“エーミールと探偵たち” ★★☆
EMIL UND DIE DETEKTIVE
(2001年ドイツ映画)

監督・脚本:フランツィスカ・ブッフ
原作:エーリヒ・ケストナー
出演:トビアス・レツラフ、アンニャ・ゾマヴィラ、ユーゲン・フォーゲル

 

エーリヒ・ケストナーの代表的名作「エーミールと探偵たち」の映画化。

一人でベルリンへ向かったエミールが、列車内で同室になった男にお金をとられてしまうというのが出だし。男の後を追いかけたエーミールが、ベルリンで知り合った子供たちの協力を得てついに男を逮捕、お金を取り戻すという、ストーリィです。
ただし、時代はかなり経っていますから、かなり現代化されています。
主人公エーミールは、母子家庭ではなく、妻に出て行かれたという父子家庭という設定。また、後に登場する女の子ポニーはエーミールのいとこではなく、偶然知り合った女の子である、等々。
携帯電話やクレジットカードが登場するというのもまことに現代的ですが、それより楽しいのは、ラップ・ミュージックやスケートボードと、軽快なリズム感がストーリィを盛り上げてくれている点です。

ストーリィ冒頭では、エーミールがいくらなんでも間抜け過ぎる観があってがっかりします。ただそれも、ベルリンでエーミールがポニーという女の子と知り合うまで。ポニーの登場によって、俄然ストーリィは面白くなってきます。
ポニーという女の子の役柄は、男勝りでちびっこ探偵団のリーダー的存在かと思えば、機転・度胸とも充分、そのうえ女の子らしい一面も持ち合わせているといった具合で、とても魅力的。
その
ポニーを演じるアンニャ・ゾマヴィラが、素晴らしく良い! ポニーの魅力はこのアンニャ・ゾマヴィラの魅力があってこそ、と言えます。このアンニャ・ゾマヴィラの表情を見ているだけで、とても楽しい。
敢えて言うと、少女時代のテータム・オニールによく似ています。

原作の「エーミール」と比較するのは、意味ないことでしょう。時代も隔たっていますし、これはこれで、別の(映画の)「エーミール」として楽しむべきでしょう。
それでも、子供たちの力強さ、助け合いの精神は、原作からきちんと継承されており、秀逸な作品と言えます。

※Geraフィルム・フェスティバル最優秀女優賞/最優秀こども映画賞、チルドレンズ・インターナショナル・フィルム・フェスティバル最優秀映画賞

 
2004.01.24

  
→ 原作:
「エーミールと探偵たち」

 


   

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