上菅田中学から戸塚高校の古典担当教師に転勤してからの5年間を書き綴った物語風エッセイ+5年間に詠った短歌 158首からなる“第4歌集”とのこと。
初めての高校教師になって授業で試行錯誤する“ちばさと”先生の姿を描くところから始まる一冊。
てっきり小説と思っていたのですが、そうではなくエッセイ集とのこと。
高校教師として生徒たちと関わってきた日々を書き綴ったエッセイ部分も魅力に富んでいるのですが、その中に短歌が挟まれていることによって殊の外短歌にインパクトが感じられ、短歌自体も実感をもって味わえるところがこの一冊の魅力です。
ちばさと先生の、教師としての謙虚さ、目線の低さもまた良いところ。
生徒たちがちばさと先生に再三忠告したり、ある女子生徒が課題図書を与えてきたりと、生徒たちの生き生きとした活力、感性に接することができるのも新鮮な嬉しさです。
小説とは違った魅力に出会える一冊、お薦めです。
※なお、お気に入りの一首をご紹介・・・「グラウンドを駆けゆく背中まっすぐに天空を挿すオールであれよ」
筆者の長い長いあとがきの後には、穂村弘・東直子さんとの3人による座談会<短歌には青春が似合う>を収録。
※上菅田中学6年間については第三歌集「飛び跳ねる教室」で描かれているとのこと。
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