縮刷版2001年6月下旬号


【6月30日】 ありがとう集英社。400ページを超える特大ボリュームながらも1900円と個人的にはリーズナブルなお値段で、たっぷりのコラムとふんだんな写真と今までにない質問もいっぱいの本人&滅多に読めないスネジャナへの貴重なインタビューでもって、隅から隅までずずっいっと我らがピクシーことドラガン・ストイコビッチを大フィーチャーした本「Final Dragan Stojkovic ドラガン・ストイコビッチ完全読本」(集英社)を出してくれて、ファンとして名古屋出身者として日本国民として地球人としてこれほど嬉しいことはない。おまけに全6枚のトレーディングカード付き。袋からうっすらと透けて見えるデザインはおそらく「ユーロ2000」で最後の試合になったオランダ戦でのダービッツ相手にフェイントを仕掛けるピクシーと、「名古屋グランパスエイト」で練習している時の笑顔を表と裏にプリントしたもの。残りの5種類もやっぱり集めておきたいけれど、1万円出すのはさすがになあ、でもやっぱり欲しいなあ。国民の義務だしなあ。

 人によっては200ページ近い3本に別れた宮城シンジさんの漫画「背番号10 ドラガン・ストイコビッチ物語」がくどいかな、って思うかもしれないけれど原作を書いているのが「誇り」と「悪者見参」の木村元彦さんで、それぞれの本で活字として読んだピクシーの苦悩とユーゴスラヴィアが直面した悲惨な様が、絵でもって描かれるとやっぱりジンワリ来てしまう。コソボ紛争への制裁でユーゴ全域に空爆を仕掛けるNATOに抗議して、帰国したばかりのピクシーが福田へのアシストを決めた直後に「NATO STOP STRIKES」を書かれたシャツをバッと見せる見開きのシーンの静かな凄み、醒めた熱さたりや文字ではたぶん表現できないパワーで持って読む人に自体の深刻さを分からせる。

 同じ漫画の後半、「ユーロ2000」の予選でアウェー中のアウェー、クロアチアで戦うプラーヴィたちが罵声で浮き足立ち怯え震えるなかで、1人冷静にチームメイトたちを落ちつかせていく描写の格好良さも良いけれど、そんな落ち着き払って大人な感じを見せているピクシーが、残り5分、同じグループのアイルランドがマケドニアに引き分けているとの電光掲示板の表示を「嘘だ 僕らを油断させるためにクロアチアがだまして表示しているだけだ」と思ってしまうあたりの描写が醸し出す、セルビアとクロアチア双方に残ってなかなか抜けない不信感の根深さに身が締まる。相当な人格者をしてぬぐいきれない不信感を植え付けてしまったユーゴ紛争、今は落ちついているよーだけど完全なる解決はやっぱりまだまだ遠いんだろー。100年先か、1000年先か。

 92年、「ユーロ92」の会場だったスウェーデンからプラーヴィたちが強制帰国させられた時、ベオグラードから飛行機を飛ばしたポポフに取材したルポが秀逸の極みで、出て行けといいながらも燃料を与えようとしない空港の人たちに対して、ポポフがそれこそユーゴ代表という世界の至宝の命を楯ににして交渉する場面の緊迫感には国際謀略小説もサスペンス映画もかなわないかも。そんな数々の苦難を乗り越えそれこそ命すら危険にさらして復活し「フランスワールドカップ」でも「ユーロ2000」でも決勝トーナメントにも進んだプラーヴィなのに、今は不信のどん底で来年の「ワールドカップ」に出られるかどーかが危ぶまれる状態。部外者とは承知で不甲斐ないぞと叫びたくもなるけれど、1番そー言いたいだろー当のピクシーに現在プラーヴィに帯同して来日中のサビチェビッチが、「キリンカップ」の2つの試合を通して「意地(イナット)」を甦らせ、日本戦での再起を経て一気の復活を成し遂げることを期待しよー。その前に7月21日のJリーグ最終節対ヴェルディ戦、行って公式戦ラストらしーピクシーを応援だ、ベルディ側の席から。

 案外とお尻小さいんだねー梅崎真紀ちゃん、お風呂場で長物をかかえて佇む後ろ姿の可愛らしさの油断しそーになったけど、裸にタオルを巻き付け繰り広げられる毛臑野郎どもの攻撃を見事にかわしモーゼルを撃ちまくりルガーをうちまくりグレネードを巻きまくる姿はやっぱり「紅の流れ星」。ちょっとやそっとじゃ倒せやしねえと「ヤングキングアワーズ」所収の「ジオブリーダーズ」を読んで感嘆する。手に持ったブラも落とすほどの衝撃を姫萩夕ちゃんにあたえた体重計の数字はいったいどれくらいだったんだろー、下から見上げた豊満なバストの量感から想像するに、やっぱり大台乗ってたのかなー、どれくらいが大台かは知らないけれど、60とかそのくらい? よーやく目覚めた社長、びらびらなホテルで見るビデオに年甲斐もなく顔赤らめててちょっと可愛い。しかし本当に何歳なんだ。


【6月29日】 そうそう試合自体はパラグアイの方が前日に着いたばかりの人が結構いた割には守備にも攻撃にもスピード感が見られて、とりわけ攻撃陣の隙あらばディフェンスラインの隙間を飛び出そうと狙う動きの鋭さとか、サイドへと回って相手の守備陣の乱れを誘発するよーなクロスを放り込んで実際に得点に結びつける動きとかは迫力があって面白く、巨大なユーゴの選手の隙間をぬうよーな動きの柔らかさなんか、同じよーな体格をしていても日本にはちょっとないものだよーなーと、中南米のサッカー王国でもまれ続けている人たちの凄みを思い知る。胸板はぶあついし足だってぶっといあたり、帰国した広山が単なるデブチンにしか見えなかったりするのともまた違うし。テクニックはともかく体格だけでも日本が中田×11みたいになる時代はやっぱり10年くらい先のことなのかなあ。

 あとやっぱりチラベルトはうまかった。お腹あたりがデブチン気味で動きのキレとか心配されたけど、なあにいったんピッチに立てばそこは歴戦の勇者、練習の時から蹴られたボールをキャッチする動作のいちいち堂に入ってるぶりはやっぱり流石なもので、弧を描いて飛んでいったボールが手のひらに入った瞬間、まるでそこに吸い付いたよーなイメージが漂うのは重さも強さも和らげ受け止めるキャッチングの旨さがあるから、なんだろー。ユーゴのクロスも旨くなかったってこともあるんだろーけれどことごとくゴール前で直接キャッチしては前線へとフィードしていく安定感は、疲れてた選手にもきっと元気を与えたことだろー。顔は暗いし最近ちょっぴりミスの目立つ楢崎には真似できそーもないボスっぷり。仲間を鼓舞する感じの川口とも違う。世代交代は旨くいった感のある日本代表だけどピクシーしかりチラベルトしかりな時に怖じ気付かせもするけれど時に安心感を与えるベテランが登場するのも中田が老成する10年後、くらいかなあ。そーなってよーやく日本もワールドカップの決勝とかを頭に描けるよーになるのかなあ。

 もはや何のために戦っているのかすら見えなくなってきた「ノワール」。先週あたりの「黒のノワール」の何とも奇妙な仕事っぷり(慕う美女の声がTARAKOさんてのにも驚いた、あーゆー声も出せるのね、歳からすれば当然だろーけど)はそれとして、通常のパターンだととりあえず太股もムチムチな美女といたいけな割にやることはしっかりとやる少女の必殺仕事人的クライマックス銃撃シーンを楽しみに見てるから別に構わないんだけど、それにしても日本からはるばるやって来た正体不明の癖して銃を扱わせれば天下一品の美少女の、謎に迫ろーとする動きがちょい見られないのは謎解きが目的な人(いるのかなあ)にはちょっとまどろっこしいかも。階段から降りてきた的に向かって表情を代えず銃を向け引き金を惹いた瞬間の、あんないたいけな少女がってなやりきれなさはなかなかで、直後にカメラを切り替え撃たれる瞬間を見せずどこか無機質な雰囲気を醸し出す演出も、血が出る場面とかへの制約もあるんだろーけれど、かえって番組のシュールなイメージに相応しいかも。しかしいったいどこへ向かって進んでいるんだろーストーリー。来月から発売なDVDで補完しつつ残りいったいどれだけなんだろー放映を夜だけど頑張って見ていこー。

 偉い人の思いつきが炸裂するだけの相変わらず人生において意味に不自由な会合をこなした後で原宿で開かれたロボット「PINO」の発表会、ってもすでに一般にはお馴染みの宇多田ひかるさんの彼氏ロボットのお披露目なんかじゃなくって、今度お台場に出来る「日本科学未来館」だったっけ、「未来科学館」だったかもしれないけれどとにかく「ゆりかもめ」から見おろせる不思議な形の建物の中に、3台の「PINO」を納入したのを手始めに、製造して売ったり大学や企業に貸し出すビジネスを始めるって内容の発表会で、果たしてどこまで熟成しているのかは歩いている姿を見た訳じゃなく判断はできないけれど、とりあえず動くことは動く2足歩行ロボットを使った、本格的なビジネスがここに始まったと言ってもよさそー。完成度なら格上な「ASIMO」とかも本田技研工業、作って売り出せば良いのに。

