縮刷版2002年5月下旬号


【5月31日】 9試合見に行くだの韓国まで出向くだのって話がネットの、あちらこちらから聞こえて来るのを耳にするにつけ、自由業な人たちの自由さってのを心底から痛感させられるけど無論、自由を掴んだ人たちにはそれだけの精進もあった訳だから漫然と勤め人をしながらボーナスまでの日付を指折り数えている人間が、同じだけの自由を望むのはやはり筋違いってことになる。それでもせめて折角の、今世紀中に来てあと1回あれば関の山の「ワールドカップ」を少しでも身に楽しむべく、取材返りに渋谷に寄って「カンピオーネ」で関連グッズとかを物色。おそらくは代表選手の発表があってから慌てて作ったんだろーメンバー全員の写真がプリントされた豪華で豪毅なTシャツを買って、来ていたシャツを脱いで着替えて街の中とか社内とかを歩いて、今日の良き日を心からお祝いすることにする、悔しさを奥底へと押し込んで。

 それにしてもな盛況ぶり。Jリーグの創設期はまだしもしばらく前の「冬の時代」と言われた時期には結構、閑古鳥がないてたサッカーショップなのに中田英寿選手が海外へと移籍して活躍を始めた辺りからちょっぴりだけど盛り返しを見せ、「ワールドカップ」の開幕が近づいてサッカーへの関心がじわじわじわっと上がって来るにつけて来る人たちの姿も増えて行き、今日なんてもうレジ前に行列ができるくらいの大賑わいで、ブームに踊らされやすい日本人のこれが悪い癖ではあるんだけど、ただでさえ沈んだ世相なんだからせめてこーゆー時期くらい黙って踊らされてやるのが粋ってもの。1万円を越すレプリカジャージが飛ぶよーに売れても景気がどれだけ浮上するかは分からないけど、冷えた消費がそんな所からでも動けばまだましってことでもあるし、今のこの盛況を喜んで受け止めることにしよー。

 メンバーの背番号がプリントされたTシャツには10番中山のバージョンもよーやく登場したよーで、段ボールに入って店頭に並べられていてちょっと欲しかったけど、すでにレプリカジャージの10番中村を買ってしまっていたんで俊輔に敬意を表す意味で今日のところは遠慮する。でも日本代表の試合が始まって中山選手が活躍しだしたら分からないかも、ほら乗りって大切だし。10番と言えば6月6日にスクウェアから発売されるサッカーゲームの「ワールドファンタジスタ」が確か、プロモーションのキャラクターに名波選手を起用していてそれがゲームの中で10番を付けていて、俊輔以上に代表からも10番からも遠のいてしまった現実を踏まえると、中山選手の起用でバカ当たりしてしまったコナミに、プロモーションと発売時期で2段階くらい突き放されてしまった観がある。まあそこはチラベルト選手とかエムボマ選手なんかもスクウェアならではのリアル系CGで見事に再現されているゲームなんで、パラグアイなりカメルーンの活躍次第では盛り上がることもあるのかも。アルコタワーはカメルーンの国旗を掲げて祈るべき?

 そんなこんなで開幕戦。もちろんテレビで観戦。セネガル……強いじゃん。アフリカのチームでも頭抜けた強さを持ったチームとは聞いていたけど相手のパスをカットしたり足下からうまく奪ってはちゃんと前へとつないでゴール付近まで持っていくだけの技を持っていて、ピッチの状態はまるで違うしジダンもいなかいとはいっても、いつぞやの日本代表なんかとはやっぱりモノが違うんだってことを見せつけられる。ロス五輪の予選でブラジルが日本に破れた番狂わせに比べれば、世間的な納得の度合いもはるかに高いだろー。試合事態は全体的にはフランスが圧倒的に押してたよーに見えたし、中でもアンリの能力のとてつもない高さが目立ちまくっていたけれど、ことごとくバーにはじかれる運の悪さと相手キーパーのなかなかなセービングがあってか結局無得点。あるいはセネガルならではの秘術がスタジアムを漂ってフランスとかアンリにゴールの位置をズラして見せていたのかも。チュニジアとやる日本も注意が必要かな、最大のラックをもたらすナリタサンのアミレットを持って試合にのぞむべきかな。

 昔はそれほどとは思わずどちらかと言えばゆうきまさみさんの描く女の子の方にトキメいていたんだけど最近、感性が変わったのか飛び込んでいた鱗が落ちたのか伊藤伸平さんが描いていた女の子の可愛さに胸が踊るよーになったみたいで、分厚い本でもって再刊になった「楽勝! ハイパードール」(英知出版、1890円)を一気読みしながら強かったりお茶目だったりガサツだったりとさまざまな姿を見せながらも大活躍する2人の少女を堪能する。「鉄腕バーディー」よりも正式コードネーム「ラブリー・エンゼル」よりも露出の高いコスチュームも要因のひとつだけど、キャラクターの性格付けのミもフタもなさとか展開の死人とか絶対に出ない悩天気ぶりとかが、読んでいて気持ちを脱力気味に楽しくしてくれるのも要因だったりするのかな。「トラウママンガマガジン」だなんてまさしく30代のトラウマになっていそーな漫画を今に復活させた作品を収録する雑誌に「ハイパードールHG」として連載されるみたいで、昔に増して可愛いキャラを描いている伊藤さんの筆がどんな悩天気な世界を生み出してくれるかに期待。しかし他の連載が「ゲームセンターあらしA」い「新・あまいぞ男吾」ってのは、なあ。遠山光さんとか萩原玲二さんも昔取った衣笠かなあ。大地丙太郎さんは何すんの?


【5月30日】 冗談、では多分終わらないんだろーと読んで震えた「ヤングキングアワーズ」2002年7月号所収の「コミックマスターJ」。どこかで聞いたことのある「青少年有害情報対策法」なんてものが施行されて有害メディアを監視する機関ができても「気にしてない」「よほど酷い漫画か売れてる漫画で暴力描写があるのが見せしめになって終わりだよ」と構えていた編集者の甘い見通しを超えて起こったのがとてつもない事態。エロ漫画のゾーニングなんてもんじゃなく暴力的な描写があればそれがたとえ異次元のファンタジーでも敵から与えられる攻撃であっても、まかりならんとゆー風潮が蔓延るよーになり、努力友情勝利の金字塔として絶大な人気を持っていた漫画が社会から排除されていく。

 大袈裟、と思えば思えないこともないけれど、どんな表現物でも人に何らかの影響を与える以上はたとえ無抵抗を貫く漫画でも、点として描かれている暴力が影響を与えないとは言い切れなかったりすることで、無論文脈から判断すればそれが全然暴力を称揚するものではないと分かるけど、排除を意図した側にとってはそういった理屈は無関係だったりするのが通例だから、逆らいようがない。加えて漫画にも描かれているよーに、おもねるメディアが出ては自分たちへの免罪符と引き替えにスケープゴートを作って糾弾することもこれまた過去の類例から絶対にないと言い切れない所があって、それも漫画を冗談をは思えない理由のひとつになっている。「個人情報保護法案」から自らを守ろうとする某新聞が折衷案めいたものを出すことで止めるべき議論を無理にでも進めよーとしたみたいに。

 むろん悪い影響が絶対にないとは言えないしむしろ人に何らかの感動を与える以上は悪い部分だって影響を及ぼす可能性があると考えるのが当然。問題はそこで何が正しく何が間違いなのかを文脈から読みとる能力を人それぞれに持たせることで、結果としての現象でなくプロセスとしての状況を理解してこそ人は知識を血肉とし理性を心に刻みつけることができる。結果だけに○×をつけてもそれは理解とは言わない。絶対的なラインとしての「表現の自由」(報道の自由だなんて限定されたものじゃない)を護持した上で問題があるなら解決すべきところを、良い表現悪い表現とゆー人それぞれで時代によっても変わる曖昧な基準をもって表現活動を分断し、一方に一方を排除させることで一方にはお墨付きを与えるよーな施策を繰り出す側があり、それに乗ってしまう側があったりする事実を目の当たりにするにつけ、ほんと冗談じゃないと思えてしまって仕方がない。

 続き物になっててどんな結論が導き出されるのかわ分からないし、なおかつ驚天動地の事態になっててますます先に目が離せない。8月号が出る時に、マジで似た状況が起こっていないことを願いつつ、起こっていたとしても「コミックマスターJ」が見せてくれるだろー情熱の炎ほとばしる言動が、いたずらな規制を粉砕し、マスコミの弱腰を破壊して「表現の自由」を守り続けていることに期待しよー。そーこー言ってるうちにあるいは戦争が起こって連れていかれていたりするかもしれないんだけど。キナ臭いなあ。

