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●「湖
底」● ★★ |
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2001/11/23 |
本作品をどう語れば良いのか、何とも不思議な物語なのです。 ダムの湖底に沈んだ過疎の村。そこにかつてあった学校には、6人の生徒が通っていました。日照りが続いたことから、湖面に学校の屋根が現れ、6人の内ただ一人地元に残った成島は、残る5人に同窓会をやろうと呼びかけます。かつての5人も、今やニュースキャスター、映画等での殺され役、イラストレーター等、各々異なった人生を送っています。しかし、彼らが現在の生活に満足しているかというと、各々充たされない思いを抱えつつ、仕方なく今を生きているという雰囲気があります。そんな彼らが、呼びかけに応えて、かつて通った湖底の学校跡に集まります。
そんなストーリィは、重松清「カカシの夏休み」と確かに似ています。しかし、彼らの眼前に次々と起きる不思議な出来事、水が空中に浮かび球体となり、彼らに水を浴びせ掛けるという出来事は、このストーリィが単なる追憶には終わらないものであることを明確に示しています。その辺りは「カカシの夏休み」と全く異なるところ。 |