 さてお値段は売るとプログラムとか制御ソフトとかがセットになったいちおうの標準仕様で800万円とかだから、車3台分とか聞いたことのある「ASIMO」よりは若干安くって、1台分のソニー「SDR−3X」よりはちょっと高いって感じ。ちなみにレンタルだと初日が調整で2日目3日目デモで4日目やっぱり調整といった日程で150万円くらい。イベントに呼んだとしたらちょっとした芸能人なみの講演料ってことになりそーで、学園祭とかにゲストで呼ぶのはちょっと無理かも、ってないだろーけどそんな学校。あといっしょにツクダオリジナルって会社が「PINO」で評判らしーあのデザインをそのまま象ったグッズとかを売り出すみたいで、とりあえずは縫いぐるみから始まってアクションフィギュアに等身大とかゆー風船「PINO」それから携帯ストラップなんかが発売されるみたい。いきなり見ればツルンとしたただのロボットに過ぎずグッズにしたって「AIBO」ほどには認知されないだろーって思っていたけど、宇多田さんとの競演で世間的な認知度は急上昇しているだろー現在、「PINO」を「PINO」として単独でキャラクターグッズにしても関心を持ってもらえる状況に来ているのかも。ビデオクリップを見た後だと、「PINO」見るとちょっぴりググッと来るんだよね、不思議にも不覚にも。

 あとツクダオリジナルが出すのは2足歩行型のロボット、っていったら本物の「PINO」と区別がつかないけれど機能は全然制約されてて会話とかのコミュニケーション機能と若干の歩行機能を持った玩具版「PINO」が秋とかに登場して来る予定。これも通常版があってあとサイズも大きめで機能もセンサー類が充実してえるバージョンが12000円の「AIBO」に比べれば全然低価格で発売される見通し。徒然ながら宇多田さんのクリップみたくすてすて歩いたりはしないんだろーけど、雰囲気だけは味わえるグッズとしてもしかしたらキャリアな女性とかに受けるのかも。5980円の通常版は値段もこの程度なんで買ってあれこれ改造にはげむ人とか出て来そう。個人的には首の回りにチューブを廻したり頭に鳥の羽根のよーな隊長の証をたててついでに全身を赤く塗ったり背中にビームサーベルを背負わしたりとかしたいけど、巧みさがないんでプロなモデラーの人に頑張って頂こー。

 突然の発表に「リキッドオーディオ・ジャパン」の会見に行って仰天、米リキッドオーディオとのライセンス契約を打ち切ってまさしく看板商品ともいえるリキッドのシステムを取り扱わなくなるて内容は、パン屋なのにパンを売らないとか「ゲーマーズ」なのに「で・ジ・キャラット」グッズが置いてないとか「アンナミラーズ」なのにウェートレスが全員貧乳といったレベルの話ではなく、看板を信用してお金を預けた=株を買った人たちの果たして戸惑いたるやどれほどのものかと想像に頭をめぐらせる。なるほど日本の貧困な通信環境とそれから携帯電話の爆発的な普及でパソコンにインターネットで音楽を配信するビジネスの成立させるのは難しく、無理なライセンス料をはらってまで米国のシステムに依存する必要はないって判断は判断として理解できるけど、独占的な看板あってのビジネスだった訳で、それがなくなり他の大手とイーブンの立場で音楽配信ビジネスを立ち上げていかなくっちゃいけない時、コンテンツホルダーではない企業形態は正直不利なんじゃないかってな考えが浮かぶ。

 おそらくは承知だろー経営陣は、例えばインディーズ系の人がデビューする出口みたくリキッド社(当然ながら名称変更も近いとか)が影響するサイトだかインフラだかを使おうってな計画を構想しているみたいだけど、メジャーでCDデビューとゆー巨大な山嶺があって着実に上っている感覚なり、いずれ上る詰めるだろー期待を抱ける大手のレコード会社だたらいざしらず、ネットオンリーなリキッド社にさてはてどれくらいの安心感で音楽を預けられるんだろーかとゆー疑問も。そうとに規模を縮小しそれこそゼロから始める感覚でアーティストの発掘に育成なんかも手がけていかないと、立て直しすらおぼつかなくなる可能性も考えられる。見た夢を畳んで小さいところに移り住み再びこつこつと高みを目指すことがさて、残っている経営陣に出来るかどーか。お手並み拝見と他者面しつつもネットとゆーインフラを使ったビジネスの毀誉褒貶なり1度崩れた信用の回復の難しさなんかを、発表なんかでのやりとりも勘案しつつ観察していこー。


【6月28日】 人間、生きるってことはつまりあれやこれや選択をし続けているってことで、折々に悩みもだえながらも時々に最善だと思うものを選んでは度々に失敗したなあと後悔しつつ、ってなことをおよそ死ぬまで繰り返している。まあ失敗したとは言っても所詮は1人の人間の一生、間違えようと正しかろうと世間にはそれで終わりになるんだけれど、これが地位のある人権力を持つ人立った場合、その選択ってのは時として当人以外の人々の、それも同時代じゃなくはるか未来までをも左右しかねなかったりする場合もままあって、間違えた時のリアクションはハンパじゃなく、選択には相当な緊張が伴うことになる。

 平谷美樹さん待望の小松左京賞受賞第一作「運河の果て」(角川春樹事務所、1900円)ってのが出ていて、読んでまず思ったのは「選択」ってことの楽しさと難しさ。主人公めいた人は2人いて、1人は考古学者で火星に住んでて火星にその昔いたとゆー原火星人の遺跡を発掘していて今は存在しない火星人はもしかして宇宙へと旅だったんじゃないか、ってな仮説を立てている。もう1人は政治家で木星方面に住んでいて外惑星の自治政府の議員をやっていて外惑星が地球とか火星といったところの統治から抜け出るためには木星に外殻を作ってそこに住むしかないってな持論を展開しては自立に必要な採掘権の獲得に取り組んでいる。

 2人に共通しているのは、人類が宇宙に出るよーになってナノテクも発達させた未来に出現した男性にも女性にも分化できる遺伝子を持った「モラトリアム」とゆー存在だったこと。いずれも差別とか導師に選んだ人の影響とかも受けながら、大人になった時に自らの性を選択するプロセスを通り過ぎていて、考古学者は男性となり議員は女性となって今はそれぞれの活動に取り組んでいる。さてこの2人を繋ぐのが、今はまだ男性でも女性でもないモラトリアムのアニス・ソーヤーという年少者。自己を決定すべくとりあえず考古学者を導師に選んで考古学者といっしょに火星の運河を下る旅に出たけれど、そこにとんでもない自体が発生して、少年の性なんてものとはスケールが違う人類全体を揺るがす「選択」のドラマが繰り広げられる。

 外惑星の自治をめぐる陰謀やテロに巻き込まれた女性議員の活躍を描いたサスペンスタッチのドラマがあり、性別の違いとか性別を超えた完全体といった差別と寛容のドラマがああり、人類が宇宙に住むよーになって発生した数々の問題に対する考察のドラマがあり、遺跡だけ残した火星人たちが果たしてどこへ行ってしまったのかを考古学者やその友人でもある別の考古学者が推論するドラマがあって、それらが絡み合いながら進んでいく構成の妙にまず感嘆。火星と木星、交互に展開される迫真のドラマにページをめくる手はちょっとやそっとじゃ止まらない。そーした中から立ち上がって来る人類の英知を問う「選択」のドラマに、果たして自分が同じ立場だったらどーするんだろーか、とゆー自問自答を喚起され悩みは頂点に達する。でもって最期の1行を読んだ直後に去来する葛藤の果たしてどこにゆき場を求めたら良いのか、誰しもがきっと悩むだろー。

 ちょっとした事件の向こうに大きな物語を立ち上がらせ、最終的に哲学的なテーマへと持っていく展開は、なるほど「小松左京賞」の受賞者が書く小説に相応しい。テラフォーミングとかフラーレンとか外殻とか軌道エレベーターとかいった科学的な描写がふんだんにあって、それらの整合性については流石に口を挟めるだけの知識はないけれど、いろいろ各方面のオーソリティーに師事しているらしーことが後書きには書いてあったから、たぶんそれなりな納得の行く科学描写に仕上がっているんだろー。面白さを際だたせるために犠牲にした科学もあるってゆーけど、読んだ限り面白さに引っ張られて科学がどーかなんて全然気にもならなかった。ともかく確実に巧みになっていく筆が、これから果たしてどんな作品を送り出して来るのかが、今は楽しみで仕方がない。期待してます、次もその次もそのまた次も。

 「スタジアムへ行こう」の第4弾は陸上にラクロスに「パリーグ」と世間一般通念的にはマイナーなスポーツが相次いだ中にあって初の国際試合、それも人気のサッカーとゆー転びっぷりに、いよいよネタが尽きたと思った人がいたらすいませんと謝っておこー。それでもやっぱり見たかったんだよストイコビッチの勇姿がさ。「国立競技場」で開催されたサッカーのキリンカップ「パラグアイ代表対ユーゴスラビア代表」は、今年の夏で引退が決まっているピクシーが、ユーゴスラビアのユニフォームを来て国立に登場する当然ながら最後の試合ってことで急な評判を呼び、平日で選手はパラグアイもユーゴスラビアもともに各1人のスター選手を除いては、名前も所属も知らない選手ばかりを集めた急増っぽいチーム同士の試合ながらも、2万人を超える観客が入ってスタンドもメインスタンドは結構な率で埋まってた。うち推定で1万人はピクシーの勇姿見たさに来た人で、何故かいきなり監督になってた悪魔的ドリブラーなデヤン・サビチェビッチのコールで、前半も30分を過ぎた当たりでピクシーが下げられた場面に、会場から激しい溜息が漏れたのも仕方がないって言えるでしょー。