 もしも漫画に描かれてた「青少年有害情報対策法」が施行されたとしたら真っ先くらいに店頭からなくなってしまいそーだけど、今はとりあえずは健全な表現物の流通市場に乗って店頭に並んだ才谷ウメタロウさんの「スパイラル・オーヴァー」(コアマガジン、1巻2巻とも648円を一気読み。なるほどエロい描写は満載だけど、粘液の交換によって成立するらしーあるウィルスをめぐって過去の因縁に縛られ付き動かされている男の邪悪な攻撃に、双子の姉妹が自らに宿っている不思議な力を使って対峙してくとゆー割にSFチックででハードでシリアスなドラマが繰り広げられていて、もちろんエロい描写に目尻を下げながらも、本来のストーリーが紡ぎ出す愛憎のドラマやら友情のドラマやを存分に堪能させられる。

 絵は迫力で女の子はとにかく可愛く男は格好良く、スピード感があって適度な複雑さもあって読みつつどーゆー上々なんだと考えさせられつつ、一方で交接のシーンに目を奪われながら哀しい男たちのドラマと少女たちの哀しみにあふれたドラマを楽しめる。嫉妬心の招いた悲惨で取り返しのつかない事態への憤り、信頼関係で強く結びついた姉妹への感嘆といった感情を呼び起こさせらいろいろ学ぶ所も多い話だし、もちろん単純明快にエロシーンだけを楽しむ漫画だからってそれを排除せよという気は毛頭なく、読んでいろいろ思えたり、いろいろ使えばそれはそれでオッケーなはずなんだろーけれど、そうは卸してくれない問屋が彷徨いて、かつ力を蓄えて来ている昨今なだけにもしも来年もこの漫画が、店頭に並んでいるかどーかを自信を持って言いにくいところが何とも辛いし不気味でもある。買っておいて良かった、なんて思う事態にならないことを願いさせないことを誓って繰り出される多種多彩な交接と、迫力のバストをゆすっての美少女による格闘を楽しむことにしよー。

 しかし驚きといったら「ヤングキングアワーズ」2002年7月号の「エクセルサーガ」に登場した住吉妹。なにしろ住吉なんで誰でも想像するのが住吉級の妹だったりするんだけど、のっけから登場するのは眼鏡も可愛くスタイルはとことんまでタイニーな中1少女。四王子が聞いたならさらってコレクションにでも加えてしまいそーな愛くるしさを振りまいていて、遺伝とゆーものへの懐疑に胸を悩ませる。まあもっともそこは住吉の家族だけあって登場する良心に住吉も納得の理宇宇があって一安心。ただし遺伝子に刻み込まれた住吉級の情報が発現していないだけでかなるちゃん(住吉妹)に付け次がれていたとしたら、遺伝によって生まれるかなるちゃんの子息にあるいは住吉級の存在感を持つ人物が現れないとも限らない。それでも愛でていたいかなるちゃん。関係ないけど美咲き強過ぎ。片手でサイボーグを粉砕するとは。


【5月29日】 とか言って考えてみれば親会社、創業者でもない人間が他のメディアも含めたグループのトップとして君臨した挙げ句に子息をトップに据えていたりした訳で、まあその時は子息が極めて突出した才能と行動力の持ち主だった関係で、テレビは今でこそトップを譲ったものの依然として高い人気を持った会社として高収益を挙げているし、新聞の方も「正論」とゆー通った芯の上にカラー印刷とゆー他に負けない看板を作ってもらって題字もカタカナから漢字に変わって落ちつきが出て、厳しいながらも今に至るまで存命している。もーちょっと長生きしていたらあるいは暴走の果てに躓いたかもしれないけれど。

 問題はその後。子息逝去の後を受けて登場した女婿が今ひとつ信望を得られなかったことで、下っ端だったんで何がいったい決定的なきっかけになったのかは知らないけれど、傍目に見てこれとゆー成果を上げていなかったのも事実だったりして、結局はクーデーターめいた反乱でもって排除され、今はいったいどこで何をしているのやら、ぱったりと消息を聞かなくなった。トップを極めたって部分は松竹とは違うし父子ともどもではなくって子だけがたたき出された部分もちょっと違うけど、ともあれ創業者でもない血筋のさして実績もない子息を置いておかない矜持は働いたってことで、ちょっとは胸を張って良いものかも。社内の公用語が「ウパー」にならない前に、ひとつ立ち止まって考えてみた方がいいんじゃない。創業社長でもないのにワンマンしまくって人事を壟断し-関連会社を真っ赤にしてなお君臨し続けている人を先にどうにかするべき、とか言わないで。

 とんでもねえ、あたしゃ神様だよ、って言うだけの自己主張があったらもっと違った人生を歩んだかもしれないけれど、沢田直太さんの「どうせおれは全知全能 無法の軍神・甲賀三郎」(朝日ソノラマ、533円)の主人公の甲賀三郎は、自分がタケミナカミノミコトのこの世に生まれ落ちた姿だと知ってもどーにも神様然と振る舞うことができず、崇め奉る周りにも嫌気がさして家を出奔、ついてくる剣と鏡が成り代わった2人の童子を連れて日本各地をさすらう旅に出る。諸星大二郎さん初期の大傑作「暗黒神話」にも確かモチーフとして登場した、諸国を旅した挙げ句に蛇へと変じた甲賀三郎の伝説を器に借り受けてはあるけれど、実際の神話に登場するのはタケミナカミノカミであってミコトは架空のキャラだそーで、甲賀三郎も含めて一種のパラレルワールド「諏訪縁起」って言えそー。

 そもそもが「諏訪縁起」自体を知らないからストーリーの方にどこまで縁起が取り入れられているのか分からないけれど、こちらの甲賀三郎、軍神としての強さと生来の悩天気ぶりでもって村へ入っては井戸を掘り敢えて御礼に出された酒に酔っぱらって村長の家を破壊しおおわらわ。逃げ出して向かった山では蛇の化身の美しい娘といい中になった挙げ句に精をぎゅうぎゅうに吸い取られて哀れな姿になってしまう山あり谷ありの冒険譚を楽しめる。見栄を張る部分もないでもないけれど、自分を騙そうとしている蛇の化身の姫を相手に純粋無垢な振る舞いをする姿には強く感動。その純真さが自助努力となってはねかえらず、他力を介して返ってくる辺りの段取りが個人的にはちょっと残念だし、仇敵の救われぶりの足りなさもちょっと気になるけれど、とにもかくにもあっけらかんと突き進む甲賀三郎のキャラクターには好ましい思いを抱く。死んだ甲賀三郎の妻で実は神様だった春日姫のイタズラ大好きキャラもなかなか。弘司さん描くつぶらな瞳のいたいけなキャラで「ケケケケケ」と笑ってイタズラを仕掛けるそのキャラを、動く姿で見てみたい。

 大麻の呪いって奴? まあ大麻はグラビア担当故の芸能界ズレが要因だったともいえるから、漫画そのものとはあんまり関係がないんだろーけれど、それにしてもちょっと前に「物語漫画」が掲載されたサッカー日本代表の高原選手が病気でもって代表を外されてしまったと思ったら、今度は本日発売の誌面に堂々掲載の小野選手が、盲腸でもって入院なんて事態になって、とりあえずは大丈夫みたいだけどコンディションとか考えるとやっぱり心配になってしまう。サッカー選手にとってもしかして「少年マガジン」に「物語漫画」が掲載されるのって鬼門なんだろーか。確か「少年ジャンプ」系の青年漫画誌に「物語漫画」が掲載されたフィリップ・トルシェ監督は今なお健在どころかますます権勢を伸ばしているよーで、ことサッカーに関しているなら音羽と一ツ橋では運気は一ツ橋に傾いていると言えるのかも。という訳でお願いだから音羽の会社は「マガジン」が「なかよし」でも、中田英寿選手の評伝とかは載せないで。川口選手はオッケー、だって僕「グランパス」のファンだから。でもって「少年ジャンプ」は楢崎選手の評伝漫画を今すぐソッコーで掲載すべし。


【5月28日】 たとえ子息であっても、創業者の血筋だったら分からないでもないしまた、創業者の血筋でなくても、万人がひれ伏すだけの実力をもっているなら、子息であっても納得できるけど、そのどちらかにでも当てはまっているかというと、これがなかなかに微妙な問題をはらんでしまっているだけに、そう遠くない将来において、あれやこれや噴出して来る可能性がありそうな気がして仕方がない。

