの鹿島玄明役は主役じゃないし格好良かったんだよー、中村雅俊さんの高杉晋作もピッタリだったんだよー、唐十郎さんの原田喜右衛門はまるまる「赤テント」だったんだよー、李礼仙さんも根津陣八さんも出ていたし、凄かったなー「黄金の日々」。

 俳優なり声優のみっちりと鍛えられた演技よりもタレントのバリューに頼ろーとするのはいずこも同じか。カプコンが3月6日に発売するゲーム「カオスレギオン」の完成披露があったんで品川まで行って待つこと数分、始まったデモンストレーションの超美麗なムービーに被さる声のこれはいったいどこの素人が喋ってるんだ、って戸惑いに激しく悩んだけれど、やがて登壇した面々を見て納得、主役のジーク・ヴァールハイトにライバルのドラクロワが海東健さん、2人の間で三角関係めいた位置を占めてたシーラがりょうさんで新たに加わる銃使いの少女アーシアが市川由衣さんとゆー、名前だけなら知らない人はないくらいの若手では人気の人たちばかりだけど、こと演技については、それも顔の見えない声での微妙な演技が求められるゲームキャラクターのお仕事についてはおそらく未経験だったりして、実際にそれがパッと見ただけのムービーでは割にはっきり現れていた。

 言ってしまえば研音ってゆー実力も人気もある芸能プロダクションとカプコンが提携しかとこで、研音一押しの俳優さんたちがピックアップされたってことになるけど、まず俳優ありきのテレビドラマとは違ってまずゲームありきなゲームソフトの声にこーした実写で人気の人たちを持って来る意味がどれくらいあるだろー。話題性を集めて記事がたくさんでて大勢の人に知ってもらえるってメリットはもちろんあるし、実際今日の会見にも大勢の芸能マスコミの人たちがやって来ていた。でも押尾学さんが声を担当しているからって果たしてゲームが売れるのか、押尾さんのファンと「カオスレギオン」が狙うユーザーって重なるのかってゆー疑問が浮かぶ。

 仮に重なっていたとしても声だけの押尾さんの演技を聞きたいがために買うともちょっと思えない。聞いて幻滅したらまさしく逆効果な訳で、そーした冒険をあれこれこうりょしてもなお、俳優の名前に頼って宣伝したいってゆー考えがあったのだとしたら、それはある意味ゲームそのものへの自身の無さの現れってことになりかねない。思うにたぶんゲームは素晴らしい。ならばそこでもって勝負してほしかったし、そーゆー部分をアピールするプロモーションを考えて欲しかった。そんな都合の良い道があるのか、って言えば難しいけど探していかないと、ゲームの未来ってちょっと息苦しいものになってしまいそーな気がする、大河ドラマに香取慎吾さんが1年出ずっぱりになるよーな感じの。

この顔を見かけたら要注意、日本の文化の未来を担う人たちです、あと萌えも(それは山賀さんだけ)  そんな息苦しさから逃げ出した訳じゃなく、時間が押してたんで15分ほどで会場を抜け出して「第6回文化庁メディア芸術祭」の発表会場へ。これで連続5回くらいの出席になるけど会場を「東京都写真美術館」のホールからさらに広い隣の「恵比寿ガーデンホール」へと替えて器だけは立派になって、文化庁のメディア芸術を育てよーってゆー意欲の現れをちょっとだけ感じる。パーティー会場もギャラリー前のホワイエだったのが「恵比寿ガーデンホール」の下のスペース(結構広い)になってたし。とはいえ集まった人の多さにその会場でも入りきれないほどの人が来ていたから、このまま発展していけばやがてはさらに広い会場の手当が必要になるかも。いっそ季節を後にずらして春にして、「恵比寿ガーデンプレイス」の屋外で盛大にやったら祭りっぽくなって楽しいのに、イベントとしてアピールできるし。

 今回はひろくPTAから敬遠されて来ていた「クレヨンしんちゃん」が長い苦闘のはてに一般にも認められさらに国のお墨付きも得たってことが話題になっていたけれど、他にも小さいネタでは「千と千尋の神隠し」よりも受賞の可能性が高い(と僕は思っている)短編アニメーション「頭山」の山村浩二さんがアニメーション部門で優秀賞を受賞していたり、同じく優秀賞に「アベノ橋魔法商店街」の山賀博之さんが輝いていたりして、2人並んだ姿は世界の山村、宇宙の山賀(「王立宇宙軍」だから)の世界に誇る日本のアニメの才能って感じで、あるいは30年後に2人とも超大成していたりして、振り返して凄いメンバーだったと思ったりするのかもしれない。アニメではあと「ほしのこえ」の新海誠さんが特別賞を受賞していたんだけどご本人は風邪みたいで変わりに萩原プロデューサーが「新海誠」の名札をつけて”ニセ新海”として、じゃなくってちゃんと代理として賞を受け取っていた。来月は経済産業省所管の「デジタルコンテンツグランプリ」の授賞式もあるけど来れるかな。


【2月26日】 新聞の映画宣伝広告。浅井信雄さんと甘糟りり子さんと伊賀大介さんと石川三千花さんと猪瀬直樹さんと大川豊さんとおすぎさんと小林よしのりさんとそーたにさんと田中康夫さんと堤幸彦さんとデビッド・リンチさんとデーブ・スペクターさんと寺島進さんとテリー伊藤さんと鳥越俊太郎さんと中原昌也さんとボーズさんと町山智浩さんと宮崎哲哉さんと宮台真司さんとやくみつるさんと柳下毅一郎さんとリリー・フランキーさんが推薦している映画、って触れ込みはちょっと凄いかも、メンバーのジャンルのとっちらかり方とか選ばれている名前の知られていたりいなかったりする度合いとか。そんな映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」が劇場始まっていらいの記録的な動員で見られない人続出で大不興を買っていた「恵比寿ガーデンシネマ」での単館からシネコン中心に拡大されているみたいなんでそのうちに行こう。近いのは「シネプレックス10幕張」かな、日本ヘラルドがやっている。「ワーナーマイカル市川妙典」はどーしてやらないんじゃー。