 電光石火のごとくもらったボールを別の場所へと送って見せたり相手ディフェンダーの感激をぬってタイミングもスピードもベストなパスを出しまくるピクシーの動きの良さを見るにつけ、先制点こそ与えてしまったけれどピクシーが頑張れば感嘆に逆転出来るだろーと思っていたし、当人もきっと頑張りたかったんだろーけど、どーやら前の試合で痛めたふくらはぎの調子が悪かたよーで、盟友サヴィチェビッチも国立ではラストなんで最後まで出たかっただろーピクシーを思いやりつつ、引っ込めざるを得なかったんだろー。代わりにサビチェビッチが出れば良かったのに、おもむろにスーツを脱いでユニフォーム姿になってグラウンドに飛び出していったら、溜息も歓声へと変わっただろーに。もっともピクシーが抜けてから重しが取れたのかユーゴ代表の選手たちの中に、動きの良くなった選手が少なからずいたのにはちょっと納得。ヤングばかりなジャイアンツにいきなり長島が入ってサードとか守り始めたらやっぱり誰でも緊張するよーに、世界レベルのカリスマが同じピッチの上にいるってだけで、緊張していつもどーりのプレイが出来ない人がいたって不思議じゃないからね。

 しかし流石に東欧のブラジルことユーゴスラビア。ピクシーが抜けた後でもサイドで選手たちがくるくる入れ替わりながらボールを廻していたと思ったら、次の瞬間左右の明いたスペースに走り込んでいた選手のところへボールが飛んで、それがゴール前へと返って一気にチャンスが出来上がる、って感じの攻撃の組立は、ゴール前へと持っていくのすら大変な日本も学んで起きたいところ。ゴール前へと飛んだクロスにオーバーヘッドで合わせよーとしてタイミングなんかはドンピシャリ、方向がちょいズレて得点にはならなかったけど、こーゆー波状攻撃が仕掛けられるよーになったら、日本も更に強くなれそー。もっとも左からクロス上げてた6番はことごとく外しまくりで溜息の的になってたし、最初の失点は飛び出したキーパーがパラグアイのフォワードにするりとかわされてゴール、次も交替したキーパーが万歳で後逸したことろを返され合わせられ飛び込まれて失点とゆー体たらく。来年に日本に来るためには、パラグアイにカウンターかけられっぱなしのディフェンス陣と合わせて奮起が必要かも。


【6月27日】 世の中の温故知新ぶりが少々鼻について来ていて、新しいものを生み出す力の弱体化が古いものの知名度肌触りに頼らせ更なる創造力の弱体化を招いているんじゃないかってな懸念に頭をめぐらせていたけれど、こーまで正面から堂々を温故ぶりをやってくれると、呆然でも呆然でも愕然でもなくやっぱり感動めいたものが浮かんで来てしまう「コミック伝説マガジン」(実業之日本社、380円)。何しろ表紙が「鉄腕アトム」で手塚プロダクションによる”新作”のアトムが掲載されていて、サイドがこれまたともに新作の永井豪とダイナミックプロによる「オモライくん2001」と藤子不二夫Aさんによる「踊ルせぇるすまん」。でもって三浦みつるさん「かぼちゃワイン」にコンタロウさん「1・2のアッホ!!」に吉森みき男さん「しまっていこうぜ」がそれぞれ”新”を頭に付けての登場とあれば、もう買うより読むより他にない。時代はちょっと前後するけどかつて読んで感動したりしなかったりした漫画の新作に世紀を超えて見えようとは。人間長生きするもんだ。あとは「ストップひばりくん」の続きだけど……こればっかりは22世紀かな、やっぱ。

 「まいっちんぐマチコ先生」なんかが掲載されているあたりは、一時世間を騒がせつつも3号だか4号で消えてしまった「コミックゴン」の雰囲気を引きずっていて、あるいは何かのつながりでもあるんだろーかと思ったけれどどーなんだろー。石ノ森章太郎さん池上遼一さん望月三起也さんのベテラン(物故者も含む)3人の幻らしー名作を復刻しているあたりの目配りの鋭さは、単純に「漫画サンデー」の増刊として片手間で作ってるって感じじゃない。漫画家じゃないけど漫画も描いて本も出してる筒井康隆さんが漫画を描いていた時代をエッセイで書いているのはちょっと注目、最近の「噂の眞相」の連載とか、朝日新聞だったっけ読売新聞だったっけ忘れたけれど新聞でのトークエッセイなんかで使っている韜晦口調露悪趣味喋り口調とは違って真面目に時代性と背景なんかを語っているのが興味深い。「以下次号」ってあって他の漫画も「次号につづく」ってことはやっぱり本気で懐かし系の掘り起こしに突っ込んでいく気なのかも。漫画はちょっと心配だけど筒井さんのエッセイだけは続けて読みたいんでスタッフの人には頑張って下さいを激励を贈ろう。「ウラン」ちゃん可愛くないのだけは勘弁な。

 引き続き「モーニング娘。」のライブDVDを見る日々、これで幸せになれるなんて我ながら安上がりな人生だことよ。ずざざざざっと見た印象からいうとメンバーちゃんと踊ってるなあって感じで、もちろんブロードウェイとかのプロなダンサーのピタリと揃った踊りなんかとは質も雰囲気も全然違うけど、あれだけいっぱいある曲のメンバーごとにバラバラな振り付けをそれぞれがちゃんと覚えてやってるって所に、出始めはともかく今や押しも押されるニッポンのナンバー1グループになったってゆー事実の重みを感じる。正直数年前までは舐めてた身としてここに不明を恥じよう。頭はすでにまるまってるんで勘弁。

 にしてもやっぱい偉大なんだね「なっち」こと安倍なつみ。「LOVEマシーン」以降どこかメインをとられた感じが歌にもビジュアルにもあったけど、懐かし系の「抱いてHOLD ON ME!」とか「真夏の光線」とか聴くとボーカルのメインっぽい部分で耳に響いてくるのはやっぱりなっちのあの声で、上手いかどーかは別にして曲に馴染んで耳にもしっかりと馴染んで来る当たり、初期「モー娘。」のイメージはなっちに依るところが大きかったんだってことが分かって来る、って気づくのが遅すぎか。新メンバー含めて大世帯になった今もなお、誰がどのパートを唄っているのかしっかり聞き分けそれぞれに感情を入れ込めるプロなファンの人には流石にかなわないだろーけれど、遅ればせながら勉強してせめてカオリンの部分くらいはしっかり聞き分けられるよーになろー、あと加護ちゃん。石川梨華印象薄いなあ、美人なのに。

 開襟シャツに麻のジャケットにベージュの帽子とゆー田舎の教員みたいな格好に似合わない渋谷に行って公園通りをのぼり渋谷公会堂前を体育館の方へと折れた場所で開かれるとゆーソニー・コンピュータエンタテインメントの新作ソフト発表会へ。そんな場所にイベントなんか開ける場所があったんだろーか、もう1年以上も前に寒空の中ロボット火炎ショーを見た場所とも違うしなー、とか思って歩いていたら正面に見えてきたのが仮設っぽいけど立派なイベントホール。赤坂でいうなら「BLITZ」とか、お台場なら「ZEPP」にも似た雰囲気で、看板なんかから推測するにマッスル、じゃないネッスル、でもないネスレ日本と後はたぶんKDDIあたりがやってるっぽい。そーいや昔は「日清パワーステーション」なんてのもあったなあ。

 入って待つこと数十分。始まったイベントは今さらな感もあるけど改めて見るとやっぱりCGの緻密さなめらかさに圧倒される「ファイナルファンタジーX」に始まって、「マリオゴルフ」の実にリアルなゴルフからリアリティを巧みに抽出した腕前に関心して以来興味を持ったゴルフゲームの現時点での最高傑作と断言したくなる「みんなのGOLF3」、それから剣を振り回せば「ベルセルク」で銃を撃ちまくれば「ヘルシング」が「トライガン」みたいな雰囲気ながらも、スピード感とエフェクトの迫力で今までにないビジュアルを現出してみせているカプコンの「デビル・メイ・クライ」といった発売間近な「プレイステーション2」対応ソフトが相次いで披露されて、やっぱり凄いじゃん「PS2」ってな感動にうち震える。

 そ・れ・だ・け・な・ら・ま・だ・い・い・がbyトーマス兄弟。ドンドン刻まれるビートに乗って登場したまるでミュージシャンみたいな風体の水口哲也さんが手に握ったコントローラーのレバーを回しボタンを押すその動きに合わせて、「2001年宇宙の旅」のスターゲートもかくやと思わせるサイケで奥行きがあって自在に回る空間を人が漂い何かを放ちながら進んでいく、音楽ゲームなのかシューティングゲームなのかその複合なのかそのいずれでもないのか、分からないけどとにかく凄いとしか言いようのない「Rez」ってゲームを見た瞬間、ゲームを超える何ものかが2001年の今、ここに登場したのかもしれないってなパラダイムシフトのかかと落としを脳天にくらった気分になる。終わりがけに同断した丸さん丸山茂雄SCEI会長も同じよーな感触だったみたいで、音楽のプロながらも音楽を超える新しいコンピューター・エンターテインメントの出現をそこに見たみたい。セガの潜在力おそるべし。

 あとセガといえばやっぱりこの人な鈴木裕さんが、「プレイステーション」に彩られた会場に姿を見せて向かいに「鉄拳4」のデモ画面に見入り「鉄拳4」を作った人を握手する姿は、隔世の感を抱かせ栄枯盛衰諸行無常の様を見せつつも改めて1つの旗のもとに参集した英雄豪傑たちが、切磋琢磨しながら高め合っていく図なんかを想像させてちょっと胸がわくわくする。もちろん同じプラットフォームで同じジャンルのゲームがシェアを食い合う可能性だってある訳だけど、そこは世界に冠たる格闘ゲームの2大ブランド。「バーチャ」があるなら「鉄拳」はいいやと投げる人の数よりも、「鉄拳」やって面白かったけど「バーチャ」ってのもどうだろう、と同じジャンルのゲームをあれこれ試す人の数の方が多そうで、刺激しあい高めあってかえってシェアを拡大していく可能性に実は期待してたりする。かたや「バーチャファイター4」、こなた「鉄拳4」とライバルの名前がプリントされたTシャツなんかも作ってた当たり、そーいった思惑が双方とそれからSCEIにも存分以上にあるんだろー。さてもどーなるか、期待いっぱい不安は……気にしない。


