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1.出世花 2.八朔の雪−みをつくし料理帖No.1− 3.銀二貫 4.花散らしの雨−みをつくし料理帖No.2− 5.想い雲−みをつくし料理帖No.3− 6.今朝の春−みをつくし料理帖No.4− 7.小夜しぐれ−みをつくし料理帖No.5− 8.心星ひとつ−みをつくし料理帖No.6− 9.夏天の虹−みをつくし料理帖No.7− 10.残月−みをつくし料理帖No.8− |
美雪晴れ、天の梯、花だより、星の教室 |
●「出世花」● ★★ |
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小説NON短編時代小説賞・奨励賞を受賞した「出世花」に書下ろし連作3篇を追加した連作短篇集。 不義密通相手と出奔した妻と相手を女敵討ちするため、幼い娘の艶を連れて藩を出た矢萩源九郎。しかし6年後、ついに2人は飢えて路傍に倒れ付す。 身寄りのない少女の成長物語ということで、宮部みゆき「孤宿の人」の少女=ほうのようなストーリィを予想していたのですが、読んでびっくり、これはまるで映画「おくりびと」の世界ではないですか。 なお、題名の「出世花」は、名前を変えながら成長していく出世魚をもじり、若い娘だから「魚」ではなく「花」だという意味。 出世花/落合蛍/偽り時雨/見送り坂暮色 |
●「八朔の雪−みをつくし料理帖−」● ★★☆ |
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神田御台所町の蕎麦屋「つる屋」の調理場に立つ娘、澪。 目立った下がり眉で愛嬌のある顔つき。それでも料理の工夫となると目の色が変わる。 澪が重ねる料理の工夫、その生み出す料理、その料理に舌鼓をうつ町人たちの満足そうな姿というところも魅力的なのですが、それ以上に魅力があるのは、どんな困難に見舞われながらも一つずつ成長を遂げていく澪の姿でしょう。 料理というお仕事小説+料理人としての成長=人間としての成長という要素を併せ持つ、時代版ビルディングスロマン。 狐のご祝儀−ぴりから鰹田麩/八朔の雪−ひんやり心太/初星−とろとろ茶碗蒸し/夜半の梅−ほっこり酒粕汁/巻末付録−澪の料理帖 |
●「銀二貫」● ★☆ |
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2010年08月 2009/09/28 |
大阪は天満で寒天問屋を営む井川屋和助。 松吉の成長を見守る和助を始め、松吉の周囲に絡む人々の多くが好人物、というところが高田郁作品の気持ち好さ。もちろん性根悪い人物も登場しますが、あくまで例外、善意の人物に対する典型的な悪役としての登場です。 本来もっと満足していい物語だと思うのですが、この松吉、かなり女々しいところあり。それ故に、真帆という少女との恋物語も魅力ある部分なのですが、満足度が今一つ。 |
●「花散らしの雨−みをつくし料理帖−」● ★★ |
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女料理人、つる屋の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」の第2弾。 相変わらず澪の考え出す庶民的な料理の数々、江戸時代に相応しく季節感横溢していて、何と心楽しく、つる屋に集う客たちが何と羨ましく思えることか。 その「俎橋」。腰痛持ちの店主=種市、座敷も増えた新しい店で下足番をするのも苦労となり、口入屋から下足番として小女を雇い入れます。その少女=ふきが心栄えよく熱心に働くことから喜んでいたところ、その後、澪の考え出した料理と全く同じものがつる屋よりも先に登龍楼で客に供されるという出来事が繰り返し起きる、というストーリィ。 新たに登場した人物は、口煩いが格好の導き手となる客として戯作者の清右衛門、臨時につる屋の手伝いに入った老婆のりう。 俎橋から−ほろにが蕗ご飯/花散らしの雨−こぼれ梅/一粒符−なめらか葛饅頭/銀菊−忍び瓜/巻末付録−澪の料理帖 |
●「想い雲−みをつくし料理帖−」● ★☆ |