 飛び跳ねるパンツ見たさにDVDを買おーかどしよか迷っているのも不健全な男子の心と体に悪いんで、とりあえずは最近のストーリーでも確かめよーとビデオ撮りしておいた「キディ・グレイド」の2話分をまとめて見てしばし呆然それから愕然、こんなことになっていたとは。宇宙刑事みたいな組織の中の落ちこぼれコンビ、例えるならば「ダーティペア」のユリとケイとか「天地無用!」のミホキヨみたいな2人組がドジとか失敗を重ねているように見えながらも、実はその内に秘められていた力を発揮しながら最終的には大活躍する話かな、なんて決めてかかってそんなありきたりな話をローアングルからの見せ放題でトッピングしただけだの、志今ひとつなアニメだと思い込んで敬遠していた我が身をここに恥じる。

 主人公だと認識していたエクレールとリュミエールが何か前に見た時とまるで違う性格になってて地位もドジっ子どころかその逆で、最初はいったい何だと思いつつ見続けていたらさらに続々と登場して来る得体の知れない2人組×たくさん。心を寄せるべき主人公たちが誰なのからさっぱり分からない状態になっていたその上に、さらなる大仕掛けが繰り出されて、前に見てその堂々とした見せっぷりとか頬赤らめて微笑む姿に萌えた自分の気持ちを受け止めてくれていたのは誰だったんだ、秋葉原の「ゲーマーズ」の店頭とか「石丸ソフト1」の3階踊り場で流れていたプロモーションビデオでさらけ出しては目を釘付けにしてくれちゃったあの娘たちは誰なんだと、惑い迷って心乱れる。ある意味看板とも言える主役キャラたちに対するものとしてはあるまじきその扱いに、監督の後藤圭二さんのとてつもないタクラミなんかを感じて戦慄する。どこに連れていってくれるのかとワクワクする。

 そんな訳でこれはやっぱり揃えなくっちゃいけないと思い始めているDVDだけど、某ガサなんとかとかノワなんとかのよーに、ラストまで行った挙げ句にドンデンな例が過去にまったくなかった訳じゃないんで未だ躊躇のしどころ。せめて来週の展開がどーなるのかを確認してからの方がいいのかな。サービスについては2話連続だった最初の話数はともかくとして後の方でローアングルのキックシーンに片足をあげての回し蹴りで存分以上のもを見せてくれた上に、膝からくずれ落ちるシーンでしっかりとした作画でもってふくらみから皺から何から何までを繰り出してくれていて、ビデオをスロー再生にしてはデジカメで保存しよーとしたけど走査線の関係でうまく映らず激しく鬱、ここはやっぱりDVDを買ってスロー&スチル再生をするしかないとか、思ってしまっている自分がちょっと哀しい。切り出すならやっぱりパソコン録画かなあ。

 これもただのパンツ漫画かと思っていた赤松健さんの新作で「週刊少年マガジン」2003年3月12日号でスタートした「魔法先生ネギま!」だったけど読んで驚嘆、ただのパンツ漫画ではなくただものではないパンツ漫画であった。魔法学校を出てまっさきに与えられた試練をこなすために日本へと飛んだネギ・スプリングフィールド君が紹介を受け手向かった先は日本にある麻帆良学園の女子中等部。そこで先生をしろとゆーのが試験だった訳でネギ君は10歳にして教壇に立つことになった。学園物だけあって生徒たちが出てくるんだけど主要メンバーから始めて徐々に紹介していくのが通例のところを赤松さん、見開きでもってクラス全員の名簿を顔入り名前入り特技部活動その他もろもろ入りで一挙大公開してくれちゃっていて、よくもまあ考えたものだと驚き呆れながらもこれだけ練り込んだ以上はやっぱりこれからちゃんと出して行くんだろーなー、性格背景過去未来その他も付け加えながら一人ひとりを描いていくんだろーなーと、思い至って感嘆する。

 そーした力業に加えてのっけからパンツに尻にふくらむ胸を出しまくり見せまくる文字どーりの出(鼻)血大サービス。さらにはくまパンツのどアップと、そのくまパンツが千々に乱れ飛び胸を包む布までが粉々になりかかっているアップをどーん、どーんと持ってくる大盤振る舞いぶりで、これだけ描かれるともしかして来週は1回休みになってしまうんじゃないかと逆に心配になって来る。けどそこは赤松さんだからたとえ1カットでもしっかりと、読者の要望をその求めるもの以上のものでもって満たしてくれると信じたい。これがもしもアニメ化されるとしたら「ナジカ電撃作戦」でもオッケーだったUHFシンジケーションか「キディ・グレイド」の実績も抜群のフジテレビ深夜に是非に。「ラブひな」の悲劇繰り返すなかれ。


