縮刷版2002年6月上旬号


【6月10日】 時折グリーンになる対戦カードをクリックして金曜日のクロアチア戦を抑えにかかるも最後のクレジットカードでの決済段階でサーバーがいっぱいになったか固まってしまったこと2度、チケットの種別を選ぶ段階まではたどり着けてもそこで何故か「そんなもんねえ(意訳)」ってなアラートが出て挫折したこと数知れずで、結局はクロアチア戦も昼間の静岡での「ベルギーVSロシア戦」のチケットも確保できず、我がW杯は未だ国内での観戦予定はまるで1試合も決まらない。

 抽選とかに面倒ってこともあって一切参加しなかった身が悪いと言えば悪いし、県民枠とやらのある地域へと引っ越してまでチケットゲットの可能性を広げよーと頑張らなかったことも指弾されて当然、けどせめて長い時間のオーバーフロー攻撃に耐え続けた挙げ句にチケットの尻尾くらいは掴んだ人には、ご褒美として2段階でもグレードの落ちた席をめぐんでくれれば良いのにと、締切だとゆーのにまるで進まない原稿を眺めつつ(気持ちが入らず旨い言葉が削り出せないってのもあるけれど)ホッと溜息をつく。まあ良いまだしばらくは何度かは、オレンジの点滅がグリーンシグナルへと変わるタイミングは訪れるだろーからその時を逃さず最後尾からでもまくって途中のマシンをけちらしフロントローへと出て一気にゲットに向かって突っ走ろー。でもって130Rでクラッシュか。私の人生ついてない。

 「アニメージュ」2002年7月号はいよいよ明かとなった御大・富野由悠紀総監督の新作紹介が登場、過酷な環境に押されてドーム都市に暮らすよーになった人類は文明をそれなりに維持しつつ暮らしていたが、一方でドームの外へとリターンして暮らすことが人類にとって本来の姿と言ってエクソダスを試みる者たちが現れ対立が深まっていた。そんな中、ドームに暮らす一人の少年がふとしたことからエクソダスな一派と知り合い自分に疑問を持ち、戦いの渦中へと身を投じるとこになった……ってのが富野総監督の新作「DTエイトロン」のおおまかな設定ってことになる、えっつ「DTエイトロン」?

 ごめん違った「オーバーマン キングゲイナー」だった。「H20image」でもないね。「太陽の牙ダグラム」でも。「レダ」でも。つまりはまあ、SF小説にもSFアニメにも割によくある設定ってことになるんだけどそこは鬼才・富野総監督だけあっておそらくは似た主題の中にも細かなキャラクターレベルでの物語とか、同じ号で大特集されてる「いつも裸の人間を描いてきた」ってコーナーに見られるよーな目の保養になるシーンのオンパレードとかで見る僕たちを楽しませてくれるだろー。「裸の女」じゃなくって「裸の人間」ってあたりにも要注意。ないしろ主人公がゲイナーでライバルがゲインで主役メカがキングゲイナー、だし。

 漫画は実は読んでないけど小説版で登場の大塚英志さん「リヴァイアサン」(講談社ノベルズ、900円)は箸井地図さんって人の描く表紙の女医さん見習いな「福山さつき」が白衣っ娘で眼鏡っ娘で薄胸っ娘とゆー三倍満でなかなか。白衣の下が薄手(だと思う)のタートルネックってのもポイント高し。とはいえそこは大塚さん描く小説のキャラだけあって見かけにそぐうよーなフワついた役柄にはなってなくって、新宿も近い都心部の危ない病院で研修医として働きながらも、夜はキャバクラでアルバイト、家にかえれば精神に失調を来した男がいるとゆー設定に、ひねた原作者のスタンスなんかを感じてしまう。

 PKOくらいには協力しないといけなくなった日本とゆー国家、そこへと出す人材を確保する手段として移民の受入も行うよーになった状況を、今のこの政治状況なんかを踏まえつつ物語の舞台として描いたあたりは、このところとみに政治的な問題にコミットするよーになった大塚さんらしーかも。謎めいた事件が次々と起こり謎めいた人物が続々と登場してはいろいろ繰り広げる話を都市伝説めいた形に集めていく形で綴られた短編集だけど、ラストにひろがる退廃のビジョンの恐ろしさはなかなかで、あの「9・11」を超えた今という時代だけに訴えかけてくるメッセージにも重いものがある。漫画版もこんなラストなのかな。女医さんとかどんな感じか気になるんでまとめて読んでみよう。関係ないけどもうすぐ200万アクセス。これを記念して14日午後には「国立霞ヶ丘競技場」に5万人を集めたオフ会をやってまーす(違うだろ)。


【6月9日】 負け続けてばかりもシャクなんで頑張って繰り返してW杯チケットのネット購入にしつこくチャレンジ、したけれど結論かいえば日本で開催される試合に関しては今日明日の宮城に大分なんて人倫にもとる殺生なスケジュールの試合しか緑のランプが点滅していなくって買えず断念。おまけにいつも途中でエラーが出て最後までたどり着けず激しく落ち込む。それでも1度くらいはサクセスフルな気持ちになりたいと頭をめぐらせ、未だ緑のランプがペカペカな韓国で開催されるめぼしい試合について探したら。

 あったよあった、ありました。決勝まで進めばずっと日本が試合地となる日本代表が唯一、韓国で戦う試合になるかもしれない(それはそれで準決勝敗退という哀しい前提があるだけど)可能性のある、大邱で6月29日に開催される3位決定戦がもう既に好評発売中。おまけにいつもは途中で必ずエラーがオーバーロードになってたどり着けない申し込みページに、不思議とスラスラたどり着けてしまってこれはきっと神が与え給うた奇跡に違いないと、手前勝手に解釈して「カテゴリー1」なんて「エースのジョー」とほぼ同じ値段な席を1枚、購入してしまう。

カラーコピーじゃないよチケットだよ日本戦になるかもよ  問題はといえば見かけ以上にあわてん坊な性格が災いしていてあるいはまるで関係のない試合のチケットを取ってしまっている可能性があることと、それより何よりどーやって大邸なんて場所も知らない都市へと当日無事にたどり着き、かつまた翌日には戻って来るのかって所だけど(決勝戦見たいしね)、まあそこはそれ、これから進む予選の経過とか見つつどこのチームが勝ち上がって来るかを確認しつつ、実際に行くかそれともチケットだけキオスクで吐き出してもらって記念に飾るかを考えることにしよー。もちろん日本代表が出て来るよーなら会社なんて関係なし、ぐちゃぐちゃ言うなら吹っ飛ばしてでも韓国へGOだ。

 もしも頑張った韓国との3位決定戦なんて事態になったら、W杯じゃなくても見られるカードでもやっぱり1段2段と真剣度合も違うだろーから、泳いで歩いてでもかけつける所存。なのでせめて日本には準決勝ベスト4までは勝ち上がってやって頂きたい。もしも今日勝って14日にチュニジアにも勝てばベルギー次第でH組1位抜けは確実。でもって審判への恨みをコスタリカ撃破で果たし、イングランドも海の彼方へと押しやって準決勝でブラジルに……勝ちたいなあ。それでも3位決定戦はブラジルvsドイツかブラジルvsイタリアになるから美味しいカードなんだけど。3位決定戦でもドイツVSブラジルは”初顔合わせ”になるのかな。

 この国はもう駄目なのかなあ、なんてことを「創」と「噂の眞相」の2002年7月号を読みながら暗い気持ちになる。ともに例の大阪で起こった大阪高検の現役公安部長が逮捕されたって事件を取りあげていて、やっぱりともに検察を告発しよーとした公安部長を明らかに口封じのために逮捕したんだってな論旨でもって論陣が張られていて、片方なんて現役の「週刊朝日」デスクが綴っていたりして社内的な立場とか大丈夫なんだろーかと心配はしないけど興味は及ぶ。それとゆーのもこーした月刊誌に週刊誌とは一線を画すかのよーに一般紙メディアのどれひとつとっても「噂眞」とか「創」に「週刊朝日」なんかが繰り出す主張がカケラも紹介されていなくって、存在すらしないよーな扱われ方になっているのが奇妙だし不気味で仕方がない。

