“レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語” ★★☆
Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events
(2004年アメリカ映画)

監督:ブラッド・シルバーリング
原作:レモニー・スニケット
脚本:ロバート・ゴードン

出演:ジム・キャリー、エミリー・ブラウニング、リーアム・エイケン、カラ・ホフマン、シェルビー・ホフマン、メリル・ストリープ

 

“不幸のオンパレード”を売りに世界中でベストセラーになった児童作品「世にも不幸なできごと」シリーズの映画化作品とのこと。
内容は、富裕なボードレール家の子供たち3人が、突然の火事で両親を失い、強欲な親戚によって数々の災難に見舞われるストーリィだとか。

長女のヴァイオレット14歳は、並外れた才能で周囲の品々からその時に必要なものを作り出す天才的な発明家。ひらめきを発揮する時には髪をリボンで結ぶという設定はちょっと魅力的。弟のクラウスは本の虫で、読んだ本から得た知識をすべて頭の中に記憶しているという男の子。そして末っ子の女児サニーは、まだちゃんと言葉を話せない年齢だけれど、4本の強力な歯で何でも噛み付いたら離さないという特技の持ち主。
この3人の前に立ち塞がるのが、俳優を名乗る奇怪な人物・オラフ伯爵。
ボードレール
家の資産管理人である銀行員ボーによって、最初の後見人として3姉弟妹を預かる人物ですが、最初から3人を利用するだけ、そして遺産を我が物にしようと露骨に3人の殺害を企てます。
漸くオラフ伯爵の魔の手から逃れたと思ったら、モンティおじさん、ジョゼフィーンおばさんの元にも変装して現れ、決して諦めようとはしない。
次々と襲い掛かる危難を、ヴァイオレットの才覚、クラウスの知識、サニーの並外れた度胸(?)で3人はなんとか乗り越えていきます。

オラフ伯爵を演じるのはジム・キャリー。骨の底から悪辣で狡賢いオラフ伯爵を見事に演じています。この人物、見るからに憎々しいのです。ジム・キャリー会心の悪役演技と言えるのはないでしょうか。
そのオラフ伯爵の悪計に、何故3人の周囲にいる大人達は少しも気づかないのか。それだけに、映画と判っていてもハラハラドキドキ、手に汗握ることの繰返し。完全にハメられてしまいました。

このオラフ伯爵という人物の偽善者ぶり・憎々しさは、ディケンズ「ディヴィッド・コパフィールド」のユライア・ヒープ、「マーティン・チャズルウィット」のペックスニフに勝るとも劣らないのではないでしょうか。
少女と大人の女性の間の14歳というヴァイオレット役のエミリー・ブラウニングも魅力的ですけれど、サニー役を演じるカラ・ホフマン、シェルビー・ホフマンの双子がとても楽しい。ヴァイオレット、クラウス以上の存在感があります。
3姉弟妹を応援せずにはいられない作品ですけれど、見応えはジム・キャリー演じるオラフ伯爵の憎々しさにあります。是非ご覧あれ。

※最後の方でダスティン・ホフマンが一場面だけ顔を覗かせています。はて何故なのだろう?

2005.10.02

  
 → 原作:“
世にも不幸なできごと”  
 

   


  

to 映画note Top     to 最近の映画 Index