 そもそもが世界に冠たる自動車メーカーでも、またゲームメーカーでもそーした行為を極力避け、公器としての立場を満天下に示そーとしているし、それが結果として創業一家の名誉も財産も守ることにつながっている。一方で極めて近い会社で数年前、創業者の血筋でないにもかかわらず、子息をもりたてよーとした挙げ句、その子息に相応の実力があったにも関わらず、創業者の血筋に嫌われ揃って排除された事例があった訳で、なのにここにこーして子息を、晴れてトップに据えてしまえる人事をやってしまった会社を果たして、どう評価して良いものか激しく迷う。

 対するライバルが、記録に残る作品を送り出して今なお記録を更新し続けていたりして、さらには新しい基軸を作るべく、真っ当にして妥当な人事を行いトップを専任したばかりなだけに、そのあまりにも際だったスタンスの差が気になって仕方がない。もちろん最近でこそ昭和を席巻した名女優を主演に据えた平安絵巻を年輩の女性層にヒットさせたけど、これをもってして5年、10年を任せるに足る実績と見るのは難しい。昭和の大女優がこれからの10年をどこまで引っ張れるのかというと甚だ疑問。かといってこれからの10年を支える消費者にアピールするだけの商品を作り出せていない事実を鑑みるならば、任せるに足る器ではないのかもしれないと、想像するに難くない。

 若い層にアピールした作品に幾つか絡んだことはあっても、その多くが出版社であり制作プロダクションからの持ち込みで、そこに名前を連ねているからといって、それはバックにある配給網と興行ネットワークが役立つからと思われただけに過ぎない。広く一般層にアピールすべく、ひとり先頭に立って旗をふって手がけたと、「シナントロプス・ペキネンシス」を主役に据えた商品が、辿った結果を踏まえるならば、ますますもって10年先につながる今を作るに値する実力を持つ可能性に、疑問符を付けるに吝かではない。そう思う人の内部も大勢いるだろーことは必至で、これが見切りの付け時と決断する人が相次げば、ますますもって王様は裸となって野にさらされることになる。そうはいってもすでに決断されたことで、おそらくは誰の反対もなく認定されてしまうのだろー。ひとつの会社が、ひとつの文化が波涛の果てに消えていこーとしていることを嘆きつつ、幕引きに登場した人物に最愛の言葉を贈ろう。「Who Are You?」

 課題図書の原稿の今日が締切だと朝になって気づいて、慌てて鳴海章さんの「痩蛙」(角川書店、1450円)を読む。負けるな私はここにいるの小林一茶の評伝ではなくってもちろん小野道風の伝記でもなく、サラリーマンをやりながらボクシングの4回戦ボーイとして頑張って来たもののボクシングには挫折、会社も首になって自暴自棄になってた30男が、立ち直り再起に向けて頑張る話でリストラだ不景気だと暗い話にもまれて沈み込んでる日本の中年男たちに、強く明るい未来を見せてくれるなかなかに嬉しい話に仕上がっている。求人広告を集める会社が不景気から人をリストラしよーとする時に企むはかりごとの陰険さには参るけど、案外と我が身に降り懸からない事態でもないだけに、身辺はきれいにしておこーと考える。ってもすでにここにこーして莫迦を書き連ねている時点で終わりだったりするんだけど。

 主人公が最後にもらったボーナスが7万円ってのは流石に呆然で、景気が悪くって去年より10万円ばかり減ったとは言え当方がもらえるだろー金額の1割とかそんなもんだったりするのには、ちょっと同情したくなる。ってもこれは小説の話であって、現実的にもらえる金額の同業他社に比べて実に何ともいやはやな事態に、ちょっと将来を考えてみたくなる。冬もこの調子だったら、ってゆーか増えるよりはむしろ減る材料の多い状況では、年間にもらえる金額はあるいは去年より減る可能性も結構あって、グループの筆頭を行くお台場の会社の同年代に比べて半額以下の明細に、「痩蛙」の主人公を見習っていっそボクシングでも始めて、日本チャンピオンを目指そーか、なんてことも思ってみる。

 もちろん「痩蛙」の主人公は15年のキャリアを持つれっきとしたプロなんで、弱いとはいっても一般人に比べれば相当に強い。会社を首になった直後は、その強さに引きずられてノックアウト強盗なんてものに身を投じよーとするけれど、いろいろあって立ち直り、特訓の果てにリベンジへと臨むあたりの気持ちよさはそれとして、真似るのは正直無理なんで、読んで溜飲を下げるに留めよー。再起をかけて主人公が取り組むさまざまな特訓は、読んでいてスポーツ根性漫画を見るよーで結構楽しい。バトミントンで動体視力とフットワークを養うなんて、これまでの「がんばれ元気」とか「はじめの一歩」とかにあったかな。今は女子高の体育の先生で元はバドミントンの国体選手だったとゆーサユリ先生のキャラに激しく萌え。実写で演じるならやっぱり陣内美貴子さんかな、歳ちょっといってるけど。


【5月27日】 見ているこっちは何だかんだ行っても30年近く、アニメを見続けてきた猛者で小姑で且つ、ネットとか使ってうるさく発言する手段を持っていたりするんで勢い声も大きく聞こえてしまうけど、実際のところそんな声なんて、未来にむかって開かれた筋道を持っているものではなくって、作り手にとってみればそんな層が満足する話を作ったところで、これからの30年をずっと面倒見てもらえるお墨付きをもらえる訳じゃない。むしろそうした表には鳴り響かない所で、ひっそりと、けれどもじっくりとアニメを見ている若い人たちにこそ何を与えるか、何を感じてもらうかって辺りに気持ちを入れるべき、だったりするのかもしれない。

 って訳で30過ぎたオヤジな大人たちが動物的な反応で反射的に飛びついて騒いでいる、よーな部分も少なからずある「HAPPY☆LESSON」も、昨晩の千葉テレビで放映されたエピソードなんかは、中学生とか見て胸にジンと来て、人を慈しむ心の大切さ、与えられる時に福を分け与えておくことの重要さ、なんてものを番組の中から感じそーで、作り手としても結構やりがいのあった回だったんじゃなかろーか。さすがに委員長はマヌケなところを見せまくっていたし、メインを張った2人以外のキャラクターたちの扱われ方の狂言回し以下な部分にはやっぱり”萌え”で反応するより他にないけれど、そーした反応を嗜みつつもそこに拘泥せず、主題をしっかり咀嚼できる若い層なら多分何かを感じただろー、と思いたいけどどーなんだろー、やっぱりエンディングのデフォルメキャラにのみ耽溺してたりするんだろーか、僕みたく。

 なるほど地球人にとって宇宙人は侵略者で退治するだけの理由もあったんだろーけど、侵略する側に正統で正当な理由が合った場合、そっちの側から見ると地球人は頑固で悪辣な守旧派で、逆に退治されてしかるべき存在になってしまう。価値観に客観なんてものはなかなか容易には存在し得ないだけに、一方的な正義を主張したお話しを裏側から、あるいは斜めから見た時にそこには人間の固定観念を揺さぶる主題が浮かび上がって来る。武上純希さんが書いた「ウルトラセブン EPISODE:0」(朝日ソノラマ、520円)はまさしくそんな相対的な価値観の間で揺れる「正義」について考えさせられる1冊で、読み終えてもなお明示された深刻で深淵な問題に、頭を悩ませ痛めていたりする。

 何でも99年に登場したオリジナル・ビデオの「ウルトラセブン」とそして、これまた発売中で9月25日の最終5話を完結編に進行している新しい「ウルトラセブン」のブリッジなるエピソードがこの話らしく、読んでいきなりキリヤマではなくフルハシが「ウルトラ警備隊」の隊長になっていて驚いたけれど、歳をとったらアラシ隊員だって科学特捜隊のキャップにだってなったりするもの。二口女より怖い「パンドン」との闘いに臨んでこれを倒した後に地球を離れよーとしたものの、危機が訪れ舞い戻ってきたモロボシ・ダンこと「ウルトラセブン」た直面した深刻にして深淵な事態には、正直言ってこれだと言って言い切れる答えが見つからない。

 単純にすれば「ウルトラセブン」が守った地球人には存在そのもを揺るがす”原罪”があって、それを逆手に取って人類は宇宙の派遣を握ろうと活動を始めていたんだけど、見つけたらそれが良い星人か悪い星人かは問わずに攻撃を仕掛けてせん滅するって過激な内容だっただけに、良識派の「ウルトラ警備隊」の面々は逆らい挙げ句に活動停止の憂き目にあう。そんな渦中に栗を拾おうとする猿蟹合戦の猿がごとき存在として舞い戻った「ウルトラセブン」。地球人が何を隠し何を畏れていたのかを見つけ暴きたてる。地球人の”原罪”とはいったい何だったのか、ってのは読めば分かるとして殺るなら殺られるような状況に置かれたときに人類は、人間は、あなたは果たしてどんな行動を取るべきなのかを考えさせられる。

