縮刷版2003年11月上旬号


【11月10日】 記憶を探り始めると容量の少ないスポンジ頭でも結構な記憶が残っているよーで、「東京ゴッドファーザーズ」でギンとハナとミユキがたどり着いた清子を捨てた人間が住んでいたらしー界隈で、泊まった空き家でギンが猫を見て肉食いたい、とか言った場面でミユキがなにやら放り投げた、あれはやっぱり猫だったんだろーかと今ちょっと考えているんだけどそれは再度見た時に確認するとして、明けて朝方に近所の人たちに行方を尋ねると、最初は1人だったおばさんが、カット切り替わるごとに増えていってはめいめいが夫婦の印象を喋りはじめる井戸端会議の場面の状況がエスカレートしていく可笑しさが妙に印象に残っていたりする。結局あの夫婦はどっちが主導権を持っていたんだ?

 赤ん坊を連れた胡乱なホームレスが3人溜まって煮炊きしていた姿を見ても通報しないどころか逆にあれこれ情報を教えてくれる、なんてシチュエーションが果たして成立し得るのか、っていった疑問は言い出したら全編に渡ってきりがなくなるけれど、それも含めて一種のファンタジー、赤ん坊の両親に「あいたい」気持ちが3人を包み込んではキリストの誕生を祝いにかけつける3賢者へと見せていたなんて、妄想したって別に良いんだろー、フィクションなんだし。気になって仕方がないのはヤクザを狙ったヒットマンが今もちゃんと暮らしているのか、ってこと。遠い日本で幸せそーな暮らしをしている場面を見せられるとここにも奇蹟が振って欲しいものって思えて仕方がない。タクシーの運転手はやられキャラだから同情しない。「綾金無線」の運ちゃんの方が可愛そうだし。

 やっぱ「東京」を、あるいは「都市」を地べたから捉えた映画だってことでこれにひっかけたイベントが目白押しみたいで、近いところだと15日の夜から16日に「シネセゾン渋谷」で「INVITATION」プレゼンツによる都市映画特集がある模様。取り上げられるのは東京代表の「東京ゴッドファーザーズ」とニューヨーク代表の「タクシードリアバー」とベルリン代表の「ベルリン 天使の詩」。それぞれにどんな感じに都市への目線が贈られているのかを見てみたい、けど退屈かな、「ベルリン 天使の詩」はオールナイトには。でも「タクシードライバー」をスクリーンで見たい気もするし。翌週の22日は「テアトル池袋」で”アニメ東京”シリーズが開かれる予定で、「人狼」に「ラーゼフォン 多元変奏曲」が「東京ゴッドファーザーズ」と並ぶみたい。これも注目、「人狼」がスクリーンで見られる機会なんて後には当分なさそーだし。

 東京だったら「機動警察パトレイバー」の映画1作の方だろ? って思うけど2作目が別のイベントで上映されてるんで重なるのを避けたのかな。願うなら今敏監督作品の一挙上映なんてやって欲しいんだけど企画が持ち上がって潰れたっぽい雰囲気があるから無理か。あるいはそのまま「東京」にスポットを当てた映画特集とか。在りすぎるけど「20世紀ノスタルジア」だけは是非に入れて欲しいもの、鉄橋のかかった隅田川界隈とか夜に浮かび上がる自動販売機とかコンビニエンスストアの明かりとか東京タワーが「東京ゴッドファーザーズ」とは似ていたり違ってたいりする目線でとらえられてて比べるとなかなか面白い。まだあどけなかった頃の広末涼子さんの破壊的な歌声ってのも劇場で再び聴きたいもの。聴くと「ニューロンばちばち」になって「爆破するよー」。

 なかなかに活発な論議から画期的な展開を経てトップの異動があったとゆーのにまるで「噂の眞相」2003年12月号から関心の埒外の置かれている現実を鑑みるに世間の認知度の低さがそのまま懐具合へと繋がっているんだってことを今さらながらに強く知らしめられ切なさに身をよじる。一方でフジテレビジョンが大ヒット番組「トリビアの泉」に絡んであれやこれやと噂を立てられている記事を見るにつけ、世間の関心ってものが奈辺にあるのかを強く激しく思い知らされる。辛いなあ。それはそれとして「今年の『流行語大賞』も囁かれるフジテレビ『トリビアの泉』の舞台裏」は前月号の1行情報で出たスーパーバイザーの唐沢俊一さんに支払われるギャランティが月100万円だった(5へぇ)って話をさらに敷衍させて、「トリビアの泉」って番組がどーして投稿スタイルになっているのかを”金儲け主義”にあるって感じのトーンでまとめてる。

 書かれてある記事の”真相”については不明だしまあいずれ関係する筋からいろいろ声も出てくるだろーからそちらに関心を向けることにして、フジテレビとゆー天下に轟くメディアの今年1番のヒット番組「トリビアの泉」にまつわるあれこれと、唐沢俊一さんが比較的同じバリューで扱われているよーに読んで読めるあたりにちょっと感慨。これが5年とか前だったらきっと、”フジテレビの人気番組がパクったサブカルライター”ってな感じで扱われたよーな気もしないでもなく、ここ最近の本の出しっぷり世間の関心の集めっぷりが一般的な認知度でも「噂の眞相」的関心度でも、どこかのマイナー新聞社なんか及びもつかないくらいに高いものになっていたんだってことを強く激しく思い知らされる。ちょっと羨ましいかも。すでにオタキング岡田斗司夫さんは単独で柱の立つビッグネームになってるし、唐沢さんもこれで立派に「ウワシン」的有名人。残る「オタクアミーゴス」の眠田直さんはいったいどんなジャンルで柱になる?

 雨の降る交差点へと傘もささずに踏み出してふっと空を見上げる少女のあどけない表情が印象的だった作品とか、バスに乗って窓に顔をもたれさせて遠くを見つめる少女の眼差しが切なかった作品とかで胸をきゅっと打たれた大畑伸太郎さんがいよいよ活動再開した模様。「GEISAI2」だかで見かけてファンになり、横浜での「GEISAI3」では残念ながら会えなかったけどこの秋に開催された「GEISAI4」で再度出展している姿を見かけ、記帳したところ案内が届いて今週末の15日と16日に「東京ビッグサイト」で開催される「デザイン・フェスタ」に出展しているって知って、これは是非に行こーと決意する、って毎年毎回行ってるんだけどね、「ちくわぶ」のTシャツを買うために。居住地も広島からこっちへと移したみたいで、活躍の幅も広がりそーでどんな場所で作品が出てくるのか、ちょっと注目してみたい。本の表紙とかになったりしないかな。


【11月9日】 早朝から新幹線で京都へと移動し「京都SFフェスティバル」に出て最初のセッションを覗いてからすぐに転進して西京極で「京都パープルサンガvsジェフユナイテッド市原」を見物、それから「京フェス」へと戻って夜の合宿でビールを浴びるよーに飲む合間に機関銃のよーに喋る東浩紀さんと堺三保さんの果てしない議論を聞いて迎えた早朝の京都をとっとと経って草津経由で三重県の伊賀上野へと回って女子サッカー「Lリーグ」の上位リーグ「伊賀くノ一FCvs日テレ・ベレーザ」の試合を見てから関西本線で名古屋を回って新幹線で帰京、なんて予定も立ててはいたけど社長が退任するくらいに厳しい経営環境かでは出るボーナスも限られそーなことと、体力面がやっぱり相当に衰えていることからすべてをひっくり返して家で夜通し読書して、読み残していた皆川博子さんの「総統の子ら」(集英社、2900円)を読み得る。なんじゃこりゃあ。

 想像以上、と讃えられればられるし想像以下、と誹れば誹られそーな微妙な内容。美貌を黒い制服に包んでピカピカと輝いていたSSの将校に憧れた「ヒットラー・ユーゲント」の少年が、SSを育成する「ナポラ」で学んで卒業して愛国心とそれからヒットラーへの忠誠心に燃えた”立派”なSS将校となっったものの、時代が時代ってこともあって第二次世界大戦へと突き進む中で若くして戦場へと駆り出されては、西部戦線でフランスと戦い捕虜となって悲惨な暮らしに身を置き最後は、やってもいない捕虜虐待だかの罪を着せられ戦犯として告発される運命を描く。その一方で少年が憧れたSS将校もまた、バルカン方面でパルチザン掃討の密命をこなしながら東部戦線を戦ったものの捕虜となってロシアの収容所で死と隣り合わせの重労働を強要される。どーにかして脱走に成功してベルリンへと帰投しSSに復帰したものの今度はドレスデンで非戦闘員たちを焼き尽くす大空襲に遭遇して焼死する。

 読めばなるほど虐げられた国民の解放を説き欧州が赤化する懸念から防共の盾となるべく東方へと戦いを挑んだヒトラーを信じた挙げ句に、破滅への道を歩んだ若い人たちの悲惨な生涯を感じられないこともなく、甘言に流されることなく常に大局を見て自分の意志で行動しようってメッセージを読みとれないこともな。もっともエンディングへと近づくに連れて強調されるのは、ナチスドイツもなるほど酷いことをしたけれど、最前線に立っていた若者たちはそれはそれは克己心と忠誠心ににあふれ忍耐強く責任感に満た立派な人たちで、悪かったのは一部の命令する側であってそれをもってすべてのドイツ人民が悪かったと言われるのは心外だってトーン。だったらドイツ兵を収容所で重労働に就かせシベリアへと送り何百万人も虐殺したロシアはどーなんだ、捕虜はいらない殺害せよと命令していたらしーカナダ兵はどーなんだ、同じことをやっていたのにそれを罪ととられることなく一方的に戦犯としてドイツを裁いた連合国の裁判の無茶苦茶さはどーなんだ、って主張が前面へと出てくる。