 山崎拓・自民党幹事長の一見はまだ分からないでもなくって、相手にいろいろと謎めいた部分があったりあるいはドメスティック・バイオレンスだったりフェミニズムといった観点から批判もできない訳じゃないけれど、艶っぽい話に関しては当人同士のプライバシーに踏み込んだ話で家庭の事情を捨て置くスタンスがあってもそれほど不思議はない。けれども大阪高検の公安部長逮捕の場合は調べれば分かる事件性のあるなしといった部分を片方は調べた上で口封じと書いているのに、もう片方は調べたか調べていないのかを明らかにしないまま、そーしら論拠をおくびにも出さずにただ検察側の会見を下ろて来ている。論評をくわえず理不尽さを無抵抗でもって公表することで相手の酷さに輪郭線を与える、だなんて高等な戦術を使っている可能性を否定はしないけれどでも、良心が判断するところによる印象にそぐわない態度が確固として続いているあたりにやっぱり、この国の未来を疑ってみたくなる。どちらが真実を語っているかではない。自分の言葉で語っているか、なのだ。

  家にいてもネットにアクセスして電話代が嵩むばっかりなんで早めに出て「東京国際フォーラム」のキオスクでチケットとやらをピックアップ、四角い未来的な箱にカードをいれるとすぐさまモニターに注文した時に入れた名前が出てくる辺りにホストとの連携のちゃんと成されているんだってことを確認、でもって名前の入ったチケットがオンデマンドで出てくる様を目の当たりにするにつけ、システム自体にさほど問題はなかったんだってことも見えてくる。問題はやっぱりチケットをどこの誰にどれだけ売ったか、ってデータとあとはサーバーの容量を血迷った日本人のアクセスに耐えられるものにしておかなかった、ってことか。最初はどこに端末があるか分からず迷っていたら同じよーに端末を探して歩いていた人がいて、聞くとやっぱりネットで余っていた韓国のフランスが仁川で決勝トーナメント進出をかけて戦うチケットを、同様に初めてゲットできたんだとかで明日にもソウルへと飛んで、地下鉄で仁川へと向かうらしく、ジダンが見られると良いねー、なんて声をかける。

 その足で渋谷とか回って「カンピオーネ」に入場待ちの列が出ている異常事態なんかを観察しつつ時間をつぶして6時頃に「東京霞ヶ丘競技場」へ。開場30分前だから良い時間だろー、なんて思っていたらこれがおお甘で、チケットは前売りだけで完売して当日券はゼロ。でもってそんな前売りを買って集まった外れ横浜な人たちの行列が、「絵画館」のある場所をぐるりと囲んだ半円状の道を「国立競技場」の前からちょうど反対側まで伸びていて、半周歩いてよーやく最後尾へとたどり着く。入場した時はすでに場内の下段部分は満席状態。仕方なく上段の方へと上がって電光掲示板にあるオーロラビジョンが斜めからでもかろーじて見える場所に陣取って、試合が始まるまでを今か今かと待ち続ける。そーしている間にも人はどんどんと増えて通路にまで溢れる混み様で、大フィーバーだったと伝えられた国立での大応援をしながらの観戦の面白さが、はや伝わったんだなって満員の理由なんかを想像する。

テンキセイロウナレドナミタカシ  前回のよーなラップバンドのパフォーマンスもなければ「君が代」の歌い手が「konishiki」とゆー前回の「T.Mレボリューション」とはガラリ変わった人選でになっていて、それはそれで面白かったんかでとちょい、事前の盛り上がりに欠けたかな、なんてことも思ったけれど試合が始まったらもうそこは「横浜」以上に「ワールドカップ」を”開催”しているスタジアムって雰囲気で、前後左右から地響きのよーに巻き起こる声援に耳を冒されながら、盛り上がってくる気持ちの中で前回に続く稲本選手の綺麗なゴールシーンを見ることができた。いや可憐なパスワークからの最高にクールなシュートでした。もしかしてワイヤーアクション?

 後半はロシアに責められっぱなしでディフェンスの温さ以上に中盤でのトラップミスとかからのボールの明け渡しに、日本の試合がいつ見ても不安で仕方のない原因なんかを見る。ただ今回は不安視されてた宮本選手とか戸田選手の頑張りと、楢崎選手の安定感たっぷりな守備っぷりがなかなかで、見ているうちに不安は不安として一方で期待もふくらんできた。散々追い込まれながらもシュートミスとかで追加点を取られなかったことも大きいのかな。それを言うならミスでふかしまくった選手とかには国立と、横浜に集まったサポーターから怒号もわき起こっていたんだけど、とにもかくにも勝てば官軍勝って兜の緒を締めよ、なんで浮かれず慌てず次のチュニジア戦にも勝利して1位でグループを抜けることを確定してやってくれれば、日本の決勝トーナメントもやりやすくなりそーなんだけど。3位決定戦に来るまでは頑張ってもらわないとね。とりあえずは目先のあと1勝を。


【6月8日】 早売り「アニメージュ」2002年7月号、大森望さん「わるものオーバードライブ」にはもう既にイングランドVSアルゼンチン戦の感想が……出ている訳はさすがになくって5月頭に開かれた「SFセミナー」での東浩紀ナイトについて、やれ学生クンたちにエロゲーとギャルゲーの用法の間違いを突っ込まれたとか小川びいさんと「美少女戦士せーらーむーん」について火花を散らしたとかいった、見たまんまの話が出ていて行かなかった人にはきっと、こんなにフクロダダキに出来るんだったら行って僕も参加したかったなんて思えたかも。けど相手はなかなかしぶとい。「上からも下からも押し寄せる攻撃をものともせず、片端から受け流したり論破したり戦略的に後退をつづける」怪人ディベートマン相手に勝とうなんて考えず、1晩を楽しめるアミューズメントと思って参加するのが吉。次は「東浩紀ナイトりたーんずin玉造温泉」。混浴露天風呂だったら喜んで参加するんだけどなー。

 その東さん、浴衣が似合いそーな体型を付録なのかパブリシティなのか今ひとつ判然としないけど個人的には読んでオッケー保存してグッドな小冊子「まるまるブロッコリーにょ」に登場してはブロッコリー社長の木谷高明さんと対談。かつて「ユリイカ」で東さんが「デ・ジ・キャラット」を取りあげたり講演で「でじこ」のイラストを巨大なスクリーンに映し出して、「データベース的キャラクター」としての構造を示しつつ今のデータベース化が進む社会を切ろうとしていた辺りからこれは是非に一度、送り手側の当事者の木谷さんと話てもらいたいなーと思っていただけに、よくぞ「アニメージュ」やってくれたと新橋の今はもう「ゆりかもめ」脇じゃない編集部に向かって頭を垂れる。東浩紀血煙十番勝負之壱、完了。残る9人はさてはて誰が面白いんだろー。唐沢俊一さんともいずれはいちどは”対談”してもらいたいんだけど。

 対談自体は東さんの自説の確認めいた話はそれとして、それよりもやっぱり木谷さんのビジネス的な感覚についての話に興味が及ぶ。グッズが山とでまくって追いつけなくなってしまった挙げ句にオタクが逃げ出してしまわないかって意見に「申し訳ないけど集めることをあきらめていただいた方がいいんだ、と考えたんです。ようするに、お客さんが全部揃えられるかどうかを考えているうちは、広がりにならないんです」と反論。言われてなるほど、世界に「ハロー・キティ」も「ミッキーマウス」も山とグッズが出ているけれど、全部揃えたいなんて考えるのはもはや不可能、それよりも広範に空気のよーにキティグッズが存在する中で選びたいものを選ぶよーに人がなってこそのワールドフェイマスなキャラクターって訳、なんだろー。「でじこ」がだったら「キティ」や「ミッキー」になれるかってゆーと……なってしまうかも。