【2月25日】 前みたく日本の上を越えて太平洋まで届くよーなICBMの実験だったらまだしも、事なかれ主義の楽天家の目から見れば、北朝鮮がミサイルを発射したからって100キロメートルも届かない中国製をご近所に向けてちょい、撃ってみましたってな感じではまるで驚きを覚えず、せいぜいが隣りの敵対する国に新しい指導者が誕生したことへの”祝砲”代わりの意味した持たないんじゃないかとした思えなかったりする。むしろそれほどまでにいじましい態度を見せなくてはならない彼の国を、ここはなま暖かい笑顔で見守ってあげるか、それかいっそのことギャグにしては体を張ったもんだと呵々大笑してあげる方が向こうの為にもなるんじゃないかって考える。

 けれども世の大半のつまりは事大主義だか現実主義だかの人たちは、これを「悪の枢軸」ならではの極悪非道な行為と見、かつ近隣諸国にとっての切実にしてシリアスな驚異だと捉えて大騒ぎしているよーで、新聞もテレビも朝から晩まで大騒ぎしてはその意味について軍事評論家に政治評論家なんかを招いては、青筋立てながら侃々諤々やっている。かくもご立派な方々がそーしている以上は、やっぱりそれなりに重みのある事態なんだと理解するのが真っ当なんだろー。ただの近距離ミサイルからはであっても、そこに込められた政治的軍事的社会的なメッセージとやらを読みとれないと、一流のテレビや超一流の新聞では働けないし年収1000万円も確保できないんだろー。早く立派なペシミストになろー。

 「悪の枢軸」の悪がいったいどれほどのものなのかを、その目でもって確かめたいと思いつつもついつい二の足を踏んでいる口ばっかりの楽天家に代わって、元ミニスカ右翼で今は執筆活動で大活躍の雨宮処凛さんが「悪の枢軸」の2つをとことこと訪ねて行った本がその名も「悪の枢軸を訪ねて」(幻冬舎、1400円)。元でもミニスカでも一応は右翼だったはずなのに、イベントなんかで一緒になったどちらかと言えば左翼側の塩見孝也さんなんかに誘われて訪れた北朝鮮と、アメリカ嫌いのミニスカ右翼としての活動がアメリカ嫌いのフセイン大統領だかに認められて国費で招待されたイラクでの体験を書いた本だけど、自分とミニスカ右翼と客観視して紹介できるどこか醒めた視線とそれから、ミュージシャンでライターといった仕事柄染みついたエンターテインメント的な感覚が、2つの「悪の枢軸」を割に一般の目線に近い部分で描いていて面白い。

 コントを見せられたり天才少年少女の芸なのか才能なのかを見せられたりとウンザイするよーな接待の日々からはそれほどまでして身を繕いたい北朝鮮の必死な様が浮かんで来るし、人なつっこく陽気なイラク人との交流は私語すら禁じられているよーな独裁国家じゃねーかと思わせられているイラクもそれなりに国家していて、そんな国を経済封鎖しては子供たちを大勢死なせている状況を紹介することで、何が本当の問題なのかを無理強いではなく客観的に指し示そーとしている。巻末では駐日イラク大使館の2等書記官にまで話を聞きに行ったりとここは元活動家的な行動力を見せてくれていて、結果得た認識でもって「人間の楯」としてイラクに赴くことすら決断しているらしー。そこに前みたくミニスカ特攻服で行くのか最近好んでいるらしーゴスロリで行くのはは興味深いところだけど、近づくヤバげな時のためにここは日本代表ならではの格好でもって、ひときわ目立つ楯としてその主義主張を広く全世界にアピールして頂きたいもの。どんな格好が良いんだろ。

 「プチアップルパイ」だが何かで始めてその名前を作品を目にしてからかれこれ20年近くは経つのかな、その独特の画法とそして主題が果たしてどこまで万人に受け入れられるのかと心配していたら案の定、メジャーの舞台に躍り出ることもなく「少女たちのカンプクルッペ」(大和書房)あたりしか明確な記憶のないまま商業ベースでの活動の、1線からは遠ざかっているよーに思っていたあびゅうきょさん(ホームページの最近の日記で新海誠さんのモチーフと自分の関心とのシンクロの高さを書いてます)が、95年刊行の「ジェットストリームミッション」(日本出版社)からでもかれこれ8年になろーかとゆーこの時期になって、書店で買える単行本「晴れた日に絶望が見える」(幻冬舎コミックス、660円)を出していたのに驚き書店で手に取り買って貪り読む、うーん相変わらずあびゅうきょさんだ。

 つまりはどこかウヨキッシュなモチーフが流れていて、平々凡々とした日常に紛れ込む事なかれ主義の楽天家にとっては極めて非日常的なそーしたモチーフでもって読む人をハッとさせる、「少女たちのカンプグルッペ」辺りからも脈々と続く作者の関心がここでも如実に現れていて、昔ながらの読者としてはその変わってなさを喜びつつも楽天家として目をパチパチとしたくなる。いっぽうで社会の主流になっている現実を見て事を大きく真剣に捉える大部分の人にとって、このモチーフはまさしく時宜にかなったものと思われる可能性もあったりして、20年近くをひとつのことに邁進して来た結果、時代があびゅうきょさんに追いついて来たってな感じを受ける。それが良いことなのか悪いことなのかは別だけど。それにしても「アニメとかゲームの美少女が好き。彼女たちは生身の女の子と違って決して裏切ったりしません」と言う男38歳独身に向かって、女の子が「まるで流しの三角コーナーに捨てられたトマトの蔕のような存在ね。生ゴミ同然…」と言ってのける、冒頭の表題作には激しく胸、打たれます。今向かうべきは九段かそれとも秋葉原か。


