
2001年01月
新潮選書刊
(1100円+税)
2012年09月
新潮文庫化
2001/03/06
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本書は、「歴史の中の言葉」というテーマで開催された連続講座での内容をまとめたものの由。したがって、語り調であり、読み易いです。
網野さんは、本書の中で、現在我々が日常的に使っている言葉の中には、ある時期から本来の意味とは違う語感を抱かされるようになったものがある、したがって、言葉本来の意味をもっと大事にして大切にしていく必要があると述べています。
...と言われただけですと何のことが判りませんが、本書を読むとその意味がよく判ります。日本を指す「日出づる国」とは、中国から見た場合のことである。また、「日本」という名称が使われ始めた時、日本列島4島すべてが日本だった訳ではなく、東北や南九州は日本ではなかったこと。また、「百姓」とはあらゆる職業の人々という意味であり、百姓=農民ではなかった、したがって「百姓」をどう理解するかで歴史認識は大きく異なる、と説明されると、目の醒める思いがします。
歴史といっても、学校で習った日本史とはまるで異なるもので、まさに我々の盲点をつくような歴史講義であり、新鮮な驚きが味わえてとても楽しく読めます。
「日本」という国名/列島の多様な地域/地域名の誕生/「普通の人々」の呼称/誤解された「百姓」
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