 「ヤングキングアワーズ」の結構前の号で読んだ「ときめき仁義なき戦い」、じゃなかった「新機軸任侠恋愛シミュレーション 男一発六尺魂」にこのゲームいったいいつ出るんだろーと思って待ったけど未だに出ていないのは対応ハードが「セガサターン」だったからなのかなー、なんて想像をめぐらしつつ、その予告編漫画(違うって)が晴れて収録された篠房六郎さんの初めてらしー単行本「家政婦が黙殺」(ビブロス、895円)を買って読んでひたすら笑いまくる。ハードな世界にオタクを入れたりオタクな世界をハードに代えてみたりといった、アイディアとしては浮かぶし実際ケンシロウがときめもする同人誌なんかも読んだことがあるけれど、商業誌で活躍するだけあって絵は巧いし読んでしっかり面白い。唐突に異常なシチュエーションへと叩き込まれるシュールな感じは「ぽちょむきん」の北道正幸さんとかとり・みきさんに通じるところもあるよーな。しかしやっぱりそれぞれが篠房流、ばかばかしくも熱いストーリーに頭溶けて来ます。

 肉奴隷のおかっぱ眼鏡っ娘なんてストライクゾーンにドシン(といってもストライクゾーンがサッカーのゴールくらいある僕だけど)なキャラクターがお嬢様と執事にイジられ抜かれる「シビレビ」「テカテカ」「ドナドナ」「ビンビン」「コテコテ」の一連のシリーズはエロ漫画誌に掲載な割にはシーンはなく、なのに読んでエロっぽい感情をかきたてられてしまうのはエロを駆動させるシチュエーションなり装置なりを挙げ並べ繰り出して「どうやどうや」と責めてくる漫画だから、なのかも。肉奴隷さんは胸の形が個人的な好みの最高レベル。「肉」印のパンツをめくろーとするシチュエーションはやっぱり今「週刊プレイボーイ」とかで連載の漫画の前のを読んでないの分からないのかな。

 ひと眠りしてサッカー2試合。「イタリアVSクロアチア戦」は見違えるよーに動きの良くなったクロアチアの地力がちゃんと出たってゆーか、やっぱり欧州の激戦を勝ち上がって来たチームに抜けはないってゆーか、とにかく凄い試合を見せられた。現場で見たかったなあ。ロスタイムに同点に追いついたかに見えてオフサイドにされてしまった得点は後でいろいろと議論を呼びそーだけど、これで共に1勝1敗でメキシコも1勝で明日の試合でもしもメキシコがエクアドルに負けてしまったら、全部が勝ち点3で並んでリーグ最終戦が面白くなるんでエクアドルには頑張って頂きたいところ。続く「ブラジルVS中国戦」、あれが「魔の手」だったらロベカルだってリバウドだって跳ね返してただろーなー。


【6月7日】 我敗北す。正午からってんで電話をかけまくったものの何度かけても出るのは「大変混雑しています」のアナウンスのみ。日本戦もイタリア戦もともに同様でもーひとつの奴は場所も宮城なんで最初っから除外。せめてこの時間帯ならネットにもつながるかと思ったけれど似たよーなことを考える人はやっぱり大勢いたよーで、何度リロードしても同じ「オーバーロード」の案内が各国語で表示されるばかりで結局、どこの席がどれだけ余っているのかどこの試合を売っているのかも分からないままタイムアップを迎える。収穫、ゼロ。

 聞くと日本戦は20分、イタリアVSクロアチア戦もメキシコVSエクアドル戦も2時間とかそんなもので売り切れたよーで、戦うイケメン軍団なイタリアが絡む試合はともかくカンポスくらいしか知らないメキシコと1人も知らない(どこにあるかも即答できない)エクアドルの闘いを、ワールドカップだからと言ってそんなに見たいかお前らと叫びたくなる、見てえと声が反ってくる、鏡に映った自分から、だけど。

 いやだってテレビで中継見ているとホント、どこのチームだってワールドカップに出てくる以上はその地域でトップクラスの実力を持っているチームだし、エクアドルは確か予選の成績も抜群だったはずで、にも関わらず初戦イタリアに破れて勝ち点未だゼロなチームが初戦クロアチアを破って勝ち点3のメキシコと戦うなんて試合、真剣さの度合いも3段階は上がろーってもんだ。宮城じゃなかったら見に行っただろーな。宮城が大分でも行くのがサッカー野郎って言われればそれまでだけど。次の狙いは13日横浜エクアドルVSクロアチア戦。イタリアがクロアチアに負けてエクアドルがメキシコに勝ってたらこれは重要な試合になる筈だし。

 とゆー訳で9日夜も「国立霞ヶ丘競技場」行きは決定、おそらくは初戦での尋常じゃない盛り上がりぶりに山とあぶれたファンが駆けつけるだろーと予想され、当日券売場には外に向かって右に伸びれば信濃町、左はどこまでいく中山道なくらいに行列も予想されそーなんで行く人は注意、あるいはすでに前売り完売とか。僕はすでに「イープラス」で買ってあるんで入場まではオッケーだけど、座る場所を考えないと決して大きなモニターではいんで試合がまるで見えないからなー、前回と同じビジョンに向かって右下当たりに一人しょぼしょぼと陣取るか。中村俊輔ネーム入りジャージを着て首にタオルマフラー(とゆーけどただのタオルじゃん)を巻いてるんで見かけたら声かけてね、そんな奴ぁ3000人はいそーだけど。

 でもって読書、訥々と読み継いで3日かかって妹尾ゆふ子さんの新刊「真世の王 上・下」(エニックス、各950円)を読み終える。王国があって権力あらそいをやっていて怪物が出てきて貧相な若者と勇者と魔法使いとお姫さまが出てきてあれやこれやする話、っぽく始まってさてはてどんな絢爛とした異世界ファンタジー絵巻が繰り広げられるんだろーと思ったのも束の間、話は世界がどう成り立っているのか、でもってどう動かされているのかといった高次でメタっぽい展開へと進んでいって、最初に抱いた期待とは違った部分で読みごたえを感じて夢中になる。

 それはまず言葉ありき、みたいな世界観で言葉によって世界は形作られているし人もほかのすべての生き物も無機物も歴史までもが支配されている、ってな感じになっててそんな世界を動かす言葉を使える人をめぐって王様と家来と騎士と魔法使い(みたいなもの)が手を組んだり争ったりする。母音と呼ばれる馴染みの5音を基本につむがれる世界って土台が言葉でしか王位を継承できないルールといった部分にまで貫かれている辺りに、新しい世界を作り上げよーって頑張る作者の想いを感じる。

 なおかつどーしてそーした世界が出来たのか、って辺りにまで踏み込まれていて昔読んだ光瀬龍さんのよーな銀河も宇宙も超えたビジョンが見えて陶然とさせられる。ラストへと至る盛り上がりも最高。エピローグから漂う雰囲気は、失った哀しみと得た喜びがないまぜになりつつ、それでも進んで行くんだってゆー強い意志が漂っていて勇気づけられる。誰が本当の主人公なのかなかなかつかめず、主人公っぽい奴はいてもどーにも頼りなくって感情をなかなか込めつらく、場面の転換も頻繁でストーリーを追いつらかったことに加えて、そもそもが上下2巻1300枚と長いこともあって大変だったけど、読み終えた今は久々にズッシリとした読書をしたって手応えを得られた。おおよその世界が理解出来た今ならまた新しい発見も得られそーなんで、この週末、ネットでチケットゲットに頑張りつつ、脇で訥々と読み返そうー。

 「エースのジョー」が発送されて間もなく届けられるって案内があってまたお金が飛ぶなあ、と複雑な想いに駆られているところに更にプレミアな商品の登場に心が惑う。「コミックバンチ」の2002年6月21日号を読んでいたら広告に新潮社刊「日本サッカー協会オフィシャル2002日本代表全記録」って案内があって、それはそれで3500円とありがちな(でも高い)値段ではあるだけど問題は一緒に出る「豪華版」の方で、脇に打たれた「限定2002部」って文字に、激しく心を揺り動かされるプレミアゲッターな今日この頃、だったりする。

 シリアルナンバーとかトレーディングカードとかってのも悪くはないけど何より「アディダス・ジャパン特別提供による日本代表ユニフォーム生地による布張り装幀」ってのにシビれました。これが例えば試合で着られた選手のユニフォームからひっぺがしたものだったら、なお素晴らしかったんだけどそれだと2002部も作れないから仕方がない。あるいは2002分の1とかで中田選手のユニフォームが表紙の装幀に使われているんってんだったら出荷前に2002部全部を買い占めたい気持ちも起こるけど、1冊1万だから2200万は流石に無理か。全代表版とか同じ装幀で出たら面白いかも。エクアドルは悩むけど(でも買うけど)。


【6月6日】 大昔雨ザアザアですげえ昔はオーメンだったけど今は何だろーな日はやっぱり禄でもない日だったみたいで、11時過ぎに降って来た上からの突発的思い付きな指令で秋葉原へと出向き、「LAOX ザ・コンピューターGAME館」へと出向いて店頭とかにズラリ並んでるサッカーゲームの写真をパチパチやる。本当だったらプロに寄りで撮ってもらった方が迫力なんだけど、貧乏な会社なんで写真部消滅させっれた挙げ句に親会社に借りていて、折からの「ワールドカップ」に出払ってる時期も時期ってこともあって手前で撮りにいかなくっちゃいけないのが情けない。写真部のない新聞社って、何?