 もちろんその主張は間違ってはいない。いないけれども声高に主張して良いかとーかとなると悩ましい。部分を肯定する主張がそこに踏みとどまっているうちは良いけれど、やがて全体をも肯定してしまって再びの悲劇を呼びかねない。書いた当人がいくらちゃんと理解して、こちらが悪いのは重々承知でそれでも向こうも悪かったと主張していても、引用され流布される過程でそーした配慮が抜け落ち、相手が悪かったんだから自分たちは悪くないんだって風にすり替えられ、利用されてしまう可能性もあったりする。国家とゆー大きな存在、時代とゆー巨大なうねりに翻弄された青少年の悲劇を描きたかった皆川さんにそーした可能性への配慮までをも求められるかってなると難しく、あとは読む側が何を思いどー判断するかにかかって行きそー。続出して来るだろー書評なんかでどー捉えられているかにも含めて巻き起こる議論に注目。日本になぞらえ追いつめられた日本が戦争へと突き進んだのはやむを得ないこと、アジアでしたことも米軍による原爆投下に比べれば、って議論へとつなげて評価するところも出て来るんだろーなー、やっぱ(ってか絶対に)。

 見たぞ「ポポロクロイス」は噂の”金田伊功”絵コンテ話、ってことだったそーだけどエンディングは確認できず後で聞こえて来る話ではクレジットは戸隠伊助って人で原画に作画監督級の人がずらり並んでいたらしー内容は、アクションで出る稲妻なエフェクトからキャラクターの動きから、テンポから何から何までが往年のテレビマンガ的な雰囲気をハイクオリティーの絵でもって再現してくれていて、見ていて懐かしさを覚えこれだよこれが「アニメ」なんだよってつぶやいてしまった。前のシリーズ「ポポロクロイス物語」の淡くしっとりとした中におかしさの漂っていた雰囲気が、今のシリーズへと受け継がれているのかは知らないし、それと今回のエピソードとの整合性が取れたものなのかも不明だけど、単体として見ればなるほどいろいろと勉強になる回だったかも。「ガミガミ魔王」の声が古田新太さんじゃないのはちょっと残念。

 凄い凄い。やっぱり今敏は凄かった。「ポポロクロイス」を途中で抜け出し最初は”本場”の新宿で見よーか、とも思ったけれど確か「パーフェクトブルー」も見た定員が44人と少ない劇場では、既に満杯になってる可能性もあるんで止めてお台場へと向かい、音響抜群の「シネマメディアージュ」で見た最新作「東京ゴッドファーザーズ」は、ゴミ集積場で拾った赤ん坊の親をさがしてホームレス(うち1人は家出少女)の3人があっちこっちを行き来する中で3人の過去が描かれ、おまけにホームレスとなった理由として心に強くわだかまっていたものが、行く先々で起こる奇跡的な偶然もあって解きほぐされていくって展開が、見ていて楽しく気持ちを優しくしてくれて、見終わった時にホント良いものを見たなあって気にさせてくれる。

 最初はミユキがメインでヒロインで、ギンちゃんハナちゃんは脇かと思っていたけどストーリーはハナちゃんがトップに立って全力で引っ張り純情真っ直ぐな”ヒロインぶり”を発揮する一方で、ギンちゃんがホームレスの甲斐性のなさ益体のなさを体言してハナちゃんの浮き立ち暴走する足を引っ張る、その間に立って新参者で未だ社会や家庭といったものを引きずった部分が残るミユキが、どこか醒めた視点を添えつつバランスを取るトライアングルがなかなかに絶妙。誰が欠けてもこれほどまでに楽しくっていろいろと考えさせられる話にはならなかっただろー。何度も登場しては3人の行動に巻き込まれ、遂にはタクシーをクラッシュさせてしまうまるで「綾金無線」の運ちゃんみたいなタクシーの運転手とか、雪の坂道で車に潰されそーになっていたヤクザの親分とか、ヒットマンのメイドとか脇を固めたキャラクターも良かった。ギンちゃんを天国に誘う天使ちゃん、可愛かったなあ、アレだけど。それからミユキが水買ったコンビニのおばさん、どっかで見た顔だったなあ。小技も最高。「千年女優」「パーフェクトブルー」のポスターには笑ったよ。「CHAM」のチラシみたいのも見えたなあ。

 かくも面白い話になった理由ではシナリオの妙がまずひとつ。「パイレーツ・オブ・アリビアン」なんかでも感じたよーに、ハリウッドの超大作は物量でもって仕上げるビジュアルもさりならが練りに練られたシナリオでもって観客を引きつけているんだけど、それと同じよーな展開の面白さが「東京ゴッドファーザーズ」にはあって最後まで気持ちを飽きさせない。それからビジュアル。描き込まれた冬の東京の街は雑踏から公園から摩天楼からラッシュから、何から何までが見るほどに「東京らしさ」を感じさせてくれるんだけど、オフィシャルガイドの「エンジェルブック」で今監督が言っているよーに、「エレメント」の重ね合わせが見る人に「東京らしさ」を感じさせているんであって、同じことを実写でロケしてやっても、果たして同じ空気感が出せたかとゆーと分からない。

 俳優の演技もやればやれないことはないだろーし江守徹さん梅垣義明さんなら当人がやってもきっとそれなりな演技はできるだろーけど、凝れば凝るほど「ホームレス」ってゆー素材が放つネガティブな要素が前面へと出て見る人を引かせ兼ねないし、アニメーションだからこそ笑えるオーバーな演技も実写では中途半端なものになって笑えないだろー。丸くなって驚くミユキの目とか怒ったハナちゃんの顔なんて、実写じゃ無理矢理やればやるほとかえって嘘っぽくなる。カメラの問題もありそーで、新宿西口公園から見上げて新宿都庁がそびえる空から雪が降ってくる絵なんてたぶん、普通に撮ってては例え雪待ちしたところで取れないだろーし、雪で立ち往生する電車から降りて雪に埋もれた線路を歩くシーンなんて、ロケでは絶対に撮れはしない。セットでやっても日本じゃーあそこまでのワイドな感じは出せないだろーし、そこの限らずラストシーンに至るまで街ひとつをまるまる雪の中に作るなんて幾ら費用がかかるかわかりはしない。

 金に糸目をつけない、ってゆーならあるいはハリウッドだったらオープンセットを組んで雪を積もらせることだって可能で、仮に実写になるんだとしたら「東京ゴッドファーザーズ」が全米で公開されて大ヒットした暁に、同じシナリオとそれからレイアウトなんかも活かしつつ、ハリウッドでもって実写化されたらちょっとした大作になるのかも、「スリーメン&ベイビー」のリメイクって思われるかもしれないけれど、これだってフランス映画のリメイクだから構わないか。その場合はキャストは誰になるのかなあ、ハナちゃんはクリス・タッカーかなあ、それだと日本語の吹き替えが山寺宏一さんになってしまうなあ。

 ともあれまずは日本での大ヒットを願いたいところ。カップルで賑わう「メディアージュ」の1回目の上映で観客が20人いないってのは興行的には問題なんで、もっといろいろ宣伝をしてアニメファンに限らず良いコメディを見たい人に足を運んで頂きたいもの、だけどやっぱり届かないんだよなー、どーやったらブームに出来るのかなあ。これが「キューティーハニー」だと佐藤江梨子さんが主演して庵野秀明さんが監督してるってことでスポーツ新聞にガンガンとパブリシティが出るんだけど、アニメだと「ジブリ」が「アカデミー賞」かアイドルの声優初挑戦でもないと記事になりゃしないからなあ。そうそう予告編で見た「キューティーハニー」、いちおーは”実写”の映画なのに板野サーカスが飛んでいたよ。


【11月8日】 コスプレ版「美少女戦士セーラームーン」でいよいよまこちゃんこと「セーラージュピター」が登場、背が高くって男っぽい印象ながらも根は可憐で純情な乙女ってゆー役所を誰に演じさせるかと思って期待してたら江角マキコさんを充てて来るとは、思いもよらなかったけどまあにピッタリだったんで感心する、って違います。けど顔の造作とかに共通する部分を感じてしまったんだよなー、もしも江角さんがやったらどんなジュピターになったかなあ、すらりと伸びた脚とか威勢良く着られる啖呵とか、格好良いとは思うんだけど、歳が歳だけに白とかあんまり見たくないかも、でもちょぴり見たいかも、どっちやねん、見たいです。

 白と言えばラストに4人が並んだシーンで背が高いからか1番端だったから、ジュピターのスカートだけがひらひらと待って下の白を見せてくれて朝から気も浮き立つ。それがレオタードの下部だって知ってはいても隠されているものが除くってシチュエーションそのものが、人の気持ちを奮い立たせてしまうんだよなー。前評判もいろいろあったジュピターの演技については周囲が周囲だけに別に棒読みだろーと気にならず。むしろ1人気を吐き悪女たらんと頑張るクイン・ベリルの杉本彩さんだけが抜けちゃってるよーな気もしないでもない。なおかつ淫靡な感じを出そーとして頑張ってる分、喋りが口先だけになって腹の底から相手を威圧させる凄みを覚えさせてくれないのがちょっぴりだけど物足りない。その分を前が割れた衣装で双球の谷間を見せてくれるているから良いんだけど。

