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1.処方箋のないクリニック 2.処方箋のないクリニック 特別診療 |
「処方箋のないクリニック」 ★★ | |
2023年09月
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先進的だと評判の高い青島総合病院、その裏の雑木林の中にある古ぼけた平屋の建物、それこそが「総合内科」の診療所。 そこにいるのは、白衣にネクタイ、でも膝丈パンツという奇妙な格好の医師=青島倫太郎に、オレンジ色のナース服という若い看護師=小泉ミカというコンビ。 奇妙な医者と看護師コンビというと、奥田英朗作品に登場する精神科医=伊良部一郎と色っぽい看護師のマユミを思い出してしまいますが、いやいや青島倫太郎と小泉ミカのコンビは、冒頭の印象を覆して極めてマトモ、いや優秀な二人なのです。 3分間診察が当たり前になっている現在、不安を抱えた患者に対してはじっくり相談に応じる“よろず相談”が必要なのだというのが青島倫太郎の主張。 しかし、今や経営手腕を高く評価されている青島総合病院の理事長兼病院長である実弟の柳司には受け入れてもらえず、廃屋紛いの建物で独立採算で「総合内科」を経営しているという次第。 医者という専門家だからと一方的に押し付けるのではなく、患者が得心できるように、平明かつ公正に説明してくれたら、さぞ不安が取り除かれるのだろうなぁ、と感じます。 その点では、共感するところの多いストーリィです。 ・「もみじドライバー」:老父が車の事故。緑内障を心配するのだが、老父はかえって意固地になり・・・。 ・「サプリ教信者」:老母がサプリ業者に騙されている? 目を覚まさせるにはどうしたらいいのか・・・。 ・「総合内科本日開院」:看護師のミカ、腰痛と副院長のセクハラに悩まされている。その時手を差し伸べてくれたのは・・・。 ・「理想のパートナー」:理想の結婚相手、しかし将来の肥満が心配。つい遺伝子検査の利用を思いつくのですが・・・。 ・「血圧陰謀論」:過敏性腸症候群と高血圧に悩む綾瀬航。でも高血圧は、医者と製薬会社が作り上げた病気? ・「奇跡のメソッド」:柳司の5歳の娘=円花はアトビー性皮膚炎が悩み。ところがそのことから、夫婦の危機、青島総合病院の経営危機にまで問題が広がってしまうとは! ゆっくりスタートし、徐々にスピードを上げ、最後2篇で痛快、そして逆転!という面白さ。じっくり楽しめます。 もみじドライバー/サプリ教信者/総合内科 本日開院/理想のパートナー/血圧陰謀論/奇跡のメソッド |
「処方箋のないクリニック 特別診療」 ★★ | |
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白衣にネクタイ、でも膝丈パンツというユニークな格好の医師=青島倫太郎に、オレンジ色のナース服姿の若い看護師=小泉ミカというユニークなコンビが、様々な医療相談に応じるという、連作小説第2弾。 前作でも感じたことですが、医師が一方的に説明して終わってしまうというのも診療時間の問題からやむを得ないものだと思いますが、その一方でこうした相談にじっくり対応してくれる窓口というのも必要であると、つくづく感じます。 前作に登場した樫尾平蔵老人が、この続編でも、度々顔を覗かせて親しみを感じさせてくれます。 また、最後の章では、青島倫太郎が何故こうした医療相談に応じようとしたのか、その経緯が明らかになります。どうぞお楽しみに。 ・「ストロング系女史」:左遷されて以来、毎晩強い酒を飲むのが止められなくなった若月牧子。さて、どうしたらいい? ・「アンチスイーツ」:実家の母親がスイーツは毒と言い張りだし困り果てた川野哲也、青島に救いを求めるが・・・。 ・「悩める港区女子」:婚活成就のため痩せなければならなくなった門脇千尋がつい手を出したのは、正体不明の痩せ薬。 ・「スマホ首ゲーマー」:ゲームのやり過ぎで後頭神経痛を発症した栗田翔、青島医師や院内コンビニの同僚である中年女性=市山と関わって学んだことは・・・。 ・「理想の最期」:定年退職した夫が突然“リビング・ウィル”を言い出すが、その理由を説明せず。隅谷町子は心配に。 ・「アメリカから来た親子」:来日中、息子が蕎麦アレルギーを発症して東都大学付属病院を受信した母親のメイ。米国時代の青島倫太郎とは恋仲だったと・・・・。 ストロング系女史/アンチスイーツ/悩める港区女子/スマホ首ゲーマー/理想の最期/アメリカから来た親子 |