 それはそれとして秋葉原へと電車と徒歩で出向いて(タクシー嫌い)、店員さんに頼んで店先で撮影に入って正午前には撮り終えて、近所の「ゲーマーズ」で「あずまんが大王 4」(あずまきよひこ、メディアワークス、680円)とか仕込んでたら今後は、前に出していた記事はトーンが違うから書き足せって話になって、事前に午後の1時から取材あって言っておいたにも関わらずの指令にぶち切れる、フリをしつつも目の前が重要と、POPセットがもらえるって甘言に引っかかってセットで「日めくりあずまんが」も買ってしまう。あと予言どおりに「HAPPY☆LESSON」のエンディング曲「夢の都 TOKYO LIFE」も買って、いろいろ辛いこともあるけど折角来たんだから東京で頑張って生きていこうって気になる。住んでるのは千葉だけど。

 ぶち切れるフリをしつつもそこはそれ、前もってあちこちから聞いていた話を盛り込みつつもありきたりにならないようなトーンで90行ばかりを一気に書いて出して取材に行って戻ったら、これがまた意図していた内容とはまるで違った、ありがちなトーンに直されていてこんどはマジ切れ。リズムもまるで変えられていたんでこれは自分の文章じゃないと言って署名を外してもらう。新聞って結構署名の記事があるけど他の会社ってそーした署名記事、やっぱり前後とかトーンとかを編集のスタンスでもって記者の初稿とはまるっきり変えられてしまっているんだろーか。聞いてみたいけど他紙に(とゆーより全体的に)友だち関係の不自由な身なんでちょっと分からず、元記者今記者そのへんってどうなのよ。

 しかしどーして余所と同じトーンでまとめることに拘泥して、奇抜だったり突飛だったりする(書いた本人はそーとはまったく思ってないんだけど)原稿をパージするのかが分からない。抜けてる時間に行ったのがたまたま任天堂の経営方針説明会で、我らが御大・山内溥取締役相談役が次世代の経営陣に半ば”遺言”めいて吠えた話はつまりは「よそと同じことをするな」って主張で、ソニー・コンピュータエンタテインメントやマイクロソフトはハード企業的な体質でもってとにかく家庭用ゲーム機って製品をとにかく売ることに邁進して、ソフトはそのオマケ的な発想になりかかっているけれど、任天堂がそんなことをしたらそれはもはや任天堂なんかじゃない、新しい遊びを提案できてことの任天堂なんだって話してくれて、なるほどそーあよなーと納得したこともあって、余所が書いたからどうのってな発想が余計に不思議で思えてしまった。

 ソフトに関しては今なお業界トップクラスの会社をして、常に負われる恐さを身に覚えつつ、他とは違った発想を目指して日々邁進しているこの凄み。でもってそれをこれまで実現し、今なお実現しよーと日々研鑽を積んでいるこの素晴らしさ。ときどきちょっとだけ寄り道迷い道もしたけれど、結局はやっぱり本戦をまっしぐらに走っていたりするから驚くより他にない。こなた業界で第3位、ってことはすなわち最下位の新聞なんだから、余所より早いとか遅いとかなんて話を内向きで自慢しあうより、読んでこれは他には絶対に出ない話だと呆れつつも驚いてくれた方がよほどか意味のはる話だと思うんだけど。まああんまりそれをやると縮小再生産のどつぼにはまって衰退の一途を辿る可能性もあるから判断に苦慮するのも分からないでもないけれど。やっぱマイナー気質なのかなー、自分って。

 それにしても山内御大に輪をかけて辛辣だった岩田聡新社長。絵が綺麗になったとか音がよくなたっといったハードのスペックに制限される性能競争なんてものはすでに人間の知覚の限界を超えるところまで来ていて、実際に性能がはるかに良い「ゲームキューブ」も「Xbox」も「プレイステーション2」に販売台数で水を空けられている状況を鑑みるに、今すべきことは遊びそのものの新しさの提案だってことを、ニコニコとした顔を見せながらも立て板に水と喋っていて、なるほどこれなら半世紀を仕切った御大が次を任せるに足る人材を判断した理由も分かってくる、ってすでに3月にインタビューして雰囲気は感じていたんだけど、こーまで堂々と言ってしまえる人とまでは気づかなかった。

 厳しい面を感じたのは、ソフトが値下げ傾向にあることをすっげー勢いで批判していた点。ソフトの適性な価格って実際幾らくらいなのか分からないけれど、ハードを売らんがための値下げは結局、誰も儲からないビジネスモデルをゲーム業界にもたらし、崩壊を招くってゆー主張にはひかれる部分もある。もちろん内容に応じた価格がちゃんと市場で形成されているってことが前提で、内容的にいささかなゲームが出てしまった場合に、それを適性価格へと引きずり卸すよーなマーケットが確立していないにも関わらず、作り手の意識だけで価格を高止めされても困るなけど。まあその辺りについて値段に見合った内容のものを送り出す自信を、任天堂の場合は持っているのかもしれないけれど。

 あと面白かったのは山内御大がどーして子息に継がせなかったのかを聞かれた部分で、まあ模範的とも言える解答で会社は個人のものじゃないし、大切なのは世界中の任天堂ファンがずっと喜んでくれるよーな会社であり続けることで、それには新社長が適任だったって言ってさらに自分が生きている間は世襲はない、ってなニュアンスのことまで言明して、聞いたら子息もちょっと眉を顰めそーな気もしないでもないけれど、だからといって動じない辺りに伊達にカルタと玩具の会社をここまで育てた人間じゃないと関心する。どっかの映画会社にも聞かせてやりたい会見でした。

 しかし対称的だったのが夜に開かれた「プレイステーション・アウォード」。いつもながらよく売れたソフトを表彰する式典で、ちょっと粋がりたい人が必ず通ってはその妖しさに苦笑いを浮かべる他人の視線にいたたまれなくなる「マオカラー」系のジャケットスラックスに身を固め、なぜか今年はその横で巨大な山嶺を真横方面に抱いた小池栄子さんを従えていた(後で佐藤江梨子さんも登場、MEGUMIはまだ来ず)久夛良木健SCEI社長の顔を遠目にみつつ、料理をひとしきりパクついてから退散しよーとしたその時に、登壇した丸山御大がビリー・ワイルダーを例にひいて、ソフトが変わらない他人に驚きを与えなくてはいけないって話をしながらもそれは、グラフィックであったりボリュームだったりする部分での驚きだったりして、京都と青山のカルチャーの違いを改めて思い知る。