 早起きしてしまったんでそのまま起き出して渋谷の「シアターイメージフォーラム」へ凱旋上映の始まった「クラッシュ」のモーニングショーを見物に行く。改めて見ても事故を起こした太田哲也さんの乗るフェラーリが路肩でぼうぼうと燃えているにも関わらず、サーキットがおおよその目安にしている30秒を経っても誰も近寄って来ず火さえ消し止められれよーとしないことが映し出されて、あの劫火をよくも生還できたものだ、でもって社会復帰できたものだとと上映後に舞台挨拶に現れ普通に立って歩いて喋る太田さんの姿を見ながら、映画でも描かれたここに至るまでの苦労を思い感慨に浸る。

 映画はこれで2度目だけど死線を彷徨った場面から事故、リハビリ、そして復帰から最後の家族写真の場面まで、綺麗にまとまり1人の人間の頑張りと、家族の素晴らしさとそして悲惨な事故になってしまった遠因を、押しつけがましい感じも暑苦しい感じも抱かせずにちゃんと分からせてくれるって意味で興味深いドキュメンタリー。太田さんと登壇した監督で鬼才プロデューサーとしても知られた奥山和由さんは係争中の事件を扱う以上は太田さんの肩を持ちすぎる感じを極力出さないよー気を付けて撮ったって言っていたけど、厳然として在った事実がすべてを物語ってくれたってことなんだろー。妙な演出でもってニュースをおどろおどろしい音楽とともに伝えてかえって嘘臭さを醸し出している昨今の”報道番組”なんかには是非に学んで欲しいもの。だけど明日の選挙速報に向けた各局の番宣なんかを見るとバラエティより酷そーな過剰演出がされているっぽいしなー。DJが開票状況を煽り票の伸び悩む政党名にチャチャチャを付けて連呼し合間にアイドルがピースサインをしまくる”開票速報”じゃないだけマシだけど。

近寄るアン・ジョンファン選手に向けられるカメラの数たるや  表参道から千代田線で綾瀬を経由し常磐線から柏へと行き「日立柏サッカー場」で「柏レイソルvs清水エスパルス」の試合を見る。もちろん目当てはアン・ジョンファン選手の華麗なプレーぶりなんだけど柏に清水といったら両チームを渡り歩いた北島秀朗選手にも注目したいところ。試合前に帰参して敵として姿をさらし激しいブーイングを浴びる可能性もあった北島選手を守ろーと、エスパルスのサポーターが北島の名前を連呼するとこれにレイソルのサポーターも連呼で応える交歓があって、柏の粋な計らいにどこかのサポーターとは違うなあ、なんて感心したけど試合が始まる直前の選手紹介ではサブに入った北島選手の名前にブーイング。試合中は守るゴールキーパーの真田選手の背後に群がり届かないけど手とか伸ばして罵倒する姿が遠目に見えて、激しい人はどこにいってもやっぱりいるんだってことを思い知る。でもさすがに乱入まではしない。メダルも取らない。取るメダルが柏にはない? そりゃそーだ。

 しかしさすがにアン・ジョンファン選手。試合中は前線に張って戻らず中盤に帰って守備をすることもなくどちらかと言えばダラダラっとしているよーに見えるけどいったん味方が攻撃に転じると、状況を見ては左右の開いたスペースに走ってボールを呼び込もーとする動きを見せたり、中央から左右に走り込む選手へとパスを出したりと大活躍。ストライカーとしては遠目からぶち抜いて点を奪い司令塔としては前線に走り込んだアレックスに素早くパスを出してアシストをする活躍に、さすがは韓国代表のエースだと納得する。

 比べるとアレックスは時々良いんだけどコネたりする場面もあったしトゥット選手も頑張るんだけどクロスの時にファーでフリーのアン選手じゃなく中央で囲まれた選手に入れてアン・ジョンファン選手をがっかりさせたりで、もしもここに中田英寿選手とかいたらアン・ジョンファン選手、何点くらい取れるんだろーかと気になって来る。一方で前線で孤立しコミュニケーションが取れてないアン選手を代えたらどうなるの? って疑問もあるんでどっちもどっちか。ともあれ2点差を追いつかれたところから1点を奪い勝ち点3をあげる粘り強さを見せたエスパルス、この勢いがあれば天皇杯でもちょっとは活躍をしてみせてくれるのかな。1月の移籍市場で欧州行きを狙いたいアン選手やアレックス選手の発憤なんかも含めて注目のチームかも。

 想像通り、なのはまだ途中だからかもしれないけれど皆川博子さんんお「総統の子ら」(集英社、2800円)は第2次世界大戦前のドイツを舞台にヒトラーが作ったヒトラー・ユーゲントに入った少年たちの、国家に奉仕することに陶酔し、男ばかりの世界で過ごす中で揺れ動いたり膨らんだりする異性や同性を相手にしたさまざまな感情が読む人に薔薇色の妄想とかを浮かばせそー。一方では国家の意思に雁字搦めにされ流されていく将校の悩みなんかも描かれて、遠からず破局へ至ったナチスドイツの歴史の中で彼らがどんな運命を歩んでいくのかが気になって仕方がない。心地よい言葉に魅惑され優越感をくすぐられ、気が付くとどんな反論も許されない状況へと放り込まれてあとはひたすら滅亡へと突き進んで行く様を今の時代に重ね合わせて考えてみるのも意味がありそー。カリスマって呼ぶにはまるで役者が不足してるけど、与党も野党も政治家のすべてが。


【11月7日】 そうだ発売日だ。と思い出して大手町からとことことことこ歩いて銀座にある博品館へとバンダイから登場した「1/1 へぇボタン」を買いに行く。ってゆーか本当は近場の大丸百貨店東京駅店を探したんだけど玩具売場には入っておらず、ならばと向かった有楽町のビッグカメラでも見あたらなかった関係で、いっそそれならと足を伸ばしてしまったのが実際だったりする。冬も近いってのに結構な気温の中を歩くと汗ばんで大変だったけど、アライユキコさんからちょっぴり丸くなった(性格じゃない顔立ちが)と言われたこともあったんで、ちょっとばかりの運動と思えばかえって良かったかも。コーラがぶ飲みしてれば世話無いけど。

 ぬいぐるみの自動販売機が並ぶ裏口から店内を抜けて山積みの商品は見あたらずあるいはと思って出た正面から聞こえて来るのは「へぇ」の声。見るとそこにはワゴンに山積みとなった「へぇボタン」が売られていて、1人また1人と買っていく後ろについて1つ所望し振り向くと、目ん玉マークをつけたテレビカメラがこっちを見ていてインタビュアーが近づいて来たんで「はい新聞記者です新聞に載せる記事を決める会議で出てきた安に対して5人のデスクがボタンを押して『へぇ』の多さでトップにするかベタに落とすかを決定しますちなみに今朝のトップは83へぇです」って言おーかと思ったけれど、同じグループに属するチャンネルでそーゆー出任せを喋ると後で酷いことになりそーだったんで、手を振りカメラから去り場を後にする。でも言えば良かったかなあ、「実は同じグループなんですよボクの会社」。「98へぇ」。知られてない。

 太田哲也、って名前がこの何週間か急激に世間に広まったのは、富士スピードウェイで起こった多重クラッシュで60%の火傷を負い、レース生命どころか命すら危ない状況に陥りながらも生還し、過酷な手術とリハビリを経て再びハンドルを握れるところまで復帰して後、2度と再び自分のよーな存在を出さないよーにと、安全確保を怠ったレース場や主催者を相手に訴えていた裁判で勝利を得、日本人レーサーにとって半ば慣行と化していた「いかなる事故が起ろーとも主催者は責任をとらないんでそこんとこよろしく」って誓約書の無茶苦茶ぶりに、初めて真正面から一石を投じて成果を得たからだったりする。

 そんな太田さんの苦闘をドキュメンタリーとして撮った奥山和由さんの映画「クラッシュ」がこの夏に公開されて今も全国を巡回して話題になっているよーだけど、裁判の結果が出て注目が集まったってこともあったのか、最初に映画を封切った東京・渋谷の「シアターイメージフォーラム」が8日から”凱旋上映”を行うことが決定。見逃した人や裁判で関心を持った人は、太田さんがどれほどの悲惨な目に遭い、そこからどれほどの苦労を経て今へと至ったのかを目の当たりにできるチャンス再来ってことで、是が非でも渋谷へと駆けつけるべし。8日午前9時45分からの上映が終わった後に太田さんの挨拶もあるとのこと。喜びの声に喝采を浴びせよー。

 「2nd−G」で最強はきっと「つるピカハゲ丸」だろーなー、なんてことを思いながら川上稔さん「終わりのクロニクル2【下】」(電撃文庫、750円)を読了、「必殺技の名は、その技を具現化する」ことになっている概念空間でローロ・リヴァイアサンに臨んだ佐山・御言が放った起死回生の必殺技の威力から想像するに、より直裁的な言い回しがされた「つるピカハゲ丸」だったらいったいどれくらいの威力を発揮するんだろーって想像してみたくなる。「森の木々を食い、土を食い、大気を食ってさらに伸張。瞬く間に半径二百メートルの光爆となった」佐山の必殺技からステイすれば、おそらくは半径2キロを壊滅的な状況へと至らしめただろーなー。あるいは「まいっちんぐマチ子せんせい」だったら1発で2nd−Gをまいっちんぐさせてしまったかも。チーム・リヴァイアサンが比較的大人しい名前の人ばっかりで2dn−Gも見せ場作れて良かったかも。