【2月24日】 微睡みながら真夜中アニメ。「陸上防衛隊まおちゃん」は委員長が可愛い、シルヴィアちゃんは得体が知れない。「朝霧の巫女」は佳境、だけどこれってアニメ版ってどーゆー結末が付いたんだろー、原作はますます混沌としてるのに。「ストラトス・フォー」は尻もなければ白もない。普通のアニメだったらサービスカットで埋め尽くす学園祭ノリのエピソードが真っ当で逆に普段の方が目に麗しいのってとっても珍しいかも。とか思ってたら次回は温泉でやんの、やっぱこれがなくっちゃ、ね。「MOUSE」は奴隷系の女子がいるって展開の凄まじさに血をたぎらせる女性団体とかいないかと身がすくむ。話はこんなものかって免疫機構が発動してのんびりと見ていられた。「ぱにょぱにょ」は見なかった。だってうさだ、出てないし。目からビーム、出さないし(出したっけ?)。

   19万8000円と前代未聞の価格ながら1500体を売り切った等身大、じゃなかったミニモニ級「ザク」もよほどド阿呆な商品だとは思ったけれど(もちろん良い意味で)、同じバンダイの同じ担当部署が26日から「ララビットマーケット」で売る「ガンダム フロアチェア」ってのも同様にガンダム莫迦には垂涎の商品になりそーで、傍らに150センチの「ザク2」を立たせステレオからは「ガンダム」関係のサントラが流れる部屋の中央に座る元少年&元少女のお尻の下に、置かれて部屋の”ガンダム化”に大きく役割を果たしそー。使うパソコンはもちろんソーテック謹製「シャアモデル」、3倍のクロック周波数があるとゆー(ありません)。

 去年の「C3」ってイベントで見かけた時は確か木製だったよーな記憶があるけど製品化されたそれはポリエチレン製であの巨大「ザク」プラモと同じブロー成型でもって作られていて、縦横奥行きでだいたい60センチ四方と結構な大きさがあるのに、見た目よりはずっと軽くできている。といっても持って歩くのは大変で、見本として持ち歩いて来社した担当者の人には名誉の連邦軍勲章を与えて差し上げたい気分。色は3色あって本物の「ガンダム」の手のグレーに近い黒一色ってのはちょい味気ない。黄色は工事現場っぽさを漂わせていて可能ならば塗り替えてみたくなる。気持ち的には「ガンダム」ならではのトリコロールに塗り分けて、座面に連邦のマークとか入れてみたいけど使用してもはがれない塗料ってあるのかな、って買う気でいるよーだけど残念にも既に家のどこにも置く場所がないので買いません。1万4800円はやっぱり高いし。

 同じ日に発売される等身大、に見えるけど設定では40センチあるらしー実物よりはちょっとだけ小さい直径25センチのハロの物入れなら買ってもいいかな、球形の中央が「ハロ」のモールドにそって上下に分かれるよーになっている上に、パタパタと開く耳の部分がちゃんとウィング状に開くよーになっていて、中に自在に物を入れられるよーになっている。何を入れるかってのは人それぞれだけど、ランプシェードにするとかスピーカーを埋め込むとかいった使用もやってやれないことはなさそー。ロジックボードを組み込んでドライブ類もうまいこと積み上げて、パソコンのケースとして使うことって可能なのかな。シャアっぽいだけの赤パソコンよりよっぽど人気、出そーな気もするけれど、勝手に歩いたりしそーだし。

 民間人からの起用、ってそりゃあ形式的に言えばそーなんだけど、もとより副総裁まで勤め上げて後の日銀総裁は間違いなしと言われていたプリンスが、いろいろあってちょっとだけ里子に出されて雌伏5年を重ねた果てに、ほとぼりも醒めた今こそがタイミングだと改めて引っ張り出されただけのことで、ことさらに民間人からの起用って言うと、そーかだったら民草の苦労も分かった人なんだな、ってな誤解を知らない人に与えるよーな気がする日本銀行総裁人事、福井俊彦・富士通総研理事長の起用の一件。富士通で役員も兼務していたとは言っても、しょせんは床の間の盆栽のよーに据え置かれた感のあったその勤務、1円1銭のコストダウンが企業の命運を左右する製造業ならではの現場の苦しみを、どこまで理解したのかってことになるとちょっと分からない。

 まあそれでも日銀理事をやっていた頃に会話した感じではなかなかにクレバーな人だったし、日銀の偉くなる人にありがちなお公家さん的高踏さとも学究者的空論癖とも無縁の、現実的で熱血漢然としたところがあったからわずかな在任期間中でもそれなりに、下々の暮らしに触れてその機微を知り、政策に反映させられるよーになっているのかも。それにしても日銀総裁を出したってことで富士通にはちょっとは良いことがあるのかな、パソコン買うと日本銀行券がおまけについて来てくれたら嬉しいけど、それが無理なら富士通と関係のあるサッカーJ2に所属の「川崎フロンターレ」に、日銀としてサポートをしてあげれば、強さはともかく資金力の豊富っぽさを周囲に与えて良い選手に来てもらえるよーになるかも。中央銀行がバックについてるチームって他にはどこにもないからね(あるもんか)。