 もちろん人間が新しい遊びよりも美麗でリアルなグラフィックに目を引かれ関心を奪われる生き物かもしれない可能性を鑑みれば、SCEIの戦略はそれで正解ってことになる。ただやっぱりリアルだ頂戴だキャラが眼鏡っ娘になった等々の、ゲーム性そのもんではない部分でのバージョンアップを面白がれるメンタリティを持ち得ていないといつかは限界が来そーな進化だったりする訳で、決して生活必需品なんかではないゲームとゆー遊びの場合、たとえ低劣なグラフィックでも面白ければ勝ちでありまた価値もあるんだってことを、両社の首脳の発現なんかを聞き比べつつ思ってみたりする。それでもやっぱりPS2がハードもソフトも突っ走ってしまうのがこの世の常。このままそんな競争が進んで起こることは岩田さんの予言どーりの話かそれとも全世界をカバーした有史以来の大帝国の誕生か。生きているうちには結論出るかな。


【6月5日】 ウェブのチケットセンターにはまるで繋がらず。これがみずほ銀行だったら立ち所に担当者のクビだけじゃなくって最高責任者のクビまで飛んでしまいそーな大アクシデントなんだけど、そこはドイツを例外にすれば大なり小なりアシタマニアーナな西洋の組織のやったりすること、無視され続けた挙げ句にそんなもんかとゆー気にさせられてしまって、カード番号を打ち込むページまで行けたらそれだけでも1日がハッピーに過ごせるんじゃないかとすら思えて来るから人間、馴れればどんな非常事態にだって馴れてしまえるもんだと改めて知らしめられる。

 もっともかろーじて何回かたどり着けた地図のページを見る限り、およそほとんどの会場が売り終わったかまだ売り出してないかで買うことが出来なかったし唯一、緑のランプが着いてた神戸だか大阪には平日のこのこ行けるだけの余裕もないんで最初から除外だったんで、ここはしばらく間をおき人気のチームがことごとく足を救われた後に残るブラジル非アルゼンチンな中南米vsアフリカ勢の試合が決勝トーナメントに出てきて、帰るヨーロッパ人続出でチケット余りまくりな状態になって電話ですら売れ残るよーになってしまってから、買ってそれでもやっぱり世界最高峰であることには変わりない試合を見に行くことにしよー。けど「Jリーグ」だって3年はブームが続いたしなー。やっぱり国立競技場で画面に燃えるだけの「W杯」に成ってしまうのかなー。

 それにしても相次ぐ予想外な勝敗結果には驚くばかり。ルイス・フィーゴにヌノ・ゴメスにセルジオ・コンセイソンなんて聞いたことのある人ばかりが揃ったポルトガル代表を相手にアメリカが勝利してしまったニュースを聞いて、去年の「9・11」以来続くアメリカ万歳なパワーがここに来てもなお代表選手の背中を押しているんだろーか、なんてことを考えてしまう。「ソルトレークシティ冬季五輪」での数々のホームタウンに有利な判定が直接の関係はない韓国の地で第三国の審判によって下されているとは思えないけど、仮にこのまま勝ち進むよーなことがあったらまたぞろ米国の威信なんてものかざされ、米国を応援しない人間は世界平和の敵だ、なんて空気に世界が包まれ出さないとも限らないだけに、今後の活躍(あるいは非活躍)が気になるところ。4会連続で出ているチームなんでアメリカがあなどれないことは承知だけど、相手が毎年恒例のよーに優勝候補に挙げらているスペインが相手だっただけに、背中を押す云々は別にして勝利を収めたことには心からの拍手を贈りたい。決勝で、合おう。

 下品は良い。けど下司はヤダ。5日付け「朝日新聞」の1面にいきなり「ヒデ『最後のW杯』チームに献身」なんて記事が出て、いよいよスタートを切ったばかりの日本代表のこれからますます必要になって来る団結に、またぞろ波風を起こしそうな見出だなー、なんて眉ピクつかせながら思中身を読んで怒髪天。「国の名誉という鎧を着せられた国対抗の代表戦は、チームのために働くことが優先される。プレーを楽しむことをより勝負するサッカーを終わりにし、自分を表現する場を探したい」なんてさも中田英寿選手の代弁者めいて書いていたりするけれど、よしんばそうした理想を心の奥底に抱いていたとしても、自分の感情に優先させて代表チームのために機能しよーと頑張っている中田選手が今ここにあり、また記事もそーした中田選手を取りあげていたりするだけに、そんな頑張っている選手の気持ちを先走ったか忖度し過ぎたかはたまた勝手に妄想したかのよーなトーンで踏みにじる記事を、今この時期に出す意図がまるで分からない。

 想像するなら「国の名誉という鎧」とゆー言葉に凝縮されているよーに「国」は人間の個性も意識も縛る枷であって、それに身を委ねさせられる日本代表チームは悪なんだってことを最低限の前提としてまとめた記事なんだって気になるけれど、国が鎧だとしたらビジネスのために戦うイタリアやイングランドのトップリーグのトップチームは鎧以上の牢獄で、日本代表に負けず劣らず「プレーを楽しむことより勝負に執着」しなきゃいけない。「自分を表現する場」でなんて絶対にない訳で、だからこそあれやこれや言われて得意とされるポジションを外されても中田選手はパルマから逃げ出さないで仕事をし切った。いや違う、クラブチームはそこに契約とゆー意志による選択があるわけで「自分を表現する場」でなくてもそれは自分で選んだもの、たいするに国はただ国であるとゆー暗黙のプレッシャーで、そこに生まれ育った人間を縛りつけるんだってゆーのかもしれない。ってゆーかあるんだろーね、オリンピックで国のためとかチームのためとかゆー風潮に反発する選手をやたら取りあげる風土なんかから想像すると。

 それはいい。ただやっぱり何故今、この時期に書いたのかってことが気に入らない。「報道の自由」ってこともわかるし「言論の自由」もそりゃ分かる。分かるけれども自由につきまとう責任とゆー面において、こうしたトーンの記事が今出たことでおこった影響に、記者は、載せた新聞社はちゃんと責任を取るのか、取れるのかってことが気にかかる。これで起こった波風が、プレーに影響した挙げ句に予選で敗退してもきっと「朝日新聞」は国の鎧に個性が潰された結果の敗退だ、なんて書くに違いない。あと当人が会見を開けばタイミングとかもあって真正面から否定するだろー話を、「周囲に伝えた」なんてソースだけで膨らまし相手の気持ちを忖度しまくってまとめて記事にし、1面に堂々と載せて果たして公明正大がウリな新聞としての体面が保てるのか、って疑問も起こる。まあ騒いで波風をさらに煽ればかえって「朝日」の思うつぼ、大人然と対応してチクリ批判もした中田選手の凄さに感嘆しつつ、”我がチーム”のために頑張る選手たちスタッフたちサポーターたちを応援し続けよー。それにしてもチケット落ちてないなあ。


【6月4日】 悪い奴憎い奴は奪っていった奴の方で別に恨みがある訳じゃないけどでも、しばらくはキリンの「一番絞り」は飲みたくないしNECのパソコンだって多分使わない。カラオケでももう「世界中の誰よりきっと」は唄わないんだろーなーと、ミポリン中山美穂さんが芥川賞作家の辻仁成さんと入籍したってニュースを見ながら茫洋と思う。今までだったらあの剽軽な美しさだけを瞼に浮かべられたのに、これからは後ろにあの陶然としたしたり顔がどうしても浮かんでしまうだろーから。

 このカップルがしばらく前に「FRIDAY」された京都での密会。その時は辻さんが撮ってる映画の単なる打ち合わせだと思っていたしそう思いたかった気もあったんだけど事実は小説なんて目じゃないくらいにストレート。そのまま見事なゴールインに流石は「FRIDAY」と誉め言葉の1つ2つ贈りたくなって来る。それにしても前が南果歩さんで今度は美穂さんと末尾に「ほ」が付く女性を連続で選んだ辻仁成さん。となれば辻さんと結婚したい人はまず末尾に「ほ」がついてる名前かどーかを確かめるべきなのかも。喜んでいいっすよ、福島瑞穂さんフィンセント・ファン・ゴッホさん。

 午前3時4時5時6時とネットでのチケット取りに挫折して緑すっぽ眠っていない頭に今日が課題図書の感想文の提出だって期限が走馬燈のよーに(用例が違う)浮かんで慌てて1冊読み始める、うわお小説だ、エッセイとかなら全部じゃなくっても目立った1編2編なりを読んでプロフィールを確認して前書き後書き能書きを読んで何となくでっちあげられるけど、小説に関してはストーリーと最後のどんでん返しまでを確認しないと判断できない小説読みの悪い性、なんて多少は端折りながらも早朝から一気に1冊、橘玲さんって人の「マネーロンダリング」(幻冬舎、1800円)。