 ノベライズと思ってなめてかかると、受ける衝撃のすさまじさに人間として生きる目標を見直しがちになるから、その辺はよくよく高い自意識を持って読むのが正しい作法だろー。地球にぶつかりそーになった「ペガッサ星人」の都市衛星を破壊して名億もの「ペガッサ星人」を宇宙の藻屑に変えてしまたのは正しいのか正しくないのか、なんて「冷たい方程式」以上に答えの出しづらい問題だし。うーん難しい。丹野忍さんえ描く表紙の「セブン」の横顔の格好良さは近年希に見るクオリティ。こーゆーのってずっと開田裕二さんの独壇場っぽい所があっただけに、目新しい才能の希にみる出来の作品を見るにつけ、世の中には才能って溢れてるんだなってことを実感する。読んで納得の1冊は世の中の文学的な才能の多彩さも伝えてたりするんで、是非に買って1冊。


【5月26日】 同点、だったからまあ良かったとは思うけどでもやっぱり、フォワードが中盤まで下がって守備をしている姿を見ると、98年のフランス大会で城彰二選手が創設た画期的ポジション「ディフェンシブ・フォワード」は、今も伝統(呪い)として日本代表を縛っているんだなってことを強く感じる。ガッチリ守備を固めた相手じゃそう簡単には点は取れないもので、そんな中からオウンゴールであっても1点を、取って同点に追いついたってことでとりあえずはベルギー戦のメドは立ったと思いたい。守備に関しても後半は秋田選手が強面の所を見せてくれてまずは安心。マタ抜きされた松田選手が本番で挽回しよーと無理してPKを取られないことをとりあえず祈りたい。よく12人目の選手として活躍するんだよなー。

 でも96年の「ロス五輪」の予選は2勝しても決勝には進めなかった訳だから、残り2つにはしっかりと勝っておきたい所。にも関わらずフォワードが鮮やかに得点を取るシーンにしばらくお目にかかれていないのは気になるし気に入らない。直前のノルウェーに昨日のスウェーデンがともにしっかりフォワードで、得点を取っているだけにどーしてああいった試合ができないんだろーと不思議に思う。溜めず足下でファンブルせずに前線へと一気に持っていける技術ってゆーか緊張感が相手にはあって日本には育っていないってことか。今日やった「鹿島アントラーズvsイタリア代表」の試合なんかも中盤で後ろを向いて受け取って、えんやこらと前を向いてそれからパスを出す、なんてことせず簡単にパスでつないで一気に最前線へと持っていっては躊躇せず、ワンタッチでドーンとシュートしてゴールに結びつけていたからなあ。全員がイタリアとかイングランドとかスペインとか、オランダとかフランスでプレーするよーになって初めてキッツい状況でも即座に判断してプレーできるよーになるんだろーなー。

 むくむくと起き出して「幕張メッセ」で開催された「ベイブレード ワールドチャンピオンシップ2002」へ。「ベイブレード」がそもそもいつから世界選手権を開けるくらいにワールドワイドな玩具になったのか、って疑問もわいたけど聞くとアジアの各国ではすでにアニメも放映されてて「コロコロコミック」の現地語版に漫画も連載されていて、玩具とともにそれなりな人気を確保しているそーだし米国でも、300万個以上が売れてまずまずのヒットぶり。夏にはテレビでアニメの放映も始まるそーでうまくいったらそれこそアニメのテーマと同様、世界中から選手が集まっては「ヒムネ」「ガーヤオ」「ドゥーイット」といった声援をバックに日本と韓国と香港は「スリー・ツー・ワン・ゴー シュート!」で台湾だったら「イー・アール・サン!」、米国は格好良く「スリー・ツー・ワン・レッツイットリップ!」のかけ声ととにひとつスタジアムを囲んでいっせいにベイブレードをシュートさせる姿が見られることだろー。いんたあなしょなる。

 これが全盛期の「遊戯王カードゲーム」だったら「幕張メッセ」を十重二十重は大袈裟でも昼過ぎまで途絶えない行列に限定品販売場も大混雑を見せた所だろーけれど、開場から2時間ちょっと経った時点で行列はなくなっていて、いちおうは旬な遊び道具にしてはな静けさにちょっと首をかしげる。もっとも爆発的なブームを呼んだ商品の場合、ちょっと落ちただけでも終わったかの如く言われてしまうんで、静かに盛り上がってそのまま関心を持続していきつつ何度か山と谷を繰り返す方が、会社としても有り難いのかも。場内の方はしっかりそれなりに観客がいてあちらの床こちらの隅にスタジアムを広げてはシュートして遊んでいた。磁石を使った新型スタジアムも面白そーだし今はベイブレードからシューターだかの改造へとトレンドも移っていたりするよーで、あれやこれやと新しい要素を出していくことで、今年いっぱいは何だかんだ言っても人気を持続し続けていられるのかな。仇敵? かと思ったコナミの「めんこ」はタイアップしてた「筋肉番付」が放送終了でちょっとキツそーだし。だからって「バング」が来るとも思えないけど。

 来そーなのって意味だと「マジック・ザ・ギャザリング」を作ったウィザース・オブ・コーストがより低年齢層向けに出して来た新しいカードゲーム「デュエルマスターズ」が面白そー。もはやベテランでなければなかなか参入のキツかったりする本家「MTG」に対して、今から始めれば先行逃げ切りメリットを取れそーって部分でもアピールできるし。隣ででもってたブロッコリーの「ベイブレードC・C・G」の方はまあそれなりな人数。むしろその横でデモってた「ゲームボーイアドバンス」向けのソフトに子供が結構な数並んでて、横で見ていたブロッコリーの大きくて高い人もまずは一安心といったところかも。100億円とかあった売上の確か4分1くらいは「ベイブレード」からの売上だったりするから、人気がまだまだ続いてくれないと会社的にも困ってしまうしそれより「ギャラクシー・エンジェル」とか「デ・ジ・キャラット」のファンとして、新作を見られなくなってしまうのはとても困る。なのでやっぱり「ベイブレード」には今年を言わず来年も再来年も玩具のトップを維持していって頂きたい。

 買ってきた「ギャラクシー・エンジェルZ」のDVDの第1巻を見る。テレビ放映時には見逃していた回だけどテレビ放映を見終わった今では肩の力や気の抜け様も、真っ当なドラマからの外れ様も見事に「ギャラクシー・エンジェル」なんだけど、いきなり見た人はまるで背景の世界観の説明が皆無なストーリーの上にキャラクターが1人を1個(ノーマッド)を除いて色つきで出演していない設定に、驚きおののき訝り悩み放り出してしまっただろーなー。プロレスの回と合わせて見終わった後に登場した、微妙に横幅の広がって見えるボディを持ったミルフィーユもどきにしばし唖然、いや喋れば立派に新谷良子さんなんだけど、それだけにさっきまで見ていた絵のミルフィーユとの肩幅の差が気になって目に違和感がつきまとう。これを思えば「鋼鉄天使くるみpure」のコスプレなんて全然似合ってるし実際カリンカちゃんだけなら絵より良かったりするもんなー。関係ないけど東浩紀さんが「アニメージュ」の2002年7月号で木谷高明・ブロッコリー社長に話とか聞いてる模様。もちろん「でじこ」のコスプレで聞いたんだよね。それとも「ノーマッド」の着ぐるみかな。


【5月25日】 すごいこといになって来た、ってのは確か「プレイステーション」がその昔に使ったキャッチだったかと記憶しているけれど、なかなかどうしてマイクロソフトの「Xbox」も、負けず劣らずすごいことになって来ているよーで(ものすごく売れてない、ってのは今は無視)、東京は池袋にある「サンシャインシティ アルパ」の噴水広場で今日と明日の2日間、開催されている「HALO(ヘイロー)」ってソフトの全国大会に絡めたイベントをのぞくと、ゲーム屋さんの多くが「性能は1番」と太鼓判を押すハードのパワーを存分に引き出しているよーなソフトが何本も展示されていて、見て触った人の多くがきっと欲しくなったに違いないな、週明けからはきっとどんどん売れ始めるな、なんて感想を抱く、希望的だけど。

