ヘレーン・ハンフ著作のページ


Helene Hanff 1916年米国ペンシルバニア州フィラディルフィア生、テンプル大学卒。TVドラマ等の脚本家。1997年死去、享年80歳。

 


 

●「チャリング・クロス街84番地−本を愛する人のための本−」● ★★★  
 
原題:“84.Charing Cross Road”        訳:江藤淳

 
チャリング・クロス街84番地画像

1970年発表

1973年
講談社刊

1980年4月
講談社復刊

1984年10月
中公文庫化

2021年04月
中公文庫(増補版)

1980/07/06
1981/02/16
1988/10/02
1991/11/24

amazon.co.jp

TVドラマのライターであるヘレーン・ハンフという、アメリカの古書好きな独身女性と、ロンドンのチャリング・クロス街84番地にある古書専門店・マークス社の書店員との間で、長年に渡り親密な書簡がやりとりされます。本書は、それを一冊にまとめた書簡集。(1949〜69年)
 
本好きの人間にとっては、堪えられない魅力に充ちた一冊です。副題の「本を愛する人のための本」は大袈裟のように思いますが、内容からするとまさにその通りなのです。
 
本書の編者であるハンフ女史が、マークス社に一冊の古書を注文したことから、この交流は始まります。時期は終戦直後のこと。ロンドンの人々はまだ食料・生活物資に不自由していたた頃。それを伝え聞いたハンフ女史は、マークス社の人達に時々食料品等を贈ります。そして次第に、ハンフ女史とフランク・ドエル氏を主とした書店員たちとの間には、心温まる交流が深まっていきます。
 
それに加えて、相互の間に取り交わされる古書の話題の何と楽しいことでしょう。また、アメリカ人の率直さ、イギリス人の謙虚さという違いはあるものの、相互のヒューモア、そして書物に対する愛情が本書には溢れていて、読んでいてとても幸せな気持ちになります。
 
私にとっては、何度も繰り返し読みたい、愛読書のひとつです。

※ちなみに、本書に触発されて読んだ本は次のとおり。
「サミュエル・ピープスの日記」ウォルトン「釣魚大全」スターン「トリストラム・シャンディ」
ラム「エリア随筆」

 


   

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