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21.イモムシ偏愛記 22.トリカブトの花言葉を教えて 23.雨女とホームラン 24.強制終了、いつか再起動 25.階段ランナー 26.5年1組ひみつだよ−短編小学校1− 27.5年2組ふしぎだね−短編小学校2− 28.5年3組びっくりだ−短編小学校3− 29.6年1組すきなんだ−短編小学校4− 30.6年2組なぞめいて−短編小学校5− 31.6年3組さらばです−短編小学校6− |
【作家歴】、秋の大三角、雨のち晴れところにより虹、ドラマデイズ、乙女部部長、今夜も残業エキストラ、想い出あずかります、海岸通りポストカードカフェ、恋愛映画は選ばない、劇団6年2組、連れ猫 |
時速47メートルの疾走、風船教室、空色バウムクーヘン、赤の他人だったらどんなによかったか、ひみつの校庭、ロバのサイン会、いい人ランキング、忘霊トランクルーム、南西の風やや強く、昨日のぼくのパーツ |
「イモムシ偏愛記」 ★★ | |
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本ストーリィは、地元の高台にある豪邸、かつての銀幕スター=故蓑島隆三が建てたその家を中三女子の新巻凪が訪ねるところから始まります。 実は凪、デビュー前のアイドル=ヒカルのファン。そのヒカルの祖母が現女主人の蓑島嘉世子という訳で、嘉世子を助けて自宅に招かれたことをチャンスとしてヒカルに会えるかもと、のこのこ出掛けてきた次第。 しかし、何とその嘉世子がイモムシ好き、そしてそのイモムシの世話を頼まれるとは! 生き物全般、とくに虫が大嫌いな母親の影響を受けて、凪も虫が大の苦手。それでもヒカルに会えるならと、我慢して嘉世子の手伝いをするため蓑島邸に通うことになります。 邸内の雑木林を嘉世子に案内されて巡りながら、植物やイモムシの生態、無事に蝶となるまでイモムシたちのホームステイを学ぶうち、次第に凪はイモムシや植物に関心をもつようになり、イモムシたちを可愛く思うようになります。 そしてヒカルとも接点が生まれるのですが、嘉世子が<蝶屋>であるのに対して、ヒカルが<蛾屋>だったとは。 加えて、殺虫剤の会社に勤めている凪の父親まで、実は大の虫好きだったとは! とにかく、凪の心が変化していく様子が面白く、微笑ましく、楽しい。 体操部を辞めて帰宅部となった凪曰く、「イモムシ部」。 イモムシ好きになったことで凪の活動域が広がり、新たな世界が開けていくところが、嬉しい。 凪だって、人間の一生から見れば、今はイモムシにあたる時期。 成長につれ姿を変えていくのが同じです。 そうした変化の可能性があること、これから広い世界に羽ばたいていくという可能性が感じられるところが、本作の魅力です。 ・・・好きだなぁ。 |
「トリカブトの花言葉を教えて forgotten storage room phantoms」 ★☆ | |
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「忘霊トランクルーム」の続編。 前作と同じく、ストーリィは祖母からトランクルーム管理のバイトを引き受けた高校生の上倉星哉(主人公)と、トランクルーム利用者で星哉の片想い相手となった年上の女性=西条聖子の2人を主軸として進んでいきます。 西条さんにトランクルームの忘霊が見えている? 忘霊が見える条件は殺意を持ったことがある人間だけの筈。優しい女性である西条さんが一体どんな殺意を? ただでさえ西条さんに片想いをしている星哉、じっとしていることなどできず、西条さんが抱える秘密、西条さんが隠している想いを突き止めようと行動し始めます。 まずは、西条さんが助手を務めている、森国千園美先生のアートフラワ―教室に入り込むのですが・・・。 