“サンセット・サンライズ ★★
(2025年日本映画)

監督:岸 善幸
原作:楡 周平
脚本:宮藤官九郎
出演:菅田将暉、井上真央、池脇千鶴、竹原ピストル、山本浩司、好井まさお、小日向文世、中村雅俊

 

コロナ感染最中、東京のサラリーマンである西尾晋作(菅田将暉)はテレワーク勤務中。そうした中、東北の海辺の町で4LDK、家賃6万円という恰好の物件を見つけ、即座に申し込むと共に早速引っ越してきます。
釣り好きとあって晋作、その宇田濱の家の景観の良さと釣り三昧に大興奮。
大家である関野百香(井上真央)からは、都会の移住者とあってしばらくの間自主隔離を指示されるのですが、ついつい釣りの誘惑に耐えきれず・・・。

田舎の小さな町、コロナ感染という問題もあって余所者は警戒されるのですが、その一方で町としては増え続ける空き家対策も重要問題。
やがて、西尾の勤める会社の社長が、地方の空き家の転貸ビジネスの可能性に着目したことから、役場で空き家対策担当者となっている百香と一緒に西尾は空き家の現状を調べ始めます。

百香の父親で猟師の章男(中村雅俊)も西尾を歓迎してくれ、徐々に町に溶け込んでいる西尾ですが、西尾に対する警戒心を溶かない男たちもいて、その理由は百香を守るということにあるらしい。
そして西尾は、借りている家が新築後未入居となっていた理由、東日本大震災による津波事故のことを教えられ・・・・。

地方の空き家対策と、大都会からの移住者の受け入れ。ニーズ合致といっても実際には理屈だけで済まない問題がいろいろあると思います。
殻を破るのは難しいことでしょうけれど、それが町の発展に繋がることなら良いことなのだろうと思います。
そうした問題を、都会から来た能天気な若者と、現地で今も辛い記憶を抱えたままの女性を中心にして、ユーモラスかつ繊細に描いていく作品。
登場人物それぞれ良いのですが、特に、晋作の隣人で一人暮らしの老女の姿が心に残ります。
なお、原作とはちょっと違うところがありますが、小説の映画化においてはいつものこと。楡周平ファンとしては、気持ちよく楽しめました。

災害の後には決まって、復興、復興、といいますが、復興とは町の建物等再建や経済的な建て直しのことであり、大事な家族を失った痛みは何時まで経っても消えるものではないでしょう。経済的な復興と心の問題は、別のことであるように感じます。

ちょうど阪神淡路大震災から30年、改めて当時の被害の大きさに思いを馳せたいと思います。

2025.01.17

 

※原作 → 「サンセット・サンライズ    

               


  

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