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  直木賞受賞のヒットミステリ、東野圭吾「容疑者Xの献身」の映画化。 
  ただ、見にいった動機は、新人刑事=内海役の柴咲コウ・ファンだからという、やや不純なもの。 
  それでもこの映画、予想した以上に良い作品でした。原作ストーリィに忠実に、でも原作とはまた違った観応えを感じさせてくれるところが、お見事。 
  さて、ストーリィ。 
  母一人娘一人ながらも明るく暮らしている部屋に元夫が押しかけ、争った末衝動的に母娘は男を殺してしまう。 
  その花岡母娘2人を救いアリバイ工作し、警察に対する受け答えを細かく指示するのが、アパートの隣人で数学教師の石神哲哉。 
  その石神、探偵ガリレオこと天才物理学者=湯川学とかつて大学の同期生、物理の天才=湯川に対して数学の天才=石神という存在だった。 
  いかにして石神は完璧と思われるアリバイを築き上げたのか、湯川はそれをいかに突き崩すのか、というサスペンス。 
  しかし本映画では、健気に明るく働いている花岡靖子とその高校生の娘が、どうしようもない男の暴力にによって否応なく殺人を犯してしまうという哀しさと、数学の天才でありながら現在は失意のままに高校教師を続けている石神哲哉が自分を犠牲にしてまで花岡母娘の幸せを願う切なさと、それを自らの人生の意味にしようとする悲痛なまでの覚悟が際立っているところが、見どころとなっていました。 
  石神役の堤真一、花岡靖子役の松雪泰子さんの演技が実に見応えあり。 
  それに加えて柴咲コウさんの刑事役も楽しめ、満足。 
  2008.10.11 
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