【6月26日】 小説2冊の日記本1冊と刊行ラッシュの中でもとりあえずは小説からとまずは金子國義さんが表紙を描いてて大昔に読んだ島田雅彦さんの何だったかを思い出してしまった(本当に島田さんの本だったかは不明、模造記憶かもしれない)森博嗣さん「墜ちていく僕たち」(集英社、1500円)を読了、インスタントラーメンを食べると性がどんでんしてしまう男たち女たちのエピソードを順繰りに配置した連作集で、性がどんでんしたことにって改めて性について考えるっぽい教条的な読み方も可能だけど、むしろとまどいながらも順応してしまう人間の柔軟性の方に目を向けた方が楽しめそー。

 例えば表題作の青年なんて「あ、そうか」で「ふう」くらいしか反応がなくって、逆に安心してしまってるほど。股間に手鏡を当ててのぞくなんて決まり切った描写がないって物足りなく思うかもしれないけれど、人間その後に及べば案外に開き直ってしまうものなのかもしれない。その変化を「落下」という言葉に例えてあることが、だったら男と女に上があって下があるんだって言ってるんだと考えて憤る人がもしかしたらいるかもしれないけれど、ここで言ってる上ってのは無理して背伸びしよーとしていたとか、無理してロープに捕まってあがいていたってな感じを例えたものでしかない。

 つまりは男なんて「ロープの上で平均棒を持って『俺たちだけが高いんだ』なんて威張っているピエロ」で、「不完全なだけ。だいたいが中途半端で、考え方が凹んでいるし、ぶつぶつ理屈っぽいうえ、ここ一番で自分勝手だし、そのくせ他人のことばっかり妙に気にして」ひとりよがりの果てに寿命をすり減らして死ぬ悲しい存在、むしろ女性の方が完全なんだよってことを言いたいらしー。それがどこまで真実かは知らないし、ひとりよがりであっても上にいたがる男性を鬱陶しく感じる女性も少なくないとは思うけど、性差について考える糸口になるって点で異論反論を含めて関心を集めそー。しかし何故にきっかけがインスタントラーメンなんだろー? うどんとおでんだったらまさしく「どんでん」だったのに。

 次はたなびく雲海の白をひろがる空の青が目に鮮やかな「スカイ・クロラ」(中央公論社、1700円)。ビニールのカバーをはずすと空に雲だけになってしまう装丁の斬新さもさることながら、スタートした物語の何ともつかみ所のない様もふわふわと浮かんでやがてどこかに消えてしまったと思ったら再び集まって来る雲のよー。名前から想像すると日本のどこかにある基地にやってきたパイロットが、前の大きな戦争から50年は経過しているってゆーから現代だろーと思いだとしたら当然ジェット機だろーと思ったら、意外やプロペラの戦闘機を操縦して同じ国にある誰か別の勢力と戦うって展開になっていて、もしかしてSFにときどきある2分割に占領された日本が舞台の物語だろーかとゆー考えが浮かぶ、あるいは矢作俊彦さんの「あ・じゃ・ぱん」(矢作俊彦、新潮社、上2400円、下2800円)みたいな話とか

 最終的に浮かび上がってくる世界観は実にグロテスクで残酷。そんな中で戦い続ける主人公たちは、成長と引き替えにいつか来る死を意識しなければならない人間を超越した存在として描かれている。子供でいつづけることは楽しいかもしれないけれど、それは大人になるという避けられない前提があってのこと。永遠に子供でいつづけなければならない魂は、楽しさを味わうより苦しさを忘れるために過去を忘却の彼方へと押しやり、未来を見ようとせず永遠の現在に生き続ける。そんあ姿はある意味羨ましくもあるけれど一方で残酷でもあり、共感すべきか反発すべきか悩まされる。

 とにかく情報が少なく小出しにされる断片から推測していくほかないのが不安でもあり楽しくもある小説で、飛行機乗りつながりで言うなら雲の中なのかそれとも夢の中なのか分からない場所を飛行し続けている「紅の豚」のポルコ・ロッソのよーな気分に読んでいてなれる。書いた本人の意図はともかく個人的にはなかなかなSFとして認知したい秀作、2巻が出たばかりの「僕はイーグル1」(夏見正隆、徳間書店、1300円)のジェット戦とはちょっと違ったプロペラ戦ながら戦闘の描写のリアルっぽさは同様に秀逸で航空ファンも楽しめそー。鬼頭莫宏の絵で漫画で読みたくなって来たなあ。

 DVDで出た大阪城でのライブ「モーニング娘。ライブレボリューション21夏」を買う。国民の義務だ。タンポポの「恋をしちゃいました!」を真っ先に見る。国民の義務、ってゆーとプッチモニのファンに怒られそーだけど巨大なカオリンに免じてやっぱり義務にしておこー(やっちゃった)。ヒットしていた時期に不思議とテレビを見逃してしまっていた関係で、プロモーションビデオじゃないステージで唄う姿を見るのはこれが初めてだったりして、もちろんカオリンの巨大さがアイキャッチにはなっているけれど、それ以上に振り付けとか唄い分けとかいった歌の基本的な部分で、あの4人の素材を存分に活かしたプロデューサーの腕前に感嘆する。贔屓目だけどユニットとして完璧。カオリンのオバさん声(御免よー)に対比した加護ちゃんの澄んで伸びる声が実に良いんだよねー、あれっ辻ちゃんだったっけ、ともかくやっぱり伊達に「モー娘。」に選ばれてないね。

 ピクシーがプラーヴィに加わって話にこれは見ておくのが名古屋市出身の義務と「キリンカップ パラグアイ対ユーゴスラヴィア」のチケットを買う。間際になったこの時期にSS席が余ってるってのは、あるいはメンバーが揃っていないユーゴなんて有り難がって見る価値がないと思う目の肥えたサッカーファンが増えた証かもしれないけれど、中田も名波もいない日本代表だって似たよーなもの、それより何よりあのピクシーが参加しているってだけてこれはもう動く世界遺産、おそらく国立競技場では最期の登場となる試合を見逃して、サッカーファンと言うのもちょっぴり勿体ないよーな気がしないでもない。本当に出るのか、どれだけ出るのかは分からないけど代表のユニフォームを身にまとったピクシーを目に焼き付け、東京スタジアムで開かれる最終節の東京ヴェルディ1969戦で有終の美を飾るピクシーも見て、我が俄(にわか)サッカーファン生活のクライマックスとしよー。国立へ行こー。


【6月25日】 どんどんとグロテスクになっていく描写の中で人間であることって何だろう? 的な話が浮かんで来て身を凍らせる単行本の2巻、3巻を知っているだけに、そのあたりをアニメ版がどう描いて見せるのか興味のあった「エイリアン9」のOVAだったけど、とりあえずの「Vol.1」は単行本と同じよーにいたいけっぽい少女がエイリアン対策係を押しつけられて、気絶したり逃避しながらも仲間の2人の姿を見てちょっとだけやる気を出す、ってな戦闘少女物に時としてあるパターンが割にほんわかと繰り広げられていて、割にピョコピョコしている音楽もそれっぽく(でもガムランとか交じってる辺りは配島邦明さん)、知らない人が見たらこのまま悩みながらも成長していく学園コメディなのかな、って思いそう。思わないか。

 あわあわと口を振るわせじんわりと涙を浮かべる大谷ゆりの表情とかはホントによく描けてて、声を演ってる実は全然知らない人だった井端珠里さんのおどおどとしっぱなしな演技もイメージにピッタリで、よく見つけてよくはめたものだと関心。ちょっぴりお姉さんな川村くみが清水香里さんってのはこれまで割と小人っぽい役が多かったからちょっと意外。一声で嫌らしさと緊張感を浮かび上がらせる中尾隆聖さんはやっぱり凄い。先生の久川めぐみが久川綾さんってのには作者の富沢ひとしさんもライナーノートでことのほかお慶びのよーで善哉、ほかもキャラクターの名前に使った声優さんではめたらどんな作品になったのかちょっと興味も湧いてきた。大谷ゆりさんってやっぱり「ピッカア」な人? 東浩紀さんのライナーはおおむねこれまでにどっかで読んだ記憶のある評のダイジェストだけど、文体構成含めて全体に淡々とした評が多い「読売新聞」の書評よりも力が入っているよーな気が。ジャンル突き抜けてます。

 お楽しみは身体検査のシーンとボウグに背中をなめられるシーンで、小学校で小学生なんでそれはもう平ぺったいんだけど、同じ小学生でも人によっては随分と違っていた記憶があるだけに、お姉さんなくみちゃんも年の割にグラマっぽい遠峰かすみちゃんも等しくモノリス状ってのにはちょっと納得が。ゆりちゃんはまあ仕方がないか。巻き尺を当てられているときの左右に上げた手のふるえとか、一瞬デジタルなノイズかと思ってしまうくらいにあれやこれやの細かい芸が使われていてなかなか楽しい。しかし手足とかすぱんすぱんと切れてドリルとかるんるんしちゃう以下続刊を否応なしに動かさなくっちゃいけないアニメがやっぱりどう描くのかが目下の興味。カメラを振ったりシルエットにしたりして描かない、って手もまあありだけどあーゆーシーンがあってこそ際だつ女の子たちの頑張りだったりする訳で、東さん同様「それはアニメーターにとっても大きな挑戦に違いない」と結んで期待を表明しておこー。コスパの体操服って男子用とか、ある?

