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「わるもん」 ★★ すばる文学賞 |
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2019/03/24 |
父親が「わるもん」と言われ、箕島家から取り除かれたような家族物語。 姉の鏡子と祐子という娘もいますが、ストーリィは母親と、家に残った末娘の純子という2人が中心。 その純子がちょっと不思議な存在。どんな人物造形なのかと、探りを入れながら読み進んだという感じです。 単に幼い娘というだけかと思っていたら、実は知能障害児かと思われ、さらにううん?と思っているうちにもう20代の女性であることが明らかにされます。 較べたくなったのは今村夏子「こちらあみ子」のあみ子。 同作はあみ子の強烈なキャラクターが印象的でしたが、本作は純子のキャラクターというより、純子の周辺に漂うコミカルで、不思議な明るさといったものが印象に残ります。 ストーリィ云々より、本作の雰囲気を単純に楽しめば良いのではないか、そう感じる作品です。 |