“回転木馬” ★☆
CAROUSEL
(1955年アメリカ映画)

監督:ヘンリー・キング
原作:フェレンツ・モルナール
脚本:ベンジャミン・F・グレイザー
作曲:リチャード・ロジャース、アルフレッド・ニューマン

主演:ゴードン・マクレー、シャーリー・ジョーンズ、キャメロン・ミッチェル

 

オクラホマ!」と同じくゴードン・マクレー、シャーリー・ジョーンズの組み合わせによるミュージカル。

天国で星磨きをしているビリーは、現在不幸な状況にある妻と娘のため一日だけ下界に降りたらどうか、と声をかけられる。
そこからまず、ビリーの下界での生活が語られるのですが、ストーリィの殆どはこの回想部分で占められ、ビリーが下界に下りてからの部分はほんの僅か。
騙されたと言ったら言い過ぎだとは思いますが、期待をそがれたのは事実。この辺りの感覚が、当時と現代では随分と異なる所為なのかもしれません。

回転木馬(つまりはメリーゴーランド)の客引きだったビリーは、純真な娘のジュリーに恋されて2人は結婚しますが、それ以来ビリーは無職。回転木馬の客引きをする以外に取り得も、何の意地もない男。なんでこんな男にジュリーが恋するのか、不自然な限りなのですが、ストーリィがそうなのだから言っても始まらない。
つまらないことから命を失い天国で星磨きをしている訳ですが、そのビリーが地上へ降りたからといって、娘と妻のためにそう何かできる訳でもない。
「オクラホマ!」もそうでしたが、この2作のストーリィはよく判らないんですよね。訴えようとするものが、果たしてあるのか、と疑問に思う次第。

ミュージカルとしては、ストーリィの進行に合わせて存分に唄と踊りが展開され、浜遊び前に大勢の若い男女が踊りまくる場面は楽しいのですが、心に残るナンバーがあったかというと、余りない。
その中で特筆すべきなのは、ビリーが地上に降りたとき、彼の娘が広い海岸で飛び回る場面。スケールの大きさを思う存分味わわせてくれますが、これは場面の最初だけ。本シーンになると作り物の背景の中での踊りとなります。これはまぁ仕方ないことか。

※主役のシャーリー・ジョーンズ、美人で歌も上手ですが、個性という点ではもうひとつ印象が薄い。私としてはかつての人気TVドラマ「人気家族パートリッジ」の母親役の方が印象強いです。

2007.07.17

 


 

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