 第2戦の後半となったこの巻では最初から登場の童顔なのにナイスバディな新庄・運とその弟って触れ込みで顔はそっくりだけど確かめるとちゃんとついていた新庄・切との家系が分かっちゃいたけどとりあえず解明、その移行プロセスに背筋をぞくぞくさせる変形があったらちょっと良いかも、なんて思っていたけどその意味ではちょっと不満足なプロセス。もっともそれを眼前で目の当たりにすればやっぱり受ける官能はなかなかで、まさに目の当たりにした佐山・御言への羨ましさ妬ましさが激しくこみ上げ怒髪を天へと逆立てさせる。あまつさえいろいろやってしまったの、かもしれなさそーで悔しさも120%。今は終わってしまったことと諦めざるを得ないけど、代わりに是非に次の巻ではより緻密な描写とそして、立派なイラストでもってプロセスとディテールを記して頂きたいもの。長かったのか。太かったのか。生えているのか。土手は高いのか。興味津々。


【11月6日】 営団地下鉄日比谷線シリーズ。まずは六本木。アネルカみたいでマケレレみたいでアンリみたいでヴィルトールみたいでトレセゲみたいでヴィエラみたいな「ケイナ」を作ったフランス人の映画監督に取材したけど別に本人がサッカーやっていたかは知らない。ってか聞くと空手の方が得意みたいだから比べるのはK−1の方だったりするのかな。とりあえずやっぱり聞いてみたかったのは「風の谷のナウシカ」と「天空の城ラピュタ」からどれだけインスパイアされたかって部分だけど意外にもアイディアを考えついた後に「ナウシカ」も「ラピュタ」も見たとのこと。まあ自然に生きる人間が文明に挑む、強大な敵に挑戦するってのは宮崎駿さんのオリジナルじゃなく宮崎さん自身もいろんな物語にインスパイアされて作って来た話だから直接の影響はなくても不思議はないのかも。

 あと大友克洋さんに押井守さんといった大御所ばかりの影響が取りざたされているけれど、聞くと寺田克也さんは大ファンで次にキャラクターをお願いしたいくらいだって言ってたし森本晃司さんも「彼女の思いで」を見ていたそーだし川尻義明さんもチェック済み。北久保弘之監督の「ブラッド」も見ているし今敏監督の名前も知ってて最新の「東京ゴッドファーザーズ」はまだ見てないけれど他はチェック済みみたいだったよーで、決して大御所ばかりじゃなくってリアルタイムに活躍している人たちにも、強い関心を示していたあたりに相当な日本アニメ好きって部分が伺える。今週末近くまで居れば「東京ゴッド」の封切りだって見られたのに、って言ったら残念がっていた。早いフランスでの公開を祈念しておこー。

 続いて広尾。南麻布にある瀟洒な邸宅の広間を改装したっぽい作りの式場だか何かでアマゾンが新しい事業を発表するってんで一体こんな所で何を発表するのかと思って見ると、テーブルの上には鍋とか包丁とかいったキッチン用品があれやこれや。もしかするとそのまま鍋で料理でも始めて包丁で調理をしてみせた上で洗剤なんかでぴっかぴかにしてみせて、こんなに凄い商品をあなたも売ってドリームを叶えてみませんか、なんて誘われるのかもなんて心配も浮かんだけれど天下のアマゾンがそんなことをするはずもなく、ストレートに鍋釜包丁に食器に生活家電なんかを扱うショップをオープンしましたって発表でちょっと安心、ちょっと残念、これでしがない月給取りからオサラバできるかも、なんて思ったのに(思ってません)。

 それにしても幅広げすぎって印象のアマゾンで本からCDにDVDへと展開していったのはメディア商品って意味で共通する部分もあったけど、7月にエレクトロニクスを始めるって発表があった時点でいよいよオンラインストアとしての拡充に日本でも本気で取り組むんだなってことが見えてきていて、それでもCDやDVDだったらプレーヤーとの連携もあるよなー、パソコンはオンラインショッピングを楽しむ人に不可欠で興味も深いプラットフォームだし、って納得できる部分もまだあったけど、今回のキッチン&ホームとなるともはや重なる部分は超希薄。かろーじてワイングラスとワインのガイド本、調理器具とレシピ本、って連携はあるけどその程度ってことで、果たして「アマゾン」のこれまでの利用者層にどこまでアピールできるのか。それとも「アマゾン」の利便性が取扱商品を問わずオンラインショップの利点としてアピールして従来のユーザーとは無関係に層を広げていくのか。これからを占う意味でもちょっと様子を見て行こう。

 再び六本木。それも「六本木ヒルズ」で「第2回東京国際CG映像祭」のゲーム関連セッションを最後のセッションだけ聞こーと思っていったら「スペースチャンネル5」の水口哲也さんのトークがまだ続いててちょっとだけ聞く。セガを辞めてフリーになっていた、ってのに「20へぇ」ほど心でボタンを押したくなったけどセガでもあんまり経営陣にアピールしづらい、けれどもどこか先鋭的なゲームを作ってた人だから編成が強化されて”売れる”タイトルしか認められそーもない現状では、退社もやむなしってゆーことになるのかも。今はとりあえず様子を見ながら新しいタイトルをどうやって作っていくのか考えているみたいで、直後のモノリスソフトにスクウェア・エニックスにカプコンの人も含めたセッションの最後に「誰かプロデューサーはいませんか」ってお金を集めて来てくれる人を募ってた。

 水口さんって言えばクリエーターでもあるけど同時にプロデューサーとしてセガの開発子会社を率いていた経験もある訳だけど、クリエーターでもありプロデューサーでもあるってゆー、かつては普通だった存在が果たしてゲームの将来にとって有効か、ってゆー悩みを今は感じている模様。例えばハリウッド映画なんかだと100億円をかけても101億円のリターンを得られるよーな作品作りのメソッドが有る程度固まっていて、シナリオ作りからキャスティングから検討すれば資金も集められるんだけど、ゲームではそーしたメソッドがはっきりとは固まっていない上に、資金を集めて制作進行をコントロールして確実にリターンへと結びつけるプロデューサーがあまりおらず、10億円の資金ですら集めるのにいろいろ難しい状況にあって、それがゲームソフト業界をハリウッド並、とはいかないまでも大きなビジネスへと発展させていく上で、ネックになるんじゃないかってことを心配していた。

 CGの高度化よりもアイディアの枯渇がゲームの停滞により深刻、こればっかりはいくら資金をかけよーと改善されないって意見もないでもない。もっとも斬新なアイディアで革新的なゲームをクリエイトして来た水口さんに関して言えば、アイディアはあってもそれを商品へと発展させる道筋がないことの方が当人にとっては切実な問題だったんだろー。説得してバジェットを得て実制作へと移り製品化する苦労ってのを最先端で感じ、企画を納得してスポンサーを説得できる優れたプロデューサーの存在と、優れた企画を見極め資金を提供する力を持ったスポンサーの登場を願いたくなるって気持ちも理解できる。一方であれだけの作品を作り続けて来た人が、将来に不安を覚えざるを得ないゲーム業界の現況の難しさってのも伺えて、早急な改善が行われることを望みたいもの。出来るところがパブリッシャーとして生き残れるってことなんだろーけれど、出来るところが果たしてどれだけあるのかな。水口さんの去就なんかも併せ含めつつこれも様子を要観察。

 セッションではひとつの突破口として、ゲーム性が判断できるくらいまでソフトを作ってみせるプリプロダクションの仕組みを確立させることなんかも提案されていて、「ゼノサーガ」を作ったモノリスソフトなんかはそれをしっかりさせることで、インディペンデントの開発会社ながらもそれなりの資金をパブリッシャーから引き出し、現実にヒットするタイトル作りを実現しているそーな。それほど制作費のかからなかった昔だったら途中まで作ってしまえばそれを押し進めて出したってそこそこ売れたし売れなくっても損は小さかっただろーけれど、今はそーゆー時代でもなくちょっとだけ作って面白いかどーかを判断した上で引くべきともはひかないと、傷口も大きくなるってことなんだろー。

 捨て金になるかもしれないだけにプリプロダクションの費用を出すのにも英断がいりそーだけど、そこで出せないメーカーは滅びるし、出させない株主は結果的に損をする、って可能性をメーカーも株主も肝に銘じておく必要があるのかも、出す出さないを見極め、リスクとリターンを短期長期の視点から考え時には冒険もできる経営者がいるってことも含めて。ちなみに同席していたカプコンの人によるとすでに社内でプリプロダクションの仕組みを導入して取捨選択をし始めているそーで、前に取材したバンダイなんかでも確か実施に移していたって記憶があったっけ。ほかのメーカーではどんな感じになっているのかな。いずれ機会があったら聞いて回ろー。


【11月5日】 「アルカイーダ」って踊った新聞の見出しが「アカルイハダカ」と見えてしまう今日この頃。まだまだ枯れてません。それはさておき凛野ミキさんの「クラブクライム2」(スタジオDNA、552円)は1巻目の中盤以降にシュールでスプラッタな感じがトーンダウンしてたって記憶があったけど、2巻目に入って取り柄のシュールな残酷さを存分に取り戻したみたいでそのまんま映画化なんかしたら「キル・ビル」も吃驚の血しぶきが「キル・ビル」とはニュアンスの違ったユーモアの中に繰り広げられそー。だけど映画化はやっぱり無理だろーなー、殺人部活動だもんなー、「バトルロワイアル」の比じゃないもんなー。

 つまりは部活動をしない生徒に懲罰を加える部に集まった人たちが主人公になった内容で、美少女だけどストーカー気味な所のある赤池さんに自殺願望にまみれた別府くんに美形だけど性格不穏な呉部くんに謎の占い師とそれから半ば赤池さんに引きずり込まれる形で入った境くんの前巻から続く面々に加えて、呉部に一目惚れしたデンちゃんって子が現れては呉部に言い寄ってきた女子をすべて大虐殺。ロッカーに放り込んだり窓から放り投げたりしただけで後始末をしなかったものだから、クラブクライムの面々が出向いてはすべてを怪奇現象と言い切り丸く収める強引ぶりを見せるってな展開が、シュールな笑いの中にぞくっとした戦慄を覚えさせる。