続編ではありますが、本作において“忘霊”によるファンタジー要素は薄まり、片想い相手の秘密を突き止めようという青春&恋ミステリの要素が濃い。 ただし、ミステリ、青春・恋という面においても、割とあっさりした内容。でも登場人物たちの心情を細やかに描いている点が、好ましいところ。 吉野万理子作品のこうした雰囲気が、私は好きです。 なお、題名の中の「トリカブト」はストーリィ中、フラワーアレンジメントの材料として登場します。 トリカブトに託された意図・想いは、どんなものだったのでしょうか。 さらなる続編がありそうです。楽しみです。 1.二一九号室の問題集/2.きらめく剣山のなかに/3.スパイになった夜/4.三人の西条さん/5.そして、感情は放たれた |
「雨女とホームラン」(イラスト:嶽まいこ) ★★ | |
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児童向け作品です。 占いが大好きな小学生、タッツこと竜広と隣席の里桜(りお)。 小学生たちの学校生活等を通じて、占い等を信じることの是非について考えさせられるストーリィ。 民放朝のニュースでは毎日星座占いをやっているし、竜広や里桜のようにラッキーアイテムにこだわる人もいるのでしょう。 また、血液型による性格占いを口にする人は、依然としていなくならないし。 私は子供のころから占いというものにはトンと縁がない、というか、信じるつもりが昔も今も全く信じるつもりがなかったので、本書冒頭、男子だというのに毎朝ラッキーアイテムにこだわっている小学生というキャラクターは、むしろ新鮮でした。 しかし、雨女と決めつけて仲間外れにしてしまうのはなぁ。 ましてからかいやイジメではなく、「本気でそういったのだ」と言われてしまうと何ともはや・・・・。 占いを信じるのも半ばお遊び、気分転換、というような処に留めておいて欲しいものです。 本作では、担任の小山先生というキャラクターが凄く好い。そう簡単に笑顔を見せない女性というところも、竜広や里桜たちと同じ目線で向かい合ってくれるところも素晴らしい。 吉野万理子作品には、大人向けのも、こうした児童向けのものもありますが、どれをとっても語り口に楽しさがあります。 大人が読んでも楽しく、かつ考えさせられる作品です。 1.占い当たります/2."見える"人/3.負けおばさん登場/4.だれのせい?/5.先生のひみつ/6.見えないもの |
「強制終了、いつか再起動」 ★★ | |
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パソコン操作のような題名ですが、本作は中学生における薬物依存問題をリアルに取り上げたストーリィ。 主人公の一人は加地隆秋。父親の栄転に伴い新潟から東京の私立一貫校に転校した加地ですが、勉強についていけず、さらに運動神経の鈍さも笑われ、孤独感を否めない。 そんな時、家庭教師の大学生=安岡の部屋に遊びに行った処、大麻を見つけ、誘われるままに大麻を吸ってしまう。 一方、同級生の伊佐木周五は、何とか YouTubeのアクセス者数を伸ばしたいと、前の学校で放送部だったという加地を動画作りの仲間に誘い入れます。 そしてもう一人、麻矢夕都希(ゆづき)は無愛想ながら2人からの頼みに協力するのですが、その過程で加地が薬物を使用しているのではないかと気付いてしまう。 そして、ついに加地がある事件を起こしてしまい、窮地に追い込まれることになります。 友人が薬物依存になった時、何をできるのでしょうか。 本作の意図は、疑似体験を通じて薬物依存の怖さを警告すると共に、一度道を踏み外してしまった該当者を見放してしまうのでは解決にならない、と伝えることにあるとおもいます。 中学生なら彼らの人生はまだまだ始まったばかりのところなのですから。本書題名は、再出発の願いを篭めたものと思います。 主人公たちは中学生ですが、世代を問わず薬物問題について考えさせてくれるストーリィになっています。 ※こう言っては何ですが、私は未喫煙者なので、煙草と薬物は同様の問題に思えます。どちらも百害あって一利なし、そして中毒性があるという点で共通していますから。 また、主人公たちに対する誘い文句は、大学時代に友人が私に煙草を吸わせようと勧めた時の言葉とほぼ同様でした。 ひょっとすると、薬物はすぐ身近にある危険、そう考えておくべき問題なのかもしれません。 |
