砥上裕将
(とがみ ひろまさ)作品のページ


1984年生、福岡県出身。水墨画家。「線は、僕を描く」にて第59回メフィスト賞を受賞。

  


       

「線は、僕を描く ★★★


線は、僕を描く

2019年07月
講談社

(1500円+税)



2019/07/24



amazon.co.jp

水墨画の世界を舞台にした、とても美しいストーリィ。

両親を交通事故で失って以来、喪失感を引きずったままの大学生=
青山霜介は、水墨画のパネル展示を手伝うバイトが縁となり、西濱湖峰、その師であり日本水墨画界の巨匠である篠田湖山と知り合います。
湖山と知らぬまま、促されて展示された水墨画の印象を正直に語っていたところ、何故が湖山にひどく気に入られたらしい。
その孫娘で超美人の
篠田千瑛(ちあき)は、唐突に湖山が霜介を内弟子にしたいと言い出したことについ興奮してしまう。何故なら千瑛、未だ祖父に認められていないという思いがあるため。
そして霜介と千瑛、あろうことか1年後の<
湖山賞>をめぐって勝負をすることになります。

いきなりの巨匠の発言に唖然とした霜介ですが、それから素直に湖山のアトリエ兼自宅に通い、その指導を受けながら水墨画の世界を極めていくことになります。

水墨画は筆の線から始まり、描き手である人物の有り様、人生まで表すもの。
その意味で本作は、水墨画の修業を通して、霜介の青春、人間的成長ストーリィになっています。
成長を遂げるのは霜介だけではなく、霜介と競うようにして、次第に認め合いながら、共に水墨画を極める道を進む千瑛も同様。

霜介、千瑛を囲み、様々な人物が周囲に登場します。
霜介の学友である
古前、水墨画に興味を持つ女子大生の川岸
突然の師となった篠田湖山以外にも、その弟子である
西濱湖峰、斉藤湖栖、湖山も評価する水墨画家の藤堂翠山、と。
皆に見守られ、励まされながら、霜介と千瑛が切磋琢磨し合いながらひたすら道を究めていく展開、美しいという以外の何物でもありません。

読了後は、清浄な気持ちに胸が満たされたようです。
是非、お薦め。

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