 好きでもない境くんを占い師から言われたってことで無理矢理好きになろーとしてデートするんだけど、嫌だから弁当の代わりに生野菜を持っていったりする美少女も出てきて話はなおいっそう混乱の予感。嫌なら付き合わなきゃ良いのに無理矢理付き合おうとして起こるラブとはベクトルが正反対なカップルの居心地最悪な関係は、末期にあるかつてラブラブだったカップルにひとつの向かうべき道を指し示す指針をなりそー。2人の見苦しさを見て己が見苦しさを知れ、ってことで。

 某々なところでパブリシティ的なレビューが出ていたらしー上田宏さんの「武神戯曲1」(メディアワークス、550円)をコミックスであらためて再読。現代の日本にいた少年が文化大革命を逃れ日本に移り住んだ大爺が大切にしていた京劇の面を被って気が付くとそこは80年も昔の1920年代の北京。戸惑っていたところに日本語の分かる少女がいる場所へと連れて行かれてそこで梅蘭芳という中国の京劇史に残る名優の演じる舞台に圧倒される。実は少年は大爺がかつて梅蘭芳の弟子だったと聞いていて、その時は時代を遡っているとも知らず梅蘭芳に面会に行ったんだけど、やがて自分がタイムスリップしてしまったことを知り、だったらいずれ現れるだろう若い時の大爺を待ちながら、本格的に京劇を学び始めることにする。

 歌舞伎についての漫画は過去にもたくさんあったけど京劇がテーマの漫画ってのは珍しく、少年が紆余曲折の果てに京劇を学びながら持ち前の才能なんかにも助けられてめきめきと頭角を現していくってストーリーの中で、京劇についての知識が得られ京劇への興味が湧いて来るよーになっている。子供たちにはマイナーな存在だった囲碁が、「ヒカルの碁」って漫画で知られるよーになり人気も得たって展開を、なぞれば面白いし漫画もヒットするんだろーけれど、全国にある碁会所と違って京劇なんて教えてくれるところが日本にいくらもないからなー。けど京劇はあちらこちらでそれなりに演じられているみたいだし、京劇がテーマの映画だったら「武神戯曲」も下敷きにしたらしー「さらば我が愛 覇王別姫」って映画があるからあわせて見ると面白いかも。レビューのために買いました。今は亡きレスリー・チャンの美貌が拝める貴重な作品、コン・リーもまだそれなりに若いです。

 6日まで開催の「ライセンシングアジア2003」には「2005年日本国際博覧会(愛・地球博)でマスコットになってる「キッコロ」と「モリゾー」って木のおばけみたいなキャラクターのライセンス展開をアピールするブースもあって入るとこれまでに作られたいろんなグッズとこれから出てくるいろんな商品が展示されてて、再来年の開幕に向けてそれなりな認知度を獲得してるっぽい雰囲気が漂う。っても今はまだ名古屋ローカルな商品が多いみたいで、ビールだとか乾電池っていったマスプロダクツな商品に採用されてはじめて全国区になれるってゆー意識もあるよーで、「頼センシング・アジア2003」の会場でもそーしたライセンシーに見てもらいたかった模様。来場してたかどーかは知らないけれど。

 それにしても不思議なキャラクターだったりする「キッコロ」「モリゾー」は、最初のうちは名前のベタさ加減にデザインの適当っぽさから「トトロ」なんかを参考にしながら代理店あたりがでっちあげたキャラクターかな、なんて思ってあんまり気にも留めなかったけど、チケットの発売も始まって露出する機会も増えて目にする頻度が増すに連れ、とりわけ「モリゾー」の偽ムックって感じのぬーぼーとした雰囲気が目に可愛らしく見えるよーになってしまっていたから不思議なもの。「ライセンシングアジア2003」のブースもそんな「モリゾー」の縫いぐるみから放たれる、オーラみたいなものに引かれて入った。あのじとっとした目が良いんだよなー。

 かくも印象的なキャラクター、よくよく調べるとその筋では人気の「アランジアロンゾ」がデザインを担当していたそーで、サイトに行くとアランジアロンゾオリジナルな「キッコロ」「モリゾー」グッズもあってこれがまたなかなかな味。いろんなポーズをしたポストカードがちょっと良いです。愛嬌のなさにかけては人後におちなかった2002年ワールドカップの名前も覚えていないCGキャラに比べても、また誰かが左手で描いたよーな長野五輪のフクロウに比べても、好感度でははるかに上を行きそーなキャラクターだけど、肝心の「愛・地球博」への関心が名古屋人とか愛知県民とかじゃないと抱けないのが現状における最大の問題かも。折角の名キャラクターが万博な癖にローカルな「ゆるキャラ」として終わらないためにももーちょっと露出を増やすなり、「ガチャピン」に対抗して宇宙に行くなりして目立ってくれたら俄だけどファンとして嬉しいかも。でもやっぱりローカルで終わりそーな予感、名古屋って場所が場所だし、海外アーティストが決まって飛ばすってな感じにマイナーを宿命づけられた。


【11月4日】 しずしずと「ライセンシングアジア2003」ってイベントへ。キャラクターやら企業のロゴやらのライセンサーが集まってライセンシーにアピールするって内容のイベントで、「東京キャラクターショー」が最初狙って果たせず一般向けのお披露目&物販イベントの色を強めていったその脇で、キャラクターのトレードショー的性格をちゃんと持たせたビジネスイベントとして行われてきたものっぽいけど、同じニュアンスだと9月頭に開かれた「ギフトショウ」も担っててそっちに日本からだと玩具メーカーやらファンシーグッズのメーカーやらアニメーションの会社やらがごっちゃりと出てたんで、やっぱり中途半端感は否めない。

 それが証拠に「ギフトショウ」が「東京ビッグサイト」のほぼ全館を借り切って、って言ってもキャラクター関連は東館のごく一部だけどそれでも結構な来場者を集めていたのとは対称的に、「ライセンシングアジア2003」は去年に続いて西館のフロアの一部でひっそりと目立たず開幕。参加企業もワーナーブラザーズに電通にIMGにバンダイタカラといった玩具メーカーに「たれぱんだ」のサンエックスと威勢だけは良く、これで”本邦初”とか”世界でここだけ”ってな目玉があれば賑わうんだろーけど、並ぶキャラクターはすでにどこかに出展してあったものばかり。今さらここで見かけてもどうせいっちゅんじゃ的な反応しか出せそーもない。

 それでも「日本にキャラクタープロパティのトレードショーを立ち上げるんだ」的な熱意を示そーとしている意志だけは存分にあるよーで、今回なんかはまったく新しいキャラクターを開発した個人のクリエーターに来てもらって作品を並べて来場者に見てもらうコーナーなんかがあって、柱にキャラクターをつり下げ前に座って場内を見つめるクリエーターたちのその眼差しに、真剣さを覚えてちょっぴり近寄りがたさを感じてしまった、ってそれじゃー意味ないじゃん。これが「デザインフェスタ」みたいな席だと売り手に買い手ってソフトな関係で話したり出来るんだけど、ビジネスって看板が下がるとマスコミの人間なんかが冷やかしで行って期待させても申し訳ないって身が引けてしまうんだよなー。けど遠目にもなかなかのキャラクター使いがいたんで企業とかの人は行って是非に青田買いなんかしてみては如何。

 ぶらぶらと散策して去年も出ていたスイスイって会社の「タイツくん」を今年も発見。1年を経てネタも新しいのが溜まったみたいで、加えてマガジンハウスの「ターザン」とか、講談社がイベントなんかで配布している同人誌っぽい雑誌に堂々の進出もあったみたいで、ゆっくりだけどちゃっかりと「タイツくん」ムーブメントは広がりを見せている様子。「デ・ジ・キャラット」だってメジャー(?)になるのに5年はかかったんだから「タイツくん」も頑張って着実にファンを増やして日本にタイツファッションのムーブメントを起こしてやって欲しいもの、ってそーゆー狙いのキャラじゃない? まあ良いじゃん、暖かそうだしタイツって。

 仕事のネタを仕込みに「第2回東京国際CG映像祭」なんてものを見に出たばかりの「週刊朝日」で嵐山光三郎さんがケチョンケチョンのむっちゃんくっちゃんに貶しまくってた「六本木ヒルズ」へと出向いておしゃれな場所に似合わないお葬式の案内人みたく手に紙の案内標識を下げている人に指示を仰いで会場へとどーにかこーにかたどり着く。目的は監督の人に話なんかを聞かなきゃいけないらしー「ケイナ」って欧州では初らしーフルCG映画を見ておくことで、最初聞いてそれって別のタイトルじゃなかったっけ、って確かめたらなるほど大昔に「パシフィコ横浜」で開催された「フランス映画祭」の関連で、ナムコがフランスと提携して作るってぶち上げた「アクシス」ってCG映画が、タイトルも改めて堂々の完成を見たってことでいよいよ来春に日本での公開が決定したものらしー。

 「東京国際CG映像祭」での上映は、公開に先駆けて配給にあたるギャガ・コミュニケーションズの協力なんかがあって実現したものらしーけど、CG映像祭を監修している川原敏文さんは確かギャガのスクリーンキャッチなんかを制作していたから、その辺りでのつながりもあって引っ張り出せたりしたのかな。ともあれ米国では珍しくもなくなったし日本だって「VISITOR」に「A・LI・CE」といった今は懐かしいギフュアニメーション系から超が100くらいつく大作だけど超が1000くらいつく迷作の「ファイナルファンタジー・ザ・ムービー」に、超が1億ついても足りない「シェンムー・ザ・ムービー」を始め幾つも出ているフルCGアニメ映画だけど、欧州ではこれが初ってことでまずはどの程度の出来なのかを確かめさせていただく。

