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11.美雪晴れ−みをつくし料理帖No.9− 12.天の梯−みをつくし料理帖No.10− 13.花だより−みをつくし料理帖 特別巻− 14.星の教室 |
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11. | |
「美雪晴れ−みをつくし料理帖−」 ★☆ |
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女料理人、つる家の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」第9巻。 つる屋で生み出し、常連客から歓迎された安くて美味しい料理の数々、そのままでも十分ではないかと思ってしまうのですが、澪がさらなる成長を遂げるためには、それでは十分ではないようです。 澪が新たな旅立ちの時を迎える前夜となるストーリィ。 神帰月−味わい焼き蒲鉾/美雪晴れ−立春大吉もち/華燭−宝尽くし/ひと筋の道−昔ながら/巻末付録−澪の料理帖/特別付録−みをつくし瓦版/特別収録−富士日和 |
12. | |
「天の梯(そらのかけはし)−みをつくし料理帖−」 ★★ |
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女料理人、つる家の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」第10巻、そして完結編。 吉原であさひ太夫となっている幼馴染の野江を自分の力で身請けするという心願を果たす為、澪はつる屋を出、そして一柳にも身を寄せず、自らの道を志します。 そして最終章、ついに澪と野江、2人の運命が大きく動き出します。正直言って私の予想を超える結末でしたが、だからこそ大団円と言うべきものでしょう。 |
「花だより−みをつくし料理帖 特別巻−」 ★☆ | |
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シリーズ完結後、主要登場人物たちの後日談を、連作形式で描いた特別巻。 4年前の完結で一旦気持ちにケリをつけていたつもりでしたが、こうして馴染み深い人たちにまた会えるのは、とても嬉しいものですねー。 中でも、女料理人である澪(今は28歳)と、その澪を娘のように慈しむ種市の2人が格別です。 ただし、この特別巻をもって本当に最後、とのことです。 ・「花だより」:澪に会いたいという気持ちを抑えきれずにいる種市、ついに坂村堂と清右衛門先生、箱根湯本まで湯治に出掛けるというりうと共に、大阪に向けて旅立つのですが・・・。 ・「涼風あり」:小野寺数馬の妻である乙緒(いつを)が主人公。妻となって6年経つものの、自分の気持ちを表に出せない性格同士故に難しさあり。亡き姑=里津が遺した打開策は・・・。 ・「秋燕」:淡路屋を再建した野江、それから3年が経とうとしている今、いよいよ決断すべき時を迎えます。 ・「月の船を漕ぐ」:澪と源斉夫婦が、それぞれ料理人として、医師として、夫婦として、試練の時を迎えます。お互いにどう思い合ってその苦難を乗り越えるのか、どこが読み処。 花だより−愛し浅蜊佃煮/涼風あり−その名は岡太夫/秋燕−明日の唐汁/月の船を漕ぐ−病知らず/巻末付録−澪の料理帖/特別付録−みをつくし瓦版 |
「星の教室」 ★★ | |
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中学一年の時に酷いイジメに遭い肋骨骨折。退院後そのまま不登校となり中学中退となった潤間(うるま)さやかは今、19歳。 バイト先から履歴書提出を求められると辞めるを繰り返してきたさやかには、未来への展望がないどころか、学校生活の思い出も友人も全くない状況。 当時力ずくでも登校させようとした両親と、懸命に抵抗したさやかとは、それ以来ギクシャクしたまま。 そんなある日さやかは、バイト先のレンタルビデオ店で“夜間中学”という存在を知ります。 知ったからといってすんなり入学という訳にはいきませんが、夜間中学の生徒たちが差し伸べてくれた手のお蔭で、さやかは20歳になった春、<大阪市立河堀中学校夜間学級>に入学します。 同級生となったのは、様々な事情で中学を卒業できなかった人たちばかりで、老人たちも多い。 そんな人たちに囲まれ、励まされ、学ぶことの意味を知ったさやかは、徐々に前に向かって歩き始めます。 夜間中学を舞台にした、さやかの再出発ストーリー。 他人との交流を避けてきたさやかにとって、年齢に関係なく同級生の存在はどれだけ力づけられるものだったことか。 蕗子さんや遠見さん、健児らの人物像は忘れ難い。 また、結婚のため来日した同年代のベトナム人女性スアンと結んだ友情は本当に貴重なもの。 当たり前のように感じていましたが、学べることの有難さ、学ぶことの重要さを改めて感じます。 なお、同じく夜間中学を題材にした作品に、山本悦子「夜間中学へようこそ」があります。こちらもお薦めです。 1.履歴書/2.夜の校庭で/3.あおぞら/4.弱くて、脆い/5.明日の夢/6.結び直すのは/7.まだ見ぬ友へ/最終章.星の教室 |