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1.須賀敦子を読む 2.海坂藩に吹く風 |
「須賀敦子を読む」 ★★ |
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元編集担当者が語る、須賀敦子さんの著作への貴重な案内書。 1998年の死去から10年、時間をおき、読み返すうちに見えてきたものがあると言う。 まず第1章で取り上げられる「コルシア書店の仲間たち」。 須賀敦子さんの著作を片手に、筆者を案内人として頼みながら、もう一度その描かれた世界の中に足を踏み入れようとする。 もう一度、コルシア書店を生きる−−「コルシア書店の仲間たち」/ |
2. | |
「海坂藩に吹く風−藤沢周平を読む−」 ★★ |
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目次を読んでも感じられることですが、藤沢周平さんの主だった作品を分析・整理し、的確に語った、という印象の一冊。 “海坂藩“もの、青春小説としての「蝉しぐれ」、そして「三屋清左衛門残日録」。 藤沢周平作品に登場する女性たち、その姿の美しさは自制心、“つつましさ”にあるという意見には同感です。私の中では、本書で語られる“隠し剣”シリーズの一篇「女人剣さざ波」の邦江、本書では語られませんでしたが「橋ものがたり」の一篇「思い違い」のおゆうの姿が忘れられません。 こうして藤沢周平作品を通して語られると、私の中でも藤沢周平作品への記憶がきちんと整理されますし、また読みたいという気持ちがじわじわ込み上げてきます。まぁ元々、定年退職後の楽しみにしておこうと思っていたのですが。 藤沢周平作品に共通する良さ、魅力は、人間が描かれている、という点にあると思います。複雑だったり、屈折していたり、どこにでもいる人間であって様々な一面をもっているものとして。 たしか藤沢周平さん自身、時代小説を書いているつもりはなく、ただ舞台設定が江戸時代というだけで、現代小説のつもりで書いていると、どこかで語られていた、と思いますし。 ※“獄医立花登手控え”シリーズのことが語られていなかったことが残念です。 第一章 海坂藩に吹く風 1.その風の色は/2.そして青春小説が残った−「蝉しぐれ」を読む/3.新しい文学の出現−「三屋清左衛門残日録」を読む/4.懐かしい光−短篇を読む/5.海坂の食をもとめて 第二章 剣が閃くとき 1.剣とは何か/2.青江又八郎が見たもの/3.生きている流派 第三章 つつましく、つややかに−武家の女たち 1.自制心がもたらすもの/2.剣をつかう女たち/3.勇気ということ 第四章 市井に生きる 1.「橋ものがたり」の普遍性/2.「本所しぐれ町物語」と「日暮れ竹仮河岸」/3.江戸版ハードボイルド小説/4.「春秋山伏記」の世界 第五章 歴史のなかの人間 1.歴史小説とは何か/2.「長門守一件」/3.政治小説の達成−「義民が駆ける」/4.信長、秀吉、家康/5.上杉鷹山 第六章 伝記の達成 1.寄り添うように書く−「白き瓶 小説 長塚節」/2.不思議の肖像画−「一茶」 付録 「自然」からの出発−「藤沢周平句集」解説 藤沢周平 年譜・作品リスト |