 印象を言うならなかなかのもの、ってあんまりはっきりはしないけど日本が「VISITOR」なんかを作って初のフルCG映画だって沸いていたのとは段違いに素晴らしく、巧みなCG映像を作って来たって感じ。もちろん日本には究極を行く「FF」があってそれに比べると「ケイナ」のモーションキャプチャーを使っていない、漫画を立体にしたよーなキャラクターの表現は大きく劣るけど、リアルさを追求した「FF」とははなっから比べる地平が違うんで、その辺りの違いは気にならないどころかむしろ動くフィギュアって感じに見ていてリアル系だと気になる実写とのちょっとの違いが気にならず、こんなもんだと安心して見ていられたしそんな安心感をちょっとでも上回って来る表現に素直に感嘆できた。こんな時に素人の目は有りがたい、何だって楽しめちゃうんだから。

 素人の目で言うなら演出の作法に至らない部分が多々あったらしー表現も物語の展開をベースに見ていたんでさほど気にならず。誰が誰で誰の誰なんだってなキャラクターの立ち位置なり出し入れのわかりにくさも欧州のアニメなんてこんなもんだろ、ってな意識があったし途中でちゃんと説明も入ったんでやっぱり気にならなかった。こーゆーだれた味方をしているから映像評論の世界には足を踏み入れられないんだよなー。肝心のお話の方はといえば、世界を貫く樹木の秘密を探求に神から選ばれた少女がひとり向かう、ってまるで風の谷に住んでるナウシカ姫みたいなキャラクター設定があって監督をした人の宮崎駿好きな部分をちょっぴり(たっぷり)感じてしまう。

 巨大な樹木に取りついて住んでる原始っぽい人間が実は……ってな持って生き方と大昔に天から降臨した先進的な種族を星へと返すお手伝いをするってゆー展開、そしてラストに大ネタとして繰り出されるユグドラシル的なビジョンなんかはあっちのSF、こっちのファンタジー、そっちのコミックなんかで見た記憶読んだ覚えのあるもののパッチワークって気もするけれど、おそらくはそーなるんだろー、ってSF読みファンタジー読みの期待に添って進んで「ほらやっぱり」って安心感とちょっぴりの優越感を抱かせてくれるって部分が先に立ったんで、これもあんまり気にならずにわくわくどきどきしながら先を楽しみに見ていられた。原作で脚本の監督には是非にどこから何を持ってきたのか、パッチワークじゃないとしてもどんなSFなりファンタジーなり漫画に影響を受けて作ったのか、ってのが是非に聞いてみたいもの。それだけで時間オーバーしちゃいそーだけど。

 キャラについては一言で言えば新垣仁絵、って雰囲気だけどパンツルックの多い仁絵ちゃんとは違ってケイナはショートパンツだったり三角布だったりして立派に丸くて柔らかそーなお尻をふんだんに見せてくれるからお尻好きには嬉しさたっぷり。歩くときの腰の入れっぷりお尻の振りっぷりもなかなかだけど、一方で日本ではデフォルトな乳揺れ描写があんまりないところに、作った人の関心の置き所なんかが伺える、って言い切ってしまって良いのかな。ただやっぱり欧州的なキャラクターセンスで日本の”萌え”への理解度がまるで足りないのは残念なところ。宮崎さんはともかく大友克洋さんに押井守さんなんかが好きってんだから”萌え”に行かないのは当然だけど、こと日本で売れ筋を狙うなら、ディズニーだって最近は気付き力を入れ始めた”萌え”について監督の人はもっと学ぶ必要があるだろー。ってことでインタビューには”萌え”たっぷりな日本の画集でも差し入れるか、寺田克也さんとか(それ違う)。


【11月3日】 高瀬美恵さんの「帝都夢幻道【後編】」(小学館パレット文庫、524円)を読み終える、主人公は誰だ? ってのが直後の印象でなるほど、突端から出てきた花村紅緒、じゃなかった卯月千代って袴の似合うハイカラ女学生も手に必殺のパンチ「妖怪ごろし」を秘めて戦い活躍はするけれど、決してそれがメインじゃなくってむしろ話は怪奇事象研究室に消されてしまった妖怪女の六花の仇を撃とうと「トリオ・ザ・カイジケン」を足抜けして、妖怪側に寝返り怪事研の面々を狙う須磨由弥と、気を取り直して妻だった天羽八重子を殺した妖怪を殲滅しようとする渡海晴久との相剋に、つながっていって千代はそんな関係をあっち行き、こっちでぶつかる役所になってしまってちっともハイカラさんじゃない。

 かといって須磨と渡海のバトルがかつての師と弟子といった関係からくる悲劇性をはらみながらも止むに止まれずエスカレートしていく様を堪能できるかというと、須磨はともかく渡海の側に今ひとつエネルギーが足りない感じで読んでいてもーちょっと感が浮かんで来る。何でそこまで天羽政仁の言うなりになってしまうのか。圧倒的な力を持つスーパーヒーローなのにどーして頭はガチガチで事実を受け入れ未知を探求する好奇心や柔軟性を持たず妻を殺された怨みに固まり最後の方まで政仁の走狗として動くのか。そんな疑問と悩みが浮かんでしまう。

 ラスボスっぽい存在だった雷光も結局は単なる”通過点”になってしまったりと、魅力いっぱいの設定を持って登場したキャラクターたちが本領を発揮する間もなしに出ては過ぎ去っていく感じで、もったいなさに歯がみする。けどトータルではちゃんと話もまとまりオチもつき、千代もそれなりな活躍を見せてはエンディングにハッピーっぽさを掴む感じになっているんで、やっぱりここは千代メインのシナリオでもってその純真さ純情さがあっち行き、こっちによろめいては迷いつつ、それでも起こる難事件にえいやっと挑んでいく様を、見かけは男っぽいのに家では少女雑誌に胸ときめかせる、飼ってる猫のシノブさんが生んだこどもがすこぶる可愛いらしい武部和歌の、脇での活躍なんかもふまえて楽しむのが良いのかも。下村富美さんのイラストもすこぶる可憐。しかしこの文庫の読者層が「すこぶる」って和歌の言葉の意味をちゃんと理解できるのかな。

 勢いで園田英樹さん渡辺けんじさんの「レジェンズ 蘇る竜王伝説」(ジャンプジェイブックス、743円)なんかを読々、これは楽しい。「月刊少年ジャンプ」で連載が始まった漫画と連携するメディアミックスの1つらしーけどおそらくは漫画がゲーム化なんかを狙ったバトルになっているのとは違って(要確認)小説の方はニューヨークはマンハッタンに住んでいる少年ケンが、街を騒がず「ヘルハウンド」ってゆー物語の中にしか出てこない地獄の犬を見かけたって話を聞いて好奇心から見つけに行こうとする場面から始まって、同じ目的の少女メグと出会って一緒に行ってヘルハウンドに襲われ危なかったものの謎の青年の制止が入ってどうにか助かる場面からスタートする。

 実は青年は大富豪で代々伝わる「レジェンズ」、すなわち怪物だとかドラゴンだとか妖精といった伝説の存在を小さいケースに入れて受け継ぐ「サーガ」の継承者で、小さくされて散らばった「レジェンド」を集めようとしていたのだった。その場ではとりあえずは命拾いしたケンとメグだったけど、しばらくしてニューヨークが闇に覆われ中からドラゴンが現れケンの母親をさらっていってしまう。その際にケンは母親から「風のサーガ」の継承者であることを告げられ、やがて再開したメグや、中に「レジェンズ」の封印された「タリスポッド」を守って来た少年と出会い「イーブルリボーン」によって世界を覆い始めた魔の森を冒険し、敵を倒し母を救おうと旅に出る。

 なるほど受け継いだ血の力に伝わる魔法アイティムに戦う「レジェンズ」たちって感じにパーツが揃ってゲーム化なんかもしやすそーな設定だけど、小説の方は少年がいろいろな人と出会い、仲間を得、秘密を知り挫折を味わいながら勇気を振り絞って敵へと向かっていく姿をひねらず設定に溺れずストレートに描こうって感じがあって読んでいて分かりやすい。その辺りは小説を担当している園田さんの童話作家に師事し子供向けアニメーションのシナリオで培ったストーリーラインの作り方、キャラの立て方がしっかりと反映されているのかも。

 あとドラゴンにゴブリンにイエティといった、ファンタジーや空想小説の設定をごちゃまぜにして頂こうってスタンスじゃなく、それぞれが今は封印されて人間の目からは遠ざけられてはいるけれど、かつて存在していたものをして扱われ、それが次々に復活して来る展開を通して、「レジェンズ」たちの不思議だったり恐ろしかったり楽しそうだったりする様に触れてもらおうって雰囲気があるのも良心的。読んだ子供たちが本ネタとなってるファンタジーの世界へと向かってくれたらこんなに嬉しいことはない。始まったばかりだしやっぱり単なるオールスターキャストの再生産で終わってしまう可能性だってない訳じゃないけれど、信じて今は記憶の底、本のページの奥へとしまい込まれた「レジェンズ」たちの復活を喜びつつ、物語の向かう先へと期待しよー。来春にはアニメ化とか。これは「デジモン」っぽくなるのかな、渡辺さんだし。

