小路幸也作品のページ No.6



51.ペニー・レイン−東京バンドワゴンNo.18− 

52.からさんの家−まひろの章− 

53.からさんの家−伽羅の章− 

54.マンション フォンティーヌ 

55.すべての神様の十月(三) 

56.キャント・バイ・ミー・ラブ−東京バンドワゴンNo.19−  


【作家歴】、東京バンドワゴン、東京公園、シー・ラブズ・ユー、スタンド・バイ・ミー、マイ・ブルー・ヘブン、リライブ、オール・マイ・ラビング、ピースメーカー、オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ、東京ピーターパン

 → 小路幸也作品のページ No.1


花咲小路四丁目の聖人、荻窪シェアハウス小助川、レディ・マドンナ、キシャツー、つむじダブル、スタンダップダブル!、蜂蜜秘密、フロム・ミー・トゥ・ユー、札幌アンダーソング、スタンダップダブル!甲子園ステージ

 → 小路幸也作品のページ No.2


オール・ユー・ニード・イズ・ラブ、すべての神様の十月、札幌アンダーソング間奏曲、ヒア・カムズ・ザ・サン、怪獣の夏はるかな星へ、ロング・ロング・ホリディ、アシタノユキカタ、札幌アンダーソング−ラスト・ソング、ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード、ラブ・ミー・テンダー

 → 小路幸也作品のページ No.3


東京カウガール、マイ・ディア・ポリスマン、花歌はうたう、駐在日記、ヘイ・ジュード、春は始まりのうた、アンド・アイ・ラブ・ハー、あの日に帰りたい、夏服を着た恋人たち、国道食堂 1st.season、<銀の鰊亭>の御挨拶

 → 小路幸也作品のページ No.4


<銀の鰊亭>の御挨拶、三兄弟の僕らは、イエロー・サブマリン、国道食堂 2nd.season、グッバイ・イエロー・ブリック・ロード、君と歩いた青春、明日は結婚式、隠れの子、すべての神様の十月(二)、ハロー・グッドバイ

 → 小路幸也作品のページ No.5

  


         

51.

「ペニー・レイン−東京バンドワゴン− ★★   


ペニー・レイン

2023年04月
集英社

(1700円+税)



2023/06/01



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東京バンドワゴン”シリーズ第18弾。

今回の目玉は、堀田家における大引っ越し!と言えるでしょう。
まず、藤島ハウスに暮らしていた
池沢百合枝が、かずみが暮らす三浦半島の施設へ転居。
そして、
増谷・会沢家2世帯が同居する三階建住宅が完成し、彼らが藤島ハウスから移動。
そして
藍子マードック夫婦が英国から帰国し、藤島ハウス内で研人たちが少しずつ移動、という具合。
(藍子もいてこそ本来の堀田家、という気がします)

去る人がいる一方で、昔近所で暮らしていた家族の消息が知れる等、堀田家を軸にした人の繋がりは衰えることがありません。
また、堀田家の家族内でもいろいろな変化が見えますが、一番目に見える変化はやはり、
かんな鈴花のようです。小2〜3ですからずいぶんとしっかりしてきました。

本ストーリィの内でさらりと語られますが、今や堀田家で一番稼いでいるのは、
研人だそうです。祖父の我南人をもう凌いでいるとか(おぉ凄い!)。
そうした中、自分は何の貢献もしていないと、密かに
が悩んでいたとは思いもしませんでした。

本巻、若い人たちの、自らの活躍の場をどんどん広げていこうとする姿勢が際立って感じられます。
そこから、新鮮な元気を貰えるような気がします。

本シリーズは、ずっと
堀田サチの語りを以て綴られていますが、改めてその良さを感じました。
若い人たちを励ますその口ぶりが、優しくとても温かい。
歳を重ねた者は、若い人たちの行動に対してそうありたいと思います。

冬−カフェの向こうで紅茶も出番/春−恋の空き騒ぎ/夏−答えは風と本の中にある/秋−ペニー・レイン

       

52.

「からさんの家−まひろの章− ★★   


からさんの家 まひろの章

2023年08月
徳間書店

(2000円+税)



2023/09/23



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高校を卒業したばかりの神野まひろ(18歳)は、新たに義祖母となった三原伽羅(きゃら・72歳)の家に居候するため、その家に一人でやって来ます。
その家は、根津駅に近い、二階建ての全部レンガの建物。

そのまひろと伽羅の関係が、かなり複雑。
まひろが誕生してすぐ両親が離婚。その後まひろを引き取った父親は再婚したが、その新婚旅行中に事故死。そのため、まひろは父親の再婚相手の妹=独身の
神野ひろみの養女に。そのひろみがこの度結婚し夫の赴任先である札幌へついていくことになったため、ひろみの夫の母親である伽羅=「からさん」の元に身を寄せることになったという次第。

