吉永南央
(なお)作品のページ No.2



11.
薔薇色に染まる頃
−紅雲町珈琲屋こよみNo.10−

12.雨だれの標本−紅雲町珈琲屋こよみNo.11− 

【作家歴】、紅雲町ものがたり、オリーブ、その日まで、名もなき花の、糸切り、まひるまの星、華花ひいらぎの街角、黄色い実、初夏の訪問者、月夜の羊

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11.
「薔薇色に染まる頃−紅雲町珈琲屋こよみ− ★☆


薔薇色に染まる頃

2022年10月
文藝春秋

(1600円+税)

2023年09月
文春文庫



2022/11/06



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いつものシリーズ、第10弾。
ところが何と本巻内容、草が紅雲町を出て赴いた先で、凶悪な犯罪事件に巻き込まれる?という驚愕の展開。
いったい草は大丈夫なのか、老婦人なのですから、なおのこと心配になります。

草、探していたものが見つかったとアンティークショップから連絡を受け、買取に出掛けます。
その店近くで草が遭遇したのは、子どもの頃から知っている、凶悪な暴力団まがいの室橋という男を父親に持つ
ユージンが殺害されたらしいという事件。
自分に何かあったらと頼まれていた草、危険なものを感じたものの約束を果たし、帰りの新幹線に乗り込みます。
ところが、子連れの女性からその男の子=
石井淳の世話を頼まれたと思ったら、その女性がホームで刺されるという事件発生。
犯人は室橋・・・?

まるで子供連れの逃走サスペンス映画のような展開。
でも、杉浦草って和服姿の老婦人ですよ。サスペンスの主役にはまるで似合いません。身体は大丈夫なの?と心配してしまう。
それなのにそうした状況に追い込まれてしまうのですから、本当に怖い、本シリーズに似つかわしくない、というか。
それでも草、知恵と用心深さ、人脈を使って切り抜けようとするのですが・・・。

最後、本事件の謎が解き明かされますが、拍子抜けしてしまう処が無いではありません。
長く続いているシリーズとあって、たまには違う趣向も、ということがあるのでしょうけれど、紅雲町での日常的な事件の方がやはり読者としては落ち着くよなァと思います。


1.長い約束/2.メジャーと竹尺/3.湖に降る/4.神様の羅針盤、くまの寝息/5.薔薇色に染まる頃

                          

12.
「雨だれの標本−紅雲町珈琲屋こよみ− ★☆


雨だれの標本

2023年10月
文藝春秋

(1600円+税)



2023/11/01



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シリーズ、もう11弾。
よく続いてきたなぁと思いますが、その一方でこちらの気持ちがマンネリ化してきたことも否めません。

杉浦草が営む小蔵が、国内外で評価の高い映画監督=沢田真一による新作映画の撮影候補地になったという知らせ。
ところが、小蔵屋に現れた沢田監督が草に頼んだのは人探し。
映画専門学校に通っていた頃に影響を受けたフィルム、その名前も分からない作り手がどうもこの辺りに縁があるらしい。ついては探して貰えないか、という依頼。

一方、恋人となった
公介と同棲中の従業員=久実、なにやら公介との関係で屈託を抱えているらしい。
大丈夫なのかと心配する草でしたが、山で遭難した者の救助活動に駆り出された公介との連絡が途絶え・・・。

本巻ストーリィの軸は、上記の二つ。
何となく物足りないなぁという感想だったのですが、最後に急展開があり、その顛末にホロっとさせられ、安心した次第。

杉浦草さん、巻が進むにつれ歳も重ねていきますが、まだまだ元気でいてください。


1.雨だれの標本/2.別のお願い/3.狐雨は嵐の晩に/4.消えた場所まで/5.たずね人の午後

       


   

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