「階段ランナー」 ★★ | |
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それぞれに悩みを抱える高校生2人、奥貫広夢と三上瑠衣。 その2人が出会い、言葉を交わしたところから、徐々に2人の新しい歩みが生まれていき、そして・・・。 まさに青春真っ只中のストーリィですが、“階段ランナー”というモチーフが抜群に魅力的です。 吉野万理子さんの作品、やっぱり大好きです。 事情があって水泳部を辞めたらしい奥貫広夢。 一方、腕が触れなくなってクラブチームでの卓球練習を休んでいる三上瑠衣。 そして、母親が大怪我したを契機に、長く勤めた高校を退職して京都に帰り母親の学習塾を引き受けることになった、社会科教師の高桑曜太朗(通称:タクワン)。 その高桑のブログ<階段おじさん>が共通の話題になって、広夢と瑠衣の交流が増えていきます。 2人が抱えている悩みは、それぞれ自分で解決しなければならない問題。でも、傍に仲間がいて話を聞いてくれたら、それだけでどんなに力になることでしょう。 ※広夢の友人である山本の存在も、地味ですが、とても貴重。 そして、なんだかんだを経てこの2人、高桑に誘われ、チームで“京都駅大階段駈け上り大会”に挑戦することになります。 階段というのが象徴的。困難や悩みや課題といったものが階段に譬えられますから。その階段を駆け上った先には、きっと新しい希望があるに違いありません。 ストーリィ自体、爽快で楽しめるのですが、実在の“京都駅大階段駈け上り大会”をはじめ、高桑がブログで紹介するあちこちの階段−「せつない階段」「出会いの階段」「決意の階段」「哀しみの階段」「無限の階段」「勝負の階段」「あきらめない階段」等について語った階段話がとても楽しい。 これは余禄の楽しみです。 |
「5年1組ひみつだよ−短編小学校1−」 ★★ | |
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ある小学校の、あるクラスに属する子どもたちの、日常におけるちょっとした出来事を描いた、一コマのストーリィ15篇。 それぞれ、いろいろな個性をもった子どもたちがいて、それに応じて様々な出来事がある。 それをこうした形で一度に楽しめるのですから、何とも嬉しいことです。 あるクラスのアルバムをめくるような感じで、本書の頁を繰ったという思いです。 冒頭から驚かされたのは、「縁切りトンネル」と「舌打ち」の2篇。 そして爆笑ものだったのが「引っ越さない理由」。 何とファンタジーなことでしょう!は「かたむく家」。 これは面白い、と感嘆したのは「もらったもの」。 どれも楽しい掌篇ばかりです。お薦め。 縁切りトンネル−真砂幸也のはなし/舌打ち−梶原美寿紀のはなし/当たりまくる日−東森将太のはなし/クワの血−山本果子のはなし/引っ越さない理由−古賀剣士のはなし/いとしのハシビロさん−近藤未央のはなし/去った人−坂本美貴のはなし/かたむく家−田戸有吾のはなし/キュルキュルキュル−田部エミリのはなし/誤解−島内博人のはなし/虫うらない−阪口マリアのはなし/オススメ−村松興起のはなし/先生カスタマイズ−井元佑大のはなし/もらったもの−久木塔子のはなし/ハガネくん−成村鋼のはなし |
「5年2組ふしぎだね−短編小学校2−」 ★☆ | |