 「大手町ビル」の中古CDショップで今度は「ZELDA」の懐かしいライブ盤「Dancing Days」を拾う、800円は高いのか安いのか。もちろん出た当時には聴いていて、それも車の中とか家の中で結構な数聴きき込んでいたよーで、冒頭のパーカッション担当外国人の「トキオッ!」って雄叫びで「あっ」ってな感じで全容が頭に蘇って来て、そのとおりに進んでいく展開に懐かしさでむせびなく、あの頃は夢が……(まだ言ってる)。巧そーなんだけど声量その多で本場の歌手の足元にも及ばないディーヴァな女性ボーカリストの跋扈する中にあって、決して音程的に巧くないんだけど妙に粒が立ってるってゆーか通るってゆーか、耳にビンビンと聞こえてくるSAYOKOのボーカルはかえって新鮮。それとやっぱり石原富紀江さんのギターの心をささくれ立たせるメロディラインの独特さが、ライブ盤だけあってより際立って聞こえて来るのが良い点、かな。小嶋さちほさんが「SFマガジン」に音楽レビューを書いていたことを知る80年代万歳なレトロおっさんの言うことだから話半値8掛け2割引で聞くのが妥当なんだけど、今でも充分に通用します。「バービー・ボーイズ」も「ZELDA」も復活、して欲しいなあ。


【2月23日】 見たぞ「人間広場/ひきこもり〜扉の向こうからのSOS〜」に登場の滝本竜彦さんは「超人計画」の2回目にて有言実行した坊主頭でもって出演しては、同じく「超人計画」の1回目で高らかに宣言した「彼女を作る」とゆー誓いを1億日本国民の前でも改めて確約してみせてくれて、真っ当ぶったNHKやら好奇心で見ている視聴者やらの「立ち直って真面目になった僕」的なコメントへの期待を軽く粉砕してくれた。同じくゲストの2人が割に番組の内容とか世間の風潮とかにおさまりやすい綺麗なストーリーに妙に当てはまるコメントを発していたのと比べると、未だ現役の尾をひいて「ひきこもり」の如何ともしがたさわかりにくさをその言動でもって示していた感じだった。

 アフガニスタンには「ひきこもり」なんていないだろ、って言ってのけた江川紹子さんの言動とかは、「ひきこもり」は日本に特有なある種の”贅沢症”的なものなんだって感覚が、世間に未だ根強いことを示していたよーだし、何とかハウスってところで仲間を得て世間との折り合いをつけていく元「ひきこもり」のストーリーとかからは、「ひきこもり」を臆して世間に自分をさらせない弱い存在と見て、社会性を持たせることによって立ち直れるんだってな筋書きを作りたい雰囲気が何とはなしに漂っている。外部的な認識としては間違ってないだろーけれど、「親に迷惑をかけてアフガニスタンの子供にも劣るダメなひきこもりの僕」と「立派になった元ひきこもりの私」の対比をこう繰り返し見せつけて、見ていた現役の人たちがなおいっそうの落下気分を味わわなかったんだろーかと心配になる。

 そんな妙になま暖かい視線と言葉が飛び交う中で、ひとり孤高の現役っぽさを出して分かりやすさに押し込もうとするNHKの陰謀と戦ってくれた、滝本さんあなたはやっぱり超人だ。それでこそ「ひきこもり世代のトップランナー」だ。面白い。これからの「超人計画」で次にいったい何をやらかしてくれるのかに期待も膨らむ。ついて行きます、髪剃って。あとゲストの斎藤環さん、普段のちょっとくずした感じから一変、髪も切りそろえなでつけスーツでピッシリときめた姿はいなくなった狩野を探す仲間たちを置いてテレビ出演に向かおうとしていた日夏雄高って感じ。ファンもこれで10万人くらいは増えたのでは。本の宣伝もいっしょにすれば良かったのに(表紙について突っ込まれる可能性もあるけれど)。

 ツボは出てきてもおとたままではさすがに出てこなかった「ギャラクシーエンジェル」を見てから「ワンダーフェスティバル2003冬」へと出向く。すでに早朝から並んで入るだけの気力体力は費えていて、とりあえず行って面白いものでも見られればいいやって頭になっているのは自分のホビーに対する気持ちが低下しているのかそれとも積極的な気持ちにさせるだけのファクターにキャラクターの世界が欠けて来ているからななのか。それぞれが入り交じっているってあたりが真相だったりするよーで、ぞろりと見た会場内はいわゆるエロゲーのフィギュアが結構出ていたりしたけれど、ゲームにまるで知識のない目にはどれがどーとかいった差異が分からず、従って是非にといった欲求も湧かずただ漫然と見て過ぎるだけになっていた。

 かといって今やってるテレビアニメーションのキャラクターにこれといったものがある訳でもなく、血眼になるまでには至らない。そんな中で唯一に近く心を動かした作品が「灰羽連盟」のラッカのフィギュアで、似ていたかってゆーと安倍吉俊さんのあの雰囲気をそのまま再現する困難さがここにもあったって感じの出来だったけど、10月から番組が始まって12月に終わったばかりとゆーこのタイミングで出して来た意気は買える。とか言いつつさすがに6000円は出せず(それだったらDVDの新しいのを先に買う)今回はお見送り。夏になればさらに似たラッカとかレキとか話師が持ってた名札とか羽根袋とかが出てくるだろーと期待したいけど、そこまで人気を引っ張れるかなー。引っ張っていって欲しーなー。

 あともう1つ心を激しく動かしたフィギュアが「Subway Shop」って所のDVDビデオ「戦闘妖精雪風」版「深井零」。あの多田由美さんの描く細面で神経質そーな零を割に見事に再現していて、おまけに値段が2000円と安かったことからこちらは即座に購入してしまう。ブースの人によればちょっと細くなり過ぎたそーだけど、なかなかどーして似ています。無表情が多い零にあって完成品のフィギュアが微笑んでいたのは初フィギュア化で機嫌が良かったから、なのかな。聞くとブッカー少佐にも挑んでくれるそーなんで、あの髭がどー再現されるかにも注目。しわしわ婆さんじゃなかったクーリィ准将も是非。