一般的にそうした生い立ちを聞けば、何と不幸な少女か、ということになるのでしょうけれど、まひろは叔母=母のひろみとずっと仲良く暮らしてきたからそう感じていない。
そして、まひろを迎えたからさんや周囲の人たちも、まひろのことをとても運の強い子だ、しかもからさんの孫になって一緒に暮らせるようになったのだからと、明るく歓迎してくれます。

からさん自身、文筆家であり詩人、画家というアーティストであるうえに、その家にはジャズシンガーの
永沢祐子(50歳)、アーティストのヤマダタロウ(35歳)、建築学科の大学生である野洲柊也(23歳)という個性的な面々が同居していて、賑やかで多様。

この家にやって来てから、まひろの生活はどんどん広がっていきます。
主人公のまひろにどんな道が開けていくのか、それは読んでのお楽しみです。
とにかく、新たな孫ができたと喜ぶからさん、すんなりからさんの家の暮らしに溶け込んでいくまひろという、義祖母&孫コンビの様子が素敵で、楽しいことこの上なし。
これこそが、小路幸也作品の魅力、というものでしょう。


プロローグ.わたしのこと/1.からさんの家/2.わたしのお仕事/3.いろいろな生き方/4.偶然も人生の選択/5.からさんのこと/6.からさんの生きてきた道を/7.家族というもの/8.暮らしの中の出来事/9.生きていくのに必要なこと/10.生きていくことの意味/11.家族って繋がっているもの/12.血の繋がりというもの/13.からさんの家で

       

53.

「からさんの家−伽羅の章− ★★   


からさんの家 伽羅の章

2023年08月
徳間書店

(1900円+税)



2023/09/24



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まひろの章から3年後、から(伽羅)さんを主人公にしての続編です。

作者の小路さん曰く、本作2巻は格好いいおばあさんを描こうとしてレンガの家が思い浮かんだ、のだそうです。
からさんと
まひろ、義理の祖母と孫という二人がダブル・ヒロインですが、題名どおり<家>が重要なコンセプトになっているようです。
<家>即ち、家族であり、自分の居場所、それだけ大切なもの、ということでしょう。
元々からさんのレンガの家は、
祐子、タロウ、柊也という同居人がいて楽しく居心地の良い場所でしたが、孫が一緒に暮らしてくれて嬉しい、しかも有能なマネージャーでありライターでもあるということで、さらに大事な場所になったということ。

本巻では、からさんの家以外の、いろいろな人たちが住む家を巡る、といった趣向になっています。
柊也の旭川の実家、からさんの息子とまひろの叔母夫婦が住む札幌の家、タロウがアトリエ兼住居とした建物、等々。

前巻から3年経っての変化は、からさんにガンの転移が発見されたこと、まひろと柊也が恋仲になっていること。

そして、ついにまひろと実の母親との出会いがあります。
それから、からさんの家から巣立っていく人たちもいる、という具合。
前巻のように、新しいこととの遭遇ばかりという面白さはありませんが、円熟し楽しさが味わえます。どうぞお楽しみに。


それぞれのこと/1.私の家/2.家にいる皆に/3.北海道の家に/4.息子の暮らす家に/5.友達の家に/6.それぞれの家に/7.新しい家の話/8.もうひとつの家/9.これからも過ごしていく家で/10.新しい家で/11.わたしのいえ

※からさん、放射線治療に九州まで。ひっっとしてこれ?→焼野まで

           

54.

「マンション フォンティーヌ The Mansion Fontaine ★★   


マンション フォンティーヌ

2023年10月
祥伝社

(1800円+税)



2023/11/06



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小路幸也作品の楽しさは登場人物のキャラクターにある、と言って過言ではないのですが、その典型的な例となる作品。
なにしろストーリィの3分の2くらいまで、登場人物のキャラクター紹介に終始し、でもそれだけで充分楽しいのですから。

初めて書いた小説が新人賞を受賞し、新人作家となった
羽見晃が引っ越した先は、墨田区鐘ヶ淵にある築60年になる各戸2階建ての<マンション フォンティーヌ>。
各戸の入り口は全て中庭に接していて、その中庭には噴水や少女像、花壇もあって、まさにフランスのアパルトマンそのまま、という雰囲気。
大家であるフランス人老女の
リアーヌさんが入居者の条件としているのは、善き人で、共に人生を楽しんで送れるような人であること。また、困っている人に安心でき場所を与える、ということもリアーヌさんの願っていること。

入居者は皆、個性的で楽しく、仲も良いとのこと。
独身であってこんなマンションに住めたら、さぞ楽しいだろうなぁと思う次第です。
その中でもダントツにユニークな存在は、2ヵ月前から管理人として住み始めた
嶌谷拓次。なにしろ刺青もある元暴力団、そのうえ何度も刑務所で服役した経歴有り、というのですから。
そんな嶌谷が実に頼もしく、住民皆に安心感を与えているのですから、何をかいわんや。