 いや驚いた。本当に驚いた。「帝国ホテル」の廊下で会見場へと向かうセガの間もなく代表取締役な香山哲さんに会って「サクラ大戦だセガのハードで出ないなんて(オヨヨ)」と泣き崩れたら「そんなことないよ」って言われていったい何だ何事だ、と戸惑いながら会見場へと入りもらったリリースをみて仰天、「サクラ大戦4 恋せよ乙女」なる新作が、それも「ドリームキャスト」で発売されるなんてあって、ハードの末期も末期どころか生産中止から1年経っての時期に超はさすがにつかないだろーけど大作には違いない「サクラ大戦」を出すとゆー、およそ経営の常道からは考えられないことをしてしまう大盤振舞ぶりにはやっぱり驚くより他にない。アナリストの人とかやっぱり常軌を逸してるとか見るんだろーなー、今さらの「DC」向け新作は。

 まあ考えようによっては「サクラ大戦」とゆー看板を大事にしようって意志のあらわれでもありまた「3」が「DC」向けにそれなりな数出た自身を踏まえて1年後でも完結編ってことでそれなりな数出るだろうって判断があってのことだろーし、これでファンを大事にする会社、ソフト資産を大切にする会社ってイメージも喚起できればたとえ数字がどーであっても得られるプラス面も大きいだろー。何よりあれだけ厳しい厳しいと言われていたにも関わらず一気に財務販売その他を立て直して、フトコロに余裕が出来た現れだって見て取れないこともなく、用意しているらしーさらなる隠し玉も含めてこれからまだまだ、っても1年くらいだろーけれど「DC」はハードとして結構楽しめそう。「サクラ大戦オンライン(仮)」が出たらやっぱり繋げちゃうのかなあ、「ファンタシー・スター・オンライン」は見向きもしないこの俺が。

 会見の方はメインが今冬公開の劇場版「サクラ大戦」の発表で、内容その他は不明だけど制作がプロダクションI.G(社長の人のアロハがキュート、Papas製?)で監督が本郷みつるさんって布陣にテレビ版の中村隆太郎監督とは違ったド派手で明るい絢爛たる「サクラ大戦」の世界を期待出来そー。チラリとだけ見せてもらった場面は「サクラ大戦3」のオープニングのよーにセルっぽい平たい絵なのにぐるぐる回るシーンがそこかしこに使われていて凄い映画になりそーな予感が、シナリオとかは知らないけれど。時折ちらちらと金髪でもマリアとは違う長い髪をした女の子が見えたよーな気がしたけれどもしかして新キャラ? 単なる見間違いかもしれないんで知りたい人はアニメ雑誌なんかを要チェックだ。

 大正桜に浪漫の嵐な扮装と、それから夏に「新宿厚生年金会館」やる泉鏡花の「海神別荘」を入れ込んだ恒例の「歌謡ショウ」のまるで乙姫様な扮装と、2とおりの衣装で登場した「真宮寺さくら」役の横山智佐さんは相変わらずにお綺麗でこれも善哉。けど懇親会の方に移っての髪は別に結ってなストレートに下ろした普段着の横山さんの方が、衣装の派手さと相殺されてない分だけ顔立ちが目立って神々しく、もちろん近寄れなんかしないからもっぱらおじさんたちの話を聞きながら遠目でチラチラと尊顔を拝む。細いなあ。お近づきになりたいなあ。「天地にいちゃん」って読んで欲しいなあ。誰が天地だ。

 そんなこんなな関係で最期の方まで居残っていたら、「パーティーは最期までいてくれれば良いことがある」ってな感じに挨拶に立った我らが広井王子さんが新キャラは出ますと断言、やっぱりあのキャラがそうだったのか(見間違いでしょう)。あと映画館別にエンディングを代えるなんて話題を作りたかったけど、これは流石に映画会社の人から無理だと言われたみたい。けど例えば映画がサーバーから配信されるよーになったら、データだけ作ってさえ置けば切り替えるのだってそんなに難しくなさそーで、ゲーム的なマルチエンディングの発想が映画の世界にどんどんと流れ込んでいくことになるのかも。でもってネットで「あそこの劇場はエンディングがさくらだった」「あっちはかすみだった」ってなデータが出回って、ファンはコンプリートに全国を駆け回ることになるんだ。そーなった場合今の頒布権とかどーなるんだろ。今は他の業界の話と素知らぬ顔の映像ソフトの団体も、いー加減覚悟を決めた方がいいかも。


【6月24日】 幕張に免許皆伝に行く。自動車運転免許って奴。前に更新した時もすでに5年の有効期限になっていたけど間に合わなかったのか大きさが旧来からの大きめのタイプだったのが、ようやくやっと流行りのクレジットカードサイズになって、財布にもスッポリと収まるよーになった。ただ写真とかがデジタルで写りがボけてる感じがするのと、使われている書体が細い多分ゴシックで見ていてあんまり有難みがなく、ともすると大昔に流行したなめ猫の免許証より偽物っぽい雰囲気が漂っている。まあお札だって出たての頃って見慣れないと玩具に見えてしまうから(夏目漱石初めて見た時とか。2000円札はきっと今見ても偽物に見える)、触っているうちに本物に見えて来るんだろー、まあ免許として使う機会は当面なさそーだけど、車ないんで。

 5年前の更新の時がどーだったのか記憶にないけど一連の手続きが実にシンプルでかつスムーズになっていたのには驚く。書類もらって証紙を貼って行列にならんで視力検査。3つ当てればオッケーで、あとは書類を出して写真を撮ってクレジットカードじゃないけどゴールド会員(会員は違う)なんで講習は短く30分。幕張の免許センターに到着してからおおよそ1時間半くらいで新しい免許が交付されて、半日がかりかなあ、なんて思って構えていた気持ちがちょい拍子抜けする。申請書に貼る写真も不要になってるみたいで、「免許写真」なんて看板掲げてた名古屋は平針あたの試験場へと向かう道に並んでた店が、今はどーなっているのかちょっと知りたいところ。親戚ん家のパン屋にも写真機があったしその向かいにあった無人の写真機には小学校への通学途中に良くイタズラなんかしたし。小泉内閣が標榜する構造改革を受けた行政とかの効率化によって恩恵を受ける人がいる一方で、痛みを受ける人もいるってゆーこれも実例、講習会場へと向かう途中に一切の説明もなく網を広げて入会者を待ってる交通安全協会も、決して他人事じゃないよ。

 雨なんで「千葉マリンスタジアム」はパス、黒木はちょっと見たかったけど2日続けていく程野球のファンでもないし。「次世代ワールドホビーフェア」も以下同文、「ソニック・アドベンチャー2」の発売に絡んでお誕生日会も開かれてたはずだけど、たとえ世界で人気の数々のゲームを付くって来たカリスマクリエーターでも、アイドルでもなければ声優でも「でじこ」でもない所詮はおじさんの顔を見て喜ぶほどウブじゃないんで。まあ巨躯長髪のカリスマクリエーターだったら今なにやってんだろー的興味で見たい気もあるけれど、クリスマス前の冬の早朝に「メッセサンオー」で握手した仲(それほどのものか)でもあるし。しかしホントどーなったんだろー、「スーパー」な会社に生まれ変わったあの会社あのクリエーター。

 帰ってひたすらに昼寝と読書、洗濯はまたの機会に。ストイコビッチの伝記「誇り」(集英社文庫)を欠いた木村元彦さんの2冊目「悪者見参」(集英社文庫、724円)は前にハードカバーで出た本に最新の情勢なんかも補われてある文庫化の見本のよーな本。小説だったら解説がつくあとがきが加わるだけでも満足できない訳じゃないけれど、こーゆー”現在進行形”のルポってやっぱり鮮度が肝心だからね。とはいえ扱っている問題の大きさ重さを考えると、”現在進行形”であることが決して幸せじゃないことも一方にはあって、本当だったら「あーゆー時代もあった」ってな感じで読み継がれてていって欲しい気が。何十年どころか何百年ってスパンで蒸し返される問題だけに解決は容易じゃないのは百も承知で楽観論だけ言うのも苦しいけれど、第二次大戦後の何十年か、安定していた時代も現実にあった訳でそれ以上の安寧が訪れる日を期待しつつ、トヨタカップに「レッドスター」がピクシー監督とかでやって来たりする時とか夢見よー。キリンカップはやっぱ国立に行くべきか。

 ボビンチョ浅田弘幸さんの厭世感ただよう退廃的な表紙なんかに惹かれて荒木スミシさんの「グッバイ*チョコレート*ヘヴン」(幻冬舎、600円)を読む。「青春トリコロール」シリーズってあって赤白青のフランス国旗になぞらえたカラーでもって青春を語るシリーズの第一弾らしーけど、「赤の青春」とあるその「赤」が何を象徴しているのかはちょっと不明、あるいは燃える魂か流れる血なのもしれないけれど、「青」がだったら何で「白」は何なのかを確認してからでも答えを出すのは遅くない。10月に「青」が出るみたいんなんで意味はその時に。で「グッバイ*チョコレート*ヘヴン」。平凡な妹がいて姉のイオナは人気モデルなんだけど家には帰って来なくって、同居している母親はプール通いが忙しく別居している父親はネット絡みの仕事でそれなりな地位にあり、バラバラなんだけど体面なのかそれとも心では切れていないのか緩やかに繋がってたりする家族がある。