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女料理人、つる屋の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」の第3弾。 連作短篇集という形式を取ってはいますが、ストーリィは長篇小説の要素をきちんと備えていますし、それに加えて、主人公である女料理人=澪が季節季節に合わせて工夫する、廉くて美味しい料理の数々を味わう(読んで想像するだけですが)楽しさ。 「豊年星」:消息知れずとなっている天満一兆庵の若旦那=佐兵衛と一緒に江戸に下った料理人=富三と偶然再会。さて、佐兵衛の消息は知れるのか。 前巻では、澪が作る料理の贔屓客として、口の悪い戯作者=清右衛門が登場しましたが、本巻では清右衛門と付き合いのある版元「坂村堂」の店主が、新たに澪が作る料理のファンとして登場。 豊年星−「う」尽くし/想い雲−ふっくら鱧の葛叩き/花一輪−ふわり菊花雪/初雁−こんがり焼き柿 |
●「今朝の春−みをつくし料理帖−」● ★☆ |
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女料理人、つる屋の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」の第4弾。 下がり眉が特徴の若き女料理人=澪が毎回趣向を凝らす料理の数々が魅力のこのシリーズですが、本巻においては主要な登場人物の身辺事情が重要なテーマとなり、料理は添え物になってしまったかという印象。 「花嫁御寮」:同じように年頃で各々慕う相手をもつ澪と美緒。2人の恋事情を描く篇。 花嫁御寮−ははきぎ飯/友待つ雪−里の白雪/寒紅−ひょっとこ温寿司/今朝の春−寒鰆の昆布締め |
●「小夜しぐれ−みをつくし料理帖−」● ★ |
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女料理人、つる屋の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」の第5弾。 迷い蟹−浅蜊の御神酒蒸し/夢宵桜−菜の花尽くし/小夜しぐれ−寿ぎ膳/嘉祥−ひとくち宝珠/巻末付録−澪の料理帖 |
●「心星(しんぼし)ひとつ−みをつくし料理帖−」● ★☆ |
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女料理人、つる屋の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」の第6弾。 「青葉闇」:大阪では一般的な生麩作りに澪が挑戦、しかし結果は失敗。その過程で、馴染み客である版元・坂村堂の出自が明らかになると共に、澪は衝撃的な一言を身に受けることに。 青葉闇−しくじり生麩/天つ瑞風−賄い三方よし/時ならぬ花−お手軽割籠(わりご)/心星ひとつ−あたり苧環(おだまき)/巻末付録−澪の料理帖/巻末付録−みをつくし瓦版 |
●「夏天(かてん)の虹−みをつくし料理帖−」● ★★ |
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女料理人、つる家の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」の第7弾。 前巻の最終章「心星ひとつ」で小松原との未来を捨て料理人としての道を選び取ることを決意した澪。本書は、その澪がこれまで以上に過酷な試練に見舞われるという巻。 「冬の雲雀」:小松原との別離にかかる騒動。そして一方、料理番付からつる家の名前が失せるという衝撃。 冬の雲雀−滋味重湯/忘れ貝−牡蠣の宝船/一陽来復−鯛の福探し/夏天の虹−哀し柚べし/巻末付録−澪の料理帖/巻末付録−みをつくし瓦版 |
10. | |
「残 月−みをつくし料理帖−」 ★☆ |
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女料理人、つる家の澪を主人公とする時代もの連作短篇集「みをつくし料理帖」の第8弾。 冒頭は、前巻で描かれた吉原の大火で又次が死んだ哀しみを、つる屋の面々が共有している様子が描かれます。 そして澪も、再度生じた登龍楼=采女宗馬との勝負をきっかけに、新しい道へ踏み出すことを決意します。 小松原との決別を選び料理人の道に邁進することを決意した澪の、新た出発点となる巻。 残月−かんひとの面影膳/彼岸まで−慰め海苔巻/みくじは吉−麗し鼈甲珠/寒中の麦−心ゆるす葛湯/巻末付録−澪の料理帖/巻末付録−みをつくし瓦版/特別収録−秋麗の客 |