住民各人のキャラクター紹介だけで終わってしまいそうなストーリィでしたが、2つの小ドラマあり。
一つは、
三科百合の元DV夫が鐘ヶ淵駅に幾度も姿を現す。百合と娘の行方を捜そうとしているのか。
もう一つは、20年以上会わないままになっていた兄妹の再会。
マンションの住人たちが、一致協力してどう行動するのか。どうぞお楽しみに。
 ※ぜひシリーズ化を期待したいところです。


羽見晃−29歳 小説家/嶌谷拓次−45歳 管理人/貫田慶一郎−33歳 海外送金所勤務・通訳/坂東深雪−58歳 M大学文学部教授/野木翔−44歳 花丸不動産ロイヤルホーム部長/鈴木幸介−35歳 大日印刷株式会社第一課営業、鈴木菜名−38歳 株式会社集円社出版校閲部/市谷倫子−28歳 蓼凪建設庶務一課勤務、坂上麻実奈−23歳 ファッションブランドショップ店員/三科百合−27歳 いとファクトリー縫製・パタンナー、三科杏−5歳 幼稚園年長さん/リアーヌ・ボネ(如月理亜音)−78歳 大家/野木翔−44歳 花丸不動産ロイヤルホーム部長/橋本杏子−35歳 株式会社祥殿社文芸編集/嶌谷拓次−45歳 管理人/羽見晃−29歳 小説家

          

55.

「すべての神様の十月(三) ★★   


すべての神様の十月(三)

2024年01月
PHP文芸文庫

(800円+税)



2024/02/15



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すべての神様の十月」「〃(二)に続くシリーズ第3弾。
本シリーズに登場する神様たちは、本当に楽しい。
人間くさいというのも、人間たちの間に入り込み、傍に寄り添っているという存在なのですから、それも当然か。

人間がいるからこそ神様も存在しえる、人間が希望をもっている限り神様たちが消えることはない、という神様たちの言葉は本当に嬉しい。いつも神様たちが応援してくれている、という気持ちになれますから。
本シリーズに登場する神様たちは、そんな存在なのです。

「結ばれたものは」:<縁結びの神>が暗躍?
「コンビニで恩返し」:猫の神様?
「間に合わせます」:<韋駄天>と<八咫烏>の遭遇?
「運が良くても悪くても」:<疫病神>と<道祖神>の会話。
「当たり過ぎる」:<雷神>、<雷獣(サンダー)>が登場。
 雷獣、「○○○○○」と呼ばれると怒るのだと。爆笑。
「気象予報士は雨女」:<龍神>曰く、雨女の理由は・・・。
「方向音痴は治りません」:何と方向音痴のそんな理由が!
「座敷童は大人になるのか」:<九十九神>登場。
「死神より来い」:<福の神>って親切。<死神>も登場。
「地味過ぎる」:<地の神>って、ホントに地味なのね。

一神教の神様だったらこうは行かないでしょう。多神教の神様だからこその楽しさです。
一神教より多神教の方がやはり人間に近いのでしょうし。


結ばれたものは/コンビニで恩返し/間に合わせます/運が良くても悪くても/当たり過ぎる/気象予報士は雨女/方向音痴は治りません/座敷童は大人になるのか/死神よ来い/地味過ぎる

           

56.

「キャント・バイ・ミー・ラブ ★★   


キャント・バイ・ミー・ラブ

2024年04月
集英社

(1700円+税)



2024/06/04



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東京バンドワゴン”シリーズ第19弾。

このシリーズは、ホントいつも楽しいのですが、いつも以上に楽しかった、という思いです。
その理由のひとつとして、前巻で
が手がけることになった“クリエイターズ・ビレッジ”、名前も決まってどんどん具体化していくというワクワク感があるからでしょう。
また、そのビレッジ、アーティスト事務所としての機能も持つことになり、堀田家+αだけでかなりのアーティストが集まってしまうというところが凄い、いや楽しい。

その他、
芽莉依ちゃんの周りに何か不審な動き? ライターの木島勘一の元に警戒した方が良いと知らせてきます。
一方、今や「飛ぶ鳥を落とす勢い」だという、
研人たちのバンド<TOKYO BANDWAGON> に、人気アイドルグループ<Color No.7>から、作曲と楽器演奏指導の依頼。堀田家のスタジオにメンバー7人の内3人がやって来て、かんな鈴花も興奮。

そして最後は、堀田家に訪れた大きな変化=お祝いごと。
その関係者の何と大勢であることでしょう。

なお、終盤、小料理屋<はる>の女将である
真奈美が漏らした一言が傑作。これはもう、ファンなら是非読み落としなく!

次巻への期待がますます膨らみます。楽しみ!

秋−とっちらかってアイドル/冬−愛とは航海をする旅/春−未来をあなたへ花束にして/夏−キャント・バイ・ミー・ラブ

       

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