 人気モデルのイオナには風聞があって最近出ている写真は全部合成で本人は太って見られない体になっているってことで、実際にテレビへの出演もまったく無くなって噂の信憑性を煽っている。そんなある時妹がイオナのファンらしー少年にさらわれるとゆー事件が起こり、ネットなんかも使って事件は社会秩序に挑む少年への讃美と行動の強引さを嫌う人々との争いへと発展し、一方でイオナはますますその実在が希薄になっていく。作られたアイドルの悲劇が、作られた社会の中で作られた生を送ることへの若者たちの違和感を喚起し、脱出への夢を見させるが……ってなストーリー。”幻冬舎文学”ってジャンルがあるならそれに当てはまっていそーな内容で、言ってしまえば岡崎京子さんリミックス、オタクとは違う都会の最先端で生きてる男の子女の子たちの先鋭的な暮らしぶりを描いて定評のあった岡崎さんの漫画の世界が、活字になったよーな感じって言えば判る人には判るかも。

 そもそもが「グッバイ*チョコレート*ヘヴン」の場合、巻末で著者が「ヘルター・スケルター」って単行本にまとまっておらず読めななかった傑作のあらすじを妄想して作ったって書いていて、「リバーズ・エッジ」なんかを読みながら岡崎さんの文法なんかを取り入れながら作ったってあって、なるほど出来上がった作品は「ヘルター・スケルター」とはまるで違ったものになっているらしーけど、読む人が読めばそこかしこに岡崎さんの色がのぞいているよーに見える、のかもしれない。個人的にはほとんどの岡崎作品が未読なためこれがこうって指摘は出来ないのが目下の悩みだけど、荒木さんのよーに真正面から岡崎リスペクターを公言して敬意と愛情でもってリミックスをやる人からそうでない人まで含めて、何かと岡崎ファンの神経にいろいろと働きかけて来る作品を出してる青春文学の牙城、幻冬舎の本だけに、賞賛にしろ鉄槌にしろ遠からずその内容に対する岡崎ファンからの反応が起こるだろー。動静に注目。


【6月23日】 にょにょにょにょにょ、「次世代ワールドホビーフェア」だにょ、ってことに「湘南ベルマーレ」でもないのにどーしてなるかってゆーと何と遂にとゆーかやっととゆーか子供を相手にしたキャラクタービジネスで欠かすことの出来ない甲子園的イベントの「次世代ワールドホビーフェア」にブロッコリーが出展、でもってステージにグッズに「デ・ジ・キャラット」を披露展開しては「ポケットモンスター」に「とっとこハム太郎」といった子供に圧倒的の二乗は浸透しているキャラクターたちを相手に頑張っている姿を見て、あの不思議にいまいちだった最初のCM「何でゲームがないんだよー」に触れて以来、気にして来た会社のいよいよメジャーへと向けたノルマンディー上陸作戦が始まったんだとゆー感慨にちょっぴり涙が出た気になる、気だけね。

 ミッドウェーでないとゆー保証も別にないんだけど、「でじこ」に「うさだ」に「ぷちこ」にちょっとだけ「ぴよこ」も登場しての仮面着ぐるみショーをステージ前で見ている人たちの、1部に「横浜アリーナ」も「ベルファーレ」も常連っぽい若者も見られたけれど多くは真っ当に「ポケモン」「ハム太郎」そして「ベイブレード」のために集まっただろー少年たち少女たちが多数を占めた状況を見るにつけ、それが何かを認知しているかどーかはともかくとして、見た目の華やかさにだけはとりあえずその場では関心を示したってことが確認できた。着ぐるみの「でじこ」が速いビートの音楽で素早い振り付けを見事にこなしていた姿はそれとして感動もので、「うさだ」に「ぷちこ」も交じって3人で「PARTY・NIGHT」をプレイしていした姿もなかなか。まあどっぷりと浸かっている人間ならではの感動なんで信憑性は薄いけれど、初見参で場所も隅だったにしてはそれなりのインパクトを来場者に与えたことだろー。「コロコロ」進出? それはさすがに先かなあ。

 代わりに、って訳でもないんだろーけれど自社のキャラクターではないものの、たぶん今回の会場では最大級の賑わいを見せていたタカラの「ベイブレード」に関連して、ブロッコリーが「ベイブレード」のカードゲームを出すことになっててその先行カードをブロッコリーのブースで配ってたよーで、物販とか「でじこ」塗り絵とかやってる周囲をぐるりと囲んで子供たちとその親たちが並んでいて、とりあえずはタダでもらえるものなんで並んだだけなのかもしれないけれど、それでも強烈な「ベイブレード」の集客力を目の当たりに見るにつけ、7月の下旬に出す本番のカードもそれなりな人気を見せる可能性は大きそー。やっぱりブロッコリーが出すことになってる「ベイブレード」の「ゲームボーイカラー」対応ソフトも20万本とかのオーダーを受けて会場でもそれなりな人気で、念願の株式公開に向けて大きく弾みを付けた格好。今が旬なものを出せば売れるのは当然かもしれないけれど、巧く旬に乗せるってのは大変なもの。そこをキッチリとキメて来るからやっぱり侮れないなあ。20年後、アナハイムのあの会社、多摩センターのあの会社、超える会社になっているかな?

 それにつけてもこーやって次々と新しい会社を世に送り出すメディアパワーを持っているものだと「コロコロコミック」には感心するところ大。そもそもがこの「次世代ワールドホビーフェア」だって「コロコロコミック」で取りあげた玩具とかゲームとかを披露するメディアミックス戦略の一貫として始めた半ばプライベートショーみたいなものだったけど、7年とか経った今や年に2回の風物詩、玩具メーカーにとってもゲームメーカーにとっても新背品を見せ感触を掴み以後のセールスにつなげるためのショールームとして大きな役割と果たしているし、来場する子供たちにとっても無料で入れて1日楽しめていろいろもらえて新製品だって買えてしまう、有料な割には新製品はそれほど出てない秋と冬の某ゲームイベントとは比較にならないバリューを持ったイベントとして、大きなポジションを占めている。

 だからだろー、集まって来る人も増加の一途で、今日にはついに通算で来場者が200万人を突破。これが初めてってゆー練馬区から来た少年が見事200万人目に輝いて、出展している企業からグッズとか「でじこの人生ゲーム」とか「ビットレーサー」とか「ミスタードリラー」とかをもらい小学館からも映画のチケットと図書カードをもらってた、ああ羨ましい。「ミニ4駆」があって「ハイパーヨーヨー」があって「ポケットモンスター」があって「ゾイド」があって「ベイブレード」があってって感じに流行り物をいろいろと廻しながらも縮小均衡なんでせず、むしろ拡大一辺倒で来た感もある「次世代ワールドホビーフェア」、そろそろ通路も移動が困難なくらいに来場者があって、「幕張メッセ」の離れではちょっと厳しい印象も。本館の全ホール、使ってやりましょー、縮み行く某ゲームイベントの代わりに颯爽と。

 「スタジアムへ行こう」第3弾は半ばもののついでみたいな感じで「千葉マリンスタジアム」へと行き「パシフィックリーグ公式戦 千葉ロッテマリーンズ対日本ハムファイターズ」を見物する、S席4000円バックネットやや1塁寄りで。陸上の日本選手権にラクロスの壮行試合って決してメジャーじゃないスポーツばかりを追って来たシリーズってこともあって、マイナーさでは負けてないんじゃないかと実は決めてかかっていた所があったんだけど、失礼ながらも意外やなかなかの繁盛ぶりで、とりわけ外野の1塁側、「マリーンズ」の応援団が陣取る席はほとんど満席の状態になってて、外野に近い内野まで及んでしっかりとした応援のカタマリを作っていた。その迫力といったらここはサッカー場か「Jリーグ」の試合かと思わせる揃いぶりモダンぶり。プロ野球の応援って言ったら太鼓とトランペットでブガジャガやりながらメガホンをカンカンやって間に叫ぶ、騒々しいだけのもとゆー先入観を改める必要にちょっと迫られる。

 選手紹介がスタートした途端に立ち上がって名前が呼ばれた直後に「ヒュー」と叫ぶ様子とか、トランペットをのべつまくなし吹き鳴らすことはせず、太鼓をメインに合わせて唄い叫びここぞとゆー時にトランペットを混ぜて声援のボルテージを上げていくエンターテインメント性とかは、あるいはサッカーの応援よりも洗練されているかもしれない。対する「ファイターズ」の応援団が、少ない人数で頑張っていたことは認めつつも、トランペットの合間に「かっとばせ××」とやる旧来からのものだっただけに、「マリーンズ」との差がよけいに目立つ。いや凄いです、あの凄さはスタジアムでしか見れません、味わえません。行ってよかった、「マリーンズ」負けちゃったけど。

 5回が終わってからマーくんリンちゃんに何故かコアラ(「コアラのマーチ」のキャラ)も加えて「YMCA」を踊らせ、それから投石器のよーなものを使ってスタンドに多分巨大なパッケージの「コアラのマーチ」を投げ込んでいく趣向があって、観客の動員に力を入れよーって球団の努力が垣間見える場面も。地元の地酒をプレゼントし「ファミリー」と「ミス」のそれぞれ1組&1人に食事券なんかをプレゼントするサービスもあって、あのウザくない応援にこーゆー楽しみがあるんだったら、また行ってみよーかって気も起こって来る。大リーグの球団がボールパーク(野球場)に来る人を増やそうといろいろ努力してるって言われているけど、日本だって頑張ってるんだってことが判って良かった。大リーグの中継を見て、ボールパークで野球を見る楽しさが画面から伝わって来たら、球場の綺麗さはともかく楽しさでは「千葉マリンスタジアム」はなかなかなもの、休日の午後にちょっと寄ってみてはいかがでしょう。しかし7回表が終わった所で「野球場へ行こう」まで唄うとはなー、ここはフロリダか。