 買ったのはそれくらいであとはまほろさんから「ぷちぷりユーシィ」のシールをもらったくらいで向かいの「東京トイフェスティバル」へと移動、入場チケットを買うと丸美屋ののりたま「エイトマン」フィギュア入り5箱をくれたのには吃驚、食玩だ何だって大騒ぎだけど食品とアニメの関係ったらやっぱり丸美屋を置いては語れない、からね。食玩といえば「ワンフェス」の会場で発売された「ワンダちゃんのひなあられ」は早くに完売したみたいだけど、抱えて意気揚々を帰る一般入場の人たちはともかくとして、「ワンフェス」に出展しているディーラーの人の机の上に何箱も置かれてあって飾られてあって、中には「交換してください」とか書かれていたあったりしたのを目にした時にはなかなかに微妙な感情が浮かびあがった。負け惜しみじゃなく欲しくはなかったんだけど、欲しかった人にはきっと宝の山に見えただろー。せめてすべてのひなあられが、ちゃんと食べられたことを願おう。


【2月22日】 降り出しそーな天気の中を「国立霞ヶ丘競技場」へと出向いてサッカーの「A3 マツダチャンピオンズカップ」とやらを見物する。聞き慣れない名前の大会だけど、それもそのはず今回が第1回目の大会は、日本のJリーグからジュビロ磐田と鹿島アントラーズのそれぞれリーグにカップの優勝チームが出場して、韓国のKリーグ優勝の城南一和、中国Cリーグ優勝の大連実徳も入れた4チームが総当たりで東アジアナンバーワンを決めるって内容になっている。

 位置づけ的には清水エスパルスとアントラーズなんかが出場している老舗の大会「アジアチャンピオンズリーグ」ってのとの上下関係が分からなかったりするんだけど、「天皇杯」が終わってこっち、女子サッカーとか高校サッカーの決勝はあっても男子のプロチームの試合がなく飢えていた目には、大会の位置づけなんてどーだって良い、とにかくプロのちゃんとしたサッカーを見せろって感じで気が高ぶっていたこの1カ月。開幕前の調整段階にあるとはいっても、方やリーグを完全制覇したジュビロに、代表へと大量の人材を送り出しているしぶとさではナンバーワンのアントラーズとゆー日本を代表する両チームが、中国と韓国の強豪相手にどんな試合を、それも横綱相撲気味の圧倒的な試合を見せてくれるんだろーか、ってな心構えでいたらこれがどーしたことか、横綱相撲どころかがっぷり4つに組んだ押し相撲を見せられて、「日本のサッカーはアジアいちぃぃぃ」なんてな思いこみが単なる井の中の蛙に過ぎなかったことを思い知らされる。

 まず見た「鹿島アントラーズvs城南一和」の試合は結果こそスコアレスドローに終わって結果アントラーズの2勝1分での優勝が決定したけれど、試合内容だけを見るなら圧倒的に攻めていたのは城南の方で、背番号7のミッドフィルダーシン・テヨンを中軸にしてトップのサーシャにキム・デイ、キム・ドフンらの活躍とそしてセンターバックで体を張ったサビックの力強さなんかもあって、城南が明らかに優勢に試合を運んでいたし、チャンスもはるかに多かった。ところが幸運にもキーパーに起用された高竒理貴がバカ当たりで幾度となく飛んで来るシュートを止めてゴールを死守して城南の攻めをしのぎきり、晴れて初代チャンピオンの座をアントラーズが獲得してしまった。こーゆーところのしぶとさがやっぱ負けない方法を知っているアントラーズならではの底力、なんだろー、つまらないけど。

ペナルティエリアではじき飛ばしてしまえばやっぱりPKでしょー藤田選手  日も落ちてこれまでに見たサッカーの試合ではたぶんトップくらいに冷え込みのきつい中で始まった第2試合の「大連実徳vsジュビロ磐田」は、すでに城南にもアントラーズにも負けているジュビロの面目躍如はあるか、ってのが焦点だったよーだけど過去2戦でまるで点の取れなかった西紀寛選手を引き続きフォワードで使ってくる柳下監督の”親心”子知らずってゆーか今回もまるで活躍の出来なかった西選手、1発真正面でもらって流し込むだけのところをトラップミスで浮かしてしまい、ループ気味に放ったもののバーを越えてゴールの上に抜けてしまう体たらく。PKで1点を与えていよいよヤバくなってからは中山選手が頑張ってヘッドとか放ったりしていたもののゴールネットを揺らすことなく試合を終えてしまった。あれだけの爆発力を誇った決定力が1人いなくなっただけでこーも弱くなってしまうとは、高原選手ってやっぱり飛び抜けてたんだなー。

 まあ見る側にとっては久々の試合で意気込みも強かったけどする方にしてみれば、開幕も控えたこの時期にどこまでやれるのかを試すプレシーズンマッチのちょっと大きめな試合って位置づけでのぞんでる可能性の方が高いんで、高原選手なきあとの攻撃陣をどーするかってところを、強豪相手に試すことができたって意味で得るものもあったんじゃなかろーか。次に控えた「天皇杯」優勝の京都パープルサンガを相手に迎えた「ゼロックス・スーパーカップ」までにどんな修正をしてくるのかに期待。見に行く予定だけどまるでスタイルに改善が見られなかったら今年のシーズンからジュビロの名前は消えたと思って、我が名古屋グランパスエイトがさらに優勝へと近づいたとの確信を抱かせて頂くことにしよー。グランパスエイトなら城南一和に勝てたかどーかは聞かないで。