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ある小学校の、あるクラスに属する子どもたちの、日常におけるちょっとした出来事を描いた掌篇集=15篇、第2弾。 今回のテーマは“ふしぎ”。 本当に不思議な出来事もあれば、ただ当人が不思議に感じたというだけのこと、ちょっと驚いたこと、諸々。 小学校時代の童心に返ったような、そんな楽しさがあります。 そうした中でやはり面白いと感じるのは、不思議な出来事を語った篇。そこにはユーモアもありますし。 それを舐めると口がつい滑ってしまうという「ピーナッツバター」、猫の声が聴こえる?「ネコの心」、いけない心が見える?「正義の味方」。 一方、「こまったおじさん」、「行列」、「敵」、「どっちを選ぶ?」には思わず笑ってしまいます。これまた楽しい。 ※第3弾「5年3組びっくりだ」も楽しみです。 ピーナッツバター−坂本瞳のはなし/ゆめコピー機−周劉帆のはなし/中の人−戸橋乃乃のはなし/こまったおじさん−太田凛空(りく)のはなし/王族−青葉志桜里のはなし/バイク便−木下巧のはなし/行列−小寺未来(みく)のはなし/敵−灰島玄紀のはなし/ネコの心−穂高志甫のはなし/どっちを選ぶ?−本坂泰佳のはなし/ぬすまれた−脇ノ坂佑都のはなし/正義の味方−大滝蓮吾のはなし/上級犬−中林香耶のはなし/今夜はごちそう−壇優亜のはなし/満点−坂城有起哉のはなし |
「5年3組びっくりだ−短編小学校3−」 ★★ | |
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ある小学校の、あるクラスに属する子どもたちの、日常におけるちょっとした出来事を描いた掌篇集=15篇、第3弾。 第3弾目にもなると少々マンネリ化したと感じるところもありますが、一篇一篇読んでいくと、やはり楽しい。 本掌篇集のテーマは“びっくり”ですが、軽いものもあれば、本当にびっくりのものもあり、そしてユーモラスなものもファンタジーなものもあり、という具合。 「歌姫」には本当にびっくり。 「片思い」は、ちょっとくすぐられるようなお話。 「電車の国」、鉄道ジオラマには惹きつけられますねぇ、それプラスの楽しみがあればなおのこと。 「竜宮城」「クセが強い」の2篇には笑わされます。 そして最後を飾る「工場夜景ツアー」は、本掌篇集をきれいにまとめて、気持ち良い。 スカウト−大口成哉のはなし/キャッチフレーズ−伊丹瑞月のはなし/歌姫−皆藤レオのはなし/遠足−立花仁菜のはなし/敵陣−森浦幸平のはなし/片思い−林雲嵐のはなし/招待券−長崎順規のはなし/裏の顔−楠田奈央のはなし/電車の国−永富泰隆のはなし/わたしの修業−桑田小湖のはなし/流れ星−中村総士のはなし/竜宮城−山岡一馬のはなし/クセが強い−鴨居千紗のはなし/味が変わった−土井展雅のはなし/工場夜景ツアー−貝原ミアのはなし |
「6年1組すきなんだ−短編小学校4−」 ★★ | |
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シリーズ第4弾。 本掌篇集のテーマは、“好きなこと”。 本15篇のうち一番気に入ったのは、唯一のファンタジー篇といえる「あのひとは」。 登場するおばあさんの、アレンの話への反応が楽しいですよ。 “好き”の中には、好きな相手、というのも入るようです。 「ドクガ」の田緑小春、「食べられた」の菱沼樹、「どっち」の広井美琴と、それぞれの想いが食い違っている処が楽しい。こうしたパターン、よくあることでしょう? 「ひみつ」の杉伊織と、「むずかしい」の宮町豪太郎の話は、LGBT問題も入って、ちょっと大人っぽい。 同じ小学六年生といっても違いがあるのは、環境、それなりの苦労があるからでしょう。 「きらいなもの」の音村良哉の話が面白い。こうやって野菜に詳しくなり、好きになっていく、というのは現代ならではかも。 今はいろいろな野菜が売られてますからね。 ふくらはぎ−辰見立夏のはなし/あの人は−今宮アレンのはなし/九番目−名木岡月乃のはなし/欠点−尾田歌のはなし/運命のじゃんけん−本田厚弥のはなし/ドクガ−田緑小春のはなし/食べられた−菱沼樹のはなし/どっち?−広井美琴のはなし/ひみつ−杉伊織のはなし/むずかしい−宮町豪太郎のはなし/最終回−戸口轍人のはなし/いとこが来た−宗近陸のはなし/台風−中川苺のはなし/きらいなもの−音村良哉のはなし/ダッシュ!−島倫也のはなし |