【6月22日】 横浜なんて地の果て(千葉から見れば)で記者会見があるってんで去年の「SF大会」で通った「パシフィコ横浜」へと出向く。ちょうど「フランス映画祭」ってのをやっていてトルシェかドバディみたいな人が闊歩していてトレビアーンな雰囲気だったけど、会見の方は別にカトリーヌ・ドヌーブ(古いねえ)とも生意気シャルロット(やっぱり古いねえ)とも無関係のお爺さんおじさんが2人揃っての記者会見。お爺さんはナムコの中村雅哉会長兼社長でおじさんはギャガ・コミュニケーションズの藤村哲哉さん。中村さんはギャガの会長で日活会長でもあるんでまあ映画には決して無関係ではないとはいいながらも、2人揃っての会見って意味では思い起こせば4、5年は昔のナムコが河原敏文さんなんかとCGの映画を作るってな発表をやった時に後ろに藤村さんが座っていた記憶があったり、あるいは国産フルCG映画の「VISITOR」の試写に揃って来ていた記憶があったりする程度。ともに主賓として並んでってのはちょっと珍しい。

 一体何事かといえばこれまたフルCGの映画を今度はちゃんとお金もかけて作るって話で、とは言っても作るのはフランスのシャーマン・プロダクションってとことカナルフィルム。その名も「AXIS」ってタイトルのフランスでは初めてらしー本格的なフルCG映画で、遠い星を舞台にした爆発する自然の中で闘う少女ってな感じの聞けば思い出す「風の谷のナウシカ」かあるいは「もののけ姫」風のプロットに、バンド・デシネなフランスのダークっぽいテイストが加わった内容のものになるとかで、ちょっとだけ流れた予告編っぽいフィルムを見る限り、動きデザインその他は勿論「VISITOR」や「A・LI・CE」なんかとは比べられないくらいにスムースで緻密なものになっていて、同じギャガが配給する「ファイナルファンタジー」とはカラーもテイストも違うけれど、まあそれなりな仕上がりを期待できそーなものになっていた。もっとも絵が美麗だろーと動きがスムースだろーと肝心なのはシナリオと演出なんで、判断はやっぱり出来上がってからにした方が良さそー。もち「FF」も同様ね。

 さてここで日本の2社が果たす役割てのがギャガについては国内配給って判りやすいものだけど、ナムコの方は映画と同時に作られるとゆーこれまた世界でも珍しいプロジェクトの遂行に向けてゲーム作りにするんだとか。会見だと別に国産でもフルCGアニメを用意しているよーだけど、それとは別にフランス主導で進むフランスの文化の香りも高いプロジェクトに協力することで、何かしらのステイタスが得られるって判断もあったんだろー。もっとも会見にはアラン・プロストみたいなおっさんが出てきてナムコの「パックマン」について面白かった金をいっぱい注ぎ込んだ云々と話していた所を聞くにつけ、それなりな知名度は米国はもとより欧州にも既にあったよーで、これをさらなる世界展開の一助にしよーってことなのかも。2002年とかに完成予定、さてもどんな作品になることやら。質問していた大口孝之さんの話だと持ち上がっては何本もフルCG映画ってののプロジェクトはフランスで潰れてたそーなんで、ここは日仏の力を結集して完成へ、それも真っ当な作品の完成へと持っていって頂きたい。

 パソコンが生き返る。別に何もやってないのに出なくなっていたキーが1夜開けるとちゃんと出るよーになっていたのは日頃の行いの悪さでもはや地獄にしか墜ちるしかない来世、せめて生きている間くらいは不幸な暮らしにはさせてあげないってゆー閻魔さまのご慈悲でもあったのか、あるいは冤罪だとばかりに小人のポーが夜中にガサゴソと現れ修理してくれたのかもしれない。別に何にもやってないのに、1夜明けると見えない所のダメージはともかく普段の使用に差し支えなく直ってしまうのってまるでマッキントッシュみたい、ウィンドウズもようやくここまで成長したか。けどイジり倒した時に変えてしまったキーボードの配列が元に戻せずカッコの位置あもアットマークの位置も何かヘン。しゃあないポーさんもう一晩だけお願いします、御礼は飲み残しのシングルモルトで良いっすか、辞典じゃ69点だった「DEANSTON」って奴だけど。

 そうそう最近はバーボンからちょっとだけ贅沢にシングルモルトで晩酌の日々。もともとはマイクロソフトだかが新しいプロジェクトのコードネームとして発表した「タリスカー」って名前の語源を探してシングルモルトのそれも相当に癖のある、正直に言うとヨードチンキのヨーな匂いがする強烈なスコッチに行き当たって、物は試しと飲んでなるほどこれがシングルモルトかと関心しつつだったら他にはどんなものがあるんだろーかと安売り酒屋で安売りのをあれこれ物色したのが始まり。あと神林長平さんが文庫版だかの「ライトジーン遺産」のあとがきだかに、ウィスキー好きの主人公の気持ちになるためシングルモルトを飲ってみたって話が載っていて、結構誉めてたよーな記憶があっていつ飲んでもたいして違わないバーボンよりも、いったいどれだけ味にシビアなんだろーかと確かめたかったのも理由です。

 「タリスカー」に続いて何本か飲んでみたけれど、最近になって分厚いスコッチの辞典を見たら「タリスカー」は確か90点で、その後に飲んだ「トバモリー」ってのが70点で、味に差はあっても旨さの差が判らなかった身には、この20点の開きってものの意味がちょっと謎に移る。あのビート臭さを醍醐味と取る人が圧倒的ってことなんだろー。まあビールだってバーボンだって、飲んで飲んで飲み込めばなにがしかの感じる部分も出てくるもので、肝臓はともかくそれまぜ財力が持つか否かが目下の懸案なのは承知しつつ、お勉強だとあきらめ2週間で1本明けるペースを当面は意地しながら河内屋あたりの棚を右から左へずずいっと、値段とも相談しながら移動しつつ買い飲んでいってみよー。百萬男がいたらその金で棚買いするのになあ。

 酒って意味だと、去年あたりは夏の熱さに耐えきれず自販機でビールを買っては帰って1本グビグビやりつつ大盛りのカレーライスとか、大盛りの牛めしとかの上に卵焼き乗せてかきこんでいたけれど、あまりな好栄養状態が祟ってかズボンのほとんどがはけなくなってこの1年ばかりを窮屈な思いに苦しんでいた関係で、この2カ月ばかり晩酌のビールをキッパリと止めて夕飯も仕事しながら机の上でおにぎり2個とか焼きそば1枚とかを8時前には食べ終え、帰宅しても晩酌はウィスキーをショットグラスで2杯、ぐいっとあおる程度の抑えていたのが効いたかそれとも単なる栄養失調か、ちょっぴり痩せてズボンが緩くなりベルトも穴が昔に戻って来た。そろそろ停滞期なのか顔とか全然痩せないしお腹も目立った動きが見られなくなったのが困り者だけど、ここで気を抜くといっきにリバウンドへと向かってしまうから用心肝心。夏にはスリムなボディを股だけビキニか或いは前だけ葉っぱで隠してSF大会の「幕張メッセ」を闊歩するぞ、見たい人がいれば。


【6月21日】 デジカメが逝く。オリンパスの「2020」って奴だけど撮影の為にレンズの首を伸ばしてあった所を落としてしまってレンズの根本が鈴ケ森寸前のガタガタ状態になってしまってオフにしても本体に戻らず、それでもまあ撮れないことはないんだけれどそのままバッグに入れておいたら本当に首ごと小塚ッ原になってしまいそーだったんで使用を断念、たしか盗難とかの保険には入ってたんだけどそーゆー故障まで保証されるかどーかも判らないし修理の間も使う用事が目白押しだったんで、まあボーナスも入ったことだしバージョンアップとしゃれ込もうと秋葉原に出回って1つ上の、っても既に旧型になりつつあるオリンパスの「2040」を購入する、何で1年前に買った旧型より安いんだ。レンズはちょい明るめになった変わりにグリップがちょい太めになっててそれでも連射は一段と効くよーになってる風があって良い感じ。パソコンも欲しかったけど不意の出費も重なったんでデジカメ写真保存用のHDDかCD−RWでも買って済まして今のであと2年は持たすことにしよー。

 と思って会社に行ったらパソコンまでもが逝っていた。締め忘れたボトルのフタの隙間から漏れこぼれたお茶が机に染みパソコンにかかってキーボードの隙間に入り込んでいたよーで、立ち上げの時に異音がするは幾つかのキーボードは叩いても文字が出ないよーになっているわで、外づけのキーボードを繋げばそれでも何とか動かないことはないけれど、立ち上げ時のアラートの頻出する状況を見るにつけ、ちょっと長くは保たなさそー。悪いことって重なる時は重なるんだとゆー世界が誕生した時と機を同じくして生まれた法則の法則たる所以を身をもって知る。これで家のマックまでいかれ……やめた言霊が怖い。まあ週末あたりにシャープの新型も出るみたいなんでこれもボーナスシーズンに日本の消費を上向かせよーと政府が放った密偵か、あるいは不況に苦しむ小泉総理を助けてあげたいと小人のポーが日本中のパソコンにお茶をこぼしてあるいたんだと諦めて、1台新調することに泣けるけどしよー。貯金またまたできませんでした。

 そーいや秋葉原に寄った時に秋葉原の駅ビルにある本屋になぜか「コミック電撃大王」を5冊10冊を抱えてレジに並ぶ青少年たちの姿があって、何事かとよくよく見るとなんとまあ、かの「ちよちゃん&榊さん」のそれも水着姿でぷるんぷるん(限る榊さん)させているイラストのポスターが1冊につき1枚もらえるんだってなキャンペーンをやっていて、同じポスターを何故に何枚も欲しいんだろーってな疑問も浮かばないでもなかったけれど、頼まれていたのかそれともオークションに流すかするんだろーと納得、ならば当方も追随せねばと思ったけれど、そーいえば夕方に岡田斗司夫さんの「フロン」(海拓社、1500円)絡みのイベントがあって下手にディパックにポスターなんぞをビームサーベル刺しして行ったら折角恋愛論の本を読んで恋愛について聞きたいと思って来る恋愛にセンシティブな婦女子の観客の中で浮きまくるだけじゃなくジト目で見られていたたまれなくなるんじゃないかと考え泣く泣く断念する。良いポスターだったなあ、何枚か揃えて1枚は壁に貼り1枚はベッドの下に敷いて寝たかったなあ、1週間もすれば染みた汗が榊さんの肌を染めてまっくろくろすけに(やめてください)。