 ってんで早々に家を出て「文学フリマ」なんかを散策。午前11時のオープンを目前に到着したんできっと行列が地下の「青山ブックセンター本店」からエスカレーターを上がって渋谷側あるいは表参道側へと延々伸びて3時間待ち、とかいった状態になっているんだろーとまでは思わなかったけど、それでもそれなりの行列に入場待ちを喰らうかな、って思ったらそこはやっぱり文学だけ、ってイベントなんでサンシャインとか有明とかのよーには込み合わず、100人若の行列に続いてすんなりと中へと入ることが出来た。あとで表でおそらくは大塚英志さんが主宰の人と話している声を横で聴いていると「だいだいキャパに合った人間が来るもんだよ、どんなイベントでも」ってことでなるほどまさしくそれを地で行く盛況ぶり、だったってところみたい。

 まずもって「モスコミューン出版部」ってところの出した会誌「KLUSTER」をゲトォ! 出だし1番か2番(白倉由美さんとことタメ)の動員を誇っていたのはやっぱり東浩紀さんってスタアの担ぎ出しに成功したってところが大きいみたいで、加えて内容も「あかほりさとる試論」に「佐藤友哉」に「タモリ・ブーム」に「江戸川乱歩」といったいターゲットはどこなんだ的なラインアップを何故か揃って1982年生まれ(プラスマイナス一部あり)の若すぎる面々が書いていて、文芸同人誌って高めの年齢の人がそろいがちな中でぐっと平均年齢を下げていて、文学に興味のある若い層をぐっと引きつけることに成功したみたい。読み応えがありそーです。

 とりあえずは東さんへのインタビューをぺらぺら。戦慄。生きていられるのかこれを書いた後でも東さんは文芸界で、って程でもあったりなかったりする内容で巻き起こす反響に注目だけど同人誌にいちいち反響するほど文学業界も目がミクロじゃないからきっとスルーになるんだろー。いくつか拾うと「以前ある作家について文章を書いたら尋常でない憎悪を抱かれてしまって、ペンクラブの部会にまで飛び火して『東浩紀には書かせるな』とか割れる始末」って事態の経緯が知りたいところ。うっすら想像はつくけど。あとは毎度、柄谷行人さんとか福田和也さんといった面々や「新現実」に「en−taxi」といった新雑誌への所感。おおむねこれまでの発言に沿ったものなんで文字になったって所に意味があるのかも。

 そーした喧嘩腰はともかく一方では文学が向かうべき地平みたいなことにも触れていて、「純文学の言語を超えたハイブリッドな言語を小説のなかに書き入れるっておとが、文芸誌がスターとして持ち上げている人々にどれだけ期待できるか。むしろそれを期待するとしたら佐藤友哉とか西尾維新とか舞城王太郎しかないだろうってのが僕の考えですよ。清涼院流水を評価するのも、まずは彼の言語感覚が特異だからですよ。キャラクターなんて、知ったことか」ってのはなかなかな意見。あと小説が好きで書いてるって人が文芸のシーンには奥泉光さん笙野頼子さんあたりの世代を最後に切れて今は何かをやっていた人が文学してみました的に書いてヒットする「スターシステム」が幅を利かせて、気が付くと小説好きはライトノベルに行ってしまった、って状況認識も興味深い。

 ここでいうライトノベルが「キャラクター小説」とは等号じゃないあたりに、キャラクター小説でも良いじゃん、それがまずあって読み手を引きつけその上にどんな言葉、どんな思想、どんな物語を刻めるか、って方からライトノベルを見ている当方との差異はあるけれど、一方で現実にライトノベルに読者を楽しませることに長けた作家が参集し、SFやミステリーへとこぼれ出て行っている状況を見るにつけ、「時代はライトノベル」って”思い”の部分では参考になる意見だったりもする。まあこの辺は「ファウスト」の連載だか不定期だかの文章でもって徐々に論じられていくだろーから興味を持ちつつ流れを見据えて行こー。喧嘩もそれなりに。

 謀られたよーに「モスコミューン出版部」と向かい合わせで設置された「カエルブンゲイ」で米光一成さんに1年ぶりの挨拶しつつ「『動物化するポストモダン』+『トリビアの泉』ゲーム化会議」を1冊所望、方や東浩紀さんの著作でこなか唐沢俊一さんスーパーバイザーの番組とゆーカップリングの萌え……じゃない因縁を覚えてしまったけどまさかそこまで配慮をしてのカップリングじゃないだろーなー。あと近隣に置かれた「新月お茶の会」で「ゲーム脳」って表紙に書かれた内容は「まるまる滝本竜彦評論本」を購入、「滝本竜彦はぐるぐるだ」って論旨に妙に納得してしまう、ってことはつまり一生あのまんま? それで面白い小説が出てくるんだからファンとしては嬉しいんだけど当人の身となると……それも良いのか。裏表紙でレイちゃんが「ダメ、ゼッタイ!」って言ってくれてて大きく引き延ばして部屋に張りたい気分。朝晩に林原めぐみさんの声でそう言ってくれるとなお良いけど。でもリナ・インバースの声は勘弁。


【11月2日】 近所の東武百貨店船橋店の5階にある本屋に行ったら山本弘さん渾身のSF長編「神は沈黙せず」(山本弘、角川書店、1900円)
がSF書のコーナーでもなく文芸書のコーナーでもなく「と学会」本とか並んでいるsサブカルチャーの本のコーナーに山と積まれてあってなるほど、山本さんのファンなら真っ先に向かうだろー書棚に置いておけば見つけやすいってゆー、書店の人の親切心が配置に現れているなー、なんて思いません。そーゆー風に一部を置いておいても良いけどメインの山はやっぱり他のSFと並べて作ってあげないと可愛そうって気がするなー、SFの書棚が充実している本屋さんだけになおのこと。それともやっぱり小説の形をした「トンデモ本」って思われてしまったんだろーか。真相やいかに。

ピッチ外はのんびり、スタンドはぽっかり、でもピッチはしゃかりき  体調のあんまり回復していない中をそれでも最初の天王山だからと「Lリーグ」は上位リーグの「日テレ・ベレーザvs田崎ペルーレFC」をはるばる世田谷方面は「駒沢陸上競技場」へと見物に出向く。天気も快晴で気温もそれなりに高かったのが幸いして行く先々で体調の大きく崩れの出なかったのが有りがたいところで、これも日頃の行いの良さの現れと自画自賛する。それだったらそもそも風邪なんかひかないってゆー意見は聞かない。遠路はるばると向かう途中は高瀬美恵さんの「帝都夢幻道」(小学館パレット文庫、550円)なんかをつらりつらり。紅緒さんとか大活躍してたのと同じ大正の東京を舞台にしたいわゆる退魔物、って奴だけどおっさんでも美少年でもなく紅緒さんとほぼ同年の少女がいちおうの主人公。生まれながらにして持っていた破魔の能力に悩んでいたところ、縁あって同じよーな能力を持つ仲間たちが集まる「怪奇事象研究所」ってところに誘われ見魔に優れた少年、縛魔に優れた少年とともに帝都を荒らす魔を飼って歩く仕事を始める。

 ふだんはおっとりとした女学生なのに仕事ではそれなりに意志もハッキリとしめす少女になるのが面白いところ。敵を倒す時にとる行動が、えいやっとばかりにグーパンチでもって縛された魔の眉間を撃ち抜くってあたりに、見かけに寄らない強気な性格を感じてしまう。物語の方はそんな彼女とチームを組んでる1人の少年が心寄せていた女の魔が実は3人の師匠にあたる青年の妻を殺害した魔らしい、ってことが明らかになってさあ大変、波風の立ちまくった関係は果たしてどこへ向かうのか、ってところで上巻の終わりとなっていて、下巻では複雑化した関係を解き明かし、一大決戦へと向かうことになりそー。話自体は割にありそーだけど、キャラの面白さと大正って妖しい江戸が敢然に近代の東京へと切り替わってしまう時代背景で読ませてくれそーで楽しみ。って既に発売なってるんで今晩にでも読もう。千代はすこぶる可愛いと評判のシノブさんの子供に会えるのかな。

 そんなこんなて到着した駒沢オリンピック記念公演は犬を連れたカップルとか子供を遊ばせるニューファミリーとかでぎっしりで、周囲の木立に囲まれた瀟洒なマンション群なんかと合わせてまるで別世界。普段は働き休日は遊び夜はどっかで食事だなんて暮らしと無縁の身には正直、まぶし過ぎて近寄り難かったけどそこはLリーグの試合があって日テレ・ベレーザが出て「週刊サッカーマガジン」も認める大選手の酒井與恵選手も出場するとあっては見に行かない訳にはいかないんで、まぶしいファミリーにカップルに学生たちを横目に足早に敷地を通り抜け、ぐるりとスタンドに囲まれて正直「市原臨海陸上競技場」なんかよりも整備の行き届いたスタンドへと入って開幕までの時間を潰そーとしたらそこも部活かサークルの帰りって感じの若い学生でいっぱいでまぶしさと羨ましさにしおしおになる。

 それでもそこは「Lリーグ」だけあって集まるファンにもそれなりに秋葉系入っていそーな青年がいて、ハイソでエレガンスな雰囲気をぶち壊し、じゃなかったうち消してくれたんで息に詰まるってことはなく、試合が始まればあとはベレーザの応援団の方や男ばかりで怒声を張り上げ歌を唄う一団と、女性も混じって太鼓をどがどが叩きながらサンバのリズムを刻む一団の意識しているのか牽制しあっているのか一方が終わるかどうかって時に一方が応援に移る、分裂応援の鏡みたいな応援が繰り広げられては、気分を日テレ・ベレーザの試合の方へと向かわしてくれる。