 「HALO」の凄さってゆーのはもうすでに、本国アメリカでミリオンを超えたことでも証明されていたりするし実際、デモされている場面を見ても広がりのありそーな舞台の上で繰り広げられる迫力のシューティングドラマに、やり始めればハマるかも、なんて思ったけれど、それより個人的に感嘆したのがえっと元気だったっけ、そこが出して来る「ファントムクラッシュ」ってレイバーみたいなロボットどうしが新宿とか渋谷とかを舞台にバトルを繰り広げる内容のゲームで、角々しくないちゃんと細かく造形されたウォーカーマシンみたいなロボットを操縦する時の、操作のスムーズさはやったことがないけど「バーチャロン」とはまた違った重力感があって、見ていて目になかなかリアルっぽい。

 敵ロボットを撃った時の弾の飛び方なんかも「機動警察パトレイバー」の映画の2作目の冒頭で繰り広げられる軍事用レイバーの戦闘場面みたくこれまたリアル。弾が当たって相手が爆発する時の心地よさも格別で、敵はまだいないか隠れてないかと探して見つけて打ち倒したい欲求を掻き立てられる。デモだったんでゲームの奥行きがどのくらいあるのか分からないしフィールドの広さがどのくらいあってそこでどれだけ自由に動き回れるのかってのも不明だけど、「プロジェクトゴッサム」程度の自由さとリアルさでも存分に楽しめた見にとって、同じ程度に新宿とか、渋谷とかが再現されているんならそれなりに楽しめそー。いつ頃出るんだろ。ネットとかで対戦出来たら良いのにな。

 それよりすごいことになていたのは会場で案内役を務めていたコンパニオンのお姉さんたちで、そりゃ中にはミニモニ級の人もいたけど多くがマジに掛け値なしに冨永愛さん級にスリムで長身でおまけに腰くびれで、そんな人たちが横であれやこれやと世話をしてくれるだけでもう「Xbox」が素晴らしいハードのよーに思えて来る。じっさい去年の秋だかの「東京ゲームショウ」でも横に超絶スリムなお姉さんが立ってあれやこれや世話してくれただけで、例の「ねずみくす」を素晴らしいゲームだと思ってしまったくらいだし、ってゆーか「どうですか?」って聞かれて「おっ、おもしろいです!」としか返事ができなかったんだけど、それもうわずった声で。ということはつまり「ファントムクラッシュ」は「ねずみくす」級なのか、なんてことになるけどそれはさすがにないってことだけは言っておこー。しかし揃いすぎのコンパニオン。何十億円ってマーケティング費用のもしかして大半がコンパニオン集めに使われてないか。

 資料用に写真を撮って(イベントのだよ)から「東急ハンズ」を超えて「ゲーマーズ池袋店」を冷やかす、つもりがやっぱり見れば買ってしまった「ギャラクシーエンジェルZ」のDVDの第1巻のそれも「エンジェル缶」がセットになった奴。キャラクターのピンズが付いてる携帯ストラップも缶バッチも捨てがたいけどやっぱり注目は「パンチングノーマッド」。本当は作品的に正式な縫いぐるみが欲しいんだけどそれはいずれトイズワークス当たりに作って頂くとして(殴ると減らず口叩く奴が希望)、今さわれる立体ノーマッドではこれが唯一だから仕方がない。大きさについては店頭にプロモーション用として飾ってあったサイズのままならせいぜいが30センチといった所なんでヴァニラさん風に抱えて歩く訳にはいかないけれど、こっちの別にヴァニラさんではないんでノーマッドらしく蹴りをいれながらドリブルで会社の廊下を走り回ることにしよー、ちょうどサッカー日本代表のレプリカジャージの背番号入り「10 NAKAMURA」バージョンを買ってしまった所だし。マボロシのジャージとしてプレミアムとか付くのかなあ。

 困ったことに今回のDVDは缶が付いていてもシリーズの1巻につきもののボックスがついていなくって、見るとすでにリリースされている「ミュージックコレクション」の方を買わないとついていないってことが判明して泣く泣く、とか言いつつも内心は買う理由ができたたってことでしめしめと思いながら手に取りレジへと運ぶ。「SFマガジン」の7月号では「HAPPY☆LESSON」への移り気を表明していたりする軟弱ものだけど、やるときはやるんです野尻さん。ミルフィーユさんも表紙に描かれていてミントさん活躍のマンガも収録された「フロムゲーマーズ」の6月号がついてかなんさん描くエンジェル隊のイラストがはいったシールももらえて(ヴァニラさんかわいいいぞーっ)同じくかなんさん絵のキラキラステッカーも着いて来て、さらに何と「ギャラクシーエンジェルZ」の1巻の先着おまけでバンダイビジュアルが作った「EMOTION EXPRESS Z」って非売品のDVDまでもらえて気分はマンモスマイル。日曜朝に出会える日は終わったけれどこれからしばらく月末に、その活躍ぶりに再会できそーで未来に希望がわいて来た。易い希望だなあ、我ながら。

 そのまま歩いて「ジュンク堂池袋店」でお買物。エニックスから出た妹尾ゆふ子さんひかわ玲子さんのノベルズを買ってふと見上げると、平台の山の頂にあの吉野朔実さんがサイン会とトークショーを7月7日の七夕に開いてくれるって案内が出ていて、1も2もなく新刊の「弟の家には本棚がない」(本の雑誌社、1300円)を手に取り仕事中だったおかっぱ頭の書店員に手を振りつつレジへと運んで購入し、ついでにトークショーの予約もする。サイン会の整理券の番号は7番でトークショーの予約の順番も5番目とか6番目だったのはちょっと意外だったけど、何しろ多くの名うての少女漫画ファンが神と仰ぎ見る漫画家さま、だけにきっとすぐにふさがってしまうことだろー。早起きして池袋まで行った甲斐があった。ところでこれまで吉野朔実さんの顔写真とか見た記憶がないんだけど、どーゆー顔した人なんだろー。「弟の家には本棚がない」の自画像はボウズみたいなんだけど本当はもしかして織姫級の超美人だったりするのかな、七夕の夜だし。ちなみにトークショーの司会をする牽牛は目黒孝二さん。少女漫画のメンタリティには遠そうだけど本に関するトークとあらばきっと広い知識でもって、楽しいトークを繰り広げてくれるだろー。後は仕事が入らないことを祈ろー。


【5月24日】 歴戦の戦場カメラマンってゆーからてっきり、迷彩服を着てヘルメットを被りポケットのいっぱいついたカメラマンベストを羽織って首から「Nikon」の、それも「F」って奴を何台も下げたいかにもな人を想像していた、なんて訳では決してないけれど、それでも「パークハイアット東京」のそれなりな部屋で今週頭にインタビューした時に見た、ベトナム戦争映画「ワンス・アンド・フォーエバー」の原作のひとり、ジョー・ギャロウェイのスーツをピシッと着込んだスタイルにはちょっと感心。元(はじめ、じゃないよ)戦場カメラマンな人が今も過去を引きずってサファリっぽい服を割にフォーマルな場でも着てカメラマン然としていたりするよりよほどジャーナリストっぽく見える。アメリカ人ってこーした所のメリハリの付け方が上手いんだよなー。

 もっとも喋りはじめればフランク永井さんとはちょっと違った低音の魅力でしずしずと、ベトナム戦争への思いとそれから自分が見て書き映画にもなった1965年のイア・ドラン渓谷での闘いのすさまじかった様なんか語ってくれて、米軍と北ベトナムの正規軍が始めて本格的な、それも極めて近接した戦闘を繰り広げた様を見聞して来た人間ならではの重さを感じる。現代においてベトナム戦争への米軍の参戦が間違いであったことは強く認知されていて、そんな戦争の最前線で戦った人たちの勇敢さを讃える映画がひいてはベトナム戦争そのものを讃え戦争を遂行した人を讃えるものとして利用されるんじゃないか、ってことを聞いたけどその点については原作者としてちゃんと理解していて、戦争を憎むことには変わりはないけれどだからといって兵士まで憎むのは間違いだ、なぜなら兵士は国のためとか政治のためとかじゃなくって仲間のため、家族のために戦ったんだから、ってなことを言ってくれて且つ、映画でもそれがちゃんと描かれているってことを語ってくれて悩みも取れた。

