2001年10月
新潮社刊
(1600円+税)
2007年02月
新潮文庫化
2002/01/06
|
読書好きにとっては、まさに楽しい一冊。
児玉さんは、新潮社の宣伝誌「波」に「エンターテイメントnow」というコラム欄を持っており、毎月エンターテイメント本新刊の紹介をしています。単に紹介といっても翻訳本の紹介にあらず、児玉さん自身が原書新刊を読んでの紹介ですから、日本で翻訳本が刊行される遥か前。児玉さんの本好きに驚きながら、毎月楽しみながらそのコラムを読んでいます。
本書は3部構成。「いつもそばに本があった」は、本好き人間なら共感すること大、といったエッセイ。「本棚から世界が見える」では、映画の話題も多く、本+映画好き人間にとっては、楽しめます。
そして、最後の「わが愛しの作家たち」。この章では、エンターテイメント系を中心に、注目作家、その新刊本が次々と紹介されていきます。エンターテイメント系小説好きなら、垂涎の的となるような作品ばかり。何と言っても、児玉さんの紹介ぶりがなんとも上手いのです。私はサスペンス系小説を読むことは好きないので、未読の作家が多いのですが、それでも読みたくなってしまう作品が多数にのぼります。作家でいえば、ネルソン・デミル、P・コーンウェル等々。
エンターテイメント系小説案内として、格好の一冊。以前なら小林信彦「地獄の読書録」、現在なら本書!、と言ったら褒め過ぎでしょうか。
上記に加えて楽しいのは、児玉さんによる、N・デミル、D・フランシス等人気作家9人の似顔絵。デミルを浪人姿に模したりとなかなかの出来栄えで、一見の価値は十分にあります。
なお、本書収録のエッセイは、トーハンのPR誌と上述「波」に掲載したものに加筆修正したものとのこと。
いつもそばに本があった/本棚から世界が見える/わが愛しの作家たち
|