 試合は前半の滑り出しこそ一長一短ってゆーか攻めるけど守られ守れるけど攻められないといった感じの押し合い引き合いが続いて流石は共に何人かづつの日本代表選手を抱える、リーグでもトップクラスにあるチームだと感心する。そんな試合に反比例するかのよーに審判の判定が微妙でちょっとしたことでもカードを出す傾向があって、対には田崎ペルーレではキーになる、先の「FIFA女子ワールドカップUSA2003」にも出場していた川上直子選手がイエロー2枚で退場になってしまった。勝つか負けるかで上位リーグでの成績も左右されそーな試合だっただけに、退場する川上選手の顔は今にも泣き出しそー。試合的にはこれで一方感が出て面白くなるかもしれないけれど、互角にやりあう試合が見られなくなってしまう心配に駆られる。

 もっともそこは昨年の女子選手権で日テレ・ベレーザを下して優勝した田崎ペルーレだけあって、1人少なくってもなかなか相手に攻め手を与えず逆に攻める場面も多くあって、底力のあるところを見せてくれた。そんな田崎相手でもやっぱり強かったのが日テレ・ベレーザで、サイドから近賀ゆかり選手が崩せば中央を小林弥生選手がどっかと作りトップで荒川恵理子選手がポストになり体格の良くなった感のある大野忍選手が駆け抜ける攻めっぷり。ディフェンスラインもしっかりとして相手に付け入る隙を与えずラスト間際のセットプレーからの1点に抑えて勝ち抜けた。ここで許した1点があとで得失点差に絡んできたら、って思うと守っておきたかった点だけどまあ、ここは勝てたとゆーことを喜ぶべきなんだろー。

 酒井選手は最初のうちはパスが相手にわたったり、ドリブルがひっかけられたりでちょっぴり良くなかったけれど試合が進むにつれて豊富な運動量から相手の攻撃の芽を詰むボランチとしての仕事を存分にこなし始めて、これも流石代表選手でなおかつ連続LリーグMVP選手ってところを見せてくれた。トップ付近にいたと思ったら中盤で拾いゴール際で相手のシュートを止めていたりといったい日テレに酒井選手は何人いるんだってくらいの活躍ぶり。もっとも同じ感じに髪を後ろで縛った選手が何人もいたんで見間違えているのかもしれない。髪といてば小林選手は神の色がいちだんと茶色になってて遠目にもよく分かる。いっそ緑とか、赤とか青とかいすれば目立つし女子っぽくって面白いんだけどプロじゃなく、普段は仕事をしている人たちだけに茶髪にするだけでも大変ってことなのか、意外に普通の黒かやや茶色って人が多い。この辺にもLリーグの置かれた環境ってのが伺える。とはいえなあ、酒井選手の超茶髪ってあんまり想像できないんだよなー、荒川選手の坊主頭は想像できても。


【11月1日】 風邪ひいたみたいでぐじゅぐじゅとした中をそれでも2万円出したんだからと電車を乗り継ぎ「さいたまスーパーアリーナ」までバスケットボールの「2003NBAJAPANゲーム シアトル・スーパーソニックスvsロサンゼルス・クリッパーズ」の試合を見に行く。本場アメリカのスポーツって言ったら今年の春、「東京ドーム」で開催される予定だった米大リーグの開幕戦が雨で、じゃなくってイラク戦争の開戦で注視になって見られなくなった苦い経験があるだけに(おまけにチケットの払い戻しを忘れて払った金のパー)、今回もまた何か突発的な事故とか事件とか起こって中止にならないかってヒヤヒヤしたけど世界は米国のスポーツが世界(除イラク)に出ていけるくらいには安全なよーで、晴れての開催へと至ってまずはホッと胸をなでおろす。

 といっても共に去年のプレーオフには出場できなかった弱いチームでいわゆるスーパースターと呼べる選手はソニックス所属で五輪代表にもなっているレイ・アレン選手くらいにも関わらず、そのアレン選手が故障で来日すらしなかったんだからNBAファンの落胆はいかばかりか。なおかつクリッパーズを牽引する、公式プログラムの選手紹介でソニックスのレイ・アレン選手と同格のトップに扱われているエルトン・ブランド選手までもが骨折で出場しないとあって、両軍ともに飛車角どころか王将まで抜けた試合にさてはてどこまに興味を抱いて見れば良いのかと悩んだファンも多かったかも。

 けどそこはカリーム・アブドル・ジャバーとマジック・ジョンソンとラリー・バードとマイケル・ジョーダンくらしか知らないにわかも究極の当方にとって巨大な人たちによって繰り広げられる日本人では未だ足下にすらたどり着けないNBAのプレーを見られることがまずは行幸。でもって日本のプロスポーツのイベントとはまた違った、観客を飽きさせず楽しませるために練り上げられたイベントやアトラクションの類を観察できればこれ幸いといったところで、さてはてどんな試合を見せてくれるのか、どんな仕掛けがあるのか、どんなチアリーダーたちがどんな格好で踊ってくれるのか、ってな辺りを期待しつつ出る鼻水を抑えつつ、試合開始までの時間をコートで練習する選手とか、出入りする選手にサインをねだる観客とか見ながら潰して過ごす。

 さて試合。1戦目ではえっとあれは去年の「パブリック・ビューイング」の時だったっけ、「国立霞ヶ丘競技場」でサッカー「ワールドカップ日韓大会」の日本対ロシア戦を聖地・国立で見るイベントに確かやって来ては君が代を歌った記憶のある日本人のKONISHIKIさんが何故か現れては「星条旗よ永遠なれ」を唄った国歌斉唱で、今回はシンガーとしては真っ当過ぎるクリスタル・ケイさんが現れては浪々と米国国家を斉唱。うまいんだけど今度は聴く方が慣れていないのか、エンディング近い部分で歌い上げては溜める間で、拍手やチアースティックを打ち鳴らす挙に出て、ただの歌ならそれでも悪くはないんだけど、米国の人とかにすれば斉唱中に帽子を脱がないだけで白眼視されるらしー国歌斉唱の途中で、歓声は果たしてどーなんだろう、ってな思いを抱く。でも選手も胸に手を当ててたのは1人だけ、だったからそんなに厳粛でもないのかな。外国籍の選手も多いし。

 レイ・アレン選手のいないソニックスはそれでも1戦目を頑張って買った白人選手でリック・バリーってその昔に大活躍したフォワード選手の息子のブレント・バリーって選手が2戦目もスターターとして登場してはガードとして活躍。でもって抜けたアレン選手の代わりに高卒で入ったから6年目だけどまだ24歳のラシャード・ルイス選手が日本でのNBAの試合記録を塗り替え遂には50点を獲得する活躍ぶりを見せて、ハーフタイムあたりまでは互角な試合をしていたクリッパーズを突き放して連勝。これでレイ・アレン選手も復帰して来たらどんな感じになるんだろうって期待を抱かせる。ルーキーでも白人でガードのルーク・リドナーって選手が最初はぎこちなかったけど、慣れ出すとパス回しにカットインに冴えた動きを見せ始め、自分でも10点を稼ぐ仕事ぶりを見せてこちらも将来に期待がふくらむ。

 一方のクリッパーズはブランドと並ぶコーリー・マゲッティ選手が活躍したものの他に目立ったところはなく、中国からNBA入りしたものの後から入ったヤオ・ミン選手に人気・知名度・実力で抜かれてしまったワン・ジィージィー選手も第4クオーターにちょろっと出てフリースローの2点を決めた程度で爆発せず。それでも100点を超える得点をあげられたってことはそれなりに戦える堅実さを持っているのかもしれず、こちらもブランド選手の復帰以降の戦いぶりに注目ってところ。なんてたったの1試合を見ただけでも選手個人への感心が沸き、メディアで騒ぐジョーダンが、オニールが、コービーが、アイバーソンが、キッドがってなスーパースターの動向とは別に、見た選手の動向に興味が及んでしまうよーになるあたりに、スポーツを生で見ることの重要さを感じてみたりする。

 これが地元でおらがチームの戦いぶりを毎週だかに目にしている人たちからすれば、順位とかは気にはなってもそれだけじゃない部分での愛着が地元のチームに湧いて不思議はなさそー。サッカーも多分同様で地元にチームがあって毎週だか毎月だかに選手たちを生で見ることで、チームへの感心を高め愛着を深めていけるしそれは、順位が変動したからってパッタリと消えてしまうものではなかったりするんだろー。メディアがチームを持って宣伝のために応援すればなるほど知名度は高まるけれど、気が付くと足下にポッカリと空間が出来てガラガラと崩れ出す、なんてことになりかねないから考え物。現実に某緑のチームでおこったからなー。某球団にはまだまだ起きそうもないけれど。それとも起こっているのかな。

 しかし楽しいタイムアウトやハーフタイム時のアトラクション。タイムアウトで時間が出来るとチアリーダーたちが飛び出してきては踊りに技を披露して見せマスコットが現れては観客を場内に引っ張り込んでポラロイドで撮影して当人に手渡す。それもただサービスでやってるだけじゃなく、あつ時はコートサイドで観戦していたVIPなのかお金持ちなのかの美女(有名人?)を連れ込んではタイムアウトの終了を待ってるレフリーの横に連れて行って撮影、しよーとしてレフリーにもっとくっつけって合図をすると分かっているのかレフリーも、美女を抱きしめ押し倒し気味のポーズで映ってなおかつマスコットから写真を美女ではなく自分が受け取ってみせる小技を出しては遠巻きに見ている観客を笑わせる。後で写真は美女に渡ったみたいだけど、ちょっとした動きにもバリエーションをつけ笑いを誘おーとするサービス精神には正直、おそれいしました。日本でここまでやれる球団のマスコット、ある?


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