実は、これだけ評判になっている養老さんの本を読むのは、これが初めてである。
別に嫌っていた訳ではなく、特に読みたいという気分が生まれなかっただけのことなのです。
それなのに何故本書を読んだかといえば、単に佐和子さんの本であるということに尽きる。
本書は一応“対談”ですけれど、正確に言えば佐和子さんはインタビュアーを勤めているだけのことであって、あくまで養老さんの本、と言うべきなのです。
しかし、その佐和子さんがインタビューアーであるというところがファンとしては重要なのであって、そこはそれの面白さがあるのです。相手に今養老さんを配するからこそ判る、佐和子さんの魅力という。
これって、本書に対する本来あるべき読み方ではないですね。養老さん、ごめんなさい。 相手の口舌を滑らかに引き出すというのが佐和子さんの上手さなのですけれど、それ以上に反応の良さ、可愛らしさを出せるところが佐和子さんの魅力ですね。改めて感じた次第。
それでもって漸く本書の内容に入ると、生物学的な男女論から始まり、養老さんの成長過程にみる女性の影響度の高さを経て、西欧と比較した日本論・日本人論に至るという構成。
生物学的な部分では、「シンメトリーな男」等竹内久美子さんの著書で既に紹介されていることと共通する部分も多く、あまり目からウロコということはなかったです。
(佐和子さんがインタビュアーである故に)まずまず楽しめた、という一冊。
はじめに(養老孟司)/恋愛は病気、結婚は契約?/なぜ女は男より強くてたくましいのか/男はどうしてデリケートで口下手なのか/ヒトがポルノグラフィーに興奮する理由/男の乳房は何の役に立つのか/「愛」という言葉と無思想の思想/日本人に個性はいらない/おわりに(阿川佐和子)
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