 試合と試合のインターバルなんかを使って遅ればせながら角川NEXT賞受賞作のうちの1冊、深見真さんの「アフリカン・ゲーム・カートリッジズ」(角川書店、950円)を読む。いつぞやの直木賞で囚人がドナーになれるかどーかをやり玉にあげて優れた小説に難癖をつける選考委員がいたけれど、圧倒的な感動を与えてくれる物語を前にしてそこまでの緻密さが必要かどーか、って問題なんかを考えるとこれはなかなかに悩ましいことで、得られる感動の前に設定の緻密さなんて些末なことと言って尊ぶ見方だって出来るだろーし、エンターテインメントを目的にした小説だったらむしろ雰囲気に設定が事実をねじ曲げ奉仕したって構わないって意見もあったりする。もちろんこれも度合いが肝心で、リアルさが感嘆させられる要因になっている小説の場合はやっぱり1カ所でも物語の都合に合わせてリアルさがねじ曲げられているのはまずいって意見にも納得できる。

 思い浮かべると手に銃を何もない場所から取り出せる力を持った「拳銃使い」になってしまった少年が、迫害を受けながらも仲間を得て自分たちを追いつめる権力と一戦交える「アフリカン・ゲーム・カートリッジズ」の場合はそそもそがどーして空中から拳銃を取り出せるのかって部分で荒唐無稽さが際だってるし、女性が政治にも進出するよーになって女性が力をつけているって設定もやや先を行き過ぎている気がしないでもない。さらには190センチを越す長身ながら超美人でおまけに格闘技も拳銃の腕前も素晴らしく、その上さらに頭も切れる女性が大活劇を演じるなんてストーリーの、どこにもリアルさなんて存在しない。

 けど思うにこの小説ってあらゆる種類の拳銃なりライフルなりといった銃器を使った超派手な銃撃戦を見たいし書きたいって意識がまずあって、それに設定が奉仕しているものだと考えるならまさしく日常生活では決して出会えないどころか暴力団やら警官やらギャングやらが出てきたところで不可能な銃撃戦を見せてくれる小説で、その迫力そのスピード感その蘊蓄を前にしたら手から拳銃くらい出せたって別に関係ないって気にもなって来るし、女警視が超美人でおまけにレズビアンで部下も超美人で拳銃格闘技の腕前は上司にひけを取らないって設定も面白さへのスパイスとして存分に咀嚼できるし受け入れられる。

 いったん受け入れさえすればあとはもー徹底的な銃器の知識を土台に繰り広げられる、これはこれでリアルでシリアスな銃撃戦だと思って楽しめる。キャラクターもそんじょそこらのエンターテインメント小説なんて霞むくらいのエロス&バイオレンスの持ち主たちばかりで、読んでいてまるで気分を飽きさせない。キャラクターの葛藤らしきものもあるけどそれもまあ潤滑油程度と思って、とにかく圧巻の銃撃戦に銃器の蘊蓄を心からっぽにして楽しむのが最良の読み方であり、そーした読み方をすれば面白さでもって返してくれる小説だって言えそー。映画には……できないよなあ、小島里見警視の役を演じられる女優が日本にはいないもんなー。


【2月21日】 早起き、でもないけど適当に起きて「幕張メッセ」で始まった「AOU」をのぞく。セガとの経営統合を発表したサミーへと真っ先にかけつけて何かしらその辺りについてのアナウンスがないかと探したけれど、すでにして以前から小間取りも展示内容も決まっていたと見えてサミーが誇る業務用ビデオボード(中身は実は「ドリームキャスト」)の「アトミスウェイブ」の上で動く「ギルティギア」の新作なんかを見物、3次元になってリアルになった一方でど迫力からは遠ざかった感の多い格闘ゲームのジャンルにあって2次元を突き詰めていった果てにある外連味の楽しさに触れた思いになる。2次元の格闘ゲームなんてほとんどやったことないんだけど、人気があるってことは多分そーゆーことなんだろー。

 それとサミーはコンパニオンの人たちがとてつもなく素晴らしく、ローライズのショートパンツってゆー下半身が半分見えてるんじゃないかって感じの衣装に眼が眩む。腰からはみ出ているあれは本当に腰なのか、それとも本当は尻なのか。触って尻なら犯罪だけど腰だったらそーじゃないから触ってみたい(腰でも触れば犯罪です)。コンパニオンではナムコのショートパンツのお姉さんたちも素晴らしさではトントン。何より色が白ってのが最高で、キバって「タイムクライシス」のガンシューティングなんかやってる後ろ姿を見ると、張り出したお尻の向こう側にうっすらとパンティのラインが浮かび上がっているのです、レースの模様までもしっかりと。あんな綺麗なのを毎日履ける女の人って羨ましいなあ。

 変わったところではセガが「ワールドクラブチャンピオンフットボール」の成功に気を良くしてかさあなるトレーディングカードを使った業務用ゲーム機を投入。今度はトレカによくあるファンタジー調の例えるなばら「マジック・ザ・ギャザリング」にも近い世界観のゲームだけど、デッキをテーブルに繰り出していくのが普通のトレーディングカードゲームだったりするところを、セガのゲーム機ではデッキごとゲームのボディにぐさりと刺して、デッキの中身を認識させるよーになっている。カードの表面から見えないインキを読みとっていた「WCCF」とはちょと違う認識方法だけど一体どーなってるんだろー。下辺に1枚1枚違う線でも入れてあるのかな。