 また戦争に行きたい? って聞くとそこは61歳って年齢もあってか行きたくないし奥さんも行かせてくれないって答えが返ってきてまあ納得。じゃあ若いジャーナリストは戦争に行った方が良い? って聞くとこちらは是非行くべき、行って真実を見てこいって言われてしまってだったらやっぱり行こうかな、って思えて来た。映画の中でギャロウェイが激しい戦闘を生き延び一息ついていたところに、送迎バスよろしくヘリコプターに乗ってやって来たジャーナリストが汚れなんてない衣装を身に纏い、ピカピカのカメラをかまえて敵の遺体やかかげられた星条旗を撮り出して「これが戦場でござい」ってやった場面を見て正直吐き気がしたけど、それは自分を見ているよーな感じに起こった自己嫌悪。その呪縛から逃れるためには何が邪魔しても最前線へと飛び込む気概が必要なんだろーけれど、ギャロウェイ自身見て実に完璧に再現されているって言ったイア・ドラン渓谷での闘いの様を見るにつけ、あんな場所に1時間だって居たくないと思うのが人情ってもの。やっぱり自分はせいぜいがイベントに出没しては斜めに遠巻きに見物してこっそり帰る、臆病で引っ込み思案な観察屋が似合っているのかも。重ねて言うけど映画は迫力。北ベトナム軍の司令官が格好良いぞー。

 CMの効果とかって話になると最近、テレビや雑誌や新聞によく出ている関根健男さんて人が代表を務めるCM総合研究所が2001年度のCM好感度調査ってのを発表したんで田町まで聞きに行く。月々に流れた新作CMでいちばん視聴者のハートを掴んだCMって部門で全12カ月あるうちの3カ月が「FMV」だったことには驚きつつも納得、石井克人さんが確か手がけているショートドラマ的なCMの面白さったら実際なく、次はいったいどんなシチュエーションが繰り広げられるんだってついつい期待してしまう。1番新しいのはトイレでだってネットが出来る、って機能を確か見せよーとした内容だったけどトイレにかけ込もうとするキムタクの演技のキムタク風ナチュラルさにやっぱり凄い人だと感嘆する。もっと凄いのが岸部一徳さんだけど。いったいどーやってあそこまで入り込むんだろ。

 タレント別の好感度調査でもキムタクは流石。トータルでは1位を「SMAP」が獲得したけどソロでは続いて2位にキムタクが入って後は確か香取慎吾さんだったっけ、それから永瀬正敏さんを挟んで仲居正広さんに稲垣吾郎さんと続いていたよーに記憶していて、相変わらずな人気の高さ認知度の高さを見せつけてくれている。1人足りない感じがするのはあるいは感じが難し過ぎて調査票に書くのをためらってしまた結果なのかな。まあ心配なく、ちゃんとそれなりな順位には入っていましたから、草ナギさんも。女性は田中麗奈さんがトップで2位に樹木希林さんが入っているのは「フジカラー」と「NICOS」効果か。井川遥さん菊川怜さんはまだまだまだって感じだし、去年トップから5位だかに落ちても未だ人気も活躍ぶりも衰えを見せない藤原紀香さんはまだまだ女王様ぶりを発揮してくれそー。藤原紀香主義者への再転向、やっぱり考えよーかなー。

 とか言いながらも優柔不断で八方美人な軟弱者は、コンビニやキオスクの店頭から激しいセクシィビームを送ってくる小池栄子さんにやっぱり負けってしまったよーで、その豊満な肢体を思いっきりボンデージな衣装に詰め込んだ表紙写真の谷間股間の迫力に撃たれて「sabra」の6月13日号を買ってしまいましたご免なさい。読むと他にも益子梨絵さん小川奈那さんのアヤシイ絡みに172センチなんて僕より高いスリムな肢体を炸裂させている片瀬那奈さん等々のグラビアが山と掲載されていて、かつて食い入るよーに眺めた「GORO」亡き後の小学館が雌伏の時を越えて今ふたたびグラビア誌の頂点へと、上りつつあるってことを強く実感させられる。これを見ると「週刊プレイボーイ」なんてまだまだチャイルディッシュだね。映画紹介音楽紹介ゲーム紹介新製品紹介もそれなりに充実してるし、あとはニュース記事が加わってくれば「SPA!」ともマーケットが重なって来るのかも。

 もっとも数ある女性の写真の中でも最大に気に入った人が鈴木めぐみさん。歳こそ28歳とやや行っているけれど、おっさんから見ればまだまだ全然若い部類に入る年齢でプラスにはなってのマイナスになるなんてことは全くない。ショート気味にまとめた髪型とか、ニッコリと微笑む表情とかの可愛さもさることながら、決めてはやはり眼鏡ってことでセル枠のオーバルなフレームに包まれた目の何ともいえなキュートさに、写真とはいえついつい見取れてしまいましたとさ。どれだけ鈴木めぐみさんが注目に値するかってことを知りたかったら小池栄子さん表紙の「sabra」2002年6月13日号を買って109ページを開こー。「テリー伊藤のお悩み採点相談室」ってコーナーにその写真が出てるから、「歯科衛生士、FC東京ファン」ってプロフィルといっしょに、ってそれただのシロウトじゃん。


【5月23日】 中吊りで見たそのド迫力ムチムチボディに瞬間、小池栄子主義者への転向も考えたけれど同じ「イエローキャブ」ならどちらかと言えば佐藤江梨子派だったりする関係で自重も働いて、全身から放たれるフェロモンにも負けずに小学館の「Sabra」を買わず立ち読みで済ませる。しかし今日は無事でも明日も引き続いてコンビニの、本屋の棚からムレムレなフェロモンを放って小池栄子主義者への転向をささやきかけて来るだろう。その誘惑に打ち勝って今んとこの加護辻主義を維持できるか。耐えねば。けれども。いやいや。うーむ。加護辻小池主義ってのはダメ?

 つー訳で唐突に「ぽちょむきん第4巻」(北道正幸、講談社、505円)。初版なのに「都連ジャーカード」がないのは何ですか怪人が尽きましたか。だったら別に都知事が桃ちゃんでも構わないのにやっぱり無駄にコストをかけてもかけなかった場合とたいして部数に違いがなかったのかな、ってゆーかカード付きの初版すら売れ残ってしまう辱めに作者もやる気を衰退させているのかな。その割にはお話しの方は進むんだったらまだしも冒頭では前首領の死とゆー場面へと話が遡っていたりする訳で、ジリジリとは秘密とか謎とか前提とかが明らかにはなって来ていても肝心の本筋がまるでほとんど進まず一体何がどーなって誰をどーしたいのか、見極められるだけの材料がまだ得られない。五十嵐直也クンの大冒険叢書エピソードなんてまるで本筋と関係なさそーだそ。それともあったりするのかな、それだったらそれでちょっと凄いかも。

 進む途中に茶々を入れギャグを挟んで進行をしゃっくりさせるのが作者の持ち味っぽい部分でもあったけれど、その形式自体が亡き小松崎茂さんへのオマージュってゆー実はギャグだったりする最後に収録されたエピソードは、形式に重ねてシチュエーションでギャグをやるとくどくなると分かっているのか絵物語的にお話しがサクサクと進んで、怪人の復活や「トレンジャー・ピンク」の目覚めと活躍ってゆー大きな物語がテンポも良く消化されていたりして不思議な感じ。だったらいっそ全編を小松崎茂さん的にしちゃえば最終回もそう遠くない時に来るだろーけど、やっぱりそこは見えない物語を削り出して行く会館を味わいたいものなんで、今回は今回だけにして残りはちゃんとマンガで描いてやって欲しいもの。途中で終わるのは正直ムネが痛みますによって。可哀想だからってよりは続きが気になって。

 続きが気になると言ったら桑田乃梨子さんの「蛇神さまといっしょ第2巻」(白泉社、390円)の後半部分に収録されているマンガ「そういうことだから」が佳境に張った段階で止まってしまっていて、読んでこの魔女はいった誰で何が目的なんだろー、って心残たっぷりな感情に脳髄をかき回され背筋をくするがれまくる。絵柄が変わっていても良いから是非に終わらせてやって欲しいなー。わずか2巻で完結してしまった「蛇神さまといっしょ」は主人公の女の子をそのひいお婆さんだと勘違いしてしまった蛇神さまをたしなめ立ち直らせのて感動のラストへと持っていく読んでジンと来る1冊。篭戸ドラ子だなんて酷い酷い酷すぎる名前キャラを平気で使ったりと常人から外れた感性の持ち主っぽいけれど、かつて好意を抱いていた女性に絶対に会えない蛇神さまの絶望感が新しい事実に向かって脚を踏み出す有機へと転じる様に人間、成長していかなくっちゃと我が身に刺激が伝わる。巻末のおまけ補足マンガを読めば感動の渦はさらに広がるはず。ギャグも良いけどセンチもグーな漫画家の活躍をこれからも期待して見ていこー。とりあえずは「そういうことだから」の完結な。

