●「日本売春史−遊業女婦からソープランドまで−」● ★☆ |
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2007/11/26
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高校から大学にかけての頃、フックス「風俗の歴史」全9巻(角川文庫)を読んでいました。歴史の表舞台に隠れた裏の歴史というべき社会風俗の変遷、それもまた歴史の一部に他ならないと興味を強く覚えました。 題名は「史」ですが、本書の主眼は売春の歴史を漠然となぞることにはない。
中世においてはそもそも“売春”をひとくくりにすることさえ困難と思えますが、明治期以降は社会問題のひとつとして取上げられてくるのでさすがに「史」というに相応しい内容となる。 売春に起源はあるのか/古代の遊女は巫女が起源か/遊女論争−網野善彦による「密輸入」−/「聖なる性」論の起源/中世の遊女と網野史学/近世の遊女史/岡場所、地方遊郭、飯盛女/日本近代の売春−廃娼運動と自由恋愛− |
●「童貞放浪記」● ★ |
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2008/07/13
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表題作「童貞放浪記」という題名はとても印象度が強いものですが、要は童貞をなかなか卒業できない大学講師が、好きな女性が出来ても結局思うようにいかないという、ある意味では青年ストーリィ。 「黒髪の匂う女」の主人公もまた古典文学の研究者で、大学に職を求めようとしている人物。「童貞放浪記」の主人公と合い通じるところが多い。 「ミゼラブル・ハイスクール1978」は、文学オタクで小説家になってやろうと思っている男子高校生が主人公。 この3作の中に小谷野さんの実体験がどの程度含まれているのかいないのか、皆目判りませんが、今でこそ愚かしく思えるような話にしろ、当時としては決して物珍しい、ことではなかったのではないでしょう。 童貞放浪記/黒髪の匂う女/ミゼラブル・ハイスクール1978 |