 とか思っていたら何にことはない決して主流ではなかったけれどしっかり「とらのあな」の袋を下げた青少年も来てたりした池袋は「ジュンク堂書店」での岡田斗司夫さん講演会。東京大学で講義を行ったとは言ってもそれこそ関西芸人の流れを受け継ぐオタク話の延長だった訳で大きな変化とは思えなかったけど今回は違う、「恋愛論」であり「育児論」といった一見オタクとは無縁に思える事象に切り込み「オタクアミーゴス」の講演に行かなければ「ロフトプラスワン」にも現れずましてや「コミケ」なんて関心の埒外ってな明朗健全日本婦女子に向かってその存在をアピールする、言うなれば「NEO・TOSHIO(ネオ・トシオ)」(何か「ウラシマン」みたいっす)の登場を高々を告げる記念すべきイベントとも言え、さてはてどんな姿で登場するか、でもって何を喋るかってなことを考えながら何故か壁際の最前列つまりは講演している人の真横ってな絶好の位置に陣取って開幕までの時間を参加者の顔ぶれを見ながら過ごす。「とらのあな」は流石に一部でやっぱり多くは「フロン」をちゃんと恋愛&育児の指南書「フロン」として読んだ、そーゆー本を必要としている層だったみたいで、「えここ」のTシャツにしなくて良かった「しずかちゃん(お風呂シーン)」Tシャツだったら白い目どころか蹴りが入ってたかもと心の中で胸をなでおろす。

 さて登場の岡田さん、フロリダは「ディズニーワールド」の中にえっとあれは99年だったっけ、3月にグランドオープンして開幕を見てきた「アニマルキングダム」の当時は目にした記憶が亡かった恐竜の刺繍? だかが浮き彫りになったTシャツを着て登場、そーいえば「アニマルキングダム」の中に恐竜の化石だかを展示するコーナーがあって見て来た記憶があるけれど、たしかほとんどがレプリカでがっかりしたんだった、また行きたいなー、顎足つけば(いけません)。そうそう唯一買った巨大コモドドラゴンは森青花さん家に100万記念で行ったんだった、200万記念は来年春くらいになりそーだけど、ゲットした人にはそーだな死んでる「ファービー」に動いていない「ウブラブ」に誇りを被ってる「テレタビーズ」をセットで押しつけよー、「不幸セット」とか言って。

 話がそれた、岡田さんのイベントだった、講演とは言っても最初の30分とかを主にどーゆー理由で「フロン」を書いたのかってな話をババババっと並べて後は参加者からの質問に答えていくってゆープログラム。最初の話ではおおむね「フロン」の内容をなぞりつつ、部分部分で例えば樹なつみさんの「花咲ける青少年」って漫画の、言い寄って来る男性たちの中から自分にとってベストな男性を選ぶ内容が、たくさんの女性から慕われながらも本命の女性がいる男性がいて、女性たちはその本命の手前身を引かざるを得ないとゆー、男性が根元的に好む漫画とは違うってな話から、男女の恋愛に関する感覚の差異みたいなものを指摘してくれたのが、実に判りやすかったのは社会も人間関係も全部漫画から学んだ世代ならではの感覚か。

 女性の宗教めいた感覚「オンリーワン・フォーエバー」幻想に対して男性が持っている幻想を「オンリーミー・エニワンOK」(自分を好きといってくれるなら誰でも良い、って幻想)と名付けてみたり、なんでもかんでも想定できるものはすべて詰め込んだ挙げ句に高コストになってしまいがちな育児を「JALパック子育て」と例えてみたりと、相変わらずのキャッチ作りの上手さには感嘆。お稽古ごとをさせて良い学校に入れてってな親の欲目を詰め込んだ育児こそが絶対ってな意識を改め、「一人前にする」ってゆー最低限の所から「ちょっとは良い暮らしを」「子供の希望を」ってなものを積み上げていく意識に変えろって指摘はなかなかに興味深い。そーゆー自問自答の繰り返しが、口の厳しい漫画家さんから娘さんが留年したんでお金を出さなきゃいけないんだよと言われた時に、そこまで投資するならきっと凄いリターンがあるんでしょ? と考える発想の源になっているんだろーし、面と向かってはそう言えない辺りに現実の社会に浸透する旧来からの意識の強固さもあるんだけど。

 当然出てくる経済との兼ね合いや恋愛感情との整合性なんかにも既に本で答えは示してあるんだけど、改めて空気とも雰囲気とも常識ともつかないけれど社会全体を覆っている認識そのものへの懐疑なり捉え直しなんかを訴えていて、本来は女性がすべきものを男性がしてあげるんだよ嬉しいだろ、ってな流れじゃなくって、女性が子育てのすべてにおいて責任も主導権も持ち男性にやってもらうんじゃなくやらせるんだってな状況を作り出す必要性とか、祖父母への気兼ねも近所づきあいへのプレッシャーもない私は私のやりたいように育児をするんだ、ってな行動が異常じゃなく当たり前に認められる状況へと移行していく必要性とか、いろいろと示唆してくれていて「ススムちゃん大ショック」は大袈裟かもしれないけれど意識の大きな変革が起こる可能性を見せてくれたのが面白かった。

 そーした変革がだったらどれくらいで起こるのかってのが目下の疑問で、ネオ・トシオな岡田さんは数年ほどって言っていたけどそんなに速く変わるものなのかどーなのか。かつて妻がテレビのヒーローを見て格好良いと言おうものなら不貞と謗られた時代が、今では妻が「SMAP可愛い」と言ってもそれを笑って見守るのが夫のあるべき姿なんだってな風潮に変わって来たよーに、いずれなにがしかの変化が起こるのは確実であり自明の理。パラダイムがシフトしフレームが変わった人が例えばテレビドラマの脚本とか漫画とか小説にそんな状況を描き、そんな作品を見て知らず洗脳された一般の人たちが意識を変えていく可能性は極めて大で、今時の情報伝播力の速さなんだも考えに入れると、案外とスピーディーに意識のシフトは起こってしまうのかもしれない。そーなった時に家族幻想に支えられた社会は本当にどーなってしまうのか、とりあえずは30独身女の恋愛論あたりが評論のテーマになるみたいだけど、意識の変化がもたらす影響が現出した社会の有り様にもやっぱり切り込んでいって欲しい。きっとできます、だってネオ・トシオなんだから。

 終わって挨拶しサインを頂戴する。イラストのフキダシに「天家国家」と書いてもらった後で「天下国家」に直してもらってちょっと徳した気分。そうそう静岡の助教授の感想反論その他がやっぱり聞いてみたいとのことでした。仕事があったらしく終了間際にかけつけて来たものの講演はほとんど聞いていなかったらしー青木みやさんに、労働を終えたちはらさんも後から合流して近所で講演の受け売りの「フロン」論とか持っている本自慢とか。「ジュンク堂書店」の1階で買った竹宮恵子さんの珍しくも楽しい「竹宮恵子のマンガ教室」(筑摩書房、1500円)を見せたら知らなかったとのことで、漫画売場にいるのにどーしてと首を傾げる。書籍で新刊だと漫画売場には情報って回ってこないものらしー。来月は「疾風のまつりごと」も復刊なんだからフェアでもやって盛り上げなさい。

 内容の方はと言えば、その昔に「ASUKA」に書いてた具体的な漫画の描き方口座に「24年組」絡みの語り下ろしなんかも加えた本で、トーンの張り方ストーリーの作り方キャラクターの立て方服への皺の付け方男子と女子のお尻の形の違い等など、漫画を描く人なら古今を問わず役立ちそーなことが書かれてあって楽しめる。表現上の必然かどーかも考えずに白っぽくしたり逆に描き込んでしまうのは間違っているとか、SF漫画と謳いながらも「背景の絵にもSFらしさはないわ、登場人物もまるで現代人だわじゃあ、まるっきり必然性がない」(78ページ)漫画があるとかいった、厳しいけれど正しい指摘が並んでいて漫画は書かないけれど表現する必要がときどきながらある身として役に立つ。結構伊達に30年、トップは張ってないよなー。

 「SPA!」の6月27日号「ニュースな女たち」に「ファンタスティック・サイレント」(KKベストセラーズ、1500円)のD(ディー)さんが登場して前に見たモノクロだかの写真から想像できた以上の美貌をカラーで見せてくれている。当方とてこの「ファンタスティック・サイレント」で初めて名前を知った口なんで、「SFマガジン」の連載でイラストレーターとしてペアな活動を続けている唐沢俊一さんよりも「ダ・ヴィンチ」でデビューさせた編集者よりも大きな口を叩ける訳ではないけれど、ちょっと前までは知る人ぞ知る人だったのが、数カ月後とか数年後に誰でも知ってる人になったとしたら、ほらほらどうだい先見の明があるだろってな感じで中森明夫さんに言われてしまうのかも、ってな想像が働くとちょっぴりいたたまれなくなる。大きなメディアで広い層を相手に言葉を伝えられる人のこれが特権でもあるけれど、それが役目なんだとも言えるから悩ましい。どっちにしてもDさんが売れていくのは良いことで、これを機会にますますのご健勝をお祈りしつつ、「SFマガジン」の方でも不思議なイラストを見せていって下さいな。


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