“私がクマにキレた理由(わけ) ★★
The Nanny Diaries
(2007年アメリカ映画)

監督・脚本:シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ
原作:エマ・マクローリン、ニコラ・クラウス
出演:
スカーレット・ヨハンソン、ローラ・リニー、アリシア・キーズ、クリス・エヴァンス、ドナ・マーフィ、ポール・ジアマッティ

  

大学を卒業したものの就職先を決められず、少年グレイヤーの危ないところを救ったことからその母親ミセス・Xにナニー(子守)として雇われることになったアニー・ブラドックが主人公。
上流家庭だけれど夫婦仲は破綻状態、それなのに母親は未だ夫に未練があって息子クレイヤーのことはナニーに預けてほったらかし、という状態。
そんな中でアニーはグレイヤーと心を通わせ、ミセス・Xの身勝手な振舞いに最後はブチ切れて・・・・というストーリィ。

本作品は、崩壊しかけていた母子関係をナニーが救う、というストーリィには非ず。
それより上流家庭とナニーという、本来協力的でなければならないのにとかく対立関係にあるその実際を、風刺的に鋭く描いたシニカルなコメディと言うべきでしょう。
上流夫人は子育てをナニーに任せっきりにして自分はセレブらしい社交生活に忙しい。そのくせナニーに感謝するどころか、ナニーを見下しまるで欠陥人間かのように見ている。
ナニー側からすると、我が儘で手のかかる子供の世話に苦労しているのに、両親からは感謝どころかまるで理解もされない。
アニー・ブラドックは大学で人類学専攻。したがってこのナニーと上流階級夫人との関係を人類学の実習のように観察しようとする、というのが本作品の趣向。
※“ナニー”といえばその代表的な物語は「
メリー・ポピンズ」ですけれど、とてもそんなファンタジー風にはならず、本作品はあくまで現実的な物語。

主人公アニーを演じるスカーレット・ヨハンソン、彼女は自分の居場所を見つけられないで迷っているという役がどうも多いようで、そんなヨハンソンにこのアニーの役はぴったりです。
私はスカーレット・ヨハンソンが好きである故にこの映画を観に行ったのですが、何だかんだと言いつつも主人公アニーをヨハンソンが演じているからこその魅力、スカーレット・ヨハンソンがアニー役をどう演じているかを見るところに楽しさがある、といって過言ではありません。
※なお、「クマ」とはナースの行動を監視するナニー・カメラが仕掛けられたぬいぐるみのこと。

2008.10.18

    


  

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