 ネットのチケット屋とか見てたらサッカー「ワールドカップ」で日本戦が開催されるその日その時間に「国立霞ヶ丘陸上競技場」でもって何やら観客を入れてサッカーをみんなで観戦するイベントのチケットが出てたんでついつい買ってしまう。本番のチケットを手に入れる苦労をまるでせず、従ってまるでチケットに無縁の状況におかれてお陰でチケットが届かない不安に胸を痛めないで済んでいるけど(見られない悔しさにハートは痛めつけられているけれど)、値段もお安く割に感嘆に手に入れられるチケットでもって「アディダスマンガフィーバー」(飛鳥新社、880円)に描かれている上条淳士さんのマンガみたく、どこかで繰り広げられている日本戦を多摩川を隔てた日本サッカーの聖地でもってモニター越しに見るとゆー貧者ならではの至福(とかいいつつ2300円もするけど)を味わいつつ、日本を巻き込んでいるだろーフィーバーの渦に身を委ねてみよー。とりあえずはロシア戦の日曜日に行く予定。6月30日午後8時にも同じ場所にいられるといーな、やるかどーかは知らないけれど。


【5月22日】 藤原紀香主義者からの転向を決意する。主義者たるもの藤原紀香さんがCMで宣言しているもの以外は食べも飲みも乗りもしないでおこーと決意したんだけど、「十六茶」だけ飲んでいては人間として生きていけないことが1日にして判明してしまったし、そもそもがあれはJALだったっけ、それも沖縄便しか乗れなかったりしたら会社にも買い物にも行けやしない。そこは流石に勘弁してもらうとしても、使っている携帯が「写メール」じゃない時点でやっぱり主義者には向いていないと気づくべきだった、ご免なさい。これでせめて「吉野屋」なり、「ファミリーマート」なりのCMに登場してくれていれば、食に関してはクリア出来たんだけどなー、衣も下着だけならかろうじて。まああれだけCMに出まくっていても生活品日用品の類を外している所に女王の女王たる矜持があるんだろーけれど。それでも何となく目があった(気のせい)よしみでせめて茶飲料だけは「十六茶」を極力飲むよーにしよー。

 アトムショックゥエーブの記者発表で表参道へ。発表って言ってもとりあえずは近況なんかを報告する会で新しい発表はなかったけど、こんなんやってます的に見せてもらったショートフィルムって奴がなかなかに楽しくって、今はまだ喰わず嫌いな人が多くてショートフィルムを流しているサイトに儲かっている所は少ないけれど、将来は割に明るいのかもなって思えて来た。見たのはまずはドイツの人が撮ったらしー、図書館で女の子に告白しよーとした男子が弟妹の意図せざるアシストによって大変な目にあいつつ良い目にもあるって話と、映画館まで数十年来の友人面して行った2人の老人がたった1枚のチケットを争って西部劇さながらのバトル(ターンブル・ウィードが転がって行く、映画館のロビーを)をいざ繰りひろげんとする話。オチはそれなりに予想できたけど、結論が分かっているのに2時間とか見せられて辟易させられる劇場映画と違ってオチまで待って数分とゆー気軽さで、結構リラックスして見られて楽しむこともできた。

 3本目の莫迦っぷりがとりあえず秀逸で、アジア系のカップルが中古屋で買った自動車についていた重力制御装置が壊れて地表の全てものが浮き上がってしまった状況の中で、カップルの車の後ろに乗っていた青年が恋人を探して空を飛び歩き、見つけたものの今度はさらにとんでもない事態に至ってしまったってゆーストーリーもさることながら、恐らくは3DCGで作られた街をカメラが引いたり流れたりと自在に動き回る中で、これは実写の人間が空を飛ぶ演技をしてなおかつそれらが見事に3DCGのフィールドとマッチしている映像に、ショートフィルムなんて半分は名刺代わりの自主制作マインド溢れた媒体であるにも関わらず、才能を持った人が入って来てはそれを存分に発揮しているんだってことが伺えて興味が湧いて来た。

 現実問題日本にはそれほどショートフィルムを商業ベースで楽しもうって風潮がなくって、最近話題の「トリウッド」だって「ほしのこえ」が爆発的なヒットとなる前はそれなりに厳しい状況に置かれていたらしーし、話題になった作品はといえばオヤジなデスクがネームバリューから理解出来た手塚治虫原作で宇多田ヒカルさん声のフラッシュアニメーション「ブラックジャック」程度。ショートフィルムの作品性なりを理解しよーって状況にはまだまだ至っていない中で、面白い作品を米国欧州だけじゃなくって日本からも集めて、劇場が二の足三の足を踏む中でネットってインタラクティブ性オンデマンド性を持ったメディアで提供しているアトムショックウェーブのビジネスがすぐに結果を出せるとは思えない。

 けれども、借りるまでに1時間で見ればさらに2時間の長編映画すら落ちついて見られないせっかちな人種が増えている昨今、手軽に見られて10分でオチも楽しめるショートフィルムの需要が増す可能性は結構ある。のでクリエーターな人も今はビジネスにならなくっても、わずかに半年、長くて1年とかのスパンを見て作品作りに勤しんでおけばあるいはネットメディアの発達に乗って飛び出していけるかも。新海誠さんにもそんな波に乗ってさらなる高みに駆け上がって欲しいなー。会見の後で質問者として手を上げた「毎日コミュニケーションズ」ってところの「日高」って記者の真面目な背広姿ぶりは果たして浜松に報告する類のものかどーか、あるいはまったくの別人だったりする可能性もあるから難しいところだけとりあえずはそんな人がいましたよ。

 引き続いて「HAPPY END PARADE」を聴く日々。大瀧詠一さんが唄うとその唄いっぷりのイラ立ちぶりに聴いている方もとってもイライラとして来る「いらいら」なのに、「空気公団」が唄うとボーカルの澄んだ声質にささやくよーな唄い方が重なって、「いらいらいら」ってサビの部分で妙に気持ちが和んでしまって、うーんって疑念を越えてむしろ微笑ましさを覚えてしまい、妙な気持ちになる。続くつじあやのさんの「暗闇坂むささび変化」も「ももんがーっ」ってサビの呟くよーな唄い方が可愛さ炸裂で、歌詞の不条理にブキミな感じがまるで抜けて童謡を聴いているよーな楽しさを覚えてしまう。そーした唄い方にも耐えてしまえる「はっぴいえんど」の楽曲の、それもやっぱり凄みって奴なのかも。

 驚きは細野晴臣さんがオーディションから選んだ2組のうちの1組、「Hiroko&Mother Ship Jam」ってグループの「氷雨月のスケッチ」。サルサ風? ボサノバ風? よくは知らないけれどグルービーな感じの中に気怠さが漂う最高にカッコ良い楽曲に仕上がっていて、とてもじゃないけど同じ曲とは思えない。同じ曲を2枚目のディスクでは「Sons On」の片寄明人さんも演じているんだけど、これは何風って言うんだろー、アンビエント風? ハウス風? うーん分からないけど静かに刻まれるビートの上をふわーっと流していく唄い方もやっぱりそれなりに合っていたりするから不思議ふしぎ。個人的には「HIroko&Mother Ship Jam」の方が聴いて感じる心地よさで好きかな。けどどんなグループななろ。インディーズとかで出ている人なのかな。探してみよっと。

 加護辻主義者としては(何時からそーなった?)やっぱり義務だと思って「モーニング娘。」単独写真集シリーズのとりあえずラストっぽい「辻希美・加護亜依写真集」(ワニビック素、2300円)を買う。単独じゃねーじゃねーか、って突っ込みはそれとして、個人的にはあくまでも「加護辻」であって決して「辻加護」ではなく、主義者としてこれを喜んで買っても良いものか書店で20秒ほど葛藤したけど裏表紙の短いスカートからニョキッと生えた量感もたっぷりに絶妙な太さを誇る脚4本に脳天を蹴り飛ばされて、「モーニング娘。」ソロ写真集シリーズで始めて買ってしまった。飯田カオリンすら買っていなかったんだよ、オレは。

