藤野恵美(ふじの・めぐみ)作品のページ


1978年大阪府堺市生、大阪芸術大学卒。2004年「ねこまた妖怪伝」にて第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞し、作家デビュー。


1.
ふたりの文化祭

2.
ショコラティエ

 


           

1.
「ふたりの文化祭 ★★


ふたりの文化祭

2016年03月
角川書店刊
(1600円+税)

2019年02月
角川文庫化



2016/04/26



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片やイケメンでスポーツ万能な優等生で、女子にも優しく典型的なモテ男の九條潤。片やいるのかいないのか判らないくらい存在感の薄い地味な女子の八王子あや
対照的な同級生のこの2人、実は知られざる共通点があった、というのが本ストーリィにおける重要な鍵となっています。

本書はそんな2人を主人公に、文化祭でのクラスの出し物を決めるところから文化祭当日までを、交互に第一人称で語らせるという形で進んでいきます。
2人以外にも、極めつけの美人同級生である
結城あおい、あやの数少ない友人でBL好きのアリサ、文化祭実行委員を勝手に放り出した田淵等々の生徒たちがストーリィを賑わせ、群像劇という側面も作り上げています。
そうした中、交わるところのなさそうな2人が、どう交わって文化祭を盛り上げていくのやら。そこが興味どころです。

モテモテ男の潤、私などからすると鼻白む思いで、地味で本好きのあやの方に親近感を抱いてしまうのですが、終盤、その優劣が逆転してしまうところが本ストーリィの面白さ。ミステリ小説のようなスリリングな面白さ、と言っても良い。

面白くはあるものの割りと平凡な高校青春ストーリィと思っていたら、最後に見事な逆転劇のような展開。すっかり作者の罠に嵌められたという気分ですが、痛快にして快感。・・・・藤野恵美さん、策士ですよねェ。
しかし、その最後の展開がそのまま2人の新しい青春のスタートに繋がっている、という清新さが私好み。
幕切れに2人が立てる小気味良い音は、極めて爽快です。

                

2.
「ショコラティエ CHOCOLATIER ★★


ショコラティエ

2018年07月
光文社刊

(1300円+税)



2018/08/15



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題名のとおり、チョコレートを題材にした元同級生2人の、青春と友情ストーリィ。

一方の主人公は
羽野(はの)聖太郎。9歳の時に父親が事故死し、つつましい母子家庭育ち。
もう一方は、ピースチョコという人気菓子を生み出した
大宮製菓の御曹司である大宮光博
2人の出会いは、誕生日会に光博が、同級生の聖太郎に招待状を差し出したところから。
そのパーティで出たチョコの美味しさに聖太郎が魅せられたところから、菓子作りという2人の共同作業が始まり、2人の間に友情関係が生まれます。
それがギクシャクし出したのは、光博の幼馴染でピアニストを目指す
村井凛々花に聖太郎が出会ってから。

高校を卒業して菓子職人の道に入った聖太郎と、親に言われるまま何の目標もなくただ過ごしている光博は、極めて対照的。
出会いと別れ、そしてお互いに紆余曲折を経ての再会、というストーリィ。

聖太郎と光博の青春&友情ストーリィと言うのであれば、本書の頁が尽きたところからが本格的なストーリィの始まり。本作で描かれたのは2人の物語における前段部分に過ぎない、と言うべきなのでしょう。
本格的なストーリィ展開の手前で終わってしまうのは、当てが外れたような、残念な思いもしますが、いつまでも続くようなその余韻に心地良さを感じるのも事実。

物語として十分面白かったですし、洒落た幕切れにも好感。

          


   

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