「6年2組なぞめいて−短編小学校5−」 ★★ | |
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シリーズ第5弾。 今回は、不思議なこと尽くし。 仕掛けのある不思議なこともありますが、本当に不思議な出来事も多い。 それだけに、本シリーズの中でも特に本短編集には惹きつけられます。 その中で、本短編集の特色と言えるのが、雨佐木(うさぎ)小学校へ行く途中にある<雨佐木池>の存在。 その池、時々いたずらを仕掛けてくるのだという。 登校初日にそのいたずらに巻き込まれた転校生を描くのが、冒頭の「転校初日」。 そしてそのいたずらの真骨頂と言えるのが、最後を締める「池の底」。 こんな池が近くにあったら、小学生たち、さぞ楽しいことでしょう。 新しい駄菓子屋?という<最強屋>絡み2篇も面白い。 最初の「最強屋」も楽しいですが、次の「らくがき」には心をくすぐられますねぇ。 “本格猫語”翻訳アプリの「ネコとしゃべる」も愉快の極みですが、その一方、「侵入者」には胸をジ〜ンとさせられます。 転校初日−山田文乃のはなし/大事なこと−今宮孝見のはなし/穴−川近恭弥のはなし/ネコとしゃべる−三橋由来奈のはなし/発明したら−秦俊明のはなし/未来のお仕事−星井静のはなし/窓から見えたのは−小松沢新のはなし/最強屋−隆島旺介のはなし/らくがき−渡瀬名由香のはなし/回覧板−長久礼哉のはなし/けん玉キング−久米正孝のはなし/引き出し−橘千亜希のはなし/侵入者−藤木竜喜のはなし/ピーマンの家−大清水円加のはなし/池の底−白川祭月のはなし |
「6年3組さらばです−短編小学校No.6−」 ★★ | |
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“短編小学校”シリーズ最終巻、の筈。 6年生となれば当然にして視野に入ってくるのは、卒業。 ただし、本巻の6年生たちにとっては、卒業だけでは終わりません。彼らが卒業するのと合わせて浜島第一小学校は廃校、浜島第二小学校に統合されるのですから。 廃校の理由は、海岸が縮小しつつあり、海の傍にあって危険という判断から、山の上にある第二小学校に統合という次第。 概ね、別れに関わるストーリーが多い。 でもそこには、これからに向けた成長があり、未来への道があります。そんな処が嬉しい。 “同調圧力”は嫌いだと先生が語る「ゆれた?」、外国からの転校生との触れ合いに学ぶ処がある「ハッピー・ホリデーズ」と「カンタンアイテラス」、似た趣向の「変える!」が印象的。 また、「これが最後」、「答辞」&「さらば! 学校」の3篇は文句なく楽しい。 あと一年−渡良瀬真のはなし/行方不明−井森唯のはなし/わたしだけの−高橋ナズナのはなし/旅のとちゅう−一本松悠斗のはなし/ゆれた?−菅原愛夏のはなし/台風が連れてくる−西浦葵のはなし/こんにちは、さよなら−会本隆太のはなし/ゼッタイ−中川美生のはなし/おかえり−清水乃亜のはなし/ハッピー・ホリデーズ−ソフィア・グリーンのはなし/変える!−石田隼人のはなし/これが最後−新庄翔のはなし/カンタンアイテラス−川上香央のはなし/答辞−加納愛花のはなし/さらば! 学校−寺尾寛人のはなし |
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