渡辺 優(ゆう)作品のページ


1987年宮城県仙台市生、宮城学院女子大学国際文化学科卒。大学卒業後、仕事の傍ら小説を執筆。2015年「ラメルノエリキサ」にて第28回小説すばる新人賞を受賞。


1.
ラメルのエリキサ

2.
地下にうごめく星

 


           

1.
「ラメルノエリキサ ★★       小説すばる新人賞


ラメルノエリキサ

2016年02月
集英社刊
(1200円+税)

2018年02月
集英社文庫化



2016/02/21



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やられたら必ず復讐する、というのが女子高生=小峰りなのモットー。それは誰のためでもない、自分の気持ちをすっきりさせるためという純粋に利己的な目的なのである。
そんなりなが、夜道でいきなり背中を刺される。犯人は誰か?
刺した瞬間、そいつは
「ラメルノエリキサのためなんです、すみません」と呟いていた。
事件の捜査担当になった女性刑事に、りなはそのことについて口を噤む。何故なら、自ら犯人を見つけて復讐するために。

エキセントリックな主人公のキャラクターがまず魅力です。
そうなんだよなァ、そうしないと自分の気持ちが治まらないというのは実感としてよく判ります。私自身がそう行動できるとは思わないからこそ、いっそうこの主人公のキャラクターが痛快。
でも、いざという時その言葉どおりに行かないこともまた、女子高生らしくて好感。

“ラメルノエリキサ”とは何なのか? 犯人は誰なのか?というミステリ要素だけではなく、クラス内での交遊関係、完璧なママ+普通のパパ+2歳上の姉という家族関係という要素も加えた女子高生青春ストーリィとして楽しめます。
とくに、主人公りなに負けず劣らず面白いのが、りなの“お姉ちゃん”のキャラクター。
この2人、いいコンビです。

刺激的な出だしのわりに軽く、あっさりとした展開でしたが、新鮮な面白さを十分堪能できた思いです。

                          

2.
「地下にうごめく星 ★★


地下にうごめく星

2018年03月
集英社刊

(1400円+税)



2018/04/15



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これはまさしく、地下アイドルたち、そして地下アイドルに魅せられてしまった中年女性の青春連作ストーリィである。

地下アイドル、そのファンと言うと、オタク世界と思われてしまうのかもしれませんが、良いじゃないですか。
現に地下アイドルは存在し、活躍しようと頑張っている姿があるし、それを一生懸命応援しているファンもいるのですから、そうした人たちを大いに肯定すれば良いと思います。

「リフト」の主人公は、会社の同僚に初めて誘われて地下アイドルたちのライブに行った40代独身会社員の松浦夏美。一人の地下アイドルに魅せられ、自分でプロデュースしようと思いつく。
「リミット」の主人公は。元々は宝塚歌劇団に入りたかったのだが、その代用として地下アイドルに。しかし、3つ目となった現在の<インソムニア>も、突如解散が決定。その時、楓に声を掛けてきたのが、松浦という中年女性。
「リアル」の主人公は、女装が好きな男子高校生の。もっとも、ゲイではない。
「天使」の主人公は、自分は“天使”、今は神様から地上に遣わされての仮の姿、という女の子。
「アイドル」の主人公は、5人組インディーズアイドルグループ<ガールズフレア>の一員である愛梨。しかし、トップの美月のような美しさは自分にはない・・・。
「リピート」の主人公は再び松浦夏美、そして彼女が集めたメンバーの一人一人。さて、結果は・・・・。

舞台が極めて限定された青春連作ストーリィなので、好みによって向き不向きはあるかもしれませんが、私は爽快に楽しめた、という気分です。
何より皆が生き生きとしていてリアル。そして、それら一人一人が、お仕着せではなく、自分を改めて見つめ直し、そして自分ならではの道に一歩踏み出すまでの姿を描いたストーリィなのですから。


リフト/リミット/リアル/天使/アイドル/リピート

       


   

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