|
11.プラスマイナスゼロ 12.みんなのふこう |
【作家歴】、ぼくのミステリアスな日常、水上音楽堂の冒険、火天風神、マレー半島すちゃらか紀行、プレゼント、スクランブル、名探偵は密航中、依頼人は死んだ、悪いうさぎ、親切なおばけ |
●「プラスマイナスゼロ」● ★ 画:杉田比呂美 |
|
2019年07月
|
若竹七海さんの作品、いつも評価は低いのですが、私は割りと好きです。というか、時々読みたくなるのです。 ミステリにしてもユーモアにしても軽やか。それが杉田比呂美さんの挿画と合わさると、一休みした気分になるというか、気分転換になるというか。
本書は、個性的な女子高生3人組を主人公にした、ドタバタ事件もの連作短篇集。 そんな3人を評して学校の教師曰く、「プラスとマイナスとゼロが歩いてら」。 ちょっとした気分転換向き、軽く楽しめる、ドタバタ喜劇+学園ミステリ連作短篇集。 そして、彼女は言った/青ひげのクリームソーダ/悪い予感はよくあたる/クリスマスの幽霊/たぶん、天使は負けない/なれそめは道の上 |
12. | |
●「みんなのふこう」● ★★ |
|
|
葉崎FM<町井瞳子のライトハウス・キーパー>の人気コーナー、土曜日午後10時の「みんなのふこう」。 そこに毎月寄せられるのが、ラジオネーム「ココロちゃんのぺんぺん草」からの投稿。 17歳のフリーター=ココロちゃんは天涯孤独、何をしてもドジばかりなうえに、あらゆるトラブルに巻き込まれるのが常という不幸このうえない身の上なのですが、何故か本人はいつもにこにこしていて、嬉しそう。 そんなココロちゃんとバイト先で同僚になり世話役を押し付けられたのが、同じ17歳の女子高生=自称:ぺんぺん草ちゃん。 毎月ぺんぺん草ちゃんからの投稿で知らされるココロちゃんの状況は、驚愕することばかり。 ココロちゃんのとんでもない不幸ぶりに同情しきりの瞳子ですが、その後ニュースを読み上げる番になる度、「えっ」「まさか」と絶句するのが毎月のパターン。 伝聞方法は変われども、少しも変わらないのはココロちゃんの不幸ぶり。いやむしろ、ますます磨きがかかるというべきか。 瞳子はじめ、周囲の絶句ぶりもとても楽しい。 こうしたストーリィ、私は好きだなぁ。 ココロちゃんに同情はすれど、それでも愉快、痛快、毎回笑ってしまわざるを得ません。もちろん、ココロちゃんがちっとも不幸という表情を見せないが故。 パロディ的な可笑しさが大好きな方には、是非お薦め。 |