 トレーディングカードゲームをデュエルスペースに集まってプレーする気力とかない人にとっては、1人で気軽に参加できるって点で敷居を下げる可能性はあるけれど、半ばコミュニケーションとしてトレーディングカードゲームを楽しんでいる人たちをゲームセンターに集める効果が果たしてあるのかないのか。どーいった層が遊ぶのかにちょっと注目したい。これが「遊戯王カード」で出来たらブームとか起こせそーだけど、コナミとセガじゃーあり得ないよなー。いっそコナミで開発すればいかが。そのコナミではドライブゲームの新型が登場、筐体に凝ったドライブゲームが多い中でベンチシートでモニターはそれなりって辺りが不思議だったけど、敷居を下げて彼女連れなり2人組が気軽にドライブゲームを楽しめるよーにしたって説明を聞いて納得する。シートがレカロでハンドルがナルディとかってなコクピットタイプのゲームって、乗って下手だと恥ずかしいから素人にはお勧めできないんだよね。サスペンションとかいじれるのも面白そーだけど、車いじりでは基本だったキャブの調整とかって選択肢はあるのかな、あれって大変なんだよな。

 「プレナ幕張」の本屋で神林長平さんの新作「小指の先の天使」(早川書房、1600円)を見かけて購入、隣りが島本理生さんの「リトル・バイ・リトル」で上が金城一紀さんの真っ白な表紙の新刊だったあたりに、外国人の子供が棒きれの釣り竿を缶の魚籠を持って林の間の砂利道を歩いている、トム・ソーヤー風の写真を使ってアメリカ純文学っぽさを出した装丁の効果が出ているのかも。これが生頼範義さんだったらやっぱり「リトル・バイ・リトル」とは並ばないだろーから。内容は懐かしくも思い出深い、僕が「SFマガジン」を読み始めた1981年に掲載された「抱いて熱く」から始まって、世界の微妙さについてさまざまな角度から描いていった短編ばかりが集められていて、読み通すと何となく神林さんが世界についてどう考えているかが見えて来る。

 ラストに入っている「父の樹」で胃腸がなくなった人間は人間でなく考える機械で脳がなくなった人間は人間でなく胃腸動物だってフレーズから、胃を失って戸惑う人間を描いたデビュー短編「狐と踊れ」への回帰なんかも感じてしまった。永遠にめぐり続ける思索こそがなるほど神林長平さんの特徴で、それに最初からハマった人間は永遠に神林さんを読み続ける運命にあるのかも。「敵は海賊」のDVD−BOXもきっと買うんだ。とか言いつつ実はまだDVDの「戦闘妖精雪風」は買ってません。それにしても今日当たりから出回っている第2巻のジャケットのあれはいったい誰なんだ。もちろんブッカーだとは分かっているけどそのブッカーであるにしてもとっと気色に微妙な感じが漂ってる。リアルも行き過ぎると鳥肌をそそります。

 そんなジャケットを横目にしながら秋葉原の「ゲーマーズ」で「千年女優」の豪華版ボックスを購入、これでも12800円まっくろけのけ、ってな質素なジャケットが目に逆に新鮮さを与えてくれたけど、手に取って手のひらをあてて数秒を置くと微妙に不思議な絵が下から見えて来て取り落としそーになる。手のひらが当たっている部分しか見えないのは正直言って欲求不満。もちろん中に入っているコンテ集の装丁で何が描かれているかは伺えるんだけど、個人的には凝らずにこの美麗な絵でもって全体を飾って欲しかった。コンテ集には日本でも有数の”コンテ評論家(コント評論家とは似て非なる存在)”の藤津亮太さんが相変わらずの微に入り細を穿ちながら裏側まで見通す書きっぷり。コンテ読みを勉強している人には参考になりそー。コンテ集だけあって平沢進さんの音楽に関する言及が一切ないのはある意味潔さか。そっちは「千年画報」で存分に触れてあるんで探して買いましょー。

 面白い面白い。もうスタートして何ヶ月かになるんだけど見るほどに面白くなるNHKの新感覚時代劇「人情とどけます」。本上まなみさんが女の子ながらも訳あって男装して飛脚になってつぶれ屋、じゃなかったご隠居の婆さんの差配のまずさもあって左前になったところを情けない息子を脇にその嫁がきりもりして支えている飛脚問屋で働きながら、おそいかかるさまざまな難題に小澤征悦演じる同僚の飛脚(こいつも出自に訳有り)といっしょに挑んでいくって内容で、今日は勤め先の飛脚問屋がライバルの飛脚問屋の罠にかかってピンチになったところを、女装して、っゆーか芸者の格好になって情報を集めてひっくり返すってゆーストーリーで楽しませてくれた。

 男みたいな格好になって化粧っ気も少ない顔でべらんめえ調で喋る本上さんも良いけれど、芸者姿になって真っ白に塗った顔で媚びを売る本上さんもなかなかで、そんな芸者姿の本上さんがべらんめえで喋るってゆー演技がそこに加わって、なかなかに倒錯した気持ちにさせてくれる。出演者では本上さんが勤める飛脚問屋の若旦那の坂本あきらさんが情けない演技をさせては右に出る者のなさを見せつけてくれてるし、旗本のボンボンを演じた柳ゆーれいさんもウラナリな小悪党ぶりが出ていてなかなかだけど、最大の目玉は敵となってる飛脚問屋を裏で操る女将さん役の宮村”アスカ”優子さん。可愛いながらもドスが聞いて裏のありそーな声でもってやり手の女将さんを演じきっている。まさに敵役、じゃなかった適役。しばらくアニメで声とか聞いてなかったけど、顔出しの演技でそれもNHKに登場ってことはこのまま鷲尾真知子さんとかみたく性格女優の道を邁進していくのかな。それもそれで良いことかも。


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