“春に散る” ★★
(2023年日本映画)

監督:瀬々敬久
原作:沢木耕太郎
脚本:瀬々敬久、星航
出演:佐藤浩市、横浜流星、山口智子、片岡鶴太郎、哀川翔、橋本環奈、坂井真紀、窪田正孝、小沢征悦

  

沢木耕太郎によるボクシング小説、「春に散る」の映画化。

初老の元ボクサーが、若い現役ボクサーの懇願を入れて彼の再挑戦を指導、サポートしていくというストーリィ。
もちろん、単なるボクシング映画ではなく、元ボクサーで今は深刻な心臓疾患を抱える広岡仁一(佐藤浩市)や、若いボクサーの黒木翔吾(横浜流星)の今に賭けた人間模様も描かれます。

見所は、本映画の為でしょうか、鍛え上げた横浜流星の肉体が凄い。まさに現役ボクサーそのものです。
そして、最後の、世界チャンピオンである中西利男とのタイトルマッチ、激闘。

本映画、広岡仁一と黒木翔吾の2人を主人公に据えている印象ですが、本来原作での主人公は広岡仁一の筈です。

また、映画という時間の制約からでしょうか、かつてのボクシング仲間は広岡を含め4人だったのですが、3人に変更され(片岡鶴太郎と哀川翔)、さらに3人が揃って翔吾のサポートに付くのではなく、哀川翔が演じる藤原次郎は翔吾のライバルである大塚のサポートに付いているといった違いがあります。
さらにいえば、広岡の姪として登場する広岡佳菜子(橋本環奈)は余計な登場人物でしょう。
若い主人公が登場すれば、その彼女となる若い女性の登場が必要、といった設定はありきたりで、かえってストーリィの緊張感を削いでいる気がします。
(※原作では土井佳菜子という女性が登場しますが、全く別のキャラクター)
最後のエピローグ部分も、余計なものに感じます。

といろいろ不満を述べましたが、映画としてはよく出来た作品と思います。
佐藤浩市、横浜流星、二人の熱演が観応えあります。

2023.08.26

      
※原作 → 「春に散る

         


  

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