 橘? 誰? って思って陶然実は僕も瞬間思ったけれど、プロフィールの欄に「海外投資を楽しむ会」ってのを運営していてしばらく前に「ゴミ投資家のための人生設計入門」とか言った本を書いたってあって、ホームページはともかく本については理不尽ではない悪口の帝王、山形浩生さんが「CUT」って雑誌で書評だか漫才だかをやっていたのを思い出して、だったら内容も経済の面については安心して読めるんじゃないかと予想する。

 事実そーだったんだけど意外だったのはドラマの部分。本のどこだかに日本国債だか米国債を売買して日本の危機を防ぐファンドマネジャーだかが出てくる荒唐無稽な本があるだなんて眉を顰めて舌打ちしてたりするけど、言うだけあって同じ穴のムジナにはなっていなくって、刹那的になって復讐心と狂気に凝り固まった人間が見せる執念に、ヒーロー然とした男に崇拝と嫉妬の入り交じった感情を抱く人間の哀しい性とか、死ぬには多すぎるけれど生き続けるには全然足りない中途半端な金を持ってしまった人間の宙ぶらりんとした感覚とかいった、人間の心の機微が海外送金だとかオフショアだとか書いても意味なんてまるで不明な手法を駆使して脱税しよー、金を隠そーとするワルモノの手口の披露と絡めて描かれていて、情報は楽しめドラマにはハラハラさせられる。

 もちろんドラマのプロに金融のプロが読んだらこれぞどっちつかずの典型だなんて言葉のひとつふたつ出そーな気もするけれど、手口の部分は真似できるだけの金はなくとも未来を想ってそれなりな参考になりそーだし、ドラマの部分も5億の金を持って失そうしてしまった女を情報の網を張り知識を駆使しながら探し追いつめ真実を暴き建てるミステリー的サスペンス的なエンターテインメント的な要素は読んでいてわくわくさせられる。気になるといえばかの村上龍さんが帯に推薦文を書いていたりすることだけど、それだけポピュラリティもあるってことと言えなくもないからやっぱり悪くはないのかも。ここはシリーズとはちょい違うけど、ジェニファー・キャラハンさんを香港から読んで(未だにいるかは不明)山形さんと「おっす」で始まる愉快な対談をしてやって頂きたい。どーなんだろ。

 かつて数々の名勝負でもって日本のサッカーファンたちを湧かせた国立競技場なのに、肝心要の「ワールドカップ」の会場にはならないってゆー辱めを受けてしばらくは立ち直れないだろーと想っていたら意外とゆーかむしろ当然とゆーか、はるか埼玉で開かれている「日本VSベルギー」戦の模様を客席の片方のゴール裏にしかないオーロラビジョンを皆で眺めて応援するって、傍目には割に間抜けにとられてしまいそーなイベントが国立競技場で開催されて、5万人とかに迫るくらいの観客を集めて大盛況で激しく驚く。国際大会とはいえ半ば挑戦半ば顔見せな「キリンカップ」で去年、代表とは最後の試合になるユーゴスラビアとチラベルトのいるパラグアイとの試合があった時だって、客席は激しく余ってたんで、日本戦とはいえ目の前で行われない試合にかくも大勢、集まるとはちょっと思えなかったんだよね。

 且つまたさらに驚いたのが競技場内のほとんどが青いジャージで埋め尽くされていたことで、どんな試合でも両方のサポーターが対峙するのが普通だったサッカーの試合で、オール一色だってのはちょっと珍しい、とか想ったら夜の「韓国VSポーランド」戦は釜山の競技場内がオール真っ赤っか。これがホームって奴かと改めて日本でサッカーのすごい試合が開催されている事実を噛みしめる。5万人がウェーブをやって3回も場内を波が回ったビジュアル的な凄さにもちょっと感動。オーロラビジョンはテレビ向けの国際映像が入りきらず下側が切れてたりしたけど、同じ場を共有して同じ思いを抱いた人たちといっしょに激しく声を出したり拍手をする楽しさは、試合会場で見るとこに続く次善の策なのかも。9日こそはジャージを来て青い波に加わるぞ。タオルも前へと掲げるぞ。頭も戸田みたく真っ赤に染めぬくぞ、真ん中に毛がないから真っ赤に見えないのが哀しいぞ。


【6月3日】 よーやくやっと発見、いやエロい。ってゆーかエロいって言葉だと妙に軽く乾いた感じになってしまうから、むしろエロティックと言う方が内容に対してより近いのかも。「月蝕歌劇団」なんかで活躍している女優の川上史津子さんがずっと書き溜めていたらしー女性のセクシャルな感情とか行為を割にストレートにあけすけに綴ってみせた短歌を1冊にまとめた「恋する肉体」(飛鳥新社、1600円)が遂に登場。ちょうど去年だかに渋谷の地下にあるスペースで朗読会が開かれて、聞いていてそのあけすけぶりに慄然としたものだけど、まとまったものを読むにつけ、よくもまあこれほどまでにアレのことを考えられるものだと感嘆する。

 帯にあるのを挙げると「五分でもいいの神様あの男性(ひと)を強姦できる腕力(チカラ)を貸して」とかはそのまま人間の衝動なり欲望なりが現れた歌だしやっぱり帯にある「戯れに繋がったまま縊られて”このままシンでみてもいいかも”」もやっぱり刹那的な想いに強さを描いている。かといって従属的な存在として女性を位置付けている感じはなくって例えば「『おまえだけ愛しているよ』なんていう重い十字架背負わされた日にゃあ」なんて、背負いたかったという願望と背負わされたという葛藤の混ざった微妙な雰囲気が立ち上っているようで、女性男性をとわず人様に特定の価値観を押しつけることの裏側にある重さを感じさせられる。書かれてある内容に個人的にはおよそ実感はないけれど(相手がいねえ)、読んで納得の人は結構多いかも。稲越功一さん撮影の表紙のくびれ&尻はいったい誰のなんだろ。

 委員長ってば、お茶目。って別に委員長がコスプレした訳じゃないんだけど、妄想だか想像の中でフェアリーになって池の端とか飛び回ったりする姿が冒頭からいきなり登場して、目はもうパッチリと開いて画面に釘付けになって、「ワールドカップ」のコッテリとした試合を見疲れた目もキレイすっきり癒される。本編にはまるで無関係なシーンだったけど、「HAPPY☆LESSON」。お話の方はと言えば潰れかかったクラブを存続させるために奔走する委員長にいつしかほだされ、協力してしまうってよくあるストーリーだけど、よくあるだけに見ていて安心できました。次はシンガー大フィーチャーの回。今ひとる不明なキャラだけにどんな内面を見せてくれるか楽しみ。それにしてもCMに登場のコスプレっ娘な中川亜紀子さんには……。DVDとかに入るのかな、それはそれで……楽しみ。  大人向けの玩具がまたぞろ流行りそうな気もして関連情報を集める中で、毎度お馴染みの侍フィギュアのアルフレックスのページを見ていてとんでもないブツを発見。っていうか今さらな気もするけれど、しばらく見ていなかったから分からなくっても仕方がない。そのフィギュア「エースのジョー」は頼めば適う夢の商品を多々作って大きく成長して来た「たのみこむ」の発注で制作した品物で、アルフレックスの可動素体の上にまだほっぺが膨らんでいいた頃の宍戸錠さんの顔が乗ったなかなかの逸品。あまりの素晴らしさに見て即座に申し込んでしまった。ミイラ取りがミイラになるってこーゆーことか。