 中身の方はと言えば体操着もなければ水着なんてもってのほかってシロモノで使い勝手は悪いんだけど、写っているってだけでもう十分って見方も出来ない訳じゃないし、想像力を駆使することによって実用化を図ることだって可能な訳で、辻ちゃんのふりあげたパジャマの脚の裾から奥にのぞく腿の裏側が続く場所とか、プールに顔を向けてこちらに背中を向けた2人のえっとどっちなんだろう、分からないけどジャージのお尻に浮かぶアンダーウェアの線が包む中身とかを妄想しながら、加護辻主義者としての道を極めるべく精進を重ねることにしよー。となるとやっぱり「十六茶」から「飲茶楼」に鞍替えしなくっちゃいけないのかな。主食は「ポッキー」になるのかな。


【5月21日】 猫を頭に乗せて歩きたいとゆー心理はおそらく人類に共通のものだろーが……違う? でもほらプックリと膨らんだお腹が頭頂部を優しく圧迫して、額へと垂れ下がった前足の肉球が眉間をピタピタと叩く感触に耐えられる人間なんていないと思うんだけど、それはそれとして伊澄優希さんって新人らしき人のデビュー作「トレース&トレース でたとこ勝負の超新星」(富士見ファンタジア文庫、560円)の表紙に描かれた、緑色の髪をした少女の頭に猫っぽいドーブツが乗っているイラストを見るだけで、何か気持ちがウキウキとして来て、内容の方にも期待がムクムクと湧いて来る。髪の生え際でゴロゴロと鳴る喉の振動を受け止める快楽は、1度味わったら止められないからね、ってやったことがあるのか? そもそも僕の額の生え際ってどこなんだ?

 言ってしまえば残念至極にもこの「でたとこ勝負の超新星」、表紙のイラストに描かれた女の子の頭に乗ってるドーブツは猫じゃなくってムササビで、あれモモンガだったっけ、飛ぶからムジナではなかったよな、どっちでも良いのかな、「はっぴいえんど」の「暗闇坂むささび変化」のリフレインは「ももんがーっ」だし、うーんとりあえずモモンガみたい、まあモモンガなんでとにかく猫のよーなフワフワ感ムクムク感が味わえるって保証はないけれど、それでも羨ましいって感覚には変わりがなくって、どーしてそんなに美味しいことが出来るのか、でもってどーも普通に人語を解するらしーモモンガの正体は何なんだ、ってな興味でもって読む人の目を引っ張ってくれる。猫を額に乗せるのが好きな人だけ、ってことかもしれないけれど。額にモモンガを乗せるのが好きって人だったらなおのこと惹かれるのかな。亀を乗せている人だったらどー思うのかな。亀って額に乗るのかな。

 中身の方は簡潔明瞭に言えばトレジャー・ハンターものでお宝探しの英雄として讃えられた父親が母親とともに行方不明となって幾星霜、長じてやっぱり「トレイサー」となった娘のユーカは父親に負けない素晴らしいお宝を探し出そうと宇宙に飛び出したものの、遭難して謎の惑星へと降り立った。そこは亀が支配する亀の惑星だった、じゃないけど亀らしき生き物が暮らす惑星で、普通に文明的に暮らす亀がいる一方で、暴れ回って村を襲う巨大亀もいて、ユーカはそんな亀間のバトルに巻き込まれてしまった。

 宝ってのが古代文明の残した貴重な遺産的な場合だったりする場合もあれば、貴重な動植物の貴重なパーツだったり単なるレアアイティムだったりする場合もあってバラバラで、且つ貴重な遺産めいた品物でも由来について歴史的な経緯なんかを含めて語ってあるって訳じゃなくって唐突で、読んでいてユーカの興奮に身をなぞらえるのに苦労したしユーカを助けに来る幼なじみの兄ちゃんの、ユーカ命的な行動原理に傲慢さも感じてちょっぴり引いてしまったけど、そこはそれ元気な嬢ちゃんの成長を見守る楽しさに不思議なアイティムを集めるゲーム的な楽しさも加わって、今後いったいどんなアイティム探しの旅が繰り広げられるのか、そこは全体どんな世界として描かれているのか、ってな興味を喚起される。まずは顔見せ興行と思って次は果たしてどんな世界がどんな感じに描かれているのかを待つことにしよー、額に「ちよ父」とか乗せながら、等身大の、首をギプスで支えながら。

 私は本日只今より藤原紀香主義者に転向する、って前はだったら藤原紀香さんには何も感情を抱いていなかったのかとゆーとそんなことはないけれど、ディースリー・パブリッシャーってソフト会社がこの夏に発売するガンアクション・ゲームの発表会見に来た紀香さんの圧倒的な可愛さと圧倒的な美しさ、そして圧倒的なサービス精神に目を撃たれ脳天を直撃されて、今まで以上に紀香さんへの忠誠を尽くそーと固く心に誓う。足を舐めろといわれれば舐めます。肩を揉めと言われれば揉みます。ついでに前へと手を回して揉みまくります、疲れ目の瞼を。えっ、何を揉むと思ったの。

 しかしそれにしても偉い紀香さん。ガンアクションのゲームの中に登場する主人公の女性キャラのモデルを務めているのが紀香さんって関係で会見に呼ばれた訳だけど、ガンアクションだけあって女性キャラが着ている衣装は当然ながら迷彩のコンバット・スーツ。でもって記者会見に登場した紀香さんも、ゲームに合わせてコンバット・スーツを着込んで登場して、身を持ってゲームの内容をアピールしていた。それを言うなら「ガリバー」のCMに今さらなラウンドガール姿で登場したことの方が凄いかな。

 もっともコンバット・スーツといっても特注で、パンツの横の部分が編み状になっててそこから素足の腿がムッチムチに覗いていたり、パンツ自体がローライズな上にシャツの中に着たタンクトップの裾が短くって、おへそが丸見えだったりして、クライアントへのサービス精神以上に見に来た観客へのサービス精神も怠りなかった。この辺りの気配りが後続の激しい追い上げから紀香さんを逃がし、未だにトップの地位に留めている理由なのかも。

 眼福炸裂だったのが実際に紀香さんがゲームをプレイした時。タンクトップだけになってコントローラーを握りしめてプレイしている最中、興奮したのかコントローラーを握りしめたままぴょんぴょんとジャンプしてくれて、為に重力に従って下方向へと下がり気味だった胸の大きな物体が、動きに合わせてやっぱり上下にユサリユサリと動いてくれて、ガイナックスのアニメのセールスポイントを目の当たりに、それも天下に轟く藤原紀香さんで目の当たりに出来た幸せを、どう言葉に綴ったら良いんだろーかと悩んでいる。とりあえずビデオは持っていくべきだったかな、ってそれは主旨がちょっと違う。

 ゲームの後で着席した紀香さんの位置が何故か僕の座っている真正面で、見ると向こうもこっちをジッと見て、微笑んでくれているよーな感じがして(妄想妄想)、良い物を見せてくれた上に良い表情まで見せてくれた紀香さんに、これで忠誠を誓わなくっていつ誓うんだと思い至ったのが、藤原紀香主義者へと転向した決定的な理由だったりする。あと個人的には迷彩の上下を着て銃を持った紀香さんの格好に、「ルパン三世 カリオストロの城」に登場する迷彩服姿でルパンを助けたり暴れ回ったりバイクを操ったりする峰不二子さんと共通する艶っぽさがあったのも転向の大きな理由。今はまだどちらかといえばあっけらかんとして、不二子ちゃん的なワルモノ感が出ていないのが惜しいポイントだけど、何につけても熱心そーな紀香さんだから、勉強もするし経験もつんでいずれ生きた不二子ちゃんとして、スクリーンなりテレビの上でその勇姿を見せてくれることだろー。その時はルパン、僕やります、のーりかちゅわぁーーーーん。

 「はっぴいえんど」をリスペクトするアーティストが集まって「はっぴいえんど」の楽曲を演ったCD「HAPPY END PARADE」を買って聞く。とりあえず真っ先に最近ファンになった「スーパーバタードッグ」のボーカルの永積タカシさんが演った「風を集めて」のメロディをいじり唄い方もいじったオリジナリティの高い歌を聞いてその才能の凄さに感じ入り、「はっぴいえんど」で実は1番好きな「夏なんです」を演ったキリンジの原典に忠実な唄いっぷり、でもってその声質雰囲気の似ているっぷりにも感銘を覚える。どっちで演っても立派過ぎるくらいに「はっぴいえんど」しているのはやっぱり、元歌の質の高さがあってそれをカバーする人たちに与えるインパクトの強さがあるからなんだろーなー。地方にいた関係で見に行けなかった、もう15年は昔になるだろー「国立代々木競技場」での再結成みたいなこと、またやってくれないかなー。細野晴臣さんの凄すぎのベースを聴きたいなー。


"裏"日本工業新聞へ戻る
リウイチのホームページへ戻る