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  養護施設で暮らす孤児の少年エヴァンが、音楽によって両親を探し当てることができると信じ、施設を脱走して様々な人と音楽を通じて出会い、ついに家族が再びひとつところに集うという、感動ストーリィ。  
  チェロリストのライラとロックバンドでギタリスト兼ボーカルのルイスは、あるパーティで偶然に出会いますが、その後行き違いが続いて2人は再会できないまま。その間にライラはルイスとの子を出産しますが、厳格な父親は音楽の邪魔になると信じてライラに死産だったと告げ、赤ん坊を施設に入れてしまう。 
  11年後、エヴァンは音楽に導かれるまま施設を脱走し、ストリート・ミュージシャンの仲間に出会い、次いで聖歌隊に出会い、彼の才能を見い出した人々の手によって音楽の才能を開花させていく。 
  自分の作った音楽を大勢の人に聞いてもらえるようになれば、いつかきっとその音楽によって両親と出会うことができる、とエヴァンは信じている。 
  ちょうどその頃、死にかけた父親からようやく息子が生きていると告げられたライラは懸命に息子の行方を追い求めますが、それと共に再び音楽への情熱を取り戻して行く。 
  そしてまた、バンドを辞めて会社員になっていたルイスも、時を同じくして再びバンド活動を始める。 
  音楽が3人を結びつけ、やがて3人はひとつの場所に行き着き・・・。  
  何もかも出来過ぎで、夢物語的、奇麗ごと過ぎるという面はありますが、音楽が幸せをもたらすというストーリィには、素直に感動させられます。 
  天才的な音楽少年という主役を演じるフレディ・ハイモアが好演。 
  少年と両親だけのストーリィだったら印象の薄い作品に終わったと思うのですが、そこに人間の孤独と悲哀といった味わいを与えているのが、ロビン・ウィリアムズ。随分老いたなぁという印象を受けますが、存在感は流石です。 
  このロビン・ウィリアムズの演じるのが、孤児の少年たちを束ねて金を稼がせている元ストリート・ミュージシャンのウィザード。まるでディケンズ原作の「オリバー・ツイスト」に登場するフェイギンにそっくりな役どころです。 
  そこから本ストーリィは、「オリバー・ツイスト」の現代版+音楽ベース+主人公を積極的な行動派にしたものか、という思いが生まれます。  
  ※なお、原題の“August 
  Rush(八月の興奮)”は、ウィザードがエヴァンを売り出そうと付けた芸名。 
   米国の原題(小説も映画も)は主人公名が多く、邦題は売らんかなというキャッチフレーズに添うものが多いのですが、本作品も同様。  
  2008.06.22  
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