 グッズ類にもアルフレックスならではの拘りがいかんなく発揮されていて、サングラスは着脱可能でレンズはちゃんと透けてるし、手にはちゃんと「モーゼルミリタリー」を持たせている。「殺しの烙印」がモデルなんで当然ながら炊飯器まで付いている。匂いまでは付いてないだろうけれど。値段も結構良い値段だけどそれより「たのみこむ」では200体限定で市販される100体と合わせて300体しか作られない、というのも買ってしまった理由。あの「座頭市」でも確か3000体はあったし「うっかり八兵衛」でも1000体あるのに、この少なさはやっぱり相当の稀少化が期待できそー。その割には今現在に至るまで枠がいっぱいになっていないのは気になるけれど。やっぱり「コルトのジョー」じゃないとダメだったのかな。

 ピクついていたところに更にピクつく話があって身もだえする、じゃなかった身も絶え絶えになる。どちらもブックレビュー絡みってことだけど、ひとつはまあ経済の問題だったりして、薦められた本だったにも関わらず買って読んだらレビューは不要と言われて、個人的な読書体験に終わってしまったなんて事態に対するプロレタリアートなインタアナショナルの感情はあっても、資本主義的な世の中に生きている身として結論は理解しなくちゃいけない。とゆー訳で2年ほど付き合って来た「bk1」からは全面ではないけど微速転進。しがらみも薄れたってことで、心おきなく日の丸アマゾンのアソシエイト・プログラムに登録したり、カスタマーレビューを投稿して図書券ゲットに燃えよー、売れたり採用されるかは知らないけれど。「bk1」の読者レビューに投稿してもいいかな。

 もうひとつの方はしばらく進行形。ただ人にはそれぞれにさまざまな考え方がありスタンスにも違いがあるもので、相手がどうしてそういったスタンスを取るのか、あるいは取らざるを得ないのかを自らのスタンスも含み置いて想像してみる必要性を強く感じる。そこへと至ったプロセスへの疑問はそれとして、「bk1」からの微速転身を図るのは相手に事情があるのが理解できるからだし。まあいいや、今月は「ワールドカップ」が開催される世にも目出度い月なんでとことん付き合って差し上げよう。私は誰の挑戦でも逃げる(いかんじゃん)。


【6月2日】 ムカつくことがあったけど(過去形でもないけど)知らんぷりして日曜出勤。これまで頑なに休刊日明けの宅配を否定して来た産経新聞が「ワールドカップ」のリアルタイムな情報を伝えるべく明日はレギュラーで新聞を出すことになって宅配も当然ながらすることになって、その余勢を駆ってこっちも新聞を出すことになったんでゲラとか見る当番として呼ばれる羽目となる。昨日もたまたま偶然順番で土曜日の当番が回って来ていてこれで週末はパー、だった訳だけど実質的には家にいよーが会社にいよーが「ワールドカップ」を見ていることに変わりはなく、むしろ冷房の壊れた冷えすぎる部屋で本とかに押しつぶされそーになりながら見るよりも、会社にある大きなテレビで空調の効いたなかゆったりと見る方がよほど快適だったりするから、むしろ出勤で良かったかも。

 これも怪我の功名って訳でもないだろーけれど、家で見ていると途中で微睡んでしまったり、チャンネルをザップしてしまった挙げ句に肝心の得点シーンを見逃すことがよくあって、昨日の「ドイツvsサウジアラビア」の試合なんて8点中の4点しかリアルタイムに見られなかったんだけど、今日見た2つの試合の最初の「アルゼンチンvsナイジェリア」はベロンのコーナーキックを二人三脚で飛んだうちの後ろ側にいたバティストゥータがヘディングで見事に押し込んだシーンを目撃出来たし、後の「イングランドvsスウェーデン」のも復活なったベッカムの絶妙にして巧妙なコーナーキックをあれはキャンベルだったっけ、後ろから突進して来てジャンプして真正面から叩き込むシーンを目撃できたし、後のスウェーデンがイングランドのディフェンスのミスをついてボールを奪い蹴り込んだシーンもちゃんと目撃。動いた3点のすべてをブラウン管越しとはいっても直に見られた幸運に比べれば、休日出勤なんて全然辛くない。週末のデートとかの予定なんて30年前からずーっとないし。

 プレミアリーグとかチャンピオンズリーグとか欧州予選とか地上波じゃやらないんでベッカムがどれだけ凄い選手かあんまり分からなかったけど、故障上がりとはいえ右足から蹴り出されるボールの命が宿っているかのよーな飛び具合止まり具合には驚くばかりで、正確性なんかも考えると飛び道具としての威力を期待された中村俊輔があれはポーランド戦だったっけ、得点にはなったけどミスキックだったことと比べてやっぱり日本のトップと世界のトップには、違いがあるんだなって思えてしまう。

 もっとも途中から弱まって来たのかそれとも接触プレーを避けたのか、敵が迫って来る前に蹴り出ししてしまって絶妙な場所へと落ちず得点につながらなくなってしまったよーに見えた辺りに不安も残る。それよりオーウェンがまるで見えなかったのが気になるところで、さしものワンダーボーイもゴール前へとボールを運べなければ活躍のしようがないってことなのかも。夜の「スペインvsスロヴェニア」でディフェンスを1人かわしもう1人の股を抜いてゴールにボールを叩き込んだラウールの技に仰天しただけに、同じストライカーとしてオーウェンにもゴールシーンを期待したいところ。柳沢とか鈴木とかには……シュートくらいは打てとしか言えないな。

 コナミマーケティングの人から何故やらないのかと聞かれてしまったんでコナミから出ているミリオン(予定or確定)サッカーゲームの「ワールドサッカー ウィニングイレブン6」なんかをプレイしてみる、ってゆーか触ってみる。ずっとやって来た人には操作なんかも周知できっと華麗にパスなんかを回した挙げ句に絶妙なシュートを放ってジョン・カビラの「グォーーーールッ!」って雄叫びを聞きまくれるんだろーけど、何をどーさわれば長いパスに短いパスを渡したい相手に渡してつないでゴール前へと運んで蹴るなり頭ではたくなり落として後ろの人に任せるなんて芸当が出来るのかまったく分からず分かっても指先が動かず戸惑い悩む。

 それより以前に敵が運んで来るボールをどーやれば奪えるか分からず近づくはるか手前でボタンに触って莫迦みたいにスライディングをさせてしまう体たらくでは、とてもじゃないがゲームの面白さを理解できない。ただ相手の動きなんかのリアルさ、入っているチームと選手の豊富さなんかを思えば相当に遊びでのあるゲームだってことは理解可能。中山選手の起用がメディアの話題になって売れたけど、そーでなくても「ワールドカップ」事態が盛り上がればフランス大会の時とか長野五輪の時みたく、スポーツゲームってことで売れたことだろー。ちゃんとしたタイミングでちゃんとしたラインナップを揃えられる辺りがやっぱりコナミの強み、ってことになるのかな。スクウェアの「ワールドファンタジスタ」にも頑張って頂きたいところ。セガはどこに行った?(いるけど「サカつく」とかで)

 サッカーづくし。とは言え本もちょぼちょぼとは読んでいて、朝日ソノラマから送られて来た樋口明雄さんの「俺たちの疾走」(1200円)を一気呵成に読了、かたや父親が仕事への挫折から自殺し母親は地元に巻き起こったレジャーランド建設に反対する運動に参加した挙げ句に暴漢に襲われ入院した渉と、こなた当該のレジャーランドの建設を進める土建屋を率いる男の息子の智哉が何故か仲が良く、世間に対する苛立ちや親への反発心から戦車を奪って海を見に行こうって話になって何故かそれに成功してしまい、富士の裾野からはるばる山を越えて日本海へと走り出す。その突飛な行動を世間の多くはキレた少年の無鉄砲と見ていたけれど、息子を失った自衛官やキャリア警察官の道に挫折して少年犯罪の心理分析を仕事にしていた刑事の関心をひきまたノモンハンで戦車を頃がしていた元日本兵の参集などもあって、歴としたプロ集団の自衛隊の追撃をかわし警察の網もくぐりぬけて戦車は海へと向かって疾走する。

