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1.ハムレットは太っていた! 3.謎ときシェイクスピア (文庫改題:シェイクスピアの正体) |
●「ハムレットは太っていた!」● ★★★ サントリー学芸賞 |
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2001/08/18
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シェイクスピア芝居を、最初に演じた役者たちの体型から再考する、という新たな試み。 本書は、1999年ケンブリッジ大学から博士号を授与された学位論文「太っちょ、やせ、のっぽ−シェイクスピア時代の劇中人物と役者の肉体的特徴」を一般向けに書き下ろしたものだそうです。 元々シェイクスピア劇は、読み物ではなく芝居として見るものですから、理論臭く考えるより、当時の演劇事情を考えながら各作品の背景を考える方が余っ程楽しい。その点、本書はまさに望みどおりの面白さを楽しませてくれる一冊です。
女性登場人物の間にはノッポとチビという明確な違いがあり、男性登場人物の間には太った大男と痩せた小男という明確な違いがあったらしい。シェイクスピアの宮内大臣一座における主要な役者(リチャード・バーベッジ、ジョン・ローウィン、トマス・ポープ等)らの体型を思い浮かべながら、河合さんはシェイクスピア作品の特徴を解き明かしていきます。 役者たちの姿を求めて/少年俳優、ノッポとチビ/道化役者ケンプ退場/肩身の狭いやせっぽち/フォルスタッフ役者はだれだったのか?/初代イアーゴー役者の素顔/ハムレットは太っていた! |
●「シェイクスピアの男と女」● ★★★ |
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2006/05/01
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シェイクスピアが生きたエリザベス朝という時代は、女王支配下でイングランドの国威が発揚したということもあって、伝統的な男女観が崩れ、「男らしさ」「女らしさ」が問い直された時代だったそうです。 そうした時代背景を踏まえたうえで、シェイクスピアの代表的作品における男と女の関係を具体的に語った、すこぶる面白い解説本。 シェイクスピア戯曲、とくに喜劇においては、主役となる男女の関係を抜きにしては語ることが出来ません。 「マクベス夫人は悪女か?」も極めて面白い一篇。 その他幾つもの恋愛劇が語られますが、単に戯曲作品としての面白さを語るのではなく、エリザベス朝における社会の変化を捉えかつ踏まえつつ、現代的な視点からシェイクスピア作品における男女像を語ってみせたところが秀逸。 ※ちなみに上記2作品の他に取り上げられているのは、 序・装われる性/<じゃじゃ馬>は自由な女か?/愛と名誉と女の操/マクベス夫人は悪女か?/「男」を演じる女たち/男らしさの衰退/恋せよ乙女 |
●「謎ときシェイクスピア」● ★★ |
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2016年05月
2008/04/29
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ストラットフォード・アポン・エイヴォンという田舎町出身の役者風情に、あの素晴らしい数々のシェイクスピア作品が本当に書けたのだろうか、いや書けた筈がない、というのはファンにとっては興味尽きない議論。 そんな訳で18世紀以来様々な「別人説」が唱えられ、今なお論争は絶えないそうです。 とはいいつつも、誰か天才的な劇作家があれら作品を書いたのは事実であって、その劇作家をとりあえず“シェイクスピア”と呼んでみたとしても作品を楽しむうえで何の支障も生じない、というのが厳然たる事実。 ですから「別人説」もシェイクスピアの尽きない魅力のひとつとして、これまた大いに楽しめる、というものです。 本書はそんな「別人説」成り立ちの経緯、理由および難点を明快に解説してくれる好書です。 本書はそんな別人説をひととおり紹介した書とだけ思っていましたが、内容はそれだけに留まりません。 シェイクスピアをめぐるエッセイには実に多種多様なものがありますが、その語りの明快さという点で、河合さんの本は図抜けた面白さがあります。 シェイクスピアとは誰か/ストラットフォードの男の謎/「成り上がり者のカラス」の正体は?/シェイクスピアとは何か |