米窪明美著作のページ


1964年東京都生、学習院大学文学部国文学科卒。学習院女子中・高等科の非常勤講師として作法を教える。近代宮廷のシステムに興味を持ち、それを具体的な儀式の作法から探り、解明する研究を続けている。

 


   

「天皇陛下の私生活 −1945年の昭和天皇− ★★


天皇陛下の私生活

2015年12月
新潮社刊
(1400円+税)

2018年07月
新潮文庫化



2016/02/05



amazon.co.jp

昭和天皇の、起床してから就寝するまでの基本的な日常生活、そしてアジア・太平洋戦争の最後となる1945年の日々を、具体的かつ詳細に語った一冊。

これまでも保阪正康「昭和天皇等、昭和天皇について書かれた幾冊かの本を読んできましたが、本書はそれらとは一線を画す、昭和天皇の私生活部分に視点を据えて描かれた一冊。
そんそため、そこには人間的な昭和天皇の一面、息子であり夫であり父である姿、生真面目で実直なそのお人柄がリアルに感じ取れます。

皇居の外は東京大空襲に見舞われ惨状が繰り広げられていましたが、食糧事情の悪化はあったにしろ少なくとも空襲からは無事、と思っていましたが、空襲による被害は皇居でも無縁ではなかったと知りました。
また、戦争終結後、父である昭和天皇が後継者となるべき皇太子(今上天皇)に当てた手紙の中に、先の戦争に対する昭和天皇の思いが表れていて、貴重な一文と感じた次第。

昭和天皇が口に出すことはなかったそうですが、戦争末期におけるその胸中は、さぞお辛いものであったのだろうなぁ、と思います。
昭和天皇が身近に感じられる一冊。お薦めです。

1.前代未聞の四方拝/2.天皇は宮中の時計/3.リンカーンとダーウィン/4.2月のクリスマスツリー/5.息子として、兄として/6.叛乱、鎮圧、玉音放送/7.進化論と三種の神器/8.思いがけない「君が代」

         


     

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