 だって素人が運転している戦車でしょ、だったらすぐに止められてしまうでしょ、って意見に応えて彼らが走り抜けられる条件を、背景を用意して話の中に巧みに折り込んである点が面白く、あるいはこれだったら自分たちにだって戦車を海まで走らせられるんじゃないか、って思えて来る。ポリティカルな情勢を折り込みいささかカリカチュアライズさせて描いた夏見正隆さんの「僕はイーグル」も読んであれこれ考えさせられるけど、戦車が奪えておまけに戦車の動かし方のティーティングを受けられてってな感じに多少都合の良すぎる部分はあっても日常的な理解の範囲にあって、そんな範囲で起こる出来事を通して大人も子供も悩み苦しんでいるんだってことが描かれていて、そんな苦しみや悩みに対するひとつの答えを見せてくれるって面があって、読んでいてとっても気持ちが良い。コンビニの前に止めて弁当を買い高速道路を疾走し山野をかけめぐりときどき主砲も売ったりする戦車の姿、そんな戦車に希望を重ねて乗り込む人たちの姿を映像としてスクリーンの上で見てみたい気分。「90式」を自衛隊から借りて誰か映画とかにしないかな。無理だったら盗っちゃうか。


【6月1日】 頑張った。よくやった。感動した。ので日比谷公園で開かれてるって「スポーツニッポン」で読んだ「セネガル村」ってイベントを見に行く。最初はセネガルの人たちが溜まって民芸品を売ってるだけって思っていたら、意外にも大きなテントが並んで前にこれまた立派な木製の椅子とか木彫りの人形とか動物とか、布とか民族楽器とかが並んでいてそこいら辺にあるアフリカ民芸品店なんかよりよほど充実した出品物にまず驚く。さらに値段を見て仰天、これが安い。まあどれくらいが妥当な値段かって知っている訳じゃないけれど、おそらくはショップとかで買ったら10万円はしてそーな、結構な高さのある木彫りの人形が数万円とかだったり机の上に飾って楽しめそーな小さい動物の彫刻が数千円とかで、これだったらフランスを撃破したご祝儀にひとつふたつ買ってあげても良いかなって気になって来る。

アフリカーンな逸品の数々。買って並べれば中島らもが古川日出男な気分になれまーす  問題は売っている人たちとまるで言葉が通じないことで、宗主国だったフランス語を多分喋っているのかな、なんて思ったけれど決してそーでもなくって値段が聞けずにブツを前にしばし呆然。そんなところに現れた救世主が日本人みたいな顔をして日本語を喋る人、ってつまりは大使館で働いているらしー日本の人で、聞くと藤枝市でセネガルがキャンプを行った時に、市内に作られた「セネガル村」で売られる予定だった民芸品が発送の遅れもあったか期日までに届かず、届いた時にはすでに売る場所もなかったそーで、かといってこのまま持って帰るのもつまらない話。だったらとゆー訳で日比谷公園に店を開いて展示・即売してしまえってことになったらしく、そのために正真正銘のセネガルの民芸品が、極めてリーズナブルな価格で並ぶ事態になったとか。選べなかった藤枝市の人にはちょっと申し訳ない気もするけれど、東京でこーしてセネガルの文化の一端に触れられて個人的には嬉しかった。

 ただ心底から喜ぶにはひっかかっていたのが藤枝市で起こった担当課長が心労もあって亡くなった事態。心労には届かなかった荷物の分もおそらくは含まれていただろーから、それとは裏腹な関係になる東京での「セネガル村」開村を藤枝市の人が複雑な心境で受け止めているだろーことは想像に難くない。ただセネガルもその辺りへの思慮は心得ているよーで、配られていたチラシにはこの「セネガル村」での売上の一部が、藤枝市の教育委員会スポーツ振興課課長に弔慰金として贈られるって書いてあって、だったらなおのこと何か買ってあげなければと決心、個人的に好きな動物のカメの置物をいくつか物色して、手元にあった5000円札でちょうど買えるちょっぴり大きめのカメの木彫りの置物を頂戴する。そこで7000円くらいのを値切って5000円にするのがアフリカ流なんだろーけれど、通訳の人をわずらわせるのも悪いしかといって個人でセネガルの人を相手をするのはなお困難。安いけどボーナス日も近いってことで祝意と弔意を含めて言い値で引き取る。今にして思うとやっぱりカモだったかな。

 4年に1度、「ワールドカップ」が頻繁にテレビで放映されるシーズンの直後に起こる「ワールドカップ・アイ」なんて病気が、あってこれに罹ると日本で繰り広げられている「Jリーグ」のゆっくりとしたペースで進むパスとかトラップとかのミスが続出なゲームを正視できなくなってしまうんだけど、今年に限ってはそんな心配もなさそーってゆーかもっと心配な病気が到来して、気持ちをなだめるのにちょっと苦労しそう。その病気の名前は「少林サッカー・アイ」。そう今もっとも映画館で話題になっている映画「少林サッカー」を見てしまうと、最先端の技術をもってして行われている世界最高峰の妙技といったところで、シュートをしても龍にならないし飛び上がっても3メートルすら上がらない、ボールに当たった選手は吹き飛ばないしゴールポストが折れ曲がることもない、そんな試合がただのタマケリに見えてしまって仕方がなくなるのです。人間が行う究極のタマケリではあるんだけど。

 とにかくすごい人気ぶり。初日だとはいえ「ワールドカップ」の「カメルーンVSアイルランド」の試合の真っ最中であるにも関わらず、銀座の外れの「東劇」には開演前に長蛇の行列ができる盛況ぶりで、僕が見た4時50分の回はほぼ満員で、列の並び具合から考えると次の7時10分からの回もおそらくは満員になっただろー。あちらこちらで出まくっていたパブリシティの効果もあっただろーし映画館で見た予告編の楽しさもあっての前人気だったことは分かる。喜ばしいのはそんな人気に誘われて来た観客の大半が、見ている間に起こる笑いと拍手から想像するに、存分に映画を堪能して帰途についたらしーってことで、劇場の外に出たグループで見に来ていた人たちが、今見たばかりの映画の話を口々にかわして駅方面へと歩いていく姿を見るにつけ、与えた影響の大きさも想像できる。見る前から納得だったけど、見ても納得の映画。これは行くね。

 CGの合成で描かれるシーンだって、物理法則等が考慮されたリアルな世界からはほど遠いものなんだけど、そーした大袈裟を楽しみたい人間の気持ちを実に心地よくくすぐる絶妙な演出がされていて、莫迦だなあと笑って見ていられる。予告編とかで激しく流れた「アストロ球団」も吃驚のアクロバッティックなサッカーのシーンがなかなか出てこず、前半の出会いと恋愛と人集めと修行のシーンの長さがちょっと気になったけど、そこで繰り広げられていたさまざまなエピソードとか小ネタがちゃんと終盤からラストにかけての伏線になっていて、圧倒的なカタルシスの後に心を柔らかくほぐす役割になっていたことも楽しく劇場を後に出来た要因かも。1見では瞬間で理解できなかったけどラストシーンに登場する看板に映っていた2人で誰と誰だったんだろー。競技から想像すると手技が得意な2人ってことになるんだけど。「ワールドカップ」に飽きたらまた見に行こっと。

 しかしどーして「少林サッカー・アイ」に罹る間もなく「ドイツVSサウジアラビア」のすさまじい試合を目の当たりにして、巧いチームの巧さ、強いチームの強さって奴を嫌と言うほど見せつけられる。とにかくでかい。なのに速い。でもって軽い。そりゃ10メートルも飛びはしないけどおよそ人間とは思えない高さでもってサイドから飛んでくるクロスにピタリを頭を合わせて相手ゴールにボールを突き刺し、芝生はなぎ倒さないし炎も発しないけど鋭い脚の素早いひと振りで相手ゴールへと一直線にボールを飛ばす技を見ると、人間だって極めればとてつもない所まで行けるんだってことを思い知らされる。ってゆーかサウジアラビアのディフェンダーとドイツのフォワードが同じ人類に見えなかったよ、大きさでも強さでも早さでも。それでもこれが他のチームだったら途端にドイツらしー鉄板と鋼材がぶつかりあう試合になってしまうんだから、やっぱり「ワールドカップ」は凄いってことで。それにしてもどーして「ミッドナイトオイル」のピーター・ギャレットがドイツでフォワードやってるんだろ(違うってば)。


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